息をするように主人公と花村くんがお付き合いしています。
※P4だけじゃなくP3成分も入ってきてます。
なおこの小説を書いたときはまだP5発売されておりません。こわい
※Pixiv二掲載していたものをハーメルンに投稿するのにあたり、一部改稿しています。
※クトゥルフ神話成分がしみしみですよろしくお願いいたします。
※ちょっと痛そうな表現ありますが、タグはこれで大丈夫なはず!だめだったら言って…
※ボーイズラブタグが有効になりました。編集するのはそろそろやめようと思うので、OKな人はぜひ引き続きどうぞ。
日付:9月25日木曜日
「もしもし」
花村陽介がその音声通話着信をとった時、通話の相手が話しだすまでしばらく間があいた。
『おはようございます。白鐘です。この声は、花村先輩ですか?』
白鐘直斗は、事務的に確認するように問いかける。
「ああ。そうだけど?」
花村は苦笑いを浮かべた。
『僕、鳴上先輩の携帯に掛けたのですが、間違えましたか?』
「いや、あってる。スマホの表示が直斗だったから俺が出ただけ。悠と直接話したほうが良ければ、かけ直すように伝言するけど?」
花村は、台所で朝食と弁当の調理中の鳴上悠を見ながら答える。
『花村先輩にもお話したほうがいいことなので、鳴上先輩にもこれから言うことをお伝え頂けますか?』
直斗の言葉に、花村は自分の鞄を開け、ルーズリーフの一番後ろのページを開け、ボールペンを手にとった。
「いいぜ、内容は?」
『巽君にペルソナが出ました。リングが入っているらしい封書もあるそうです。相談したい、と僕に先程電話がかかってきました』
花村は、息を飲んだ。喉がヒュ、と鳴る。
「どうしてだ? ……何故、今なんだ?!」
鳴上が、あらかた作業を終えてリビングに顔を出し、花村の様子がおかしいことに気づいた。
「陽介、何があった?」
「あ、悠。直斗から電話だ。……完二にペルソナが出たらしい」
「えっ」
花村から自分のスマートフォンを受け取り、鳴上はハンズフリーモードにしてテーブルの上に置く。
『もしもし?』
「ああ、俺だ。電話に出られなくて済まなかった」
鳴上の声に、直斗はフ、と笑った。
『いえ、大丈夫です。花村先輩にもお話していますので』
スマートフォンからペラ、という紙を捲る音が聞こえる。
『先輩方には急な話で大変申し訳無いのですが、今日の午後三時に新宿駅までご足労願えませんか?』
「分かった。新宿駅前アルタの街頭ビジョン下でいいかな?」
鳴上の確認に、直斗は肯定した。
『巽君にも時間と場所を伝えておきます。じゃ、宜しくお願いいたします』
通話が切れた後、鳴上と花村は顔を見合わせる。
「どういうことだ?」
鳴上が呟いた。
『必要だったから、じゃねーの?』
金色の瞳を細め、スサノオが花村の隣に現れる。
『なっ? イザナギ』
『あの魔女は、少なくとも自分の興味のために無駄なことはしないように思うが?』
鳴上の隣に、イザナギが現れた。
『タケミカヅチかな、ロクテンマオウかな、どっちにせよ楽しみだ』
スサノオがニヤ、と笑う。
鳴上は目を閉じた。
「問題なのは、完二のペルソナ出たことじゃない」
鳴上の言葉に、花村は鳴上を見やる。
「本当の問題は、今回の件が完二のペルソナが必要になるような事態がこれから起きる、という魔女からのメッセージなんじゃないか、ということだ」
「つまり、それだけのトラブルが起こる可能性がある、と?」
花村の問いに、鳴上は目を開け頷いた。
「そういうことだ。しかも、ペルソナか、魔道書か魔女あたりが絡んでいる可能性がある」
「厄介だな……」
花村は腕を組んだ。二人の様子を見ていたスサノオは、イザナギに目配せする。
『主、それについては心当たりがある』
申し訳無さそうに、イザナギが口を開いた。
『恐らく詳しい話は白鐘からあると思うが、ロシアからある魔道書が持ちだされ、日本を経由してシンガポールへ現在運ばれている。ロシアからは魔道書を回収するための諜報員が派遣されていて、白鐘はその魔道書の回収の依頼を受けているらしい』
「イザナギ、スサノオ。お前ら、どこまで知ってんだ?」
スサノオの説明を聞き、花村が眉を顰める。
『今言ったのでまあ八割?』
『だな』
スサノオとイザナギのやりとりを聞き、花村は頭を抱えた。
「お前ら、小出しにすんな。知ってることは全部今すぐ吐け!」
『そんな事言われてもなあ……』
イザナギとスサノオは互いに顔を見合わせる。
『とりあえず、白鐘と会ってから話を聞けばいいんじゃないかな?』
◇◇◇
午後三時を回った頃、巽に案内されながら鳴上、花村、直斗は服飾専門学校へ向かっていた。
「今度、俺が縫った服がファッションショーでお披露目されるんですよ」
巽が前髪を下ろした頭をガリガリ掻く。
「本当は、トータルデザインをした先輩がファッションショーに出演する事になっていたんですけど、色々あって、俺が出る事になっちまいまして」
巽が恥ずかしそうに視線を逸らしたのを見て、鳴上は苦笑いをする。
「ああ、えっと、その件なんだけど、俺と陽介も見に行くから」
「え!」
直斗が目を丸くする。
