魔法少女リリカルなのは~鬼札と呼ばれた魔導師~   作:Sady

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今回は字数1万弱と頑張りましたよ(´ω`;)ホント
やっと六課のメンバーとちゃんと会話させました。
ここからもっと面白くなっていってく、予定です。





9話 六課出向

 

「さて、いよいよ今日からか・・・」

 

 

そう、本日を持ってアーク・リリィ執務官は機動六課への正式な出向となる。

ここ最近なかった大きな仕事でもある。

 

六課の動向把握、両陣営のレリック数の調整、対ジェイルでの戦力調整、最近目立ってきた魔法生物の暴走の原因追及、加えて次元管理特務部隊としての仕事。

 

 

ブラック企業も真っ青のスケジュールだ。いやある意味、最高評議会直轄だけあってブラックもブラックな部隊だが。それでいて次元世界を管理するという崇高な目的の為の正義の味方だと言うのだから、失笑モノである。

まぁいくら無茶で不可能だと思えても、命令されたことは完遂してこその鬼札だ。

 

それに機動六課にジェイル、俺達にラグナロク――そして騎士カリムの預言。

これから管理局は大きな節目を迎えるだろう。

その結果どうなるか――

 

 

 

「アークー!ご飯でっきたよー!」

 

 

俺の思考をぶった切るかのようにキッチンの方からクイントの声が聞こえてくる。

恩返しと称して我が家に家事をしながら居座っているクイントは何も言わずとも――いや何を言おうとも、の間違いか――俺がいる時は欠かさず食事を作り共に食べている。

クイント曰く、一緒の家にいるなら一緒にご飯を食べないといけないそうだ。

なんだその自分ルールは。ここはナカジマ家ではないぞ。

 

 

「なんだ・・・これは・・・」

「んー? だってアーク今日から機動六課って所に出向とか言ってたし気合入れていっぱい作ったの! 昨日の夜は遅かったし」

「おま・・・だからって朝からこんな」

 

 

リビングに出てテーブルを見てみるとそこには到底朝食とは言えない程の量の食べ物の山があった。しかも、『いっぱい作った』というご飯の量はクイント基準で、だ。

そこまで重い料理はないがいかんせん量が、有り得ない。

さー食べるわよー!と言いながらテーブルについてるがクイント、絶対これお前が食べたかっただけだろ。

とはいえ、俺の好む料理が多い所を見ると俺の為に作ったと言うのも事実なんだろうが。

 

 

 

 

 

「ふぅ、もうこれ以上はいらん」

「えー、まだ残ってるじゃない」

「知らん。お前が食え」

「まぁそうするつもりだけど」

 

 

これだけ聞くと俺が全然食べずに食事を残す奴に聞こえるだろうがそんなことはない。

少なくとも一般的な朝食の2倍以上の量は食べた筈だ。クイントはその更に倍くらいは食べてるだろう。それでも尚、テーブルにはそこそこの料理がある。

 

 

「そろそろ出ないといけない時間なんじゃない?」

「そうだな、余裕を持たせていたつもりが朝食にこんな時間がかかるとは思わなかった」

「うっ・・・」

 

 

食べる時間というものを全く考えていなかったらしく、俺の言葉にうめき声をあげるクイント。

 

 

「ま、まあいいじゃない! 沢山食べたしお仕事頑張れるわよ!」

「まったく・・・」

 

 

いつもと変わらぬお調子者ぶりに溜め息が出る。

 

 

 

「じゃあ行ってらっしゃーい!」

 

 

クイントの見送りの言葉に返事をすることもなく、家を出る。

ドア越しに「ちょっとー!行ってきますはー!?」とくぐもった声が聞こえてくるが、そんなことは知らん。

 

 

「それにしても、行ってらっしゃいに行ってきます、か」

 

 

