私は悪戯が好きなんだ 誰かが構ってくれるから
私が意地悪しなければ 誰も私に向かってこない
でも相手をつかんだり 殴ったりしないもの
だって、私は誰かと一緒にいたから
だって、一人ぼっちは寂しいから
~マザーグースのlike little Pussyより一部引用~
「酷いですよ……置いて行くなんて……」
「ごめんねっ♪ 私って天邪鬼だから♪ ついつい、苛めゲフンゲフン、反対の事をしちゃうの♪」
じゃあ、置いて行っても構いませんって言われたらどうするのかって?
その時は、蹴り飛ばして置いて行く。
ちなみにそのシチュエーションが、囚われの姫を救出に敵の城に仲間と共に乗り込み、大きな部屋で敵の幹部クラスとの戦闘になって、仲間に言われた場合は、その場は先に進む振りをするが、二人が弱ったところを見計らって乱入し、味方諸共全力全開で攻撃して、手柄を全て奪い取る!!
それが私、星屑アマタ様よっ♪ キラッ☆
「で、何でこいつがここに居るんだ?」
「それに、その大きな荷物も凄い気になるわ……」
そして、上条恭介は私の疾走について来て疲れてる所に、二人からの質問攻め。
休まる暇もないとは将にこの事ね♪
「えっと、その……ちょっと、さやかの所に……」
「美樹さやかのアパートは、こっちじゃなかったと思うけど?」
「いえ、そうじゃなくて……その、司法解剖の事をすっかり忘れてて……」
「あぁ、穢れを知らない美樹さやかの体が、知らぬ男達の手によって触られると云う行為が耐えられないと……でも、寝取られで何か欲情しなケファッ!?」
素早くほむらちゃんが、私の体の両脇に真正面から持ち上げる様に手を掛け、そのまま後ろに倒れる力を利用し、私の体に回転を加えて投げ飛ばす……
って、まさかのタイガードライバーとは……中々マニアックなプロレス技じゃない、ほむらちゃん……
「アマタは黙ってて。大体事情は把握出来たわ。美樹さやかの死体が司法解剖で傷付けられるのが嫌なのね?」
仰向けに地面に倒れ、手を天に向けて伸ばしピクピクしている私を余所に、技を繰り出したため目茶目茶になった髪を治す為に、髪をかきわけつつ会話を再開するほむほむ。
「おいっ、司法解剖って何だよ!?」
「杏子ちゃん、司法解剖も分からないの? じゃあ、今から私が教えてあげよっか? ほら、ぬぎぬぎしてぇ~♪ って、冗談冗談……だから、槍をこっちに向けないで……」
先の一撃でまだ地面に倒れている私の眼前に槍を伸ばして来たので、流石に閉口する。
「アマタは本当に訳が分からないよ……」
そして、キュゥべえはキュゥべえで、遂に『君達』ではなく私単品になっちゃったじゃない……
「司法解剖は、事件に巻き込まれた可能性のある死体を解剖して、何かしらの証拠を得ようとする作業よ。別に気にしなくても良いわ。私達魔法少女は、例え体を切り刻まれても、ソウルジェムが無事な限り幾らでも体は再生出来るわ」
「でも……それでも……僕には、誰かの手によって、さやかの体が傷付けられると思うと、心が痛み耐えられません……」
なら、司法解剖の存在を忘れるなよと非常に突っ込みたくなる。
まぁ、流石にこれ以上突っ込みを入れると、またほむほむからタイガードライバーを食らいそうなので、止めておく事に……
いや、今度はビルの屋上から断崖式タイガードライバーを使われ、そのまま地面へ急降下しそうな気もする……
しかし、回を増す度に、ほむらちゃんによる扱いがどんどん酷くなってる……
まぁ、どこぞの『透明でおっぱいミサイルを飛ばし、効果音が\アッカリ~ン/』な少女と比べると、存在感は有るのでそっち方面では問題はないが、扱いが酷いという路線では如何せん問題が……
存在が薄いのが良いか、扱いが酷いのが良いか?
て云うか、私って主人公だよね?
