SSをまとめる用   作:到頭

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戦場から死に戻りを果たした聖園ミカ。
彼女はハッピーエンドを目指し覚悟を決める。


聖園ミカ、BADENDに槍を打て

ナパームの焼ける匂い

つんざくような、嫌な匂い

夢見の悪い硬いベットとすら形容し難いそれから体を起こし、銃を取る。

トリニティ=ゲヘナ戦争、エデン条約の古聖堂から始まったこの戦争は…アリウスのヘイローを砕く弾丸により、屍の匂いがいつも付き纏ってる。

…今やトリニティの上層部もお姫様も、兵士として前線にいる。

桐藤ナギサは死んだ、謀殺だったそう。

百合園セイアはついに目覚めなかったそう。

実は生きていたこと、しかし…ただ1人そこ知らない絶望を抱いて夢に沈んだこと……その後にミネ団長から聞いた。

聖園ミカ……私は、その強靭と人並外れた強さでほしくもない左胸の勲章を8つも並べ、照準を合わせることすら出来ない目を引っ提げて、前線を走っていた。

「.....もしかして、ハメられた?」

それに気づいたのは袋小路の廃墟の奥で味方だったはずの6人に銃口を向けられていた時だった。

「お前の存在は邪魔なんだよ。聖園ミカ!」

「角付きが、私に銃を向けて何様のつもり!」

手に持ってた獲物を投げて威嚇するが……銃は取られてるし、私の体はもうボロボロ…

「魔女でありながら英雄であるお前は、たった1人で何人殺した?」

「ゼロだよ」

「嘘を言うな!いつまでお嬢様気分だ!」

「角付きは"人"に入らないでしょ?」

「このクソアマがぁぁぁ!」

1発…また1発、私に弾丸が打ち込まれる。

痛みもなく、恐怖もなく、私はただそれを静かに感じ取っていた。

(ぁあ、やっと……終わるのか。…)

「せん…せぇ」

「そいつはもう死んだ!!!」

(最後に思い出すのが…先生だなんて……ね。……ナギちゃん、ごめんね…。願うことなら…ナギちゃんにセイアちゃんとまた話したい………)

 

ピピピピ

「ミカ様、お時間です。起きてください。」

「……ん、んぅ…………えっ?」

「え?は?い、生きてる?」

「目も見える…?」

いつぶりだろうか、両目が光を捉えるのは。

両耳が正しく音を捉えるのは。

ふかふかで幸せな夢を見れそうなベットの感触を何年ぶりに感じただろうか。

ふと、カレンダーに目をやる。

「……エデン条約の何ヶ月も前」

どういうこと?私はあの日確かに死んだはず。

「ミカ様?そろそろお起きにならないと遅刻してしまいますよ」

「今行く!」

ベットから飛び起き、扉に向かう。

「いてっ!?」

何年も前に翼は引きちぎられてしまったから…失念していた。壁に翼をぶつけるなんて、私もダメだな〜なんて思った。

「いててて、」

色々…思うところはあるけど

「……学校、楽しみ」

痛みは感じる。目は見える。

耳だって鮮明に音を聞き分けてる。

まるで嫌な夢のように感じる"この記憶"

けれど決して夢なわけがない"この記憶"

輪廻転生、……いや死に戻り?どこかの本か何かで見たそれの当事者に私はなった。

「…おはようございます……」

「ミカ様、何か良いことでもあったのですか?」

「あっ、えーーーっと……」

「うんん、まだないよ。ただ今から起きるんだよ」

学校に行けばきっとナギちゃんもセイアちゃんもいる。……今度は間違えない。

「…?はぁ、そうですか」

やり直そう、今から…私の"青春の物語(ブルーアーカイブ)"を

トリニティ総合学園

「パテル」「フィリウス」「サンクトゥス」の三つの派閥からなるお嬢様学園。

政争は絶えず、悪意に満ち溢れているこの学園で、私はパテル分派首長

この扉の先に行くのはいつぶりだろう。

ティーパーティ...紛争をやめ、統合へ動く際に生まれた和平組織とでも言うのだろう。

しかし、隠された歴史…もう一つの分派"アリウス"…トリニティ=ゲヘナ戦争の裏の暗躍者

さらに言うなら"アリウススクワッド"彼女たちが問題の根幹...また後で、考えよう

「ナギちゃーん!!」

勢いよくなるべく平常を保とうとしつつも漏れ出してしまう期待を声に乗せて扉を開ける

「やっと来ましたか、ミカさん」

「おてんば娘はいつも通りうるさいな」

「セイアちゃんひどくない!?」

「いつものことだろう」

ああ、2人だ...日常だ。帰って、帰って来れたんだ...

「...ミカさん?大丈夫ですか」

「えっ?あっ...ごめんっ、ちょっとお花摘んでくるね!」

「...セイアさん、言い過ぎたのではないですか?」

「…ミカはあの程度で"泣く"やつではないと思っていたのだが」

ダメッ、もう少しだけ....出ないで

乱雑にトイレの扉を開けて中に入る。

誰にも見られてないだろうか…その疑問ばかり脳を巡る。

前の世界、ナギちゃんの訃報を聞いたのは泥沼の塹壕だった。

〜〜〜〜〜〜〜〜

「...は??」

「ですからっ、ナギサ様のお飲み物に毒が盛られていたようで…」

「本日未明、息を引き取りました...」

「今23時だよ!上層部からなんの発表もなかったんだよ⁉︎」

「……ナギサ様がお亡くなりになられたことでの、士気の低下を憂いているようでして」

「.....ッッ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

セイアちゃんの訃報を聞いたのは野戦病院の土臭いベット上で救護騎士団の団長が来た時だった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ミカ様、ですよね」

「....誰」

「救護騎士団団長の蒼森ミネです。」

「...治療に来たの?」

「お話がありまして」

「話?」

「セイア様が襲撃を受けたあの日、私はまだ息のあったセイア様と共に隠れていました。」

「.....」

「セイア様が先日、目覚めなくなりました。」

ゆっくり体を起こす、痛いし動いちゃいけなかったけど、そんなの考えてられなかった。

「なんで!!!!」

できる限りの力で目の前にいた蒼森ミネを殴り飛ばした。他の病室まで飛んでいくほどの力で殴り飛ばした。

「なんで!!なんで!!救護騎士団の団長がそばに居たのに!死んでるのさ!!!救護騎士団なんでしょ!!返してよ!先生も!セイアちゃんも!!」

「ミカ様‼︎セイア様は死にました。先生もエデン条約のあの日から目覚めていません!」

「返せって言ってるの!それが、あなたの仕事でしょ!!」

「...ミカ様、セイア様も先生も死にました。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あの後のことは正直よく覚えてない

「うぇ...げほっ、ごほっごほっ..グスッズズズッ」

私の嗚咽と鳴き声が部屋に木霊する。

虚しく、ただ響く。

「...私が助ける、ナギちゃんもセイアちゃんも、先生も助けるから」

誰も頼れない。頼らない。その生き方を私は知ってるから、

「ッッ...アリウススクワッド、錠前サオリ。あんたらを殺してでも私は2人を守るから」

そろそろ戻らないと...乱れた髪とやつれた顔を直して、トイレを出る。

銃を強く握る。

痛いほど強くに握る。

覚悟はできた。

数時間後

いつぶりだろう、ナパームの焦げた匂いを嗅がなかったのは。

いつぶりだろう、砲撃の爆音を聞かなかったのは

いつぶりだろう、仲間の今にも死にそうな声で助けを求められなかったのは

いつぶりだろう、ナギちゃんとセイアちゃんとティーパーティを囲ったのは

「はぁぁぁ、取り繕えた気がしないよ〜...」

自室で1人、私は悶絶していた。

仕方なくない⁉︎

何年ぶりかもわからない戦争じゃない日常だよ⁉︎.....これからどうしよう。

たしか、前は...アリウスに接触して、

白洲アズサって子を和平の使者にしようとするんだけど、

色々拗れて…セイアちゃんを襲撃するに至って、

それでナギちゃんが補習授業部?ってのを作って、アズサちゃんは退学になって、

「ああもう!どうすればいいの⁉︎」

アズサちゃんは確実に鍵になる。だから連れてくる必要がある...と思う。

連れてきて、セイアちゃんは襲撃させないで

うーーーーん、けど…そうすると先生を呼ぶ口実がなくなっちゃう。

「難しい...難しすぎる」

けど、やらなきゃ...私がやらなきゃ。

一つずつ整理しないと...

まず、アズサちゃんはこっちに呼ぶ。

次に、セイアちゃんを襲撃して殺したと見せかけて離脱させる。

ナギちゃんが焦って補習授業部を作って先生を呼ぶ。

あとはアズサちゃんが退学しないようにはしないと。

とりあえずまずは、アリウスに行かないと...あまりに大きく動くと未来がどうなるかわからない...

