魔法少女あまた☆マギカ   作:星屑アマタ

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三十一話眼 ティロフィナーレ

『ふざけるな!! つまり、ワルプルギスの夜はアンタが生み出して来た被害者達なのよ!! それを何っ!? 理解の範疇の外? 違うでしょ!! アンタは私達を何だと思ってるの!!』

 

『じゃあ逆に聞くけど、君達は牛や豚を何だと思ってるんだい? 僕達にとって人間と言う生物はそういう存在なんだ。自分達がするのは良いけど、されるのは嫌だと云うのは少し我儘だと思うよ。それに、僕達は君達の願いを叶えてあげている。寧ろ、君達が家畜にしている事よりも遥かに良心的だと思うけどなぁ?』

 

 キュウべぇの言ってる事は確かに的は得ている。もしも、牛や鶏等が人間と会話が出来るなら同じ事を言うであろう。

 つまり、自分達がされるのは嫌と云うのは些か都合が良すぎると言いたいのだ。

 

『私達はアンタとは違う!! 私達はちゃんと食べ物に感謝してる。命を戴くから感謝して『いただきます』って言うんだよ!!』

 

『どうしてアマタがそんなに剥きになって反論するのか僕には理解できないよ』

 

『キュウべぇ、きっとアンタには一生経っても分からないと思うわ』

 

 感情が無いと云うだけで、ここまで生物とは違う思考になるのだ……

 でもねぇ……だからこそ、私達は時にはアンタ達には理解も出来ない奇跡を起こすのよ!!

 

『良いわよ……じゃあ、ここで宣言してあげるわ。私は絶対にワルプルギスの夜に負けないし、まどかちゃんを魔法少女にしない!! 例え、私が死のうとも魔女になろうとも絶対にアンタの思う通りにはしないからね!!』

 

 アンタにとって私達が家畜なら、家畜なりに暴れてプランを崩壊させてあげようじゃない。

 

『アマタ言い間違えてるわよ。私はじゃなくて私達はでしょ?』

 

『何を一人恰好つけてるんだ? アタシ達もこいつの思い通りに事が進むのは癪なんだよ』

 

『ここでワルプルギスの夜を倒さないと、のんびり絵も描けないからね♪』

 

『皆、ありがとう……』

 

『ならば、やってみると良いさ、星屑アマタ、暁美ほむら、佐倉杏子、美樹さやか、絵意キレイ。僕が予想する、君達には見る事の出来ない未来を手に入れる事が出来るならね』

 

 キュウべぇからの挑戦状。

 矮小な獣風情が……調子に乗らないでよ!!

 魂之眼球の一つが戦場から立ち去るキュウべぇの姿を映す。

 その無防備な背中を烏の一匹でも送って襲い殺してやろうかと考えたが、ここで戦力を割くのも拙い為我慢。

 

 キュウべぇの闖入により、腹は立ったが、言葉の一つ一つが怒り方面でだが起爆剤になり、皆の勢いが強まり、魔法少女の怨念を押し返し始める。

 勿論私も、奴の思い通りにしたくないと云う気持ちと、その犠牲者であるこの魔法少女達を楽にしてあげようと云う気持ちが強まり、その思いに呼応してソウルジェムが輝きを増す。

 

 剣を横に振って私に切り掛って来た魔法少女の足に払いを素早く入れ、態勢を崩させ頭に拳銃の弾丸を叩き込む。

 何度もトリガーを引き離しを繰り返し、動かなくなるまで撃つ。

 残酷な仕打ちかもしれないが、相手は数多の魔法少女達の怨念の集合体。何人いるのかは分からないが一人ひとりに気を配ってあげるのは少し難しい。

 だから、飽く迄効率主義な倒し方になってしまうのは致し方ない。

 

 その為にも大きな戦力となる使い魔が欲しい……

 

 未来の道が見えない私だけでなく、この犠牲者達を無事に天国に導いてくれる盲導犬……

 

「イメージしろ……私ならきっと出来る……」

 

 マミさんの猛攻をいなしつつ、使い魔のイメージを次々と構成する。貧弱な私をサポートしてくれる人型、俊敏な動きを可能とする細いが筋肉質な足に軽い体。

 黒色の体毛に包まれ、優しい二つの目。赤い首輪に黒色のスーツを身に纏う御洒落も忘れずに♪

 

