アニポケXY サトシのリザードン続投&タクトに勝ちたいゴウカザル使い   作:ゴジロット

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 前回の話に入れる予定が、長くなったので2話に分けて投稿しました。
 区切りが悪い時を除いて1つの話につき1万文字ぐらいにする予定なので、完成しても文字数が2万文字以上になったらこんなふうに分けます。

 決して話数稼ぎではありません。


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【第9話】ケロマツVSヤヤコマ!空中機動バトル!!【NEW】

 

 

 カロスリーグに向けてジムバッジ集めの冒険に出たサトシは、今はテルキ、シトロン、ユリーカと共に旅を開始していた。

 最初に目指すジムは「ハクダンジム」と決まり、其処へ向かう為に「ハクダンシティ」へと繋がる4番道路を通っている。

 以前パンジーから「妹のジムリーダーは留守」と言われたが、向かっている間にジムリーダーが帰ってくる可能性が有るし、仮にまだ居なくても帰ってくるまでハクダンシティで特訓する事も出来る。

 

 

「ピカピカ」

 

「ケロ、ケロ」

 

 

 またサトシは折角なので少しの間、仲間になったケロマツをボールから出して、一緒に連れて歩いていた。

 ケロマツとピカチュウは一緒に歩き、一同の先頭になって森の道を突き進む。

 

 

「へぇ~。じゃあテルキはその…ランセ地方やレンティル地方、フェルム地方やオーレ地方って所にも行ってるんだ」

 

「そう。まぁレンティル地方は人の干渉がほとんど無い自然保護地域でもあるから、ポケモンのゲットとかは出来ないんだけどな。俺が彼処に行けたのも、ナナカマド博士からフィールドワークの手伝いとして同行を求められたからだし」

 

「でも凄いですね。博士のお手伝いとはいえ、保護地域のレンティル地方に行ける機会がもらえるなんて」

 

「いいな〜!ユリーカも10歳になったら、テルキが行った地方にも行ってみた〜い!」

 

「……ただオーレ地方はちょっと治安が良くない部分もあるから、正直行くのに少し覚悟がいるけどな」

 

 

 道中、テルキが今まで冒険してきた別の地方の話を持ち出し、一同はその話で盛り上がっていた。

 だが4番道路を歩いている途中で、先に進んでいたピカチュウとケロマツが足を止めた。

 

 

「ピ?ピカ…?」

 

「ケロ…?」

 

「どうしたんだ?」

 

 

 サトシがどうしたのかと2匹に尋ねると、周りをキョロキョロするピカチュウの頭上から何か落ちてきた。

 落ちてきたのは真上の木で実っていた小さな木の実で、それが1つピカチュウの頭に軽く当たるとそのまま地面に転がった。

 

 

「お?」

 

「…木の実?」

 

「一体何処から…?」

 

 

 不思議そうにピカチュウが木の実に近付いて、そのまま拾おうとする。

 すると突然、木の実を拾おうとしたピカチュウの前に弱い電撃が放たれ、その衝撃で木の実が跳ね飛んで前に居たユリーカの鼻に当たり、びっくりしたユリーカは尻餅ついてしまう。

 

 

「うわっ!?」

 

「大丈夫かユリーカ!?」

 

「びっくりしたぁ……」

 

 

 心配して駆け寄るシトロンだが、ユリーカは特に怪我も無く気にしていない様子で、傍にある木の実を拾い上げる。

 もしかしたらこの近くで野生ポケモンが、この木の実が欲しくてやったのではないかと推測する。

 

 

「ピッ!ピーカッ!!」

 

「デネ!」

 

 

 すると突然草むらが揺れて、段々とユリーカに近づいてくるのを感じたピカチュウが、草むらから出てきたポケモンの前に出た。

 出てきたのはピカチュウの半分ほどの大きさで、丸みを帯びたオレンジ色の体に細長い尻尾を持ち、非常に小さい手足と耳が特徴のポケモンだった。

 

 

「あっ!初めて見るポケモンだ!」

 

「わああっ!可愛い〜!!」

 

「ネネネ……」

 

「ピカ!」

 

「ネッ!?デネッ!!」

 

 

 出てきたポケモンはユリーカの持つ木の実を凝視し、ゆっくりと近付こうとしたが、其処へピカチュウが警戒して立ち塞がり、前に出る。

 そしてそのポケモンは頬のヒゲから、ピカチュウは赤いホッペから互いに電気を流し合って、まるで会話しているようなやりとりをする。

 

 

「この子、人が居ても怖がらないね!」

 

「でんきタイプ同士、電気でやりとりしてますね…」

 

