アニポケXY サトシのリザードン続投&タクトに勝ちたいゴウカザル使い   作:ゴジロット

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 最初はどうしても内容が詰まっているので、原作第1話だけでもかなり長くなってしまいます。

 取り敢えず後もう1話で、アイツを出せそうかも…。



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【第2話】新たなる出会い シトロンとユリーカ

 

「此処だ、ミアレジム!」

 

「ピカ!」

 

 

 遂にサトシとピカチュウはミアレシティの中心部に到着し、目の前にこの街のシンボルにしてポケモンジムが有るプリズムタワーがそびえ立っていた。

 ミアレシティ全体を見渡せるほどに高いこの塔は遠くからでも目視でき、目の前で見るとその存在感が際立つ。

 

 

「いよいよだぞ、俺達の新しい挑戦の始まりだぁ!!行くぜピカチュウ!!」

 

「ピィッカッチュー!!」

 

 

 居ても立ってもいられないサトシは、まだ手持ちポケモンの数が少ない状態にも拘わらず、特に気にせずそのままプリズムタワーの中へと駆け込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、今の人……」

 

「まさか…ミアレジムに挑戦する気なんじゃ……!?」

 

 

 その姿を、黄色い髪の兄妹が見ていた事は、本人はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この雰囲気……此処のジムはでんきタイプかな?それともはがねタイプかな?どっちにしろ燃えてきたぜ!」

 

「ピッカピカ…!」

 

 

 建物の中に入ったサトシとピカチュウは、このジムの専門のタイプは何なのか予想を立てつつ、やや薄暗いエントランスを早足でを通っていく。

 そしてバトルフィールドへの入り口であろう――モニターの有る閉まった自動ドアの前に立つと、中に聞こえるくらいの音量で声を上げた。

 

 

「すみませーーん!!」

 

 

 サトシが扉の前で声をかけるとモニターが映りだし、ポケモンジムのマークが表示されると、モニターから電子音声が鳴る。

 

 

『ヨウコソ ミアレジムへ』

 

「俺、カントー地方のマサラタウンからきた、サトシって言います。ジム戦に挑戦しにきました!」

 

「ピッカ!」

 

『…バッジ ハ 何個 所持シテ イマスカ?』

 

「えっ、バッジの数…?カロス地方ではこのジムが初挑戦なんです。だから他にバッジは持っていません」

 

『ゼロ!?!?』

 

 

 バッジの所持数を聞かれるなんて今まで無かったが、おそらくバッジの数によって難易度を調整しているんだろうとサトシは思い、素直にカロスのバッジはまだ持ってないと答える。

 

 しかし次の瞬間、信じられない事が起きた。

 

 

『ミアレジム ニ 挑戦 スルニハ 最低デモ バッジ 4コ 集メタ者 デ ナケレバ イケマセン』

 

 

 なんとバッジが最低所持数に達していないと分かると、通路の壁の両端からアンテナ状の機械が出現し、しかも目に見えるほどバチバチと電気を帯びていた。

 それを見たサトシとピカチュウは、瞬時に身の危険を感じて驚く。

 

 

「えぇ〜っ!?わわわっ、ちょっと待っt――!」

 

『出直シ ヲ 要求 シマス』

 

 

 サトシが急いで止めてもらうように頼もうとしたが既に遅く、無慈悲にもアンテナ状の機械から電気が放電し、サトシに襲いかかった。

 

 

ぐあああああああああああああああああああ!?!?

 

ピカアアアアアァァァァァァァァァァァァ!?!?

 

 

 ピカチュウの「10まんボルト」ほどではないにしろ、電撃を受けたサトシは全身に感電し、電撃が終わった頃には痺れて痙攣してしまっていた。

 因みにピカチュウも電撃を受けたものの、同じくでんきタイプ故に受けたダメージは少なく、こちらはほとんど無傷で済んだ。

 

 だか、サトシとピカチュウに降り掛かる災難はこれだけではなかった。

 

 

バカンッ!

 

 

「えっ!?うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ピィィィカアアアアァァァァァァ!?!?」

 

 

 電撃を食らった直後、サトシの立っていた足元の床が落とし穴のように突然開いたので、サトシとピカチュウは落とし穴からスライダーを滑り落ちていった。

 途中、「ガツン!ガツン!」と壁に体を打ち付けられながら滑り落ちていくと、ポケモンジムのマークの真ん中からプリズムタワーの外に投げ出されてしまう。

 しかも、投げ出た所は地面から10m以上離れた高い箇所なのもあって、すぐに真っ逆さまに落下していった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!?」

 

「ピィカァァァァァ!!!?」

 

 

