息をするように主人公と花村くんがお付き合いしています。
※P4だけじゃなくP3成分も入ってきてます。
なおこの小説を書いたときはまだP5発売されておりません。こわい
※Pixiv二掲載していたものをハーメルンに投稿するのにあたり、一部改稿しています。
※クトゥルフ神話成分がしみしみですよろしくお願いいたします。
※ちょっと痛そうな表現ありますが、タグはこれで大丈夫なはず!だめだったら言って…
※ボーイズラブタグが有効になりました。編集するのはそろそろやめようと思うので、OKな人はぜひ引き続きどうぞ。
「こちらが両親の部屋になります。」
木村がカーテンを開けながら言った。灯りをつければ、8畳ほどの洋室の真ん中に大きなベッドが置いてあり、壁の一部がクローゼット収納になっていた。また、部屋の隅には鏡台が設置され、化粧品が整理されて置かれていた。
「じゃ、早速調べさせてもらうか。」
3人は自身のペルソナを呼び出す。
「何かあったら知らせろよ。」
『任しとけ』
スサノオが目を閉じ、部屋全体にフワッと翡翠色の光を発散させた。『陽介、ゴミ箱になんかある。』
「ゴミ箱?」
花村がゴミ箱を覗くと、ティッシュペーパーの下に潰れたチューブが1本、捨ててあるのが見える。
『陽介、今持ってるその中身、多分生きてる。』
「いぃっ?!」
花村はチューブを床に取り落とした。「生きてるっておま、どういうことだよ?」
直斗はそのチューブを見て、眉を顰める。
「リキッドファンデーションBB、ですか。……もしかして、販売元はレッドカンパニーですか?」
直斗の問いに、花村は落としたチューブを拾い裏をひっくり返した。
「あ、ホントだ。レッドカンパニーって書いてある。」
「そう、ですか。御厨果音の件と話が繋がったかもしれません。」
直斗の言葉に、他の3人は直斗へと視線を向ける。「久慈川さんにパッケージの写真を見てもらいましょう。何かしらのリアクションがあると思います。」
直斗はチューブの写真をスマートフォンで撮ると、りせにメールを送った。
クローゼットを開けた鳴上は、やや派手なワンピースが何着かハンガーにかかっているのを見る。
「木村さん、ご両親がシンガポールに行くまでの間、何かやってなかった?」
鳴上の問いに木村は少しの間考え口を開いた。
「ダンスに行っていた、と思います。月2回、ぐらい?」
「それはいつですか?」
「毎月何日、とは決まってないみたいでしたけど、確か、空を見て楽しみにしてた、ような?」
「空を見て?」
直斗が考えこむ。
鳴上がカレンダーを見る。と、カレンダーの文字の隅に赤い点をつけているのが見つけた。
「8月4日、17日。9月2日と16日。10月2日と16日と31日。11月15日と29日。12月14日と29日。」
「前もって、ダンスをやる日は決まっていた、ってことか?」
花村が首を傾げる。「それとも、計算できたのか。」
「でも、この日は満月じゃない。満月なら1日しかない。……木村さん、パソコンありますか?」
「その必要はありませんよ。」
直斗が、持ってきていたタブレットPCで月齢カレンダーを見せる。「先程鳴上先輩が言った日付は、上弦の月と下弦の月の日。……恐らく、『ダンスに行ってた日』というのはこの日では?」
「それか。……だとすれば、次は16日、か。」
「ん? 16日?」
花村が眉を顰める。「あれ?もしかして、この前の招待状。1階の荷物の中にあるから持ってくる。」
花村は1階に降りて、やがて封書を持って2階に戻ってくる。
「あ、16日だな。」
花村は中身を見て確認した。「ビンゴ、だな。」
「招待状、ですか?」
木村は別の部屋へ行き、戻ってきた時には花村と同じ封書を手にしていた。「母が、一緒に行こうって、渡してくれたんです。」
「俺のと、同じだ。」
花村が、呟く。「ここでつながった、か。」
「多分、この日この招待状の場所に行けば、全てがはっきりする。」
