ペルソナアフターパラレル   作:erupon

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※ペルソナ4原作後、大学生設定の二次創作です。
 息をするように主人公と花村くんがお付き合いしています。

※P4だけじゃなくP3成分も入ってきてます。
 なおこの小説を書いたときはまだP5発売されておりません。こわい


※Pixiv二掲載していたものをハーメルンに投稿するのにあたり、一部改稿しています。
※クトゥルフ神話成分がしみしみですよろしくお願いいたします。

※ボーイズラブタグが有効になりました。まいるどにはしてたんだけどな…OKな人はぜひ引き続きどうぞ。

段落続きになるので、前話と数行被っていますが正常です。


017.赤いサロン7

 直斗が頭に手をやりため息をついたとき、スマートフォンが音声着信を知らせた。

 画面には、『久慈川りせ』と表示されている。

 直斗は目を擦りながらスマートフォンの通話ボタンを押した。

「おはようございま」

『もしもし?直斗君?』

 直斗が挨拶を終わる前に、りせがしゃべり始める。

 直斗は心の中で嘆息した。こういうときのりせはとにかく話が長い。

「はい、そうですが。」

『昨夜、花村先輩と直斗くんのシャドウに会ったの!』

 ああ、そうですか、と直斗は遠い目をする。『今、何が起こってるの?』

 直斗はスマートフォンを離して1呼吸置いた。

 そうすることで、少し心が落ち着きを取り戻す。

「あの2人は、シャドウではありません。」

 直斗は落ち着いた声でりせに告げた。

『で、でも、目が金色に……。』

 りせの声には、明らかに困惑の色が透けている。

「あの2人は、ペルソナです。」

『ペル、ソナ……?』

「はい。僕の姿をしたのがヤマトタケル、花村先輩の姿をしたのがスサノオです。」

『だから、空を飛んだの?』

「そうです、としか言いようがないですね。」

 直斗の回答に、りせは少し黙った。

『……私のカンゼオンも、出せるようになるのかな?』

「それはなんとも言えません。僕のペルソナは、ある人物の介入で開放されたようですが、花村先輩のように自発的に出てくる場合もありえるようなので。」

『そっかー。』

 りせは残念そうに呟く。『直斗くんのペルソナを開放した人にお願いしたら、開放してくれるのかな?』

「それは、分かりません。そもそも連絡方法も分かりませんし、鳴上先輩によれば、唯一繋がりがある人物は現在休学中とのことなのでこちらからは一切アクションが取れません。」

『うん、分かった。きっと、必要なときに助けてくれると信じて待つしかないね。』

 りせの言葉に、直斗は安堵した。『でも、出来たら先輩や直斗君の手伝いはしたいから、もし芸能界関係とかで調べることがあったら何でも言って?』

「それでは、今すぐに調べていただきたいことがあります。」

 直斗は言いながら、ベッド横のサイドボードにおいてあったメモパッドとペンを手にする。

『なあに?』

「御厨果音さんの、今日から一週間の予定を知りたいのですが。」

『果音先輩なら、同じ事務所だしすぐに分かるよ、ちょっと待っててね。』

「はい。」

 電話の向こうで、キーボードを叩く音が聞こえる。

『今確認したけど、今日から明日にかけて群馬県で映画のロケが入ってる。夜の撮影も含むから東京に戻ってくるのは明日の午前中の予定になってるよ。明後日からは、ドラマの撮影が3日間。それぞれ朝10時から午後3時予定。その後1日オフがあって、それから後はずっと映画の撮影が2週間ぐらい入ってる。』

「分かりました。とりあえず、今日は地方に出かけている、という認識であっていますね?」

『うん。』

「お調べ頂きありがとうございました。また、何かあったら連絡しますね。」

『分かった。じゃあね!』

 通話が切れたことを確認し、直斗は1つため息をつく。

「明らかに、疲れが残っていますね。……でも、やることはやらないと。」

 直斗は、スマートフォンの電話帳から鳴上を選択すると、電話をかけ始めた。

 

 