「さらっと言ってますけど、シンガポールって外国ですからね?」
「完ニが出演する『クールジャパンフェスタ』には桐条グループも絡んでるらしくてさ。母さんがチケットとか全部手配するって言ったから、行く事にしたんだ」
何だかなし崩し的な? と言い、鳴上は小首を傾げる。
「だから、もし何か俺達が手伝えることがあればとも思ってんだけどよ?」
花村が直斗を見て笑みを浮かべた。直斗ははあ、とため息をつく。
「本当、先輩方には敵いませんね」
直斗は巽を見上げ、苦笑いを零した。
「確かに僕は今、とある筋から依頼を受けています。依頼内容は、とある魔導書の回収です」
「魔導書の、回収というと?」
花村は首を傾げたが、実のところスサノオやイザナギが言っていた事の確認である。
「元はサハリンの秘境にあったものをとあるカルト集団が持ち出し、シンガポールに運んでいます。それを、ある意味横取りして日本で預かろう、というのは今回の趣旨なんです」
「なるほど、だから『回収」』なのか」
花村は、合点がいったように頷く。
巽は勝手知ったる何とやらで、服飾専門学校の校門をくぐる。他の三人もそれに続いた。
服飾専門学校という場所からか、(三人は無自覚であったが)イケメンと美女、という組み合わせは学生達の足を止めるのには充分だった。
「何だか、周りが不穏何ですけれど、……?」
巽に直斗が、話し掛ける。
「ここに来る奴は、大体自分で服やアクセサリー、靴なんかを作ってるんだ。大方、俺らを見て、デザインのイメトレでもやってんだろ」
巽は直斗に言うと、肩を竦めた。
部外者である三人が入館手続きを済ませた後、四人は、真っ直ぐ実習個室に向かった。
「そもそも実習個室は卒業制作作業を集中して行うための部屋なんスけど、今回はイベント用として一部屋貸し切らせて貰えたんで」
「巽君、そのイケメンと美女は誰?」
四人は、その言葉に反応して振り返った。
「ああ、七瀬。鳴上先輩と、花村先輩、白鐘だ。高校の時に世話になった、俺の仲間さ」
「ふうん」
赤く染めた髪をボブカットにして赤いカラーコンタクトをしている青年はにっこり笑い、軽く頭を下げる。左耳にだけ着けているピアスがキラキラと光を反射した。
「初めまして、七瀬です。巽君と同じ学科で勉強しています」
「初めまして。完二が世話になってます」
鳴上が笑みとともにニコ、と笑う。
「すみません、今度採寸させて頂くことは可能ですか?」
七瀬が鳴上と花村に対して笑顔で訊いた。
「採寸?」
鳴上が首を傾げる。
「僕は男性向けオートクチュールデザイナーを志望してまして、そちらのイケメンさん達ならきっと良い服ができるなーと……」
「七瀬、すまんが後にしてくれ。今日はわざわざ時間を割いてもらって来て頂いてんだ」
巽が済まなそうに言うと、七瀬は微笑み一歩引いた。
「分かったよ、巽君。でも、そちらの二人は出来たら採寸の件は考えてくれると嬉しいな。勿論出来た服は差し上げますので」
七瀬は軽く会釈をすると、その場を去っていく。
巽は慣れた手つきで目の前の扉の鍵を開けると、三人を案内し内鍵を閉めた。
次の瞬間、巽からロクテンマオウがふわ、と現れる。
花村は、ホッとした顔をしてロクテンマオウを見上げた。
「お前がそのカッコで良かったよ。シャドウのアレで出たらどうしようかと思ってたんだ」
『あれは完二の心のモヤモヤだからしょうがないんだって。あの格好が良ければ今からでも』
「やらんでいい!」
ロクテンマオウが素で言い、花村がすかさず突っ込みを入れた。
『ロクテンマオウ! 久しぶりっ!』
直斗からヤマトタケルが現れ、ロクテンマオウに抱きついた。
『ずっと会いたかったんだ! もっと早く出てきても良かったのに』
直斗がその様子を見て、顔を真赤にして後ろを向く。
巽はぽかんとしてヤマトタケルを見た。
「えっと、お前も、ペルソナ?」
『そういうこった。久しぶりだな、巽』
『中々言えなくて済まなかったね』
スサノオとイザナギが現れ、巽はやっと合点が言ったように三人を見る。
「もしかして、三人ともペルソナ出せたなんて、早く言って下さいよ」
「本当の事を言うと、俺達しか現状出せないんだ」
鳴上が苦笑いを零す。
「ペルソナが出せるようになった、ということはその力が近々必要になるということだ。恐らくシンガポールで何かがある。三年前のテレビの中ではないけれど、色々気をつけていないとな」
「大丈夫ッスよ」
巽は笑顔になった。
「俺達は乗り越えてんですから」
「おう、頼りにしてるぜ?」
花村は言い、チラとペルソナたちの方を見ると、ロクテンマオウにヤマトタケルがじゃれついている。
「おーおー、お熱いようで」
「なっ、何スか?!」
「いや、べーつーにー」
「見、見ないでくださいよっ」
「仲がいいことはいいことなんじゃないか?」
花村に食ってかかる巽と、顔を真赤にして俯く直斗とにこやかに笑っている鳴上を見て、スサノオとイザナギは肩を竦めた。
『今は、これでいい』
『ああ。本番はシンガポール。完全アウェーだからな、今まで以上に気を引き締めていかねーと』
やっと完二のペルソナだせたよいやっほぅ
それではまた次回お会いしましょう。