息をするように主人公と花村くんがお付き合いしています。
※P4だけじゃなくP3成分も入ってきてます。
なおこの小説を書いたときはまだP5発売されておりません。こわい
※Pixiv二掲載していたものをハーメルンに投稿するのにあたり、一部改稿しています。
※クトゥルフ神話成分がしみしみですよろしくお願いいたします。
※ちょっと痛そうな表現ありますが、タグはこれで大丈夫なはず!だめだったら言って…
※ボーイズラブタグが有効になりました。編集するのはそろそろやめようと思うので、OKな人はぜひ引き続きどうぞ。
2014年9月13日土曜日
(果音先輩……!)
世田谷の住宅街の隙間を縫うように、久慈川りせは御厨果音を追いかけていた。
白鐘直斗から御厨果音の周辺を探ってほしい、と依頼されたのは1ヶ月ほど前。
詳しい内容は知らされなかったが、直斗の職業は探偵だ。こっそりお願いされる、ということは果音の周辺に不穏な何かがあるのだろう、ということは容易に想像がつく。
そして、自分を自宅に招待してから深夜の外出。何か良くないことが起こっている。
(もし、果音先輩が何か事件に巻き込まれているのであれば、私が助けなきゃ。)
りせが果音をどうしても助けたい理由、それはりせが果音から受けた恩を返したいと思ったからだった。
りせが激動の3年前の事件を経て芸能界に復帰した時、そこには厳しい現実が待っていた。
自分が立っていた所には既に別の『カワイイ子』が収まっていて、りせに入る隙はもう残されてなかった。
また1からスタートした芸能人生活であったが、一方的にライバル視され陰口を叩かれたことも1度や2度ではない。そんな中、りせを励まし可愛がってくれたのが、御厨果音だった。
「果音先輩、待っててね。」
『ヤマトタケル、あの女は何処に向かってんだ?』
スサノオが闇夜に紛れて空を駆ける。視界の端には、神妙な顔をして果音を追っているりせが映っていた。
『直斗が、城址公園だと思うって。』
ヤマトタケルは果音を上空から追いながら答える。『直斗も城址公園に向かってる。多分御厨果音と同じタイミングで別の入口にたどり着けるんじゃないかな?』
『じゃ、スキル使用は問題ねえ、か。』
スサノオはちら、とりせを見下ろした。
『スサノオ、城址公園に何か来た!』
ヤマトタケルが言うまでもなく、どす黒い霧が城址公園の林の中から立ち上るのがスサノオも認識する。『何これ、気持ち悪い!』
『我慢しろって。』
スサノオは眉を顰める。『じゃ、さっき話したとおりやるぞ。』
『ちょっと良心が痛むけど、直斗には内緒、でしょ?』
『当たり前だ。言ったら最後、止められるだろ?俺達が健在で且つ直斗とりせが居ないとこれは成立しねえ。』
『うん、直斗のお仕事のため、だもんね。』
ヤマトタケルは言うと、御厨果音を追って城址公園に入り込んだ。『頑張るね!』
りせは、果音から数10メートル後方からこっそり城址公園へ入った。
果音は後ろを振り返ることもなく真っ直ぐ歩いていたため、街灯から離れるときの影だけ気をつけていれば尾行はたやすい。
りせは、街灯近くのベンチの影に隠れ、果音の様子を見ていた。
御厨果音は、後方にいるりせのことを気にするでもなく城址公園の中をゆっくり歩いて行く。
その先の暗がりで1人『男』が待っていた。
「社長。」
果音が呼べば、男は口角を上げて笑みを作る。
「よく来たわね、待っていたわ。」
よく見れば、果音と対峙する人物は男装をした女性だった。
果音は口を半開きにする。
男装をした女は自分の右手の小指を咥え、噛み切った。
「ーーーーーッ!」
りせは悲鳴を上げるところだったが、後ろから何者かに口を抑えられ、なんとか物音を立てずにすむ。
『りせ、お前少し黙ってろ。』
りせは、その声に聞き覚えがあった。
「花村、先輩?……じゃない?」
りせはさらに目も手で覆われる。「ちょっと、」
『見ない方がいい。ここからは、『俺達』の時間だ。』
花村によく似た声色の人物は、まるで子供をあやすがごとき優しい声でりせに囁いた。
しばらくピチャピチャという耳障りな音が聞こえ、りせは眉を顰める。
(何が、起こっているの?)
