アニポケXY サトシのリザードン続投&タクトに勝ちたいゴウカザル使い   作:ゴジロット

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 最近、風都探偵の復習の為に仮面ライダーダブルを見返してたところに「ゴジラ−0.0」の予告が飛んできたんですが、ヤベェ………あの戦いからたった2年であんな事になるなんて………いやホントどうやって対処するんだよ……。
 東宝って何時もそうですよね!?取り敢えずゴジラをデカくして更に絶望的状況にさせるとか、人の心とかないんか…?

 …さて、今までは基本サトシ寄りの視点で描いておりましたが、今回からはテルキ寄りの視点で描く予定です。
 また前回でも言った通り、回想でテルキとあの選手との戦いも簡潔に描いており、少しだけあの選手のポケモンの強さを誇張してはいますが、まぁそのへんは寧ろこれくらい強くて当然な感じかな〜って思うでしょうか。




 あっ、それとあまり関係ない事ですけど今回のお話しの最後へんに、ほんの少〜しだけサトセレ要素が含まれております(重要)



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【第7話】俺はタクトに勝ちたい! 旅立ちの朝【NEW】

 

 ロケット団の手により、暴走したガブリアスの事件は無事幕を閉じた。

 あの後、アナウンサーにして四天王のパキラから幾つかインタビューを受けた後、サトシ、テルキ、シトロン、ユリーカ達はプラターヌ博士と共に研究所へと戻ってきた。

 ガブリアスは一度ポケモンセンターに預けて治療する事になり、プラターヌ博士も後日警察署でジュンサー達から詳しい話をする予定だ。

 そしてテルキ達はプラターヌ博士の計らいで、ガブリアスを助けてくれた御礼に研究所で一夜泊まる事になった。

 其処でテルキは提供してくれた部屋で寝ていたのだが、時刻は既に日付を超えた時間帯を過ぎているというのに、他の部屋で先に眠った皆とは裏腹に彼はなかなか寝付けなかった。

 

 

「……眠れない」

 

 

 訳あってまたカロス地方に来たが、昨日1日に様々な事が起きた。

 成り行きでロケット団という悪党から助けた3人のうち1人が、まさかあのスズラン大会で実質準優勝したサトシだったなんて思わなかったし、怪我を負ったケロマツを助ける為に研究所まで案内したり、ロケット団のせいで暴走したガブリアスをサトシと一緒に助けたり、そのサトシがピカチュウを助ける為にプリズムタワーのてっぺんから飛び降りたりと、今日の出来事が思い出す。

 

 

「ポケモンの為にあそこまで出来るなんて、思ってもみなかった……」

 

 

 特にあの時のサトシの行動力が、ずっと頭の中をぐるぐる駆け巡る。

 テルキ自身も今までの旅先で無茶をした経験もあるにはあるが、それは自身のポケモン達や頼れる存在が居たからであって、自分だけではあそこまで出来る気がしない。

 

 

「あれがサトシさんの凄さ………」

 

 

 今回出会ってばっかりで少しだけしか接触してないが、テルキはサトシの凄さを分かった気がした。

 ポケモンの為にあそこまで一生懸命になるから、彼のポケモン達もまたそれに応えたいとして、限界を突破して強くなる……だからこそ、シンオウリーグのような凄まじい力を発揮するんだと。

 

 

「……俺とは、えらい違いだ」

 

 

 どうりで伝説のポケモン相手にも立ち向かえるんだと理解出来たと同時に、テルキはサトシとの違いの差を思い知る。

 そんな事を考えてたから余計に寝付けず、少し外に出て夜風に当たって来ようと―――深夜故に隣の部屋で寝ているシトロンとユリーカに気付かれないように、テルキは研究所の玄関から外に出た。

 

 玄関から外へ出ると今回の騒動があったにも関わらず、ミアレの夜の街中は割と静かだ。

 無論彼方此方には建物の明かりであまり暗くなく、また夜空には綺麗な月が輝いていたが、其処には先客が居た。

 

 

「あれっ、サトシさん…?」

 

「……ん?あっ、テルキ」

 

 

