魔法少女あまた☆マギカ   作:星屑アマタ

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十五話眼 急転直下

 

 その後は、今後の対策に関しての話をし、ほむらちゃんと別れる。

 今回手に入った情報はかなり大きい、魔法少女をキュウべえが生み出す目的を始め、ソウルジェムの意味、ほむらちゃんの目的、鹿目まどかの存在意義。

 事の全貌がクリアになる事で、また新しく見えてくる事も増えて来る。そして、私の立ち回りの方法も……

 

 最初の課題は、美樹さやかの魔女化を防ぐ事である。

 私の能力で、ほむらちゃんが見張れる学校に居る時間を除いた時間の間、まどかちゃんと美樹さやかを見張り続ける。

 美樹さやかが魔女化する可能性が高いのは、上条との恋愛沙汰らしい。

 ブルジョワが、美樹さやかに上条の事が好きと告白するらしいのだが、そこから流れが一気に終焉と向かうらしい。

 なので、私はブルジョワが美樹さやかに告白するのを発見次第伝える様に頼まれている。

 

 しっかし、上条ねぇ~。相変わらずフラグを乱立させると好評のある名前だけど、まさか現実に乱立させるとは思いもよらなかったよ。

 こいつの取り合いで昼ドラ展開が発生して、美樹さやかが魔女化ねぇ……それにしても、上条の為に人間捨てたのに、報われないわねぇ……

 今晩でも襲撃を掛けて、美樹さやかに告白するように動かそうかしら?そうしたら、美樹さやかもハッピーで魔女化せずに済むんじゃないかなぁ?

 でも、襲撃して、「アンタは美樹さやかと付き合いな」とか言っても、逆に怪しさ全開だよね……

 じゃあ、事故に見せかけてブルジョワを目も当てられない顔にするか?

 

 この頃流行りの抉り魔よぉ~♪眼球を抉る抉り魔よぉ~♪こっちを向いてよ被害者(ハニー)♪だってなんだか、だってだってなんだもん~♪

 こんなキャッチフレーズの犯罪者を産み出して、ブルジョワの片方の眼球を抉り取っちゃえば、良いんじゃね?

 そうすれば、上条っていう男に告白なんてする気にもならないでしょうね♪ 

 

 まぁ、流石に私の良心の呵責が耐えれないから、無理だなぁ~。それに、美樹さやかはどっちかと云うと、ムカつく存在だしね♪

 美樹さやかの魔女化を防ぐのは、まどかちゃんとほむらちゃんの為であって、美樹さやかの為ではないのだよぉ~♪

 私の事を名前ではなく、何かで呼ぶ存在は、魔女と同様に敵だからね……

 

 敵には名前は要らない。敵には敵と云う代名詞が存在していれば十分なのだ……

 だからこそ、私の名前を呼んでくれる人は……味方なのだ……

 

 あっ、何で名前を呼んでくれる人は、味方と判別するか分かる?

 私がキュウべえと契約して眼球が手に入った後に、近所から石とか投げ込まれた時に近所の人間は言ったんだ……

 「この悪魔が」、「この化け物が」、「人殺し」、「鬼」と、決して私の事は名前で呼ばず、罵声を飛ばした……

 だから、私は気付けばその日から、私を名前で呼ばない人間を全員敵と見なし始めたのだ……

 

 おっと、雰囲気を明るい物に戻しましょうか♪

 そろそろ、杏子ちゃんも帰って来てそうだし、日も暮れましたし、教会に帰るとしましょうかな♪

 

 教会へ帰る道中の並木道、先も話題に上がった超新星問題児の蒼い彗星こと、美樹さやかが歩いて来るではないか?

 この並木道の先には、杏子ちゃんの教会しかないので、確実に先まで教会で一緒に何かをしていたと云う事になる……

 気になるから、聞いてみるとしますかい♪

 

「ちょいとなぁ、美樹さやかさんや♪」

 

「アンタ、昨日の!?」

 

 私の姿を見るや否や、臨戦態勢を取ろうとする。

 流石に、昨日の私の発言もあってか、かなり警戒している。

 

「アンタって何さぁ?私の名前は星屑アマタって言うの。まぁ、どっちかと云うと美樹さやかさんの味方よ」

 

 正確には、貴方以外の魔法少女の味方何だけどね♪

 そのついでで、貴方を助るんだけどねぇ~♪そう、オマケよ♪

 だから、貴方がこれ以上私の事をアンタ呼ばわりするなら、ポケットに入ってるスプーンで眼球抉るよ♪

 

「さやかで良いよ。その代わり、私もアンタの事アマタって呼ばせて貰うから」

 

「にゃはぁ~、命拾いしたね♪宜しくねぇ、さやかちゃん♪」

 

「よ、宜しくね」

 

 命拾いの意味が理解できてないさやかちゃんは、首を傾げつつも言葉を返してくる。

 まぁ、知らぬが仏って奴だから、一生首を傾げてな♪

 

「それで、聞きたいんだけど、杏子ちゃんと何を話してたの?」

 

「アイツとは……別に大したことは話してないわ……」

 

 う~む、何か言い辛い事を話したのかなぁ?

