アニポケXY サトシのリザードン続投&タクトに勝ちたいゴウカザル使い 作:ゴジロット
そういえば言い忘れてましたが、テルキのイーブイのCVは「釘宮理恵」をイメージして下さい。
つまり、くぎゅブイです。
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ふしぎなおくりもの
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カロス地方にてテルキ達と共に旅する事になったサトシ達は、ポケモンリーグ出場を目指し最初のジムの有るハクダンシティに向かっていた。
その道中でヤヤコマをゲットし、4番道路を順調に進んでいた彼等は現在、道の脇の倒木に腰掛けて休憩を取る事にした。
サトシとシトロンが水筒の水で水分補給していると、目の前でユリーカが取り出したハンカチでピカチュウの顔を拭いているのを見つめる。
「はい!綺麗になったよピカチュウ」
「ピカピカ!」
「ありがとうなユリーカ」
「お礼なんていらないよ。あたしはポケモンが大好きだからやっているんだもん」
こうやって旅の合間にポケモンのお世話が出来て、機嫌が御満悦のユリーカ。
すると、片方の手でピカチュウを撫でている時に偶然ギザギザの尻尾を触れると、ピカチュウは更に気持ち良さそうな鳴き声を出した。
「チャア~~♪」
「あっ、ねぇねぇ!ピカチュウって尻尾をなでなでされると嬉しいの?」
「あぁ、そうだよ」
「可愛い〜!もっとなでなでして上げる!」
「どれどれ、僕も」
「チャア~~~♪」
ユリーカとシトロンの2人に尻尾を撫でられて、ピカチュウは気持ち良さそうな表情をする。
もっともっとポケモンをお世話したい気持ちが抑えきれないユリーカは、少し視線を変えると、とある光景を目にした。
ジョキ、ジョキッ、ジョキッ、ジョキ、ジョキ、
「ドダイトス〜、お前また背中の木の枝が伸びただろ〜?ついでに芝生とかも綺麗にカットしてやるから、じっとしてろよ〜」
「ドォ〜ダァ〜♪」
ユリーカの目線の先には、テルキが自身のドダイトスの手入れをしており、枝切りバサミで背中の木の枝を綺麗に整えていた。
それだけでなく、イーブイとレントラーは自分で丁寧に毛繕いをしていたり、ヒスイダイケンキは自前のアシガタナを研いだり、ゴウカザルがやや大きめの歯ブラシを持って、口を開けたボーマンダの牙を磨いている。
大型のポケモンの手入れは未経験なので、その光景を見たユリーカはジーッと羨ましそうな目をする。
「いいな〜!ねぇねぇテルキ、あたしにもドダイトスのお世話させて〜!」
「う〜ん……いや、流石にこれはまだ早すぎるかな。大型のポケモンの手入れは割と繊細だから、これは実際にポケモンを持つようになってから勉強した方が良いよ」
「え〜!?そんな〜…」
「ユリーカ。テルキの言う通り、これはポケモントレーナーになってからだよ」
「む〜………ん?」
お世話させてくれなかった事にやや不貞腐れるユリーカだが、彼女の視線はテルキのポケモン達の中で唯一小柄なポケモンの方に向けられる。
大きな耳と愛嬌のある顔、小さい体と手足にフワフワの体毛をしたポケモン――イーブイに興味津々だった。
「じゃあじゃあ、イーブイのお世話させて!それならあたしにも出来るから」
「イーブイの…?う〜ん……まぁそれくらいなら良いけど、怖がらせないようにな?」
「うん!分かった」
イーブイくらいの小さいポケモンなら出来ると言って、トレーナーたるテルキの許可を貰ったユリーカは返事を返すと、早速ハンカチを持ってイーブイに近付く。
「イーブイ、顔を綺麗にしてあげるね!」
「ブイ…?ブッ!?」
気がついたイーブイはユリーカに目を向けると少しビックリするが、彼女はそのままハンカチをイーブイの顔に当てて拭き始める。
そんな中テルキは言い忘れた事があったので、それをユリーカに伝える為に作業の手を止めて振り返る。
「あっ、そうだ。ユリーカ、イーブイは鼻を触られるのが嫌いだから、それだけ気をつけ「ブゥーーイッ!!!!」…って、しまった!遅かったか…!!」
聞こえてきたイーブイの鳴き声から、一足遅かったと分かったテルキ。
見れば鼻を触られ機嫌を損ねたイーブイが、ユリーカに対して威嚇しているを目にした。