鳴上の言葉に花村と直斗も頷く。
「決戦は明後日、だな。それまでに出来る準備はしねえと。」
花村は、再度招待状の内容を確認した。「ん?」
「どうした?」
「やっぱり20歳未満お断り、って書いてある。酒を提供してるからかな?」
「それについては多分、何とかなると思います。身分詐称になってしまうのが非常に残念ですが。」
直斗が苦笑いと共に言った瞬間、ペルソナの3人が一斉に同じ方向を見る。
『直斗、御厨果音がこっちに来るよ!』
『主、近くにペルソナ使いが居る。』
「どうする、相棒?」
花村の問いに、鳴上は少し考え口を開いた。
「直斗はヤマトタケルと共に御厨果音を迎撃。昨日の話が本当なら、同じことが起きるかもしれないから注意な。陽介はペルソナ使いを誘導して御厨果音と接敵させろ。接敵させて直斗がやばそうならそのままフォローを頼むぞ。」
「了解。直斗、行こうぜ。」
「はい。」
「直斗、もしやばそうならスマートフォンを鳴らしてくれ。」
「分かりました。」
花村と直斗が部屋を出て行く。
鳴上は木村へと振り返った。
「さて、捜索の続きだな。イザナギ、頼んだぞ。」
『分かった。』
イザナギは目を閉じ白銀の光を散らす。
「あの、鳴上さん?」
「何ですか?木村さん。」
「イザナギ、とかヤマトタケル、とか何のことですか?」
「北島さんですか?蒲田です。」
『どうした?』
「木村常務の自宅前に来ていますが、昨日青柳が仕掛けた情報収集機器が破られて中の状況のモニターが出来ない状況です。また、荒垣君が近くにペルソナ使いがいる、と知覚しています。」
『そう言うことなら、そのペルソナ使いが木村邸の情報収集機器を無力化したんだろうな。』
その時、荒垣は木村邸の正面玄関からステッチが印象的な学ラン姿の少年が出てきたのを見た。明るい茶髪に、首からオレンジ色のヘッドホンを下げている。
少年は、荒垣達の方を向き、右手で指差すように構える。
「あれは。……まさか?」
荒垣の呟きに蒲田が視線を荒垣へ向けた時、少年の指先から風のスキル『ガル』が2人が乗る車に向け放たれた。ガルの衝撃波で運転手側のフロントガラスに傷がつく。
「うおっ!」
蒲田が急についた傷に驚き声を上げる。
『蒲田、今の音は何だ?何があった?』
北島の問い掛けに蒲田が口を開こうとした時、荒垣は確かに少年が、金色の瞳を細め口元を歪ませたのを見た。
荒垣は蒲田のやや混乱した表情を見た瞬間、あの少年が見えているのが自分だけだという事実に思い当たる。つまり、シャドウか、あるいはペルソナである可能性が高い。
「蒲田さん、ちょっと出ます!」
「荒垣!勝手に出るな!」
蒲田の怒号が響く中、荒垣は車から出て腰のホルスターから銃を抜いた。そのまま銃口を下にしたまま少年が去った方向に走る。
「ヤロウ、ナメやがって。」
『こんにちわ?』
ヤマトタケルは御厨果音の前に舞い降りた。『僕を、覚えてる?』
次の瞬間、果音はヤマトタケルに衝撃波を飛ばす。
ヤマトタケルは衝撃波をフワッと避けると金色の瞳を細めて笑った。『アハハ、やっぱり記憶も継承するんだね!まあ、自分の一部を食わせてる時点でそんな予感はしてたけど。』
『ペルソナ使いをそっちに誘導した。後少しで合流するはずだ。』
『スサノオありがとね!』
ヤマトタケルは右手を果音に向けて掲げる。『メギドラ!』
果音はメギドラの爆発を手から展開したムチのような左腕を盾のように展開して避けた。その左腕をそのまま伸ばして直斗に殴りかかる。『直斗!』
直斗は、果音の左腕を横っ飛びで避けた。
「メギドラをもう一度、今度はフルパワーでいきます。」
『分かった!』
ヤマトタケルが呪文詠唱に入った時、直斗は背後に殺気を感じ一瞬硬直する。
『ヤバイ!』
スサノオが直斗をフルスピードで空中に攫ったとき、直斗が立っていた場所を通り越して果音に万物属性の光が突き刺さった。
「ああああああ!」