 それか、私を信用できないから話さないのか?まぁ、杏子ちゃんに聞けば済む事ね♪

 

「そっか。ねぇ、聞くけど……さやかちゃんは、この世界が面白い?」

 

「行き成り何よ!?楽しい訳無いでしょ!!こんな体にされたんだから……」

 

「ふぅ~ん……でも、愛しの上条君を治して貰ったんだから、諦めたら?私は、こんな姿でもすっごく楽しいよ♪だって、世界が見れるから♪」

 

「何が言いたいのよ?」

 

「内緒♪じゃあねぇ~♪」

 

「ちょっと、アンタ待ちなさいよ!!」

 

 後ろでキャンキャンと吠えているが、無視。

 う~ん、どうもコイツは苦手だ……というか、一番ムカつくタイプね……

 結局最後には、アンタに戻ってるし……この場で眼球を抉り取ってやろうかしら?

 それで動けなくした後に、何処かに幽閉して……

 

「私の事をまたアンタって言ったでしょ?」

 

 気付けば、ポケットのスプーンを取り出して、握り締め、動いていた……

 素早く敵の眼球目掛けて振り降ろしたスプーン。スプーンの掬う部分の先端をコイツの眼球すれすれで寸止めする……

 

「ひっ!?」

 

 眼前に突き付けられたスプーンに恐れなし、悲鳴。

 

「言っとくけどね……私を怒らせると……眼球を抉るよ?私は貴方が死ぬとまどかちゃんと、死んだマミさんが悲しむから、貴方を守る為に動く事にしたの……」

 

「ちょっと、アン……アマタ!!マミさんがってどういう事よ!?」

 

 今、アンタって言いそうになったけど、言い直したから寛大な精神でセーフにしてあげよう。

 

「マミさんは自分の影響を受けて魔法少女になった人間に、無駄死にされたりしたら浮かばれないでしょ?」

 

「無駄死にって何よ!!それに、何でマミさんの事を知ってるの!?」

 

「私はまどかちゃんやさやかちゃん同様に、マミさんに魔女から助けられてるのよ。魔法少女になったばかりの時にね……これ以上は、悪いけどさやかちゃんには話せないわ。でも、一言言っておくけど……決して、この世界を恨まないで……」

 

「それって、どう言う事よ!!」

 

 理解が出来ず、ずっと叫び続ける美樹さやか。

 だけど、決して私は彼女の方を向く事は無く、教会へと歩みを進める。

 まぁ、顔は彼女の方には向けないけど、魂之眼球で後ろは見てるんだけどね♪

 あっ、そうだ♪ここで出会ったが100年目だから、美樹さやかに魂之眼球を付けておこう♪ 

 新たに召喚した魂之眼球の一つを、操作し、美樹さやかの鞄へと忍ばせる。こうする事で、操作しなくとも、彼女の家まで持って帰ってくれるからねぇ♪

 

 暫く経つと、叫ぶ事に疲れたのか、プンスカ怒って帰る。

 う~ん、ここで殴りかかって来てくれたら、面白い展開になりそうだったのに……

 さてと、無事に忍ばせた事だし、取り敢えずほむらちゃんに御一報しておこうかな♪

 

『ほむほむ~、美樹さやかの鞄に魂之眼球を忍ばせたから、これで監視の方は大丈夫よ♪』

 

 ミッションクリアの報告を入れる為、ほむらちゃんに念話を繋げる。

 

『ありがとう。まどかの方は?』

 

『あぁ~、住所教えてくれる?今から、自宅に送るから♪』

 

『えぇ、見滝原市<ピーーーーー>よ』

 

 個人情報保護の関係で音声を入れさせて貰いました。

 ここで、個人情報を紹介しちゃうと、「僕と契約して役所に婚約届を出しに行こうよ」と、まどかちゃん好きの人間達が自宅に押し掛ける危険性があるからね♪

 

『あいあい、じゃあ、今からユーパックで発送するね♪』

 

 届いても、中には何も入ってませんよ?