「ごめんイーブイ…!怒らせるつもりはなかったの」
「ブゥゥ〜……ブイッ!――――サンッ!!」
その時、不思議な事が起こった。ユリーカを威嚇しているイーブイが瞬時に光に包まれると、なんとイーブイの進化形の1つであるかみなりポケモンの「サンダース」が姿を現した。
「えぇっ!?」
「あれは……サンダース!?」
「ピカッ!?」
「どうして…!?『かみなりのいし』を使ってないのに、何故サンダースが…!!?」
本来なら進化に必要な進化の石を使わないと成れない筈のサンダースに、驚くユリーカとサトシとシトロン。
「サァァァンンン……!!」
そんな彼等に関係なく、突然進化したサンダースは体をバチバチと蓄電すると、思いっ切りユリーカに向けてでんきタイプの技を放つ準備を整える。
だがそれを、テルキは素早くゴウカザルに指示を出して止めさせた。
「ヤバい!ゴウカザル、『ねこだまし』で止めろ!!」
「ウキャッ!!」
「サンッ!?」
バトル中で最初の1回しか使えないものの、必ず相手を怯ませる「ねこだまし」を使い、ゴウカザルはサンダースを怯ませる。
これにより、怯んだサンダースは戦意を無くすと再び光に包まれ、なんと元のイーブイへと戻ってしまった。
「ブ、ブイ……」
「あれっ!?元のイーブイに戻った!?」
「…一度サンダースに進化して、元のイーブイに戻ったって事なのか?」
「一体どうゆう事なんですか!?以前、メガシンカは元に戻るとプラターヌ博士から聞きましたが、これは明らかに異常です!」
「えっとその〜……一先ず、説明する為に言葉を選ぶ時間がほしい。一緒に旅する以上、俺もコイツの事をきちんと説明しなきゃとは思ってたから」
サトシ達が目にした以上は隠し事が出来ず、テルキはイーブイを抱き抱えると、自身のイーブイについて話し始める。
イーブイを優しく撫でるテルキを真ん中に一同は倒木に腰掛けて、真面目な表情でその話を聞いてると、それはにわかに信じ難い内容であった。
「えっ、遺伝子の異常個体?」
「そう。色んなポケモンの博士達にも見せたり、ジョーイさんに精密検査してもらったんだけど、分かっているのは……ポケモンの進化に関係する遺伝子が他とは違う、突然変異という事らしい……」
「突然変異って……さっきサンダースになったり、元のイーブイに戻ったりした事に関係あるの?」
「ああ。原因は分からないけど……そのせいかこのイーブイは今みたいに進化形に自由に進化したり、更に元に戻ったり出来る代わりに、通常の進化自体が出来ないんだ……」
「そうでしたか……。テルキの他のポケモン達は最終進化しているのに、このイーブイだけ進化していないのは、そうゆう理由だったんですね」
「皆に隠しててごめん。でもコイツの能力を下手に他の人間に見せる訳にはいかないし、公式戦とかでも普通のイーブイのまま戦わせるって決めてるから、なるべくこれは隠しておきたいんだ」
「もちろん誰にも言わないぜ!なんてったってテルキの大事なポケモンだからな!」
「僕も言いふらすような真似は絶対にしません!この前のロケット団みたいな、悪い連中に狙われる可能性が有りますからね」
「ユリーカも!絶対内緒にする!」
事情を知ったサトシ達は、テルキのイーブイに隠された能力を秘密にすると快く誓ってくれた。
誰でも隠したい事は有り、それが悪者の目に止まるようなものなら、その秘密を守るのが仲間として当然の行動だからだ。
故にこの秘密は、テルキの許可なく他人に話さないという事を、此処で約束した。
因みに余談だが、サトシは喋るゾロアや金色のウソッキー、クリスタルイワークにピンカン島に住むピンク色のポケモン達、更には「はどうだん」が使えるリオル等々、こういった特殊個体のポケモンを旅先で度々出会っており、実はテルキのイーブイに対してそこまで驚いてなかったのは別の話。
「ありがとう、皆…!…イーブイ、さっき鼻を触られたからって、電撃でユリーカを反撃しようとしただろ?ちゃんとユリーカに謝りな」
「ブ…ブイ……」
「あたしこそゴメンねイーブイ。嫌な事をしちゃって」
「…そうだ。せっかくだからユリーカ、イーブイにポケモンフーズを上げてみないか?」
「良いの?さっきみたいに嫌がったりしない…?」