 そんな盲導犬(つかいま)を私はイメージした……

 

 そして、固まったイメージを元に……

 

「出て来なさい!! 私達を導いてくれる存在……『ウィルヘルム』!!」

 

 強く盲導犬(つかいま)の名前を呼んだ……

 

 すると、私の周囲が昔初めて烏を呼びだした時と同じ暖かく懐かしく頼もしい空気に包まれ、巨大な魔法陣が足元に出現する。

 巨大な円形の魔法陣の中には無数の魔女文字と呼ばれる、私には理解できない不思議なルーンがビッシリと書き込まれている。

 その魔法陣から犬の顔が出てきて、徐々に首、肩とどんどん地面からタケノコのように物凄い速度で生えて来る。

 そして、体の全てが魔法陣の中から出ると、軽くスーツの埃を犬の顔をした人型の使い魔は払い、私に膝をついて空気も読まずに挨拶する。

 

「初めまして、我が偉大なる魔女アマタ御嬢様」

 

 って、人語喋った!?

 普通使い魔って人語話さないよね。召喚した私が魔法少女だから、偶然イレギュラーな存在として生まれたのかな?

 まぁ、意思疎通が楽だから私としては大助かりだけどね♪

 

「あぁ、イエスイエス。取り敢えず、空気読んで? 今、私が何してるか分かる?」

 

「マミ御嬢様と銃火器を用いて戦っておられますね」

 

「でしょ? だから、手短に話を済ませたいの。それでね、ウィルヘルム。御願いが有るの」

 

「何で御座いましょう?」

 

 召喚されて初めての御願いに使い魔は嬉しそうに尋ね返す。

 

「ほむらちゃんの援護に行ってあげて。ほむらちゃんをこの不毛な世界から外へと導いてあげて。盲導犬の使い魔『ウィルヘルム』」

 

「畏まりました。このウィルヘルム、最善を尽くしましょう」

 

 私にウィルヘルムは敬礼し、コンクリートで舗装された道路を駆け抜け、空へと軽快にジャンプしほむらちゃんと並走……空を飛んでるから並飛って云うのかな?

 まぁ、言葉の言い回しなんてどうでも良いや。行き成りの使い魔出現に驚きを見せるほむらちゃんに先ずは軽く事情と情報を連絡かな。

 

『ほむらちゃん、今そっちに私の使い魔行ってるでしょ♪』

 

『えぇ、犬の顔をした人型の使い魔が人語を喋って、現在自分は何者か説明してくれてるわ』

 

『ウィルヘルムって言うんだけど、ほむらちゃんの好きなように使って頂戴。あとね、ワルプルギスの夜の正体が分かったよ♪』

 

『魔女にならなかった魔法少女達の末路でしょ? キュウべぇとの念話は聞かせて貰ったわ……アマタ、ありがとう……』

 

 あれれ、念話盗み聞きしてたの?

 戦闘の邪魔になるから重要な話が有る時以外は聞けないとか言ってたくせに♪

 この寂しんボーイめ♪ あ、女の子だからガールだったね。テヘペロ♪

 

『何の事に対してかな?』

 

『まどかを絶対に守るってキュウべぇに言ってくれた事よ』

 

『当たり前じゃん。ほむらちゃんも、まどかちゃんも友達なんだから』

 

 マミさんの振うマスケット銃の横薙ぎを躱し、拳銃を投げ捨て再びマスケット銃を召喚。

 マミさんが新しく引き抜いて向けるマスケット銃の長い銃身に、私も素早く引き抜いたマスケット銃を振い当て銃口の位置をずらして自分を直線状から外す。

 

『だから、今度こそ絶対にハッピーエンドにするから、ほむらちゃんは絶対に挫けないで!!』

 

『分かったわ』

 

 念話が切れると、乱打の所為で乱れた息を軽く整えて、再び推して押して圧し通す!!

