魔法少女あまた☆マギカ   作:星屑アマタ

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三話眼 約束

蒼い魔法少女?

私の前を駆け抜けたのは、昼に見た黒髪の少女とは異なる魔法少女。

この町には二人も魔法少女が居るの?

 

普通は、魔法少女が別の魔法少女と同じテリトリーを持つ事は無い。

魔法少女が魔女と戦う大きな理由はグリーフシードに有るからだ。

多くの魔法少女がテリトリー内に居ると、グリーフシードの回収率が下がってしまい、ソウルジェムの維持が難しくなる。

なので、同じテリトリーに複数の魔法少女が居ると、基本殺し合いになってしまう・・・

現に私のテリトリーに土足で入り込んで来た魔法少女とは、幾度も私は殺し合いをしている。

ただし、マミさんは特別に、私のテリトリーに入る事は許してたけどね♪

寧ろ、土足で入って来てくれたら逆に嬉しいし、ずっと居座って貰ってもかまわなかったけどね♪

結局は私のテリトリーに来てくれたのは、私が死にかけた時と、私が御礼に御茶を御馳走した時の計2回のみである。

 

マミさんにもやっぱり守るべき場所が有ったからね・・・

 

おっと、今はそんな事よりも、蒼い魔法少女だね♪

結界内に直接侵入して見たいけど、黒髪の少女とは異なり、行き成り敵として認識されたりしたら困るから、ここは様子見かな?

 

「魂之眼球・・・」

 

私の前に一つの眼球が出現する。

出現した眼球は、宙にぷかぷかとたゆたいながら、ゆっくりと移動しつつ隣の部屋へと向かう。

隣の部屋に眼球が入ると、私の脳内にもう一つの映像が焼きつけられ始める。

 

未だにゾンビポーズで少女と突入した魔法少女を、悪魔の口づけを受けた人間達が待つ風景に加えて、海の色に類似したマリンブルーの空間に子供が殴り書いたような粗末な天使達が、蒼色の魔法少女に次々と切られる風景が映る。

天使達に交じって、悪魔の羽が生えたデスクトップパソコンのモニターが映っている。

それが、魔女の本体だろう・・・蒼い魔法少女は、魔女を渾身の一撃で殴り飛ばし、宙へと舞いあげる。

そして、何かを叫び、手に持つサーベルで魔女に突き刺す。

恐らく「これで止めだ~!!」とか「こいつでもくらいな!!」とか「まそっぷ!!」って叫んでいるのであろう。

いや~、私の能力では視界は得れても、音までは取る事が出来ないからね♪

魔法少女の口の動きとイメージで想像するしかないわけだよ♪

蒼い魔法少女の一撃は、モニターを貫通し、スクリーンを粉微塵に砕く。

砕かれたスクリーンより、魔女の大量の黒い血液が噴出し、結界が揺らぐ。

 

それと同時に、魔女の口づけの印が次々と消え、洗脳されてた人間達が意識を取り戻し始める。

 

さてっと、これ以上ここに居ると拙い事になりそうだから、私は撤退するとしますかい♪

私は他の人間に存在を気付かれないように、早足で倉庫の外へと出る。

 

この町には二人も魔法少女が居ると云う事しか収穫は無かったけど、この町に関する情報ゼロだった私には十分かな♪

 

それよりも、気になる事が一つあった・・・さっきの魔女のモニターには、何故かマミさんが映っていたのだ・・・

マミさんの画像がモニターに映し出されてたということによって、考えられるのは・・・

 

①さっきの魔女はマミさんの末路である

②さっきの魔女になった魔法少女はマミさんに影響を受けた人間だった

③さっきの魔女とマミさんが過去に戦闘した事がある

④さっきの魔法少女もしくは、女の子のどちらかがマミさんに関係がある人間である

 

この4択のどれかだろう・・・

いや、①は違うね・・・

キュウべえは魔女に殺されたと言ったから、違うわねぇ~・・・

そう言えば、この町は元々マミさんのテリトリーだから、③の線が濃いかなぁ?

 

②もあり得ない事は無いけど、それは違うと信じたい・・・

理由は、死んだマミさんも、自分が影響を与えた魔法少女が魔女化したなんて知ったら、成仏できなさそうだし・・・

 

④もあり得そうだね・・・

恐らく、関係が有るとしたら、蒼い魔法少女だろう。

ピンクの髪の少女は・・・まぁ、無いでしょっ♪

マミさんに関係があるとしたら、魔法少女の可能性がって・・・

 

いや、魔法少女じゃなくて関係の有る人間が居たわね・・・

 

鹿目まどか・・・

 

もし、あのピンクの髪の少女が鹿目まどかだったら、彼女の勇敢な行動の数々も納得ね。

でも、あの魔法少女と仲良く会話すると云う事は、あの魔法少女が友達で多くの情報を貰ってるから動じないとも考えられる。

鹿目まどかな様な気もするけど、まだ決定的な証拠が無いからなぁ~・・・

 

まぁ、もし彼女が鹿目まどかなら、現時点での私の評価は高いよ?

