魔法少女あまた☆マギカ   作:星屑アマタ

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二十四話眼 隠れん坊

 『隠れん坊』

 それは、新入りの坊やが、敵幹部の命(たま)を取った後に、眼にバッテンマークの切り傷が入った怖いおじちゃん達から逃げ、警察署(ムショ)にかけ込むゲーム。

 もし、見つかって捕まったらコンクリに詰められて、東京湾に沈められてしまうという、まさにデスゲーム。

 さぁ、闇のゲームの始まりだっ!!

 

「全然、違ぇよっ!? つうか、この隠れん坊のくだりを使うのは色々と拙いだろ!!」

 

「行き成り大声を出して、どうしたの杏子?」

 

 突如として叫ぶ杏子ちゃんに、驚き体を条件反射で震えさせてしまった……

 

「いや、今、訳の分からない解説をされた気がして……」

 

「メタ発言はダメだよぉ?」

 

「アマタに言われたくはないっつうの!!」

 

 最近は私はメタ発言を控えてるのに……

 そんな事を言われるのはちょっち心外だよぉ……

 

「そろそろ5分経つわ。探しに行くわよ……」

 

 落書きの魔女との隠れん坊のルールを先ずは解説するね♪

 落書きの魔女が隠れる場所は、見滝原市内の何処かに作った自分の結界の中……

 制限時間は5時間で、その制限時間の間に自分の新しい依代(よりしろ)と私達が勝った時の賞品として、私たちにとって有益な何かを用意しておくらしい。

 賞品は勝ってからの御楽しみらしい。ちなみに落書きの魔女が、私はあんまり貰っても喜びはしないかもと言ってたので、自分之命(グリーフシード)や可愛い女の子ではないのは確かだね。

 あぁ、マミさん描いて実体化してくれないかな?

 最近俗世では流行ってるんでしょ? 美少女キャラの抱き枕を抱いて、夜な夜な「●●たん可愛いよぉ~、はぁ~はぁ~」って言うのが?

 更に、ちゃんと死ぬ前の意思や記憶とかも有れば最高なんだけど……

 でも、ちょっと死者を冒涜してる気がして、流石に実行に移そうとは思わないけどね……

 そう云うのは、妄想の世界だけで留めておかないと♪

 

「おうっ!!」/「りょ~かぁ~い♪」/「僕も手伝うよ♪」

 

 私と杏子ちゃんと+αがやる気を露わに……

 うわっ、キュウべえがエンカウントしたし……

 

「何時の間に来やがった!?」

 

「まぁ、そんな些細な事は良いじゃないか。しかし、僕の知らない所で君達は想像もしない事をしてるね。他の魔法少女と比べて目が離せないよ」

 

「こっちとしては、眼を放して欲しいもんなんだけどねぇ~」

 

「君達魔法少女を見守り手助けするのが僕の役目だから、それは無理だね」

 

 見守る? あんたの目的は私達が魔女化する時のエネルギーでしょうが……

 

「何をぬけぬけ言ってやがる。手前の目的は別物(べつもん)だろうが!!」

 

「そうだね。勿論、その言葉に反論はしないよ。だけど、君達が死ぬのは僕としても見過ごせないから、当然手助けはするよ。まぁ、今回の場合は死ぬ事は無いと思うけど、一応手助けになればと思って色々と情報を持って来たよ」

 

「kwsk(くわしく)、tmjk(てみじかに)お願いね」

 

 先ずは落書きの落書き魔女の名前だが『パステル』。魔法少女の時の名前は『絵意(えごころ)キレイ』。

 魔女になった原因は、さっき本人も言ってたように、ソウルジェムの維持を怠っていた事。

 キュウべえに叶えて貰った御願いは、『自分の絵を皆の記憶から消して欲しい』らしい……

 絵が上手故に、友人等に描いてくれとせがまれ、それが断り切れず、自分の好きな絵を描く時間を増やしたかった為の契約らしいが……

 私から見ると、物凄いくだらない契約内容ね……そんくらい、断わりなさいよね……

 