 マミさんとの戦闘は既に最初の時は異なり、互いにマスケット銃を銃器としてではなく鈍器として扱い、互いに長い銃身を打ちつけ合って、そのトリガーを引く機会を窺う。

 地面のコンクリートを靴が弾く音と、マスケット銃のぶつかり合う鈍い音。そして、皆の戦う戦歌。

 

 絶対に勝つと云う執念がひしひしと伝わって来る。

 

「絶対に負けられない!!」

 

 そう叫んで、私はマミさんのマスケット銃を強く弾き飛ばし、マミさんのバランスを崩してから、素早くマミさんの額に銃口を突き付けた。

 私の勝ちは絶対的に見えたその時に……

 

 本当の魔女達之夜祭(ワルプルギスのよる)は始まった……

 

 一斉に私の魂之眼球がワルプルギスの夜から分離される何十と云う魔法少女の怨霊を捉えたのだ……

 

 たったの8体でも苦戦していたのに……

 

 こんな事って……あんまりだよ……

 

 魂之眼球が次々と捉える映像は、その怨霊の濁流に飲み込まれコンクリート舗装された地面へと叩きつけられるほむらちゃんとウィルヘルム。

 ウィルヘルムに至っては、ダメージが想像以上に高かった為か衝突と同時に消滅している。

 

「ほむらちゃん、ウィルヘルム!?」

 

 そして、そのあまりの光景に気が反れた私も……

 

「あっ、あぁあああああああああああああ!?」

 

 突如と脳裏に走る痛み、肌を伝う熱、鼻にツンッと来る鉄の香り。そして、眼前には震える手でマスケット銃を手に持つマミさんの姿。

 脳裏に映る複数の映像の中でも最も大切な自分の眼球で見るオリジナルの映像。そのオリジナルの映像の大きさが三分の二程度に縮まったのだ……

 痛みを遮断し、魂之眼球を使って自分の体に起きた異常を確認する。

 すると、そこには……

 

「目が……私の目が!?」

 

 右目の眼球が有った場所が抉られ、右目の周りを真っ赤に染め上げた醜い私の顔が……

 

「アマタ、大丈夫か!? アマタ、右目が……」

 

 私の叫び声を聞き、心配した杏子ちゃんが慌てて掛け寄ってくれるが……

 

「来ないで!! 見ないで!! 私の顔を見ないで!!」

 

 私は我武者羅に手を薙いで、杏子ちゃんを遠ざけようとしてしまった……

 自分の醜い顔を友達に見られたくなかったからだ。

 

「うっせぇ!! 今はそんな事を言ってる場合じゃないだろ!! さやか!! アマタの止血を頼む!!」

 

「分かったわ!! キレイ、暫く一人で持ちこたえてくれる!?」

 

「分かった!! さやかは、早くアマタの所に行ってあげて!!」

 

 杏子ちゃんは、私達の中では最も回復魔法が上手と判断したさやかちゃんを呼び、私の止血を依頼する。

 

「呼ばなくて良い!! 今の私の顔を見られたくない!! こんな醜い私の顔を見ないで!!」

 

 大好きなマミさんに攻撃されて眼球を撃ち抜かれた事よりも、眼球を失った事よりも、大好きな皆にこんな醜い顔を晒す事が何よりも悲しかった。

 皆に気持ち悪がられて、嫌われてしまう。気持ちを吐露し、必死に片方の手で目を押さえるが……

 

「アマタは醜くなんかねぇよ!!」

 

「そうよ。ほら、さっさと傷口を出しなさい」

 

 片方の眼球を失い、血塗れの醜い顔を直視しても顔一つ背ける事無く、私の治療をしてくれる。青色の光が私の顔を覆い、傷口を次々と塞いで止血してくれる。

 そして杏子ちゃんとキレイちゃんは、治療中なのをも御構い無く襲いかかって来る無数の黒い影達を自身の身がどれだけ傷付こうと顧みず、文字通り体を張って私の為に追い払ってくれている。

 

「ねぇ、眼球が片方しかないけど、私の事を嫌いになったりしない?」

 

「何馬鹿な事言ってるのよ!! 嫌いになる訳、ないでしょ? ほら、簡単な止血は出来たわよ」

 

 止血は出来ても眼球の修復までは出来なかったみたいで、私の顔からは宝石が一つ失われた……

 だけど、友達は失われなかった……嫌われなかった……

 

 再び目を失って悲しい筈なのに、不思議と嬉しかった。さやかちゃんの言葉は、私にとってはどんな宝石(めだま)よりも輝きを持ち価値が有ったのだ。

 