 このままではサトシもピカチュウも地面に体を叩きつけられて大怪我……するのかという疑問はともかく、少なくとも痛い思いをするのは間違いないだろう。

 

 

 

 

 

「っ!?しまった!!」

 

「わわっ、大変!!」

 

 

 だがその時、プリズムタワーの前にいた兄妹――黄色い髪をしていて丸縁の眼鏡をかけた男の子と、同じく黄色い髪でサイドテールの髪型をした小さい女の子が、声が聞こえた為に振り向くと落ちてくるサトシに気づいて駆け込んだ。

 

 

「僕はあの子を!」

 

「あたしはピカチュウ!」

 

 

 兄妹2人はそれぞれどちらを助けるのかを決めると、落ちてくるサトシ達を受け止めるべく全速力で走る。

 

 

「いっけぇぇぇぇっ!!」

 

 

 そしてサトシとピカチュウが地面に激突する直前、眼鏡をかけた男の子は自身が背負っているリュックを思いっきり投げると、なんとそこからエアバッグのようなものが勢い良く出てきて、サトシはそこに落ちた。

 

 

「ユリーカ、ぴかっとキャーッチッ!!わわっ!」

 

 

 そして小さい女の子は両手を大きく広げて、落ちてきたピカチュウを見事にキャッチするが、バランスを崩して同じくエアバッグのクッションへと倒れた。

 固い地面に落ちる覚悟をしていたサトシだが、直後に訪れたのは柔らかいマットのような感触で、ピカチュウも幼い人の手の温もりに包まれた事に混乱している。

 サトシは立ち上がりながら自分の状況を改めて見てみると、リュックから出た大きなエアバッグがクッションになってくれた事が分かり、そして相棒のピカチュウも、小さい女の子のおかげで助かった事を理解した。

 

 すると、サトシのもとに金髪の少年が駆け寄ってくる。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あ、あぁ…おかげで助かったぜ、ありがとう!」

 

 

 おそらく巨大エアバッグは、この眼鏡をかけた黄色い髪の少年が用意してくれたものなのだろう。

 彼が手を差し伸べるとサトシはその手を取り、お礼を言いながら立ち上がる。

 

 

「見て見て、お兄ちゃん!ピカチュウだよ!ピカチュウやっぱ可愛い!」

 

 

 すると隣に倒れてた女の子が、キャッチしたピカチュウを見ると目をキラキラさせて、兄と呼んだ男子に見せつつ、その愛くるしさ故に思いっ切り抱きしめる。

 しかし、いきなり抱きしめられたピカチュウはびっくりして、嫌そうな顔をすると両頬の赤い電気袋がバチバチとスパークをし出し、得意技の電撃「10まんボルト」を放った。

 

 

「ヂュウゥゥゥーーーーーーッ!!!」

 

あばばばばばばばばばばばばばばばばば!?!?

 

 

 発生した電気エネルギーによって、辺りが黄色く染まるほどに明るく照らされる。

 そして、ピカチュウを抱きしめていた幼い女の子は全身にその電撃を浴びてしまい、案の定シビレビレ*1になって倒れてしまった。

 

 

「シ、シビレ…ビレ……」

 

「ユリーカ!」

 

「大丈夫か!?」

 

 

 少女が倒れた事でピカチュウは急いで離れて、サトシの肩に乗って戻る。

 電撃でビリビリ状態になった彼女に、少女の兄とサトシは慌てて駆け寄り心配すが、当の本人は少し焦げた程度で特に怪我とかはしておらず、けろっとしていてすぐに体を起こして笑った。

 

 

「あはっ、あはははっ!大丈夫っ!!」

 

 

 まだ10歳にも満たない少女だが、「ユリーカ」と呼ばれた彼女はいきなり電撃を受けても特に気にする事は無く、寧ろ笑顔だった。

 とにかく怪我が無いのが分かり安心すると、少女の兄はピカチュウと、ピカチュウのトレーナーであるサトシに頭を下げて詫びる。

 

 

「すみません、うちの妹が…」

 

「いや、こっちこそ…」

 

「ほら、ユリーカもちゃんと謝って」

 

「だってピカチュウ可愛かったから、仲良くしたかっただけだもん!」

 

 

 同じく謝るように兄の少年は妹に促すが、ユリーカと言われた少女はピカチュウを抱き締めただけなのに悪い事をしたような言われ方に納得がいかず、頬を膨らまして不服そうに反論。

 近年、ピカチュウは万国共通で認知されてるほど有名なポケモンであり、このカロス地方でも大人気なポケモンだが、本来なら恥ずかしがり屋のくせに人に慣れにくく、下手に触ると放電してくる特徴を持つ。

 だからそれを知っている兄の少年は妹にきちんと分かるように、尚且つ怒らずに優しく説明する。

 