何で主人公なのに、こんなに酷い扱いをヒロインから受けないといけないの?
もしかして、本作品は登場人物全員がツンデレもしくはヤンデレですって云う設定付きの作品なのかな?
まぁ、ゾンデレ(ゾンビデレの略)はデフォで付いてるけどね♪ もしくは死ンデレラ設定とか♪
あっはっはっは、笑えない冗談だけどね♪ でぃしぃいず、ぶらっくじょーくって奴だね♪
「そう……分かったわ……丁度都合の良い事に、探索されてない場所の一つが美樹さやかの体が安置されてる大学病院……」
「何で、御前はそんな事を知ってんだよ……」
「秘密裏にアマタに調べる様に頼んだのよ……こんな事も有るかと思ってね……」
そんな命令を受けた記憶は微塵もないので少々困惑するが、ほむらちゃんが私に目配せをして、話を合わせる様に指図するので、即座に全てを理解。
考えてみれば、未だ杏子ちゃんとかには未来から来た事を伝えてないからね……
しかし、何度も心の中で読者に向かって言うけど、そろそろ私以外にもちゃんと明かした方が良いと思うんだけどね?
そっちの方が、ほむらちゃん自身も動き易いと思うけど……でも、過去のマミさんや美樹さやかの一件が有るから、明かすのにも勇気が要るし……
でも、ここまで来たら皆信じてくれると思うんだけどね? 美樹さやかも含めて……
「うん、ほむらちゃんの御願いだったからね♪ 私としては探すのも面倒だったんだけどね……さぁ、御約束のほっぺにチューを頂戴♪」
まぁ、何時かほむらちゃんも決断して私に話してくれたように皆に話してくれるだろう……その日まで私は静かにほむらちゃんのフォローをする事に徹しよう。
彼女の願いが成就するようにと……
「はいはい……後でね……」
こんな時だからとニコヤカにキスを要求する私をジト目で睨みつつ、キスをしてくれると約束。
まぁ、多分有耶無耶にされるか、キスの代わりに拳が来そうな気もするけどね……
「そんじゃあ、先ずは私が下調べした方が良いかな? 警備員とか監視カメラとかも有るだろうし♪ 突破する時だけほむらちゃんの能力で御願い♪ こうすれば、ほむらちゃんの負担も少ないでしょ?」
「助かるわ。正直、時間をずっと止めてたらソウルジェムの負担も半端ないから。でも、アマタもずっと能力を使いっ放しだけど大丈夫?」
「私は大丈夫だよ。私の能力は召喚時に負担が掛るだけで、維持に関してはソウルジェムに影響は殆ど出ないと言っても過言じゃないからね」
ただし、脳への負担は有るけどね。勿論、それは口には決してしない。
口にすれば当然皆から使用の制限を掛けられるから。自分を犠牲にして皆を助けるなんて、ほむらちゃんとか杏子ちゃんは決して反対するだろう。だからこそ、彼女達には知られてはいけない。
つっても、死に至るとかじゃないから気にする事も無いけどね♪ ただ単に、脳が疲労して眠たくなったり糖分を欲したりするだけだから。
そして、甘い物を御腹一杯食べて体重が増えるぅ~!! 乙女として大切な物を犠牲にしてるような気がしてきた……
「それじゃあ、魂之眼球2個と烏1羽を突入させるね」
現在、他の場所を捜査している魂之眼球と烏の一部を操作し、大学病院に侵入させる。
正直な話、夜の病院って不気味だよねぇ……何か、今にも動く死体が出て来たりして、って、それ自分じゃん!!
と、笑えない一人突っ込みを脳内でしつつ、監視カメラや警備員の探索を行う。勿論、美樹さやかの探索も忘れてはいない。
そう云えば、死体は全裸にして上に白衣っぽい物を着せて司法解剖するって聞いたけど、もしかして今美樹さやかはノーパンなのっ!?
性格は嫌いだが、容姿は可愛い部類に入る。ふむ……ここは、少し私が得しても良いよね?