「ありがとう……さやかちゃん……もう、大丈夫……変な事言ってごめんね……あと、治療ありがとう」

 

「どういたしまして。本当にマミさんの相手は一人で大丈夫なの? 私も手伝うわよ?」

 

「大丈夫。それにね……」

 

 私の眼球を撃ち抜いたマミさんに似た何かは、眼前の敵を倒した事で狂喜に顔を歪ませる訳でもなく、寧ろ唖然としていた……

 もう弾丸の入っていない空のマスケット銃を地面に落とし、そのままヒステリックに叫び謝り始めたのだ。

 

『私は……私は……アマタちゃん……ごめんなさい!! そんなつもりは無かったの!!』

 

 何度も謝って許しを乞う。

 

『だから!! だから、私を嫌いにならないで……』

 

 元は死んでいった魔法少女たちの魂が暴走しているとはいえど、生前の記憶や性格は引き継いでいる。マミさんが寂しい寂しいと吐露していたのは本音であり、中の良い誰かと一緒にいたいという気持ちは本当だったのかと思う。でも、その誰かを傷つけてまで、大切な物まで奪う覚悟までは決めれなかったのだと思う。だって、マミさんは本当は優しい人だから。

 

「もう、マミさんは戦えないから……それより、急いで杏子ちゃんとキレイちゃんの援護に行かないと……」

 

 魔法少女の怨念の第二陣も加わり、さらに戦況が悪化し、最早戦闘と云う生易しい物では無くなったのだ。

 

 ―蹂躙―

 

 圧倒的な戦力差に一瞬にして、杏子ちゃんもキレイちゃんも吹き飛ばされて叩きつけられ動かなくなる……

 

 その悪夢の様な光景を黒色の少女は見て、涙を流した……

 

 

 

 諦めたくない……この連鎖を終わらせたい……最早遠のく意識の中、滝のような涙を流しながら懇願する少女……

 何度も、何度も……無限回廊の初期地点に飛ばされても歩を進め、様々な横道に入るも元の場所に戻される……

 今度こそ、上手く行くと信じて万全の揃えで挑んでも、不条理な力の前にこうして……屈するざるをえない……

 

 そんな彼女の姿を見ていると、まるで自分の事のように胸が痛み、私の眼にも涙が浮かぶ……

 

 私達は似た者だから……

 

 だから、痛い程……その気持ちが分かる……

 

「ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる」

 

「まどかっ……そんな」

 

 そんな思いのほむらちゃんの側に現れたのは、彼女が守りたいと止まなかった少女……

 だが、少女は傍らにはキュウべぇを連れて、悲しむ顔のほむらちゃんを見て微笑んで宣言した……

 

「私叶えたい願いが有るの。だから、その為にこの命を使うね」

 

 まどかちゃんは言葉を続ける。ほむらちゃんの今迄を皆の頑張りを無駄にしないと。

 それでも、自分自身を犠牲にする事には変わりない……

 

 優しいから故の選択……

 

 だけど、そんな事はほむらちゃんは望んでいない。

 

 ほむらちゃんは、ずっと一緒にまどかちゃんと居て、まどかちゃんを守る事。

 

「今行きますよ、マミさん。ずっと、一緒に居てあげます。貴方は一人じゃないんですから♪」

 

「アマタ!? アンタ何をする気なの!?」

 

 私の眼球を撃ちぬいたマミさんの負の残滓に微笑み掛け、マスケット銃をキュウべぇへと向ける……

 

「さぁ、鹿目まどか。その魂を代価にして君は何を願う?」

 

「私……全ての魔女を産まれる前に消し去り―――」

 

 まどかちゃんが願いを言い終わる前に弾丸を発射する。

 

 私の一撃はキュウべぇの頭部を的確に撃ち抜き、吹き飛ばす。

 それによって、あと僅かで叶えられていたであろうまどかちゃんの願いは叶えられず。

 

 そして、次に驚いているまどかちゃんへと、新しく召喚したマスケット銃の銃口を向ける。

 

「全てを円満に終わらせるには、こうするしかないの……ごめんね、まどかちゃん、ほむらちゃん、さやかちゃん……」

 

 驚く面々を余所に、私はまどかちゃんへとトリガーを引く。

 

