見た目ロリの少女が、冒険者達に「ざーこ、ざこざこざーこ❤」と罵倒するだけのお話。

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冒険者達に「ざーこ、ざこざこざーこ❤」って言うだけのお仕事です

「ざーこ、ざこざこざーこ❤ お前みたいな低能冒険者に価値なんてねぇーんだよ」

「ありがとうございます! ありがとうございます!」

 

 自分より一回り以上年上の冒険者を罵倒しても、返ってくるのは感謝の言葉。これは決してこの冒険者がドМの変態という訳では無い。いや若干鼻息荒いからドМの変態かもしれないけど、そういうプレイじゃない。これは加護を授ける神聖な儀式なのである。

 私が、じゃない。神様、がだ。私が冒険者を罵ると、メスガキ分からせ過激派の神々が冒険者に加護を授けてくださるのだ。多分『分からせろ!』という神託なのだろう。どっから突っ込めば良いか分からない? 私はもう理解することを放棄してるから好きにして欲しい。

 

「エミリーちゃん今日もお疲れ様~。休憩室でこれでも食べてらっしゃい」

「わぁケーキだ! ありがとうございますぅ~」

 

 ケーキを差し入れてくれたのは、ボンキュンボンで大人の色気満載の冒険者ギルトの看板受付嬢のマルベルさんだ。そう、私は冒険者ギルドの一角にいる。つまり冒険者への罵倒を、よりにもよって冒険者の巣窟である冒険者ギルドで行っているのだ。あまりに罪深い行為だ。だが誰も私を責めることは無い。何せ私が冒険者を罵るようになってから、冒険者全体の質が向上して生存率が大幅アップしているのだ。

 本来神から加護を与えて貰えるということはほとんどない。そのごく一握りの選ばれた存在達は皆歴史に名を遺す偉人となっている。神の加護には圧倒的な力が宿っているのである。だからそう易々と、配られるはずが無いのだ。無いのである! え、メスガキ分からせの加護を持った人数? うん千人は軽く超えてるかな? うん、どうしてこうなった。

 

 生まれ育った小さな農村には存在しか伝わってなかったケーキを突きながら、私は項垂れた。私はただの都会に憧れるどこにでもいるお上りの女の子だったはずなのだ。何の計画性も無く、都会に行けばオシャレな生活が出来ると考えていた甘い考えは冒険者ギルド受付の面接試験に落ちてあっけなく砕け散った。落ちるなんて欠片も考えておらず項垂れている私を、酔っぱらった冒険者達が「こんな色気もねぇガキが受付嬢になれるわけねぇだろ。ガハハ。こんなに受付されてもやる気が出ねぇわ」なんて笑ってきやがった。そんな戯言無視するのが正解だ。今の私ならそうしている。でも、その時の私には無視できなかった。

 

「え~、そんなガキに絡むことでしか鬱憤を晴らせないのぉ~? おじさん達の事知らないけどきっと碌に依頼をこなす事も出来ないざこなんだろうなぁ。見るからに装備も貧相だし。昼間から酒に逃げてて恥ずかしく無いの? ほんとどうしようもないざこっぷり。ざぁこ、ざこざこざーこ。さっさと冒険者辞めたら?」

 

 ちょっとした子供の戯言だ。だというのにそれで話は済まなかった。冒険者達に光が降り注いだのである。それは誰がどう見ても神の祝福だった。そして男達の一人が「メスガキ分からせ過激派の神の加護を授かったぞ!」なんて叫ぶもんだからギルド内は上から下に大騒ぎ。騒ぎに乗じてその場を去ろうとしたが、その頃には事情を全て聞いていたギルドマスターに首根っこを掴まれて捕獲されてしまった。その後何度も検証して、私が罵倒すると加護が貰えると判明した。そんな人間が放って置かれる訳なく、私は今のように冒険者ギルドで冒険者を罵倒するお仕事をすることになったのだった。ううっ、心が辛い。何の罪もない冒険者達を罵るなんて酷い事、お給金が沢山貰えてなければとうに投げ出してる。まぁ罪悪感よりお給金の方が上だから続けてるんだけど。

 

「へへっ、エミリーちゃん。おじさんが分からせてあげようね~!」

「うわっ、きもっ」

 

 ケーキを半分も口にしてないところに、変質者が休憩室へ乱入してきた。流石にこの規模になると一々罵倒した人間の顔は覚えてないが、多分その内の一人だろう。偶にいるのだ、加護の力で暴走して私に乱暴を働こうとする馬鹿が。私は一瞥だけすると、あとは気にせず再びケーキを口にする。この程度の男は罵倒する価値すらない。それに、私に近づくことなんてできないから。

 

「メスガキは愛でるものであって分からせるものじゃない! 赤子からやり直してこい!」

「ふごっ!?」

 

 それまで全く気配がしなかったのに急に現れた金髪王子様風イケメンが不審者を殴り倒した。イケメン——ヒューゴは私の護衛だ。自称だが。私は彼を雇ってないし、勿論冒険者ギルドも雇ってない。そもそも雇える人じゃない。まったく、これっぽっちも見えないが、彼は国に1人しかいないS級冒険者なのだから。初対面の時うっかり恋しかけたのは、私の黒歴史の1つだ。

 

「私メスガキじゃないんだけど! もう17歳だから!」

「安心してくれエミリー。メスガキとは年齢じゃ無い、在り方なんだ。君は間違いなくメスガキだ、僕が保証しよう」

「どこに安心したらいいんだよ気持ち悪っ。その変質者よりアンタの方がキモイからね? こんな人間がS級冒険者だなんてこの国の恥だって。強くても存在がざこなのよ。ざーこ、ざこざこ。さっさと私の護衛気取りやめたら?」

「ありがとう! 君の言葉だけが僕の心を満たしてくれる」

「……きもっ」

 

 罵ってるのに、満面の笑みで感謝してくるこの変態をどうにかして欲しいが、腐ってもS級。だれにも止めれないのだ。元から強力だったのに、最近神の加護を得て更に手が付けれなくなった。え、何の神からの加護かって? ……メスガキを分からせる展開絶対許さない神だ。もうやだこの世界……。

 

「神々はメスガキ好きの変態しかいねぇのかよ。ざぁこ、ざこざこざーこ。神の座返上したらどうなのよ」

 

 なんて口にしたのがいけなかったのだろうか。数日後隣国でオスガキ分からせ過激派の神々の加護が授かる様になったとか。違う、そうじゃない。

 

 

 

 

 


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