魔法少女リリカルなのは~鬼札と呼ばれた魔導師~   作:Sady

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前話を投稿してからお気に入り件数がめっちゃ増えてびっくりしました((((;゚Д゚))))
原作キャラが登場してくるとやっぱ違いますね(´ω`)うん


10話 胸に抱いたその想い

 

「あまり長く話していると、怪しまれるかもしれんな」

「何を話していたか聞かれたら困るしな、お前は」

「何故私だけなんだ、お前も聞かれたら困るだろう」

「俺は聞かれてもその程度上手く誤魔化せる。だが、お前にそれは無理そうにみえるな」

「む」

「冗談だ。ここでの話は二人だけの秘密にしとこうじゃないか」

 

 

人形みたい、と言われそうな顔つきをしているが、一応表情の変化はあるようだ。今みたいな不満気な顔などまさに人間のそれだ。

上層部では顔色一つ変えず何を考えてるか分からず気味が悪いとの評価が多くどんなものかと思ったがなんのことはない。これは今まで人と接していこなかった分他人との距離を測りかねているだけだ。あくまで俺の経験則から察しての話だが。

あとはあれだな。ここの隊長3人にも言えることだが、高嶺の花には恐れ多くて話しかけられることがないんだろう。

特にリインフォースは無表情な顔がデフォルトみたいだし、話しかけにくいのだろう。

気持ちは分かるがな。こいつはどことなく儚げでミステリアスな雰囲気がある。

もしかしたらファンクラブでもあるかもしれんな。

 

 

「でだ、次はどこへ行くんだ? 正直な所、今更案内などなくても六課の設備など全て把握しているんだが」

「だろうな。だが私もこれが仕事だ」

「普通、俺みたいな立場の奴は正体を隠すもんなんだろうが、こうして一人くらいは事情を知ってる奴がいる方が気楽でいいな」

「私も長年隠してる事がある身だ、遠慮なくモノを言える相手がいるというのは、確かに気楽で良いだろうな。それで、次に向かう所は訓練所だ。そろそろ新人達の午前の教導が終わる頃だろう」

「新人の教導が終わる頃合いを待っていたのなら、隊舎の案内というよりは隊員との顔合わせだな」

「その方が、ここでの会話も自然な流れになるだろう?」

 

 

と、シニカルな笑いを見せてくれたリインフォースだが、クールな彼女にはこういう笑い方がよく似合う。

 

と、いい加減会話も止めて席を立ち訓練所へ向かう。

移動中は先程まで話していたのが嘘のように無言で歩いている。

移動中は会話しない派なのか、二人きりだった休憩所と違い他の職員もいる所で会話するのは気が向かないのか、それとも仕事モードで気を引き締めているのか。

どれも正解な気もするが、この姿を見ると確かに、話しかけようとは到底思えないな。

そんな奴がいたら次の日からは同僚から勇者認定されそうだ。

 

 

 

そうして歩いてると訓練所の観戦席というのか、訓練所の様子が見れるモニターのある場所へ着く。

 

 

「どうやら丁度終わったみたいだ」

「だな」

「ではあいつらの所へ向かうとしよう」

 

 

モニターを通して訓練が終わる所を見て、隊舎を出て傍にある海上訓練施設へと足を運ぶ。

ここを最後に回したのは教導が終わるのを待っていたのもあるだろうが海上、つまり外にあるため単純にそういうコースにしたという意味もあるのだろう。

しかし、海上訓練施設とか金掛け過ぎだろ機動六課、どこからそんな経費出てるんだ。いや実際どこから出てるのか知ってるけども、そう言わずにはいられない。

他の地上の部隊は運営費切り詰めてやっていってるというのに、これはレジアスがあれだけの不満を抱えるのも納得である。新人達に専用デバイスも用意したとも聞いてるしな。

 

 

その訓練施設へ着き新人達の元へ行くと、丁度エース・オブ・エースである高町なのは教導官が終了の号令を掛けている所だった。

4人の新人達は辛うじて立ってこそはいるものの軽く押しただけでも倒れそうな程フラフラである。

この疲労度をみるに、ここの教導官様はうちの新人教育をしているコウヨウ同様にスパルタみたいだ。

 

 

「高町なのは」

「はい、ってどうしたのリインフォース?」

 

 

今、号令が終わりへたり込んだフォワード陣に訓練のアドバイスか知らないがヴィータ副隊長が何やら話していて、それを少し後ろで見ていた高町教導官にリインフォースが声を掛ける。

返事をして誰なのかを確認すると珍しそうにここにいる理由を尋ねている。

 

 

「新しく出向してきたアーク・リリィ執務官の案内を主から言い渡されてな」

「あぁ、そう言えば今日からだったね。それでここに来たってことは他はもう全部回ったんだよね。じゃあフォワードの子達と合わせて自己紹介させてもらおうかな」

「頼む」

 

 

こちらとしては訓練が終わって丁度いいタイミングだったが、地べたでへばってる子供達を見ると少し気の毒に思う、まぁこのタイミングを狙ってきたのは俺じゃない。リインフォースだ。恨むならこいつにしてくれ。