 

「…ピカチュウ、嫌がってただろう?本来、ピカチュウは知らない人に触られるのは嫌うんだ。それにピカチュウじゃなくても他のポケモンだっていきなり抱きつかれたら怖いだろうし、ポケモン好きのユリーカなら、ポケモンが嫌がる事はしたくないだろう?」

 

「………」

 

 

 眼鏡をかけた兄の言う言葉に、妹の少女は黙って聞いて理解したのか、膨れっ面から申し訳ない表情になり、ピカチュウと、そのトレーナーであるサトシに視線を向けて謝った。

 

 

「…ピカチュウ、ごめんなさい…。後、ピカチュウのトレーナーさんも…」

 

「本当にいいんだよ。ピカチュウも、ちょっとびっくりしたんだよな?」

 

「ピカピーカ」

 

「それよりこっちもお礼がまだだった。俺のピカチュウを助けてくれて、ありがとな」

 

「ピカピカ!」

 

「…えへへ、どういたしまして!」

 

 

 素直に謝ってくれた少女に、姿勢を低くして彼女に視線を合わせたサトシはフォローを入れつつ、改めてピカチュウを助けてくれた事にお礼を言う。

 ピカチュウも同じくいきなり電撃をかました事に謝った後、落ちた自身を受け止めてくれた事に感謝したので、明るくなった女の子は少し照れながら言った。

 こうしてピカチュウと無事仲直りし、少女も気を良くして笑顔になったが、それはそれとしてサトシには不満な事が1つあった。

 

 

「それはそうと、なんなんだこのジム!」

 

 

 それは他でもなく、ジム戦を挑戦しに来たのに、電撃と落とし穴で門前払いしたこのミアレジムについでだ。

 これまでも酷い運営のジムに行った事があり、「本気で戦える相手が一向に現れない」という理由でバッジを無償配布したり、「趣味のフライトをする時間を確保する為」に脳内イメージで勝敗を決めたりと、ジム監査官に知られたらジムリーダー資格を剥奪しかねない大問題なジムもあったが、まさか危害を加えられた上で追い出されたのは初めてだ。

 

 

「…追いだされたんですね……」

 

「せっかくきたのにどうなってるんだ、あそこのジムリーダーは…」

 

「そう…ですよね…」

 

 

 プリズムタワーを見上げながら不満気に言うサトシに、共に見上げていた眼鏡の少年は歯切れが悪いように答える。

 まるでそれが自分に向けられた言葉のように聞こえ、心がチクリと痛み気が沈んでいく兄をなんとかしようと、妹は庇うようにフォローする。

 

 

「えっとえっと…ミアレジムのジムリーダーは、なかなか手強い奴なのよね!ねぇねぇ、バッジの数とか聞かれなかった?」

 

「そうそう聞かれた。『まだ他に持ってない』って言ったら、いきなり電撃だよ」

 

「えっ!?まだ1つも持ってないの?」

 

 

 サトシの立ち振る舞いから、てっきり幾つか既にバッジを持っていると勘違いして、兄妹は彼がまだバッジを1つも持ってない事に少し驚く。

 

 

「ああ。他の地方のバッジならともかく、さっきカロス地方に着いたばかりでさ、このジムがカロスで一番最初だったんだ」

 

「そうだったんですか……あの〜、失礼ですが貴方は何方から?」

 

 

 眼鏡の少年の問いに、そういえばまだ名乗ってなかったと―――帽子の角度を整えたサトシは、兄妹に自己紹介する。

 

 

 

 

「カントー地方のマサラタウンから来たんだ。俺はサトシ!相棒のピカチュウと一緒に、『ポケモンマスター』を目指して修行中なんだ!」

 

「ピカピカチュ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポケモンセンターにて、手持ちのポケモン達をジョーイさんに預けて健康チェックさせてもらってる間、テルキはセンターのソファに座って荷物整理をしていた。

 そして整理を終えて大容量のリュックサックに荷物を全て仕舞うと、丁度良くポケモンの回復が終わったというアナウンスが鳴り響いたのでテルキはすぐに受付カウンターへと向かう。

 

 

「お待たせ致しました。ポケモン達の健康チェックは完了しましたので、お返し致します」

 

「プク!」

 

「ありがとうございます、ジョーイさん」

 

 

 受付には、ポケモンセンターで女医として常駐している「ジョーイ」と、彼女の側にアシスタントとして共に働いているふうせんポケモンの「プクリン」が待機しており、彼女等から自身のポケモン達がしまってあるモンスターボールを5つ受け取る。

