魔法少女リリカルなのは~鬼札と呼ばれた魔導師~ 作:Sady
最高評議会の直接の部下となれば危険も多く、指示される任務の難度も通常の局員の仕事とは一線を画す。法に触れる行動を余儀なくされることもあるし、酷い時は最高評議会にとって都合の悪い局員の始末すら命令される。
その苛酷さは管理局のトップのおおよそ命令通りに動いているジェイルが広域指名手配されていることからも想像がつくだろう。まぁあいつの場合少なからず自業自得な所はあるのだが。
つまり何が言いたいかというと、その分給金が良いのだ。
正義の為に已む無しと割り切って最高評議会の考えに同調している者はまだいい、だがそれ以外――正義や平和にあまり関心のない俺や自分の興味の示す事をただ追究したいだけのジェイルなどを飼いならそうとするなら、それなりの餌を与えねばならない。それが金であったり望んだ物資だったり環境だったり形は様々だが。
と、そんな訳で俺は結構金を持ってたりする。
折角あるのだから貯め込まずに使わないと勿体ない訳で、首都クラナガンの中でもここに住む事自体がステータスと言われるマンション、いや億ションの良いとこに住んでいる。
俺はそこに一人寂しく住んでいる、という訳でもなくここに居候している人物がいる。
「ねー、なんか面白い話ないのー?」
それが今現在俺の隣で暇そうにしているクイント・ナカジマ――約8年前の地上部隊の精鋭ゼスト隊が壊滅した事件での唯一の生存者だ。公式には実質死亡認定であるMIA扱いにされているがこの通り元気である。
本人にはあの事件の真相はもう伝えてある。俺が最高評議会の部下という事も。
管理局の闇ともいえる実態を知り思う所はあっただろうが、今は心の整理もついたようで、それよりも命の恩人である俺に少しでも恩を返したいからと強引に居座る形でこの家の家事などをしている。
「そう言えば、お前の娘のスバルなんだが」
「スバルがどうしたの!?」
自分の娘の名前が出た途端にずいっと顔を寄せて近づいてくる。まぁ会う事も出来ない状態であり、その娘も問題を抱えている身の上なので心配なのは分かるが。
「つい先日、陸戦ランクBを取得したみたいだぞ」
「そうなの!」
「そして、新しく発足した部隊へと転属」
「新しい部隊へ転属?」
「あぁ、古代遺物管理部機動六課の隊長から直々のスカウトでな」
「凄いじゃない!隊長直々になんて流石私の娘ね!」
今日は赤飯でも炊こうかしらー、とまさに自分の事のように喜ぶクイント。
「まぁその部隊の目的はレリック。必然、ジェイルともかち合う事になるだろうけどな」
「・・・・そう」
喜びから一転、複雑そうな顔になる。ジェイル・スカリエッティとぶつかるということは戦闘機人、もっと言えば管理局の闇の部分に触れる可能性がある事も考えれば当然か、ましてやクイントは戦闘機人事件を追っていたのが原因で家族とも離れ離れになる状況になっている。
「やっぱり心配か?」
「えぇ・・・でも、きっとあの子なら大丈夫。だって私の娘なんだもの!」
「そうか」
私の娘だから、そんな根拠のないモノであるのに自信満々に大丈夫だと断言して信じ切ってるようだ。強がりでもなんでもなく、クイントは本気でそう思っているのだろう。
娘の近況を聞けてそれで満足したのか、笑顔でキッチンへと食事の支度をしに行った。
その日の夕食はメガ盛りの赤飯だった。
クイントさん人妻でさえなければヒロイン候補になれたであろうというのに・・・っ