そんな俺の考えなどよそに高町教導官が手を叩いてフォワード陣に話しかける。

 

 

「はーい皆!疲れてるだろうけど今日から六課に出向になったアーク・リリィ執務官が来たから皆挨拶して!」

『は、はい!』

 

 

疲れてるだろうに頑張って体を起こしている姿を見てると、そのままで結構だと言いたくなるんだが、新人としてそれは出来ないだろうから黙って起き上がるのを待っておく。

 

 

「では俺から自己紹介しようか、本日から機動六課に出向となったアーク・リリィ執務官だ。基本的にフェイト隊長と一緒に捜査に出る事になるから顔を合わせることも少ないと思うが、時間があれば君達の訓練をみることもあるだろう」

 

 

全員が立ちあがったのを見計らって自己紹介をする。

新人達は誰からするのかなと待ってると、オレンジの髪の子が一歩前に出て口を開く。

 

 

「自分はティアナ・ランスター二等陸士です!ポジションはセンターガードです!自分も執務官志望ですのでご指導の機会がある時は是非よろしくお願いします!」

「あぁ、よろしく。これでも現役執務官だ、時間がある時に捕まえてくれれば教えてあげれることは教えてあげよう」

 

 

尤も、俺は執務官試験を受ける段階で既に合格が決まっていたけどな。まぁ普通に受けても9割方通っただろう。

しかしビシっと敬礼もして堅い挨拶だな。それになにか焦っているようにみえる。生き急いでる目だ。特務部隊に配属されたばかりの奴の目に似ている。こういう奴は大体何かをやらかす、まぁこいつはホテル・アグスタの戦闘記録を見たが、ある意味既にやらかした後とも言えるな。

 

 

「え、えっと、じ、自分はスバル・ナカジマ二等陸士であります!ポジションはフロントアタッカーで近代ベルカ式で、えーっと、よろしくお願いします!」

「はは、堅い口調は苦手なようだな。無理をせず普通に話してくれていいぞ、これからよろしくな」

 

 

続いて少し変な口調になってるものの元気な挨拶をしてきたのが、スバル・ナカジマ――クイントの娘だ。あいつの娘というだけあって元気だ。戦闘機人で、それが原因かは知らないが昔は大人しかったらしいがこの様子を見るに素直に歪むことなくまっすぐに育ったみたいだ。リニアレールでの映像やアグスタで一目見た時からなんとなく分かってたけど。

 

 

「エリオ・モンディアル三等陸士です!ポジションはガードウィング!近代ベルカ式です!よろしくお願いします!」

「言い忘れていたが俺もベルカ式だ。だから教えれる事もまぁそこそこあるだろう。よろしくな」

 

 

この子供がプロジェクトFの残滓か。小さい頃は荒れてたらしいが今では大丈夫のようだ。まぁ内心何を思ってるかまでは知らんがな。

しかし髪の色が近いと少しだけ親近感が沸く。六課に男少ないし。

 

 

「えっと、キャロ・ル・ルシエ三等陸士です!ポジションはフルバックで召喚師です。よろしくお願いします」

「召喚師か、教えれることは少ないだろうがよろしく」

 

 

アルザス地方の少数民族ル・ルシエの竜の祝福を受けたという子か。真竜ヴォルテール、オーバーSランクの魔導師でも1対1ならば相性によっては何も出来ずに撃墜されるであろう古代から生きる竜。そしてそれを従える力を持つこの子は一族から恐れられ、追放された。それがトラウマなのか力というものを恐れ、召喚における暴走が悩み所だったみたいだが、それも先日制御し克服出来たという。

スキルの暴走という、場合によっては俺の所――特務部隊に回されていた可能性のあった子供でもある。

 

 

「高町教導官と一緒にこいつらを鍛え上げてるヴィータ三等空尉だ。よろしく」

「こうして会うのは初めまして、だな。噂では優秀な魔導師と聞いている。よろしく」

 

 

守護騎士が一人、鉄槌の騎士ヴィータ。10年前俺が出向いた際は闇の書に蒐集されていて実際会う事はなかった。事件解決後も八神家と会う事を避けていたので、守護騎士達の性格や人柄などは何も知らない。一応これまでの10年間の活動やデータは全て目を通しているが。

 

 

「高町なのは一等空尉、フォワード達の教導官も務めています。スターズ分隊隊長でそこのヴィータちゃんが副隊長です。これからよろしくお願いします!」

「エース・オブ・エースの噂はよく耳にする。10年前から変わらず、頑張っているようだな。これからよろしく」

 

 

エース・オブ・エース高町なのは。オーバーSランクの魔導師で表での最も有名な魔導師と言っても過言ではない。実際雑誌の表紙になったりしていて一般にも広く知られていてちょっとした芸能人みたいな存在にもなっている。10年前に魔法を知り数々の事件を解決してきたその姿は物語の主人公を彷彿させる。

 

 

「自己紹介も終わった所だしフォワード陣は休憩に入っていいよ」

「疲れてる所にきてすまなかったな」

 

 