クイントが行ってらっしゃいと言い始めたのは、ごく最近の話だ。具体的にはあの日の――クイントが本音を漏らした夜の次の日から。

それまでも出かける際には気をつけてとかそういう言葉はあったものの、「行ってらっしゃい」とは一度も言わなかった。

クイントにどんな心境の変化があったのかは、それこそ心を読みでもしない限りは俺に理解出来ることはないだろう。

だからその心情を知らぬ俺は「行ってきます」と言った事は一度もない。

おおよそどの家庭でも、友人関係ですら行われる当たり前のやり取りなのに、俺はそれを返す事はない。

だってそんなことをしていたら――

 

 

 

そんなのはまるで――俺達が家族みたいではないか

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

「買ってはみたものの、相変わらず嫌味ったらしい車だな。我ながら」

 

 

自宅からここ機動六課の隊舎まで車で来てそこの駐車場に停め車から降りた所で、いかにも金を持ってますと言わんばかりの我が車を見て改めて思う。

 

 

「ん?」

 

 

と、自分の趣味の悪さを自覚していたら同じ駐車場にあるもう一台の車に目が留まる。

黒一色で美しい流線型のスポーツカー、俺の車には負けるだろうがそれでも一般の管理局員からすれば明らかに高級車であるだろう車を見て、六課にも俺に負けず劣らずの悪趣味がいるのだな。と笑ってしまう。

車のセンス自体は悪くないが、六課は総じて若い奴しかしない。それなのにこんな高級車を持っているなど、自分は金を持ってますと公言しているようなものだ。

まぁそれはそのまま俺にも言えることなのだが。

 

 

 

 

六課の隊舎の入口まで行くとそこには管理局の制服を着た金髪の美女、もといフェイト・T・ハラオウンが立っていた。

向こうも俺の姿を確認したようで軽く頭を下げ会釈をしてくる。俺もそれに頭を少し下げて、声を掛ける。

 

 

「お待たせしてしまったみたいですね、ハラオウン執務官」

「おはようございますアーク執務官、いえ丁度時間通りです。それでは部隊長室へご案内します」

 

 

ハキハキと言葉を紡ぎ凛とした姿勢で歩きだす彼女に合わせ、その隣に並ぶ。

 

 

「この間のホテル・アグスタ以来ですね」

「はい。それでその、あの後ユーノ司書長や八神部隊長に聞いたんですけど、あの時が初対面、という訳じゃなかったんですね・・・覚えてなくてその、申し訳ありませんでした・・・」

「いや、会った事があると言っても会話もしていない程度ですし、構いませんよ。当時は大変でしたし何より、10年も経っていますからね」

「そう言ってもらえると助かります」

 

 

闇の書事件に居合わせたというのに、この前会った時に「はじめまして」と言ってしまった事を失礼な態度だったと気にしていたらしく申し訳なさそうに謝ってくるのだが、気にしていないと返すと、ホッと息をついて安堵している。

 

 

「所で、駐車場に停めてある車って誰のなのか知ってますか?」

「私のですけど・・・それがどうかしましたか?」

 

 

無言で歩き続けると言うのもなんなので交流を深める世間話ついでにさっき気になった車の事を聞こうと思って話を振ったのだが、どうやらいきなり当たりを引いたらしい。

お前、19歳のくせして何スポーツカーとか買ってんだよ。いや俺も24歳のくせして高級車買ってるんだが。

 

 

「いや、俺が言うものなんですけど良い車だな、と思って」

「そうですよね!」

「え、えぇ」

 

 

良い車だと褒めると仕事モードの顔からパッと明るい笑顔に切り替わり詰め寄ってくる。

 

 

「皆私の車見るとなんでこの車にしたのかって聞いてくるのでセンスがないのか不安になってたんですけど、その言葉聞いて安心しました」

「俺も車を買う際、選択肢の中に入れてましたからね」

「アグスタでアーク執務官の車を見ましたけどあれってランボルギー社の最新モデルですよね!? 最新モデルはデザインも乗り心地も良くって性能も高く値段に見合うって評判だったんですけどどうですか!?」