と、そんな冗談はさておき、次々と烏と魂之眼球を高速移動させ、監視カメラの位置と警備員の人数を把握して行く。
監視カメラの数は建物全体で20個。警備員は入口に1人、監視カメラから送られる映像を見る正式名称は分かんないけどそんな部屋に1人。巡回しているのが3名の計5名である。
そして、美樹さやかの死体が安置されてるのは地下1階に降りて、一番奥にある部屋である。矢張り事件性のある死体を置く部屋だけあって、監視カメラ等もしっかりと設置されている。
また、その美樹さやかの死体が安置されてる部屋の中に飛び込んだ私の烏が、誰かからじっと見られてるような違和感を感じる。監視カメラが多いからそのように感じる可能性もあるのだが……まぁ、実際に中に入って肉眼で見れば問題はないだろう……
この数の魔法少女が居れば、そこら辺の魔女には後手に回っても負ける気はしないし……時間を止めて侵入する訳だし。
「うん、大体の位置は把握し終わったよ。それで、今から向かうけど……美樹さやかの死体を回収した後、上条恭介はどうする気なの?」
「一旦、自宅に連れて帰り、二人でこれからどうするかを話そうかと……」
「その間は美樹さやかの死体は監視カメラに映らない事になるけど、それに対してはどうする気なの? と云うか、そこまで一人でどうやって侵入する気だったの?」
「うっ……後者の方は考えてませんでした」
「無計画ね……」
上条恭介の無計画さが浮き彫りになるたびに、ほむらちゃんが次々と突っ込みを入れる。
と云うか、前者に関しては対策してたんだ……もしかして、そのビニールシートに包まれた中身って……うん、大体何かは想像できたが聞かないでおこう……
「まぁまぁ、ほむらちゃん。だけど、この無謀無計画馬鹿(かみじょうきょうすけ)の御蔭で良いアイディアが思い浮かんだよ♪」
「嫌な予感しかしないけど聞いてみる事にするわ……」
「うん、私も嫌な予感しかしないからその拳銃の銃口を下げてくれる?」
変な事を言ったら撃つ気満々なほむほむを宥めつつ、平和的交渉を提案。
うん、まぁ……無理っぽいけど……
「アマタの会話の冒頭部分がまともと判断したら下げる事にするわ」
「まぁ、提案なんだけど。どうせ復活させるなら早い方が良いのではと、私は発言してみる」
「どういう事かしら?」
「美樹さやかの死体を司法解剖する前に復活させれば良いんじゃないかな? 時間を止めた状態で美樹さやかを復活させ、架空の人物に襲われて気付いたら病院のベットの上だったと、美樹さやかに発言するように求めれば良いんじゃないかなって♪」
「それは無理ね。私の能力の対象になるには発動時に触れてなければならないの。つまり、次の魔法を発動するまでのほんの一瞬の間は監視カメラに映像が残されてしまうわ」
「あっ、実はちゃっかりそんなルールが有ったんだ……」
初耳過ぎる設定に、少々驚き。でも、その反面であれだけ強力な能力だから当然それくらいのちっぽけな制約は有っても当然とは思うけど。
「へぇ、ほむらの能力って時間操作だったのか。どぉりで、ぽんぽんあっちこっち移動した訳かぁ」
そう云えば、まだ杏子ちゃんには能力教えてないんだっけ? て云うか、気付くの遅っ!?
