欺瞞の秤   作:ちくわぶ@黒胡椒

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なんのヤマもオチもない閑話です。


第三十六話 このハゲを許してはならない

ミサキは激怒した。必ず、かの 邪智暴虐のマッチポンプハゲを除かなければならぬと決意した。ミサキには政治がわからぬ。ミサキは、生まれが人とは違うペルソナ使いである。

 

何が言いたいかというと、あのマッチポンプハゲ獅童正義許せない、ということである。

私は自宅で、ニュースを見ていた。すると、メジエド関連のニュースから現政府批判を始めるハゲが語りだしたのだ。

やれ、警察の対応がどうの、政府の対応がどうの、真剣に対策をどうのと、どの口で宣っているのかこのハゲは。

ハゲハゲ言ってると怒られるかも知れないが、事実だ。

 

まあ、それは置いておいて。

やはりというか、メジエドが宣言した様々なことは何一つ実行されず、対外的には平和な日常と何も変わらなかった。

具体的に双葉が何をしたのかはわからないが、新聞の隅っこにセキュリティ会社の重役が書類送検とかいう見出しがあったりするので、何かしらの情報が流されたんじゃないかなと思った。悪いことはするもんじゃないね!

 

今頃は、怪盗団の皆が屋根裏に集まって、双葉質問しているところだろう。

ただ、雨宮くんはともかく、双葉はまだ他の皆には塩対応だろうなあ……。原作と比べても、結構感情を出している印象があるけど、根っこの部分はまだまだ変わらないだろうし。

まあ、私ばっかりが双葉と仲良くなっても意味ないから、皆には頑張ってほしいものである。

あの子も、色んな人と関われるようになってないと、この先大変だからね。

じゃあ私は、ちょっと買い物にでも──そう思った矢先だった。

 

『たすけて海咲。数の暴力がわたしに襲い掛かってくる』

 

と、双葉からのSOSが。

言ってる側からこれかーい!って思ったけど、ここで突き放すのもなぁ……。ん?

矢継早にメッセージが何件も……?

 

『ダメよ、海咲。これは双葉のためでもあるの。双葉に絆されないでね』

『今双葉ちゃんから連絡いったでしょ!無視してとは言わないけど聞かないでね!』

『双葉の為に心を鬼にして見守ってほしい』

 

……了解っと。三人にそう返して、目論見が外れた双葉へのメッセージを考える。

 

『双葉、これは試練の時。貴女はこの試練を乗り越えてさらに成長するの。がんばって』

『んなっ!?うぅ……わかった……がんばる……』

 

そんなやり取りがあって、怪盗団の皆による双葉の対人特訓が始まった。

……ところで皆、夏休みの課題ちゃんとやってるんだろうか……?メメントスだったり双葉のパレスの攻略だったり、あと私の一件だったりで時間取られてたけど、その辺ちょっと心配だなあ……。

あ、私はもうほとんど終わってるので。当然、ほとんど終わってるので!大事なことで二回言ったよ。

 

 

── 翌日。

 

『なんとなくうまくいった!……たぶん!』

『ホントにぃ?今日はどんなことしたの?』

『わたしの部屋で雑談した。フェザーマンをキメラに魔改造されて絶望したが、一応任務は達成したぞ』

『そっか、少しは仲良くなれた?』

『……?…………たぶん……?』

『あはは、引き続き頑張ってね』

 

ミッションが終わったのか、こんなことあったぞと双葉が律儀に教えてくれる。

今日は真と喜多川くんだっけ?なんていうか、面白い組み合わせというか。

真はあれで結構ひねくれた感じに人見知りっぽいとこあるし、喜多川くんも彼のこと理解してないと、突拍子もないことして驚かされたりするしなあ……。

確か今日は原作でも、上手いこといったかと言えば、いったとも言える内容だったと思うし、まあ初日だしね……!ってなる部分もある。そんな感じの流れだったはず。

……雨宮くんもいるし、大丈夫でしょ!よしっ!