 

 

な、なんだ? やけに詳しいぞこいつ、まさか各社の最新モデルを逐一チェックでもしてるのか? 車の話を振ったのは失敗だったかもしれん・・・ここまで食い付きが良いとは・・・ぶっちゃけ軽く引く。

 

 

「その評判通り、高性能で良い車ですよ。乗り心地については、いずれハラオウン執務官も分かりますよ。これから捜査を共にするんですから。まぁこちらの車を使うなら、ですが」

「そうですか! では楽しみにしてますね。あ、私の事はフェイトって呼んで下さって結構ですよ。階級も年齢もそちらが上なのに私の方だけ名前で呼んでるのもおかしな話ですし。フフッ」

 

 

なんかすげー勢いで仲が深まったんだが。もしかして車好きの同志認定された?

しかし事前に確認したデータではなかった事実だ。まぁいちいち趣味まで懇切丁寧に載ってないか。

 

 

とまぁそうして話していたら部隊長室前に着いた訳だが。

そして入室する。

 

 

「フェイト・T・ハラオウンです。アーク・リリィ執務官をお連れしました」

「ん、御苦労様」

「それでは私はこれで失礼します」

 

 

そう言ってフェイトは出て行った。事務仕事か何かがあるのだろう。

部屋には俺、八神部隊長、そして夜天の書の管制人格――リインフォースⅠがいる。

 

 

「アーク・リリィ、機動六課へ本日付で出向となります。よろしくお願いします」

「部隊長の八神です。機動六課へようこそ」

「リインフォースⅠです」

 

 

部隊へ異動する時の通例通りに敬礼をして自己紹介をする。

 

 

「先日のホテル・アグスタではお世話になりました。それでアーク執務官は違法研究、ジェイル・スカリエッティの捜査協力ということで基本的にはハラオウン執務官と一緒に行動してもらうことになります。まぁ贅沢を言わせてもらうならフォワード陣の訓練とかも顔だしてもらえたらありがたいですが、強制ではないです」

「分かりました」

「アーク執務官は限定的な出向という事で、自分の本来の仕事を優先してもらっても構いません。まぁその都度報告はしてもらいますが。ですが、機動六課としてはそちらの追っている案件にも協力するので出来る限りハラオウン執務官と行動して欲しいと思っています」

「ふむ、確かにその方が良さそうですね」

 

 

今回はいつも通りの違法研究所の摘発でなく魔法生物凶暴化の原因追及と一応ラグナロクの捜索。実際に足を運んでの捜査なのでこっちも手伝って貰った方が効率は良い。

 

 

「そして捜査中の単独戦闘でなく六課でのチームとして戦闘が起こった時のコールサインはムーンライト01となっています。ご存知と思いますが、六課の切り札リインフォースⅠの戦闘許可が出た場合はムーンライト00として出撃するので合わせた形になりますが、便宜上の暫定的なコールサインなので実質は遊撃要員という扱いになります」

「分かりました」

「以上ですが質問などはありますか?」

「質問ではないのですが、一つだけ」

「どうぞ」

 

 

俺の六課での立ち位置と言った通知が終われば次は、おそらく俺が出向になった理由や思惑を知る為に探りを入れてくるつもりなのだろう。

俺も謀術姦計の類は一通り出来るのだが、それは相手を陥れるための違法性が高い方法ばかりしかない。対して相手は小娘と言って侮られていても仮にも10代で二佐にまで上りつめた手腕を持つ。特務部隊では意外かもしれないがそういう役はコウヨウが担っているのだ。俺の領分じゃない。

自慢ではないが真っ向から腹の探り合いをすれば恐らく負ける。まぁ閑職に追いこむとかそういう事を秘密裏に進めるとかなら負ける事はないだろうが。

とまぁだから、俺の方から先に一枚カードを切る。これで動揺でもしてくれたらありがたいのだけれどな。

 

 