魔法少女じゃないのに、勇敢にも立ち向かう姿勢。

ちょっと、無鉄砲な気もするけど、私はそんな元気な子は大好きだし、同様にマミさんも気にいるであろう。

 

「もし彼女が鹿目まどかなら、キュウべえから守らないとね・・・」

 

ありゃ、性にも無くやさしい言葉を口に出しちゃった♪

右よし、左よし、周りには誰も居ませ~ん♪

 

私は慌てて、空にぽっかりと浮く真ん丸な月明かりと、少しレトロタイプな外套の明かりがミックスされた光に照らされ、夜でもしっかり周りが見えるくらいに明るい倉庫周りを見渡す。

 

本当に周りに誰も居なくてよかったよぉ~♪

特にキュウべえなんか居たら、恥ずかしくて恥ずかしくてやれないよぉ~♪

 

「やさしいのね・・・」

 

いや、居たねぇ・・・

闇夜よりも真っ黒な髪の毛を持つ少女・・・

そう、私の探し人が・・・

今回は、魔法少女の格好で御出ましのようだ♪

グレーの地味なドレスに、腕に付けているラウンドシールド。

武器らしきものは一切見られないのが少々気になる・・・

 

「そうかしら?」

 

「えぇ・・・貴方はやさしい、それ故に壊れやすいの・・・」

 

私の疑問に黒髪の少女は、私の事を知ってるかのように返してくる。

昔、この子に会った事なんて有ったかしら?

 

「そうよ♪私の純情乙女ハートは、ガラス細工の様に繊細で壊れやすいの♪」

 

「貴方に忠告・・・今直ぐに、元居た町に戻りなさい、星屑アマタ・・・」

 

むむむ、私の名前を知っている?

キュウべえから私の名前を既に聞いたのか?

もしくは、本当に昔に会った事が・・・

 

「御断りよ、真っ黒クロスケさん♪私は鹿目まどかに興味が湧いてるの♪」

 

「言っても無駄の様ね・・・」

 

「無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!」

 

しっかりと伸ばした右腕の手の人刺し指だけをしっかりと伸ばし、少し引き気味の左腕は腰の位置に構える。

そしてちょっぴり腰をひねって下ろし、膝を軽く屈める。

まぁ~、あれだね♪巷で男子に人気な漫画で、スタンドって言う能力を持つキャラクター達が意味も無く構えているあのポーズだよ♪

 

「分かったわ。じゃあ、約束して・・・決して鹿目まどかを憎まない、キュウべえの言葉に惑わされない、巴マミを生き返らせようなんて馬鹿な事を考えないで」

 

黒髪の少女も、私のポーズを見ると嘆息し、条件付きで諦める事にしたみたいだ。

そんで、条件を要約すると・・・

 

「要するに、鹿目まどかを魔法少女にするなって事かい?」

 

「もう一つ・・・貴方は決して恨みを溜めて魔女になっちゃ駄目・・・」

 

「安心しなさいな♪私は魔女にはならないわよ♪」

 

それ以前に、誰が好き好んであんな化け物になるもんですかい!!

 

「なら、良いわ。じゃあね・・・」

 

無愛想な黒髪少女は、その別れの言葉を残した瞬間に、私の目の前から一瞬にして消える。

何かしらの魔法を行使して、消えたのであろう・・・

姿を消す魔法?それとも、一瞬にして移動する魔法?

 

今の一瞬しか情報を得れなかった私には、彼女の魔法の正体の特定はできない。

 

そして、もう一つ特定出来ない物が有る・・・

 

それは・・・

 

名前だった・・・

 

「ちゃんと、自己紹介ぐらいしろぉおおおおおおおおお!!」

 

私の叫びが、月夜に木霊した・・・

返事が無い、まるで人っ子一人居ないようだ・・・

 

自分ひとりが話しに全くついて行けず叫び、その叫びもむなしく反響するだけで道化師のような扱いに納得がいかない。

そんな時は、恒例のクイズの時間だよ♪

 

「いや、そんな事をする必要はないと思うよ?」

 

「やっと顔出しやがったわね、キュウべえ?」

 

「いや~、ちょっとさやかって子と契約したり、杏子って魔法少女と話しをしたりしていてね♪忙しくて、アマタの所に居る暇が無くてね♪」

 

契約?