だから私は絶対に踏んだらいけない轍だけを避ける。

「セイアちゃんみたいな予知夢が欲しいなぁ〜!」

けど、そんなものなくて...願うだけ無駄だよね。祈るのはやめたから

幸せは自分で手に入れるって、そう決めたから

「いこう、アリウスに」

今日は学校休んで、そうでもしていますぐいかないと

 

~~~~アリウス分校~~~~

ここに来たのはいつ振りだっけ。戦争が始まってからは行けるわけもなく、

「久しぶりだな~」

でも、こんなことも言ってられないや、錠前サオリ。すべての元凶たるあいつにこれから会うんだから

...今は前と同じような感じに取り繕わないと

「はじめまして☆あなたアリウスの生徒だよね」

「いい日だね。花が風になびいて小鳥のさえずりも聞こえ...」

「用件だけ言え、トリニティ。」

...私どんな風に話してたっけ、怒りで手が出そうだよ。

「うわぁぁ、いかにもって感じだね。...じゃあ本題からね」

 

「私はアリウスと和解したい。」

「和解...?」

「あなたたちはきっと受け入れられない。けどトリニティ(私たち)は恨む理由がないから」

「たとえアリウス(あなたたち)が恨んでいても」

「恨みがないだと、ならなぜアリウスを追放した、歴史の闇に沈めた」

わお、意外。そこに食いつくんだ

「それは”先人”でしょ。私たちじゃない」

「ふざけるな、過去に責任転嫁するつもりか」

「ふざけてない。責任転嫁もしてないよ。ただ事実でしょ。」

「今ここにいるのは”現”トリニティ総合学園ティーパーティパテル分派首長聖園ミカだよ。」

「まぁこれは本題じゃないから、あなたたちの怒りも理解できる。」

「わかるよ。私だってゲヘナが嫌い”だった”いや、今も嫌い」

「...」

よかったいきなり発砲するほど血の気が多くなくて

「だけど、ずっと恨みっぱなしはよくないと思うんだ~。だから少しずつ歩み寄りたい」

「その言葉が本心だとどう信じろと?」

「うん...その反応も理解できるよ。だから考えたの」

「アリウスの子を一人トリニティに転校させるのはどう?もちろん秘密裏に」

「私はティーパーティだからね!後見人になれば簡単にできるよ!」

「それでね、アリウスもトリニティも仲良くなれることを証明するの」

「その子を「和解の象徴」にしようってこと。どう?」

「...荒唐無稽な計画だな」

「で...でも、これが一番確実な方法だと思うんだ!」

「...いいだろう。だが私の一存では決められない。次の連絡を待つことになる」

「...わかった」

成功したのかな。うん、成功したよね?

ちょっと危うかったところがあるとはいえ、前と大筋は変わってないし...

「「その言葉が本心だとどう信じろと?」か...確かに本心じゃないよ。あなたを殺すつもりでいるから。錠前サオリ」

「あ゛あ゛つかれたぁ!」

自室のベットに倒れるように寝転ぶ。

きっと数日後、アズサちゃんを紹介されて、

「和平の象徴」とするという計画の元

トリニティに編入させることになる。

 

そして、セイアちゃんを...

「すーーはーーすーーーーはーーー」

ふかふかなベットに身を包み、いろいろ思いにふける。

こんな些事にすら幸せを感じられる今、食べ放題なんて言ったら卒倒できる気がする。

「ここから数日は暇になるよね...銃の練習でもしてようかな」

戦場にいたときは左目はつぶれてたし、右目もかすれてたからまともに銃を使えず。獲物に結構頼ってたっけ。

Quis ut Deusをしっかり握るのも久しぶりって感じする。

「私はみんなを守れるようにならないと...ツルギちゃんよりも強くならないと。」

獲物、欲しいな。正直そっちのほうが慣れちゃってるし。けど、それに言い訳はできないし、銃も練習しなきゃだよね。

「でも今日はもう寝よう...やることも考えることも山積みだけど。」

私だって疲れるんだよ!適当にスマホをいじってごろごろする時間も必要だよね。

休養だよ休養...いやあんまり疲れてないんだけどね。戦場に慣れた弊害かな。

「平和って、こういうのを言うんだね...

やることがない、けどやらなきゃいけないことがいっぱいある」

うまく寝れない。私はうまくやれるのかな。二人を...先生を...助けられるかな。

怖いし不安だし逃げ出したい。けど逃げたくない、目をそらしたくない。

神様がいるならこれは私にくれた最後のチャンスだろうから、来るはずのなかった蝶を私はつかんだんだから。

逃げない。恐怖はない。怖くても不安でも、恐怖はない。あの未来に行くことより恐ろしいことはない……はず、だよね...?

....結局朝まで色々考えちゃったよ‼︎

寝なくても動けはするけど肌に良くないから寝たかったなぁ〜......今日も学校休もうかな。

いや、行くけどさ。身に入らないよ〜...それに、銃の練習をしたいんだけどどうしようかな...誰かに頼るのは理由を考えるのが億劫だし、なによりうまく誤魔化せる自信ないしさ〜...訓練の仕方は覚えてるし、やりようはいくらでもあるし、訓練所を作るのも今なら造作ないし〜...やりたいことが多すぎるよぉ!

「ミカ様、ミカ様!」

「えっ、あっはい。なに?」

「そろそろお出になる時間です。」

「....えっ、ほんとだ!?」

 

〜〜〜〜トリニティ総合学園〜〜〜〜

「ぜぇぜぇ...ギリギリセーフ」

まさか、校門から教室までですらこうも息を切らすだなんて...失念してた。身体能力も戻ってるよね...そりゃ、あとで訓練所買っとかないとな〜...授業なんてやっぱ身に入らないよ。適当に流しておけばいいよね、うん。

 

〜〜〜〜ティーパーティ〜〜〜〜

うーーん、やっぱ寝不足なのに動いてないと眠たい...戦場なら無理にでも動くから眠くならないのに...

「... 」

「ミカさん!?起きてくださいミカさん!」

「ガタッ、ふぇ...あっごめん!寝ちゃってた?」

「ああ、それはもう気持ちよさそうに。」

平和ボケっていうのかな...まさか寝ちゃうなんて

「昨日は余り寝れなかったのですか?」

「ミカのことだ。新しい化粧品でも出てがっついてるうちに朝になっていたのだろう」

「そんなんじゃないんですけどぉー!」

「ふむ...なににせよ。あんまり1人で考えすぎるものじゃないぞ。」

あれ?これ、バレてない?いやいやさすがにセイアちゃんといえどそんな...まさかね?

「別に何かあったわけじゃないから大丈夫だよー」

1人で考えすぎてるかもだけど、これをどう他人に話せばいいの!?セイアちゃんに話そうものならバカにされるのがオチだし!

ナギちゃんに話したら確実に心配されちゃうよ!頭の!

「今日のミカさん、ずいぶん思い悩んでるようにも見えますね。」

「あのおてんば娘にもそういう時期はあるということだろう」

うむむむむむむむ、色々考えすぎて疲れたぁ...

 

「あの、ミカさん?」

「えっ、あっ、ごめんナギちゃん何か言ってた?」

「いえ、今日は早めにお開きにしてミカさんはお休みになった方がいいと思いまして」

「そんな疲れてるように見える?」

「あぁ、いつものおてんばが息を潜めるぐらいにはな。」

「セイアちゃんは一言余計だよね〜!」

まさか2人に心配されちゃうなんて、私そんな顔に出てる?うーん、まぁいい機会だし早めに出て訓練始めようかな?

「ナギちゃんもセイアちゃんもありがとう。先に上がらせてもらうね」

静かに席を立って、外に出る。二人は特に何も言わなかったけど、大丈夫だよね?

 

「今日のミカさん随分と大人しかったというか...静かでしたね。」

「まるで人が変わったかのようだったな。」

「少し心配です。」

「きっとミカにもやりたいこと、やるべきことがあるのだろう。静かに見守ってようじゃないか。」

右、左、反転して後ろ...体を戻して正面、上、跳んで下、隙間を狙って斜め左

「あっ、...」

最後の一射、は途中の壁に阻まれミスしてしまう。

「これで3度目...どうしてかなぁ。」

原因はよくわかってる。私の走りが安定してない、なのに私の腕は戦場にいた頃を意識している。ここに当たらない理由が詰まっている。

「安定した走り...どうやってたっけ」

そもそもこんな3D次元な動きをしてたかと言われれば確実にNOだった。もっと静かでさ、華やかさのない。泥沼が戦場だよね。

「もっと静かに...動きの起こりをなくして...素早く」

というか、そもそも戦場で敵に背中を無視するようなバカはしちゃいけない...

やり直そう。順番を変えて再挑戦しよう。

 

右、左、回り込んで正面に、正面は一度無視して上、下、隙間を正確に撃ち抜いて、正面

「...できた。」

原因は安定してないだけじゃない...反転→戻すの動作...だから、それを無くして後ろに回り込む。

その分正面のは遠くなるけど順番を変えて対処...わかってきた。

あとはこれと反応速度を上げる練習をして、毎日欠かさずにやり続ければ、少しは戦場の腕が戻るはず...

「そろそろ帰ろ~っと、...いや、もう少しだけ...」

数時間後

もっと早く、もっともっともっと早く、正確に...一体に四発、素早く。

「ミカ様、もう深夜です」

「...!?何時からいたの?」

「20分前です。」

「今何時?」

「もうすぐ24時を回ります」

ここに入ったの、16:30だよね?あちゃー...やりすぎちゃった...

「あはは、帰ろっか、ごめんね。」

息を整えようと深呼吸すると胸の奥が痛み、せき込んでしまった。

 

「ごほっげほっごほっ」

「ミカ様!?」

「大丈夫大丈夫、帰ろっか」

 

大丈夫。

外に向かおうと足を前に踏み出すと、

「いっっっ...」

痛みに襲われた...

腕を上げようとすると腕が振るえて、落としてしまい、

目眩まで襲ってきた。

「ごめん、ちょっと...肩を貸して」

痛む体を支えてもらいながら...なんとか車に戻った時には、体一つ動かさなかった。

「ミカ様...なにに駆り立てられてるんですか。」

「...なんだろうね。」

疲労に身を任せて、私はそのまま意識を落とし、眠りについた。

翌日

「んんん...ふわぁ〜」

...あれ?私、なんで自室で寝てるの?昨日...ずっと練習してた気がするんだけど?

「お目覚めになりましたか、ミカ様」

「...!?」

声が聞こえた方に目をやると、ベットのそばに椅子を置いて座ってるあの子がいた。

「『...!?』じゃないですよ。昨日のこと覚えてないんですか」

「あー、えーーっと...夜遅くまで練習してて..それで?」

「動けないミカ様を私が車まで運んで、ミカ様は車で寝てしまったのですよ。」

「...そうだっけ?」

なんか、そんな気がする...

「とりあえず、起きないと。」

体を起こし、ベットから降りようとするが、

「...ッッ、痛ぁっ!?」

「当たり前です。足は靴擦れに水脹れ、まめだってできてます。」

慌てて自分の足を確認すると...包帯がぐるぐる巻きにされており、よくは確認できなかったが、ところどころ血が滲んでいた。

「...でも学校行かないと」

「おやすみの連絡はすでにしていますので今日はベットで1日過ごしてください」

「...はぁーい」

もう少し後になったら、練習しにいけばいっか

「それと、今日はあたりに監視を置きますので、くれぐれも外には出ないようにしてください。」

...この子、こんな優秀だったっけ。いや、私が興味を持たなかっただけかな。

うーーん、何しよう。普通に休むなんてできる気しないんだけどぉ〜

...未来の出来事と、昨日ので見えた課題の対処法、考えて.....とりあえずもう一回寝よ。それぐらい、ちょっとぐらいさ。いいよね。

コンコン

そう扉をたたく音で、目を覚ます。

「はーい?」

「ミカ様、ナギサ様がお見えです」

「え!?ナギちゃん!?」

「ミカ様のお体をずいぶんと心配していまして」

あー、昨日はナギちゃんたちに催促されて早めに帰ったのに今日休んだから、心配したのかな。

「呼んでくれる?」

「わかりました。」

とりあえず、足は布団で隠して...平常運転平常運転

「ミカさん?入りますよ」

「いいよ~」

「今日は体調不良で休まれたようですが、本当に大丈夫ですか?」

「うん、ちょっと疲労がたまってたみたいでさ。」

「セイアさんは、「こんなこともある」といっていましたが、心配です。」

「あはは、ナギちゃんったら、過保護なんだから~」

なんとか、場を和ませようとするけど、ナギちゃんの顔にはやっぱり少し不安と心配に包まれた顔をしてる。

「明日からは普通に学校に行くからさ?」

「体は大切にしてくださいよ...?」

「わかってるよ~」

ごめんね、ナギちゃん。全部終わるまではそんなもの鑑みてる暇ないの...

「少し寄っただけですので、また明日。学校で」

「うん...また明日ね♪」

数日後

あれから数日経った。

アリウスからの連絡があるまで、明日に支障をきたさない程度に練習を続けた。

確実に着実に、課題を一つずつ、クリアし、また新たな課題にぶつかってを繰り返していた。

『...ピコンッ』

スマホの通知が鳴ったのは練習に一区切りがつき休憩しようとしたまさにその時だった。

『アリウスに来い』

ただそれだけの短い文だった。けど、それはつまり

「”白洲アズサのトリニティ転校”」

久々、というか初めての確実な進展を私は車の中でかみしめていた。

けど、これが始まりなのだ。ギリギリでスタートラインに立てた。その自覚が背中を襲った。

”私はうまくやれるのだろうか”

その思いは何度心の中を取り巻いただろう。

”私はみんなを助けられる?”

そんな不安に何度渦巻かれたことだろう。

そのたびに出てくるのは、ナギちゃんとセイアちゃんとの思い出だった。

「ミカ様、つきました。」

「ここでちょっと待っててくれる?」

「...お気をつけて」

ほんとあの子は優秀だな~。前の記憶に残ってないのが不思議なぐらい。

~~~~アリウス自治区~~~~

「来たよ。」

「...白洲アズサだ。今回の任務に就くことになった。」

「アズサちゃんね。わかった」

よし、ちゃんとアズサちゃんだ。

「必要そうな書類はある程度集めてある。これを参照してくれ」

「わーお、案外前向きに検討してくれたみたいだね☆」

「...」

知ってる、ほんとはスパイとして送ろうってこと。前はずいぶん、コケにしてくれたけど、

錠前サオリ、”あなたがトリニティを恨むように”

”私もアリウス(錠前サオリ)を恨むから”

「さ、いこっか?アズサちゃん」

「わかった」

これで始まりなんだ...どこからを始まりにするかにもよるけど、一つの始まりにやっと立てた...