「行きなさい、果音。暴走した者達の娘をよろしく。」
「はい、社長。」
女の命令に果音が答える声が聞こえた後、靴音がまた響き始めた。おそらく果音が移動を開始したのだろう、と何も見えないりせは推測する。
「さて。暗がりから逢瀬を覗くとか、褒められたものではないね?」
女のものと思われる足音が一歩ずつ、ゆっくりとこちらへ近づいていた。
『まだか、アイツ。』
りせの後ろでポソ、と呟く声。
「アイツ?」
りせが呟いたとき、聞き覚えのある声が響いた。
『メギド!』
女の背後で4属性が収束し、爆発する。
「ちぃっ!」
女が爆発を避け振り返れば、八十神高校の冬服を着て青い帽子を被った少年が暗がりから姿を現した。
『やっぱり、『人』じゃないんだ?』
少年は、金色の瞳を細め女を見る。『君はだれ?』
「それは、こちらの台詞だ。」
女は右手を少年へ向けた。先程小指を噛み切ったその手には、すでに小指が再生されている。
その手が、一気に2mほど少年へ伸びた。少年は、その手を空中を浮遊することで回避する。
『君には言わないよ。言ってもわからないだろうしね。』
少年は言うと、闇夜に溶けるように消え失せた。
女が振り返れば、ベンチの影にいた人間も居なくなっている。
「逃した、か。……まあいい。果音をつけてきたようだし、殺らせればいいだけのことだからな。」
女はクス、と嗤いその場から消えた。
「離してよ!」
『うっせ、下見てから言えよ!』
「きゃ、嘘っ!空飛んでるじゃない!」
『だから静かにしろっての!』
りせが眉を顰めて暴れると、スサノオはバランスを崩しそうになりながらなんとかりせを支える。
ヤマトタケルがメギドで女の注意を逸らしている間に、スサノオはりせを抱えて城址公園から脱出していた。そのまま、果音の自宅があるマンション前まで一気に飛ぶと、そっとりせを下ろす。
「というか、どうして花村先輩のシャドウがここにいるのよ?!」
訝しげにジロジロ見るりせに、スサノオははあ、と1つため息をついた。
『俺、お前の命の恩人なんだけどな?随分な言いようだな?』
スサノオが刺々しく呟く。『早く帰らねーと、御厨果音が戻ってくるぜ?』
「もうっ!後で先輩に説明してもらうからいいよっ」
りせがむくれた時、上空にヤマトタケルが現れた。
『行こう?直斗が呼んでる。』
『了解。すぐ行く。』
「直斗君のシャドウまで?!」
りせは唖然として立ち尽くす。
『りせちー、あまり危険なことはしないで?君は人間なんだから。』
ヤマトタケルは微笑みながら言うと、そのまま飛び去る。スサノオもふわ、と浮かぶとヤマトタケルの後を追った。
1人残されたりせは、後で絶対問い詰める、と誓いながらマンションのエレベーターホールで上へ向かうボタンを押した。
「スサノオ、1つ確認したいのですが?」
薬師寺が運転する車内で、直斗は咎めるような視線をスサノオに向けた。
『何だ?』
後部座席に腰掛けたスサノオは金色の瞳を瞬かせる。
「久慈川さんがあそこにいるなんて聞いてないですよ?」
『公園でアイツを見つけたんだ。大方御厨果音を追いかけてきたんだろうけどよ?』
スサノオは大仰に肩を竦めた。『直斗、俺はりせを見つけて、あまつさえマンションまで送迎してんだぜ?スキルが使えねえ以上、それぐらいしかやりようないじゃんか?』
「まあ、そうでしょうけれど。」
直斗は目を細める。「久慈川さんをまさか囮にした、なんていうことはありませんよね?」
『そりゃもちろん?』
スサノオはニヤと笑った。
(さっすが、探偵。敏いねえ。)
チラ、とバックミラーを見れば直斗はもうスサノオを見ていない。
スサノオは目を閉じた。(『緋色』の連中がどうやって口を封じているか、『りせを囮に使って御厨果音にこれから起こる事を見る』。その目的は達した訳だが、……さて、陽介にはどう伝えたものか。アイツ、結構ビビリだもんなあ。)