 なんか、「それが出来ない心の弱い人間も居るんだよ」って突っ込みが聞こえた気が……

 どうせ、私はガサツな女だよ……ふんっ……

 

「で、それが分かると、今回の隠れん坊の何か勝利の糸口になるのかしら?」

 

「何を言ってるんだい? なる訳ないじゃないか」

 

「よし、ここに御墓を建てよう」

 

「アマタ、笑顔で僕の首を絞めながら、召喚したマスケット銃の先端で地面に穴を掘るのは止めてくれないかな?」

 

 ふむ、言われてみれば確かに止めた方が良いわね。

 マスケット銃の先端に砂が詰まって発射する時に内部爆発する恐れもあるし、何より穴を掘る効率が悪いよね♪

 

「ねぇねぇ、杏子ちゃんの槍で穴掘ってくれない?」

 

 てことで、マスケット銃よりは穴を掘り易い武器を所有する杏子ちゃんに御願いしてみる。

 

「アタシの武器はシャベルやスコップじゃねぇよ!!」

 

 あっ、ここでシャベルとスコップの豆知識ね♪

 シャベルとスコップの違いは形や大きさで、両者の言葉の意味は実は同じで、英語かオランダ語の違いだけらしいよ。

 

「二人とも、漫才してないで、落書きの魔女を探しに行くわよ……」

 

「アタシは関係ないだろ!!」/「ほむらちゃん、漫才の前に『夫婦』を付け忘れてるよ」

 

「君達は本当に訳が分からないよ……」

 

 その一言を皮切りとし、マスケット銃から発せられる銃声と、一匹の獣の断末魔が響き、落書きの魔女探しが開始された。

 そして、祝キュウべえ殺害30体目♪ そんな訳で、銃声には半分祝砲の意味も含まれているよ♪

 

 ちなみに、今回は戦闘ではないので、固まってではなく、各個人エリア分けしての探索である。

 まぁ、当然の事だけど、私の担当エリアが見滝原市の4分の3もある事は言うまでもなかろう……

 私の能力の場合は、自分がその場所に移動しなくても探索が可能なので、その場から一歩も動く事無く、魂之眼球を36個召喚し、上空からの探索を開始。そして徐々に高度を落としつつ、窓ガラスから見える範囲の建物の中の検索も同時に行う。

 完全な建物の中の検索は、非常に時間が掛かるし、魂之眼球を侵入させる為に、人間の手で窓を開けたりしないといけないので後回しである。

 

 探索するものの、当然の如くそんな簡単に見つかる場所には隠れている訳もなく、発見は出来ない。

 不幸中の幸いにも、結界の中に居ると言ってたので、サーモグラフィー状態にする必要がないから、探索は大分楽になってる。

 あの赤色の画面(ヴィジョン)を沢山処理すると吐き気が……

 他にもMAX200km/hの速度のヴィジョンの大量処理等も挙げられるわね……

 脳が処理しきれず拒絶反応を起こすみたい……

 

~少女探索中~

 

 そして1時間後……私の担当エリアの建物を除いて全部の捜索を完了したので、取り敢えず一報。

 ちなみに、さっき殺したキュウべえの死骸は、後から来たキュウべえが美味しく頂きました。

 

『こちらアマタだよぉ~、建物内部を除いて担当エリア全部チェック終わったよ♪』 

 

『だぁ~!! こんなチマチマした作業やってられるかっ!!』

 

『落ち着いて、杏子……』

 

 杏子ちゃんの方は、かなりイライラしてるね……

 まぁ、性格上否めないのだが……しょうがない、早めに私の担当エリアを終わらせて、手伝いに行こう……

 

 嘆息し、自分のエリアの探索効率を高める為に、烏の使い魔を召喚する。

 烏の使い魔はある程度は自動(オート)で行動するし、足や翼等を使ってドアの重量にもよるが開け閉めも可能。

 まぁ、ソウルジェムへの負担は大きいが、この間の委員長の魔女のグリーフシードが残ってるから、少々は無駄遣いは出来るから4匹程召喚する事にしよう。

 