 

「それにしても驚きました。アリウスの生徒を転校させようとは」

「もとは同じ学校になるはずだったんだから、きっと分かり合えるよ。」

「その架け橋が、そこの...えーっと白洲アズサさん。でしたっけ?」

「ああ、アズサで構わない。」

...ひとつ気になることがある...錠前サオリはなんで白洲アズサを選ぶんだろう。

「アズサちゃんはさ、トリニティのこと恨んでる?」

「恨んでいようと恨んでいなかろうと任務は遂行する。」

上手くはぐらかされた?...こういうところを見て選んだとみるべきか。

ほかに何かある?

「ミカ様はおかしなことを聞きますね、アリウスの生徒は恨んでますよ。言葉でどう言おうと」

「...まぁ、そこは重要じゃないから。これからアズサちゃんはトリニティ生徒。わかった?」

「任せてくれ、任務は遂行する」

不安だな~...まぁ、いっか。和平の象徴なんて虚像でしかないんだし、スパイ活動はうまい感じに誘導して。

退学にだけはならないようにしとけば、なんでもいいよ...うん。それだけ...それだけ

~~ティーパーティ~~

「うわぁぁぁん、なんでこんな書類が多いの!?」

「君が引っ提げてきた子の始末書だ。」

かんっぜんに忘れててたぁ!補習授業部発足までの間ずっと、ゲリラ戦をする超問題児ってこと!

あーもう!練習する時間が削れてってるよ!

「ツルギさんが出るまでの2時間、正義実現委員会相手に一人で立ち回る彼女は随分悩みの種ですね」 

ぐぬぬぬ、仕方ない。あと数週間程度.....え?後数週間これ?マジで?

 

あれから何やかんや数週間、特にこれといった事件もない平凡な日常を送っていた...その中で百合園セイア襲撃計画が計画されたのは置いておいて、いや...今の主題はそれだから置いてちゃダメじゃんね。

...決行は明日。今のうちに先回りしてセイアちゃんをこっちにでも避難させないと

『明日話したい事あるから、夜にうちに来て欲しい』

...これでいいよね?うん、きっとすぐにでも返事が返ってくるよ…そうだよね。

〜〜数時間後〜〜

ぜんっぜん、返ってこない...まさかこうも返ってこないとは...

『ピコンッ』

…これもどうせ公式とか...セイアちゃんだ。え!?…いや、内容は?

『すまないが明日は君の方に訪問は無理だ。代わりに君がこっちに訪問してきて欲しい。』

...は?え?断られた?"セイアちゃんがうちに訪問すること"は無理?ふぅ、『違和感』

セイアちゃんが訪問することができない。なのに私が訪問することは大丈夫...つまり、セイアちゃんは動けないってことになる。

積もり積もった違和感を紐解け…答えは、そこにある。

最初の違和感は…《なんでセイアちゃん安易と襲撃を受けたの?》

セイアちゃんは予知夢が見れるんだよ!?おかしくない⁉︎

たしか襲撃の実行犯はアズサちゃんだよね?

"アズサちゃんに会わないといけない理由がある"?

未来を見た上で、会わなきゃいけないってこと?

そうならセイアちゃんが訪問できない理由の納得がいく...

そして、次の違和感は"私が訪問して欲しい"ってところ

…何か話したいことがある?予知夢がどこまでかは分からないけど、もし襲撃される事とそれを私が阻止しようとしてる事の二つを知っているなら…きっと話したい事がある!

『"わかったよ"セイアちゃん。会いにいくね。』

これで...いいはず。前の世界でもセイアちゃんは襲撃では死んでない...なら、これでいい気がする。

翌日

「ここにセイアちゃんがいるから、病院送り程度に抑えてね?」

...ここまでは定石通り。ここで私は別ルートからセイアちゃんの自室に入る。

 

「...聖園ミカ⁉︎」

「遅かったな、ミカ」

「...どこまで話したの?アズサちゃんと」

「お互いに自己紹介を済ませて、世間話をしていたんだ。学校で何を習ったか。そんな世間話を」

「話を続けようか...白洲アズサ、一つ聞かせてほしい。君は「人殺し」になっても大丈夫なのかい?」

「...」

人殺しになってしまう...か。たしかに、躊躇うべき内容だよね。

「私は見たんだ、「人殺し」になることを恐れる君の姿を。」

「君が望んだかどうか、他に選択肢があったかどうか……その辺りは実のところ、さしたる問題じゃない。」

「「人殺しは人殺しである」。その明確で絶対的で、何より絶望的なまでに分かりやすい命題がその身に刻まれる。そして、世界に残り続ける。」

「そうなった後に君が感じる絶望、苦しみ、怒り、後悔と挫折、そして無力感……それらは、誰にも届くことも無く虚空へと消えていく。」

「君もアリウスなら知らないはずが無い。「vanitas vanitatum」この世界の真実を。」

「……しかし、私は知っているんだ。君がこの言葉に同意しながらも、どこかで否定しているということも。」

 

「……そうだろう?」

「その花を見つめながら、君はそう考えていた。」

「「全ては虚しいもの」だ……しかし、それでも足掻かなければならない。」

「これが君の根幹に根差すもの、君を現す心象……私にはよくわからなかったけれど。」

「ミカならわかるかもしれないな」

「...となると、君は実のところ」

 

「……私を殺しにきたのではなく、私に助言をもらいに来たんじゃないのかい?」

「君がこの先どう足掻くべきなのかについて」

「...」

「さて、ミカ。君を呼んだわけなのだが。」

え?ここで私?...

「うん」

「実のところ私は全てを知ってるわけでは無いんだ。」

「だが、知ってることの方が多い。君がミカであり、ミカで無いこと。何を目指し何を志しているのか。」

「君に押された烙印も...知っている。」

「...やっぱセイアちゃんに隠し事はできないね」

「いろいろ聞きたいことはあるが、今は時間があまり無い。一つ渡しておきたいものがある。君が未来、本当の敵にぶつかり負けそうな時その時にこれはきっと君を助けてくれる。」

「...なんかの師匠?」

渡されたのは小さな箱だった。トリニティの印章が押された小さな箱

「...肌身離さずに持っていて欲しい。きっと助けになる」

「ありがとう、セイアちゃん...それとアズサちゃん。聞いて欲しい、諦めないでね」

セイアちゃんの部屋を後にした。

後ろの爆発も気にせず、私はそこを後にした。

セイアを生かしつつ離脱っていう目標はクリアした。次の目標は補習授業部をナギちゃんに作らせて、先生を呼ぶこと。

「セイアさんが襲撃された..?」

「みたいだよ」

ヨシ、いい感じにナギちゃんが誘導できそう。 「トリニティの中に裏切り者が?」

「かもしれないね...」

...セイアちゃん、大丈夫かな。

「こんな大切な時期に...こんなことが」

「ねぇねぇナギちゃん、最近は連邦捜査部シャーレってところが八面六臂の大活躍らしいよ?」

「...はい?」

「ここの先生って人がいろんな問題を解決してるらしいね。私たちも頼ってみるのはどう?」

「...ミカさんにしてはいい提案ですね。」

「でしょー?...にしては?」

...にしては?にしてはってなに?

「こちら側で怪しい人物をピックアップして、諸々の処置をします...」

にしては、にしてはねぇ...にしてはかぁ...

「にしてはって何?」

「...では、私はこれにて」

「ねぇちょっと待ってにしてはって何さ!」

「...」

私の問いにナギちゃんは答えず、その場を後にしてしまった。

「..にしてはってひどくない????」

誰もいないその場所で、私は一人そう呟くのであった。

...ここは?いや、わかる。

ナパームの焼ける匂い

屍が跋扈する嫌な腐臭

心の底から反吐の出る土臭い塹壕...

耳をつんざく、”同じ人間”の狂気の音

砲弾の風切り音

ここは、戦地。私は聖園ミカ、8つの勲章を持ち、ハルバードを持ち戦うトリニティの...

 

 

「はッ...はあ、ッはぁ...」

ひどい汗に、ひどい動悸...ここはトリニティ。私は聖園ミカ、ティーパーティパテル分派首長、聖園ミカ

「...勲章はもう捨てた。いらないから...」

ここ最近、戦地の夢をよく見る。寝ていなくても脳に何度も流れてくる。あの記憶。

「...もし、あの日、ここに戻ってこなければ」

死に戻りしなければ、苦しまずに済んだのだろうか?

もし、あの裏切りの日、私が本当の意味で死ぬことができたら、どれほど楽だっただろう。

けど、きっと。

 

今の幸せはなかった、...幸せ?本当?こんなに苦しんで、痛くて、つらくて、誰にも話せなくて

いいや、幸せ。ナギちゃんにもセイアちゃんにもまた会えたのだから。

けど、セイアちゃんは爆破された。今は会えない。

私はなんのために戦ってるんだっけ、ねぇ、聖園ミカ。なんのために戦ってるの?

私は、、、私は、。私は?、私は聖園ミカ、勲章をティーパーティパテル、ハルバードを...