『直斗、』
スサノオは、助手席にいる直斗に声を掛ける。『イザナギのところに行きてぇんだけど、まだ俺はここに居たほうがいいか?』
「いえ、今日はこれで終了です。」
直斗はチラリとミラーを見た。「お手伝いいただき有難うございました。」
『じゃ、俺はこれで失礼するよ。』
スサノオは車からスル、と抜ける。フワ、と浮かび車を見送ると、ぐるりと辺りを見回した。
『イザナギ、今何処にいる?』
スサノオが目を閉じてイザナギを呼ぶと、彼の背後から声がした。
『木村さんの家の屋上に居るが。』
『ちと話したいことがある。今からそっちに行ってもいいか?』
『分かった。待っている。』
イザナギの声がした方へスサノオは向く。目をゆっくり開けると、夜空の闇に紛れるように音もなく飛んだ。
「寝た気がしねぇ……。」
ペルソナをお借りしたい、という直斗の所にスサノオを飛ばして寝たものの、花村の朝の寝起きは最悪だった。念のため、と木村の家の屋根でイザナギを待機していた鳴上も、寝ている間に多少消耗したらしく、珍しく寝汚くなっている。
「陽介は、前の事件の時はこれをひとりでやってたんだろ。慣れてもキツイよな。」
ベッドから出られずゴロゴロしながら、鳴上は花村を背中から抱きつく。
「ちょ、今オレ汗かいてるって、」
花村が少し慌てて言うも、鳴上は顔を花村の肩に顔を埋めた。
「陽介分補充しないとベッドから出られない。」
スンスン、と臭いをかぎ、鳴上は目を細めた。「いいにおい……」
半分寝ぼけながらも満足気に呟く鳴上の声に、顔を赤くした花村がわなわなと震えていた。
「お、落ち着け相棒ぉ……。」
この分だと午前中はこのままベッドの中だな、と半ば諦めの境地で花村が自身のスマホに手を伸ばす。メール作成画面で立川、寺田、凪嶋宛に講義の代返と授業ノートを来週借りたい旨を依頼するメールを作成し送信した。「つーか、昨夜なにやったんだスサノオは……。」
カーテンが閉まった窓を眺めながら、花村は呟く。
寝ている間に戻ったらしく、今は自分の中に居ることは感覚的に分かっているのだが、全く何を言うでもなく黙ったままだ。
「イザナギも、相変わらず何も言わないな。」
鳴上も眠気と戦いながら呟く。「木村さんのところで見張るだけだったのに、なんでこんなに消耗してるんだ俺……?」
「悠、俺もう寝そう。」
「奇遇だな、俺もだ。」
数分後、2人の寝息が時計の音とともに寝室を満たしていた。
直斗もまた、珍しくまだベッドの中にいた。
昨夜のことを思い出し、眉を顰める。
「ヤマトタケルも全く、とんでもない映像を持ってきましたね……。」
スサノオと別れて帰宅した後、ヤマトタケルから『情報共有したい』、と言われ、ベッドで寝ながら見た映像はおおよそ正気の沙汰ではないものだった。
自分の指を噛みちぎった女は、それを咀嚼しながら御厨果音を抱き寄せ、ディープキスをした。
御厨果音は焦点が定まらない瞳を一度大きく見開き体を震わせて、喉を鳴らしながら何かを飲み込む。満足したかのように女が口を離す。
「行きなさい、果音。暴走した者達の娘をよろしく。」
女が『命令』すると、御厨果音はうっとりとした笑みを浮かべて答える。
「はい、社長。」
御厨果音が踵をかえして元来た道を帰っていく中、女は冷たい眼差しである一点を見た。
「さて。暗がりから逢瀬を覗くとか、褒められたものではないね?」
その視線の先には、久慈川りせと、りせの口と目を両手で塞いでいるスサノオの姿があった。
直斗が頭に手をやりため息をついたとき、スマートフォンが音声着信を知らせた。
画面には、『久慈川りせ』と表示されている。
直斗は目を擦りながらスマートフォンの通話ボタンを押した。
今から読むとやばい(やばい) 伝わってる?状況は…
かきなおしはしませんが、がんばってまいるどには したので
それではまた次回