「こいつは『デデンネ』だな。このカロス地方におけるでんきタイプ……いわば、パチリスやエモンガみたいな小型のポケモンだよ」

 

「へぇ~、デデンネっていうのか〜」

 

『デデンネ

アンテナポケモン

 ヒゲがアンテナの役割をしている。電波を送受信して、遠くの仲間と連絡を取り合う』

 

 

 テルキから名前を聞いたサトシは、すかさずプラターヌ博士から貰ったポケモン図鑑を翳してそのポケモンを調べてみた。

 尚この時、デデンネのタイプに「フェアリー」という聞き慣れない単語が有ったのだが、サトシはそれが新しいポケモンのタイプなのだと知るのは、もう少し後の話である。

 

 

「このデデンネ欲しい!キープ(・・・)ね、お兄ちゃん!!」

 

「…?キープって?」

 

「キープっていうのは、ユリーカが将来トレーナーになった時に、パートナーにするの!」

 

「キープでパートナー………ああ、なるほど。つまりユリーカがトレーナーになるまで、今はシトロンが代わりにゲットして預けてもらうって事か」

 

「そう!ねぇねぇお兄ちゃん、良いでしょう?ちゃんとお世話すからぁ……」

 

「う~ん…そうだな〜……」

 

 

 潤んだ眼で袖を引くユリーカに、シトロンは困った顔で少し悩んだ。

 妹の将来のパートナーを確保するのは別に良いが、ちゃんと世話が出来るのか心配だろう。

 なかなか判断が出来ないシトロンだが、其処へサトシとテルキが口を開く。

 

 

「良いんじゃないか?ユリーカがパートナーにしたいと言っているし、俺も協力するからさ」

 

「デデンネくらいならユリーカでも世話しやすい方だし、分からない事があれば俺もサポートするよ」

 

「本当!?ありがとうサトシ!テルキ!」

 

「…分かりました。2人がそう言うなら、ゲットしましょう!!」

 

「やった!!!あっ、そうだ!デデンネ、これが欲しかったんでしょ?はい!あげる」

 

 

 2人に後押しされて、シトロンがデデンネをゲットする決意を固めると、ユリーカは嬉しそうな表情をする。

 そしてユリーカは持っていた木の実をデデンネに差し出して、それを見たデデンネが受け取ろうと恐る恐る近づいていく。

 

 

「デネネ…「ヤコッ!!」デネッ!?」

 

「あっ!!」

 

 

 だが、木の実を取ろうとした時、横から高速で近付いてきた小さな影が横取りしてしまった。

 木の実を奪ったその影は近くの木の枝に止まり、サトシ達はその正体を知るべく近付いてみると、それは赤い頭部に小さな体をした鳥ポケモンだった。

 

 

「おい!何するんだ!あっ、アイツも見た事がない」

 

「あれは『ヤヤコマ』ですよ」

 

「ヤヤコマ?」

 

「カロス地方の代表的な鳥ポケモンだ!最終進化すれば鳥ポケモンの中でもトップクラスのスピードを発揮する、この辺りじゃ最もバトル向けのポケモンだ」

 

『ヤヤコマ

コマドリポケモン

 囀る鳴き声は美しいが、縄張りに入った相手には、容赦しない荒さを持つ』

 

 

 シトロンとテルキから正体を知ったサトシは、ヤヤコマにも続けてポケモン図鑑を翳して詳細を知る。

 過去にピジョン、色違いヨルノズク、スバメ、ムックル、そしてマメパトと色んな鳥ポケモンをゲットしてきたが、ヤヤコマもまたカロス地方でそれらに該当する存在である。

 

 

「ちょっとコラーッ!それデデンネのなんだからね!!」

 

「……パクッ、ゴク……ヤ〜コヤコヤコ〜ww」

 

「あっ!!」

 

「食べちゃった……」

 

「しかもすっごい小馬鹿にした笑い方してる……」

 

 

 ユリーカはヤヤコマに向かって大声で怒るがが、ヤヤコマは見せつけるように木の実を丸飲みにして食べてしまい、そして小馬鹿にしたように笑う。

 

 

「デ…デデデ…デデ……」

 

「…ピ?ピカッ…!?」

 

「ケ、ケロ……」

 

「うん?どうし……あ〜…」

 

 

 ケロマツとピカチュウが気まずい声を出したので、テルキ達はそちらへ振り向いて見るとデデンネが眼に大粒の涙を浮かべていた。

 どうやら余程木の実を取られた事がかなりショックだったみたいで、今にも目頭と目尻が決壊寸前だった。

 

 

「デネェェェ〜〜〜!!!」

 