「使い魔まで召喚かい? ソウルジェムへの負担も大きいと思うけど? 昔の君なら、こんな事では決して使い魔を召喚しなかっただろうに」

 

「そうかなぁ? 自分が面白いと思えば、基本は召喚するけどなぁ?」

 

 口ではそう言うが、内心はYESともNOとも言えない。

 これがほむらちゃんや杏子ちゃんだから、自分の担当を使い魔を用いて早めに終わらせ、手伝おうという気になってるのかもしれないし……もし、美樹さやかや嫌いな魔法少女だったら、手伝わないか、使い魔を使って妨害に走りそうだからね……

 あっ、結局使い魔を召喚するのは誰だろうと関係ないね♪ 用途は別として♪

 

「そうかい? 君がそう言うなら、そうかもしれないけど……そうそう、少し遅れたけど美樹さやかのソウルジェムの再生の成功おめでとう。まさか、あんな方法で元に戻せるとは思いもしなかったよ。それに、杏子のまさかの能力にも驚きを隠せないよ」

 

「だよねぇ~、杏子ちゃんの能力がまさか意思疎通だったなんてねぇ♪ まぁ、でも契約内容からそんな気は前々からしてたんだけどね」

 

 と、私が言うと、キュウべえは顔を傾げ、「何を検討違いな事を言ってんだこいつ」みたいな表情で私を見る。

 

「杏子の力は意思疎通なんかじゃないよ? 彼女の能力は実に凄いよ。僕にはまさか彼女があんな力を持っていたなんて、思ってもいなかったよ」

 

 と、明らかにこっちに詳細を伝える気ゼロな杏子ちゃん絶賛の独り言を開始したので、〆る前の鶏の首を持つようにキュウべえの首を左手で掴み上げ、私に分かるように言うように命令する。

 

「杏子の力は暁美ほむらやアマタとは比べ物にならない魔法だよ」

 

「なんなのさぁ? ほむらちゃん以上って事はそうとうな魔法って事になるよ?」

 

 時を止めたり遡ったりするチート級の能力よりも凄い魔法って何だろう……

 というか、何時の間にこいつにほむらちゃんの能力がバレたの?

 もしも、知ったふりをして、私の口から洩れるのを待っているのだったら拙いから、ほむらちゃんの能力はアレとか言って誤魔化しつつ、キュウべえが正確な能力を言うまで待つ事にしよう。

 

「幻惑さ。しかも、それも魔女にまで通用する高位の」

 

「なんで、それがほむらちゃん以上の能力になるの?」

 

「考えてもみたまえ。どんな相手にでも強力な幻惑を見せれるんだよ? プラシーボ効果って知ってるかい?」

 

 こいつ、私が知識が無い事を知ってて、わざと難しい言葉を使ってるのかしら?

 それとも、自分の知識の多さをひけらかして悦に入るのが好きなのかな?

 

「知らないに決まってるでしょ?」

 

「思い込みによって、それが体に作用することだよ。つまり、杏子の力は強い幻惑を見せることで、それと同じ事を実現化させる事が出来るんだよ」

 

「つまり、死ぬ幻惑を見せたら、相手が死んでる的な?」

 

「そうそう」

 

 何て、チート能力……と云うか、何故そんな事に……

 杏子ちゃんの契約内容は『父の話を皆に聞いて欲しい』だから、どうして幻惑や幻覚の方向に進む事に……

 ま、まさか……杏子ちゃんの御父さんの話を信者が聞きに来たのは、集団催眠か何かの結果って事になるのかな……

 キュウべえの教えてくれた杏子ちゃんの本当の能力より推測するに、魔女のくちづけと一緒の現象を起こす事で、杏子ちゃんの願いを叶えたって事になりそうだね。

 願いの叶え方が、少々捻くれてるけど……

 あれ、魔女のくちづけと同じ現象を幻惑で可能にさせれる? って、事は!!