 ジョーイさんとプクリンに礼を言うとテルキはポケモンセンターの外に出て、道行く人の邪魔にならない開けた場所へと移動すると、5つのモンスターボールから1体ずつポケモン達が姿を現す。

 

 

「イッブイ!」

 

「ウッキイィーーッ!!」

 

 

 最初に出てきた2体は、一見何の変哲もない普通の姿をしている「イーブイ」と、テルキにとって最初にして最強のパートナーである「ゴウカザル」

 

 

「ドダァイッ!!」

 

 

 3体目はたいりくポケモンの「ドダイトス」で、嘗て他のトレーナーの手によって捨てられたナエトルを保護して、自身のパートナーとして迎え入れて最終進化した。

 

 

「ダァーイッ!!」

 

 

 4体目はかんろくポケモンの「ダイケンキ」なのだが、深紺色の鎧と刀を装備したリージョンフォームという姿で、シンオウ地方の秘境の奥深くで捕まえたミジュマルが最終進化したらこのような姿になり、ナナカマド博士曰く「シンオウ地方がヒスイと呼ばれてた時代に生息していたダイケンキ」と言っていたので、嘗ての遺伝子が色濃く残した個体らしい。

 

 

「レントゥ!!」

 

 

 最後の5体は、がんこうポケモンの「レントラー」のメス個体で、テルキが新人トレーナーとして初めて野生でゲットしたコリンクが進化した、ゴウカザルに次ぐ古株のポケモンである。

 

 

「皆おかえり。買い物も済んだし、これからプラターヌ研究所に預けてるボーマンダを迎えに入ったら、そろそろミアレシティを出ようか」

 

「ブッブイ」

 

「ゴウカ」

 

「ドダッ」

 

「ダァイ」

 

「レウゥ」

 

 

 現在、プラターヌ博士の研究所に預けられている6体目を除いて、全員同時に返事をしたテルキのパートナー達。

 因みに他にもゲットしたポケモンは約数十体いるが、それらは皆フタバタウンの実家に預けており、そこで母親の畑や農園の仕事を手伝っている。

 あのスズラン大会以降、全くと言って良いほど帰ってないから、両親や兄弟、そしてポケモン達も心配していると思うが、やや負い目を感じてテルキはなかなか実家に帰る勇気がない。

 相棒達もそれを理解しており、主人のテルキを想って何も言わずただついて行くのみ。

 

 

「さぁ、行こうか」

 

 

 相棒達をモンスターボールに戻して、テルキは最後の1体を迎えに行くべくプラターヌ研究所へと向かって歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プリズムタワーから場所を変えて、近くの公園のバトルフィールド前辺りに移動したサトシ達3人は、そこで改めて自己紹介をする。

 

 

「ケロ…」

 

 

 この時、近くの木の影から1匹の小さなポケモンが彼等3人を――否、サトシの事をじーっと見つめていた。

 

 

「それでは、こちらも自己紹介を。僕はシトロン、こっちは妹のユリーカです」

 

「よろしく!」

 

「よろしくな!シトロン、ユリーカ」

 

「ピカピーカ」

 

 

 そんな事を露知らず、サトシとピカチュウが出会った黄色い髪の兄妹は自身の名前を言う。

 眼鏡をかけて空色のつなぎを着込み、メカニカルな大きなリュックを背負った少年は「シトロン」と言い、サイドテールにして黄色いポシェットを下げた幼い少女は「ユリーカ」と名乗った。

 

 

「ピカチュウとサトシは仲がいいんだね!こんなに仲良くなくちゃ、頭に乗るってできないもんね!」

 

「へへっ、俺達結構付き合い長いもんな」

 

「ピーカチュ!」

 

「ピカチュウはさ、オーキド博士から貰った、俺の最初のポケモンなんだ。それで今まで新しい地方に行く時は、ほぼ2人で挑戦してるんだ。今回は少し違う(・・・・・・・)けど、ここにも一緒に挑戦しにきたんだよ」

 

「ピッカ!」

 

 

 両腕の上を渡っているピカチュウと戯れてつつ、サトシはピカチュウとの関係や旅の事を話す。

 ジョウトでの旅を終えて、ホウエンへ行くと決めた時に「新たな気持ちで再スタート」という意味で、サトシは基本的にピカチュウだけを手持ちに残して新しい地へと旅する。

 しかし今回は、ピカチュウの他にもう1体ポケモン(・・・・・・・・)を連れて来ており、今までの旅とはまた一味違う感じになるだろう。

 

 

「シトロンとユリーカもジム巡りしてるの?」

 

 

 ユリーカの言葉にサトシは答えた後、逆にサトシが2人に何気なくそう質問してみると、シトロンとユリーカの表情が一瞬固まった。

 

 

「えっ、あ…僕たちは…」

 