「あっ!デデンネーー!!」

 

 

 遂に泣き出してしまったデデンネは、ユリーカの制止も虚しくそのまま草むらの中に駆け足で入って姿を消してしまった。

 

 

「あれはもう戻って来ないだろうな……」

 

「あああ、ああ……」

 

「ケッ!ケロ〜ッ……ケロッ!!」

 

 

 折角デデンネを将来のパートナーに迎え入れたかったのに、その機会を逃してしまったユリーカは涙ぐむ。

 ユリーカが悲しむ姿を見て、ケロマツがヤヤコマに向かってケロムースを複数連続で飛ばした。

 しかし、ヤヤコマは即座に木の枝から飛び上がって飛行すると、小柄な体を活かした素早い動きと機動力で全て避けてしまう。

 

 

「ケロムースを全て躱した!?」

 

「速いな、あのヤヤコマ…!」

 

「あの感じからして、レベルもかなり高いかもしれないな」

 

「……よ〜し、決めた!アイツをゲットする!!」

 

「…ヤコッ!」

 

 

 ヤヤコマの俊敏な動きに感心して、サトシはヤヤコマの捕獲を決意する。

 野生のポケモンをゲットするには、先ずポケモンバトルして体力を減らさなければならず、体力が多い状態だと絶対ではないが基本的に捕獲は難しい。

 ひこうタイプのヤヤコマには電気タイプが有利な為、サトシはピカチュウでバトルをする事を決めた。

 

 

「よ〜しピカチュウ、行くぞ!」

 

「ピッカァ!ピカ「ケロ!」ピッ、ピカッ!?」

 

 

 ところがピカチュウでバトルしようとした時、ケロマツがピカチュウの前に立つとサトシの指示も無しに勝手にバトルを始め、再びケロムースをヤヤコマに投げつけた。

 先ほどとは投げる数を増やして攻撃するが、ヤヤコマはどれも紙一重で簡単に避けられてしまう。

 

 

「何やってるんだケロマツ!作戦も立てないで!ピカチュウ、ヤヤコマに『10まんボルト』だ!!!」

 

「ピッッカアァァ…「ケロケロッ!」ピカッ!?」

 

 

 サトシの指示を受けてピカチュウは得意の電撃を放とうとするが、ケロマツはまるで「手を出すな!」とけ言ってるように止めさせると、また勝手に飛び出して戦い出す。

 

 

「ヤココッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」「ヤコッ!!」

 

 

 今度は「みずのはどう」で攻撃するが、当たる直前にヤヤコマは素早い動きで複数の分身を作る「かげぶんしん」で本体が避けると、嘴にパワーを込めて突撃する「つつく」攻撃で、ケロマツを樹木に叩き付ける。

 

 

「ケロマツ!大丈夫か!?」

 

 

 木に叩き付けられたケロマツが地面に向かって落ちるが、地面に激突寸前にサトシが駆け寄って受け止める。

 大きな怪我を負った訳ではないが、タイプ一致の技を受けてそれなりのダメージが入り、ケロマツは少しふらついた。

 

 

「無茶すんなよ。ここはピカチュウに任せるんだ」

 

「ピカピカ!」

 

「……ケロォ…!」

 

「えっ…?」

 

 

 だが、ケロマツは強い意志を込めながらユリーカを一目見た後、サトシの制止を振り切って腕の中から出ると、ヤヤコマを追って飛び出してしまった。

 

 

「あっ、ケロマツ!!!」

 

「…これがプラターヌ博士が言っていた、例のトレーナーの言う事を聞かずに勝手にバトルをすると言うやつですか!?」

 

「けど一体何が原因なんだ…?ガブリアスの暴走事件じゃ言う事を聞いていたのに、何がきっかけで突然言う事を聞かなくなったんだ…?」

 

「ケロマツの奴……」

 

 

 シトロンはプラターヌ博士が言ってた事を思い出し、テルキは何故ケロマツが急に言う事を聞かなくなったのか疑問に思う中、サトシだけは少し笑みを浮かべていた。

 

 

「サトシ、何か気が付いたのか?」

 

「ああ。何でアイツがそう言われてきたのか、分かったのさ」

 

 

 どうやらサトシは、ケロマツがこうなった事の理由に気が付いたようで、彼はケロマツの後を追いかける。

 テルキ達他3人も後を追ってみると、ケロマツはヤヤコマとバトルを続けており、ヤヤコマの「はがねのつばさ」を受けて地面に叩き付けられながらも闘志を燃やすケロマツ。

 何度も地に伏せても諦めずに、ケロマツは立ち上がってヤヤコマに飛び掛かろうとするが、追いついたサトシが一旦止める。

 

