ペルソナアフターパラレル   作:erupon

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※ペルソナ4原作後、大学生設定の二次創作です。
 息をするように主人公と花村くんがお付き合いしています。

※P4だけじゃなくP3成分も入ってきてます。
 なおこの小説を書いたときはまだP5発売されておりません。こわい


※Pixiv二掲載していたものをハーメルンに投稿するのにあたり、一部改稿しています。
※クトゥルフ神話成分がしみしみですよろしくお願いいたします。

※ちょっと痛そうな表現ありますが、タグはこれで大丈夫なはず!だめだったら言って…
※ボーイズラブタグが有効になりました。編集するのはそろそろやめようと思うので、OKな人はぜひ引き続きどうぞ。


033.南の大女と北の戦女8

 日付:9月30日火曜日

 

 

 サンテック国際会議場ではイベント設営が殆ど終わっており、残るは日本の学生によるファッションショーの資材の到着のみとなっていた。

 イベントスペースではマイクテストやリハーサルが行われており、本番さながらの騒がしさとなっている。

「完二君、いつもこういうイベントはうるさいんでしょうか?」

 眉間にしわを寄せつつ、白鐘直斗は巽完二の顔を見上げた。

「さあな」

 巽は首を傾げる。

「俺もこういうイベントは初めて参加する」

「そう、ですよね。すみません」

 直斗が謝りながら眼鏡のズレをなおしたとき、巽が持つスマートフォンが音声着信を知らせた。

 海外でも使えるスマートフォンを鳴上が用意し、他の三人にも配ったものだ。

 巽は画面に映った名前を見て、着信ボタンを押す。

「もしもし、花村先輩ッスか?」

『おう、オレオレ』

 巽は一瞬、通話を切ってもいいかな、と思った。

「オレオレって、……で、どうしたんスか?」

『今荷物と一緒にそっちに向かってんだけど、先に完二の荷物を下ろしてから他の荷物を下ろそうって思ってな』

 巽は周囲を見回す。スタッフは忙しそうに働いていて、今のところは自分の出番はなさそうだ。

『俺らはどれがその荷物分かんねえから、悪いけどトラックが着くバックヤードに来てくれねーかな?』

「ああ、はい。分かりました。すぐ行きます」

 通話を終了すると、巽は直斗へ視線を落とす。

「完二君、花村先輩からですか?」

「ああ、今、荷物と一緒にこっちに来るらしい。俺らの荷物だけ別で下ろしたいから来てくれ、と言ってた」

「じゃあ、すぐに」

 直斗は、言葉を途中で飲み込んだ。

「五人?」

 巽の問いに、直斗は頷く。

「僕が囮になります。彼らの目が僕に向けられている間にバックヤードへ行って下さい」

「いや、俺も、……」

 直斗は、巽を見上げた。

 巽は、微笑んでいるものの目が笑ってない直斗の表情を見てうっかり固まる。

「少なくともバックヤードへ移動する必要がある現在、それは得策ではありません。第一荷物の判別が出来るのは完二君だけではないですか?」

「あー、ん、分かった。くれぐれも無理すんなよ?」

 巽はため息と共に頷くと、ファッションショーの設営担当に一声かけた。

 その場を離れ、バックヤードへ向かう通路へ向かった巽を見て、五人のうち二人が移動を開始する。

 その二人と巽の間に割って入る様に、直斗が身を翻すようにその場に現れた。

 バックヤードへ向かう通路と設営したステージの影になり、周りに他の人の姿はない。

 リハーサルのため大音量でアニメの主題歌が流されている中、直斗はクスと笑った。

「まとめてお相手しますよ」

 二人の男の後ろから他の三人が顔を出し、鎖鎌を構える。

 直斗がパチン、と指を鳴らすとヤマトタケルが姿を現し得物の青く光るレイピアを構えた。

 ヤマトタケルを見て、前の二人は懐から何かの紙を取り出す。

『直斗、何かの呪文が来るよ!』

「ヤマトタケル、デスバウンドで五人を物理で無力化して下さい」

