ソシャゲとかのストーリーで絡んでくる三人組っていいよね 作:笹食え
昨日投稿したかったが本文が2度も消えてしまってな
──ドンドンと何かを叩く音で俺は目を覚ます。
その後数秒かけて状況の把握を完了した。
確か昨日は……反省会してたけど思ったより疲れてたから早く部屋に引っ込んで寝たんだっけ……?
時計を見れば午前八時半。いつもより長く寝てしまったようだ。
その間もドンドンドンと叩く音は止まらない。
俺達が拠点としているこのビルは三階建てで、一階は空きテナント、二階に俺の部屋と
部屋から出て音の発生源へと向かう。どうやら共用スペースにつながるドアではなく階下、一階のほうから音がするようだ。おそらく階段スペースへの扉だろう。
「あ、おはよ」
「ん、おはよう」
音が聞こえたのかペレコトが降りてきた。
「えと、音は多分、一階から」
「やっぱり?新しい依頼かなぁ」
「こんな、朝早く?」
言うほど朝早くか?
「見に行くしかないかねぇ」
「わ、私も行く。強盗、かもだし?」
まあこんな時間に強盗はないだろうが……。
鬼が出るか蛇が出るかってな。
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結論から言うと鬼でも蛇でもなく、新しい依頼でした。依頼人はどこか上品で若い女性でお名前はリアさん。
オフィスへお通しして、ペレコトと話を聞く。
彼女が朝早く*2から来た理由である依頼はと言うと、
「最近、誰かの視線を感じるのです」
「それだけではなく一人で歩いていたら足音がずっと聞こえますし……ポストに……私の写真がたくさん」
「もう、とにかく怖くて、守ってほしいのです」
へー、黒函ってストーカー被害の対処もやってくれるんだ。初めて知ったな。
「えと、その、あ、あの、ですね、わ、私たちは、ヒュエ」
そんなこと考えてる場合じゃないな。真横から意味不明な言語が出力され始めた。このままだと古い型の洗濯機みたいになっちゃう。
「失礼ながらお聞きしますが、なぜ我々にご依頼なされたのでしょうか?」
質問しつつ、
「我々のような便利屋はほかにもありますし、それこそ警備護衛を扱う会社もあるでしょう。そこまで深刻な被害ならば警邏に通報するのが確実です」
リアさんは少し目を伏せ、苦しそうに言った。
「最初はそれも考えていました。でも通報しようとした時、家のドアが強く叩かれたのです」
「偶然かもしれません。でもあれは警告だったのではと思ってしまうのです。『余計なことをするな』という」
「それで参ってしまった時お聞きしたのです。黒函さんのお話を。さまざまな依頼を異常が絡んでいても見事にこなし、三人の能力で素早く終わらせる、と」
「この方々なら、もしかしたら。そう思いご依頼させていただきました」
……ペレコトとアイコンタクトを取り考えを耳元に囁いてもらう。
……はは、同じ考えで安心したよ。
考えを確認しあった俺はリアさんへと向き直り告げる。
「なるほど。お辛いでしょうに教えてくださりありがとうございます。このご依頼、我々がお引き受けしましょう」
「本当……ですか?ありがとう……ありがとうございます……!」
その言葉を聞いた彼女はまるで"救いを見た"と言わんばかりに頭を下げて感謝した。
どうしたものか。
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その後ようやく降りて来たコラクスも交え今後の方針をまとめた。決めた事項はリアさんの避難先、護衛の仕方、ストーカーが接触してきた場合の対処、どうしようもないと判断したらすぐ警邏へ駆け込む約束である。
「それではよろしくお願いします……!!」
「お任せください」
そんな風にリアさんを見送る。彼女の避難先として大通りに面したビジネスホテルにすぐに宿泊してもらうことになった。予約もなく部屋が空いているか心配だったが、ペレコトから
「ふ、ふふ。わ、私に任せて」
とのお言葉をいただきました。
手段? ……さてね、私は何も知らないよ。*4