 テルキの視線の先には、そのシンオウリーグスズラン大会にてシンジと激しい激突を繰り広げ、そして伝説のポケモン使いのタクトに最も善戦した、戦績ベスト4にして実質準優勝のサトシ本人が居た。

 今の彼の側にはピカチュウやリザードンは居らず、テルキと同じ1人なのだろう。

 サトシの声に反応したテルキは振り向くと、お互い視線が合って対面する。

 

 

「俺に『さん』なんて付けなくて良いよ。俺もテルキって呼んでるんだから、気軽に話してくれて構わないって」

 

「そ、そう?……いやでも年下とはいえ、あの激戦を極めたスズラン大会で、実質準優勝の貴方を呼び捨てにってのもなぁ〜……」

 

「アレは俺が凄いんじゃない。旅の中で一緒に強くなった俺のポケモン達が、最後まで全力で頑張ってくれたからこそなんだ」

 

「ダークライを倒したジュカインや、ラティオスを相討ちに追い込んだピカチュウを育てた時点で、使役する側のトレーナーも凄いって事でもあるんだけど……う〜ん分かった。じゃあサトシって呼ぶよ。サトシも俺の事は全然気軽に話して良いからさ」

 

「ああ!」

 

 

 テルキは自称サトシのファン故にさん付けで呼んだ方が良いかなと一瞬思ったが、それは本人が否定して気軽に話して良いと言った。

 それに対して、スズラン大会で実質準優勝をしているサトシに失礼な気がしつつも、本人の願いを聞き入れてテルキは砕けた口調で話す事にした。

 サトシはテルキと並んで、ミアレの夜空に輝く月を眺めながら会話をする。

 

 

「それでサトシs……サトシは、どうしたんだ?」

 

「……昨日カロス地方に来て色んな事が有ったから、なんだか眠れなくって……ちょっと外の空気に吸いに」

 

 

 どうやらサトシもまた、昨日の出来事が頭に焼き付いて眠れないようだった。

 ジムに行ったら追い出されたり、シトロンとユリーカに出会ったり、ケロマツとテルキに助けられたり、プラターヌ博士からメガシンカの事を聞いたり、そしてプリズムタワーから落ちたピカチュウを助けようと自ら飛び落ちたりと波乱万丈の1日だった故に、寝ようとしても内なる心の高鳴りや、またこれから始まる新たな冒険にドキドキが止まらないらしい。

 

 

「テルキこそ、こんな時間にどうたんだ?」

 

「……俺もなかなか眠れなくってさ。色々と……思い出してたんだ」

 

「確かに、昨日は色々と凄かったよな!」

 

「……いや、それもあるけど俺が思い出してたのは、もっと昔の事なんだ」

 

「昔の事?」

 

「ああ。俺も…サトシと同じ歳くらいの頃、ナナカマド博士からヒコザルを貰って旅に出たんだ」

 

「そっか。テルキはシンオウ地方出身だから、最初に博士から貰えるポケモンは、ナエトル、ヒコザル、ポッチャマのどれかなんだよな」

 

「そう。んで、当時はバカで新人だった為にほとんど何も分からなかったし、負けや失敗を何度も繰り返してさ、最初に出たシンオウリーグじゃベスト8で終わったんだ」

 

 

 何気ない話から始まった会話の中で、テルキは自然と自身がまだ新人トレーナーだった頃の話をしだした。

 何故サトシに話そうとしたのか自分でも分からないが、嘗て10歳を迎えてポケモン取り扱い免許を手に入れ、ナナカマド博士からヒコザルを貰って旅立った当時のテルキは、タイプ相性等の基礎的な知識すらあまり無く、失敗も多かったし、最初のリーグへの挑戦はあまり良くなかった。

 

 

「それでも続けて旅をして……カントー、ジョウト、ホウエン、イッシュ、それと此処カロスにも訪れたり、他にもアローラやガラル、パルデアとか、色々な地方を行ったよ。そうやって俺は少しずつ……少しずつ沢山の事を学んで、そして強くなっていったんだ」

 

「へぇ~。じゃあテルキは一度、カロス地方を旅した事が有るんだ。それにアローラ、ガラル、パルデア地方かぁ〜……まだまだ俺の知らない地方にも旅したんだな。いつか俺も行ってみたいぜ!」