「ミカ様、何かありましたか?」

「...!?」

「ミカ様?」

「あー、えっと、夢見が悪くてさ?飛び起きちゃった」

「...あなたはミカ様ですよ。変わらず、...では、おやすみなさい」

”あなたはミカ様ですよ。変わらず”か...心を読んでるみたい。

壁越し、扉越しなのにさ。...そうだね。私は聖園ミカ、一人の女の子。今日は泣こう

あれから、たくさん泣いた。枕が濡れるのも、何も気にせず。たくさんたくさん泣いた、そのまま泣きつかれて、寝たころにはすっかり夜が更けていた。

「おはようございます、ミカ様」

「...昨日はありがとうね」

「果て何のことでしょう、私は何も知りませんよ」

なんというか、この子。有能すぎて怖い。ほんとになんで覚えてないかな。

「ありがとうね。」

「...はい。」

さて、先生が来るのはあと2,3日のはず。それまでにやれることをやらないと

「アズサちゃんを呼んでほしいんだけど、できる?」

「学校後なら、問題なく」

「じゃあよろしくね」

 

 

~~ティーパーティ~~

「とりあえず、怪しい4人をピックアップしました」

「早いね?」

「早いことに越したことはありません。というより、早く対処すべき事案なのです」

「先生へのコンタクトは?」

ふと、ナギちゃんの顔に注意深く目をやる。

どこか暗くて、物寂しげで、なにより...虚ろな空気を紅茶の水面の波紋に感じた

「済ませています。数日以内にこちらに来てくれることでしょう」

手際がいいな~?うーん、先生との接触は前と同じで過度にはせずにおきたいから先んじていろいろ仕込みたいのに大人に対して、私たちは無力だ。

そんなの知ってる。だから3日は来ないでほしいのに

「心配ですか、?」

「え?...心配、うん。心配かも、だってその目で見たことがあるわけでもないしさ」

先生を巻き込むことが心配。また、死んじゃうんじゃないかって、心配。

「...そう、ですね」

「けどその手腕はきっと本物だよ!」

「そうだといいのですが」

...ナギちゃん、疑心の闇の中に、心が行っちゃったんだね...。けど、大丈夫。きっと、大丈夫だからね。うんん、絶対大丈夫だから

あれから二日後

今日は先生が来るらしい。

このあと、ティーパーティに招待する手筈になってる。

二日前、アズサちゃんと何を話したかって?秘密だよ♪

 

~~ティーパーティ~~

「ナギちゃん!先生はきた?」

「これから招くところですよ」

「ミカさん?もう少し時間に余裕をもってですね。」

「ほら先生が来るよ」

...こんな日にまでナギちゃんの説教とかいやだしね、さえぎらせてもらわないと…

扉が開く、そこには見知ったような、懐かしいような、大人が立っていた

「こんにちわ、〇〇先生。こうしてお会いするのは初めまして、ですね。」

「ティーパーティホスト、桐藤ナギサと申します。」

「そしてこちらは、同じくティーパーティのメンバー、聖園ミカさんです。」

うーん、堅苦しいし建設的な挨拶...いやになっちゃうね~

「へーこれが噂の先生かー。あんまり私たちと変わらない感じなんだね?」

「なるほどー、ふーん......うん、私は結構いいと思う!!ナギちゃん的にはどう?」

懐かしさすら感じるその”大人”は、きっと私の記憶と同じなのであろう。

しかし、何か違いを感じる。見た目も、雰囲気も、実績だって、全く同じだ。

けど、違いを感じる。...今は気にしなくていっか。

「聞いてますか?ミカさん?」

「えっ?あー、聞いてなかった♪」

「初対面で礼儀がなってませんよ。」

「たしかに...ごめんね先生!とりあえずこれからよろしくってことで!」

”こちらこそ、よろしくね”

ここからは...まぁ、前の記憶とさほど変わらず、前と変わったことといえば、先生とナギちゃんと他愛もない世間話をしたことぐらいかな?

~~自室~~

「うーーん、どうしようかな。先生が出た今、変に行動はできないし、、、あの大人を前に策略とか塵にもならないしさ!」

真面目に考えて、やれることなくない?補習授業部にちょっかいかけに行こうかな。たしか、前は第一回に落ちて、合宿が始まって、その時接触したよね...なら、今行っても意味ないかな~

うむむむむ...むずかしい。いや、そうだね。たまには忍耐強く待つ時間があるよね。練習は続けて、情報収集に徹しよう。

 

あれから何日か経った。情報は十分にとはいえないけど、集めることができた。今日は先生に会う日、ぼろは出さないようにしないと。

 

~~合宿場~~

「わぁっ、水が入ってるー!」

「あはっ、ここに水が入ってるのなんて、久しぶりに見たなー。もしかしてこれから泳ぐの?それともみんなでプールパーティー?」

平常心平常心...記憶をなぞるように、ただそれだけで今はいい

”お待たせ。用件を聞いてもいいかな?”

「......えへへ。」

「先生はうまくやってるかな、って思って。」

「にしてもナギちゃん、随分入れ込んでるみたいだねー。こんな施設まで貸し出しちゃって。」

「ところで合宿の方はどう?遠いことをいいことに、何か楽しそうなことしてたりしない?たとえば、みんな水着でプールパーティとか!」

"......。"

「……あはっ。そこまで警戒されるのは心外だなー。私こう見えても繊細で、傷つきやすいんだよ?」

「さっさと本題に行こっか」

...これ以上のアイスブレイクとかやってられないしね。

「補習授業部の中にいる「裏切り者」が誰なのか、教えてあげる。」

"……ッ!"

「ナギちゃんの言う「裏切り者」、今必死になって探して退学にしようとしてるその相手。」

「実際のところ、もっといろいろごちゃごちゃしてるんだけどね?」

「今このまま、ナギちゃんに振り回されてる先生は見たくないと言うか...申し訳ないなって。それに、必要なことだと思ったからさ。」

「そもそも、先生を補習授業部の顧問にすることを提案したのは私だしね。このことは知ってた?」

"ミカが...?"

「うん、まぁ...そこは良くてね?トリニティでもゲヘナでもない。第三の立場が欲しかったの」

「……ああ、裏切り者の話だったね。それはね……」

「白洲アズサ」

"アズサが…?"

「うん、知ってると思うけど、あの子は最初からトリニティに居たわけじゃないんだ。」

「...アリウス分校、トリニティから迫害された可哀想な学校の生徒だったんだよ。」

「...生徒とも言えないかもね?何も学べる環境じゃないし」

 

 

...その後も、いろいろなことを話した。

トリニティの歴史から始まってなぜあの四人なのか...そしてエデン条約について、ここで必要なのは先生に四人を退学させない必要性を強く感じせるだけ、これでいい。

アズサちゃんが退学しないことが一番重要、....それが一番の分岐点のはず......本当に?

いや、きっとそうに決まっている。

そこを疑っちゃいけない。

私のやれることをやろう。

「最後に、先生...もし困ったことがあったら連絡して?私もティーパーティだから」

"ありがとう、ミカ"

「またねー」

...ありがとう…か勿体無い言葉だよ。私にはさ。けど..受け取っておくね。

 

〜〜訓練所〜〜

長い時間、毎日ここにいるから自室の次ぐらいに落ち着くんだよね...ここ。

「使い始めてどれぐらいだっけ...?的もう、ボロボロになってる。」

動きも変えたいし、今度改築しようかな。時間はあるだろうし...

「ミカ様、アリウスの方から連絡がありました。正しく言えばアズサさんからです。」

「えー?なんて?」

「『話がある、アリウスの方で』とのことです」

アリウスの方に呼ぶってことは何かしらの"任務"が与えられたのかな?あっ、いやこの時期ならナギちゃん襲撃のかな?たしか前は失敗に終わったんだよね。

「わかった。行こっか。アリウスに」

〜〜アリウス自治区〜〜

「わざわざこんな深夜に呼び出してなんの用かな?」

「今度、桐藤ナギサを襲撃する計画が立てられている。ミカも何か関わっているのか?」

「いんや?知らないね。」

「私はたとえ母校(アリウス)を裏切ることになっても、桐藤ナギサを守るつもりでいる」

「そ?好きにしたら?」

「ミカにも手伝ってほしい。」

「なんで?」

「『借りがあるからどこかで返させてほしい。』そう前に話してたから」

あー、先生が来るって二日前の放課後の...

「いいよ。でも、助け方は私が決めるから」

「それでいい。」

「なんでわざわざアリウスに呼んだの?」

「あっちでは不測の事態というものがつきものだ。」

「そ?じゃぁね。くれぐれも退学にはならないようにねー?」

補習授業部にはなるべく不干渉が良かったんだけどね。まぁ、敵みたいに登場して裏切るとかしてみようかな♪

先生をちょーっとおちょくっちゃおー☆

真面目な話、先生の元まではいかないといけないんだから、それが一番だよね。

あれから数日...日にちが経つのは早いね。

アズサちゃんから連絡があった。

『今夜桐藤ナギサを拉致してゲリラ戦を展開する。』

ナギちゃんは今、戒厳令を出してる。

動ける組織はいない。今はアリウスにとってまたとないチャンス、だから、それを阻止したい。なるほどね...

『限界になったら呼んでよ。駆けつけるからさ』

最初から行きたいところだけど、変に早いとアレだしね?それにギリギリまで私は介入したくない。できれば補習授業部でカタをつけて欲しいってのが本音。

「まぁ、いつでもいけるところで待機するけどね。」

どうせ私は味方判定だし、先生たちの前まで行って裏切る...いや裏切るも何も最初から敵なんだけどね。

...アレ待って?『ゲリラ戦を展開する』...ゲリラ戦を展開する!?!?

...窓の外を見る、耳を澄まして限界まで澄まして、補習授業部の合宿場の音を聞く...

「……ゲリラ戦を展開って、そういうこと?」

地雷の音だろう爆発音がかすかに流れてきた。

「やばい、結構行きたくないかも」

白洲アズサはゲリラ戦のプロ、そんな話をどこかで聞いた。

...呼ばれないことを祈ろ……

『あと1時間30分もすれば、助けが必要になる』

……はぁぁぁぁぁ...準備しよ。

モモトークを閉じ全ての準備を終え、合宿場に向かう。

風に揺られて感じる戦場と似た匂いに意識を取られながら、そこに辿り着いた。

「君たち随分勝手にやってるね?抵抗者まで連れてってくれる?」

「...!?それはできませんっ!桐藤ナギサがここにいるとのことで...捕縛のためにっ...」

「いつ、話していいって言った?私を抵抗者まで黙って連れて行くこと、...わかった?」

「はい...」

平和的交渉が通じる相手で嬉しいよ♪

「早く連れてって?」

「はいっ!」

負傷者が随分多い、ゲリラ戦に慣れてない...雑魚だね。ただ雑魚は雑魚といえ大量突撃ってのはすごいね。

無限に突撃を繰り返せばそれだけでゲリラ戦ってのはいつか機能しなくなる。それでも4人いや、5人で2時間以上は上々の成果ってところかな?

「ここです。」

「ふーん、お仕事ご苦労さん」

〜〜〜〜〜〜

「正義実現委員会がまだ動かない?」

ん?この声は誰だっけかな。まぁ、誰でもいいよね。よーし驚かせちゃお♪

「それは仕方ないよ。」

コツコツ、コツコツ…わざとらしく足音を立てて前へ進む。

「......!」

 

「だって、この人たちがこれからトリニティの公的な武力集団になるんだから。」

"ミカ……?"