訓練が終わりへたりこみたいであろう所に俺達が来て立ちっぱなしだった新人達の事も考え、これから会う事もあるので今は自己紹介だけ済ませるとこの場は解散という形になった。といっても新人達は座りこんでしまったが。

 

 

「では私達も隊舎に戻って昼食にするとしよう」

「もうそんな時間か。では、せっかくなので高町教導官達も一緒にどうですか? それと、新人達も」

「んー、じゃあ私はご一緒させてもらおうかな。ヴィータちゃんはどうする?」

「あたしはいいよ。これから用事もあることだしな」

「そっか。という事でフォワードの子達にも言っておきますのでまた後で」

「では俺達は一足先に食堂に行っておきます」

 

 

自己紹介しか出来なかったので昼食に誘ってみたのだが、どうやらヴィータ副隊長は用事があるらしく外れることになった。

高町教導官は今は座りこんでる新人達の休憩を待つようなので、リインフォースと俺の二人は食堂へ向かう為、この場を後にした。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

アーク執務官とリインフォースの二人の後姿を見送っていると、それぞれが様々な思いを抱き、私達に色んな影響を与えた10年前の事件の時の記憶を呼び起こした。

 

 

 

 

 

「―― Schwarze Wirkung」

 

 

フェイトちゃんが闇の書に取り込まれた事で焦りや不安を感じ、半ば自棄になりながら向かって行った私を出迎えたのは闇の書さんの魔法が付与され放たれた拳で、その一撃は軽々と私のバリアを突き破った。

 

今まで真っ向から攻撃を受けてバリアが破られることなど殆どなくて、バリアが砕けた事実に目を見開いていると、すぐ様衝撃が走り殴り飛ばされたことを理解した。

瞬時にこのまま飛ばされれば海面に衝突する事を把握するも、勢いを殺すこともまた無理だと悟り、数秒後に来るであろう海面に叩きつけられる衝撃を覚悟して目を強く瞑った。

 

 

衝撃に備え身構えていたがいつまで経ってもその衝撃が来ないと思っていたら、後ろから誰かが私を受け止めて抱えられている事に気がついた。

誰が受け止めてくれたのかなと思いながら目を開けるとそこには見知らぬ色――血のような赤が目に入った。

 

 

「今まで管理局の幾多の歴戦の魔導師達を葬り去った闇の書相手に、味方が取り込まれ尚絶望する事なく一人でも立ち向かっていくとは、勇敢だな。誠に恐れ入る」

 

 

次いで、クロノ君とはまた違う――どちらかと言えばお兄ちゃんに近い――声変わりの終わった男の人の低い声が聞こえていた。

そこでようやく私を受け止めてくれた人の姿を確認出来た。

先程少し見えた血の色はこの人の髪の色で、受け止めてもらった体勢的に下から覗く形で見えたその顔は整っており、髪とは少し違う色をした燃え盛る炎のような赤い色の眼が印象的だった。

 

 

「だが、その勇敢さもここは俺に任せて取っておけ。仲間が戻ってくるまでな」

 

 

抱えていた私を降ろして彼は私が飛んできた方向、闇の書さんの方向を向きながら肩越しでそれだけ私に伝え、向かって行った。

その後ろ姿は以前テレビでやってた映画に出てきたような正義のヒーローそのもので、とてもカッコよかった事を覚えてる。

 

 

 

しかし、正義のヒーローが出てきてさくっと万事解決! というように現実では都合のよい展開にはならず彼は撃墜してしまい、その時にまた少し言葉を交わした後、いつの間にかいなくなった彼に会う事はなく闇の書事件は幕を閉じ、それから10年の間に会う事もなかった。

 

 

 

そして現在、10年越しの再開が叶った。

仕事中なので業務的なやり取りしか出来なかったがこれからは機動六課で共に戦っていく同僚だ。今はまだ、名前と階級くらいしか知らないが、これからは教導を手伝って貰うこともあるだろうし彼を知る機会はいくらでもあるだろう。

 

ユーノ君にはやてちゃんは彼の正体が分からないと悩んでいるみたいだし、この六課に来た事も何かを企んでるのかもしれない。

ホントに偶然の結果かもしれないし、私の預かり知らない何かがあるのかもしれない。

 

そう、私は何も知らない。

でも、それでも確かなことがあるとすれば一つだけ

 

 

 

――それは、10年前のあの日

――私は彼の後ろ姿に、確かな憧れを抱いてた。

 

 

 

 

 

 




今回で初めて回想という形でA'sの話が出てきましたね。
今後もこういう風にシーンごとに回想パートが出たりするかもしれません。

次の話でついに主人公の実力の一端が分かるかも・・・?
しかし六課出向の1日がまさか前話から続く3話構成になるとは思わなかった(´ω`)
せっかくリインフォース生存してるんだし色々会話とかさせたいよね。うん

今話で微妙になのはフラグも立った気がするのは作者だけだろうか


正月とかクリスマスとか季節に合わせた話を書こうとかも思ったんですけどStSでは日にちの設定がちゃんとあるのでその手のイベントは全部JS事件以降になっちゃうんですよねぇ
あとがき書きながら今思いつきましたが空白期のクイントさんとのお正月とかクリスマスとかなら書けましたねwww
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