 

 

 それでも尚諦めず旅を続けて、様々な地方を旅してきたテルキにサトシは共感を抱く。

 彼もまた最初はポケモンに対する知識はあまり良くなく、行く先々で出会った仲間達に支えられながら沢山の事を学び、実力を磨いてきたからだ。

 その上、まだサトシが行ってない地方にもテルキは経験している事に、いつの日かその地方にも行きたいとも思った。

 

 

「……それで色んな事を経験して、新人だった時よりも強くなったかなと思った俺は、前回のシンオウリーグのリベンジをしようと挑んだんだ。けど……」

 

「?けど……何だ?」

 

 

 途中から言葉を詰まらせ、何処か悔しげな、そして暗そうな表情をしながら、痛くなるレベルで拳を固く握り締めるテルキ。

 何か有ったのかサトシは聞くと、それはあのスズラン大会に出た者なら分かる事だった。

 

 

 

 

 

「俺はあの日……シンオウリーグスズラン大会の第3回戦で、あのダークライ使いのタクト選手にボロ負けしたんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンオウリーグスズラン大会

 

 この時サトシはコウヘイとの試合をしてた裏で、テルキはダークライを使う恐ろしく強い謎のトレーナー「タクト」とのバトルをしていた。

 フィールドに立ったテルキは闘争心を燃やし、緊迫した表情で対戦相手のタクトと対峙する。

 

 

『さぁシンオウリーグスズラン大会の第3回戦、タクト選手とテルキ選手は、最初にどんなポケモンを出すのかーー!!!』

 

 

「いくぞダイケンキ、バトルゥゥ…ゴォォーーッ!!!!」

 

「ダアアァァァイィッ!!!」

 

「フッ……いけ、ダークライ!!」

 

「……フン!」

 

 

 お互いボールを投げて、それぞれ最初のポケモンをバトルフィールドに出した。

 事前に得た情報通りタクト選手はダークライを出し、テルキは散々悩んだが「ゆめくい」を警戒して、あくタイプのヒスイダイケンキを初手に出した。

 

 

「先行はテルキ選手。それでは、バトル開始!」

 

「ダイケンキ、『つるぎのまい』!!!」

 

「ダイッ!!!」

 

「ダークライ、『ダークホール』!!」

 

 

 審判が試合開始を合図した途端、ヒスイダイケンキの攻撃力を跳ね上げた直後、ダークライはいきなり暗黒球「ダークホール」を撃ってきた。

 想定よりも早く眠らせる技を使ってきたので折角攻撃力を上げたのに眠らされてしまったが、ここまではテルキの計算通りで、エスパー技が通用しない以上は「ゆめくい」を恐れる心配はなかった。

 だからなんとか眠りから覚めるまで耐えて、目覚めたら特性「きれあじ」と合わせた「シザークロス」で一気に倒す計算だった。

 

 

「ダークライ、『あくのはどう』!!」

 

「……フンッ!!」

 

 

 しかしタクト選手のダークライは、テルキの想定を遥かに上回る強さだった。

 放たれた暗黒の波動は一直線に眠るヒスイダイケンキに直撃し、フィールドの外の壁まで叩き付けて戦闘不能にさせた。

 

 

「ダイケンキ戦闘不能、ダークライの勝ち!」

 

『タクト選手のダークライ強い!!!なんとたった一発の技でダイケンキを倒したーーー!!!!』

 

「そんな……効果いまひとつなのに、一撃で…!?」

 

 

 当たり所が悪かったのかと――そう思いたいくらいに作戦がいきなり総崩れした事、そしてダークライの想像以上の強さに戸惑うテルキ。

 後にこれは特性「ナイトメア」の影響で体力を削られていたと分析したが、試合が続いてる為に考える時間なんて待ってはくれず、すぐにテルキは2体目のポケモンを出す。

 

 

「頼むぞボーマンダ、バトルゥゥ…ゴォォーーッ!!!!」

 

「ボオオオオォォォォォォーーーッ!!!」

 

「ボーマンダ、メガシンカ!!!!」

 

「ボオオオォォォォォォォダアアアァァァァァァァァーーー!!!!」

 

 