 

「ケロッ!!ケロォ!!!」

 

「ケロマツ待て!お前の気持ちは分かったから、俺の話を聞いてくれ!」

 

「ケ、ケロ…!?」

 

「サトシ、危ない!!!」

 

 

 ケロマツを抑えて必死に説得するサトシだが、そこへ突然シトロンが叫んだ。

 見れば空中を飛ぶヤヤコマが両翼にパワーを貯め、羽ばたくと同時に風の刃を飛ばす「かまいたち」をサトシ達に放ってきた。

 猛スピードで風の刃が飛んできて、今からでは避けられないと思われたが、其処へテルキがボールを1つ投げ飛ばした。

 

 

「ダイケンキ、『シェルブレード』で切り裂け!!!」

 

「ダアァーーイィッ!!!!」

 

「ヤコッ!?」

 

 

 咄嗟にテルキが出したヒスイダイケンキがサトシ達の前に立ち、ヤヤコマの放った風の刃を「シェルブレード」で斬り裂いた。

 力の差は歴然で、水の剣で風の刃を斬り裂くと同時に突風を発生させて、逆にヤヤコマを吹き飛ばした。

 

 

「サトシ、大丈夫?」

 

「大丈夫だテルキ。ダイケンキもサンキュー!」

 

「ダーイ♪」

 

 

 サトシは自分とケロマツを助けてくれたテルキと、彼のポケモンであるヒスイダイケンキに礼を言う。

 テルキがダイケンキをボールに戻してる中、自分のトレーナーを危険な目に合わせてしまった事に落ち込んでいるケロマツに、サトシは優しく問いかける。

 

 

「……ケロマツ、お前ユリーカの悲しい顔を見て、ヤヤコマを懲らしめたかったんだろう?」

 

「ケロォ……」

 

「そうだったの?ケロマツ、ありがとう!!」

 

 

 自分の為にやってくれたと理解したユリーカは、嬉しくなってケロマツに抱き締めてお礼を言う。

 抱き締められてお礼を言われたケロマツは、やや頬を赤くして照れくさそうに眼を細めた。

 

 

「でもその為には作戦が必要だ。相手は空を自由に飛べる。だからまずこっちに引き寄せないと……」

 

「う〜ん……こうゆう時に有効なのは『じゅうりょく』か『うちおとす』の技が1番だけど、あいにく今の手持ちには覚えてなし、ケロマツに新しく『うちおとす』を覚えさせるとしたら時間が掛かるからな〜……」

 

「ふっふっふ〜ん……それなら僕にお任せ下さい!『じゅうりょく』や『うちおとす』を使わずに、ヤヤコマを引き寄せましょう!今こそ、サイエンスが未来を切り開く時!シトロニックギア・オン!

 

 

 こうゆう時こそ得意の科学の出番だと、シトロンはメガネを眩しく光らせながら背負っていたメカニカルなリュックの中から、蓄音機に似た形状の機械を取り出した。

 ※明らかに収納していたリュックとのサイズが合わないとか、そんな機械をどうやって入れてたんだとか、そういった野暮な疑問は無しでお願いします。

 

 

「名付けて、『鳥ポケモン引き寄せマシン』っです!!」

 

「おお〜っ!!」

 

「…蓄音機?」

 

「何だかダサい名前だね……」

 

 

 自信ありげに取り出したマシンにサトシは目を輝かせるが、テルキとユリーカは微妙な反応をする。

 そんな事は構わず、シトロンは取り出した自身の発明品の概要を説明した。

 

 

「鳥ポケモンを含め渡りをするポケモンには帰巣本能があり、それを司る磁性体を、ある周波数の音波によって刺激する事で、引き寄せたり遠ざけたりする事ができるのです!では見てて下さい…回転スタート!!」

 

 

 マシンの説明をしたシトロンは、側面に取り付けられている手回しハンドルをゆっくり回し始める。

 回すと早速マシンから音波が発せられ、周囲全体に伝わっていくとヤヤコマはマシンの方をじっと見つめている。

 

 

「反応しているようです!」

 

「やったな!科学の力ってスゲェー!!」

 

 

 一同はヤヤコマが反応している所を目の当たりにし、作戦が成功していると思ったシトロンは続けてマシンの手回しハンドルを回し続ける。

 

 

 

 

 ……だったのだが、何だか周りの様子がおかしくなる。

 

 この時ヤヤコマは反応こそしてるものの効果が無く、それよりも強く反応した者達が怪しく赤い眼を光らせて木の間から大量に現れる。

 

 