「時間を止める力ですか? 暁美さんの魔法って凄いんですね」
「そうよ。上条恭介、この能力が有れば全国の女湯で覗き放題よ!! 私の能力や透視に並んで思春期の男子には羨ましすぎる能力ベスト3に入るわよ!! つまり、愛しの美樹さやかのあられも無い無防備な姿を拝見し放題と云う……ほむほむ、冗談だからトリガーを引くのは止めてくれないかな?」
「アマタ……ちょっと、御話しましょうか?」
二人へと助けを求めようと顔を合わせるが、杏子ちゃんはやや呆れ顔で取り出した御菓子(ロッキー)を食べ始め、上条恭介は何か妄想してんのか顔を赤らめて顔を伏せる。
つまり、現状孤立無援と来たか……
「ほむほむ、その御話は長くなるかな?」
「大丈夫、次話の冒頭までには終わらせてあげるから……」
私の頭を鷲掴みしニコヤカに笑うほむほむ。正直、目だけは物凄く細く睨みつけてるような感じが非常に怖い……
「ほむほむ、メタ発言はでっかい禁止っ!! あっ、私を引き摺って何処に連れてく気!? あっ、ど、何処を触ってるの!!」
「頭蓋骨よ?」
「じゃあ、その手に持ってる黒い物は何!?」
「拳銃よ? じゃあ、ちょっと御話しましょうか?」
「おっ、御願いだから……や、優しくしてね……」
脳天に走る衝撃。まぁ、その後の事は語るまい……R15指定になっちゃいそうだし……
では、次話に続く!!
↑
-------------------<次話>-----------------------------
↓
ほっぺにチューなんて無かったんだよ!! キスもチューもありゃしないわよ!!
えっ? 作品が違うって?
じゃあ、奇跡(キス)も、魔法(チュー)も、有るんだよ!! って、そんなシーンは無かったよ!!
折檻(せっかん)政治も、有るんだよ!! 主に肉体言語で叱られる場面しか無かったよ!!
摂政も関白もビックリだよ!!
「まぁ、取り敢えず美樹さやかの居る部屋に違和感を感じたから、行くだけ行ってみようよ」
「そうね。でも、アマタでも発見出来ない事って有るの?」
脳内に保存される記憶の引き出しから、幾ら引き出したり探したりしても、私に発見できなかった魔女及び使い魔、魔法少女はゼロである。
例え相手が結界内に隠れてたり、姿を消していてもである。
「そりゃあ普通の魔女なら楽勝だよ。今、ちょっと特殊モードを使って、その美樹さやかの死体が安置されてる場所を探索してるけど、見つからないんだよねぇ~……何かに見られてる感じはするんだけど……」
特殊モードこと熱源で探知するサーモグラフィーモード。前回、落書きの魔女を見つけたのもこのモードである。
ちなみに現在の美樹さやかは体温が一切無い為、真っ青な状態である。髪が青いだけに、体も青いのね。
「監視カメラが有るからじゃねぇのか?」
「う~ん、ヤッパリそうなのかなぁ……」
「行ってみれば分かると思いますので、取り敢えず行ってみましょうよ?」
「上条恭介♪ 調子こいて私に指図してると眼球を刳(く)り貫いちゃうぞっ♪」
力皆無、計画性皆無、そしてリア充。調子をこいて、先陣を切ろうとする上条恭介にちょっとイラッと来たので、スプーンを取り出して眼前でちらつかせる。
ちなみに、私が眼球を抉(えぐ)るのにスプーンを使うのは非常に効率的だからである。スプーン以外の道具だと眼球を綺麗に抉り取る事が難しいからね♪
やっぱり、何かと有ると他人の眼球を狙うのは、自分がそこにコンプレックスを持ってたからだと思う。それで、自分が持ってなかった物を持ってる人が羨ましいから……
「す、済みません……」
「じゃあ、ほむらちゃん能力の発動を御願いできる?」
「分かったわ……もう一度言うわよ。能力の発動中に私から手を離すと、その瞬間にその人の時間が止まってしまうわ。だから、決して何が有っても手を離さない事」
「でもよぉ、ほむらの手は二つしか無いだろ? で、アタシ達は3人だ。どうすんだい?」
「それは大丈夫。間接的に私の体に触れてるのなら大丈夫だから」
つまり、誰かを通してほむらちゃんを触ってるのもセーフって事だね♪ なんか、電気の伝導みたいだね♪
