ソシャゲとかのストーリーで絡んでくる三人組っていいよね 作:笹食え
記述日 : 観測暦 823年 ◻︎月◻︎日
記録 : オペレーター ◼︎◼︎◼︎◼︎
所属 : 第四班
概要
◻︎月◻︎日◻︎◻︎:◻︎◻︎に夕景区 再開発保留エリアにおいて微弱な他者干渉型の異常反応を観測。同日◻︎◻︎:◻︎◻︎、上層部の承認を経て反応元を調律対処に認定し、第四隊へ現地での調律を要請した。
現地状況
異常の発生元は再開発保留エリアにある五階建ての廃ビルと判断。自身を除く隊員はシノノメ、フィーレン、バオジ。
全員確認の上、調律を開始。廃ビル内部は薄暗く、夕景区であることも相まって視認は非常に困難であった。
エントランスへ進入時、武装した三人を発見。それぞれの特徴として、薄紫のマスク、黒いロングコート、目深のフードが挙げられ、調律局員である事、何をしているのかを呼び掛けた。(以後順にA,B,Cと仮称する)
ここで何をしているのかというシノノメの呼び掛けに対し、Aは挙動不審な返答をした後沈黙、すぐにBが自分たちの目的は「配達である」と返答する。この時点で本件となんらかの関係があると判断し、質問の継続を決定した。バオジ、フィーレンの両名が服装の不審さと武装について質問。Cは知人に頼まれた配達である事、武装は護身用であると返答。自身が配達する荷物が何か、見せてもらいたい旨を伝えるとBが分からないとの返答。不審に思ったシノノメが局への同行を要請すると三人は顔を見合わせ数秒程した沈黙後に武器を構えそれぞれ杖、籠手、短剣、と思われる武器を所持していた。
各員は抵抗の意思ありとして警戒態勢へ移行。三人が逃走したため、シノノメがA、バオジがB、フィーレンがCを追跡。自身は多層構造式障壁を展開後、支援システムを起動しオペレーター業へ移行した。
AとCの異なる階層への移動を確認したためそちらを優先した。シノノメの刀に対しAは杖を振り回し応戦。バオジは発砲許可の下、逃走する対処へ威嚇射撃を行なった。途中死角へ周り込まれた際にBが何かを拾う動作が見られ、その後の調査で付近から異常の発生元らしき破片が発見された。Cに関して武器を使用せず、追跡したフィーレンの視界が滑るなどと言った干渉、その後の逃走時にも同様の視界干渉をしたと思われることから能力者と推定される。Cは応戦せず、逃走していた。
またAとBに関してもシノノメ、バオジの両名が三階にて包囲した際、本人が言葉を発していないのにもかかわらずバオジの声での応援要請がしたとのことで、このどちらかあるいは両方とも能力者であると推定する。
その後三人は視界干渉しながら逃走。行方は未だ不明となっている。
異常の反応も消失が確認された。
以上より今回の調律は未達成ながらも異常の鎮静は完了したと判断し、これを報告する。
追記
相手の能力について隊員の所見をまとめたところ
A:声を真似るか変える又は非能力者
B:Aと同様
C:視界に干渉し目を滑らせる
といった推論が有力であることを追記する。
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「こんなところかな」
小綺麗な──
「これはシノノメさんに確認お願いしなきゃ」
男性はパルドスに"女たらし"*1やらガイド君呼びされていた調律局の第四隊のオペレーターである。本来ならば現場へは赴かず、通信で支援を行うが
「あれ? オペレーターさんもうレポート書いたっすか? 速いっすね〜」
「まあね。でもフィーレンは当日書きあがってなかった?」
「あはは、自分なにも出来ずにずっと目回ってたから書くことなかったっすよね」
そんな風に自嘲するのは同じ隊員であるフィーレン。パルドスを追いかけていた「〜っす」口調の背の低い女性である。見た目は十代半ばに見えるがれっきとした二十代である。
「その書類は……シノノメさんの確認がいるやつっすよね? 自分はなんか呼ばれて行くとこだったんで一緒に行くっす!」
「いや、その必要はない」
「うひゃぁえあぁ!!? ……ビックリした〜……。シノノメさん! いるなら最初から言ってくださいっす〜!」
「ああ、すまない。……だが少し驚かせてみたくなってな」
「おちゃめ心が心臓に悪いっす……」