わーお、思ったよりいい表情。

伝わるかわからないけど、『私は味方』そう目配せをしておこっと、伝わるかな?

「やっ、久しぶり先生。奇遇だね?」

「それと、正義実現委員会なんだけど、私が待機命令出しちゃった。」

もしそれでボロが出たら困るもん♪

「今日は随分静かだったでしょ?結構離れてるここの爆発音とか色々が私の部屋にも聞こえてくるぐらいには、ね?」

「私が事前に障害は片付けてたからね。」

「邪魔されたら困っちゃうからね♪」

「「ティーパーティ」のひとり……聖園、ミカさん……。」

「まぁ、簡単に言うと「助っ人」登場☆ってところかな?」

「……」

「……」

「……!?」

「じゃ、さっさとナギちゃんがどこにいるか教えてくれる?生憎時間が惜しくてさ。全員倒した後じゃ、めんどくさいでしょ?」

"ミカ、どうして…?"

「なぜなぜなんで、私が嫌いな言葉だよ。けど先生になら教えてあげる」

「アリウスと和解するためだよ。」

「そんなことのためにナギサさんを?」

「えーーっと、誰だっけ?ごめんね。人を覚えるのは苦手でさ」

「あっ、思い出した。浦和ハナコじゃん。すっごい頭が良くてティーパーティ候補によく上がってた子!」

「……。」

「一応答えてあげると、そうだよ。けど、これはあくまで通過点だし、本質はそこじゃない」

スマホが鳴る...完了の合図だ。

「そろそろ時間もなくてさ?」

一歩また一歩前に出る。

「はじめよっか?」

くるりと振り返りアリウスの兵隊の方を向く。

同時に爆発音が聞こえる。

ここにくる前、モモトークに送ったのは、アズサちゃんに爆弾を仕掛けてもらうため。

「注意が逸れてるよ!」

アリウスのやつらに弾丸を喰らわせる。

右に左に縦横無尽に動きながら一人一人確実に殲滅して行く。

「こっちは味方だぞ!」

「味方?何言ってるの?私はトリニティの聖園ミカだよ?」

練習でこなしてたことをただ淡々とリプレイするだけ、なんなら少しの誤差を許されるこっちの方が楽な仕事

「なんだこいつ、いつの間にか背後にいる!?」

「助けてくれ!いやだこんなところで!!」

頭は狙わない、動きが多くて外しやすい。

ただ防弾チョッキのない隙間を狙って確実に無力化する。また一人また一人、地面に伏していき、最後に残ったのは最初に勝手に話した指揮官らしきやつだった。

「なぜ、なぜ裏切った!」

「だーかーらー、私はトリニティティーパーティ聖園ミカだって言ってるでしょ?」

悲しく、静かに、呆気なく、全員の処理を終わらせて、私はスマホを見る。

「...2分12秒かぁ、時間かかっちゃったなー」

「アズサちゃん、もういいよー?」

「もう終わったのか?」

「時間かけすぎちゃった」

先生たちの方に歩いて行く、説明めんどくさいなぁー

「...あなたは味方なんですか?ミカさん」

「言ったじゃん。『助っ人登場』って」

「私が呼んだんだ。」

"1から説明してくれる?ミカ"

「あー、まだ敵はいるっぽいよ?」

爆発音と共に新たに入ってくるアリウスの兵に目を向けながら、そうとだけ言う。

正直この程度のやつらに遅れをとるほど私は怠惰に生活してはいない。けれど銃は違う。

弾により擦り減り発熱し摩耗する...弾薬だって消費する。あまり長丁場は得意じゃないんだよねぇ。

「いえ、きっとそろそろ...」

浦和ハナコのその言葉が聞こえると共に爆発音が聞こえる...古聖堂の方かな?あっちにブービーがあるとは思えないけど・・・援軍?

「もしもの時のために呼んでいたんです。シスターフッドを」

 

「ゲホッゲホっ、今日も皆様に加護と平和がありますように」

「ゲホッゲホっ、失礼します。」

「これはありがたいね♪私一人じゃこの長丁場はきついかったから☆」

歌住サクラコ、シスターフッド...彼女たちは秘匿主義で政治には不干渉を掲げてる...彼女らを動かすのは容易ではない。何を対価に支払ったというの?浦和ハナコ

「聖園ミカさん...あなたは味方ということでよろしいのですか?」

「そうだね。『アリウスの敵』だよ」

「さて、はじめよっか?」

「援護します。」

「ミカ、地雷はもうない。」

「なら私に喰らい付いてきて?邪魔は許さないよ。」

こいつらアリウスは正直烏合の衆だ。

大量突撃による飽和戦術しか知らない素人。

アリウススクワッド以外は脅威にもならないね。...ちゃっちゃとやろうか

正面からは突っ込まない。側面に回って一人ずつ堕としていく。これは変わらない。

けど、やりやすいね。味方がいるってのは

「チェンジだよ!アズサちゃん!」

リロードっていうのはどんなに頑張っても一瞬の隙ができる。だからアズサちゃんにチェンジを頼む...私の隙を埋めるように撃ってもらう。

さすがに雑さが目立つし、上手くはできないけど十分役には立つ。

それにあのーーヒフミちゃん?の鳥がいい目隠しにも意識を逸らす的としても完璧すぎる。

あまりにも...やりやすい。

なにより、先生の指揮があるってのは段違い。

これがあるだけであと4つの中隊と戦えると思えるぐらい的確で、なにより全員を活かせてる。

そのタイミングで爆撃って、ほんっとわかってるね♪先生。あと3・2・1....ゼロ

「47秒、わーお。一分を切るなんてね。」

 

"ミカ...改めて"

「...聞きたいことは色々あると思うけど…教えられないことばっかりだからさ。ちょっと待っててほしいな。」

「ただね。一つ言えるのは私は味方だし、ナギちゃんにセイアちゃん、先生だって守りたいと思ってるから」

「それじゃぁね。」

それだけ言って合宿場を後にしようと、背を向けて歩き出した。言いたいことはいっぱいだけど...全部終わるまで泣かないから、話さないで一人で進むから

"わかった。待ってるよ、ミカ"

先生の言葉に返事ひとつしないで、私はそこを出た。あれ以上先生の声を、言葉を、顔を見てたら、聞いてたら、泣いちゃいそうだったから

 

〜〜自室〜〜

事後処理のことは特に聞かなかった。

先生が気を利かせてくれたのかなんなのか、

私の方に書類は回ってこなかったし、危険因子を排除するために仕方なかったこととして私にお咎めは特になかった。

桐藤ナギサはきっとエデン条約調印に向かうだろう。私は...?先生を守らなきゃ、先生の護衛としてティーパーティとしてエデン条約の調印式に出席する。そして、錠前サオリ、あなたとの決着もそこでつけるから。

エデン条約...トリニティとゲヘナの和平条約

失踪した連邦生徒会長が執り行っていたこれが、ついに実現する……その裏で暗躍する憎悪の貯蔵アリウス分校。

本当は先生を招かず、私も行かずってのが一番なんだけどね……アリウスの襲撃が始まったら先生を離脱させてアリウススクワッド...あんたら叩く。完璧には程遠い作戦とも言えない代物だけど...許してね。

っと、あそこにいるのは先生かな?

「せーんせ!やっほー?」

"ミカ…?"

「この前ぶりだね。あっ、そうだ。調印式までの間。少しお話ししない?古聖堂の案内とかもしつつさー」

"じゃぁ、お願いしようかな。"

ヨシ、古聖堂の中心は攻撃を直に受ける場所...そこから少しでも離れさせないと。

 

「ここはね。シスターフッドの前身である組織があった場所らしいよ。」

「...ずいぶん歴史がある建物だったりしてさ。」

"...ミカ、無理してない?"

「あんまり学がないから、そういう意味では無理してるかもね。」

"話す気になったらいつでも言ってね"

「ありがとっ、考えとくね」

...攻撃の報告があったのは夜、直ぐに報告には上がれない惨事だったことを考えるに...いつ攻撃されるのだろうか、流石にわからない...それがわかるほど私は万能を極めてないし。

「...ここにはユスティナ聖徒会ってのがあったらしくてね。今は瓦礫と共に消えてるけどね。」

「...少しだけ話したいことがあってさ、調印式はきっと失敗する。アリウスの憎悪があそこで終わるわけない。」

"……"

「もし攻撃が起きたら、私が先生を離脱させるから、私から離れちゃダメだよ?」

"…ありがとう"

風の音を感じる、古聖堂の中心の緊張を私も感じる。もうすぐ始まるのだ。

彼女たちにとっては調印式が

私にとっては、"血に染まった日"が

「...始まるよ。」

"……!?"

音を感じるよりも、何が起きたかを脳が感じるよりも先に重い痛みと...意識を飛ばしそうになる何かを感じた...前はトリニティで聴いただけの今日の始まりの音を...私はその身を持って感じた。

 

何が起きたの?…いや、知ってる。巡航ミサイルだ。いざ食うと、こんなもの突っ込ませるなんて...アリウスの奴らは狂ってる。

痛い、辛い、苦しい、血はドバドバ出てるし、服はボロボロ....

「先生!」

「ゲホッけほっ、先生!!大丈夫…!?」

「瓦礫今退けるからね!」

岩を粉砕できる力があってよかった…これなら!

「先生、大丈夫?」

「怪我は...えっ!?一つもない……近くにいたはずの私が結構な傷を負ってるんだけどなー...よかった」

「先生!ミカ様!ご無事でしたか」

「せ、先生!」

あれは正義実現委員会?...よかった、戦力が増えるってのはそれだけで...ほんとに?ツルギちゃんは警戒するべき因子の一つ...

"みんな、すごい怪我"

「これぐらい大したことありません。ですが先ほどの爆発で、正義実現委員のほとんどは戦闘不能になってしまいました。」

「それにナギサ様やサクラコ様といった方々が見つからず...」

「ナギちゃん...」

...今直ぐにでも先生をツルギちゃんたちに任せてナギちゃんを探しに行きたい...