 出し惜しみは負けを意味すると察し、次に出したボーマンダを最初からメガシンカさせて、ボーマンダが輝く光に包まれる。

 光が弾けて、中からメガシンカしたメガボーマンダが姿を現した。

 

 

『なんとここでテルキ選手のボーマンダが、メガシンカしたーー!!!!凄まじい迫力です!!!!』

 

「最初から全力全開でやるぞ!!ボーマンダ、『りゅうせいぐん』!!!」

 

「ボオオオォォォォダアアアァァァァァァーーー!!!!」

 

「ダークライ、躱して『れいとうビーム』!!」

 

「…!!」

 

 

 変化技による能力上げは止めて、ドラゴンタイプの大技「りゅうせいぐん」を最初に出して大ダメージを狙うが、降り注ぐ隕石群をダークライはその身軽さで全て回避し、逆にその隙を突いて「れいとうビーム」を発射した。

 こおりタイプの技はドラゴンタイプとひこうタイプに効果抜群――その2つのタイプを持つメガボーマンダは4倍ダメージとなり、これまたたった一撃で瀕死レベルまで体力を削られた。

 

 

「ボ…ボォォ………!」

 

 

 それでも、酷く辛そうな表情をしながらも気合いで耐えたメガボーマンダは、4つの足が震わせて立ち上がる。

 限界ギリギリなのは承知だが、一か八かの賭けに出て大技を繰り出す事にする。

 

 

「頑張ってくれボーマンダ!!『ギガインパクト』だ!!!」

 

「ボォ……ボォウ……ボオオオォォォォダアアアァァァァァァーーー!!!!」

 

「ダークライ、もう一度『れいとうビーム』!!」

 

「……フン!!」

 

 

 エネルギーを纏いつつ凄まじい勢いで突撃するメガボーマンダに、また放った冷凍光線で迎え撃つダークライ。

 汎ゆるものを凍らせる光線は直撃したが、尚もメガボーマンダの勢いは止まらず、ビームを浴びながらもダークライに技が命中した。

 お陰でダークライに少なくないダメージを与える事に成功したが、同時にメガボーマンダは倒れて通常のボーマンダへと戻ってしまう。

 

 

「ボーマンダ戦闘不能、ダークライの勝ち!」

 

 

 メガボーマンダの捨て身の攻撃は、自分すらも戦闘不能にさせるほど大きかったが、奮闘してくれた事でダークライの動きも鈍くなっていた。

 ならば先に倒れた2体の為にも、最後まで諦めずテルキは最後の切り札を出す。

 

 

「後は……お前が最後の切り札だ!出てこいゴウカザル、バトルゥゥ…ゴォォーーッ!!!!」

 

「ゴウカァァァァァーーーーーー!!!!」

 

「ゴウカザル、『インファイト』!!!!」

 

「ガアアアァァァァァァーーーー!!!!」

 

「ダークライ、『あくのはどう』!!」

 

「……!!」

 

 

 吠えるゴウカザルは得意の必殺技「インファイト」で瞬時に攻撃を開始する。

 ダークライは暗黒の波動でゴウカザルを攻撃するが、ゴウカザルは耐え切って逆にダークライの懐に拳を打ち込んでいく。

 数十発以上の拳を叩き込んで、効果抜群の攻撃でどんどんダークライ体力を削り取っていき、勢いが付いて更に拳を打ち込むゴウカザル。

 だが、そんな甘い考えは通用しなかった。

 

 

「ダークライ、『ダークホール』!!」

 

「……フン!」

 

「ガアァッ…!!!?」

 

「ゴウカザル!!?」

 

 

 相手を問答無用で眠らせる暗黒球が再び飛んできて、攻めに集中していたゴウカザルは反応するのが遅れてしまい、当たった瞬間にゴウカザルはその場で眠らされてしまった。

 

 

『これまで幾多の選手達のポケモンを、無類の強さで倒してきたタクト選手のダークライ!!テルキ選手は最後の1体にゴウカザルを繰り出すが、またしてもダークライの技で眠らされてしまったああぁぁぁーー!!!!』

 

「頼むゴウカザル!!!起きてくれぇーー!!!!」

 

「ウ……ギィ……ガ………」

 

 