「機動六課出向に伴い上層部から俺に、リインフォースⅠを除く隊長陣の内の誰か一人に対し一度だけの、リミッターの完全解除権限を与えられました」

「なっ・・・!」

「このリミッター解除に関しては申請も状況報告書も不必要です。完全に俺個人の裁量での判断に委ねられた権限であり、この権限の使用を強制することは部隊長命令でも不可能です」

「なん・・・やて」

「加えて、この事は隊長陣には秘密にしとくように、と言われています。漏らした場合最悪この権限はなくなる可能性もあります。と、言ってもこれは申請する時間も無い程の緊急時を想定したものなので。ついでに言えば行動を共にする時間の長いハラオウン執務官に使用する可能性が高い、というくらいですね」

 

 

機動六課設立にあたっての一番の無茶は部隊の保有制限をリミッターで抑え無理矢理高ランク魔導師を揃えた事だ。リインフォースⅠの戦闘行為に並びおそらくここが一番上層部や反八神派と揉めた所だろう。

リミッターの解除数には制限があり、回数を補填するには申請が必要だ。ちなみに地上本部は査定が厳しく、申請が中々受理されない。

それが1度限りとはいえリミッター解除回数が増えるということはそのまま取れる戦略が広がると言う事だ。まさに青天の霹靂といった所なのか八神はやても口を開け驚いている。

逆に今まで空気だったリインフォースⅠは目を細めこちらの真意を量っているように見える。

 

このリミッター解除権の意味は3つある。

1つは単純に不測の事態での対応の為。具体的に言うとラグナロクの構成員と遭遇したケースだ。俺が1人の時に会ったらそのまま普通に戦闘すればいいが、もし六課の誰か――まぁフェイトとだろうが――とペアの場合俺はレアスキルを使えない。その状態でオーバーSランクと戦うのは少し心許ない故の措置だ。リミッター解除した隊長と俺の2対1なら逃がす事もない。

 

2つ目は俺に命令した上層部について探りを入れるな、ということだ。

口止め料、とは少し意味が違うが解除権を一回やるから黙っとけということだな。

それでも不用意なことをするならば解除権をなくすと言いたいのだ。

 

そして最後に、その上層部をレジアスだと確信させる為。

ここは陸だ。流石に海の人間がリミッター解除権は与えられない。という事は必然陸の人間が俺に命令したことになる。陸の人間で六課の動きを縛りたいと思っていて且つリミッター解除権を与える権限を持つのは、レジアス中将しかいない。

そう思わせる事で最高評議会という存在をカモフラージュする。

 

 

 

 

 

「・・・・ふう、負けたわ。AAAランクの執務官っていう戦力とリミッター解除権が1つ増えた思うて喜んどくことにしとこ」

 

 

俺としてもそうしてくれるとありがたい。こんなことでイチイチ問答するのは無駄だ。

 

 

「じゃ、もう堅苦しい話はやめや。普段通りに話してもらっても構わへんよ。ここからは機動六課部隊長としてでなく、八神はやて個人としてのプライベートな事やから。今は部隊長じゃなくはやてって呼んでもええよ」

「なら、遠慮なく普段通りに話させてもらうとしよう」

 

 

今から発せられる言葉は大体予測出来るのでこちらとしては気楽なもんだが、向こうはそうでもないのか一度目を瞑り深呼吸をしている。

 

 

「10年前の闇の書事件の時、助けて貰ってありがとうございました! 夜天の主として、八神家の家長として礼を言わせて下さい!」

 

 

机に額をゴンっと打ちつける程頭を下げて礼を述べるはやて。

後ろに立っているリインフォースⅠは今は全て主に任せているのか事前にそう言われていたのか静かに傍で仕えてるだけだ。

 

 

「なに、俺も仕事だったしすぐ撃墜されて大したことはしてない。が、その礼はありがたく受け取っておく」

「そう言ってもらえたらありがたいです。あと、その時に、えっと・・・うちのリインフォースが貴重なデバイスを壊してしまったって、聞いてるんやけど・・・」

「あぁ気にしなくていい。幸い修復可能の範囲だったから、今でもキチンと機能している。修復に1年程掛ったが、デバイスが壊れるのも承知だったんだ」

 