 もしかして、激ムズ早口言葉を簡単にクリアとした暇潰し人形が作成し放題って事!?

 あ、意味が分からない人は『第四話 こんなの絶対に面白いよ』を参考にしてね♪

 

 まぁ、杏子ちゃんだったら絶対にその様な行為には嫌悪を抱くから、御願いする気はないけどね♪

 

「じゃあ、魔女と会話できるようになるのはどうして? 何か、能力と効果が異なりすぎて、色々と納得いかないんだけど?」

 

「僕も確定を持つまでには至ってはないけど……恐らくは魔女に、自身が半分人間であると疑似認識させ、人語の会話を可能にさせてるのじゃないかな?」

 

 全然分からん……もう、面倒臭いから、取り敢えず便利な能力って認識でイイよね?

 

『私よ。担当区域を全て探し終えたわ。魔女の結界は無かったわ』

 

 おっ、ほむらちゃんより入電♪ あっ、でも電話じゃないからどうなるんだろ?

 念話だから、入念かな? 何か、別の意味を持つ言葉になっちゃってるけど……

 しかし、それにしても、さっきの念話から時間が数分も経ってないのに……えらい早いなぁ……もしかして、あの念話の後に直ぐに魔法を使って探索をしたのかな?

 時間を止めることが出来るほむらちゃんなら、時間の早い遅いは関係無しだからね……やろうと思ったら1秒とかも可能だし……ただし、ソウルジェムの負担も馬鹿にはならないけど……

 

『御疲れぇ~♪ 私の方は追加部隊の烏の使い魔を飛ばしたから、後20分もしない内に担当区域を終わらせる事が出来ると思うから、杏子ちゃんの担当区域の手伝いに行って貰える?』

 

『分かったわ。杏子、担当区域のどれくらい終わった?』

 

『東側から攻めてて、まだ半分くらいだ』

 

『なら、杏子の担当区域の西側の方から私は探索するから、そのまま探索を続けて』

 

『すまない』

 

 さて、こっちも使い魔を投入した事で、建物内部の探索も細かく出来る様になったので、多く見積もって後30分くらいあれば完全に探索が終わるかな? さっきは20分とか言ったけど、やっぱり見落としとかしたら、また探し直すのは面倒くさいし……

 そんな訳で、30分後の世界にキングクリムゾン!!

 

 

 

【キングクリムゾン】

キングクリムゾンはジョジョの奇妙な冒険に登場するスタンド名の一つ。

その能力は、自分以外の生物の時間を数秒間消し去り、「結果」だけを残すというもの。

時間すらも飛び越えるので、ネコ型ロボットもA級ジャンパーもびっくりな能力です。

 

 

 

 さて、あれから30分程探索した結果だけど、私の担当エリアには残念ながら落書きの魔女は居らず。

 なので、残された場所は杏子ちゃんのエリア。ほむらちゃんが手伝いに入ったけど、杏子ちゃんの担当区域の一部のエリアは高層建築物が非常に多い為、私達の想像以上に探索に時間が掛っているようだ。

 取り敢えず、私もそちらに向かうと連絡を入れ、先に魂之眼球と烏の使い魔を飛ばし、肩にキュゥべえを乗せて、後をゆっくりと追って走る。

 

「ところで、キュゥべえ。あの子について一つ聞きたい事が有るんだけどイイかな?」

 

「何だい?」

 

「あの子の魔法少女としての才能はどれくらいのレベルなの?」

 

「ワルプルギスの夜の戦力として役に立つかって意味かい? 少なくとも、彼女なら君や美樹さやかよりは上手く立ち回れると思うよ」

 