 負けたくない一心でテルキはゴウカザルに呼び掛けるが、ダークライの特性「ナイトメア」の効果により悪夢を見させられ、眠りながら苦しまれ体力が徐々に失っていく。

 そして……テルキが一番警戒していた凶悪のコンボが、理不尽にゴウカザルを襲った。

 

 

「ダークライ、『ゆめくい』!!」

 

「……!!」

 

 

 超能力で眠っている相手の夢を食って攻撃する「ゆめくい」が発動して、悪夢に苦しんでいるゴウカザルに容赦なく襲った。

 

 

「ガアアアアアアァァァァァァァーーーーー!?!?」

 

「ゴウカザルーー!!!!」

 

 

 

 こうしてテルキの視界が真っ暗になり、シンオウリーグのリベンジは絶対的な強者が使役する幻のポケモン1体によって断たれ、トレーナーとしての闘争心をへし折られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ以来、俺は心が折れてな………大会以降は気分転換にフィオレ地方やアルミア地方、そしてオブリビア地方を回ってたりと、公式戦のバトルから離れてたんだ」

 

「…………」

 

 

 テルキの話を聞いて、彼の気持ちを何となく理解出来たサトシは、同じく黙ってしまう。

 確かにスズラン大会で戦った謎のトレーナーのタクトは本当に強く、彼のダークライには非常に苦戦を強いられた。

 あの時、運よくジュカインが目を覚まして「リーフブレード」で倒す事に成功したが、その次に出たラティオスに倒され、最後はピカチュウが奮戦して相討ちで試合が終わった。

 正直言ってあの負けはサトシも内心かなり堪えたので、シンオウでの旅から帰って来た時はすぐに次の地方への旅に向かわず、旅行でイッシュ地方に行くまではしばらくマサラタウンで休んでいたほどだった。

 だからこそテルキが味わったその挫折を、サトシは痛いほど理解してしまう。

 

 

「……じゃあ、どうしてまたカロス地方に?」

 

「プラターヌ博士が、俺のボーマンダのメガシンカを見せてほしいと頼まれてな。特に行く宛もなかったし、オブリビアだと買える物資が限られるから、色々と調達する為にカロスに来たんだ」

 

「……テルキはさ、この後どうするんだ?」

 

「そうだな〜……今はコレといった目的も予定も無いし、このまま理由も無くカロス地方をのんびり放浪しよっかな…」

 

「だったら、俺と一緒に旅をしないか?」

 

「……えっ?」

 

 

 今後の予定が無いと知ったサトシは、なんと突然テルキを旅に誘ってきた。

 それは他でもなく、今期カロスリーグ挑戦の為のジム巡りに、彼も同行してほしいとの事である。

 一瞬なんて言われたか分からなかったテルキは数秒ほど思考が止まり、頭の中が再起動してようやく理解すると驚愕してしまった。

 

 

「え、えぇっ!!?それってつまり、サトシのジム巡りに同行するって事!?俺なんか一緒に居ても迷惑なんじゃ…」

 

 

 今まで自分は1人だった故に誰かと同行した旅は経験した事が無く、サトシのジム巡りの旅に同行なんてただ邪魔なだけで迷惑を掛けてしまうと、テルキはやや恐縮してしまう。

 だがサトシは頭を横に振って否定すると、更に続けて己の思いを語る。

 

 

「そんな事無いって。だって俺…まだカロス地方に来たばかりでさ、右も左も分からないんだ。だから道とか知ってると助かるし、メガシンカしたボーマンダや、他にもテルキのポケモン達とバトルしてみたいしな!それに……」

 

「そ、それに……?」

 

「それにさ……テルキだって、負けたまま終わるなんてイヤだろ?本当は悔しくて、どうしてもタクトさんに勝ちたいんだろ?心の底からさ」

 

「――!」

 

 

 経験者が存在すると非常にありがたいし、メガシンカポケモンとも戦いたいのは紛れもない本音だが、それ以外にもサトシはテルキの心の奥を見抜いていた。

 彼の中には――奥底でまだ炎が燃えている事、挑戦を諦め切れない不屈の闘志が消えてない事を。

 澄んだ瞳をしたサトシにストレートに言われたテルキは、豆鉄砲を食らったような表情をしてハッとなる。

 すると、このサトシとテルキの会話を聞いていたのか、テルキの懐に閉まっていた1つのモンスターボールから、相棒のゴウカザルが自ら外に出てきた。

 