 

貴重なデバイスと言ったって事は、あれが古代ベルカから伝わるモノだと知ってるってことか。リインフォースに聞いたんだろうな。

凄い恐る恐る聞いてきたんだが直ったと告げると安心したようだ。修復に時間が掛かったと言った時にまたちょっと申し訳なさそうな顔に変わる。コロコロ表情が変わって面白いと思ったのは内緒だ。

 

 

「まぁ今は誰も困ってないんだ。それでいいじゃないか」

「でもちゃんとお礼はしたいから、今度是非御馳走するんで家に来てください」

「じゃあ、その時を楽しみにしとこう」

「任せとき! じゃあ私はまだ仕事があるんでこれで失礼するけど、六課隊舎の案内はリインフォースにさせるんで」

 

 

長年の引っ掛かっていたつっかえが取れたというか、憑物が落ちたというか、心なし声が弾んでいるのはそれだけ気にしていたということだろう。

はやては目線を落とし書類に向き合い、今まで最初の自己紹介以外一言も発していないリインフォースがこちらに向かってくる。

 

 

「では案内をするから、ついてこい」

 

 

 

その言葉に従い俺はリインフォースの後ろをつける。前を歩くリインフォースの後ろ姿を見て俺は感慨深い思いを受ける。

10年前の闇の書事件は今でも鮮明に覚えている。遥か昔から死を振り撒いていたロストロギア、その核となる管制人格との戦闘となると流石に出撃前は緊張したものだ。あそこまで一方的な戦闘を経験したのは初めてだったし、それを越えるもの未だにはない。

圧倒的なまでの敗北を俺に刻んだ彼女が今では同僚として共にあることが嘘みたいだ。

 

 

 

 

殆ど会話も交わさず設備の案内と説明のために必要最低限の言葉しか発していなかった彼女だが、休憩所に差し掛かった時に少し話がしたいと言って、テーブルに座り俺も座る様に目で促される。

 

 

「私も主同様に、改めて礼が言いたかったんだ」

「そうか」

「主や騎士達には分からないだろうが、私がこうして今でもここにいられるのはお前のお陰なのだから」

 

 

クールビューティという言葉が似合いそうな凛とした顔を崩し胸の中心、封印を打ちこんだ場所を抑えて微笑むようにそう言った。

 

 

「もし・・・お前があの時いなかったとしても、主達は闇の書の呪いを打ち破り騎士達と共に生きる事が出来ていただろう。だがしかし、そこに私はいない。その運命を変え、私も主や騎士達と共に生きる道を歩かせてくれてることに礼を言う――ありがとう」

「・・・10年もあれば、変わるもんだな。全てを諦め、終わる事のない怨嗟に絶望し、偽りの夢に幸せを求めた。そんなお前が、そうやって笑えるようになるんだから」

「それも、お前のお陰だ。あの時私が見せていた夢を子供っぽい空想遊びと言っていたのが、今では良く分かる。本物の幸せというものを知った今では、な」

 

 

ホントに変わるもんだ。10年、俺達からすればそれはとても長い時間だ。しかし数百年千年と存在していたこいつにとっては10年などそれこそ瞬きをする程の時間にしか過ぎないというのに。幸せな10年というのは、絶望の千年にも勝るものらしい。

 

 

「しかし、話を聞くにお前がありがたがってるその封印のことは主には言ってないみたいだな。それに、俺が何者であるかであろうということを」

 

 

俺が誰の指示で動いているかなど分かってる筈だ、バグのあった守護騎士達と違いこいつは歴代の主の最期を全て記憶しており、それには管理局の闇が深く関わっていたこともある。事実何代か前の闇の書事件で当時の次元管理特務部隊が動いたという記録も残っている。

 