 

 

── さらに翌日。

 

『竜司はモテない。わたしにはわかる。あいつには異性としての魅力を感じない』

『えっ……なんの話?』

『それと、わたしには結婚願望は無いな。今のとこ。ウェディングドレスもいらん』

『あの……ホントなんの話?……でも白無垢よりはドレスのほうが似合うと思うよ、双葉』

『そっ、そうかな……?……で、でも、今日はだいぶ話せた!緊張もあんまなかったし、普通に会話出来たぞ。進歩だ!』

『双葉のテンションからも、成功が伺えるね。よくできました!明日も頑張ってね』

『でも……明日はきつい……接客を任された……。鬼達が人前に出ろというんだ』

『そっかぁ……ひとつの壁だね。進級試験だと思って頑張って、双葉。雨宮くんも居るんでしょう?彼ならちゃんと見守ってくれるから』

『うぅ……海咲も見守ってくれんか……?』

『うーん……見守ってあげたいんだけど……ちょっと皆に聞いてみるね』

『……待ってる』

 

なんだかんだ、杏も坂本くんも根が明るいからね。普通に話してたら、きっと仲良くなれる。

友達想いだからね、どっちも。彼が居たから雨宮くんも、今こうして笑えてるっていうのは大いにあると思うし、杏が居てくれたから私も日々楽しく過ごせてるっていうのは多大にある。

やっぱり、怪盗団の皆が好きなんだよね。この後参戦する奥村先輩やすみれちゃんも含めて。

こうやって、彼らの交流を見守れるっていうのは、とても嬉しいことだ。

 

……とはいえ、ヘルプ要請受けちゃったけど……どうしよ。私としては、側で見守ってあげたいんだけどね……。

というわけで、グループに杏と真を誘って相談した。明日、ルブランの手伝いで人耐性付けるらしいんだけど、双葉から見守り要請来てて、行ってもいいかな?っていうもの。

結論としては、ルブランでの特訓だしいいんじゃない?授業参観みたいな感じってことで!と言われ、あっさりOKが出た。

というわけで、明日は私もルブランに行って、お昼にカレーを食べようと思う。

 

 

── 双葉対人特訓3日目。

 

「こんにちはー」

「おう、海咲ちゃんか。座ってくんな」

「はい!双葉が店番してると聞いて、やってまいりました!」

「店番っつーか、皿洗いだけどな。おい、双葉。海咲ちゃん来てくれたぞ」

「お、おうっ。ひぃっ!?」

 

パリーン。

 

お皿の割れる音。あちゃー、ちょっと来るタイミング悪かったかな?慌てさせる結果になっちゃったかも。

がんばれ双葉~……。

 

「おい、大丈夫か?おい、蓮。ちょっと割れた皿処理しといてくれ」

「任されました」

 

チリーン。

早速、常連さんが一人来店してきた。双葉大丈夫かなぁ……。

 

「マスター、いつもの頼むよ!濃いめでね」

「あいよ。蓮、ちょっと双葉見てやってくれ」

「ええ。双葉、緊張しすぎだ。東雲さんもいるし、少し深呼吸してリラックスするといい」

「お、おう……っ。いいとこ見せたいしなっ」

「がんばれ~、見守ってるぞ~」

「……うん!」

 

双葉の奮闘を見ていると、マスターが常連さんと会話をしている。

 

「その子、新しいバイト?相変わらず隅に置けないねえ。常連の子も居るし、一体何人目のボンドガールだい?」

「そんなんじゃないよ」

「いつも、熟したのばっかりなんだろ?たまには若い子も欲しくなるってもんだよね。酸味と甘みが新鮮な、ガテマラ・ビーベリーと同じようにね」

「悪いね、今日はブレンドだ。あとな若い子の前であんまそういうこと言ってると、今は怖い時代だよ」

「いや、確かに。悪かったねお嬢さん方」

「お構いなく~」

 

まあ、見知った人ではあるので、適当に手を振って返して適当に済ます。

老夫婦の常連さんじゃなくて良かった。あの人達、悪い人じゃないんだけど、話長いんだよねぇ……。

 

「おい、コーヒー早く持ってけ。ボーッとすんじゃねえ、冷めちまうだろ」

「へい、コーヒーおまち」

「わひぃっ!?」

「ってお前、いつの間に……。おい双葉。それ被って人前に出るなって言ってるだろ。それと客に出す時は『お待たせしました』だ」

「お、お待たせした、ました。どうぞ」

「あ……ど、どうも」

 