 

「ゴウカ!」

 

「っ!ゴウカザル……」

 

「ゴウカ!ウキャウ、ガアァ!」

 

「ほら!テルキのゴウカザルも本当は凄く悔しくて、どうしても勝ちたいって言ってるぜ!タクトさんのダークライ達にさ。テルキもそうなんだろ?」

 

 

 相棒であるゴウカザルの必死な思いに、サトシが代弁してテルキに伝える。

 悔しいのは何もテルキだけでなく、共に戦った手持ちポケモン達も同じであり、同じくタクトに挑んだサトシだって同じだ。

 だからこそ勝ちたいと願い、いずれその夢が本当に叶うと信じて努力を積み重ね、今度こそ勝利したいと誓う。

 そんなサトシの言葉をキッカケに、テルキは心の中に閉まっていた――けれども漏れていた本当の気持ちを、ここでぶち撒ける。

 

 

「……悔しい。悔しいに決まってるだろ!あんな…あんな理不尽な強さに、何にも出来ないまま負けて悔しいよ!!本当は勝ちたい。あのダークライ使いのタクトに、めちゃくちゃ勝ちたい!!」

 

「だろ!何なら俺と一緒にジムバッジ集めて、カロスリーグ目指そうぜ!もしかしたらタクトさんもリーグに出場するかもしれないし、そうなったら今度こそリベンジだ!」

 

 

 テルキの本当の気持ちを知って、それならサトシは共にカロスリーグに出る為にジムバッジを集めようと本気で誘う。

 あのダークライ使いのタクトが今度のカロスリーグに出るとは確定してないが、それでもシンオウリーグ同様に出場する可能性は十分に有る。

 もしそれが分かったらリベンジしたい、今度こそ勝利したいと、内に秘めた本音を曝け出したテルキはその感情が溢れるが、それでも相手は非常に強いトレーナーなのは変わらず、勝算は限りなく低いと若干ネガティブに考えてしまう。

 

 

「…でも、勝てるかな…?ダークライやラティオスを使っている時点で、あの人は手持ち全てが伝説のポケモンの可能性がある…!そんなの相手に、俺はあれ以来は全く公式戦はしてなかったのに、今更もう一度挑戦するなんて…」

 

「勝てるさ!ポケモン達と一緒に最後まで諦めなきゃ、きっと勝てる!それで最後は決勝戦で………俺とテルキが思いっ切りバトルするんだ!

 

「俺とバトルを!?」

 

 

 応援しつつ、突然とんでもない事を言い出したサトシの未来図にテルキは驚愕したが、その夢のような光景を頭に思い浮かべる。

 近い未来、今期カロスリーグでタクトに勝った上で、サトシと最高のポケモンバトルを行う―――1人のポケモントレーナーであり、サトシのファンであるテルキからしたら正しく最高の瞬間だろうが、現時点ではそんなの都合の良すぎる夢物語でしかなく、高望みに感じてしまう。

 それでも実現してみたい、最高の舞台で彼と本気と本気を出したポケモンバトルをしてみたいと、あの日から枯れた勝負欲がどんどん溢れて内心ワクワクが止まらなかった。

 もうそのイメージが見えていたテルキは、推しにここまで言われて無下に断る事なんて出来ないし、テルキ自身もまた、サトシの旅に同行したいという気持ちが芽生えており、最早悩む必要はないと、少しの沈黙の後に自身の答えを出した。

 

 

「……よし、決めた!俺も次のカロスリーグに出場する!改めてバッジ8個集めて、出場して今度こそタクト選手に勝ってみせる!!だから………サトシ、俺で良ければ、サトシの旅についていっても良いかな?」

 

「もちろんだよ!じゃあこれから宜しくな、テルキ!ゴウカザル!旅の仲間として……ライバルとして!」

 

「!……ああ!」

 

「ゴウカ!」

 

 

 夜空に浮かぶ月光を背に、これから長くなるであろうカロスの旅を共にする事にした2人は、お互い握手を交わす。

 テルキはタクトに勝ってスズラン大会のリベンジを果たす為に、サトシは最終目標のポケモンマスターになる為に、こうして2人の旅は此処から始まるのだった。

 

 

(まさかサトシと旅をするなんて……カロス地方に来て本当に良かったーー!)