また、軽い気持ちで御願いを叶えて貰い、この呪われた輪廻に閉じ込められた犠牲者が増えたの?

 

「そうなんだ?で、質問なんだけどさぁ?あの黒い髪の魔法少女は何者だい?」

 

「僕にもわからないんだ。名前が暁美ほむらと云う事しか」

 

「アンタが契約したのに、何で彼女の事が分からないの?」

 

キュウべえが契約したと云う事は、キュウべえと会話したり何かしらの付き合いが有る訳。

なのに、契約した本人が、魔法少女の事を名前しか知らないなんて可笑しな話である。

当然、私は疑問を抱き、問いかける。

 

「そうとも言えるし、違うとも言える。あの子は極めつけのイレギュラーだ」

 

契約したけど、契約していないとも言える?

そりゃまぁ、アンタは何匹もいるから、別の個体が契約すればそう言い切れるわよ。

それでなくとも、私が結構殺してるしね♪

 

「ふ~ん・・・暁美ほむらねぇ・・・って、ちょい待ちぃ!!この町には魔法少女が何人いるのよ!!」

 

キュウべえにとってイレギュラーな存在と云う事は、キュウべえの思惑を阻止する人間ってことだ。

つまり、暁美ほむらの事を知る事は、キュウべえの思惑を知る事に直結できる。

そうそう、それとだけど、最初のキュウべえとの会話で、杏子って子があの黒髪の子かと勘違いしてたよ!!

 

「マミが死んだ今では、美樹さやか、佐倉杏子、暁美ほむらの3人だよ」

 

3人も魔法少女が居るんかい!!

てか、それなのに鹿目まどかって子も魔法少女にして何がしたいの?

魔法少女同士で殺し合いでもさせる気?

それとも、魔法少女の成れの果ての魔女を増やす気?

 

今一、キュウべえの行動が理解できないのよねぇ・・・

 

魔法少女が存在すると云う事は、同時に魔女を増やす事でもある。

魔法少女の目的は、魔女の討伐なのに、魔女を生み出す原因でもある。

つまり、こいつは何かしらの考えが有って無限にこの悪循環を生みだしてる訳だ。

 

まぁ、それを妨害してるのが暁美ほむらって存在な訳。

彼女と御近付きになると云う事は、真実への近道って事ね♪

 

「あっ、そうそう、キュウべえ。私の事を暁美ほむらに少しでも話した?」

 

「僕が話す訳無いだろ?僕にとって君はイレギュラーに対抗する為のイレギュラーだからね♪」

 

ふむぅ~・・・じゃあ、彼女はどうやって私の情報を手に入れたのかしら?

 

あっ、そうそう♪そっれっと♪

 

「キュウべえ、キュウべえ♪」

 

「何だい?」

 

「剣山どぉーんっ☆」

 

今日は色々と迷惑かけられたので、御礼として剣山をプレゼントだよ♪

あっ、剣山って生け花で使うあのトゲトゲした奴の事ね♪

私はキュウべえの顔面にバスケットのダンクシュートを決めるようにぶち込む♪

 

いや~、剣山がキュウべえの顔面に突き刺さり、開いた無数の小さな穴から血がどろどろと流れ出す光景は中々乙な物だよ~♪

そして、これで27匹目っ☆

本当はキュウべえダンク殺しで切り番こと30回目を決めるつもりだったけど、今日は色々とムカついてるので、とっておきの殺傷方であの世送りさ~♪

 

「勘弁してくれないかなぁ?君の周りには常に複数の僕を待機させておかないと、君との会話が成り立たないじゃないか?」

 

「ふむ、なんてこったい・・・これが需要と供給の問題って奴ね?」

 

「いや、言葉の使い方が間違ってる上に、君一人が殺すのを止めてくれたら、十分に解決する問題だと僕は思うよ?」

 

と、愚痴りつつも新しい個体が出現し、死骸を食べ始める。

何時も美味しそう(?)に食べてるけど、キュウべえってどんな味なんだろう?

そして、肉体構成材料は何だろう?

 

男の子はぼろきれとカタツムリ、女の子は砂糖とスパイス。

じゃあ、キュウべえは何で出来てるんだろう?