「あ、あたしたちも、まだまだこれからなのよね!」

 

 

 シトロンが何と言おうか言葉に迷っていた所、ユリーカがフォローするように代わりに答える。

 どうやら彼等はジム巡りするのか、その他の目的で旅をするのか、まだ完全に定まっていないらしいとサトシは思った。

 

 

「そっか。それにしても兄妹2人旅かぁ…俺ひとりっ子で兄弟いないから、楽しそうだな」

 

 

 ポケモン達が一緒とはいえ、仲間との冒険の楽しさを知っているサトシとしては、兄妹で旅をしているシトロンとユリーカの2人が羨ましく見える。

 また彼等を見ていると、嘗てホウエンを旅した時に当時新人だった少女の「ハルカ」と、丁度ユリーカと近い歳の「マサト」という幼い少年の事を思い出し、あの頃が懐かしく感じた。

 

 

「でも、サトシもピカチュウといつも一緒!やっぱりポケモンと一緒だと、すっごく楽しそう!」

 

 

 彼が兄妹2人旅に羨ましく感じる一方で、ユリーカはピカチュウを連れ歩いてるサトシを、目を輝かせながら憧れの表情をする。

 時と場所によって若干異なるものの、基本的に「ポケモントレーナーになれるのは10歳から」というのが万国共通認識であり、まだ「ポケモン取扱い免許」を持てる年齢に達していないユリーカにとって、サトシとピカチュウの関係はとても羨ましかった。

 

 

「ユリーカは、まだポケモンを持てる年齢ではありませんから。ポケモンを連れて歩くのに憧れてるんですよ」

 

「それ、すっごい分かる!俺もユリーカと同じぐらいの時は、早くトレーナーになりたくて仕方なかったもんなぁ」

 

「だよね!サトシ分かってる!!」

 

 

 どちらもポケモンが大好きだからこそ、自身の心情に共感してくれた事に、ユリーカはピョンピョン跳ねながら嬉しそうに話す。

 こういった所は性格こそ全然違うものの、同じくポケモンが大好きなマサトにそっくりだと改めて思うサトシだが、ここでシトロンに1つ聞いてみたい事があったので口に出す。

 

 

「なぁ、シトロンはどんなポケモン持ってるんだ?」

 

「えっ?えっと…つい最近、ゲットしたのが1匹いますよ。まだ実戦には出してませんが…」

 

「それってさ、もしかしてカロス地方にしか住んでいないポケモンなのか!?」

 

「えぇ、そうですよ」

 

 

 シトロンはそう答えると、懐からモンスターボールを取り出してサトシに見せる。

 それはシトロンがミアレシティ近くで運良くゲットして、特訓こそしていたが、まだ実戦デビューしていないポケモンだった。

 

 

「ホントに!?見たい見たい!バトルやろうぜ!」

 

「ピッカァ!」

 

 

 それを見たサトシは目を輝かせると、シトロンに「ポケモンバトル」を申し込む。

 ピカチュウもバトルする気満々で、目の前のバトルフィールドのど真ん中へと駆け出していった。

 

 

「バトル…ですか?」

 

「あぁ!ジム戦出来なかったし、記念すべきカロス地方の最初のバトルだ!やろうぜシトロン!!」

 

 

 パンジーの妹のジムは違う街で挑戦出来ず、代わりに行ったミアレジムは門前払いされたりと、バトルする機会がとことん失われて若干欲求不満だったので、シトロンが良ければ是非ともバトルしたかった。

 そんなサトシからの申し出に、シトロンはバトルすべきか少々迷う。

 見たところサトシのピカチュウはレベルが高そうで、まだ実戦デビュー前のポケモンには荷が重いかと考えていたが、それに対してユリーカは前向きだった。

 

 

「お兄ちゃんやってみようよ、腕試し。その子も本格的なバトルに慣れさせた方が良いんじゃない?」

 

「…確かにそうだね。それじゃあ、やりましょう!」

 

 

 妹の後押しの言葉にようやくシトロンも決心して、サトシとシトロンはバトルフィールドに移動する。

 それぞれ両サイドに立ってバトル体勢に入ると、両者はお互いのポケモンを場に出した。

 

 

「よろしくお願いします!いけ、ホルビー!」

 

 

 シトロンがその手に持つモンスターボールを投げると、開いたボールから光が飛び出してその姿を形作り、中のポケモンが実体化した。

 

 

「ホッビ!」

 

 

 元気よく姿を現したのは、灰色と茶色の体色にピカチュウと同じ体格、小さな手足に比例して大きな耳を持った、あなほりポケモンの「ホルビー」だった。

 ホルビーもまた、カロス地方によく生息するポピュラーなポケモンだ。

 