 

── 常連さんが戸惑いながらも、コーヒーを堪能して帰った後。

 

「ちゃーんと接客できたぞ!結構簡単なんだなー!」

「まあ……問題ありっちゃありだが、双葉が客前に出てくなんてなぁ。面はまあ取って欲しいが、驚いたよ。人ってな、きっかけ一つで変わるもんなんだなぁ」

「そうじろう!もっとコーヒー持ってこうか?わたし頑張るぞ!」

「いいけどよ、その面は取れよ」

「ぐ、ぐぬぬ……考えておく」

「──じゃないでしょ、双葉。取りな……さい!」

 

スポーンと被った変なお面を取り上げる。

それにしても、こんなの一体どこで買ったんだろう……。不思議だ。

 

「わわわわっ!?海咲、無体だぞ!それはわたしに必要なものだ!」

「ダメだよ。特訓の成果見せてくれるって話だったのになー?双葉のいいところ見たいのになー?」

「ううう……や、やってやるっ。出来る……はず!」

「ふふ、頑張れ頑張れ。双葉なら出来るよ」

「……ったく、敵わねえな。海咲ちゃん、おかわりいるかい?」

「あ、お願いします。あとカレーお願いします。お昼食べに来たの忘れてました」

「はいよ、蓮、カレー頼むわ」

「ええ。すぐに」

 

 

そんな感じで、わちゃわちゃしながらも、数組の接客をぎこちないながらもこなす双葉を、微笑ましく見守った。

なんだかんだ長居してしまったけど、双葉の頑張りを見届けることが出来たし、とてもいい日だったと思う。

マスターもしょうがねぇなあって表情だったけど、やっぱり嬉しさを隠しきれてなくて、一日中口元が笑ってた気がする。

たまに、双葉のことを目で追ってると、同じように双葉のことを見守ってる雨宮くんと視線が重なって、二人笑顔になったりして。なんか、こういう空間に居れることがすごく嬉しい。

 

その後は、双葉を家まで送っていって、解散。そんな感じで慌ただしい3日目の双葉の対人特訓は終わりを告げた。

明日は何するんだろうな──と思ってたら、杏から連絡が来た。

 

『ねえ水着持ってる?夏休み中に海行こうってなっててさ。友達の友達枠として志帆も呼ぶ予定だから。当然海咲も来るよね?』

『杏ってば強引。まあ、私も行くけどね!』

『そうこなくっちゃ!じゃあ、明日双葉ちゃんの水着買いに行くんだけど、海咲も一緒に行かない?志帆と真も誘ってるからさ』

『おっけー、行く行く。それじゃ、明日待ち合わせね』

 

っていう流れで、翌日水着を買いに行って、その後は志帆を一人にするのもアレだったので、杏達と別れてちょっとショッピング。

なにやらそわそわしてる志帆に、どこか行きたい所ある?と聞いたのがスイッチになったのか、市ヶ谷の釣り堀に行くことになっていた。

 

まさかこんな短期間でまた来ることになるとは思わなかったけど、なんか今日は荒川さんトリオも居たので、中々盛り上がった。

志帆もなんだか嬉しそうで、来てよかったなあと思ったけど、何より驚いたのが荒川さん達が釣りガチ勢だったこと。

全員マイロッド持ってて、志帆がめちゃくちゃ羨ましそうにしていた。夏休み前半はバイトを頑張ってて、そのお金で買ったらしい。情熱すごいなあ……。

 

友人の新たな一面を見せられ、交友がさらに深まった一日だった。 

なお、課題の話が出たら、えっ……!?っていう反応が来て、その後絶望的な表情をしていたので、今頃課題デスマーチに励んでるんだろうね……。

私と志帆はもう終わらせているので、何も問題はなし。

夏休みも、もうすぐ終わり。

海に行くのは初めてなので、楽しみな気持ちもありつつ、人が多そうだなあ……っていう辟易しそうな感じもちょっとある。

 

とはいえ、皆と一緒ならきっと楽しいだろう。

いい思い出になるといいな。




毎日書けるは書けるけど消化したいイベント全部やるとキリないので、そろそろ絞っていきたい所であります。
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