 理由は、魂之眼球が入ってても、私が見せようと思う人間以外は見れないから♪

 

『普通に送りなさいよ……』

 

『にゃはは、ジョークに決まってるじゃん♪普通に飛ばすよ♪美樹さやか何だけど、良いアイディアが思い浮かんだんだけど、聞きたい?』

 

『結構よ。どうせ、美樹さやかのソウルジェムを奪い取った後に、眼球を抉って拉致監禁とでも言う気でしょ?』

 

『正解正解大せ~か~い♪クイズに見事正解されたほむらちゃんには、JAL(Jealous Amatatyan's Love:嫉妬深いアマタちゃんの愛)で楽しむ2週間の旅をプレゼントです♪

 

『結構だわ。ボッシュートして頂戴』

 

 流石はほむらちゃん、見事にスルーしたね……金のなんとか君人形を自信満々のクイズに使ったけど外れてしまった空しさに近いわね。

 

『つれないねぇ~♪じゃあ、今晩にでもまどかちゃんの自宅に魂之眼球を飛ばしておくから。まどかちゃんが何か行動を見せたら、即刻連絡するね♪』

 

『御願いね。じゃあ、悪いけど念話をそろそろ切るわね……今、魔女の結界の中なの』

 

『ありゃっ!?魔女ですかい?』

 

『えぇ、ハンバーガーショップから帰る途中に、運悪く鳥籠の魔女の結界を見つけたから』

 

 鳥籠の魔女?なんだい、影の魔女じゃないのかぁ……

 まぁ、別にどの魔女が来ようと、グリーフシードを落とすカモだから関係ないか♪

 寧ろ、多い方が、沢山グリーフシードも手に入ってハッピーよね♪

 

『なるなる。じゃあ、頑張ってね♪』

 

『分かったわ』

 

 切断される念話。しかし、折角さっきまでほむらちゃんと楽しいひと時を過ごせてたのに、なんか美樹さやかの所為で楽しかった余韻がパァになってしまったわね。

 こうなったら、杏子ちゃんに抱きついてあんなことやこんなことを……うふふふ……

 

「杏子ちゃんただいまぁ~♪」

 

 

 私は早足で教会の階段を駆け上り、扉を強く押して教会に入るや否や杏子ちゃんに向けて大声で叫ぶ。

 だが、何か怒りで歯ぎしりしている杏子ちゃんは反応してくれず……

 うむぅ、やっぱり美樹さやかと何か意見の食い違いでもあったのかなぁ?

 

「あんの馬鹿野郎……なんで、アタシの言ってる事がわかんねぇんだよ……」

 

 と、呪詛の如く言い、林檎の芯を教会の床へと投げ捨てる。

 あぁ~あ、こんなに地面にゴミを散らかしてぇ……後片付けが大変になるなぁ……

 杏子ちゃんの付近には林檎の芯が散乱している。ていうか、あの体の何処にそんなに林檎が入るんだい?

 私が後片付けを気にする理由は、杏子ちゃんが適当なので、住んでる場所は放っておくとゴミ屋敷へと化すので、綺麗好きな私がキチンと掃除をしているのだ。

 しかし、生ごみを床に捨てると云う暴挙に出られると、拾ってゴミ袋に突っ込むだけでは済まず、雑巾掛けも必要になるわね……

 床には林檎の果汁が……果汁って、ネチャネチャして気持ち悪いのよねぇ……

 

「ほらほら、床に生ごみ捨てるのは止めて、Dust to Dust(ゴミはゴミ箱に)よ」

 

「うっせぇな!!今ムシャクシャしてんだよ!!」

 

「だからって、私に当たらない。相談になら乗るから、美樹さやかと何が有ったか話しなさいな」

 

「何だよ?魔法で見てたのか?」

 

「違うよ。さっき、美樹さやかと並木道で出会ったの。本当に、アイツムカつくなぁ……っていうか、完全に敵だよ……」

 

 私の言葉に杏子ちゃんは横に首を振る。

 そして、もの悲しそうな顔をし、口を開く。

 

「違うんだよ……アタシと似てて、同じ道を歩もうとしてるから歯痒いんだよ……誰かの為に魔法を使って、自分を犠牲にして全てを破滅させたアタシに……なぁ、アタシもアイツもどっちも間違って無い時って、どうすりゃあ良いんだ……」

 

 杏子ちゃんの言葉には重みが有った。自分と同じ道を進もうとしている美樹さやかに昔の自分を重ねてしまい、どうにかして救ってあげたいという気持ちが強いのであろう。だけど、相手はそれを理解してくれない。だからこそ、歯がゆいのであろう。

 

