ソシャゲとかのストーリーで絡んでくる三人組っていいよね 作:笹食え
短い上にこんな時間にもう一話
今日は黒函には珍しく依頼である。
「今回ペレコトだけで良くない?」
「同感」
「……
わかるけども。
さて依頼について。内容は海岸の清掃で今回は不審な点があるとか依頼人が怪しいとかはない。なんなら警邏隊なので公務員である。そんな人たちが俺達みたいなのに依頼して大丈夫?と思うが「有志の協力者」で通すらしい。なんだか闇を見た気がする。
もちろんただの海岸の清掃ではない。清掃の対象は
今「なら黒函じゃなくて良くない?」と思っただろうか?そういう訳にもいかないんだな、これが。
その理由を知るにはまず雷潮区とは何か知る必要があるのだ……。が、読んでなんとなく分かるように雷のような海がある地区である。普通の海水はしょっぱく、波音は「ザザーン」やらなんやらと表現されるがこの区では海水は乾電池くらい*1の電気が通っているし、波音は小さめな落雷音である。
つまりとても危ないし、くっそうるさいのだ。ここで遊泳なんてしたら感電+鼓膜破損は確定する。
しかしペレコトの能力で波音を離れた所に移し、その間に清掃することができる。故に俺達が呼ばれたという訳である。……しれっと俺達の能力バレてない?
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「黒函の方々ですね」
「ぴぇっ」
「あ、はい。そうです」
警邏隊雷潮地区支部に着いた後俺達は"海岸等保全課"という所に通され、強面の男性とショートヘアの女性と打ち合わせをしていた。
「今回依頼させていただきました、警邏隊雷潮地区支部海岸等保全課のウライと申します」
「同じく警邏隊雷潮地区支部海岸等保全課のナヅマです!よろしくお願いします!」
「ご丁寧にありがとうございます。黒函のパルドスです」
「コラクス」
「ぺっ、ぺ……ペレコト……です……」
ウライさんにナヅマさんね。
挨拶はきちんと返す。これ大事。約一名唾吐いてた気がするけど。
「今回の依頼について打ち合わせを始めさせていただきます」
「先輩かたーい」
「お前はしゃんとしろ……お見苦しいものを」
「いえいえ」
ペレコトは動かないし、コラクスはつまらないといった雰囲気なので無愛想、だから俺が応対する。今の会話からなんとなく分かってきたぞ、はっちゃけるナヅマさんにウライさんは振り回される側だ。胃痛が多いだろうな……
「今回黒函のみなさまにご協力いただきたいのは雷潮区の海岸沿いの清掃です。ご存じの通り、この区では海水は致命的なまでの電気を帯び落雷のような波音を発します。そこでみなさま……主にペレコト様に能力行使でのご協力いただきたく──」
「ああもう、先輩話長い!要はそちらのペレコトさんの能力で静かな間に清掃したいので手伝ってくださいって話です!」
「お前……!失礼だぞ……!」
なんか目の前でラブコメにありそうな展開を見せられて唖然としてしまう。……いやそれよりも聞きたいことがあるんだった。
「あの依頼は受けさせていただきます。それよりも、ですね。我々の……というかペレコトの能力をどこでお知しになったのですか?あまり口外していないのですが……」
「確かに」
コラクスもうんうんと頷く。ペレコトの再起動はまだ時間がかかるかな?
「「え?」」
「え?」
なんか想定外の反応が返ってきたんだけど。ドユコト?もしかして俺達の誰かのドッペルゲンガーが勝手に情報漏洩をしでかしたんじゃ!?
……ドッペルゲンガーって本当にいんのかな。*2
「いやその……黒函さんの外部顧問の方の紹介なんです。『黒函のペレコトならば音を他の場所に移せるのです!ばっちりです!』とおっしゃられて……」
「そう言えば……今日はいらっしゃらないのですか?」
「あの……外部顧問、なんていません、よ?」
「「え?」」
反応を見るに本当に外部顧問を名乗る者からの紹介らしい。誰かが騙ったのか?なぜ?そしてどう能力を知った?