「おかしいな、反応はしてるのに効いていない…」

 

「な、なぁシトロン……ちょっとマシンを動かすの止めてくれないか…?なんか周りの様子が……」

 

「スピッ!!」「スピッ!」「スピピッ!」「スピッ!!」「スピーッ!!」「スピッ!!」「スピッ!」「スピピッ!」「スピッ!!」「スピーッ!!」

 

「うわああっ!!?スピアーだぁ!!!」

 

「ピカッ!!?」「ケロッ!?」

 

「スピアーに反応!?」

 

「お兄ちゃん早くマシンを止めてぇ!!!」

 

 

 周りの異変に気が付いて、テルキがシトロンにマシンを止めるように言おうとしたが時既に遅し、音波に引かれて沢山のどくばちポケモンの「スピアー」が現れた。

 シトロンのマシンに引き寄せられたスピアー達は、サトシ達に両腕と尻の鋭い毒針を向けると、一斉に襲い掛かって来た。

 

 

「うわあぁぁ〜!!!追い掛けてきた〜!!!」

 

「多分周波数が違っていたんです!!鳥ポケモンには、もっと高い周波数が有効と見ました!!これでどうでしょう!!?」

 

 

 一同がとにかく必死に逃げる中、シトロンは発する周波数を上げる為に、先程より早くマシンのハンドルを回す。

 しかし、それが逆にスピアー達を刺激して更に数を増やし、スピードを上げて追い掛けてくる。

 

 

「スピッ!!」「スピッ!」「スピピ〜ッ!」「スピッ!!」「スピーッ!!」「スピッ!!」「スピッ!」「スピピッ!」「スピッ!!」「スピーッ!!」「スピッ!!」「スピ〜ッ!」「スピピッ!」「スピッ!!」「スピーッ!!」「スピ〜ッ!!」「スピッ!」「スピピッ!」「スピッ!!」「スピーッ!!」

 

「シトロン!!逆効果みたいだよこれ!!!」

 

「余計に増えてきてるじゃないかぁ〜!!!!仕方ない!開けた場所に出たら、ポケモンの技で追っ払おう!!」

 

「分かった!!!」

 

 

 本来、捕獲以外で野生ポケモンを攻撃するのはあまり良くないが、このままでは自分達が危ないのでテルキは走りながらゴウカザルのボールを持ち、サトシはリザードンを出す準備をする。

 だが森を抜けて開けた岩場に出ようとしたところ、シトロンが更にハンドルを高速で回しているとマシンが高熱を帯び始める。

 

 そして――、

 

 

ドカーーン!!!!!

 

「「「「「スピ〜ッ!!?」」」」」

 

 

 開けた岩場に出た辺りで、シトロンの持つマシンが大爆発を起こした。

 これによってスピアー達は驚いて逃げたし、全て追い払う事には成功したのだが、爆発に巻き込まれたサトシ達は案の定真っ黒焦げになってアフロ状態で倒れた。

 

 

「…お兄ちゃん、また失敗だね」

 

「……またって事はユリーカ、シトロンの発明品って失敗すると爆発する時が有るのか…?」

 

「……8割くらい」

 

「でも、スピアー達が逃げていくぜ。凄いじゃないかシトロン!スピアーをあんなに呼べるんだから!」

 

「そ、そうですか?」

 

 

 シトロンの発明品の失敗率の高さに苦笑いするテルキだが、サトシはスピアー達を引き寄せる機能に素直に感心していた。

 

 

「ヤ〜コココココ〜wwwヤ〜コココ〜www」

 

 

 しかし、空を見上げるとヤヤコマが一同のやりとりを見ていたのか、彼等の頭上を飛びながら此方を見て笑っていた。

 完全に馬鹿にされているが、サトシは周りの岩場を見て良い事を思い付くと、ケロマツに視線を合わせる。

 

 

「ケロマツ、良い作戦を思い付いた。此処でアイツと決着をつける。俺はお前のトレーナーだ……だから力を合わせて、一緒にやろうぜ!」

 

「ケロ」

 

「よし!此処全部がバトルフィールドだ。高い所低い所、お前のジャンプ力なら必ず飛び上がれる!」

 

「ケロ!」

 

「此処でゲットするんですね」

 

「でもどうやって?ヤヤコマは空飛んでて、攻撃が届かないよ?」

 

「……なるほど。サトシは此処の地形の高低差と、ケロマツの高いジャンプ力を利用するみたいだ」

 

「…??ユリーカ全然分かんない」

 

 