 鳴上のスマートフォンから音声着信を知らせるコール音が鳴った。

 鳴上は、気だるそうにスマートフォンに手を伸ばし、通話ボタンを押す。

「もしもし……。」

『白鐘です。お休み中の所失礼します。』

 鳴上の少し寝ぼけた頭が通常運転モードに切り替わる。

 隣で寝ていた花村も目が醒めたらしく、体の向きを鳴上の方へ向けた。

「直斗か。どうした?」

『大変申し訳ないのですが、早急に木村さんのお宅にお邪魔できるよう取り計らって頂けませんか?』

 直斗の声にも少し疲れの色が滲んでいた。

「大丈夫か?直斗。少し、休んだほうがいいんじゃないか?」

 鳴上は通話モードをハンズフリーモードにすると、枕の上にスマートフォンを置く。

 スピーカーからは、直斗が苦笑する声が漏れ聞こえていた。

『昨夜、先日から調査している『CLUB緋色』の件で少し厄介なことが起きました。』

「スサノオが何かやらかした、とかじゃねーよな?」

 花村が心配そうに聞くと、直斗はああ、と呟く。

『花村先輩もこの通話を聞いているのですね?それなら、今説明した方が早そうですね。』

「ああ、頼むよ。昨夜の件、こっちはまだ全然掴めてないんだ。」

『分かりました。……昨夜、御厨果音に『人ではない何か』から接触がありました。』

「人でない、何か?」

『はい。僕が知る限り、人間は腕が急に2mも伸びたりしませんから。』

「は?伸びる?」

『それに、自分の小指を他人に分け与えることもしませんよね。』

「うわぁ……。」

 花村が頭を抱える。「何それグロい、」

『僕もそれが何かは分かりませんが、少なくとも人の形を取っていましたので、人でない何か、と表現させていただきました。』

 鳴上が何かを考えているらしく、視線を宙に彷徨わせる。

「それが、木村さんとどう繋がるのかな?」

『御厨果音に『それ』は力を一時的に分け与えたのでは、と僕は考えています。目的は、木村さんの殺害です。』

 鳴上と花村は顔を見合わせた。『早急に木村さんの身辺警護をするのと共に、木村さんのご両親の遺品が整理される前に何らかの証拠を見つけ出す必要が有ります。明日の午前中に会えるよう、木村さんと調整していただけませんか?』

「分かった。木村さんにはこの通話が終わったら連絡するよ。」

 鳴上が言えば直斗はお願いします、と答える。

『後、調整の時に、僕が行くことと僕に調査の依頼をいただくことを前提にお話いただけると助かります。何分、僕は職業探偵をやっている性質上、基本的に無許可、無報酬で調査はできませんので。』

「そうだな、それも伝えておくよ。」

「直斗、どうして明日午前中なんだ?」

 花村が首を傾げながら聞いた。

『御厨果音は、今日1日映画のロケで不在です。都内に戻るのは明日午前中、と聞いています。つまり、明日午前中に木村さんとお話できれば、最速で襲撃されても迎え撃つこともできるかと思います。』

「なるほど。なんだか今日は俺達も疲れがたまってるし、明日のためにしっかり充電するって感じでいいのか。」

『何が起こるか分かりませんので、なるべくベストの状態で明日を迎えた方がいいでしょう。』

「そうだな。」

 花村は頷く。

『それと、もう1つ。』

 直斗が1つため息をつく。『昨夜、御厨果音の家に久慈川さんがいました。久慈川さんは、人でない何かに呼ばれて出かけた御厨果音の後をつけ、結果として僕と花村先輩のペルソナを目撃しています。先程確認の連絡があって、仕方なく現状を簡単に説明しました。』