 

 

 尚この時、目の前の推しを困らせない為に平常心を保っているが、サトシの旅に同行する事実が現実味を帯びてテルキは内心は割とテンションが上がっており、とても胸を膨らませていたのはは内緒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌朝、改めて起床したテルキと、そしてサトシとピカチュウとリザードン他に、シトロンとユリーカが研究所の前でプラターヌ博士と話していた。

 

 

「皆眠れたかな?こんな有様で…」

 

 

 先日の事件で壊れた研究所を見ながら苦笑いするプラターヌ博士だが、そんな博士の心配は無用だと返すテルキとサトシ達。

 

 

「はい。寝る分には問題なかったですよ」

 

「もうすっかり元気になりました」

 

「ピーカ」

 

「グオオ」

 

「全然ぐっすりだったもんね」

 

「お世話になりました」

 

「それは良かった。……にしてもサトシ君、本当に良かったのかい?大切なメガストーンを僕に預けて」

 

「はい。今のままじゃリザードンはメガシンカ出来ないし、もしいずれ出来るようになったとしても、色々ちゃんと分かった上での方が良いと思いましたから」

 

「…そうか、分かった。それなら君が持っていたメガストーンは、此方で責任持って預かっておくよ。今度来た時にはきちんと返すからね」

 

 

 外に出る前に、サトシはジークから貰ったメガストーンを、プラターヌ博士に預けてもらう事にした。

 理由は現時点でサトシがキーストーンを持ってないからリザードンをメガシンカ出来ない事、もし仮に今後キーストーンを手に入れたとしても、どんな事が起こるのか事前に調べておいた方が良いとの判断である。

 またこの時リザードンも一緒に預けるか迷ったのだが、先日のガブリアス事件で荒れた研究所の修理をしないといけないので博士達に負担を掛けられないし、博士も事前にスキャナーで得たデータで大丈夫だと言っていたので、リザードンはこのまま連れて行く事になった。

 

 

「時にサトシ君、君はカロス地方のポケモン図鑑は持っているかな?」

 

「いえ、まだ持ってないです」

 

「それじゃあ、冒険の供として役立ててくれ」

 

 

 そう言いプラターヌ博士は、カロス地方のポケモン図鑑をサトシに渡した。

 薄い板状の形状をした端末で、上下の赤い部分がスライドすると中の半透明の部分にポケモンのデータが表示されるという、かなり最先端技術の詰まった図鑑だ。

 

 

「ありがとうございます。それじゃあ行くぞピカチュウ、リザードン!」

 

「ピカチュウー!」

 

「グオォウン!」

 

「プラターヌ博士!これからも研究頑張って下S「ケロッ!」わぁ!?」

 

 

 貰ったポケモン図鑑を仕舞い、いよいよカロスでの冒険の出発に駆け出そうとしたサトシ。

 しかし、そんなサトシを引き止める様に、いきなり顔にケロムースが飛んで来て当たった。

 ケロムースを取って飛んで来た方向を見ると、なんと研究所の門の前にケロマツが待っていた。

 

 

「ケロマツ!」

 

「……ケロ」

 

「えっ…?」

 

 いきなり現れたケロマツにサトシ達は近づくと、ケロマツは自身のモンスターボールをサトシに差し出してきた。

 その行動に呆気にとられるサトシだが、ケロマツの行動から何となくプラターヌ博士は察していた。

 

 

「なるほど……どうやらケロマツは、君と一緒に行きたいんじゃないかな?」

 

「ケロマツの方からトレーナーを選ぶなんて…!」

 

「気に入られたんだね、サトシ!」

 

「昨日の事件でも言う事を聞いてたし、きっとサトシこそが自分のトレーナーに相応しいって思ってるんだよ」

 

「そうなのかな…?ケロマツ、俺達と一緒に行くか?」

 

 

