えっちなお兄様「ねえ、イケないことしよっか♡」 作:HE至上主義者
「え?」
一瞬、お父様が何を言っているか分からなかった。しかし、意味を飲み込めず、固まる私にさらに追い打ちをかけるようにお父様は言う。
「ああ、やっぱり前に比べて少し太ったな。どうしたんだ?アカネさんの料理を食べ過ぎたのか?」
「え?あ、いえ、お母様の料理辛い物が多くてあまり食べていないからそれはあり得ないことだと……って、そうではなくて!!ふ、太ったって……私が太ったってどういう事ですかお父様!?」
「う、うん?どういうことも何もそのままの意味だが……まさかユリ、気付いていないのか?自分が太ったってーー……」
「太ってなんかいません!お、お父様!たまにしか会わないからっていい加減な事を言うのはやめて下さい!!」
「いや、いい加減な事じゃなくて実際に顔周りなんかふっくらしていて……」
「やめて下さい!私は!絶対に!太っていません!!こ、こんなひどい事を言うお父様なんて……もう知りません!!」
「あっ、ユリちょっと待ちなさい!」
バン!と激しい音を立てて勢いよくリビングを飛び出した私は引き留めるお父様の声を無視して、階段を駆け上がり、そのままの勢いのまま自室に戻るとバタン!と扉を閉めて、地団駄を踏んだ。
「ありえない!ありえないわ!私が太っているなんて!きっと何かの間違い!お父様の見間違いに決まっているわ!」
薄々違和感に気付きつつも到底父親の言葉が信じられなかった私はそう叫ぶと、部屋の片隅で置き物となっていた体重計を物陰から引っ張り出した。そして、ドキドキと何故か緊張で高鳴る胸を抑えながら、恐る恐る体重計へと片足を乗せ……残った左足を乗せて、数秒後。私はつんざくような悲鳴を上げて体重計から転がり落ちた。
「ひ、ひぃいいいいい……!!ひ、ふ……じゅ、じゅう!?じゅ、じゅっきろも体重がふ、増え……!?」
そう、何故なら体重計には三カ月前測った時には表示されていなかった数字が表示されていたからだ。しかも記憶が正しければ三か月前から約10キロ増えた数字が。こんなの信じられなかった。そう思って、目の前の現実が信じられなくて、
「き、きっと!ちゃんとは測れていないんだ……!」
何度も測り直し、
「き、きっと電池がもうないのよ……!」
電池の劣化を疑い電池を何度も新しい電池に取り換えては測り直し、
「こ、こんなにありえない……!十キロも増えているなんて!き、きっとこの体重計が壊れているのよ……!」
さらには体重計の故障を疑い、別の体重計も持ってきて測り直しては……
「う、嘘……全然変わらない……じゃあ本当に十キロも……」
尚も変わらぬ数字に私は否が応でも目の前の現実を認めるしかなかった。