果音の口から何かが飛び出し、同時に左腕が元に戻ると力なくどさりと倒れ臥す。
光が突き刺さった箇所からじわりと血が滲み出ていた。
『このー!消えちゃえ!』
果音の口から飛び出たものをヤマトタケルがメギドラで吹き飛ばすと、スサノオへオロオロしながら顔を向ける。『スサノオ、ディア系持ってないっけ?あの人倒れたままだよ?血も出てるよ?』
『陽介が来ねえとスキル使えねーの!』
スサノオが直斗をそっと下ろしながらヤマトタケルに言い返し、後ろを振り返ると、荒垣と花村が対峙しているのが見えた。
「お前、誰だ。」
荒垣が花村を睨みつける。
「それはこっちの台詞だ。そこを退けよ。御厨さんにディアラマ掛けねえと状態がどんどん悪くなっちまうじゃねーか!」
「そのペルソナ、何処で手に入れた?」
「……うるさいな、どけって言ってるだろう。日本語も分かんねえか。」
花村が低い声で言い放つ。直斗は、いつもは明るく笑う花村から感情が抜け落ちていくのを呆然として見ていた。
「んだと?」
荒垣は、目の前の男から殺気が滲み出るのを感じ取る。
「来い、スサノオ。」
花村が呼べば、スサノオが花村の隣にフワリと降り立った。
『マジでヤル気?ま、面白そうだから止めねーけど?』
ニヤニヤしながらスサノオが言えば、花村はスサノオと重なり翡翠色の光に包まれる。
(分かってんだろ?)
花村の問いかけに、スサノオは花村の頭の中で楽しげに笑った。
『フフッ、まーな?』
『花村先輩!スサノオ!御厨果音が死んじゃうよッ!』
ヤマトタケルが叫んだ時、花村が動いた。
荒垣がセフティロックを外して銃を構えた瞬間、花村が荒垣のすぐ横を通過する。
「なっ?!」
花村はその手に慈愛の光を集めると果音の手前でギュッと止まり、1言呟いた。
『ディアラマ』
光が果音を包み、染みだしていた血が止まる。
「直斗、救急車を呼んでくれ。俺じゃ止血までで精一杯なんだ。」
「はい、分かりました。」
直斗がスマートフォンから119をコールし始めたのを見て、花村は荒垣へと振り返った。
「その気になればさっき横を通り過ぎた時に殺れたんだけどな?お呼びじゃねえよ、さっさと持ち場に帰りな。」
「荒垣!何をしてるんだ!」
呆然とする荒垣は、その声に我に返る。声の主、蒲田は角を曲がった所で立っていた。
「蒲田さん、」
「行こうぜ、直斗。」
花村が木村邸へ向かって歩き出す。直斗がヤマトタケルを自分に戻すと、慌てて後を追った。
「花村先輩、御厨果音さんはどうなさるんですか?」
「この人達がお守りしてくれるさ。」
花村は肩を竦める。「じゃ、後は宜しく。」
「君達は、どういう?」
蒲田が2人へと語りかけた。
「別に言う義務はないと思いますケド?」
花村はジロリと蒲田を睨み、そのまま横を歩き去る。
「先輩、やり過ぎじゃないんですか?」
心配そうに直斗が花村に耳打ちすると、花村は眉を顰めた。
「そもそも直斗ごと御厨果音を吹き飛ばそうとしたアイツが悪い。」
知らねーよ、と花村は突っぱねる。「下手すりゃ直斗が死ぬとこだったんだぜ?俺さ、もう、知ってる奴が理不尽に痛い目に遭うのは見たくねえの。」
「は、はあ……。」
「とりあえず、悠と合流しねえとな。」
2人が木村家に戻ると、鳴上と木村は1階リビングで麦茶を飲みながら談笑していた。
「悠、戻ったぞー。」
「2人共お疲れさん。明後日の事を色々話してたんだ。」
鳴上は、花村と直斗に笑顔を向ける。
「麦茶を入れますね。少し、お待ちくださいね。」
木村が台所に向かったタイミングで、鳴上は少し声のトーンを落とした。
「ペルソナ使い、何を使ってた?」
「分かんね。ペルソナ出さなかったし。ただ、万物属性を光の矢として撃つ銃を使っていたな。」
花村は、肩を竦める。
「そこが解せないのですよ。」
直斗は、腕組みをした後右手を顎の下に添えた。「普通なら、何かしらの魔法スキルを使う方が銃より強力な気がするのですが。」
「まさか、」
