えっちなお兄様「ねえ、イケないことしよっか♡」 作:HE至上主義者
逃げられない。
恐らく、今のお兄様の前ではどんな言い訳も通用しないだろう。そう悟った私は……ゴクリと生唾を飲み込み、観念して震える唇を開いた。
「……った、……です……」
「ん?」
「だ、だから……った、から……」
「……ごめんユリちゃん。よく聞こえなかったからもう一度言ってもらっていいかな?」
「~~っ……!だ、だから……ふ、太っ……太ったからですっ!!!」
「え?」
私の告白にお兄様は呆気に取られた顔をする。そのお兄様の反応に「だから言いたくなかったのに!」と羞恥心で顔が熱くなるが、同時にもうこうなったら全部話してしまえと半ばやけくそになった私は叫ぶように言う。
「ええ!ええ!そ、そうです!太ったんです!しかも十キロも!だからダイエットの為にお兄様の事をずっと避けていたんです!だってお兄様のその魅惑的な微笑みと耳触りの良い甘い声で『イケナイ事』に誘われて断り続ける自信なんてありませんでしたし……!ああもう!こんな恥ずかしいことお兄様に言うつもりなんかなかったのに……!お兄様のせ、」
「……っぷ、はははははは!!」
「お、お兄様……?」
突然笑い出したお兄様に私は目を瞬かせる。
「な、なんで笑って……?お、お兄様!そんなに私が太ったのが面白いんですか!?」
「ご、ごめん……っ、違うんだ。ユリちゃんを笑ったわけじゃ……っ、ははははっ……!!」
「笑っているじゃないですか!ひ、ひどい!自分はいくら食べても太らないからって……!」
「くくっ……!ご、ごめん……だ、だって……」
「だって、なんですか!?」
「俺、ユリちゃんに嫌われたって思っていたから」
その言葉と共に私の腕を握るお兄様の手が僅かに強くなる。
「……え?」
「……だって、遊びに誘っても断られるし、話しかけてもすぐ話を切り上げられるし、挙句の果てに目を合わせただけで逃げるようになったでしょ?それも何の前触れも無くある日突然に……だから、俺考えたんだ。何かしちゃったかなって。でもいくら考えても全く心あたりがなくて母さんや父さんに聞いても俺だけを避ける理由が分からなくて……正直、まいっていた」
「っ……」
お兄様の告白に胸がギュッとなる。まさか、お兄様がこんな事を考えていたなんて……
(私、ダイエットのことばかり気にして、お兄様がどう思うかなんて全く考えていなかった……)
そんなつもりはなかったとはいえ、私の軽率な行いが、お兄様の心を傷付けていたのだと、遅ればせながら気付いた私は口を開こうとしたが、それを遮るようにお兄様はニコッと微笑んだ。