魔法少女リリカルなのは~鬼札と呼ばれた魔導師~   作:Sady

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今回でようやく1万字突破しました。
卒論書ける量書いたって思ったら頑張ってると思うんですよねw


4話 5月13日

新暦75年5月13日

 

 

「ねぇ、ずっと思ってたんだけどアークって意外と暇人なの?」

 

 

俺が自宅でソファでくつろぎながら端末を弄っているとクイントにこのような発言をされた。

 

 

「失礼な事を言うな」

「だって、5月に入ってからあなたずっと家にいるじゃない」

「ずっとじゃない」

 

 

今月に入ってまだ2回しか仕事に出てなくてその2回ともが例の読心少女のスイッチ役での出勤だとしても俺は決して暇人ではない。

 

 

「というかそもそもだな、お前は俺がなんと呼ばれてるか分かるか?」

「あれでしょ? JOKERとか最高評議会の鬼札とかSとかいう名前でしょ?」

「そうだ。その上で聞くが、お前は戦闘に入ってすぐ奥の手を使う様な戦い方をしてたか?」

「そんな事する訳ないじゃない」

「そういう事だ」

 

 

切り札はここぞと言う時に出すから切り札足り得る。それをポンポン使うような馬鹿がどこにいるというのだ。使い捨ての駒を沢山持ってるんだ、そっちを使うにきまっている。

少なくとも最高評議会がそんな切り札の使い時を見誤る奴らだったらとっくに離反でも何でもしている。

 

それに――

 

「俺は確かに家にいたが、それでも仕事をしてない訳じゃないぞ」

「そうなの?」

 

 

首を傾げながら続きを促すように聞いてくるクイント。30過ぎた人妻の首を傾げる仕草が可愛いなどとそんな馬鹿な――ゴホン

 

「管理局に関する表裏を問わずあらゆる情報は全て最高評議会の元に渡るようになっている。そしてその最高評議会から様々な権限を与えられている俺にはその情報のほぼ全てを閲覧することが出来る。まぁ俺は全てを閲覧する必要はないが情報の整理はしとかないといけないんだよ」

「へぇー何年も一緒にいるのに初めて知ったわそんなこと」

「実際昔のゼスト隊の事件やらもこれで知った訳だしな」

「ふーん」

「今纏めてたのはあれだな、俺の表の局員としての活動の報告書だな」

「そういえば、あなた執務官なのにこれだけ暇してるなんて・・・・・信じられない」

 

 

世の執務官は寝る間も惜しんで事件を追ってるっていうのにあなたって人は、とクイントは頭を押さえている。

 

そう、俺の表の局員の顔は執務官。管理局員の中でも大きい権限を持つ執務官は単独行動が許されている。実際は補佐官を連れまわしたり、捜査官の現場指揮やそのフットワークの軽さを見込まれて自由戦力として巡航艦に乗艦したり何かしらに所属している事が多いが。

実績を挙げれているのならば大抵何をしても許されるのが執務官。結果だけを求められているのならばこれ程俺にとって都合の良い役職もない。

 

なにせ――俺は管理局の裏の情報すらいくらでも検索閲覧出来る。

そこから潰しても構わなくて、成果を全然上げれてない違法研究所やテロ組織の情報を、いかにも次元世界を駆けまわって捜査しました!という感じで報告すれば良いだけなのだから。まさにマッチポンプ。

 

 

おかげで俺は一歩も動かずに端末を弄ってるだけなのに、報告書やらなんやらでは次元世界を駆け巡って職務に準じてる真面目な執務官殿という事になっている。

 

 

「あなたって人は・・・・」

 

 

ということをクイントに懇切丁寧に説明してやったら溜息を吐かれた。

まぁ、執務官の階級は実績により変動し俺の場合はなんと、三佐相当の扱いを受ける事になる。平和を思って地上を守り続けたクイントの階級が准尉だったのを比べると溜息を吐いたのも分からなくはない。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

執務官として違法研究所の情報を検索しコピー&ペーストを繰り返して順調に活動報告書埋めていると、端末へメッセージが届いた。

 

送り主はジェイル・スカリエッティ

内容は「レリックを貰おうとしたら機動六課が出てきたから君にもその情報をお裾分けしてあげよう」というのと、リアルタイムの映像を同期するためのアドレスがついていた。

 

 

流石に端末画面では小さく見にくいので映像を大型のプロジェクタに転送して観賞する。

 

 

「なになにー? 何見るの?」

 

 

大画面に切り替えたタイミングでヒョコっとクイントが現れる。

今の今まで、黙々と報告書を書くという地味な作業は見ててもつまらなかったのか別室で勝手に通販で毎週購読しているファッション雑誌を読んでいたくせに目ざとく現れるものだ。

 

 

「あー!スバルじゃん!ほら!見てスバル!」

「言われなくても見えてるよ・・・」

 

 

隣に座り込んで映像見てキャーキャー言うこいつの親バカ振りも困ったものである。

お母さんが見てるから頑張るのよ!って、向こうはそもそもお前が見てる所か生きてるのも知らねーよ。

 