『了解! でも、気をつけてねっ』

 ヤマトタケルが電光石火のスピードで五人に斬りかかる。

 気づけば、相手の魔法が発動することなく五人がその場に倒れていた。

 直斗がふう、と息を吐く。

「……思ったより弱くて助かりましたね」

『うん。でも、この先もっと強い敵も出るかもしれないから、気をつけないと』

 ヤマトタケルが二人が持っていた紙を拾って直斗の元へ持ってきた。

『なんだろ、これ?』

『恐らく呪文を発動しやすくするための補助になるツールだろうな』

 あらぬ方向から声が聞こえ、二人が上を見るとイザナギがゆっくりと降りて来る。

「イザナギ、これは呪文そのものではない、ということですか?」

『魔法そのものは呪文詠唱者が居て成り立つものだ。ただし、魔法の呪文を模した図形を紙に描くことで紙自体にも魔力が宿り、呪文詠唱者が該当の魔法を発動する際に力を借りることが出来る。……本来呪符というのはそういうものだろう?』

 イザナギの答えに、直斗は納得したように頷いた。

『ロクテンマオウが、白鐘とヤマトタケルが囮になっていると言っていたから来てみたが、特に要らなかったようだな』

『そんなことないよう、イザナギに会えて良かったって思うし!』

 ヤマトタケルがイザナギの学ランにしがみつく。イザナギがポン、とヤマトタケルの頭に手をやれば、ヤマトタケルは笑顔になった。

『主には今連絡した。北島がもうすぐこちらに来て五人を警察に引き渡してくれる筈だ』

 イザナギの言葉に、直斗はイザナギを見上げる。

「イザナギ、先輩方は?」

『巽と花村と一緒に荷物を探している。同じようなスーツケースが多くて、探すのに手間取っているようだ』

『スサノオの魔力感知でサクッと見つけちゃえばいいのに』

 ヤマトタケルの言葉に、イザナギは肩を竦めた。

『スサノオは、別件で離れている。もうすぐ戻ってくるだろうが』

「白鐘さん!」

 バックヤードの通路の奥から北島の声が聞こえ、直斗はそちらへ顔を向ける。

「大丈夫?」

「え、ええ」

 北島は床に伸びている五人の男を見て、苦笑いを零す。

「これは、君が?」

「はあ、一応探偵なので、護身術なんかも会得していますし、ね」

 直斗も苦笑いで返しながら、眼鏡のズレを直した。

「そうか。じゃ、この五人はこっちで引き受けるから、バックヤードに行って鳴上君達を手伝ってあげてよ」

「はい、分かりました。後は宜しくお願いします」

 直斗は頭を下げ、バックヤードへと走りだす。

『あの人、僕らがほんとに見えないみたいだね』

 ヤマトタケルがイザナギに言えば、イザナギはただ微笑んだ。

『ペルソナについては何か知っているようだが、彼自身にはその素質はないようだね』

『ふうん、珍しいケース、って奴かな?』

『さあ?』

 イザナギが答えた時、三人はトラック駐車スペースに辿り着く。

 次の瞬間、ヤマトタケルが目を見開き、他にも停まっているトラックの影へ飛んだ。

 直斗は、トラックの陰に白人女性が隠れているのを知覚する。

 ブロンドのウェーブがかった髪を靡かせ、濃い色のサングラスを掛けた女性は刃渡り二十センチにもなるコンバットナイフを腰のシースから抜いたところだった。

『直斗!』

 ヤマトタケルの声に、直斗は右手をヤマトタケルへ差し伸ばす。

『五月雨斬り!』

 ヤマトタケルの斬撃が数発、ブロンドの女性を襲った。

「……チッ」

 女性は斬撃を全て受け流したが、近くに他人が近づいてきたのを察知し一歩引く。

 女性はコンバットナイフをシースに戻してジャケットで隠すとそのまま走り去った。

『追いかける?』

「いえ、今はこのままで。彼らは僕達の『荷物』に興味がある筈なので、また来てくれますよ」

 直斗はヤマトタケルを自分に戻す。

『ごめん、全部受け流されちゃったね』

 ヤマトタケルの謝罪に、直斗は息を吐いた。

(ヤマトタケルに非はありませんよ。もう少し、僕が彼女に近づかなければならなかったんです)