「じゃあ、私のソウルジェムをほむらちゃんが持ってる場合はどうなるの? 体は触れてないけど魂は触れ合ってる事になってるし」
「試した事が無いから確信は持てないけど、それでも大丈夫だと思うわ」
「じゃあ、私のソウルジェムを飲み込んで試してみる?」
服の胸部分に取り付けられているソウルジェムを取り外して手に取り、ほむらちゃんに挑戦してみないかと見せる。
「そんな事したら体内でソウルジェムが消化されて死ぬわよ……」
まぁ、案の定却下され、現実的な意見で返される。でも、あれよね……自分の魂がちょっとちょっと消化されていくのを味わうのってどんな気分になるんだろう……
いやいや、案外消化されずに……おっと、食事前の人が居たら拙いからこれ以上の発言は止めておこう。
「でも、ほむらちゃんなら、腹上死じゃなくて腹中死しても良いかな……私の魂はほむらちゃんの血となり肉となり」
「まだ懲りてないようね……冗談でも言っていい事と悪い事があるでしょ?」
前話最後から今話の開始までの間の御説教が脳裏にフラッシュバックしたので黙りこむ事に……
「脱線した話を元に戻すわよ。だから、絶対に時間を止めた状態で私と離れないで」
「おう」/「分かったよ♪」/「分かりました」
三人が頷いたのを確認し……
「それじゃあ、行きましょう」
私達は美樹さやかの居る場所へ向かう事にした……
「そう云えば、前に杏子ちゃんとスーパーに弁当を買いに行ったときにね。半額シールが貼られるや否や、惣菜弁当コーナーが無法地帯と化してたんだよ」
向かう道中矢張り無音では寂しいので、場の雰囲気を盛り上げる為に杏子ちゃんとの思い出話を一つ。
あ、それとだけど、手を繋いでる順番だけど、何が起きても良いようにと、私が上条恭介にちょっかいを掛けないようにという事で、左から杏子ちゃん、私、ほむらちゃん、上条恭介(そげぶ)と並んでいる。
両手に華ってこういう事だよね♪ まぁ、端っこに1匹余計なのが居るけど♪
「あぁ、そう云えばそんな事も有ったなぁ」
「それで杏子ちゃんと私が突撃して、半額弁当全部持って帰ったの♪」
「ふっ、茶髪と坊主頭の男が粋がってたが、アタシ達の相手にもならなかったな」
え? 半額弁当の話は止めろって?
作品が違う? さっきから一々煩いわね……どんなネタを使っても良いでしょうが?
「二人とも……御願いだから……時間は止まってると言っても、もう少し緊張感を持ってくれないかしら? あと、弁当は自分達が食べる分だけ買うのがルールよ?」
「でも、私と杏子ちゃんでちゃんと全部食べたよ? 弁当12食分」
「「って、食べすぎでしょ!?」」
当然の突っ込みが上条恭介とほむらちゃんから返って来る。
いやぁ~、確かにあの時はおなかパンパンになって暫く動け無かったよ♪
私が4食分で杏子ちゃんが8食分食べたんだっけ?
「食べ過ぎって? 食わないといざという時に動け無いだろ?」
「いや、食べすぎたら太り過ぎて動けなくなると思いますよ!?」
最近上条恭介は突っ込み役が板についてきたね。
ボケも突っ込みも出来る汎用キャラとは……新しいジャンルとキャラを確立する気なのかな?
「アタシ達魔法少女は体力使うんだよ」
うん、接近戦をする魔法少女は特にね♪ 杏子ちゃんが昔に廃教会でも言ってたけど、相当カロリー消費してるらしいしね♪
あ、ここでちょっとした豆知識だよ♪
人間が一日に生きる為に必要な最低エネルギーが体重×3kcalって言われてるの。つまり、体重50kgの人なら1500kcal必要って事ね。
これは一日中全く動かない時の値で、この数値に一日に動いたりした際に消費したカロリーがどんどん加算されていくの。
だから、逆の発想をすると、この数値より少ないカロリーしか1日に取らない場合は、逆に体重がどんどん減って行くわけ。
でも、筋肉が分解されて脂肪になるから、逆に体系的には太ってしまう事は有るけどね。
ほら、良く聞かない? 筋肉質な人だとBMIの数値が非常に高くなってしまう話とか?