 ユリーカの疑問に対し、周りの岩場を見てサトシの作戦を概ね理解したテルキが簡単に説明しつつ、彼等を見守る事にする。

 そうこうしているうちに、ケロマツとヤヤコマのリベンジマッチ及び、ヤヤコマゲットの為のバトルが始まった。

 

 

「いけケロマツ!!岩から岩へ、ジャンプしてジャンプして上を取れ!!!」

 

「ケーロッ!!」

 

 

 今度はサトシの作戦通りにケロマツは言う事を聞き、岩場を利用して高くジャンプして素早くヤヤコマに近づく。

 あっという間に空を飛ぶヤヤコマと同じ高さまで来ると、サトシの指示で「みずのはどう」を撃ってで攻撃する。

 ヤヤコマは素早い動きで水球を避けるが、更にケロマツは周りの岩場を跳び移りながら撹乱して、ケロムースを投げ飛ばして牽制。

 

 

「ヤココーッ!!」

 

 

 空を飛ぶヤヤコマは、持ち前の機動力で旋回して飛んできたケロムースを全て躱し、その隙を見て反撃に移る。

 そして岩影に潜むケロマツ影を発見したヤヤコマは、高く飛んだ後に「つつく」でケロマツ目掛けて高速で突撃した。

 

 だが――、

 

 

「ヤ、ヤコッ!?」

 

 

 なんとケロマツと思われた影は、ケロムースでそっくりに出来た囮で、所謂忍者の空蝉の術(変わり身の術)を彷彿とさせる戦法で代わりに攻撃させた。

 正面から飛び込んだ事で、顔面にケロムースが付着したヤヤコマは冷静さを失い、ケロムースを取ろうと藻掻く。

 

 

「今だケロマツ、『あわ』だ!!」

 

「ケェェ…ロロロロロォォォォォォーー!!!」

 

 

 ヤヤコマの動きが止まったのを見計らい、岩場のてっぺんに立ったケロマツは口から無数の泡を放つ技「あわ」攻撃を撃ち、ヤヤコマに命中する。

 

 

「いけ、モンスターボール!!」

 

 

 技が当たったバランスを崩して落ちていき、其処へサトシは空のモンスターボールを投げ慣れた動作で投擲した。

 投げたボールは正確な軌道でヤヤコマに当たると、ヤヤコマはボールの中に吸い込まれる。

 地面に落ちて数回揺れるモンスターボールだが、完全捕獲までもう少しという所でヤヤコマはボールから出て捕獲に失敗してしまった。

 

 

「ヤーコヤコーッ!!」

 

「えっ!?駄目だったの?」

 

「惜しいです!」

 

「でも、確かなダメージは有る筈!後もう一撃だ!」

 

 

 たとえモンスターボールを投げたからといって、最後に「カチッ!」と音が鳴らなければポケモンはきちんと捕獲出来ない。

 まだ「あわ」だけではヤヤコマは元気で、反撃で風の刃「かまいたち」を放ってくるが、サトシは諦めずにケロマツに更に上に行くように指示する。

 

 

「来るぞケロマツ!もう一度ジャンプして、もっともっと高く飛べ!!」

 

「ケロッ!!」

 

 

 ヤヤコマの放った風の刃をそのジャンプ力で避けつつ、ケロマツは再び岩から岩へ跳び移り、瞬く間に上へ上へと登ってヤヤコマに迫る。

 そしてケロマツは高く飛び上がってヤヤコマの上を取ると、至近距離から渾身の「みずのはどう」を放ってヤヤコマを攻撃した。

 

 

「ケェェェ…ロォッ!!!!」

 

 

 パワーを凝縮した水球を正面からまともに受けてしまったヤヤコマは、力無く落ちていく。

 今がチャンスだと思ったサトシは、昔のように帽子の鍔を後ろに回して気合いを入れると、思いっ切りモンスターボールを投げる。

 

 

「今度こそ決めるぞ…いけ、モンスターボール!!」

 

 

 その手からもう一度投げたボールはヤヤコマに当たって、光となって吸い込まれると数回揺れて、最後に「カチッ!」を鳴らして止まる。

 

 

「やったぁ!ヤヤコマ、ゲットだぜ!!」

 

「ピッピカチュー!!」「ケロォー!!」

 

 

 ゲットできた事にサトシとケロマツ、そしてピカチュウが喜びの鳴き声を上げる。

 すると直後、今のバトルの疲れが出てケロマツがその場に倒れ込む。

 

 

「ケロマツ、大丈夫か?お前のおかげでゲットできたぜ」

 

「ケロォ…」

 

「すごかったね、お兄ちゃん!」

 

「どんどんジャンプ力が上がって驚きました」

 