 最後に美樹さやかと同列にされたのはイラっとしたけど……ちゃんと、私の質問の意図を見越しての回答をしたから殺すのは勘弁してあげよう。

 自分で自分と美樹さやかの戦闘能力が同レベルと評価するのは良いけど、他人に、特にこいつに評価されるのは流石にイラッ☆と来る物がある。

 おっと、まぁ、そんな個人的な話は止しといてと♪

 落書きの魔女こと、キレイちゃんの戦闘能力が高いか否かは、矢張り気にはなる。気にならないと云ったら、それは地獄で閻魔様に舌を抜かれるレベルの嘘になっちゃうくらいにね♪

 正直な話、ほむらちゃんの持つ情報では、ほむらちゃん単騎で戦った限り勝てた事は一度も無いらしく、毎回の如くラストでまどかちゃんのマダンテもしくはメガンテで止めを刺されてるらしい。

 ちなみに、私が原因で、ワルプルギスの夜が来る前にまどかちゃんが死んでた場合は、相手にする事も無く、スタコラサッサと過去に時間を戻しているしてるらしい。

 つまり、ほむらちゃん単品では勝利は不可能であり、またそのほむらちゃんクラスがどうやっても勝利が出来ない相手に、杏子ちゃん、私、美樹さやかの3人が加わったところで勝てるのかどうやら?

 そうなると、矢張り新しく増える戦力は気になってしまう。

 

 そして……

 

「ふぅ~ん? そう云えば、キュゥべえってワルプルギスの夜の事は何か知ってるの? アレも、あんたが生み出した魔法少女のなれの果てなんでしょ?」

 

 その敵勢力の情報もね♪

 

 と、自然な感じを装い、話をワルプルギスの夜に上手い具合にシフトする。

 正直な話、ほむらちゃんの結界の中で見して貰った資料には、ワルプルギスの夜の攻撃方法や出現予測位置等の情報しか載っておらず、生まれ等に関しては一切情報が無かった。

 ほむらちゃんが結構な数逆行しても見つけれなかった、ワルプルギスの夜の生まれに関しての情報。知って何の得になるかと聞かれれば、何も無いとしか答えようが無いが……

 そんなくだらない事でも、気にしてしまうのが私の性格。

 

「ワルプルギスの夜は、魔法少女が魔女化した物じゃないよ? 勿論、使い魔が魔女に成長した物でも無いんだ……だから、僕にもあの魔女がどうして誕生したのかって事は一切分からないんだ」

 

 う~ん、キュゥべえが分からないと云う事は、もしかしてワルプルギスの夜も、ほむらちゃんみたいに、未来や過去からやって来た存在なのかな?

 まさか、ほむらちゃんが未来で魔女化した姿とか!?

 それなら、何回やっても何回やっても倒せる訳が無いから、辻褄は合うしね……

 または別の可能性としては、キュゥべえ達すら知らない別生命体とか?

 

 うむぅ~、謎がより深まるばかりだね……

 

「じゃあ、自然発生したって考えるのが一番なのかな?」

 

 取り敢えず、無難な回答を返す事にする。

 

「普通に考えるとそうだね。でも、僕達が叶えて来た願いの中に、ワルプルギスの夜を誕生させてしまう様な願いが有った可能性も否定出来ないし……」

 

 いや、どんな願いを叶えさせたら、あんな物を誕生させるのよと、心の中で毒吐きつつ適当に相槌を打つ。

 願いの副産物として魔女を生み出す可能性が有るとしたら、矢張り『怨み』だよねぇ……でも、それで誕生したのなら、キュゥべえが把握してないはずがないし……

 本当に、訳ワカメだよ……

 

「て云うか、あんたは何時から多くの少女達を毒牙に掛けて来たの?」

 

「毒牙とは酷いなぁ? 僕は普通なら叶う筈もない願いを叶えてあげる代償として、魔法少女になって貰ってるんだから。本来なら叶わない物を叶えるのだから、それなりの代償は払って貰って当然だと思うよ?」

 

「はいはい。で、何時からなの?」

 

「そうだねぇ……凄く凄く昔からかな? 歴史の教科書に名を残した多くの少女達は、僕が関わっていると思って貰っても構わないよ」

 