 

「大したもんだな」

「そうでしょそうでしょ!」

「お前の娘の方じゃねーよ」

 

 

俺が言ってるのは、分割表示でフォワード陣と同時に映っている空で戦ってる隊長達の方である。

リミッターで制限されてるがドンドンガジェットを破壊していく。

魔法は才能による所が強いが、それで天狗になっている輩はリミッターがついた途端に弱くなる。しかしそれも仕方ないことで、魔力が多いとゴリ押しが有効なのでイチイチ小細工を覚える必要がないのだ。

だがエース級の魔導師は慢心することなく常にあらゆる状況を想定し最高のパフォーマンスが出来るようにしている。

この高町なのはとフェイト・T・ハラオウンはエースと呼ばれるだけあり魔法の使い方がうまい。AAランクまでリミッターで落としてるらしいが、生粋の同じランクの魔導師と戦っても勝てるであろうことが分かる。

 

 

フォワード陣は、良くも悪くも普通だ。

確かにプロジェクトFの人造魔導師や戦闘機人、管理局全体でみても数少ない召喚師、幻術使いだけあって将来性も見込めるが、現時点では同年代の奴らより少し出来てる程度だ。

 

まぁ部隊の保有ランク制限は設立時、転属時のものであり所属後に伸びたランクで引っ掛かる事はない。年度毎に更新して細かく調整することもあるが機動六課の稼働は試験運用で1年、問題にはならない。

だからこそ現時点でランクが低く将来性の高い子供をフォワードとして招き入れたのだろう。

 

 

「隊長陣の方はひとまず終わったな」

 

 

危なげなく制空権を得た隊長陣。

そしてフォワード陣の方は丁度クライマックスを迎えていた。

ルシエの召喚師、彼女が竜召喚を行うシーンだった。

 

 

「すごーい!」

 

 

クイントは滅多に見る事が出来ない竜を見て興奮してるようだった。

まぁ地上部隊が竜をみることはまずないからな。というよりクナガランに竜が侵入することがあったら終わりである。成体でなく幼生体なら密猟組織の所で極稀にいることはあるが。

 

 

事件はその後、竜のブレスと子供のコンビがⅢ型を破壊、クイントの娘のコンビがレリックを確保して事態は収束した。

 

 

 

『素晴らしい!!!見たかねリリィ君!!』

 

 

突然画面が切り替わりマッドサイエンティストの顔になっているジェイルのアップが映し出された。

 

 

「うぇ」

 

 

その歪んだ顔が映った瞬間隣からうめき声が聞こえてきた。

気持ちは分かるぞ・・・アップはきついよな、アップは・・・

 

 

『Fの残滓に私以外が作った戦闘機人であるタイプゼロ!ああ素晴らしい!これは私もやる気が出るというものだよ!』

「ちょっと!あんたスバルになんかしたらタダじゃおかないからね!」

 

 

隣のクイントがジェイルの興味が娘のスバルに向いた事に危機感を覚えたのか喰いかかる。

ジェイルはその声を聞いて俺だけじゃなくクイントもいたことに気付いたのかそちらへ視線を向ける。

 

 

『んん? 君もいたのかい。なに、ちょっとさらってきてちょっと弄繰り回すだけだよ安心したまえ』

「安心出来る訳ないでしょ!!」

『ふむ、元気なようで良かった。うーん、それにしても折角オリジナルがいるのだからノーヴェもここに呼んでくるべきかな? これは』

「そろそろ切るぞ」

 

 

この不毛な会話に割って入る。今のジェイルに話を聞く気は一切ないんだ。会話が成り立つわけがない。

もう事件は終わった。このテンションがハイになってる狂人にイチイチ付き合ってられん。クイントもうるさくなるし。

 

 

『あぁ、アグスタの時は頼むよリリィ君』

 

 

最後にそう言い残して通信は切れた。

 

 

「もう!これだからあの根暗は!」

「根暗というには、イカれすぎてるがな・・・」

 

 

ジェイルと対面するのはこれが初めてではないが、やはりクイントとの相性は悪い。戦闘機人事件を追っていたとかのが原因でとかそういうのではない。いや、それもあるのだろうがそもそも人間としての相性が圧倒的に悪い。

 

ゼスト隊壊滅の根本的な原因は最高評議会とレジアス中将にある。ジェイルは実行犯ではあるが迎撃は予定外のことで逃げようとしていたが時期を早めて突撃されたからだ。まぁこの時は戦闘機人の成果を見せるパフォーマンスもあったかもしれない。

が、普段は基本的に指示に従って研究しているだけの引き籠もり。

 

 

しかし、相性が悪く一見仲が悪く見える二人だが、俺はもしこの二人がなんの違法性もなく違う形で出会っていたらなんだかんだで良い友人関係になれたんじゃないかと思うんだが、どうなんだろうか。

 




まだ出てきた原作キャラってスカリエッティと最高評議会とクイントしかいないっていう。
あーはやく他の原作キャラも登場させたい。
アグスタまでが待ち遠しいです。がんばろ
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