 

「わぁ、やっぱり初めて見るポケモンだ!ピカチュウ、思いっきりいくぞ!」

 

「ピカピカ、ピカッチュ!」

 

 

 新しいポケモンに出会えて喜ぶサトシ。まだカロスのポケモン図鑑を持っていない為、どんな特徴を有しているのかは分からないが、たとえどんな相手だろうと最初のバトルはピカチュウで挑む。

 

 

「ホルビー、僕達にとってもこれが初陣。焦らず、リラックスしていきましょう!」

 

「ホビ!」

 

 

 対するシトロンも、ゲットしてまだ日の浅いホルビーの為に、初めての実戦でも緊張せず戦えるように声をかけてあげる。

 

 

「2人とも頑張ってー!」

 

 

 お互いに試合の準備が出来たところで、本来審判が立つ位置にユリーカが立ち、サトシとシトロン、そして両者のポケモン達をどちらも応援する。

 彼女のその一言が、バトル開始の合図となった。

 

 

「先手必勝だ!いくぞピカチュウ、『10まんボルト』!!!」

 

「ッカァッ!!ピッッカアァ…ヂュウウゥゥゥゥゥゥゥーーーー!!!!」

 

 

 早速サトシは指示を飛ばし、ピカチュウは約数mくらいのジャンプをしながら電気袋をバチバチさせると電気エネルギーを纏い、ホルビーに向けて高圧電流を放った。

 数多の強敵ポケモン達相手に、ずっと使って猛威を振るってきた得意の必殺技「10まんボルト」で、しかもサトシのピカチュウが放つものは他の個体のを凌駕する凄まじい威力だ。

 

 

「ホルビー、耳で砂を巻き上げて下さい!!」

 

「ホォッッビィッ!!!」

 

 

 まともに当たれば大きなダメージは必至な攻撃だが、シトロンは冷静にホルビーに指示を出す。

 ホルビーが勢い良く耳をフィールドに突き立て、巻き上げた砂が電撃に当たると、電気と砂が辺りに分散されて攻撃を無力化された。

 もちろんホルビーに電撃は当たらず、粉塵が晴れると全くの無傷の状態で立っている。

 

 

「なにっ!?」「ピカッ!?」

 

「どうです?タイプはノーマルですけど、このホルビーは特訓の成果で、既に(・・)でんきタイプ対策はバッチリなんです!」

 

「ホッビ!!」

 

「くっ…なかなか手強いな…!」

 

「ピーカ…!」

 

「今度はこっちからいきますよ!ホルビー、『あなをほる』です!!!」

 

「ビィィルルルルゥ!!!」

 

 

 予想外の防御手段にサトシとピカチュウが驚く中、今度はシトロンが指示を出して、ホルビーは耳を合わせてドリル回転を始めると地中に潜った。

 じめんタイプ技の1つである「あなをほる」で、一度地面の下に潜って身をひそめ、タイミングを見計らって地面から飛び出して相手を攻撃する技だ。

 

 

「走れピカチュウ!!相手に位置を悟らせるな!!!」

 

「ピカッ!!ピッピッピッピッピッ―――!!」

 

 

 でんきタイプにとって唯一の弱点でもあるじめんタイプの技に警戒して、ピカチュウはフィールド中を走り回る。

 

 だがそれも、シトロンは計算済みであった。

 

 

「(素早さで撹乱させようっという訳ですか……でも無駄ですよ…!)今です、ホルビー!!」

 

「ビルゥ!!!」

 

「ピカッ!?」

 

 

 ピカチュウの行動を先読みし、シトロンがタイミングを見計らって指示を出した次の瞬間ホルビーが地面から飛び出し、ピカチュウに強烈な一撃を与えた。

 効果抜群のじめんタイプ技が決まり、決して少なくないダメージを受けたピカチュウは吹っ飛ばされ、フィールドに叩き付けられる。

 

 

「大丈夫か、ピカチュウ!?」

 

「ピ、ピィカ…!」

 

「良し、その意気だ!!」

 

 

 作戦が失敗してサトシは心配するが、ピカチュウは痛手を受けながらも気合いで立ち上がり、まだまだ戦える事を強く主張。

 そんなピカチュウの意気込みを買ったサトシは、次の一手を指示した。

 

 

「ピカチュウ、『でんこうせっか』!!!」

 

「ピカッ!!ピッピッピッピッピッ――!!!」

 

 

 彼の言葉にピカチュウが白い光を纏うと瞬時にダッシュして、ホルビーに向かって目にも止まらぬ速さで突っ込んでいった。

 先制技の代表格「でんこうせっか」という技で、威力は低いものの先述した通り必ず先制して攻撃出来る事から、非常に利便性が高い。

 