 その肝心な歴史の教科書を見た事が無いから、どんな人物が居るのかさっぱり分からないけど、相当昔から蔓延ってるガン細胞って事は良く分かったわ。

 こんな訳の分からないエイリアンに、地球の歴史が昔から動かされている事に、非常に腹が立つ。

 でも、そんな奴に持ち掛けられて眼を貰った自分に、嫌悪を抱いてしまう……そして、家族を失った事に悲しむ半面、友達が出来た事に喜びを抱くパラドックスが産まれてしまう。

 両方の窪みに眼球が無いカタワな私に、誰が振り向くだろうか? 否、誰も振り向いてくれはしない。(片輪(カタワ):体の一部が欠損している人を刺す言葉。差別用語)

 皆、気持ち悪がって触れる事すらしない……決して出来る事のない友達……それは、窪みが埋まってもそうだ……

 だけど、そんな私に遂に、遺伝子すら繋がっていない赤の他人である友人が出来た事が、肉親である家族を失う悲しみを打ち消す。

 凄く不謹慎なのに……友達が出来た事を喜ぶ自分が居る。

 

 馬鹿を言い合える赤色の友達、私の事を支えてくれた黒色の友達、明るくて可愛い桃色の友達……

 

 この友達も友情もキュゥべえが居なければ、出来る事は決してなかった。

 言い換えれば、キュゥべえによって与えられたも同然である。

 

 つまり、私も歴史上に登場する人物同様に、キュゥべえに動かされた一人って事だよ……

 

 本当、私って馬鹿だよ……って、おっとぉ~!! この台詞は美樹さやかの台詞だから取ったらアウトだったね♪

 ていうか、これ以上ネガティブモードに入ったらソウルジェムが汚れちゃうし、落書きの魔女の探索作業も滞るじゃない!!

 危ない危ない……

 早く心を平常にし、ほむほむと杏子ちゃんと合流しないとっ♪

 

 それに……

 

 私は地面を蹴る勢いを強め、歩きから走りにシフトし、急いで向かう事に。

 理由の一つとしては、さっきからずっと後ろを、変な荷物を持った男につけられてるから……

 ちなみに、私が走り出すや否や、男も何か叫びながら大慌てで追いかけて来る……

 

「アマタ、本当に走って良いのかい?」

 

「何が?」

 

「だって、今追いかけてきてるのは、上条恭介じゃないか? 素直に待ってあげたらどうだい?」

 

 そう、変な男とは美樹さやかの王子様こと上条恭介である。なので、当然の如く無視である。

 理由としては、最初の段階で声を掛ければ良い物の、何も言わずにずっとついて来てるから。

 その弐としては、あの変な荷物は何なの? 黒いビニールシーツに包まれた人一人分の大きさの荷物。

 明らかに怪しさ全開で、一緒に居るだけで国家権力之犬(けいさつ)から、「君達ちょっと良いかい?」と巻き添えで声を掛けられるのは間違いなし!!

 

 幾ら、知人とは云え、三十六計逃げるに如かず。

 怪しい事には関わらないのがベスト。それが、生きる為の処世術なのよ!!

 

「じゃあ、アンタだけ待ってあげなさい。何なら、サービスで腕と足を?ぎ取って、動けなくして置いて行ってあげるわよ?」

 

「それは結構だよ。僕も腕と足を?がれるのは嫌だから、アマタのしたいように任せるよ」

 

「じゃあ、走るからしっかり掴まってなさいよ!!」

 

 「星屑さん!! 待って下さい!! 僕です!! 上条恭介です!!」と遠くから声が聞こえるが、待ってくれと言われて誰が待つもんですか♪

 寧ろ、そんな事言われたら、逆に置いて行きたくなるじゃない♪

 

 そして、私は後ろで何か叫び追いかけて来る上条恭介を無視し、全速力で杏子ちゃん達の元まで逃げるのであった……

 ちなみに、結局最後の最後まで上条恭介は生身の癖に、私の走りについて来ると云う偉業を達成。運動部じゃない癖に、意外と体力有るんだね♪

 

 

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