 私のマスケット銃から発射される弾丸は、まどかちゃんに当たる直前で爆ぜて、まどかちゃんとほむらちゃんを包むように濃霧をばら撒く。

 煙が晴れた後には、目を閉じている二人の姿がある。

 咄嗟に睡眠効果を含んだ弾丸を召喚してみたが、意外と上手く行く物だね♪

 

「アマタ、まどかとほむらに何をしたのよ!?」

 

「大丈夫だよ、さやかちゃん。二人とも、眠ってるだけだから。今から、私がする事を二人に見られたくないしね♪ だから、さやかちゃんも今から私に何が有っても絶対に止めたりしないでね」

 

 きっと、私のこれからする事はまどかちゃんと一切変わらない自己犠牲の選択肢。

 主戦力のほむらちゃん、杏子ちゃん、キレイちゃんがダウンした今、私とさやかちゃんだけではまともに戦った所では到底ワルプルギスの夜に勝つ事は不可能だろう。

 

 まともに戦った時の話だが……

 

「マミさん……貴方を救います。私を魔女から救ってくれたように、今度は私が貴方を絶望から救います……」

 

 私はゆっくりと歩を進め、未だ謝り続けているマミさんの怨念を力強く抱く。

 途中で他の魔法少女の負の怨念が私に武器を突き刺すが、生憎ソウルジェムには当たらないように躱しつつ……辺り一面に真っ赤な液体を肉体から飛び散らかしながらも、無数の武器によってハリネズミになりつつも……

 私は決して歩を止めず、マミさんをしっかりと……強く……抱いて、囁く……

 

『アマタちゃん、私を許してくれるの?』

 

 マミさんの問い掛けは疑問。眼球を撃ち抜いた人間をどうして愛すのか、黒一色の為表情などは一切ないが、もし表情が有るのなら理解出来ない顔をしているだろう。

 

「マミさんが大好きだからです。例え私の眼を奪ったとしても、あの救って貰った日から私の全てはマミさんの物ですから、マミさんを責めたりしません。それに、マミさんは私を妹の様に可愛がってくれました」

 

『私は……私は……貴方を利用しただけなの……一人が寂しくて怖くて……鹿目さんも美樹さんの時もそう……だから、一緒に居てくれる人が欲しかっただけなの……』

 

 そう言って、私に懺悔を求めるマミさん。

 私も同じだから……孤独を恐れ、愛を渇望した私も……

 

「良いんですよ。私もそうでしたから……親を亡くしてから誰も私を見てくれなかった。私に話しかけて来た人間は私を通して私の親を見ていただけ……私もマミさんを利用して、孤独の淵から抜け出そうとしてました……御相子様です……」

 

『私は……私は……』

 

 嗚咽……マミさんを受け入れたその時から、ワルプルギスの夜を含めて他の影の動きが一斉に止まる……私の言葉を傾聴するかの様に顔だけ私に向けて……

 まるで、ほむらちゃんの魔法を使って時間が止まったかのようにピタリと動きを止める……

 自分達も受け入れて貰う為に……救いを求めるかのように……

 

 そこで私は初めて、ワルプルギスの夜になった魔法少女達は寂しかったのではと云う考えに辿りついた。

 孤独に闘い、孤独に死に……そんな魔法少女達の負の怨念が居場所を求めて集まり、暴走して……

 

 仲間を増やそうとして……町を襲撃していたんだと思う……

 

 でも、本心はきっと自分達を受け入れてくれる人を求めていたんだと思う……

 

「えぇ……もう、マミさんは一人ぼっちじゃないんです……だから、もう苦しまないでください。私も……この囚われた魔法少女達の怨念を……解放したら……マミさんの傍に行きますので……それまで待ってて下さい……」

 

『本当に傍に居てくれるの?』

 

「はい、私なんかで良ければ一生傍に居ます。天国でも地獄でも何処でも一生傍に居ます。ウザイって言われても、気持ち悪いって言われても空気の様に一生傍に居ます。なんたって、私はマミさんの後輩で妹ですから♪」

 

 もう片方しか残って無い眼球で、気絶した魔法少女達を……大好きな友達の見納めをする……

 彼女達の御蔭で私は生きる楽しさを、優しさを、思い出を……大切な物を一杯貰った……

 