 私には正直他人のために魔法を使うという機会がないため、誰かのために魔法を使う人の気持ちは分からない。

 現に契約時に叶えた願いの対象が自分か他人かという意味でも、私は自分の私欲を満たすために契約を行っている。

 それに対して、まどかちゃんの場合は色々な契約内容が有るけど、大抵が『こんな私でも誰かの役に立てたら良いな』で、美樹さやかが『上条君がもう一度ヴァイオリンを弾けるようになって欲しい』、杏子ちゃんが『御父さんの話を皆に聞いて欲しい』、ほむらちゃんが『今度は自分がまどかを守れる存在になりたい』

 マミさんは『事故で死にかけた体を治して欲しい』と自分の為に契約をしているが、魔法少女になってからは魔法を皆の為に使っている。

 

 だから、私は杏子ちゃんに返す言葉に迷ってしまった。だけど、大切な友達に聞かれたのだから私なりの答えを返してあげないといけない。私は明るく何時もの私らしく答えるために小悪魔っぽい笑顔を見せて、先ずは指を一つ立てる。

 

「まぁ、簡単な話ね。一つ目は暴力で従わせる」

 

「早々に、最悪な答えだな……」

 

 最も早い方法。勝てば官軍、正義は必ず勝つと、勝った人間が正しい。

 その教えに従うならば、美樹さやかを徹底的に叩きのめして、無理矢理にでも従わせるのが一番早い。

 

「二つ目は美樹さやかの案に自分が折れる」

 

「絶対に嫌だ!!」

 

 今度は二本の指を立てる。ちなみに、この案は上げただけで、誰もがこの案を実行するのは嫌だろう。

 杏子ちゃんからも、却下と封殺される。

 

「じゃあ、最後の答え」

 

 三本目の指を立てて、私は杏子ちゃんに一歩近づく。そして、しっかりと杏子ちゃんの目を見て……

 

「杏子ちゃんの思いを貫き通しなよ。今は、美樹さやかは間違えだと思うかもしれないけど、彼女が未来で落ち付いて考えてみると、結果的にはそれが正解だったと思う日が来るかもしれないからね。だから、杏子ちゃんは、自分の思いを曲げず貫き通して」

 

 私の今出せる精一杯の答えを発した。

 

「やっぱり、そうか……そうだよな……」

 

 杏子ちゃんも内心は同じ答えに辿り着いていたのだと思う。だけど、本当にそれが正しい答えなのか迷ってしまっていたのであろう。誰かのために動いた故に父を亡くしたあの事件がもう一度起こってしまうことに恐れてしまい。

 

「よしっ、ちょっと気分転換に魔女の探索行って来る。アマタも来るか?」

 

「あぁ~、今から杏子ちゃんが散らかした生ごみの掃除をしないといけないから無理♪」

 

「うっ……す、すまん……」

 

「良いよ。じゃあ、気を付けて行って来てね♪」

 

「おうっ!!」

 

 杏子ちゃんが教会から出て行くのを見届け、掃除を開始する。

 また、同時にほむらちゃんから教わったまどかちゃんの住所と、杏子ちゃん追跡用にと、複数の魂之眼球を飛ばす。

 脳内に次々と写り始めるヴィジョン。皆一様に、思い思い悩んでいる顔。

 私がこの町に来た当初は、皆笑っていたのに、今では、そんな笑顔も消え失せている。

 

 勿論、そんな雰囲気に感化され、直に私からも笑顔が消えて行くのであろう……

 願わくば、皆が笑える世界をキュウべえから取り戻したい。

 

 

 

 事件の展開の進行が一気に加速したのは、翌日の夕方であった……

 美樹さやかに憑けていた魂之眼球からの映像にて、美樹さやかとブルジョワがハンバーガーショップに二人きりで入るシーンが映る。

 まどかちゃん抜きと云う事自体が怪しいので、ほむらちゃんに即座に念話で一報を入れる。

 

『ほむらちゃん!!美樹さやかとブルジョワ女が先日のハンバーガーショップに二人きりで入ったわ!!』

 

『分かった。そのまま観察を続けて頂戴!!』

 

 美樹さやかの焦る顔、ブルジョワの真剣な顔。明らかに、ただの楽しい会談な訳が無いだろう。

 そして、一方的にブルジョワが喋り、呆ける美樹さやかをよそに立ち去る。

 これが、ほむらちゃんの言っていた、ブルジョワによるライバル宣言なのであろう。これから、如何にして美樹さやかを救うかである。

 否、正確には、美樹さやかの魔女化と云う終末をまどかちゃんに見せないかである。

 

 その後、美樹さやかは未だに現実が理解出来ないのだろうか、数分間同じ表情のまま、何一つ行動せずに居る。

 そして、漸く動いたかと思うと、トレーの上のホットドックに手を付ける事無く、そのまま店を出る。

 食べ物を食べずに無駄にする行為、確実に杏子ちゃんが見たら怒り狂うであろう……

 はっきり言って、メンタル面がまどかちゃん以上に脆すぎる……ほむらちゃんには悪いが、例え今回の件を乗り越えても、また魔女化する恐れがある。

 それに、今はほむらちゃんが魔法を使えるから何とかなっているが、ワルプルギスの夜以降になると誰が面倒を見るのだろうか?

