最古の英雄王になりたくて!   作:sk20100626

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第7話 王と王女

王都の地下牢でシドが拷問を「満喫」している頃、ギルガメッシュは一人、学園の屋上に立っていた。 「……フン、兄上も物好きよな。雑種に打たれる快楽など、(オレ)には理解できん」 隣に膝をつくのは、七陰の第一席・アルファ。 「ギルガメッシュ様、準備は整いました。教団が隠蔽している『悪魔憑き』の実験体……その回収、あるいは始末を」 「よかろう。王の庭で腐敗を撒き散らす不浄、(オレ)自ら焼き払ってやろうではないか」

 

ギルガメッシュは右手を掲げる。黄金の波紋が虚空に広がり、神代の魔力を湛えた一振りの魔剣――『原罪(メロダック)』がその手に降りた。

 

王都近郊、教団の秘密輸送ルート。 そこには、異常を察知して駆けつけたミドガル王国最強の魔剣士、アイリス・ミドガル率いる騎士団がいた。 「……何者だ! そこで何をしている!」 アイリスの鋭い声が響く。彼女の視線の先には、黄金の甲冑を纏い、月光よりも眩く輝く一人の男がいた。

 

「退け、雑種。王の歩みに立ち入る許可は出していない」 「……不遜な。私はこの国の第一王女、アイリス・ミドガルです。怪しき者は拘束する!」 アイリスが自身の魔力を剣に込め、一気に踏み込む。王国最強と謳われるその一撃は、並の魔剣士なら視認することすら叶わない。

 

だが、ギルガメッシュは動かない。 「――笑止」 キンッ! という高く短い音。 ギルガメッシュは手に持った魔剣で、アイリスの全力の斬撃を受け流した。 「なっ……!?」 「その程度の剣筋で『最強』を自称するか。井の中の蛙、大海を知らずとはこのことよ」

 

ギルガメッシュの背後に、数多の黄金の波紋が展開される。そこから突き出したのは、どれもがアイリスの持つ名剣を凌駕する「原典」の武具たち。 「見せてやろう。真の宝、真の武を」

 

一斉に射出される宝具。アイリスは必死にそれらを迎撃するが、一振り一振りが大気を裂き、大地を抉る。 「くっ……これほどの魔力……大凡人間業とはいえない……!」 アイリスは防戦一方に追い込まれる。彼女の誇りである白銀の剣が、宝具との接触に耐えきれず、小さな悲鳴を上げ始めた。

 

「どうした、ミドガルの英雄よ。この程度で膝をつくか? の蔵には、貴様の国を数秒で更地にする武具など山ほどあるのだぞ」 ギルガメッシュは退屈そうに指を鳴らす。 その時、森の奥から教団の「悪魔憑き」の実験体が咆哮を上げて飛び出してきた。肉体は肥大化し、自我を失った化け物。

 

「……汚らわしいな」 ギルガメッシュはアイリスへの興味を失い、化け物へと視線を向ける。 「アルファ。残りの雑兵は任せる。……この腐敗した肉塊は、われが裁く」

 

ギルガメッシュの手元に、一振りの「鎖」が滑り出す。 『天の鎖(エルキドゥ)』。 暴走する実験体は、鎖に絡み取られた瞬間にその動きを完全に封じられた。 「あ、ああ……!?」 アイリスが絶句する中、ギルガメッシュは冷徹に告げる。 「死して、王の庭の栄養(こやし)となれ」

 

波紋から放たれた極大の光が、実験体を跡形もなく消滅させた。

 

その頃、地下牢のシドは、ギルガメッシュの派手な魔力放射を遠くに感じていた。 (……あ、あいつ、また派手にやってるな。負けてられない、僕ももっと『モブ』っぽい拷問を演出しないと!)

 

翌朝。アイリス・ミドガルは、ただ一人、焼け焦げた荒野に立ち尽くしていた。 「黄金の王……ギルガメッシュ……。あんな怪物が、世界にはまだ隠れているというの……?」 彼女の心には、生まれて初めての深い「敗北感」と、底知れぬ恐怖が刻まれていた。

 

一方、ギルガメッシュは学園の自室に戻り、悠然と椅子に腰掛けていた。 「……さて、兄上。拷問(ごっこ遊び)の成果はどうだったかな?」 窓の外を見れば、王都を騒がせる「王女誘拐事件」の真犯人たちが、今夜も影によって裁かれる準備が整いつつあった。

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