「ああ、それは大丈夫。コイツは初対面相手にはちょっとビビりだけど食べる事が大好きから、餌をあげるだけですぐに打ち解けるよ。やってみる?」
「うん!」
テルキの提案で餌を与えてみる事にしたユリーカは、彼からポケモンフーズが入ったケースを受け取ると、しゃがんでイーブイとの視線の高さを合わせる。
ケースの蓋を開け、中のフーズを数粒ほど手で掴むと、それをイーブイの前に差し出した。
「はい!イーブイ」
「……ブイッ!」ガツガツガツガツッ
「わぁ、ホントだ!すっごい良く食べてる!」
するとさっきまでの落ち込みと警戒心は何処へやら、イーブイはユリーカの手の中にあるポケモンフーズを目にすると、数粒まとめてあっという間に食べてしまった。
顎が閉じ切れないほど口いっぱいに頬張るイーブイを見たユリーカも再び笑顔に戻り、これで取り敢えずは一件落着である。
「ピ〜カ〜チュ、ピカピカ!」
「はい!ピカチュウにもあげるね」
「ピカ!」
ピカチュウも欲しくなったのか、ユリーカにお願いしてポケモンフーズを要求してくる。
もちろんユリーカはピカチュウにも、ポケモンフーズを手渡しであげ、受け取ったピカチュウは嬉しそうに食べる。
一粒だけでは足りないだろうから、もっと与えようとユリーカは再びポケモンフーズを手に取ってあげようとした、その時――、
「デネッ!」
「あっ!」
突如、ユリーカの手にあった分を横から何か小さい影が飛び出してきて、瞬く間に奪い取られてしまった。
よく見ればポケモンフーズを奪った犯人は、以前サトシがヤヤコマをゲットした時に出会った「デデンネ」で、両手に持って嬉しそうに食べ始めた。
「あれは…この前のデデンネ?」
「キープ出来なかった子!?」
「ずっと俺達の後を付いてきたのか…?」
「おそらく、人間について行けば餌にありつけると考えて、追って来たのかもしれないな」
「…あっ、お兄ちゃんお兄ちゃん!早くキープキープ!!」
「っと、そうだった。よし…!」
以前は逃げたせいで諦めてしまったが、もう一度会えたこの機会を逃さない為に、ユリーカは兄のシトロンに必死に捕獲するように頼む。
それを聞き入れたシトロンもまた、今度こそゲットするために空のモンスターボールを構え、デデンネに向かって投げようとする。
「デネネ!」
しかし、一足先にポケモンフーズを食べ終えたデデンネは4番道路の道から外れ、そのまま深い森の中へと逃げ去ってしまった。
「あっ逃げた!」
「待ってデデンネーー!!!」
「追い掛けましょう!」
「ちょ、ちょっと待って…!一先ずイーブイ以外は、全員ボールの中へ戻ってくれ!そしてイーブイは、このままデデンネの追跡だ!」
「ブイ!」
「ヤヤコマ、お前もデデンネを追ってくれ!!」
「ヤコッ!!」
何としてでもデデンネをゲットしたいユリーカは、真っ先に追い掛け森の中へと入っていく。
テルキのイーブイが追跡して、サトシもヤヤコマをボールから出すとその後を追わせると、一同は急いで荷物を纏めて追いかける。
生い茂る草木を掻き分け、森の中をテルキ達が必死に走っていく。
しかし、デデンネはポケモンの中でもかなり小柄な体をしている為に探すのが困難で、先に向かわせたイーブイとヤヤコマの捜索も虚しくあっという間に見失ってしまった。
「見失ったのか?ヤヤコマ」
「ヤコ〜…」
「ブイ…」
「まぁ、無理もないか……。ポケモンの中でも特に小さい部類に入るからな、デデンネは」
「デデンネーー!!何処に居るのーー!?出ておいでーー!!デデンネーー!!――うわっ!?」
諦めずデデンネの名を呼びながら周りを探すユリーカだが、足下をよく見ていなかったせいで地面の窪みに足を引っかけてしまい、よろけて後ろに仰向けで転んでしまった。
しかも地面に後頭部を打ってしまい、怪我こそ無いものの頭を痛めてしまう。
「ユリーカ!?」
「大丈夫か!?」
「いてて……ん?あっ――!!」
「デネ~」
打った箇所が少々痛むも平気なユリーカだが、ふと体を起こす前に正面を見ると、逆さまの景色にデデンネが目の前に姿を現した。
どうやら視線の先にある巣穴から、顔だけを地上に出して様子を伺っているようで、デデンネを見つけたユリーカは叫ぶ。
「いた!!ねぇ待って!」
すぐさま起き上がったユリーカが捕まえようとすると、その前にデデンネは素早く巣穴に潜ってしまい、また別の穴から顔を出す。