「ゲヘナ側もほとんどが見つかりません」

「…っ!?」

銃声が聞こえる...咄嗟に先生の前に出るが、狙われたのはツルギちゃんだった。

直後、アリウスの兵士が見える...始まったんだ。本当の攻撃が

「作戦地域に到着、正義実現委員会の残党を発見。……いや、訂正。残党じゃなく、正義実現委員会の真髄だ。」

「ツルギにハスミ...裏切り者のミカまでいるよ。兵力をこっちに回して」

「ちょっっと!何度でも言うけど私はもともとトリニティ側なの!裏切り者もクソもないよ!!」

「ど、どこからこれほどの兵力が……!?どうやって、周辺地域はすべて警戒態勢だったのに……」

「...カタコンベ古聖堂の地下にあるカタコンベだよ。」

「……なるほど。つまりこの状況、あなたたちアリウスの仕業だと考えていいのでしょうか?」

「……許しません、その代償…今ここで……っ!」

「ハスミ」

「……」

「落ち着け。」

「……はい、そうですね。」

ツルギちゃんとハスミちゃんならこの敵は任せられる?先生を離脱させた後私は錠前サオリと戦わないといけない、体力は消耗できないし、弾はなるべく使いたくない、……どうする?聖園ミカ

「先生!ミカ様!ここはツルギに任せて私たちは離脱します!!」

……わかった。正義実現委員会がそう言うなら

「従うよ。」

「アリウス配置につけ!」

「先生!指揮をお願い!!」

今回私は前に出過ぎない...先生を守ることが第一で倒すことは二人に任せる...それでいい。

「...来たか」

アリウスの隊長らしき人物、たしか…ミサキ、彼女が何かを呟いていた。アリウスの中に別のが混じってる...ユスティナ聖徒会。

アリウスの切り札...高い威力の弾丸と無尽蔵の変えが聞く、大量突撃の弱点である"人"を解決するための最強の一手。

「あの威力……そしていくら戦っても手応えのない、この不思議な感覚……。」

「あれは本当に「人」?それとも」

「...ミカ様?」

「……時間をかけてたら囲まれるよ。先生だけでも離脱させないと!」

「もう遅いよ」

どんどん集まってきてる...囲まれたら終わりだ

 

──まずい、囲まれたらっ、!本格的にまずい!!

 

 

 

思考を巡らせ解決策を呼び起こそうとしていたその時、

 

一方の道が開いた。

「正義実現委員会!!先生をこっちに!今は時間がない!」

「……。」

「……。」

「…わかりました。ですがミカ様もお願いします。トリニティの上層部が壊滅状態になったらどうなるかは想像に難くありません」

「...わかった、二人とも急いで!」

"ハスミたちは!?"

「私たちは先生の退路を守ります。」

「ティーパーティはミカ様だけゲヘナは行方知らず、そんな状態で先生まで何かあったら、終わりです!急いで!!」

「先生!!はやく!!」

ありがとう、!ハスミちゃんツルギちゃん!

「風紀委員長!先生をよろしくお願いします!!」

「……任せて。」

「先生、今あの怪物どもをまともに相手取る方法はない。今は包囲網を抜けて脱出することが……」

「っ……」

"ヒナ、傷が…!"

「これくらい大したことない……」

辻褄が合った気がする…前々から気になってたことがある。きっと前の調印式が襲撃された時もこんなふうになってたはず…それなのになんで先生が撃たれたのか...そりゃそうだ。巡航ミサイルが直撃して動ける方がおかしい。

「私が前を張るから、ついてきて」

もう、体力も弾丸も節約してる暇はない…先生・空崎ヒナの両名を無事に離脱させなければ...

「突破するよ!先生着いてきてね!!」

ユスティナ聖徒会はさほど硬くはない...ただ数が多すぎるのが問題...なら追加が来るよりも先に倒せばいいだけ!!

空崎ヒナのサポートもある今、無理な突破もまかり通る。

「先生大丈夫?」

「はぁっ、はぁっ...もう少しだけ耐えて...ここを抜ければ」

 

「ひ、ヒナさんっ、また会いましたね」

「っ、性懲りも無く…!」

...アリウススクワッド!!

「下がって、私がやる」

目に憎悪が宿る。心に宿る憎悪の確認は済ませた。殺ろうか...元凶ども

「っ……!」

後ろで銃声と、空崎ヒナが崩れる音が聞こえる...まさか、挟み撃ち!?

「遅かったな。ミカ」

"ヒナっ!!"

「...錠前っ、サオリ!!!」

「ゲヘナの風紀委員長、やっと倒れた」

ハスミちゃんたちがやられちゃった?

まずいまずいまずい...憎悪が先行して先生から離れて...

「先生!」

「まずは貴様から処理しようか。」

銃口が先生に向けられる...それはこの世界での禁忌でしょ!!!

「シャーレの先生……貴様が計画の一番の支障になりそうだと、彼女は言っていたからな。」

銃声が聞こえる...先生を穿った一発を私の目は見てしまった……二発目がっ!それはっダメ!!!

「ああぁあぁぁぁっ!!」

 

「っ!まだ動けるのか、空崎ヒナ!」

「セナっ!こっち!!」

「救急車……!?」

「先生!手を!」

...思考が追いつかない、何をすれば何をすれば...私の目的は先生と空崎ヒナの離脱...あのセナって人は先生と共に逃げるので手一杯のはず、なら

「ちょっと乱暴するけど許して!」

空崎ヒナを蹴り飛ばして救急車の窓を突き破り無理やり捩じ込む...これでいい。骨まで到達しそうな感触があったけど、離脱はさせられた...あなたも...生きて

 

 

 

これで、次に取り掛かれる。

「...殺ろっか、錠前サオリ...私はあなたを許さないから」

「アリウスは誰一人、貴様らを許していない。」

「...何百というミネシスに一人で勝つ気?」

「辛いですよね苦しいですよね。抵抗を辞めたら楽になれますよ」

...楽になれる、か

「あなたたちは通れないよ」

「いっっっっ!!!?」

「ヒヨリ!」

辞めれるわけない、辞めた先を見てしまったんだから、楽になんかなれるわけない。

「やろうか、アリウススクワッド」

ユスティナの攻撃は痛いには痛いけど、気にする必要はない。些事だ。意識するだけ無駄ってところかな。

「...ここでお前が現れるのか」

「のうのうと逃げてればよかったのにね」

...誰がきた?空崎ヒナでは無さそうだし、

「はぁ、はぁ...はぁ、」

「アズサちゃん!?」

「どうだ?アズサ」

「どうして、どうして……」

アズサちゃんがここに来るのは想定外もいいところ...使える?アズサちゃんなら一定の価値はある...けどこいつら相手に本当に使える?

「サオリいぃぃぃぃっ!!!」

「...落ち着いて、あずさちゃん。悪いけど...あいつらにあなたの銃口を向けさせてあげられない。」

「...ミカ、」

「周りの奴らが見える?」

...怒りに囚われてアリウススクワッドを攻撃させるわけにはいかない。そんなことはさせてあげない♪

「ああ、」

「処理して...わたしがあいつらを倒すから」

「...勝てるのか?」

「もちろん☆」

「なら任せた。」

...アズサちゃん、苦しそうな顔してたな〜。

そりゃそうだよね、自分でやりたいのを堪えてるんだろうし。なら、私ができることをしよっか

「ヒヨリ、大丈夫?」

「...結構キツイですね。一撃出していい威力じゃないですよ。あれ」

「神には祈らないと決めた。全部私の手で救うって決めたから、改めて殺り合おうよ。アリウススクワッド」

私の戦術は変わらない、相手に背後を見せず一人ずつ着実に倒す…ただそれだけ。

「アリウススクワッド、配置につけ」

...攻撃の通りが悪い、合宿場で逃したやつらから情報をもらって対策を練っていた?

やりずらいし、決定打に欠ける...

「あなたたちは通さないから!!」

「っっ...⁉︎」

当たった...その確信はあった。手応えだってあった。が……

「誰もそこからは逃れられない!」

まずいっ…!避けられない!?

「豪語していたにしては、随分と呆気ないな」

...

「対策を立てていた私たちの微かな隙間からヒヨリとミサキに攻撃を通すは思わなかったが」

「...何倒したと思ってるの?」

「!?なぜだ。たしかに頭を撃ち抜いたはずだ!」

《たしかに、錠前サオリの攻撃は聖園ミカの頭を穿っていた。だが》

来ると理解して覚悟さえすれば、耐えられる!

《理由は至ってゴリラ(シンプル)だった。》

「約束したから、あなたたちは通さないって」

「その後ろに隠れてる人がそんなに大事?」

私の見立てだと顔を完全に隠している一番後ろの女、あいつがアリウスの鍵!!

「...ミサキ、まだ動けるか?」

「なかなかキツイよ...ヒヨリも言ってたけど」

「一撃で出していい威力じゃないよ。あれ」

効いてる、私の攻撃は効いている...けど効いてるだけじゃダメ...殺りきるんだ。ここで

「アズサちゃん、!!ユスティナどもはもういいよ!!」

もう、他に構うリソースは要らない。

「...やる気か?」

「たとえ人殺しになろうと、あの二人を殺る。着いてきてね。」

地を蹴り、跳ぶ、周りをユスティナが囲い、混戦を極めていた...なら!!

一つ、考えてた技がある。...もし星を降らせることができるなら、隕石だっていけるはず。

「通さないよ!!絶対に!」

前みたいに一人を狙ってない。狙ったのは区画、ユスティナとアリウススクワッドがいる。

その場所!!

……漲る力と全身を走る苦痛を感じる。

この技は決して万能じゃないらしい...痛い痛い痛い苦しい苦しい苦しい....でも、迷いはない。

「...スッスッ」

「砕いて見せる。誰もそこからは逃れられない!!!」

私の隕石を砕く気!?その弾丸で?……だけど、

「足元が疎かだよ!」

「バニタス、バニタータム!!」

「アズサ!!?」

ナイスアズサちゃん……貫け、そのまま倒して!

「し、支援します!!」

「……は?」

想定外、最初に倒したはずのあんの太々しい女が、アズサちゃんの頭を穿った。

「チッ、しぶといんだね。あなたたち。」

隕石はアリウススクワッドには当たらなかったけど、ユスティナの大多数を巻き込んで倒すことはできた。...それでもこれじゃぁ、意味がない。

「リーダー、こっちの被害が大きすぎるよ。聖園ミカは疲れてる様子ないし」

こちとら毎日何時間も練習して鍛えてるんだから、ちょっとやそっとじゃばてないよ。

「...アズサ、お前は軟弱だな。聖園ミカがいてよかったな。お前だけじゃ何にもできやしない。」

「……。」

「撤退する。」

「逃がすと思ってるの?」

一方足を踏み出した途端、砲撃音が聞こえる...増援?どっちの?

「...スッ、ススッ、」

「ゲヘナの予備部隊か...ちょうどいい。」

ゲヘナ!?空崎ヒナがいない今変に動かないと思ってたのに、これだから角付きは……

「じゃぁな、聖園ミカ。アズサ。」

「まっ!!」

ダメだ、これ以上ここにはいれない...撤退だ。

「アズサちゃん、立てる?」

「....」ダッ

私の問いかけに答えることなく、アズサちゃんは走り去ってしまった……

「あはは、私嫌われちゃった?」

「はぁ………」

私も早く離脱しよう...先生、のもとに、、、

...先生は未だ目を覚さない。

私が暴徒を止めているからいいものの、いつゲヘナへの怒りを爆発させるかわからない。

アズサちゃんはどこにいるかわからないらしい。私がやれることは何?……わからない。

この先は私が知らない世界だ。

何もわからない。

「…….どうすればいいの?先生。私はどうすればいいの?」

 

 

私の言葉に返事はない、誰も答えてくれない。

...早く起きてよ。先生

 

「早く、目を覚ましてよ。先生」

"……"

 

 

 

"応える"

 

 

「え…?」

「せ、先生!?目が覚めたんですね……!!」

「………先生?」

"...ミカ、着いてきてくれる?まずは、それと相対してくるよ"

「えっ?......わかった。」

先生は私の話を聞かず、待っててくれてる。

なら、私も聞かないし聞けないよね。

 

…先生が収めてくれた。

暴徒も、混乱も、全部収めてくれた……私にはできなかったこと。私じゃ、成し得なかったこと……そっか、先生は憎悪に染まらずに対話しようとしてるんだね。

『私と違って』それができるんだね。

「…私、アズサちゃんともう一度会いたいです。先生」

「今度こそ…はっきりと言ってみせます……!」

補習授業部、……あなたたちが鍵だというの?