「でも、そんなに食べてるのは貴方だけと思うわよ……私も美樹さやかも食事量は人並みよ」
「だから、胸が貧相なんだと思うよ」
マミさんの場合は少食だけど高カロリーなケーキとかを好んで食べてたから、あんな胸になったんだろうね。
御腹の脂肪の方はどうなってるか知らないけどね♪ どっちかというと、マミさんってぽっちゃり系だよね?
「アマタ、折檻(しばく)わよ?」
おっと、胸に関してのワードは拙かったらしく、遂に使う単語が綺麗な単語ではなくなって来た。
と、この様に最終的にはほむらちゃんも緊張感無しの状態で、次々と病院(ダンジョン)を進み、美樹さやかの元へと歩を進める。
道中で固まってる警備員にマジックで落書きしようとする、私と杏子ちゃんがほむらちゃんから頭突きを喰らったのは内緒にしておこう……
両手が塞がってる故の攻撃方だが、正直拳骨より痛かった……私は杏子ちゃんに「落書きは日本文化。YOU書いちゃいなよ」と勾引かしただけなのに……
そんなこんな様々なハプニングは有った物の、美樹さやかの死体が安置されてる部屋に無事に到着し、真っ先に部屋の中を確認する。
部屋の中には、簡単なベッドの上に横たわり顔と体ににシーツを掛けられている美樹さやかの死体。そして、天井の監視カメラと壁には少し不思議な絵が掛けられてるくらいだった。
絵には『Please find me』って書いて有るけど? 何て読むんだろう? 結構最近まで眼が見えなかった故に、漢字とか外国語とかは未だに分かんないんだよねぇ~……ローマ字もちゃんと読めないし……
まぁ、正直な話だけど、雰囲気にそぐわない絵くらいしか怪しげな点は見当たらない。
「さやかとカメラと変な絵しか無いじゃねぇか?」
「そうね……でも、この絵……プリーズ・ファインド・ミー、『私を見つけて』って書いてあるわよ?」
あぁ、プリーズファインドミーって読むのねアレ。
発言しないで良かった良かった♪ 私の無知っぷりを晒す所だったよ♪
「どう云う事だよ?」
「もしかしたら落書きの魔女の隠れん坊と関係有るかもしれないから、絵を持って外に出るわよ。杏子、外してくれる?」
「持って出たら、監視カメラ有るから拙いんじゃねぇのか?」
杏子ちゃんに絵を壁から外すように求めるが、杏子ちゃんが脳裏に浮いた疑問を投げかける。
「大丈夫よ、この監視カメラは固定されたまま動かない固定型だし、カメラが向いてる先は美樹さやかであって絵ではないから、問題無いわ」
が、ほむらちゃんもしっかりと確認してからの発言してた様で、間髪いれず大丈夫な事を伝える。
「じゃあ、外すな」
手が絵が掛けられている高さに届かないし、手を繋いでる状態では自慢の機動力も発揮できないので、武器(やり)を召喚し、先端部分を絵の掛け軸の凹凸部分に引っかけてゆっくりと手元へと降ろす。
長獲物だと、こう云う時とか背中が痒くなった時とか便利だよね。孫の手的ポジションって云うのかな?
マスケット銃だと、背中が痒いからって銃口で掻こうとすると、ちょっとした拍子にトリガーを引いてしまいそうで冷や冷やするんだよね……
今、そんな危険な物を孫の手代わりにするなって突っ込みが聞こえたような?
まぁ、気にしない気にしない♪
杏子ちゃんが絵を外したのを確認したら、再度ほむらちゃんは部屋をすみずみまで見渡し、撤退の合図をする。
ちなみに、一切上条恭介の発言が無かったのは、美樹さやかを見るのに夢中で、会話に参加してなかったようだ。
あっ、上条恭介の沽券に関わるので、別に体に掛けられている布を剥いで、裸を見てムラムラとかはしてなかった事を追記しておこう。
そして、私達はまたもや呑気に帰り道をわいわい騒ぎながら謎の絵を片手に練り歩き、出口を目指した。
ちなみに絵に関しては杏子ちゃんが片手で担いで持って帰る事になった。理由は手が空いてるのは端に居る杏子ちゃんと上条恭介だけなのだが、上条恭介は謎の物体を片手で抱えているため塞がってる為、持てる人が杏子ちゃんだけになって強制的に持って帰る事になったのだ。
「女の子に荷物を持たせるなんて、男として最低よねぇ」とか弄りながら帰ってて、帰り道にほむらちゃんが腕の骨を粉砕する気でギュッと私の手を強く握ってくれたのは良い思い出だった……
漫画とかに良くついてる軋む擬音と同じ物が静かな空間に鳴り響いたよ……というか、ギュっって擬音よりゴリゴリゴリって万力で締めるような擬音の方が良いのかな?