よく見ると所々に、デデンネが掘ったと思われる小さな穴があり、ユリーカが急いで向かっても穴の中に入って別の穴に逃げられてしまう。
「ホルビー、デデンネを穴から追い出してください!」
「ホッビ!」
「ピカチュウも頼む!」
「ピカチュ!」
「イーブイ、手伝ってやれ!」
「イッブイ!」
シトロンはボールからホルビーを出し、サトシのピカチュウやテルキのイーブイ達は共に頼まれた3匹は一斉に穴の中に入る。
地中でデデンネを追い詰める想定で3匹のポケモンは行動するが、穴の中は割と複雑なのかデデンネと鉢合わせる事なく、別の穴へと逃げてしまう。
そんなデデンネとピカチュウ達の追いかけっこは、傍から見たらまるでモグリュー叩きゲーム*1を連想させられるだろう。
テルキ達も穴の近くに待機し、協力して捕まえようと乗り掛かるが、相手が小さい体なだけに素早い動きで中々捕まえられない。
「捕まえた!!!」
「ピカッ…!?ヂュウゥゥゥーーーーーーッ!!!」
「うわあああああああああああ!?!?」
余談だが、この時シトロンはデデンネと間違えてピカチュウを捕まえてしまい、驚いたピカチュウはつい「10まんボルト」をシトロンに浴びせてしまったのは内緒。
「ふぅ~、すばしっこい奴だぜ…!」
「もお~、絶対キープしてやる!!」
「お〜いシトロン、大丈夫か〜?」
「シ、シビレ…ビレ……」
口から煙を出してシビレビレになっているシトロンを尻目に、その素早さに感心するサトシと地団駄を踏むユリーカ。
一応テルキがシトロンの様子を見るが、今の彼の感じからして再起には少し時間を空けないと動けないだろう。
一度と外に出ていたピカチュウは再び穴に入って、まだ探しているホルビーやイーブイと同じく地中に潜むデデンネを探しに行った。
暗い所に入ったからか夜目が効くようになり、ピカチュウは小さい巣穴の通路を走り回って行くと、ようやくデデンネを見つけて前に立ちはだかり、逃げ道を塞ぐ。
「ピカピカッ!」
「…デ〜ネネ」
「ピーカチュッ!!」
しつこく追いかけてくるピカチュウに対して、鬱陶しく思うデネネ。
そんなデデンネを捕まえようとピカチュウがデデンネに飛び掛かるが、地中が少し傾斜だった故に勢いをつけすぎて、そのまま2匹共々丸まって何処かへ転がり出した。
その上――、
「ブイィッ!?!?」
途中、イーブイが丸まって転がるピカチュウとデデンネに鉢合わせになり、避ける間もなく巻き込まれると一緒に地中を転がり出す。
「ピィィィカァァァァァァーーー!!!?」
「デネネェェェーーー!!!?」
「ブイイイイィィィィーーーー!!!?」
その後3匹はまるで昔話の如くころころとスピードを上げて転がり、テルキ達とどんどん離れていくと、崖にある穴から外へと出て何処かの原っぱに落ちてしまった。
「ピカチュ…」
「ネネネ…」
「ブ〜イ〜……」
転がったせいで目を回して、仰向けに倒れるピカチュウとデデンネとイーブイ。
少しの間、目に映る光景がぐるぐる回って気分が悪くなる感覚に襲われるが、時間を空けてようやく収まると3匹は体を起こした。
「ピーカ…?ピカチュ……」
「イブ…?ブイ…!?」
「デネネ…」
起き上がったピカチュウ達は周りを見渡して場所を確認すると、どうやら随分と遠い場所に抜け出たようで、近くにサトシ達の気配が無い。
そして視線を見上げた先には、先程自分達が落ちた抜け穴があるのだが、それがかなり高い場所に位置しており、自力で届きそうにない。
「…イブッ!ブイィィーー!!!」
それを見たイーブイが試しに、一度走って離れた後にぐるっと方向転換して、助走を付けながら「でんこうせっか」で一気に駆け上がって登ろうとする。
――が、途中まではいけそうな感じではあったものの、勢いが無くなると急に失速していく。
「ブイィィ〜〜……!」ズザザザザッ
「ピーカ……」
そして間もなくして重力に従ってイーブイは崖からずり落ちて戻ってきた。
「流石に届かないよ…」と止めるピカチュウの言う通り、抜け出た穴はピカチュウ達が全力で駆け上がっても届かない位置にあり、頑張って登るのは無理だろう。
「デネネネッ!デネッ!」
「ピーカッ!?ピーカッチュウ!!」
流石のデデンネも、此処まで遠くの場所に来てしまうとは思わなかったらしく、「どうするんだよ!」と一言電気で文句を言うとその場から立ち去ってしまった。