 

「見た所お前の主は最高評議会の存在すら、知り得ていないようにみえる。まぁ薄々とは感じているのかもしれんが」

「そうだな・・・私は心配、いや違うな・・・怖い、そう怖いんだ。全てを知ってしまった主が私の為に戦うのが。主だけではない。騎士達に高町なのは、フェイト・テスタロッサ。彼女達は私を救うためにそれこそ命を賭けてでも戦ってくれるだろう。10年前のように」

「そしてお前のために死んで行く、か?」

「皆清廉潔白で高潔な精神の持ち主だ。最高評議会の謳う正義のために犠牲になった者のことを知れば、管理局の闇そのものと戦う道を選んでしまう。そうならない為に、私は何も言わずにいるんだ。たとえ――私が死ぬ事になってもだ」

 

 

確かに、リインフォースに打ち込んだ封印を解くだけなら、条件次第ではまぁなんとかならなくもない。俺が施したものだし、なにより俺の能力とて万能ではない。少なからずリスクを抱えているし俺にメリットがある条件ならば、解除するのもアリだ。

それに俺達としては闇の書の因縁を断ち切るのは10年前のあの時でなくても良かった。何故なら、俺の封印はそもそも『次』を見越してのものだったからだ。

八神はやてが最後の主となり今も生きているのは間違いなく、彼女達の力だ。

 

という訳で現在は保険程度の封印なのだから、その解除に奔走するのは実の所そんなに危ない橋を渡る訳じゃない。必然的に管理局の闇を知る事になるのは確かに少なからずリスクを孕むが、知らぬフリをするならば特に問題はない。事実、上層部も最高評議会を疎ましくも思っていたとしても誰も行動に移していない。例外として伝説の3提督は何か手を打っているみたいだが、現段階ではさして何が起きているという訳でもない。

 

だが幸か不幸か、彼女の主達にそんな事は無理だ。知ってしまえば、そこに最高評議会の振りかざす正義という名目で犠牲になった者達がいるならば、救いたいと願うのが、彼女達だ。プロジェクトF、戦闘機人計画で生み出された者を知っているなら尚更だろう。

 

そして俺達に挑み、死んでいく。リインフォースが恐れているのは、つまるとこそういう事だ。

 

 

「成程な・・・まっ、俺達はこれでも平和を守る正義の味方だ。管理局に不利な事をしでかさない限りお前の主にも、お前にも、特に危害を加えることはない」

「そう言ってくれるなら安心だ」

 

 

 

 

 




今回はクイント、フェイト、リインフォースとの会話の3部構成って感じですかね。
フェイトとはやての仕事の時の口調ってどうもイマイチ掴めなくてやりづらい・・・
まぁほぼ初対面だったり友人と呼べる程の仲でもないのでこれくらいが当然でしょう。
会ってすぐタメ口で話せるとか(ヾノ・ω・`)ナイナイ

車の話で出てきたランボルギー社という名前、気付いた人は気付いたかもしれませんが、実際にあったランボルギーニ社から取りました。そのままはあれだったので一文字抜いてますがw
このランボルギーニ社、テスタロッサの元ネタとなったフェラーリ社のライバル社なんですよね。まぁ今はどこだったかな、フォルクスワーゲン社とかに吸収されたとかそんなんだった筈です。


はやてと腹の探り合いとかで勝てるのは個人の能力というより単純に後ろ盾の差ですね。
レジアス、最高評議会とクロノ君達と伝説の3提督。しかもはやて達はあまり強く出れないけどこっちはガンガン権力使いますからねw
主人公にリミッターが掛かってないのも権力で捩じ込んでるからです。


まぁあとがきもついつい小ネタというか補足とか書きたくなって長くなってしまいました。
次回はフォワード陣やら今回登場しなかった六課メンバーとの話を予定してます。

え・・・?ザフィーラ?彼個人的に好きなんですけどペット扱いだから話にだしにくいんすよ(´ω`)
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