ペルソナアフターパラレル   作:erupon

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※ペルソナ4原作後、大学生設定の二次創作です。
 息をするように主人公と花村くんがお付き合いしています。

※P4だけじゃなくP3成分も入ってきてます。
 なおこの小説を書いたときはまだP5発売されておりません。こわい


※Pixiv二掲載していたものをハーメルンに投稿するのにあたり、一部改稿しています。
※クトゥルフ神話成分がしみしみですよろしくお願いいたします。

※ちょっと痛そうな表現ありますが、タグはこれで大丈夫なはず!だめだったら言って…
※ボーイズラブタグが有効になりました。編集するのはそろそろやめようと思うので、OKな人はぜひ引き続きどうぞ。


インターミッション3
036.インターミッション3


 

 日付:10月31日金曜日

 

 アザトースの魔女は、結っていたブルネットの髪を解くと軽く払った。

 彼女の前には、四人の男が立っている。

「明日から半年、メンテナンスに入るわ。暫くの間、彼らのことを宜しくね」

「畏まりました」

 男たちは跪き、魔女に最敬礼をした。

「南原、もし困ったことがあったらちゃんと兄を頼るのですよ」

「……はい。戦闘が苦手なことも重々承知しております」

 南原は苦笑いと共に答える。

「神羅、出浦、宮本も宜しくね。私が居ない間に、アレが何をしでかすか分からないから。もし何かするようなら、……潰してでも排除していいのよ」

「心得ました」

 魔女は青い扉の前で、立ち止まる。

「じゃ、行ってくるわね」

「行っていらっしゃいませ」

 魔女は青い扉を開け、中へ体を滑り込ませるように先の空間へ消える。

 ぱたり、と扉が閉じると、四人は立ち上がった。

「さて、交代で俺達も休みを取るとするか」

 神羅は肩を回すと、ゴキ、といい音がする。

「どういう順番にしよう?」

「まず神羅さんが長期で休んで、その後南原が長期で休んでおけば、あとは俺達は適当に休むから」

 宮本が提案すると、南原は眉をひそめた。

「えっ、僕も長くお休みしたほうがいいんですか?」

「お前はまだ眷族になって短いだろう? 主様から渡された能力が馴染むまで少なくとも百年はかかるのだから、まだ無理をしてはいけないよ」

 出浦は言い、南原の肩を叩く。

「神羅兄は九百年を超える年月を主様と共に生きている。前回の時はそんなに休まれていないのだから、今回はゆっくりしてもいいのでは?」

「なら、そうしよう。先に私が一ヶ月半、次の一ヶ月半は南原が休む。出浦、宮本は臨機応変に頼むぞ」

「はい、神羅兄」

 神羅に出浦、宮本、南原は頭を下げた。

「でも、困りましたね」

 南原は苦笑いを零す。

「僕、やることないかも……」

「自然の中でゆっくりすればいいのだよ。木々から力をもらうといい」

 神羅は南原の頭を撫でた。

「はい、そうします」

 南原は神羅に言うと、にこ、と笑った。

 

 ◇◇◇

 

 日付:11月4火曜日

 

 T大図書館特別閲覧室の一番奥の隅の席。

 南原が、さも当然のように本を広げていた。

 いつもなら寝ている学生、レポートに追われている学生や講義資料の参考にするための稀覯本を閲覧する講師などで静かながらも人が活動するざわめきがあるこの部屋には、現在南原以外、誰も居なかった。

 そこへ、扉を開け男が入ってくる。

「南原、久しぶり」

 銀灰色の髪色の男から声がかけられ、南原は顔を上げる。

「久し振りだね、鳴上君」

 返って来た言葉に、鳴上悠もまた微笑んだ。

「隣、いいかな?」

「もちろん。……」

 南原は自分の荷物をどけて、隣の席を空ける。

 鳴上はさも当然のように着席した。

「元気そうで何よりだ」

 目を細め、鳴上は南原を見る。

「僕は嫌だ、って言ったんだけど、主様に無理やりアフリカに連れて行かれちゃってね。ミニガトリング砲を散々撃ってきたよ」

 南原は遠い目をしてため息をついた。

「物騒だな、随分と」

 鳴上は、レターパッドに書かれたディスカッションの内容に目を通しながら相槌を打つ。

「ありゃ人間が使うもんじゃないね。重いし熱いしたまに薬莢が飛んできて腕に当たったりするし。僕も主様もプロテクターを着けてたけれど、アフリカの砂漠地帯じゃ暑いだけだしさ」