「ああ、バレたのか。まあ、こればっかりは仕方ないな。」

 花村が苦笑いと共に呟いた。

『先日の件と同様に先輩方にはお願いばかりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。』

 通話が切れる音が寝室にやけ大きく響く。

「ちょっと電話掛けてくる。」

 鳴上はベッドから出ると、寝室を後にした。

 花村もベッドを出ると、部屋のカーテンを開けながらスサノオを呼び出す。

 スサノオは、花村の横に現れた。

「スサノオ、昨夜の件は直斗から聞いた。」

『そうか。じゃあ、話は早いな。』

 スサノオは金色の瞳を細めて外を眺める。『今回の相手は前回の比じゃなく強いぜ。化け物と邪神だからな。』

「邪神?」

『赤いワンピースの女、だよ。あれ、魔女なんてユルい奴じゃなかった。』

 花村は露骨に嫌そうな顔をする。『それと、もう1つ話がある。』

 花村は、スサノオへ視線をやった。

「何だ?」

『今朝からこのマンションを見張ってる奴がいる。』

「今何処にいるかは分かるか?」

 スサノオは後ろを振り返る。

『マンションの表口に車を停めてるな。どうやら玄関を見張っているらしい。』

「ああ、ウチの玄関は表口から丸見えだもんな。」

 花村は苦笑いを零す。「なあ、近くに寄ったら何を話しているか分かんねーかな?」

『ああ、このマンションからなら300m離れてないし聞こえるんじゃないかな?ちょっと行ってくるわ。』

 スサノオが壁を抜けて外へ出た。花村はベッドにもう一度寝転がる。

 その時寝室のドアが開き、鳴上が顔を出した。

「陽介、明日10時に木村さんの家に行くぞ。」

 鳴上の声に花村は手を振って答える。

「ああ、話ついたのか。手ぶらってのもアレだし、午後からお土産でも買いに行くか?」

「そうだな。後、飯どうする?今すぐ作れそうなのはチャーハンかペペロンチーノだな。」

「悠が食べたい奴でいい。」

 花村はベッドから起き上がった。「それと、今言っとくけど、誰かが俺達を見張ってるらしい。」

 鳴上が眉を顰める。「今スサノオに様子を見に行かせてる。飯が出来る頃には何か分かるんじゃねーかな?」

「分かった。じゃ、ペペロンチーノが出来たら呼びに来る。」

「了解。」

 鳴上が寝室の扉を閉める。

 花村は、スサノオからの情報を取ることに専念するため目を閉じた。

『……しかし、どうして部長の息子さんをマークするんですかね?』

『知らん。北島さんは部長からの指示だ、と言ってたけどな。』

『解せないっすね。』

『多分俺達が内偵してる件と関わりがあると踏んでるんだろ。そうでもなければ、俺達が駆り出される理由がない。』

『ま、そりゃそうっすね。』

 花村はスサノオを呼び戻す。花村の目の前にスサノオがフワリと現れた。

「正体が分かった。」

『へえ?』

「そこで、スサノオに確認したいことがある。」

『何を聞きたい?』

 花村からの問いに、スサノオは口角を上げる。『いい発想してんな?考えもしなかったぜ。』

「そうかい。で、出来んの?」

『出来ると思うぜ。やったことはないけどな。』

「今日のところは見張りはこのまま泳がせとこう。ただし、明日木村さんの家に行くときには使うかもしれねえな。」

『ああ。楽しみだな。』

 スサノオはニヤリと笑い、花村の中に戻った。

 花村は頭をガシガシと掻くとベッドから降りる。寝室のドアを開ければ、ペペロンチーノのいい香りが廊下まで漂っていた。

「陽介、もうすぐ出来るから。」

 エプロンを付けた鳴上が茹で上がった麺をフライパンに入れながら言った。「皿出しといてくれ。」

「分かった。」

 花村は食器棚から皿を出し、テーブルに並べる。「なあ、悠。」

「何だ?」

「悠の親父さん、どっかの部長だっけ?」

「ああ。桐条ホールディングス第2総務部、だったかな。」

「そうか。」

 鳴上は出来上がったペペロンチーノを2枚の皿に盛り付ける。

「それが、どうした?」

 2人は席についた。いただきます、と手を合わせる。

「俺達をマークしてる奴らの声を拾ったら、『部長の息子』ってワードが出た。俺の親父の役職は『部長』じゃねーし、悠の方の関係者かなー、と。」

 花村はスパゲッティをフォークに器用に絡めて口に運んだ。「んー、やっぱ悠が作る飯は旨いなぁ。」

 一方、鳴上はフォークを持つ手が止まっていた。

「桐条、か。どうして、俺なんだ?」

「さあ?」

 花村は肩を竦める。「今日はそのまま放っといて買い物とか行こうと思ってるけど。どこまで付いてくるか見てみたいし。」

「まあ、そうだな。」

 鳴上はやっと目の前のペペロンチーノに手をつけ始めた。「母さんに何か感付かれたかな?」

「ま、明日は撒くけどな。」

 花村はしれっと言うと、美味そうにペペロンチーノを口に運んだ。

 

 

「こんにちは、初めまして。私は、桐条ホールディングス第2総務部の青柳と申します。」

 木村佳美は自宅客間のソファセットに案内した女性から名刺を渡された。

「初めまして。木村、です。」

 消え入りそうな声で、木村が頭を下げる。

「今後の手続きについて簡単に説明したいのと、確認したいことがありまして、本日お邪魔させていただきました。宜しくお願いしますね。」

「は、はい。」

 青柳は持ってきたカバンから分厚い資料を取り出した。

「えー、まず、ご両親の状況からお話しします。」

 青柳は資料を捲る。「奥様は墜落事故死、木村常務は他殺です。自宅で亡くなっているのが発見されました。そのため、死後10日ほど経過し状態はよくありませんが現地警察の司法解剖が行われます。」

「はい。」

「ご遺体についてですが、先程言ったとおりご両親とも状態がよくないため、飛行機にて運ぶことが極めて難しい状況です。なので、シンガポールで荼毘に付して遺骨の状態で空輸することになりますが、宜しいでしょうか?」

「はい。」

「手続きについては現在シンガポールに向かった社員が手続きを進めておりますが、先程言いました司法解剖の手続きと、火葬場の手配、日本領事館での国外死亡帰国の手続きがありますため、日本に送還できるまで1週間ほどかかりそうです。それは大丈夫でしょうか?」

「はい。」

 青柳はここで、出されたお茶を軽く口に含んだ。

「葬儀については手続き等こちらで代行しますが、いかがいたしますか?」

「お願いできますか?」

 木村が俯きながら聞くと、青柳は微笑んで頷いた。

「遺産分配について、遺産保全手続きと正式な相続書類手続きのための弁護士をこちらで手配派遣できますが、いかがいたしますか?」

「あ、あの、」

 木村が、青柳の方を向く。「どうして、そこまでしていただけるのですか?桐条グループの、役員だったから?」

「桐条の、といういうより美鶴様のご意向です。美鶴様もご両親を早くに亡くされ、残される辛さは分かっていらっしゃいます。なるべく、残された親族には負担をかけないよう、と指示を受けております。」

 青柳は微笑んだまま答えた。

 木村は、その両目から涙が溢れ出す。青柳が木村の横に座って寄り添えば、木村は青柳に縋って思い切り泣きだした。

 




花村君がいい感じに人間逸脱してきておらワクワクすっぞ
さすが魔術師アルカナ 

それではまた次回
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