うん、碌な物では出来てないわね・・・

 

さてさて、味はどうなんだろう・・・

 

「ねぇ、キュウべえ。キュウべえってどんな味なの?」

 

「僕の味?君達の世界では例えるのが少し難しいかなぁ。知りたいなら、食べてみたら良いよ♪もきゅっぷ♪」

 

私にどうぞと言わんばかりに、キュウべえの死骸の耳の辺りを口に咥えて、私の足元に持ってきて、私に差し出す。

耳の辺りは顔面部分にダンクシュートした剣山の所為で、真っ赤に染まった上にところどころに穴が見られる。

当然だが、そんなグロテスクな物を食べる気にはならない・・・

 

「遠慮しとくわ・・・」

 

「そうかい?」

 

私がノーセンキューすると、キュウべえは再度耳を咥えて口に入れる。

そして、相変わらずの無表情で咀嚼を開始する・・・

 

「もきゅっぷ♪」

 

そう言えば、キュウべえのゲップ音って何処か「まそっぷ」と似てるよねぇ~♪

閑話休題・・・

 

「あと、聞きたい事がまだあるんだけど。鹿目まどかってのは、あの倉庫の中に居るピンク色の髪の少女かな?」

 

「うん、そうだよ」

 

「じゃあ、続いて二つ目~♪蒼い魔法少女の名前は?」

 

「彼女は美樹さやか、さっき僕と契約した魔法少女だよ」

 

成程ぉ、出来立てほやほやの犠牲者(まほうしょうじょ)って訳ね。

どうりで、さっきの戦闘で直線的な動きが多いうえに、無駄が多かった訳だ。

ていうか~、敵の魔女も雑魚かったからアレで済んでたかもしれないけど、もし強力な奴が来てたら返り討ちに会ってたかもしれないわね。

まぁ、万が一敵が強くても、暁美ほむらや私が居たし、彼女か私が何かしらの方法で介入して助けてたかもしれないから、死ぬことは無いと思うけどね・・・

特に暁美ほむらは、現在美樹さやかと何か話してるみたいだし♪

 

え?何で、話してるのが分かるのかって?

いや~、まだ魂之眼球を解除してないから、倉庫の奥の部屋の光景が私の脳裏に映し出されているのだよ~♪

 

「ふむふむ。じゃあ、私も欲しい情報が手に入ったから、アンタはもう帰ってもいいわよ?」

 

「そうかい。じゃあ、僕はまた不条理な殺され方をする前に、君の前から姿を消させて貰うよ」

 

ゆっくりと私から距離を取り、闇の中へと駆けて行く。

真っ白で闇夜には目立つ筈なのに、不思議な事にキュウべえの姿は直ぐに見えなくなる。

 

さぁ~て、私も寝床に帰るとしますかい♪

丁度、町の近くで立地条件が最高な廃教会を見つけたしね♪

ちょっとぼろっちいけど、雨風防げるし、鍵も掛けれそうだったから、こんなにか弱い私でも安心して眠れるよ♪

 

いや~、捨てる神あれば拾う神がいる♪

捨てられた教会でも、喜ぶ子羊がいるのだよ~♪

 

取り敢えず、鹿目まどか、美樹さやか、暁美ほむらの会話が終了したみたいなので、私は魂之眼球を解除して、教会へと歩を進める事にした。

そうそう、途中で、パトカーがファンファンファンファン喧しく鳴らして私の隣を通ったけど、怖いわねぇ~♪

本当に女の子一人じゃ怖い~怖い~♪

 

そうこう思考を巡らして暇潰してる内に、ぼろっちぃ教会に到着する。

ぼろっちぃ教会の中からは明かりが漏れているのが確認できる。

廃教会で誰も居ないと思っていたが、誰か居るようだ・・・

 

「すみませ~ん。誰か居ませんか~?」

 

教会のドアにも鍵が掛けられており、教会内に入る事が出来ないので、ドアを叩いて中の人間に出てくるように訴える。

 

「あ~、ちょっと待ってくれ」

 

教会の中から少々ハスキーボイスな女性の声が聞こえる。

 

「こんな夜分になんだい?」

 

鍵の外される音と共に、ドアが開かれ、中から赤色の髪で、八重歯とポニーテールが特徴な少女が顔を出す。

非常にラフな格好した少女は、口にロリポップを咥えており、他人と会話するにも関わらず口から食べ物を離す気配がない。

 

「いや~、ちょっち訳ありでね♪暫くの間、泊めてくれたら嬉しいなぁ~とか♪」

 

「構わねぇよ?ただ、電気とかガスとか水道とか止まってるぞ?」

 

それって、全部止まってるじゃん♪

まぁ、背に腹は代えられないわね♪

 

「いえ、泊めて頂けるだけで嬉しいです♪あっ、私、星屑アマタって言います♪」

 

「アタシは佐倉杏子。宜しくな」

 

へぇ~、佐倉杏子ちゃんかぁ・・・

って、はぁあああああああああああああああ!?

 

 

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