それを見たピカチュウが慌てて追い掛けて電気を送るとデデンネが立ち止まって、そのままでんきタイプ同士電気で会話し始める。
そんな2匹の電気による対話を、何を話しているのかさっぱり分からないイーブイは首を傾げつつ、取り敢えず話し終わるまで待つしかなかった。
この3匹のやり取りを、近くの茂みから特殊機能搭載の双眼鏡で見つめている怪しい影が存在していた。
その正体はもう皆さんのお察しの通り、毎度お馴染みの皆大好きロケット団のメンバーだ。
「ジャリボーイのピカチュウ発見」
「今ならオマケにイーブイと……見たことないポケモンも付いてるぞ」
「アレはなんていうポケモンニャ?」
運よくサトシと離れてしまったピカチュウを発見した彼等は、一緒に居るテルキのイーブイと、3人にとって初めて見るポケモンであるデデンネに注目がいく。
コジロウが本部から支給されたデバイスから立体映像図鑑を起動し、姿が一致するポケモンのデータを探し当てると、それがデデンネというポケモンだと伝える。
「ん〜っと……デデンネってポケモンだな。タイプはピカチュウと同じでんきタイプだ」
「何だかピカチュウとそのデデンネが、お互い電気でビリビリやりとりしてるわね」
「う〜ん……同じでんきタイプ同士だから、ああやってコミュニケーションをしてるんだろうな」
「…ニャース、訳してよ」
「それは無理ニャ。ニャーはでんきタイプじゃないニャ」
「何言ってるのよ。前にオレンジ諸島のファイヤーの島で、ピカチュウとサンダーが電気でのやりとりしてるのを訳してたじゃない」
「あれはあの時サンダーが、テレパシーを混ぜた電気を使ってたからニャーでも分かったのニャ。普通のポケモンの電気でのやりとりは無理ニャ」
ピーッ!ピーッ!
「…ん?お、おい!コレを見てみろ!サカキ様から送られてきた識別コードを感知するセンサーが、反応しているぞ!」
ムサシとニャースが随分と懐かしい頃の話をしている中、コジロウが手に持っているセンサーが強く点滅しながら反応音を鳴らしていた。
それは以前ボスのサカキから送られてきた、特定のポケモンの識別コードを読み取る物で、それが反応を示した事で3人は即座に理解した。
「って事はあのイーブイが――!」
「ああ、間違いない…!」
「我がロケット団が生み出した…改造ポケモン『マルチイーブイ』ニャ…!」
その後、ピカチュウとデデンネは電気での対話を終えると、イーブイを含め3匹で移動を始めた。
あの崖の抜け穴からでは戻れないと判断して、それならば彼処で粘るよりも回り道して別ルートでサトシ達と合流するのが良いと判断したからだ。
そんなこんなで結成した3匹のポケモン探検隊は、周りの様子を見ながら注意深く移動をしていたのだが、途中「ぐ~」っと不思議な音がしたのでそちらに振り向くピカチュウとイーブイ。
音の正体は、デデンネの腹の虫だった。
「デネネ〜……」
「ブイィ〜………」
お腹が空いて動けなくなったデデンネを見て、それに釣られてイーブイまでお腹が空いてきて大きな耳が垂れ下がる。
デデンネは一粒だけだったとはいえ、イーブイの方は先ほどポケモンフーズをそこそこ食べていたはずなのに、もう空腹を訴えてるである。
「……ピカッ!ピカピ、ピーカーチュ!」
何かに気が付いたピカチュウが小さな手で指差すその先にはオボンの実がなる木が有り、枝先には美味しそうなオボンの実が沢山実っていた。
丁度良いと思ったピカチュウは木の側まで近寄ると、ジャンプしながら赤い頬に電気を貯める。
「ピッカアァ…ヂュウウゥゥゥゥーーーー!!!」
放った「10まんボルト」で枝をピンポイントに焼き切ってオボンの実を2つ落とすと、それを拾ってイーブイとデデンネに「どうぞ」と差し出した。
「ピカ、ピーカーチュ」
「ブイ…?イッブイィ!」
「…ネネネ」
オボンの実を受け取ったイーブイはピカチュウに一言お礼を言うと、貰った瞬間に遠慮なく丸かじりしてあっという間に食べてしまう………ちゃんと噛めよ。
そしてデデンネもまたピカチュウからオボンの実を受け取ると、何処か最初の時より警戒心を解いた雰囲気で嬉しそうに食べ始める。
それを見て、初対面時より少しだけ気を許したかに感じ取れたピカチュウもまた、嬉しそうな表情をした。