 だから……最後に……

 

「ありがとう……みんな♪」

 

 

 

 私からのプレゼント♪

 

「アマタ、止めなさい!!」

 

 唯一未だ意識を持って、戦場に立つさやかちゃんが私の意図に気付いて止めようとする。

 

「大丈夫、マミさんの所に行くだけだから。マミさんだけ一人ぼっちじゃ可哀想でしょ? ねぇ、さやかちゃん。最後に御願いして良いかな?」

 

「何を御願いする気なのよ!? 最後なんて言わないでよ!!」

 

「この事は皆には内緒だよ♪ あっ、言うにしても皆が色々と落ち着くと予想される1カ月後くらいまでは可愛いおんにゃの子の御尻を追い掛けに行ったとか言って適当に誤魔化しといて♪」

 

 もう純白とは言えない鼠色のソウルジェムを、猟犬の魔女から回収したグリーフシードで完全回復させてぎゅっと握り、全ての魔力を注ぎ込み、魔法を発動させる。

 敢えて委員長の魔女では無く猟犬の魔女のグリーフシードを使ったのは、猟犬の魔女になった魔法少女はギリシアでワルプルギスの夜討伐に参加して無念に朽ちた一人だから。ワルプルギスの夜討伐の同士である彼女にも最後くらいは少し見せ場をあげないとね♪

 私の足元からハシバミが萌え出でその枝が無数に絡み合う事で、巨大なマスケット銃を編み出しつつ、私を空高く持ち上げ、ワルプルギスの夜が浮遊する高さと同じ位置まで持って行く。

 地上では必死にさやかちゃんが、私を止めようと叫んでいる……もう、さっそく約束破っちゃって……そんな事されると決心が揺らいじゃうじゃん……

 

 本当に私って馬鹿だよね……

 皆と一緒で、自分を犠牲にして全てを解決しようとし、皆を悲しませてしまってるんだもん……

 結局はまどかちゃんと一緒だよね。

 

 でもまぁ、この町に来てから本当に私も変わったよねぇ~。

 マミさん以外の人を好きになって、友達になって、その子の為ならこの命が少しも惜しくないと思えるようになって……

 

 まぁ、今回はキュウべぇに負けるのが癪と云うのも一里有るんだけどねぇと、アマタは少し死ぬ前に強がってみてみたり。

 ふふふ、まぁ感傷に浸るのはこれくらいにしといて……

 

 全てを終わらせよっか?

 

「さぁ、ワルプルギスの夜……いや、元魔法少女のみんな……最後に盛大な花火を打ち上げて、この祭りを終わらせよう!! 良いよ、私が皆一緒に面倒を見て、可愛がってあげるから♪ あっ、でもやっぱり一番はマミさんだよ♪ まぁ、私がずっと一緒に居てあげるからさ……」

 

 私のソウルジェムに次々と亀裂が入り始め、ガラスが割れる特有の音を奏でる。

 

「もう、安らかに眠ってね」

 

 正真正銘これが私の最後の一撃。

 

「最終(ティロ)・砲撃(フィナーレ)!!」

 

 そして、世界は七色の光に、私は黒色の闇に包まれた……

 

 

 

本来なら名もなき数多の星屑の様に、私は誰にも知られる事無く死に行く定めだったが、皆に会った御蔭で立派な一つの星として輝く事が出来た。

そんな私が最後にしてあげれるのは、彼女達の願いを叶えてあげる流れ星となってあげる事くらいかな?

もしかしたら、私は人に騙されて戦争を画策し混乱させて、自身は首を吊り自殺したアマタの様な人間だったかもしれない。

でも、私は皆に愛して貰える人間になりたかった……

AMATA、イタリア語で『最愛の人』の名を冠する私は、貴方達に愛される人間になれたでしょうか?

 

la mia amata~私の最愛の人~

 

アマタの意味一覧

amata K.Reinmuthの発見したBクラスの小惑星の名前

amata イタリア語で最愛の人の意味

amata ローマ神話の悲劇の姫(ユノーの配下であるアレークトーに扇動され戦争を画策し、最後は自身が首吊り自殺をした事で有名)

amata クメール語で『不滅、永久的、不変の』=平和と云う意味

数多 日本語で数多くの意味

 

 

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