『でも、それじゃあ……』

(おそらくそれでも五分、といった所でしょうか。相当な使い手だと思われます)

「直斗!」

 後ろから、巽が走ってくる。

「大丈夫だったか?」

「はい、大丈夫です。……いつも心配掛けてばかりですみません」

 直斗は巽へと振り返り、微笑んだ。

「いや、大丈夫なら、いいんだ」

 巽は、直斗の肩をポン、と叩く。

「僕がさっき接敵したのは、明らかに『猟犬』の方でした。彼女は、少なくともヤマトタケルのことが見えていた。フルパワーではないにしろヤマトタケルの斬撃を全て見切っていますし、『人間』の敵としては一番危険な相手かもしれません」

「ペルソナの斬撃を全て見切る、か。そいつは確かにヤバイかもしれねえな」

 巽はもう一度直斗の肩を叩くと、元来た方向へ歩き出した。

 向こうには、鳴上と花村が大きなスーツケース二つと共に立っているのが見える。

「先輩、荷物は、それですか?」

「ああ。さっき完二にも中身を確認させた。少なくとも中身は無事だ」

 直斗の問いに、鳴上が答える。

「じゃあ、例の荷物は回収するとして、その後の管理が問題ですね」

 直斗が方法を考え始めた時、天井を透過してスサノオとロクテンマオウがフワリ、と降りてきた。

「スサノオ、どうだった?」

 花村の問いに、スサノオはサムズアップする。

『おう、大丈夫そうだぜ。ってか、アレをああいう使い方するとは陽介も中々やるじゃねーか』

 スサノオがニヤリと笑うと、花村もドヤ顔でニヤ、と笑った。

「だろ?」

 やりとりの意味が分からず、直斗は首を傾げる。

「何をするんです?」

「ロクテンマオウに幾つか荷物のダミーを作ってもらって、あちこちの貸し金庫に置こうってことになってね」

 鳴上が直斗を見下ろす。「その全てに風の魔法で一時的に簡単な光学迷彩を掛けておこうってことになったんだ」

「そうすると、どうなるんです?」

「ダミーも本物に似せた魔力を持たせることが出来るようだから、魔法感知には反応する。そして、光学迷彩で覆うことで、見えないのと、本物と偽物を更に見分けがつきにくくする」

「なるほど」

「貸し金庫の手配は北島さんがやってくれるっつーから、頼っちゃおうと思ってんだ」

 花村は言いながらフフン、と笑った。

「後は、本物の荷物を見てダミーをロクテンマオウに作ってもらうことになるけど、完二、お前スタッフだけど大丈夫か?」

「今日は荷物の受取だけなんで、大丈夫。ただ、複数作るとなると拘束時間が長いんで、ロクテンマオウだけで出来るかどうかは分かりません、けど……?」

『本物を、主が触れて見られれば精密なモノは作れると思うぜ』

 ロクテンマオウが腕組みをしながら完二の問いに答える。

「じゃあ、一旦荷物だけ先に出して俺と陽介は部屋に戻るから、完二と直斗の仕事が終わったら連絡をくれ」

「はい、分かりました」

 巽が大きなスーツケースを開けてショッパーを出すと、花村が大事そうに受け取る。

「じゃ、また後で」

 花村は言うと、鳴上と二人でその場から掻き消えた。

 




どんどん事態が動いてきましたやったね

それではまた次回お会いしましょう。
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