「…ブイッ!?――――フィアッ!!」
だがその時、突然頭上から振ってきたキューブからレーザーネットが展開され、ピカチュウ達目掛けて覆い被さるように降ってきた。
それに対していち早く危機感を察知したイーブイが瞬時に光り、今度はむすびつきポケモンの「ニンフィア」へと姿を変えると、全身から眩い光を放出する「マジカルシャイン」で相殺。
「フィ!――――ブイッ!」
「ネネッ!?」
「ピカチュウ!」
ニンフィアもとい、元に戻ったイーブイのおかげで捕まらなかったピカチュウとデデンネも身構え、警戒心を高める。
そして3匹は捕獲ネットが方向に視線を向けると、其処には最早お馴染みのあの3人組が立っていた。
「“ピカチュウ!”と声を聞き!」
「光の速さでやってきた!」
「風よ!」
「大地よ!」
「大空よ!」
「世界に届けよデンジャラス」
「宇宙に伝えよクライシス」
「天使か悪魔かその名を呼べば」
「誰もが震える魅惑の響き」
「ムサシ!」
「コジロウ!」
「ニャースでニャース!」
「時代の主役はあたしたち!」
「我ら無敵の――!」
「「「『ロケット団』!!!」」」
「ソォォーーナンスッ!」
「マーネッネ♪」
ピカチュウ達の前に出て、たとえポケモン相手にも何時も通りの名乗り――しかもこれまた
「さぁピカチュウ、今度こそ大人しく我々にゲットされちゃいなさい!」
「そして遂に見つけたぞ!我等ロケット団が生み出した、改造ポケモンのマルチイーブイ!サカキ様がお待ちだ!」
「ブイッ!?」
以前彼等が現れた時はボールの中だった故に気付かなかったが、イーブイはムサシとコジロウが着る隊員服の「R」のマークに見覚えがあった。
それは以前――今のトレーナーであるテルキと出会う前に、自身が居た場所と同じマークだったからだ。
もし此処であの3人に捕まれば、またしても変な実験をされて酷い目に合うのは明白。
「ピ、ピカピ…!?」
まさか今一緒に居るイーブイが、元ロケット団のポケモンだと知ってピカチュウは驚く。
それでも話の内容から、おそらく彼等の所から逃げてきたと思われると考えた。
「今日は特段おミャーらを逃さないニャ!オマケに其処にいるデデンネもこの場でゲットして、サカキ様に献上してやるのニャ!」
「デネッ!?」
「ピカ、ピカチュ、ピカピカッ!!」
「イッブイ…!!」
「デネネッ!!」
此処で捕まる訳にはいかないと思ったピカチュウは、左右にいる2匹に「早く逃げよう!」と言うとロケット団とは真反対の方向に向かって、3匹はピカチュウを先頭に走って逃げ出す。
無論そんな3匹を逃す気はないムサシとコジロウは、自身の手持ちポケモンが入ったボールを投げた。
「逃がしゃしないよ!!出てきなさい、ハブネーク!!!メガヤンマ!!!コロモリ!!!プルリル!!!」
「ハアァァーーブッ!!」「ヤンマァーッ!!」「モリッ!!」「プルゥ〜!」
「いっけー、マスキッパ!!!デスマス!!!モロバレル!!!」
「デ〜ス〜」「モロモ〜ロ!」
「キパッ!!キパ〜ッ♪」ガブッ
「痛だだだだっ!!?マスキッパ!!分かったから!!!分かったから今は集中だ〜!!!」
「デ、デ〜ス〜……」
「モロモロ……」
ボールから出して早々、マスキッパは何時もの通りコジロウの頭に噛み付きながら抱き締め甘えてきて、コジロウは痛みに耐えながら宥める。
それを見たデスマスとモロバレルは、先輩ポケモンとコジロウの意外なコミュニケーションに、少しだけ戸惑いながらも実は羨ましく感じてしまうのであった。
とにかく、今は気を取り直してムサシとコジロウは自身のポケモン達に、逃げるピカチュウ、イーブイ、デデンネに攻撃するように指示した。
「ハブネーク、『ポイズンテール』!!!メガヤンマ、『ぎんいろのかぜ』!!!コロモリ、『エアスラッシュ』!!!プルリル、『バブルこうせん』!!!」
「ハップップルル!!!」「ヤンマァ!!!」「モーリッ!!!」「プルッ!!!」
「マスキッパ、『タネマシンガン』!!!デスマス、『シャドーボール』!!!モロバレル、『のしかかり』だ!!!」
「キィーパパパパパッ!!!」「デ〜ス〜マッ!!!」「モロ〜…バッ!!!」
ロケット団のポケモン達が一斉に攻撃を繰り出し、ピカチュウとイーブイとデデンネに襲い掛かる。