二人の背後にいつの間にか現れたのはシノノメ。クールな女性で、オペレーターとフィーレンが所属する第四隊の隊長であり上司である。ちなみになぜか「隊長」と呼ばれるのが嫌い。
「確認がいる書類だったな。受け取ろう」
「確認お願いします」
「ああ、ご苦労。後で説明とともに渡そう。さてフィーレン?」
オペレーターが書類を手渡した後、フィーレンに向き合うシノノメに対しフィーレンがおずおずといった雰囲気で質問する。
「あの〜……。威圧感が凄いっすけど……。自分何かしたっすかね……?」
「レポートについてだ。心当たりは?」
「え? ちゃんと書いたっすよ? 内容ならシノノメさんも『視界が安定していた部分だけでいい』って言ってたっすよね?」
「内容はな。問題は文体だ馬鹿者。どこに話し言葉でレポートを書く奴がいる」
フィーレンはしまったと言わんばかりに顔を歪ませる。シノノメはため息をつき言う。
「書き直しだ。内容自体は少ないのだし、期限は今日中とする」
「ひ、ひぇ〜……! 作業量が……!」
デジタルのレポートはコンピュータで打ち込む文字数は決して少ない訳ではない。だが一度書いた物の多少の修正程度でそんなに労力がかかるものか? とオペレーターは思う。
「そうだ、バオジを見なかったか?」
「バオジさんっすか? それなら
「……そうか」
シノノメは何かを察したのだろう。遠い目で友を偲ぶようにそう言った。
「呼んだかな?」
なお割とすぐそこに居た。
バオジは糸目の男性で第四隊の副隊長的な役割をこなす事が多い。優しい人柄や判断力、経験があるからだ。また、シノノメと同期であり隊でシノノメに強気にツッコミできる唯一のメンバーである。
「バオジさん、強く打たれたらしいですけどもうお腹は平気なんですか?」
「ああ、だいぶ良くはなったよ。でも跡が数日は残るかな」
「うへ……。それ平気に入るっすか?」
「平気だよ。それでいったら僕よりシノノメでしょ? 顎にアッパーカット食らってもすぐ普通に立って追いかけてたんだから」
「「えぇ……」」
バオジとシノノメを除く二人は信じられないものを見る目をして困惑する。
「確かにいいのを食らったが……まあ、ふらついてはいたぞ?」
絶対そこじゃないだろ。シノノメ以外の三人の思考が一致した。
「痛くなかったっすか?」
「痛いかったが? だが、あちらも焦っていたのか狙いが甘かったな」
意識を落とすには前から真っ直ぐ打ったアッパーは不向きだ。下か横からひねりながらでなければ厳しい。案外不慣れだったのかもな。
「……そう言えば何だったっすかね! あの三人組は!」
なんだか恐ろしいシノノメの分析をスルーしたかったフィーレンが強引に話題を変える。
「あ、ああ!そうだね! ……あの三人は多分……全員能力者だろうね」
「全員、ですか?」
バオジの言葉にオペレーターは首を傾げる。自身のレポートに記したように男性はまだしも二人の女性のどっちだけが能力者の可能性だってあるためだ。
「うん。多分僕達が追い詰めた二人もそれぞれで能力を持ってると思うよ」
「私も同感だ。あの時……バオジの声で応援を要請する声がした時、声は誰もいない方向から聞こえた。声を真似る能力とは別に、声もしくは音の位置を変える能力も使ったのだろう」
「そこまで分かったら能力者の情報管理してるデータベースで検索とか出来ないっすか?」
フィーレンが問う。が、
「上に掛け合ってみているが……安全性などの理由からまだ許可が降りない」
一つ間違えれば甚大な損害を引き起こすかもしれないのに個人情報が詰まったデータベースをはいどうぞとは使わせてくれないのだろう。
「こんな話をしていても仕事が終わるわけではない。仕事に戻ろう」
シノノメがそう言い、それぞれデスクへ戻っていく。オペレーターもまだまだ残る書類に頭を悩ませた。
「フィーレン、今度は改行がされていないぞ。書き直し」
「うあぁああ〜〜ん!!」
オペレーター:ソシャゲの主人公であり、プレイヤーの分身。性別を選ぶことができるよくあるタイプ。女たらしというより人たらし。
フィーレン:〜っす口調の初期デバフキャラ。毎回レポートを一から書き直してる疑惑がある。
バオジ:優しいお兄さんポジの初期バフキャラ。糸目が胡散臭いが善人。
シノノメ:クールな雰囲気の初期アタッカーキャラ。おちゃめな面もある。
アッパーのくだりは少ししか調べてないので間違っていたら教えてください。