「仲間になったばかりのケロマツと、此処まで息がバッチリだなんて……やっぱりサトシは凄いな!きっとケロマツとはこれから先、良い関係になるんじゃないか?」

 

「ああ。俺今回の事で、ケロマツの色んな事が分かってきたよ」

 

「ピカチュ!」

 

 

 サトシの言葉にピカチュウも応える。何せこのピカチュウもまたサトシの言う事を聞かなかった時期があったものの、今ではサトシの事を心から信頼しているからだ。

 

 

「出てこいヤヤコマ!」

 

「ヤコーッ!」

 

 

 そしてサトシは早速、回復の為にもゲットしたばかりのヤヤコマをボールから出し、仲間達に紹介した。

 

 

「さぁヤヤコマ。今日から皆、仲間だ。仲良くな!」

 

「今度からお腹が空いたら私に言うのよ?人から取るのは悪い事なんだからね!」

 

「ヤッコ〜……」

 

「ほら、仲直りにオボンの実を2匹にあげるから、ケロマツと一緒に食べな」

 

 

 先程までの気迫と小馬鹿にした強気の性格は何処へ行ったのやら、ヤヤコマは反省して大人しくなった。

 テルキが仲直りの印にヤヤコマとケロマツにオボンの実を渡し、2匹は一緒に食べて体力が回復し元気になると、これで正式に仲間となった。

 

 

「よ〜し!仲直りもしたし、改めてハクダンシティに出発だ!!」

 

 

 ヤヤコマをゲットし、オボンの実を食べ終えたところで、改めてハクダンシティに向かって一行は出発した。

 だがこの時、岩影に隠れながら一同の後ろを小さなポケモンがこっそり付いて来ている事に、まだ誰も気が付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、電車から降りてミアレシティの駅に着いたセレナは、改札口を通って早速プラターヌ博士の研究所へと向かった。

 本来だったら立ち寄りたいブティックやスイーツ店に一切目もくれず、自前の2画面で二つ折りのピンク色の携帯端末で道を確認し、真っ直ぐに研究所へと早足で歩き進める。

 

 そして遂に目的地のプラターヌ研究所へと到着し、再度身嗜みをチェックして後、扉のドアノブに手を掛けて開き、中へと入る。

 

 

「すみませ~ん!此方にプラターヌ博士はいらっしゃいますか〜?」

 

「ここだよ。よく来たね」

 

 

 中に入ってロビーから呼びかけたら、丁度プラターヌ博士も其処におり、訪ねてきたセレナに返事を返す。

 博士を見つけたセレナは玄関の扉を閉め、振り向き直すと自己紹介する。

 

 

「初めまして、セレナです」

 

「ポケモントレーナーになりに来たのかい?」

 

「はい。あと博士、ニュースで見たんですけど、この前のガブリアスを助けたトレーナー………それで落ちたピカチュウを助けにプリズムタワーから飛び降りて、リザードンに助けられた人を知っていますか?」

 

「サトシ君の事かい?」

 

(っ!!!サトシ……やっぱりそうだ!)

 

 

 先日の事件でプリズムタワーから落ちた人間の名前を聞いて、セレナは内に秘めていた気持ちと期待が一気に膨らむ。

 内心、もし人違いだったらどうしようと不安な事を考えてはいたが、プラターヌ博士から名前を聞けた事で、ようやく確信に変わった。

 それで今彼は何処に居るのかと訪ねようとすると、その前にプラターヌ博士が彼の行き先を話してくれた。

 

 

「彼ならテルキ君と一緒に、もう旅立ったよ。何でもハクダンジムに挑戦するって言ってたからね」

 

「ハクダンジム……じゃあ博士、ポケモン選んで良いですか?」

 

「勿論!パートナーにするポケモンは、事前にもう決めてあるのかい?」

 

「はい!」

 

「分かった。それじゃあ皆、出ておいで!」

 

 

 彼を追いかける為に、セレナは早速ポケモンを選びたいとプラターヌ博士にお願いする。

 新たにトレーナーを志す者の願いに、プラターヌ博士は景気よく応え、彼女の為にポケモン達に来るように伝える。

 そして助手のソフィーに連れられ、カロス地方の初心者用ポケモン3体――所謂御三家と呼ばれるポケモン達。

 

くさタイプのいがぐりポケモン「ハリマロン」

ほのおタイプのキツネポケモン「フォッコ」

みずタイプのあわがえるポケモン「ケロマツ」

 

 この3体が廊下の奥から登場して、新人のセレナの前に横一列に並ぶ。

 

 

「わぁ~!」

 