ハブネークが振り回す毒の尻尾や、頭上から迫りくるモロバレルの体をピカチュウ達は紙一重に避けるが、更に後方からくる技の弾幕は持ち前の素早さでも回避し切れない。
「ブイッ!―――ブゥスタッ!!ブゥゥゥゥゥ…スッタアアアァァァァァァッ!!!!」
だがここでイーブイが即座に光に包まれると今度はほのおポケモンの「ブースター」へと進化して、口から「かえんほうしゃ」を噴いて、ロケット団のポケモンが放った遠距離攻撃と衝突。
凄まじいエネルギーが放射状に広がりつつも、相手の攻撃を相殺する事に成功した。
「ニャニャ!?アレはブースターだニャ!!」
「ブゥゥスッ!―――グレイッ!!」
イーブイからブースターに進化したのを目にして驚くニャースだが、気を休めず更に進化して次はしんせつポケモンの「グレイシア」に姿を変えた。
「グウゥゥ…レエエェェェェーーー!!!!」
「ヤンッ!!?」「モリイィッ!!?」
「キパッ!!?」「モロッ!!?」
グレイシアは迫りくるロケット団のポケモン達に向けて、猛烈な勢いの広範囲技「ふぶき」を発生させる。
一部を除けばこおりタイプ最強クラスの技を喰らって、特に効果抜群の相性であるムサシのメガヤンマとコロモリ、そしてコジロウのマスキッパとモロバレルはその場で、カチンコチンの氷漬けにされた。
「今度はグレイシアだニャ!グレイシアちゃんとってもキュートだニャ〜♡」
「サカキ様が送って下さった資料の通りだ!!やっぱりあのイーブイは、自由に進化形へと姿を変える事が出来るんだ!!」
「流石ロケット団の改造ポケモンね!何としてでも捕まえてサカキ様に送り届けるのよ!!」
以前送られた資料の通り、イーブイの反則じみた凄まじい能力を目の当たりにして、手持ちがやられても尚より一層3匹の捕獲に力を注ぐロケット団達。
無論これに対してイーブイだけでなくピカチュウも黙ってるはずがなく、しつこく追い掛けてくる彼等に向けて渾身の「10まんボルト」を放った。
「ピッカアァァ…ヂュウウゥゥゥゥゥゥーーーー!!!!」
「プルルルルゥゥゥゥッ!!!?」
放たれた強烈な電撃はムサシのプルリルに命中して、効果抜群の技を受けたプルリルは黒焦げになって倒れる。
更に電撃は止まず、ピカチュウはそのまま「10まんボルト」で他のポケモンに攻撃する。
「ヂュウウゥゥゥゥゥゥーーーー!!!!」
「よろしく、ソーナンス!!」
「ソーナンッ!!ソォーーナァァァンスゥッ!!!!」
今までの経験から、やられてばかりでいるロケット団達ではなく、続けて迫りくる「10まんボルト」にムサシはソーナンスを前に出す。
マーブル状の光に包まれたソーナンスは電撃を受けると、ダメージを2倍にして撃ち返す「ミラーコート」で電撃を跳ね返した。
「グレイッ!―――ブラァッ!!」
しかし、グレイシアから更に姿を変えて黒い姿になると前に出て、ピカチュウとデデンネの盾になるイーブイ。
反射された攻撃が着弾して爆風と爆煙が巻き起こるが、煙が収まってくると奥から暗黒の波動「あくのはどう」が飛んできた。
「デスゥ〜ッ!!?」
「デスマス!?」
黒い波動はゴーストタイプのデスマスに直撃し、効果抜群の技を受けて力無く目を回して倒れる。
爆煙が完全に晴れて、「あくのはどう」を撃ってきた正体が見えると、其処には黄色い模様を発光させるげっこうポケモンの「ブラッキー」が居た。
「ブラァッ!」
「ブラッキーだニャ!」
「えっ!?何で!?今ソーナンスが撃ち返したのに、何でダメージ受けてないのよ!!?」
「ムサシ!『ミラーコート』は本来、エスパータイプの技なんだ!だからあくタイプのブラッキーになった今は、反射でもエスパー技が通用しないんだ!」
「あ〜もうっ!なんてズルいのよ!!しかもこっちに不利なタイプばっかりなるし〜!!」
あまりに強すぎる能力故に、次々と手持ちポケモン達が倒れていくロケット団だが、それでもボスであるサカキからの命令なので、何としてでも捕まえようと諦めず追いかける。
それに対してピカチュウとデデンネ、そしてイーブイの3匹は彼等に捕まらない為に必死で逃げ続ける。
一方その頃、先ほどの場所で穴の側に待機してデデンネを待ち構えていたサトシ達だったが、そのデデンネがまるっきり出て来なくなった上に、サトシのピカチュウとテルキのイーブイまで姿を現さない事に心配していた。