「パルドス」
「ん?」
コラクスが耳打ちしてくる。なになに?
「こないだのリアって人、私達の能力知ってた。あの人じゃない?」
リア?確かに能力を調べてられてたし、なんなら「私ストーカー被害者です」みたいな演技もできてたな……。
「あの、外部顧問を名乗ったのってどんな人物でした?」
「若い女性でした。どこか上品さを感じる」
「です口調の?」
「です口調……?とりあえず、リアさんという方とは言ってましたよ!」
いや
「あの……もしかしてまずかったですかね?」
ウライさんが暗い表情で聞いてくる。まずいかまずかないかで言えば、まあまずい。リアの話を簡単に信じてしまうことも含めて。だがなんとでもなる範囲だ。どうせ仕事してたら高確率でバレるし。
「いえ、大丈夫ですよ。ただその、外部顧問と名乗る人物は顔見知りなだけで黒函の人員ではないことはご留意を」
「そ、そうですか。その、ご迷惑を──」
「すみませんでした!じゃあ打ち合わせの続きをしましょう!」
「そうそう」
俺とウライさんで謝り合戦になりそうなところをナヅマさんとコラクスが制する。良く見たらペレコトも復活しているようだし、打ち合わせを再開する。
「一つ聞きたいことがある」
「何でしょうか」
「ペレコトが音を離してる間私達は清掃を手伝うの?」
コラクスが質問する。まあ十中八九そうなるだろうな。俺達が何かできるわけでもないし。
「そうですね、基本的に漂着物などの片付けは他の人員を割きます。コラクス様とパルドス様のお二人は私共二人と"ナガレモノ"の対処に当たっていただきたいと思っております」
「ナガレ、モノ……?なんだろう……」
まーた知らん単語が出てきた。次から次へと情報を出すと解説を工夫しない限り説明くさくなるだけなのに。*4ペレコトが頭にハテナを生やしてしまう。
「他の区にはいないんでしたっけ?なんかこう……クラゲとかタコを足して二をかけた感じのふよふよ浮いてるやつです」
ナヅマさんが説明してくれるがそこは二で割ってほしかったなぁ。だいぶ想像した外見が冒涜的なやつになってきてる。*5
「海があんなんだから普通の生物がいないんですよ。それで電気に耐えられるナガレモノが海岸とか浅瀬に住み着くんです」
「ですがナガレモノは住処を荒らされるのを非常に嫌がります。そのため住処付近の清掃時に人を襲うケースが後をたたないのです」
普段なら触れないのですが、とウライさんがぼやく。どうやら今回の清掃箇所はその住処の近くらしい。
「武力で追っ払っていいの?」
「大丈夫です!最近個体数が増えてるみたいなんで駆除対象ですよ!」
「ならまかせて」
コラクスが急にイキイキし始めた。君そんな戦闘狂だったっけ?
「整備した武器を使える……!」
目的と手段が入れ替わってる……!
「もちろん私共も一緒に対処いたしますのでどうぞよろしくお願いします」
「私も先輩も能力者じゃあないですけど頑張ります!」
む、ならこちらもしっかりとした言葉で返答するべきだろう。ということで〜……
「ペレコト〜?なんか締めの言葉やって」
「えっ……?」
「え、じゃない」
俺とコラクスで圧をかけていく。
「ほらお二人も困ってる」
「早く早く」
「うぅ〜〜……よ、よろしくおにぇがいしまふ!!」
アホほど噛み噛みで締まらないなぁ……
雷潮区:常に海水に乾電池程度の電流が流れ、波音が落雷音のように聞こえる特徴を持つ区。他の区とも海で繋がっているが区として決められた範囲の海でしかその特徴は確認されていない。