最古の英雄王になりたくて!   作:sk20100626

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第14話 武神祭④

「……飽き飽きだな。雑種どもの茶番を眺めるのは」

 

特別観覧席の最前列。(オレ)、ギルガメッシュは、豪華な黄金のソファに深く身を沈め、手元にある最高級のブドウジュースを一口含んだ。隣でアイリスが気を失い、周囲の貴族どもが右往左往している様は、滑稽を通り越して欠伸が出る。

(オレ)の視線は、リングの上で「ジミナ・セーネン」の仮面を被ったまま立ち尽くす兄上(シド)へと向けられていた。

あ奴の「無」の境地は素晴らしい。だが、その後の展開を待つ時間が、(オレ)の忍耐の限界を試している。

 

(……兄上よ。そろそろ次の幕へ移ろうではないか。王の庭でコソコソと蠢く、あの『ハエ』どもの羽音が、耳障りで仕方がない)

(オレ)の『全治なるや全能の星(シャ・ナクパ・イルム)』は、既に会場全体に張り巡らされた不穏な糸を捉えていた。ドエム・ケツハット。あのアホ面をした男が、舞台裏で仕掛けている「毒」の正体。そして、その毒に侵され、今まさに自滅しようとしている一人の王女。

 

「……フン。ドエムよ。貴様の底の浅い策謀、(オレ)が蔵の埃にすら及ばんと知れ」

(オレ)は指先を鳴らし、蔵の門を僅かに開く。そこから漏れ出す黄金の魔圧だけで、(オレ)の周囲数メートルには誰も近寄ることができなくなった。

 

その時、会場の空気が一変した。

「私は、私の信じる道を行きます」

 

悲痛な叫びと共に、一人の少女がリング……ではなく、王族が鎮座する観覧席へと躍り出た。ローズ・オリアナ。学園の生徒会長であり、オリアナ王国の王女だ。彼女の瞳には光がなく、ただ絶望と、逃れられぬ運命への決意だけが宿っている。

 

彼女の剣が閃く。その標的は、彼女の実の父であり、オリアナ王国の王。

 

「……お前の罪を許そう」

 

(オレ)は黄金の杯を置き、その光景を静観した。

ローズの眼から涙が流れる。

 

「ローズ…お前を…愛し…」

ローズの剣が王の胸を貫く。血飛沫が舞い、オリアナの王が崩れ落ちる。ドエムが「あ、ああっ! 王を……貴様、よくも私の傀儡を!」

 

ローズは、自身の剣を喉元に当てた。

父を殺した罪、そして国を売るしかなかった己の無力さ。彼女はその命をもって、すべてを終わらせようとしていたのだ。

 

「これが私の最後のつとめ…」

 

「ーそれが貴様の選択か」

 

ジミナセーネンが窓を突き破ってくる。

「偽りの時は終わりだ」

 

だが、漆黒の風が、会場を切り裂いた。

 

「我が名はシャドー」

「スタイリッシュ盗賊スレイヤーさん!」

 

「「「スタイリッシュ盗賊スレイヤー?」」」

 

「シャドウ、あなたがスタイリッシュ盗賊スレイヤーさんだったのですね…」

 

そこからローズが助けてもらった時から今までの話、そして懺悔を話す。

 

「(なんか色々喋ってるけどあの時助けた子って獣人の子じゃなかったっけ?まぁ、いいか)」

「顔を上げろ、今宵我が陰を狩る」

 

その時ドエムは焦っていた。傀儡となっていた王は殺され、この場に最もきてほしくなかったシャドウすらも現れてしまった。

「だれか、誰か奴を殺せ!」

 

「…(オレ)がやろう」

 

ギルガメッシュがソファから起き上がる。

今宵、最強の実力と最強の王の戦いが始まる。

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