あっはっは、まぁ、痛みに関してはシャットダウンできるので痛くは無いんだけどね♪
そんなこんなで病院の敷地内から脱出した所で、ほむらちゃんは魔法を解除し、時間の流れを正常に戻す。
「杏子、さっきの絵を貸してくれる?」
「ほらよ」
いの一番に行った事は、先程病院から回収した絵の確認。真剣なまなざしで凝視。
絵の表面を何度も触ったりして執拗に確認をする。
確かにあの部屋の中で浮き過ぎだったとは言えども、ここまでほむらちゃんが執着するのは可笑しいので、私も魂之眼球を召喚し、サーモグラフィーモードにして集中して観察する。
だが、ほむらちゃんが触れてる場所以外の温度は一定で不審な点は見られない。
「ほむらちゃん、そんなにその絵が不思議なの?」
「えぇ……過去にはこんな絵は無かったもの……」
最後の方はぼそっと私にだけ聞こえる様に発する。まぁ、過去に無かった物が今回だけ出現するのは可笑しい。ましてや、こんな謎の絵がと云う事である。
今度は絵を額縁から外し、絵の裏面を見ると、ほむらちゃんの顔つきが変わる。
「思った通りね、落書きの魔女の結界を見つけたわ……」
絵を自分の方から裏返し、絵の裏面を私達に見えるようにしてくれる。
そう絵の裏には、黒く渦巻く結界の入口が描かれていたのだった……
どうりで、私の能力に引っかからない訳だ……
と云うか、絵の裏面に結界を作るなんて、正直誰も思うまい。私達も、ほむらちゃんが体験した過去のデータが無い限り、あんな場所から絵を持ち出して額縁から取り出すなんて真似はしないから、一生見つからず仕舞いに終わってたのは目に見えてる。
「ちっ、こんな場所に結界作りやがって……うんなん、誰も気がつかねぇよ!!」
「アマタ、残り時間は?」
「後1時間ちょっとは有るよ。結界の中の探索をする為に魂之眼球を侵入させるね」
ほむらちゃんが持ってる絵の結界の入口に次々と魂之眼球を飛び込ませて、先行部隊として内部の確認を行う。
結界の中の壁には沢山の可愛らしい絵が描かれており、結界はまるで巨大な美術館のようだった。
その巨大な美術館の置くにちょこんと置かれているパイプ椅子に目的の人物は居り、大きなキャンバスに美樹さやかの絵を描いて私達が来るまでの時間つぶしをしていた。
美樹さやかの絵はまるで本人が絵の中の世界に入ったのかと錯覚してしまう出来であり、またあまりに精巧な出来に、絵から出て来そうに感じしてしまう気持ち悪さも有った。
まぁ、取り敢えずは発見報告だね。
「見つけたよ。結界の中に普通に居るよ。トラップとか見当たらないし、絵を描いて遊んでる辺りから戦闘意思は感じられないよ」
「分かったわ。それじゃあ、行くわよ」
短いようで長い長い隠れん坊に終止符を打ちに、私達は結界の中に飛び込んだ。
さぁ、絵を描こう。
落書きでも良い、下手でも良い、描く事に意味が有るんだ
だから、僕は空を描きたい
鉄の鳥が飛んで居るあの赤い空を
後世の子供達に同じ過ちをしないように見せる為に
例え抑圧されても僕は描かないといけない
絵だけは自由で無いといけないから
~Draw the sky~