「大変だったんだな」

 鳴上は、苦笑いを浮かべた。

「そうそう、鳴上君のお父上にもお会いしたよ」

 南原は微笑む。

「あの人も随分カッコイイね。僕が急に現れても、眉根一つ動かさなかったのはあの人だけだよ」

(やっぱり急に現れたんだな)

 鳴上は思ったが、あえて口にはしなかった。

「今は主様が四年に一度のメンテナンスをしてる所だから、お世話をしている僕達は交代でお休みを取ってるんだよ」

「メンテ?」

 鳴上は南原へ視線を向ける。

「って、南原の主って何者?」

 南原はそこでハッとして曖昧な笑みを浮かべた。

「ああ、ごめん。今の忘れて? って、……無理だよね、うん、知ってた」

 南原ははぁ、とため息をつく。

「君たちと居ると、なんだか安心するみたいでね、余計なことまで話してしまうよ」

「それは褒められた、ととっていいんだな?」

 鳴上はクスクスと笑った。

「で、俺の問いには答えてくれる?」

「んー、主様は、人間であり、そうでもない、とも言える。実のところ、僕も曖昧でね」

 南原は肩を竦める。

「ただ、あの方は悠久の時を生きているから、体を維持するために定期的にメンテナンスする必要がある、って言ってた。僕らはまだ平気なんだけれど、長く生きることはやっぱり色々大変みたいだ」

「なるほど。世間一般的にアンチエイジングやら不老長寿の研究をしている人たちもいるけれど、長く生きればその分ちゃんと体を正常に保つことをしないといけないのは一緒だな」

「僕は百年も生きていない末弟だから、まだ勉強することがたくさんあるよ」

「それを言ったら俺たちは、まだ二十歳の若造なんだけど?」

 南原と鳴上は互いに顔を見合わせ笑った。

「そうだ、聞きたいことがあったんだ」

 南原は鞄の中からY県のガイドブックを出す。いくつか付箋が貼ってあるうちの一つのページを開くと、そこは稲羽市のページだった。

「へえ、ガイドブックに載ってるのか。知らなかったな」

 鳴上は南原が持つガイドブックに興味津々で覗きこむ。

「僕は十二月にお休みしていいって兄様達が言ってくれたんだ」

 南原は笑みを浮かべながら小首をかしげる。

「君が居た八十稲羽を少し歩いてみようかと思ってね」

 ニコニコしながら南原は鳴上へ視線を上げた。

「観光スポットじゃなくていいんだけど、温泉とか、歩いて気持ちがいい場所とかあったりする?」

 鳴上は、腕組みをしてしばし思考する。

「温泉だと、天城屋旅館があるな。歩いて気持ちがいい場所、というと……町外れの高台に公園があって、そこからの景色は俺は気に入ってたよ。後は、鮫川って川が流れてて、その河原ではよく釣りをしてた」