 シトロン、ユリーカ、テルキの3人が驚く中、ケロマツのモンスターボールを手に取るサトシ。

 それでもポケモンの意思を尊重して最優先するサトシは、先にケロマツの意思を確かめる。

 

 

「…ケロッ!」

 

「あっ!」

 

 

 すると、迷う事無くジャンプするとモンスターボールのボタンを押し、ボールの戻るケロマツ。

 まるで嘗てリザードンが進化前のヒトカゲだった頃、サトシの仲間になる時にも似た所があり、モンスターボールに吸い込まれる様子をピカチュウとリザードンは晴れた表情で見ていた。

 

 

「これからもよろしくな、ケロマツ!」

 

 

 ある意味運命的な出会いを得て、自らサトシのポケモンとなったケロマツ。

 サトシの言葉に同意するように、ケロマツのモンスターボールが揺れる。

 

 

「ピカチュウ、リザードン、カロス地方での最初の仲間だ!皆で勝ち抜いていこうな!」

 

「ピカー!」

 

「グオオオ!」

 

「ケロマツ…ゲットだぜ!!」

 

「ピッピカチュー!!」「グオオオォォォーーー!!」

 

 

 こうしてカロス地方の最初の仲間、ケロマツをゲットしたサトシ。

 新たな仲間と共に、これから一体どんな冒険が待っているのだろうか。

 いよいよサトシとピカチュウとリザードンの、カロス地方で新たな挑戦にスタートを切ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして一方その頃、同時刻アサメタウンでは……、

 

 

「は~いサイホーン、朝ご飯よ~!」

 

「サ〜イ♪」

 

 

 珍しく早起きした機嫌の良いセレナは、共に暮らしているサイホーンに朝ご飯のポケモンフーズを与えていた。

 ポケモンフーズに夢中にがっつくサイホーンに、セレナは優しく頭を撫でながら語り掛ける。

 

 

「……ねぇサイホーン。何だかね、すっごく素敵な事が起こりそうな気がするの!」

 

 

 そう言って嬉しそうなセレナは、嘗て幼い頃に経験した一夏の思い出を頭に浮かべる。

 

 まだ小さかったあの日、カントー地方でオーキド博士が開いたポケモンサマーキャンプ参加したものの森の中で他の皆と逸れてしまい、寂しさで泣き叫んだあの時。

 そんな迷子になった時に出会った、魅入ってしまうほど澄んだ瞳をした少年の笑顔と、怪我した膝に巻いてくれた青いハンカチ。

 

 

『最後まで諦めちゃ駄目だ。ほら!』

 

 

 真っ直ぐな心をした彼に掛けられた勇気の出る言葉に、差し伸べられた小さくも温かい手。

 そしてその手に引っ張られて、よろけそうになった時に受け止めてくれた彼の、包み込むような優しい温もり。

 

 あれから何年も経って、いつか忘れかけていた夏の思い出だったが、昨夜テレビで見たサトシの姿は、記憶の中の幼い少年の面影が確かにあった。

 故に彼の姿を見た瞬間、心の内に閉まっていた彼への想いが再び蘇り、顔が熱くなって胸の鼓動が激しくなるのを感じると、1つの決意を固める。

 

 

「(絶対あの時の……!)よし、決めた!」

 

「サイ…?」

 

 

 

《TO BE CONTINUED》

 

 ここまでの冒険を、ポケモンレポートにしっかり書き残した!▼

 




●テルキの掛け声

 ポケモンを出す時の掛け声は「○○○(ポケモンの名前)、バトルゴー!!」と発言する。

つまり


「ダ○ナゼ○ン!!」

「「「「バトルゴー!!!」」」」


という訳です。





 またテルキはアローラ、ガラル、そしてパルデア地方にも行った事があるという設定ですが、ここで読者の皆様は「何でZワザやテラオーブを使わなかったんだ?持ってないのか?」って思うかもしれませんが、それについてはまた今度。





 まぁ何はともあれ、これでようやく第2話の話が終わって次回から本格的に旅が始まる……(長い…)。
 欲しかったモンハンストーリーズ3やトモダチコレクションもいつの間にか発売されてるし、スイッチ2も本格的に買おうと思うのでしばらくはゲームして休ませてもらいます。
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