そこで、一緒にデデンネを追いかけていたシトロンのホルビーが再度潜って隈無く穴の中を捜索したのだが、数十分経って戻ってきたホルビーは見つからなかったと首を振った。
「ホビィ…」
「そうですか、見つかりませんでしたか…」
「これだけ中を探しても見つからないとなると……もしかしたら、何処か別の抜け穴から出て戻れなくなった可能性もなるな…」
「えっ、じゃあこの穴の中には、もう居ないって事?」
「確証は無いが有り得るかもしれない。念のため空からも探して、捜索範囲を広げてみよう」
「そうだな。ヤヤコマ、空から探してきてくれ!」
「ヤコッ!」
「それから……リザードン、君に決めた!」
「出てこい、ボーマンダ!」
テルキの案で、地中だけでなく空からも捜索する事にした一同。
サトシはヤヤコマに加えてリザードンを出し、そしてテルキもボーマンダをボールから出した。
「グオオォォォーーッ!!」
「ボオオォォォーーー!!」
「ヤ、ヤコ…!?」
目の前にいきなり大型のひこうポケモンが出てきたので、少し驚くサトシのヤヤコマ。
そういえばまだきちんと紹介していなかったと――サトシは改めてヤヤコマとリザードンにお互いを紹介した。
「ヤヤコマ、そいつは俺のリザードンだ。リザードン、そっちは新しく仲間になったヤヤコマだ。仲良くしてくれ」
「グオォウ」
「ヤコヤコ」
「それでリザードン、ピカチュウが何処かへ行って戻って来ないん
だ。ヤヤコマと一緒に探してくれないか?」
「グオオォォォーー!」
「ヤコー!」
「ボーマンダ、実はイーブイが居なくなったんだ。ピカチュウやデデンネと一緒に居る可能性が有るから、空から探してくれ」
「ボオオォウゥゥー!」
お互いの紹介を済ませた後、トレーナーの頼みを聞いたヤヤコマとリザードンとボーマンダはすぐに返事を返して空に舞い上がり、それぞれ別々の方向へ飛んで空からの捜索が始まった。
ここまでの冒険を、ポケモンレポートにしっかり書き残した!▼
●ムサシ「前にオレンジ諸島のファイヤーの島で、ピカチュウとサンダーが電気でのやりとりしてるのを訳してたじゃない」
……セレナ(とベイリーフ)に絶対見せてはいけないポケモン映画第2位である、あの映画の内容です(1位はもちろんラティアスの映画……あれを見せたら絶対ヤバイ)
こんな感じで映画のネタを偶に出そうと思います。
●テルキのイーブイ(♀)
特性:てきおうりょく
CV:釘宮理恵
テルキがスズラン大会に向けて修行中だった時に出会った、見た目は色違いという訳でもない普通だが、不思議な力を秘めた個体のイーブイ。
初対面の人間には少しびびりな傾向があるが、少しすれば割とすぐに打ち解けるので本質は人懐っこい性格でチョロい。
食いしん坊で稀に高級のおやつをねだったりするのが玉に瑕だが、いざという時は果敢に立ち向かう。
鼻付近を触られるのが嫌いで、触ると怒って攻撃するのが特徴。
ポケモンの進化に関係する遺伝子が他とは違う突然変異の異常個体らしく、各進化形に自由に進化して切り替えしたり、更に元に戻ったり出来る代わりに、通常の進化自体が出来ない。
完全に「ポケスペのレッドのブイ」なキャラ設定で、しかもニンフィアまで自由に切り替え進化が出来たり、更にはロケット団が生み出した改造個体らしいのだが、一体どんな関係なのか………詳しい情報は次回の後書きに裏設定という形で説明します。
本当は2話まとめて投稿するはずでしたが、後半の内容に少し修正する必要が出たので、次回の投稿日は2026年7月上旬頃までには完成させます。
サトシがゲットしたヤヤコマは原作アニメだと通常特性「はとむね→ほのおのからだ」ですが、リザードンとの差別化の為に隠れ特性「はやてのつばさ」に改変しても良いですか?(締切は2026年7月31日)
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はやてのつばさ(第6世代仕様)にする
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はやてのつばさ(第7世代以降)にする
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改変せず通常特性のまま