鳴上は、麦茶を口に含む。「魔法系スキルを持ってない、物理系スキル極振りタイプ?」
「ええー。里中でさえ氷結系スキル持ってんのに、それだとただの脳筋じゃねえか。物理が効かない奴が出た瞬間何も出来ねえじゃん。」
花村は呆れたように呟いた。
「でも、充分ありえますよね。だからこそ、銃を使っている、と。」
「可能性は割に高そうだな。」
3人はお互いに顔を見合わせる。
「麦茶が入りましたよ?」
木村の声に、直斗が笑顔になった。
「ありがとうございます。」
「じゃ纏めるけれど、明後日は俺達3人と木村さんでCLUB緋色に向かう。これはいいよな?」
鳴上の言葉に、3人は頷く。「かなり危険な状況になるはずだし、本当は木村さんには自宅で待機していて欲しいのだけど、入るときに写真入りの身分証明書が必要になるらしいから、仕方ない。ドレスコードが設定されているらしいから、俺と陽介はダンス用の服装一式を準備する必要がある。直斗と木村さんは持っているのかな?」
「母が遺した物なら。」
木村は、苦笑いを零す。
「何度かそういうパーティーには呼ばれていますので、持っていますよ。当日はなるべく動きやすい服装にする予定です。」
直斗は言うと、鳴上と花村を見た。「恐れながら先輩方は、社交ダンスの経験は?」
「「ないな。」」
2人の答えに、直斗は1つ頷く。
「こちらで服装一式を揃えます。また、明日1日で簡単なマナーと、ダンスの基本ステップを覚えていただきます。」
笑みと共に直斗が言えば、花村は、嫌そうな顔をした。
「え……マジ?」
「何言ってるんですか?当たり前じゃないですか。俺関係ない、っていう顔をされていますが、鳴上先輩もですからね?」
「デスヨネー。」
鳴上は、苦笑いをして花村と顔を見合わせる。
「明日は10時にお迎えに上がります。僕が関わっていることは向こうにバレていますので、敢えて堂々と行っても問題はないかと。」
「あのう、私もご一緒しても?」
木村は、遠慮がちに手を上げた。「私も、そういう場は初めてなんです。」
「はい、それならば一緒にがんばりましょう。」
直斗は微笑む。「決戦は明後日ですからね。」
そのとき、直斗のスマートフォンがメールの着信を知らせる。
直斗はメールを確認し、1つ頷いた。
「直斗、どうした?」
花村が首を傾げる。
「久慈川さんからメールが来ました。パッケージの写真を送ったのですが、御厨果音に見せていただいた化粧品と同じもの、だそうです。」
「うっし、俺達の選択は今のところ間違ってねえみたいだな。真実まであと一歩ってか?」
花村はニヤッと笑う。
「木村さん、陽介、直斗。明日はキツそうだけど皆でがんばろう。」
鳴上の言葉に、3人は笑顔で頷いた。
「木村さん、やっと笑っていただけましたね。」
直斗の言葉に驚いたように木村は目を瞬かせる。
「そういや、そうですね。久しぶりに、ですね。」
木村はにやけて、あはは、と笑った。
黒いスポーツタイプのミニバンのハンドルを握りながら、蒲田は荒垣をチラッと見た。
荒垣は、腕組みをして黙っている。
先程、御厨果音を病院に搬送するのに付き合い、意識が回復したところで事情を聞いたところだ。
御厨果音は、何も覚えていない、と言った。
簡単な精神鑑定をしたが、特に異常は認められなかった。これから精密検査をするらしいが、もしかしたら何も出ないかもしれない。
蒲田は、1つため息をつき、口を開いた。
「荒垣、北島さんからの指示を伝える。」
「はい。」
「お前はは明日1日休養。山岸君を神戸から呼ぶから、明後日は2人で鳴上悠と花村陽介を1日徹底マークしろ。山岸君の能力ならば、2人を見失うことはないだろう。」
「了解です。」
「ま、明日はしっかり休んで、クールダウンするんだな。」
「申し訳ありませんでした。」
荒垣は目を閉じた。
(彼奴等、どこであの能力を手に入れた?俺達以外のペルソナ能力者、か……。)
P3チームが合流するぞ やっとか
次回もよろしくお願いします