ペレコトが何やら電話をしている間にコラクスと依頼についてまとめる。
・依頼は依頼人が一人で出掛ける際の護衛
・護衛は陰から(依頼人希望)
・依頼達成はストーカー行為が三日間見られなくなった時
・依頼人は安全を考慮し、
・黒函が危険と判断した場合、警邏へと通報する
こんなところか。にしても……
「面倒」
「だな」
コラクスに即同意できるくらいには面倒だ。
別に真面目にやるなら動きの制限といつ終わるか分からない護衛期間がだいぶきついというだけで、どうとでもなりはするが。
「で、でもそれより気にするべきなのは……」
電話が終わったらしいペレコトが言う。
「あの発言、だよね……」
やっぱり同じとこが引っかかったか。
「え、何それ」
そういやコラクス寝てたな。
「時計アラームかけてなかった」
「あ、コラクスも?わ、私も」
俺も。……全員アラームかけてなかったんかい。
まあ、それは置いといてだね……じゃあ伝えておこうか
あの違和感とペレコトの策を。
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護衛依頼は二日間何事も無く終わった。二日目までは。
「もう……もう駄目かも知れません……」
三日目の朝、リアさんがオフィスに駆け込んできた。
明らかに盗撮されたアングルの、ホテルのエントランスにいるリアさんの写真を持って。
錯乱したリアさんをコラクスの部屋で落ち着かせている間、俺とペレコトはオフィスで話し合っていた。
「あの写真が本当にストーカーからならまずいな」
「ホテルの場所も割れてるってことだもんね……」
ん?紙とペン……筆談か。
『会話は続けて』
会話はしたままで?ペレコトは器用だから簡単に言うけど俺にはそこそこ難しいんだぞ、これ。
『どう思う?』/
「ホ、ホテル変えてみる?」
『ほぼ確じゃないかな』/
「それじゃキリなくない?」
『ならコラクス呼ぶね』/
「確かに……」
『俺が上に行く感じ?』/
「ストーカーの目的も読めないし」
『お願いできる?』/
「そっか……怨恨、とかの線」
『OK』/
「いずれにせよ、リアさんに聞いてみないとな」
『ありがとう』/
「だね」
これでコラクスと交代して……後はそうだな……。
「コラクス、降りて来て……?」
下でコラクスにペレコトと待機してもらうかな。あいつ警戒心隠さないから俺の代わりはきついだろうし。
「寝かせてきたよ。全然離してくれなかった」
降りてきたコラクスが小声でぼやく。
『話してた通りだ』/
「俺と交代するか?」
「うんお願い」
紙を見て理解したらしい。さすがでございますな、お嬢様。*5
ん?紙になんか書いて
『いつでもぶっ放せるようにしとく』
それは勘弁しやがれください。
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部屋の前へと進み、ドアを三回ノック。
「どうぞ」
返答を得てからドアを開ける。
「落ち着きましたかね?」
「ええ、おかげ様で」
すぐに部屋に入らずに姿を見せる程度。声色も優しくゆっくりと。
「それは良かった」
「その……ご迷惑、でしたよね。護衛を依頼した挙句、パニックでベッドまでお借りして」
「そんなことありませんよ。むしろ今異性の自分が話しかけていてご不快かとヒヤヒヤしてまして」
少し冗談めいた言葉も混ぜつつ。
「そんな、助けていただいてますのに。お気になさらないで」
「ならありがたいのですが」
「ねぇ……少し一人は心細いのです。どうぞ中へいらして?」
できる限り怪しくないように、警戒させないように。
「では……失礼して」
丁寧に。
「リアさんに少しお聞きしたいことがございまして」
「まあ、なんでしょうか?」
逃がさないようはっきりと。
「何が目的で依頼でっち上げて
スティレットを突きつけて。
警邏隊
観測圏における治安維持組織。公的組織であるものの実態は自警団に近い。各地区ごとに分かれて活動しており、地区の特徴に順応する訓練を積んでいる。そのため地区を超えた人事異動があると非常に面倒。