「カロス地方新人用ポケモン。ハリマロン、フォッコ、ケロマツ、君はどのポケモンをパートナーにするのかな?……っとそうだ。選ぶ前に、先にこのポケモン図鑑をどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます、博士。「ピコン」あっ、ついた!」

 

「そのポケモン図鑑をポケモンの前に翳せば、勝手に検索してくれるんだよ。試してごらん」

 

「はい」

 

 

 プラターヌ博士に貰った図鑑を起動したセレナは、目の前の初心者用ポケモン3体を順番に翳して、その詳細を開いてみる。

 すると博士の言う通り、順番に翳す度にそのポケモンの画像が表示され、解説の音声が鳴る。

 

 

『ハリマロン

いがぐりポケモン

 普段柔らかい頭の棘は、力を込めると鋭く尖り、岩をも貫くほど固くなる』

 

『フォッコ

キツネポケモン

 小枝を食べると元気になり、摂氏200度を超える熱気を噴き出す』

 

『ケロマツ

あわがえるポケモン

 胸と背中からケロムースと呼ばれる泡を出す。ケロムースは攻撃を受け止めて、ダメージを減らす役割を持つ』

 

「わあ、これって凄く便利!」

 

「気に入ったかい?」

 

「はい!」

 

「じゃ、パートナーを選んでくれるかな?」

 

「う、う~ん…本物を見ると、どの子も可愛いな~!…でも、家を出る時から決めていました!」

 

 

 本物を実際に見ると、これまたどれも愛らしくて一瞬迷ってしまうが、事前にリサーチしていたセレナは一目見た時から「この子だ!」と決めているポケモンの前に出る。

 そしてセレナはしゃがんで視線を合わせると、最初のパートナーに挨拶をした。

 

 

「フォッコ、よろしくね!セレナよ」

 

「……フォッコ!」

 

 

 こうして今ここに、カロス地方出身の新たなポケモントレーナーが誕生し、1人の少女の冒険が始まったのだった。

 

 

 

《TO BE CONTINUED》

 

 ここまでの冒険を、ポケモンレポートにしっかり書き残した!▼

 





●オーレ地方、ランセ地方、フェルム地方、レンティル地方

・オーレ地方=『ポケモンコロシアム』と『ポケモンXD 闇の旋風ダーク・ルギア』の舞台
・ランセ地方=『ポケモン+ノブナガの野望』の舞台
・フェルム地方=『ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT』の舞台
・レンティル地方=『Newポケモンスナップ』の舞台

 「+ノブナガの野望は戦国時代じゃないの?」って思うかもしれませんが、あの地方はシデンの国とか所々に普通に近代化された装置や設備があったり、一部会話の中でモンスターボールらしき存在に触れられいたりと、一応時代は現代の可能性が高いらしいです。




 ヤヤコマとケロマツのバトルシーンは少し省略気味にさせたのですが、どうでした?
 一応アニメと同じ部分はダイジェストでも良いとの事ですが、他の意見も結構あったし、この辺は他に描く部分もなかったので若干省略気味にしつつ、それなりに描写して描く事にしました。


 次回は原作第4話ですけど、ちょっとやりたい事を書きたいというか、ちょっとポケスペのあのキャラのオマージュ的なのをするので、それなりに長くなりそうです。





 ……さて読者の皆様、ここでかなり重大な問題が発生しました。
 それは……いずれヤヤコマが進化すると、タイプがリザードンと完全に被ってしまう点です。
 当初、作者である私は「技と戦法で差別化をする」と考えていましたが、後々の事を考えるとやはりリザードンの方が圧倒的に利便性が有って、このままではBWのケンホロウと同様ヤヤコマの役割を奪ってしまいかねないと思い始めました。
 ゲームのXYをプレイしたトレーナーなら「いやいや、ヤヤコマには隠れ特性『はやてのつばさ』があるだろ」って意見が出てくるかもですが、残念ながら原作でのサトシのヤヤコマは特性「はとむね」で、進化したら「ほのおのからだ」になります。
 ならばどうするか………ぐぬぬぬ……ちょっと行き詰まってしまいそうなので、ここはアンケートを取って読者の皆様に判断を委ねます。

 またその他にも感想をお待ちしておりますので、これからも何卒よろしくお願いします。

サトシがゲットしたヤヤコマは原作アニメだと通常特性「はとむね→ほのおのからだ」ですが、リザードンとの差別化の為に隠れ特性「はやてのつばさ」に改変しても良いですか?(締切は2026年7月31日)

  • はやてのつばさ(第6世代仕様)にする
  • はやてのつばさ(第7世代以降)にする
  • 改変せず通常特性のまま
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