 

「ピッカァ!!!」

 

「ホビィィッ!!?」

 

 

 正しく電光の如く突撃してきたピカチュウの一撃に、ホルビーは後方に吹っ飛ばされてしまうが、体を一回転させてどうにか受け身と取る事に成功。

 

 

「ホルビー、『おうふくビンタ』!!!」

 

「ホビッ!!!」

 

 

 すぐさまシトロンは次の技を指示し、ホルビーの耳にパワーが宿ると、その耳を左右に大きく振るってピカチュウを連続でビンタし始めた。

 「おうふくビンタ」は一度に複数回攻撃する技の1つで、1回分の威力こそ低いがそれを連続で繰り出す事で大ダメージを与える時も有る技だ。

 

 

「ホビッ!」「ヂュウゥ!?」

 

「ビルゥ!」「ピカッ!?」

 

「ホッビッ!」「チャアァッ!!?」

 

 

「あの耳…まるで手だ…!」

 

「凄いでしょう。これがホルビーの自慢の耳です!」

 

 

 サトシがホルビーの耳を「手」と表したのは正解であり、ホルビーは大きく地面を掘削する時に耳をシャベルのように使うため、手と同じくらい自由に操れる。

 しかも穴掘りで鍛えられた耳は、時に大木をへし折るパワーを発揮する事も可能なので、力強さと器用さを兼ね備えているのだ。

 

 

「ビィッ!!」

 

「ピカァッ!?!」

 

 

 最大5回分ヒットして、ピカチュウが大きく後退する。

 

 だが、ダメージを受けながらもどうにかピカチュウは持ち堪える事が出来、受け身を取って着地する。

 

 

「ピカチュウ、まだいけるよな?」

 

「ピィ…カァ!!」

 

「良し!『アイアンテール』だ、ピカチュウ!!!」

 

「ピッカ!!チュウゥアァァァ……!!」

 

 

 大ジャンプしたピカチュウは尻尾に力を籠めると、稲妻状の尻尾が白銀に輝いて硬化し、そして鋼の刃の如く鋭くなる。

 硬化した尻尾を相手に叩き付ける「アイアンテール」という技で、高い威力の他にも、稀に相手の防御力を下げる追加効果を持っている。

 

 

「嘘っ!?はがねタイプの技を覚えてるの!!?」

 

「くっ…耳で尻尾を受け止めて下さい!!」

 

「ボビッ!!」

 

 

 カロス地方でもなかなかお目にかかれない、はがね技を習得しているピカチュウに驚くシトロンとユリーカだが、シトロンはすぐに対処すべくホルビーに的確な指示を出す。

 

 

「ピッカァ!!!!」

 

 

 空中でピカチュウが回転を加える事で、高い威力を誇る鋼の尻尾が勢いよく振り下ろされ、容赦なくホルビーに襲いかかる。

 それをホルビーは動きをよく見て構えると、真剣白刃取りの要領で尻尾を受け止める事に成功した。

 

 

「良し、上手くいきました!」

 

「…でも捕まえたは良いけど、それ、ホルビーの耳はもう使えないぜ?」

 

「ボビッ!?」「なっ!?」「えっ!?」

 

 

 だが、バトルにおいて時に予想外の発想と、瞬時に機転を利かせる事に長けたサトシの一声で覆された。

 尻尾を耳でガードしたは良いものの、それは今まで猛威を振るったホルビーの耳を封じる結果となり、大きな隙が生まれた事が発覚。

 

 

「手強い耳が動かないなら、こっちのもんだ!ピカチュウ、『エレキボール』!!!」

 

「ピカピカピカピカ…チュピッ!!!!」

 

 

 対処しようにも時すでに遅く、サトシはすぐに指示を出すとピカチュウは尻尾にパワーを集中させて、電気エネルギーの球体を作り上げる。

 電気の塊を相手にぶつけ、相手よりも自身の素早さが高いほど威力の上がる技「エレキボール」が至近距離で炸裂し、耳で尻尾を掴んでいたホルビーは電気の塊の餌食になってしまった。

 

 

「ホルビー!?」

 

「ビィィィルウウウゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

 

 

 ピカチュウのレベルの高さと持ち前のスピードが見事に合って、ホルビーは仰け反るほどに吹っ飛ばされる。

 なんとか耳で地面を掴んで体勢を整える事に成功したが、まさかあの場面からこんな起死回生の一手を打つとは誰も思わなかった。

 

 

「凄い…お兄ちゃんサトシ達すっごい面白いよ!!!」

 

「…ああ、そうだね!(戦うと、もっと分かる…!)」

 

 