アズサちゃんだけだと思っていた幸せの鍵は、あなたたち四人なの?

"補習授業部、行こう"

「私も忘れないでね?」

"もちろん、ミカも一緒にね"

往くは古聖堂、目指すはHAPPY END

錠前サオリ、3度目の正直だよ。

 

古聖堂跡地、...あそこにいるのがアズサちゃんかな...アリウススクワッドも居る。……あなたは一人で戦ってるんだね。...すごく強いね。あなたは、強いんだね。白洲アズサ。

「……。」

「ヒフ、ミ……?」

「増員ですね。数は5名…いや後ろにそれ以上。」

「なんだ、お前たちは」

「ヒフミ、ダメだ……どうしてこんなところに…。」

錠前サオリが銃を構えてるのが見えた。……やらせないよ。私が許さないから

 

 

えっ!?ヒフミちゃんって"あの"覆面水着団のファウストなの!!?!?……人は見かけによらないんだね。いや、覆面水着団って水着じゃないんだね。

 

「それでも…私は!」

やばっ、色々考えてたら話聞いてなかった!!

「アズサちゃんが人殺しになるのは嫌です。」

「そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです。」

「それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!」

「私には、好きなものがあります!」

「平凡で、大した個性もない私ですが……自分が好きなものについては、絶対に譲れません!」

「友情で苦難を乗り越え」

「努力がきちんと報われて」

「辛いことは慰めて、お友達と慰め合って……!」

「苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!」

「そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!」

「誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!」

「私たちの描くお話は、私たちが決めるんです!」

「終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!」

「私たちの物語……」

「私たちの、青春の物語(Blue Archive)を!!」

 

"ここに宣言する"

"私たちが、新しいエデン条約機構"

 

「ミネシスたちが...混乱してますね。」

「戒律はETOを助けるもの、でもそれが今は二つあって」

「知ったことか!ハッピーエンドだと!ふざけ……」

「言わせないよ。錠前サオリ」

「聖園ミカ!!」

「長く続いたこの戦い、」

「歴史に続くこの憎悪」

「ここで終わりにする!」

「ここで終わりになどさせない!」

"いくよ!みんな!!"

ユスティナの動きが脆い今、アリウススクワッドを狙いやすい!

「今度は逃げないんだね。錠前サオリ」

「叩き潰してやる」

もう、一人じゃないゲヘナ・トリニティ・シャーレ、……

一人じゃなくなってる

「風紀委員会長ちゃん!お願い!!」

「ツルギちゃんも前に!」

前が嘘のように、簡単なほど…全ての障害を瞬く間に倒してしまった。数が数とはいえ五分程度かな?……味方っていいね。

 

「どうする、リーダー。聖徒会はもう使い物にならないよ。」

「ツルギやヒナでも辛いのに、聖園ミカまでいるんですよ?」

「手詰まりだね。私たちの負けだよ。」

「サオリ……もう諦めて」

......一人じゃない、だから殺せない。…それはわかってた。けど、嬉しい自分がいる。もう、殺さなくていいんだよね?……

「全て否定して!壊してやる!お前だけがのうのうと日の元を歩けると思うなよ!!」

「……ここは通さないよ。」

「ぐっ!?がぁぁっ!?」

直撃だ、前の疲弊した時とは訳が違う。

「終わりだよ。これで」

「……終わりか...」

「もう、打つ手なんて…」

「まだだ、まだ古聖堂の地下に…あれが」

「まっっ!!」

錠前サオリを追いかけようとしたその時。

やばぃっ……意識がっ、

"ミカ!?"

「行って!!私は大丈、夫…」

まずい、本格的に……視界が...

なんとか抗おうとしたが、そのまま私の意識は底の底に落ちてしまった…

 

ーー

「はっ!!……錠前サオリ!」

「……!?ミカさん起きたんですね!!」

ここは、トリニティ?あれ?私古聖堂にいたはずじゃ?

「おはようミカ……君は古聖堂で倒れてね。ここに運ばれ十日の間眠りっぱなしだったんだ。」

「セイアちゃん!?」

その後、セイアちゃんとナギちゃんとで色々話した。そりゃたくさん話したよ。いっぱいいーっぱい話して…そこから幸せな日々が続いた。

 

〜〜数週間後〜〜

「…ミカ少し二人で話したいことがある。」

「だそうです、ミカ様」

とある日の夜、私の部屋にセイアちゃんがやってきて、そう言った。

「申し訳ないが、少し中に入れて欲しい。」

「……わかりました。」

あの子に入れていいよ、といい。セイアちゃんが入ってきた。

「二人っきりで話したいだなんてセイアちゃんらしくないね?」

「ミカ、私が襲撃された時渡したものはまだ持ってるか?」

「……持ってるよ、今もネックレスとして」

「それは動いたか?」

「…うんん」

動く、いや、そんな動作はなかった。

「君はまだ、本当の敵に会っていない。それに…まだ終わっていない。」

「君にはまだやるべきこと……げほっげほっ、ゴホッ…ま、ず……い」

「セイアちゃん!?しっかりして!!!『』早く救護騎士団を呼んで!早く!!」

本当の敵がまだいる?やるべきこと?……錠前サオリ、あなたはやっぱり"殺さないといけない"

7ーー

行こう、カタコンベに…きっとそこに、アリウススクワッドはいるから、もう次は逃さない。

これで終わりにしよう。

 

〜〜カタコンベ〜〜

ん?銃声が聞こえる...何かと争ってるのかな?

うーん、よく見えないなー……あれっ?銃声が止んじゃった?とりあえず出てみよっか♪

「ふふっ、やっぱりここだよね!大当たり!」

「聖園、ミカ……」

「悪役登場☆ってところかな。まだ覚えててくれてたんだ♪」

「会えて嬉しいって感じでもなさそうだね。そういえば大事そうに守ってたもう一人はどうしたのかな?」

「……先生は?」

「もう直ぐここまでくるかと」

先生…そっち側?まじかぁ……どうしよう。

「チッ、撤退する。先生がいるからって調子乗らないでね!」

先生と錠前サオリを分断しないと、こっちに勝ち目はない……どうしたものかなぁ。

……そうだね。時期を待つ。

 

〜〜アリウス分校内部〜〜

ただ時期を待って、待って、待って、そして見つけた。

「先生!柱が倒れてくるよ!!」

「やーっと、分断できたね♪あーけど、先生が来れちゃうね?」

「先生……私たちの目的は何だ?」

"……目的を果たす"

「けど、来なかったみたい♪さ、あなたの命日だよ。命乞いと遺言、どっちが先に聞けるかな?」

ラストバトルだよ。錠前サオリ

「最初に目覚めた時は、自室のベットだった。何もない日常が帰ってきてさ。すごく嬉しかった。」

「……。」

「そのあとは色々あって、あなたに憎悪を抱いてる。」

「何が目的だ。」

「あなたを殺すこと。そう言ってるでしょ?錠前サオリ」

「そろそろみんな結末が見たいらしくてさ。終わりにしたいの」

「……。」

「何か言ったらどう?遺言は多いほうがいいでしょ?それとも私の憎悪に納得がいかない?」

「いや、納得はしている。」

「!?」

刹那、何かが爆ぜる音と共に煙幕?…何かが辺りを覆った。

「前より確実に強い……何をした!」

「……おまえと戦う際の注意点はもうわかった。一瞬で移動したように見える抜き足、絶対に背中を見せないその動き、そして弾丸を絶対に避けるその動き方……戦場上がりだな」

「っ!?」

私の動きでそれがわかるなんて……さすがアリウススの生徒ってところだね。

「けほっ、けほっ…ゲリラ戦で行くつもり?まぁ、たしかにこの地形ならそれが最適だよね。」

やりずらいっ…アズサちゃんのゲリラ戦より数段階格上!

「ちょこまかと!!」

落ち着け……一点を狙え、そこに一撃を叩き込んで堕とす…ゲリラ戦を万全に行える備えなんてあっちにあるはずがない….確実に狙え。

「……」

待ってちゃ勝てない……誘導しないと。

錠前サオリが来たがる場面…怪しまれないよう隙を作り、狙わせる。そこを反撃する。

バレないように、隙を作れ…ほら背中ガラ空きなここに!

「通らないよ!」

……は?当たった感じがしない。確実にいたはずだってのに…

「バニタス…バニタータム」

低い!?避けられなっ

「がっっ………」

倒れっ、ないぃっ!!錠前サオリ。あなたの負け……そこに転がってるのがあなたでしょ?

「う、ぐっ……」

「その傷じゃ無理だよ。錠前サオリ」

「たしかに、一撃で出せるような火力じゃないな……これは。 …私は負けたのか」

「そ、そして死ぬの」

"そうはさせないよ?"

「せ、先生!?」

「……先生?なんでここに!?」

「先生……姫を助けに行ったんじゃ…?」

"もちろん行くよ。サオリと一緒に"

「……!?」

「ごめんリーダー止めたけど、無駄だった。」

「せ、先生……えっと……。」

"ごめんね、ミカ。ずっと疎かにしちゃって。ちゃんと話せなくて"

「謝らないでよ。……私のやってることが正しいのか。わからなくなっちゃうから」

"…今度ちゃんと話し合おっか。"

"ミカもサオリも、殺すだとか言わないで欲しい。そんなこと生徒がする必要はないから"

"君たちが幸せな世界に進めるように大人の私が何とかするから"

「……。」

「戯言もそこまでにしなさい!!」

「よくも私のバシリカでそんな戯言を言えますね。」

"ベアトリーチェ…!"

「興が冷めました。ここで終わりにしましょう。」

ベアトリーチェ?誰こいつ……どういうこと?は?え、?ユスティナどもが!?……こいつらはもう使えないはずじゃ…というか、こいつらアリウススクワッドを狙ってる?

どういうこと?アリウススクワッドはアリウスの敵…?そういえばカタコンベ前で戦闘してたよね?誰と?……アリウスと?

「さぁ戯言ばかりの先生の口を閉ざすのです!聖女バルハラ!!」

つまり、本当の敵は…あのベアトリーチェってやつ?……なら、私がやることは?

「錠前サオリ!先生!!聞いて!私がこいつらを足止めするから‼︎……全部終わらせてきて?」「……。」

"ミカ…"

「……聖園ミカ、聞きたいことがある。」

「なに?……手短に言って?」

「…ミカ、その目は…あの戦い方はいくつもの死線を乗り越えた目だ……お前はトリニティの上層部だろう!お前は何を背負っているんだ」

「……全部、全部だよ」

負けられない理由がいくつある?