 ほむらちゃんが魔法を使えなくなった後だと、必然的に面倒を見る羽目になるのが、私か杏子ちゃんになる。まどかちゃんは魔法が使えないので、当然論外だ。

 またメンタルだけでなく、美樹さやかの戦闘面での能力は私と同様に下のランク。そのため、上位の魔女が出現すれば、一人では対応できなくなるのは目に見えている。

 美樹さやかが負けそうになれば、当然キュウべえがまどかちゃんに契約を持ち掛けるので、何の解決にもならない。

 そのため、解決方法として私か杏子ちゃんの影からの援護が必要になるが、当然私は嫌である。

 杏子ちゃんは、どう反応するかは分からないが……

 面倒見の良い杏子ちゃんだったら、嫌だとは言いつつも、裏で見守りそうな気もする。

 

『美樹さやかが自宅へ戻り始めたよ』

 

『まどかの方は?』

 

『えっとねぇ、今の所特に動きは無いよ。自宅で、家族と一緒にご飯食べてる』

 

 まどかちゃんに憑けてる魂之眼球のヴィジョンを見ると、家族で楽しそうに御飯を食べている光景。

 ただ、まどかちゃんだけは何処か無理して笑っているような感じがする……

 今日の晩御飯は、白御飯にハンバーグと野菜の付け合わせ、ポタージュスープかぁ~♪

 美味しそうだなぁ♪私も、もう一度、家族と一緒に御飯が食べたいなぁ~♪

 

 もし、人生をやり直せるなら、私は眼よりも、一生の家族との団欒と思い出が欲しいなぁ……

 魔法で願いを叶える事で、こんな結末が待っていると分かっていたのなら、きっと私は契約をしなかっただろう。

 

 自分の人生の選択ミスに後悔しながら、二人の観察を続ける。

 美樹さやかも自宅に帰ると、両親が明るく出迎えてくれる。だけど、自身の娘が何処か元気無いのを見て心配そうな顔をする。

 家族や身寄りのない魔法少女なら、死んでもそこまで明るみに出る事は無いが、美樹さやかが万が一魔女化で死んだら後が大変そうである。

 まどかちゃんだけでなく、多くの人間が悲しみ、キュウべえが持って来た不条理な世界の法則に涙を流すであろう。

 また、時と場合によっては死体すら出ない場合がある。

 キュウべえは何一つ言っていなかったが、結界内で魔法少女が死んだ場合や、魔女化した際に結界の中に引き込まれた死体を誰かが外に持ち出さなかった場合は、魔法少女の死体は消滅し、二度と陽の当たる所に出る事は無い。

 

 まぁ、場合によっては結界と共に死体が消滅してくれた方が嬉しい場合も有る。

 それが、私の様に誰も身寄りがない魔法少女である。誰にも気付かれる事無く、そのまま生を終える。

 下手に死体が出て来て、騒がれるよりはマシである。

 

 逆に美樹さやかの場合は、死体が出て来ないとそれこそ厄介な事になる。

 両親がずっと死んだ娘を探し、やがてそれに疲れて何もかも失う事になるやもしれない。

 なので、死体を回収して川にでも放り込んで置けば良い。外傷は一切無いので、溺死として扱われるので。

 

 まぁ、どちらにしろ両親が悲しむのは決定だけどね……

 

 待つ事3時間……深夜10時頃である……美樹さやかの住むアパートにキュウべえが侵入。

 また、鹿目まどか自宅を出て、美樹さやかの住処へと走り始める。

 

『ほむらちゃん、二人が動いたよ!!先ず、まどかちゃんが美樹さやかのアパートへ向かったよ。次に美樹さやかのアパートにキュウべえが出現したよ』

 

『佐倉杏子は?』

 

『杏子ちゃんも、さっき見回りって言って、何処かへ出掛けたよ……えっとねぇ、今、コンビニで棒アイス買ってる』

 

『分かったわ。今から、美樹さやかの追跡を開始するわ。アマタも手伝って』

 

『了解さぁ~♪』

 

 火事にならないように教会の蝋燭の火を全て消して、私も教会を飛び出した。

 

 

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