「いいね。じゃあそこには立ち寄るようにしよう」

 南原は大きいサイズの付箋にメモを取ると八十稲羽のページに貼り付けた。

「天城屋旅館の関係者と俺、同級生だったんだ。なんだったら紹介しようか?」

 鳴上の言葉に、南原は満面の笑みを浮かべる。

「本当? でも、迷惑じゃない? 僕だけしか行かないのに」

「そこはまあ、聞いてみるさ。いつ行くんだ?」

 南原は机の上に置いていたスケジュール帳をパラパラと捲る。

「えっと、……十二月十五日から四日間」

「ん、……分かった。結果は明日またここで話す、でいいかな?」

 鳴上の問いに、南原は一つ頷いた。

「じゃ、そろそろ人払いを解こうかな」

 南原が何もないところへ向け息を吹きかけると、特別閲覧室に学生が入ってくる。「さて、そろそろ僕は」

「今日の夜は暇?」

 鳴上の問いに、南原は首を傾げた。

「暇、じゃないけれど空いてるよ。……どうして?」

「今日俺の仲間と一緒に夕食を食べる約束してるのだけど、もし良かったら来ないか?」

「そうだな、何時に何処で集合?」

「新宿アルタ前に十八時。……どうかな?」

「うん、いいよ。主様の加護を勝ち得た人達と話をするのも楽しそうだ」

 南原は答えつつ、自分の荷物を手早く鞄にまとめる。

「じゃ、待ってるから」

「また後ほど。一度家に帰ってから行くよ」

 南原が退室する頃には、特別閲覧室は普段の『人がいる静けさ』がある空間に戻っていた。

 

 ◇◇◇

 

 日付:12月1月曜日

 

「へえ、桐条の手の者ではないのにペルソナ能力者がいるのか」

 初老の男は、眼鏡のズレを直した。「非常に興味深いね」

「でしょう?」

 男の対面に座っている青年は持参したカフェカプチーノに口をつけた。

「桐条で研究していた時は、能力が安定しないことと結局能力を発揮できる時間が少ないことがネックだった。だが、そのペルソナ能力者達が数年たった今も能力を使うことが出来るというのであれば、話は別だ」

「彼らの共通点は、ある事件に何かしら関連があること」

 青年は口角を上げ、あるファイルをテーブルに置く。男は節くれだった手でそれを取った。

「……八十稲羽連続殺人事件?」

「そう。三年ぐらい前にワイドショーで随分取り上げられていたのだけど、知らない?」

 青年の問いに、男は口をへの字に曲げる。

「ワイドショーを見るぐらいなら、論文一本読んだほうがマシだ」

「言うと思ったよ」

 青年は小さく笑った。

「この事件の関係者が、ペルソナ能力者だと?」

「注目すべきは、『誘拐された者は、テレビに落とされた』ということでしょ。確か、ペルソナ能力って第二次成長期以上精神が成長し、且つ心に強いトラウマか負の感情を持つ者が発現する可能性があるんだっけ?」

「そう、だが。誘拐された者は、テレビに落とされたことでペルソナ能力が発現した、と?」

「その可能性が高い、ってこと。……でさ、これ、どう思う?」

 青年が、被害者のうちの一人を指さす。「多分『テレビに落とされてるけどペルソナ能力は発現してない』よ、きっと」

「ほう、なるほど。……被験体にはあつらえむき、ということか」

「そういうこと。別に実験中に事故があってもそれは誘拐犯から受けた古傷が悪化した、で解決だし。そもそもこの子は一度心停止してるから、またあってもおかしくないよね?」

 男は青年を苦笑いと共に眺めた。

「人工ペルソナ能力者の育成及び量産の研究が、また一段階進むのだな」

「今の人類には必要だと思うから、手助けしてるんだからね?」

 青年はクスクスと笑う。

「こちらの受け入れ体制を整える必要がある。そうだな、二週間後に被験体を回収してくることにしよう」

「うん、そうだね。こっちはお金の算段をしておくから、準備がんばってよ?」

「勿論だ」

「じゃ、また連絡するね」

「うむ」

 青年はカフェカプチーノを飲み切ると、くしゃ、と両手で紙コップを潰した。手をゆっくり開くとそこにはあるはずの紙コップやストロー等が何もなくなっている。

「こうならないように気をつけてね。浜中センセイ?」

「俺を幾月と一緒にするな」

 男の答えを聞いた青年はソファを立つとニヤと嗤い、姿を消した。

 

 

 インターミッション3 終わり

 




いろいろ噛み合っちゃった結果……?


次回からは色々回収する話「星の輝きと地上の天使」が始まります。

それではまた次回お会いしましょう。
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