止まれない理由がいくつある?

助けたい人が何人いる?

守りたいものがいくつある?

最初に決意した時はトリニティのトイレの中だった。……そして今ここに立ってる

「全部、背負ってここにいる。」

…ふと胸元が、セイアちゃんからもらったアレが、光っているのに気づいた。…ネックレスから外し、握ると…それはどんどんと大きくなり、一つの槍となった。

「これが、セイアちゃんからの餞別ね。」

『銃より近接武器が得意』そう言ったのはいつだろう。今は両方が握られている。

胸に8つの勲章はもうない。あるのは"覚悟"ただそれだけ。

いつぶりだろう、屍の匂いを感じるのは

「何人殺した。バルハラ……聞いても意味ないか……」

さぁ、これがほんとのラストバトルだよ!

「行って!!」

 

やろっか、バルハラさん。

槍で側面を囲うユスティナを薙ぎ払う。

豆腐のように簡単に、奴らを倒せた。……これなら勝つる。

「...バルハラは硬いね。」

「はぁ……私もゲリラ戦かぁ。」

バルハラに攻撃は通用しない。だから逃げながら戦っていた……そんな中一つの部屋を見つけた。

「ここは音楽室?……そうだよね。アリウスも同じ教育を受けてたはずだしね」

…流石に機材は使えないみたいだけどね。

「……私はね。ずっとあなたたちのことを恨んでた。」

「ナギちゃん、セイアちゃん、先生…全員の死亡の要因だったとしてアリウススクワッド……錠前サオリを恨んでた。」

「けど、あなたたちは本当は被害者で、本当はただの女の子だったんだよね。」

 

「だから、アリウススクワッド。」

 

「あなたたちのために……祈るね。」

「いつか、あなたたちの苦痛が癒えることを、アツコを助けられることを…神に祈るから」

「あなたたちの行く先々に幸が有らんことを願うから」

「……先生がいるならきっと大丈夫。それに…背中はこの聖園ミカが引き受けるから」

「……あれ?」

「あははっ、故障してたんじゃないの?」

「これは慈悲を求める歌……別に好きじゃないけど、そうだね。うん…」

 

「あは☆何を急いでるの?ご主人様のところに行きたいって?」

「悪いけど」

 

「ここは通れないよ。」

「この先は救済を求める主人公たちの物語なんだから、私たち悪者は舞台の裏で踊ろっか」

バッドエンドはこいつらバルハラを通すこと……

聖園ミカ、BADENDに槍を打て。

「─kyrie Eleison」

「─kyrie Eleison」

ーー

「通さないって!!」

バルハラに以前ダメージを与えてる気がしない。周りのユスティナは弱いけど、確実にダメージを蓄積させてきてるっ……

ジリ貧?

「そんなの関係ない!」

カチッカチッ……嫌な音が聞こえる。

弾切れだ。……まさかそんなことが

…その一瞬の思考が命取りだった。…バルハラの一撃、普段なら避けれたその一撃を喰らってしまう。

「がっっ…!?」

壁に強く打ち付けられ、痛みで意識が朦朧とした….それでも。

「通さない!!」

この道だけは死守する。

腕が痛い。棒みたいだ。…それでもやらなきゃ

《…この時聖園ミカの腕の力はひ弱だった。敵にあたれば槍が負けてしまうであろうほどに……しかし、槍は貫いたのだ。星と共にユスティナを。痛みを見せなかったバルハラが痛み。銃の時より多くのユスティナが消し炭となった》

なにこれ……

《その一瞬の煌めきをミカは逃さなかった》

《"脱力"による"合理化"今まで緊張からか強く握ってしまい上手く扱えていなかったこの槍の真髄が、脱力による合理化で今開花する》

「これならあと1時間の間戦える。」

槍を振るう、変わらず力は入っていない弱い振りだが…たしかな手応えを感じる。

「もう負けない。ハッピーエンドは揺るがない。」

一振りで何十体も倒せている…けど、バルハラは痛がってはいるが、全くもって、倒れる気配がない……さらに威力が上がらないと

……けどそれは現実的じゃない。それに、倒さなくてもいい。ただ通さなければそれでいい!

「セイアちゃんありがとう...これがあったから、あなたがいてくれたから…私は戦える」

 

 

足音が聞こえる。また増援?もう、動くのも結構辛いんだけど?

「けほっ……けほっ。」

「あーあ、全身どろっどろ」

けど、朝まで耐え切ったよ。…きっと助けられてるよね?

「アリウススクワッドはハッピーエンドを迎えられたかな?」

アリウススクワッドだけじゃない、ナギちゃんもセイアちゃんも、きっと…迎えられるよね。

「なら、もういいかな…」

抗うのも頑張るのも疲れたよ……

「ごめんね、先生。もう…無理なんだ。」

…‥先生と一緒に帰りたかったな、ー

「……」

こんなところで死ぬの?私のこと誰も褒めてくれないで、こんなところで一人で死ぬの?……嫌だ。泣かないって、助けるって、決めたけど……一回だけ一回だけだから

「助けて、先生……」

"助ける"

「……先生?」

「何できたの?……私にそんな価値なんて…」

"ミカ…お疲れ様。頑張ってきたね。"

"ここからは大人の私に任せて"

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん。グスっひぐっ…私っ!本当はねっ、未来から来たの!!地獄の戦場から来てっ!!グスッ…みんな死んじゃって!!そんなの嫌だからっ!みんな助けたくてっ……一人で、頑張ったんだよ」

"ヨシヨシ、もう一人で抱えなくて大丈夫だから"

"バルハラ…"

"私の……"

"私の大切なお姫様に何してるの!"

「……わーお///」

ーー

あの堅かったバルハラを…先生はいとも簡単に倒してしまった…あのカードから出てきた?生徒たちと一緒に。

"帰ろう?ミカ"

「……うんっ!」

 

外へ歩き出した。銃を拾って。槍はそこに刺しておいた。

"あの槍はいいの?"

「うん、私にはもう、いらないものだからさ」

外にはアリウスの残党がいるかもしれないけど、その時は拳でどうにかするからいいよね♪

……けれど、外にいたの残党などではなく

「…正義実現委員会?なんでここに?」

「説明したい気持ちは山々っすけど、会いたがってる人がいるのでその人に会って聞いてください」

会いたがってる人?

 

「先生……!ミカ……!ご無事でしたか!」

「ナギちゃん!?あれ?どうしてここに…?」

「ここがアリウス修復作戦本部です」

「私が教えたのだよ。」

"セイア!?"

「セイアちゃん…!?わたしっ、!私!!」

「ああ、視たさ。しっかりと」

…そこからいろんな話をした。途中疲労で倒れそうになったことで、解散になったけどね。

……これで、私の物語は終わり。もうここからは知らない未来だから私なりに選択をして進んでいくつもり。

じゃぁ、あと1つは何に使うのかって?……見てみよっか。

 

後日談その1

「瀕死のあなたを連れてくるのはとても疲れましたよ。ベアトリーチェ」

「そんなに怯えないでください。ただ質問をしたいだけなので」

「は、はいっ!、なんなりとっ」

「"ミカ様"をあんなに傷つけてさ?死んじゃったらどうする気?」

「そ、それはっバルハラが!あの駄犬が……ぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

「バルハラ程度の犬を飼い慣らせないあんたの方がよっぽど駄犬だよ。ベアトリーチェ」

「どうかっ!どうか命だけは!お願いします!!」

「ベアトリーチェ、あなたはミカ様という存在の尊さをわかっていない。わざわざ私が"別世界の魂を呼び起こしてまで"あのミカ様"を呼び出したんですよ。この世界では、呼び起こす前夜に亡くなってしまったんですから」

「そんな尊きお方を殺そうとした。万死に値する。」

「あぁっ、あ……ぁっがぁっ!?」

「ミカ様、いつまでも敬愛しています 」

死に戻りミカ概念………転生聖園ミカ概念fin

後日談その2

〜〜数年後アリウス〜〜

「ねーねー〇〇ちゃん!入学祝いにさ。槍の間で写真撮ろうよ!」

「槍の間?」

「知らないの?昔アリウスの内戦の時に何百という敵を一人で足止めしたトリニティの英雄が使ってたとされる槍が刺さってるんだよ?」

「へーー、すごいね?」

「星の力が宿っているらしくて、アリウスの地が綺麗な星空で飾られてるのは槍の力のおかげなんだって!」

「すごいすごーい」

「ほら、とりあえず撮りに行こ!!」

聖園ミカ、BADENDに槍を打て,fin

 




皆様、改めましてスレ主です。
このSSを書いたスレが立ったのは2026年2月1日
本日は2026年2月9日…聖園ミカ、BADENDに槍を打て。は一週間と数日の間展開され、2月9日に書き終わることができました。
実は他にもいくつかSSスレを立てたことがあるのですが、こうやって完走したのはこのスレが初めてです。
きっと気になることが多くあると思います。
後日談その1は最たる例でしょう。聖園ミカの従者にして前の世界にはおらず、そしてベアトリーチェを操っている裏の役者。名前は一切わからず、ただ存在としている彼女自身のことや…彼女の発言。きっと気になることがあると思います。
ですが、謎を全て作者が明かしては読者が考察の余地をなくしてしまう。
なので、私はあの終わり方にしました。
私が答えを教えることはありませんが、どうか考えてみてください。
そしてこの作品はいつぞやの雷帝を抜かしたいというエゴから書き始めた作品でした。
しかしいざ書いてみると、場面転換の杜撰さ、描写の弱さ、色々と課題が見つかりました。
きっと、遠く及ばず…いつか記憶の中で忘れ去られるかもしれません。もしかしたら誰かの記憶に残るかもしれません。
ですがどれであっても構いません。
また、いつかSSスレを立てようと思います。次はアリスかはたまた、またミカかもしれません。
ここまでお付き合い頂き誠心誠意感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
ここまでのお付き合い、ご愛読ありがとうございました。



ピックアップ募集紹介:★3「ミカ(臨戦)」

いつも「ブルーアーカイブ」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
xx58年1月29日(木) メンテナンス後、限定ピックアップ募集「呪いも祝福も乗り越えし君は、星の希望」を開催します。
トリニティの生徒会「ティーパーティ」の一員にして、世界を遡りハッピーエンドを目指した「ミカ」さんのピックアップ募集になります。

▼ピックアップ対象
ピックアップ名:「呪いも祝福も乗り越えし君は星の希望」
ピックアップ生徒:★3「ミカ(臨戦)」
実施期間xx58年1月29日メンテナンス後〜2月4日までとなります。

【生徒紹介】
バッドエンドを変えるべく、一度は祈りを捨て、己が為ならず友のために覚悟を決めたミカさん。
武器は脱力によって星の力を会得した槍とミカさんの星の力が宿る銃の両方を持っています。勲章も地位も投げ捨て、友と愛する人のために強い力と意思で戦います!!

「覚悟を決めた私は誰よりも強いよ☆」

#ブルアカ
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