 あまりに自由な戦い方と発想力に、実際に相手をしているシトロンとホルビー達は勿論の事、観戦しているユリーカまでもワクワクさせられる。

 これが彼等の魅力なのだと――立場上様々なトレーナー達を見てきたシトロンだが、今までこんなトレーナーは初めてで、もっと知る為にサトシ達との勝負を続ける。

 

 

「ピカチュウ、『でんこうせっか』!!!」

 

「ピッカ!!!」

 

「来ますよ、ホルビー!!」

 

「ビィル!!」

 

 

 彼等のポケモンバトルは白熱した戦いが続き、ここから更に佳境に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、サトシが「でんこうせっか」を指示し、ピカチュウがホルビーに向かって猛ダッシュして突撃していったその時、バトルフィールドの外からキューブ状の物体が飛んできた。

 しかも飛んできたキューブは光りだすと、レーザーネットのようなものが展開されてピカチュウに覆い被さってろうとしてきた。

 

 

「ピカッ!?」

 

「なっ!?」

 

「あっ!?」

 

「えっ!?」

 

 

 突然の事に驚いたピカチュウは技を中断し、急ブレーキをかけたおかげでレーザーネットを寸前の所で避ける。

 あまりの出来事にバトルは中止となり、安心を確かめる為に一同はピカチュウに駆け寄った。

 

 

「ピカチュウ、大丈夫か!?」

 

「ピカチュ…!」

 

「誰だ!こんな事をするのは――!!」

 

 

 ピカチュウが大丈夫なのを確認したサトシは、キューブが飛んできた方向へ向いて怒りを露わにする。

 そこには、キューブを投げつけたであろう2人の男女が立っていた。

 

 

「危ないですよ!!」

 

「ていうか誰なの!?」

 

 

 ユリーカが誰なのかと言った事で、彼等は最早恒例とも言える口上で名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだかんだと聞かれたら!」

 

「答えてあげるが世の情け…」

 

「世界の破壊を防ぐため!」

 

「世界の平和を守るため!」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな(かたき)役!」

 

ムサシ!

コジロウ!

 

「銀河を駆ける、『ロケット団』の二人には」

 

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ」

 

「ニャ〜んてニャ!」

 

「ソォォーーナンスッ!」

 

「マーネッネ♪」

 

 

 

 悪の組織「ロケット団」の3人組が、遂に彼等の前に姿を現した。

 

 

 

《TO BE CONTINUED》

 

 ここまでの冒険を、ポケモンレポートにしっかり書き残した!▼

 

*1
グレッグルの「どくづき」のイメージが強いけど、一応電撃でも使われてる表現です




●テルキの手持ちポケモン
1.イーブイ(♀)
特性:てきおうりょく
 普通のサイズ、見た目は色違いという訳でもない普通のイーブイ。

2.ゴウカザル(♂)
高さ:1.44m(頭の炎は除く)背筋を伸ばすと1.75m
 テルキの最初のポケモンで、同時に最強のパートナーでもある。通常の最大サイズ個体だが、これは背筋と膝を曲げた状態の数値で、伸ばすと身長が1.75mほどになる。因みに鳴き声というかCVが野沢雅子ボイス。

3.ドダイトス(♂)
特性:シェルアーマー
 元々は別のトレーナーが所持していたポケモンだが、ポケモンバトルで負けが続いたが故に見限られて捨てられたナエトルをテルキが保護し、手持ちとして迎え入れて成長した。

4.ヒスイダイケンキ(♂)
特性:きれあじ
 シンオウ地方の秘境の奥深くで、現代まで生き残っていたミジュマルがヒスイの姿に最終進化した。また、鳴き声というかCVが宮野真守ボイス。

5.レントラー(♀)
特性:こんじょう
 テルキが新人トレーナーとして旅を始めた当初、野生で初めてゲットしたコリンクが進化したポケモン。

6.ボーマンダ(まだ名前のみ)


 因みに手持ちがこのメンバーなのは、ほとんどが単純に作者のお気に入りのポケモンだからという理由です。



●ヒスイの姿のポケモンについて

 アニメや劇場版で度々御三家や化石ポケモンが野生として出現する時が有るので、今作では化石ポケモンも含めて過去の時代の姿をしたポケモンも、秘境と呼べる奥深くで今も生き続けている設定にしてます。
 ただし、本来現代では姿を消したポケモンでもあるので、遭遇率は伝説のポケモンほどではないにしても、かなりのレア枠レベル。



サトシ達のバトル描写、なるべくちゃんと描くべき?(オリ主のバトルは描写します)

  • アニメと同じ部分はダイジェストでも良い
  • アニメと同じでもなるべく描いてほしい
  • 作者におまかせ
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