魔都怪獣王のHATTORI   作:びよんど

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命の危険はあれど、自分に惚れている他部署の美人さんが脈絡もなく自分を引き抜こうとしている……。

ちょっと羨ましいと思ったり思わなかったり。

※ちょっとだけ叡智なところがあります!要注意!


第十二話 天花という女

 

 

<<< 魔防隊 六番組寮 >>>

 

 

「……七番組の弦太郎をくれと言ったのか?」

 

「そうだね、六番組に彼が欲しい」

 

 

あまりにも脈絡がなさすぎる。

 

目の前の天花と弦太郎との接点など、それこそこの間の魔都交流戦くらいしか心当たりがない。

 

いったい何が狙いなんだと訝しみながら、京香は静かに天花の次の言葉を待った。

 

 

「私は子供の頃から優等生でやってきて今の地位にいる。順風満帆ではあるけど、プライベートの時に退屈というか……」

 

「退屈を感じれば鍛錬がいいぞ!私はイメトレでも醜鬼を倒しまくりだ!」

 

「そういう話じゃないんだ。……ペットが欲しいんだよ。激務で疲れた私を癒したり愉しませてくれたりする男の子」

 

 

そこで弦太郎に繋がるのかとようやく得心した京香。

 

ただ()()をペットと呼ぶには色んな意味でデカすぎるがそれでいいのかと内心ツッコミを入れそうになるが、当の天花本人の雰囲気からその真剣度合いが伺える。

 

 

「……お前がその気なら候補は沢山来るだろ」

 

「今まで男の子を見ても全然ときめきがなかったね。でも奴隷クンにはビビっと来たんだ。……彼がいい

 

 

お前マジか。

思わずあんぐりと口を開けて呆然としてしまった京香であったが、すぐ気を取り直して自身の考えを伝えた。

 

 

「事情は分かったが……人型醜鬼や神を名乗る強敵が出てきて警戒態勢中だ。弦太郎は手放せん」

 

「そうだね、京ちんの能力と奴隷クンは紐付いてる……。一度鎖で繋げば死ぬまで奴隷が基本。でも〝無窮の鎖(スレイブ)〟も何かしら条件つけて能力に幅を持たせればそこら辺の融通も利くんじゃない?私でも奴隷クンを使えるとかさ」

 

「今は弦太郎が必殺技を撃つぐらいで、もっと能力の幅を持たせたいとは思っているが……」

 

 

青雲の志(ラーニング)〟によって弦太郎のもう一人の主となった日万凛とともに二人乗りを行うことで、神を名乗る強敵を撃破一歩手前まで追い詰めた時のことはまだ記憶に新しい。

 

組長ではない日万凛ですら弦太郎を劇的パワーアップさせられたのだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、興味がないと言えば嘘になる。

 

 

「融通利かせて奴隷クン渡してくれたら、次の〝総組長選挙〟京ちんを支持するよ」

 

 

指を差しながらそう宣言する天花に、こいつは何を言っているんだと頭が真っ白になる京香。

 

現在の総組長に下剋上を申し込む身としては、天花の交換条件はあまりにも輝いて見えてしまったのだ。

 

ここで確定票を手に入れられれば後々の交渉もスムーズに進む。

奴隷一人差し出すだけでこれなら安い―――

 

 

「……フッ、総組長は自分の力でなるさ。部下を取り引きには使わん」

 

「あら……(´・ω・`)」

 

 

すっくと立ち上がり、キッパリと断りを入れた京香。

 

天花の言葉を借りるなら、激務で疲れた自分をいやらし、もとい癒してくれる存在が服部弦太郎という男であり、もし彼を引き渡そうものなら男日照りで欲求不満モンスターになるかもしれない。

……そのくらい彼の肉体に溺れきっていたのだ。

 

一応能力の面から手放せないという理由もあったが、京香の頭の中はほぼ弦太郎色に染め上げられている。

もとより天花の提案を受けるはずもなかった。

 

 

「じゃあ、プライベートで奴隷クンと突き合うのは?」

 

「……………………………………………………プライベートまで口出しはせん」

 

「……そう」

 

 

天花の発した言葉のニュアンスが気になったものの、流石に弦太郎のプライベートまで縛るのは可哀想だと思い、OKは出すことにした。

 

 

「天花、今度飲みに行こう。いい焼き肉屋を見つけている。私は退屈させんぞ」

 

「ありがとう、楽しみだね」

 

 

……OKを出したことをすぐ後悔することになろうとは、この時の京香は思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「て、天花さんが、俺を欲しいと……!?」

 

「ペットって表現みたいだけど(笑)」

 

 

ガタゴト揺れる帰り道、服部は京香から六番組へのスカウトの件について聞かされ動揺を隠せずにいた。

 

 

「(あれれーおかしいなー?天花さんと言えばあの人、六番組の組長さんだったよな?……俺あの人とそこまで話せていない気がするんだけど、まさかペットみたいに思われてたなんてビックリだ……)」

 

 

さほど接点がなかった故にどんな反応をすればいいか分からなかったが、とりあえず当たり障りのない返事でその場は誤魔化すことにした。

 

 

「……まぁでも、俺は七番組の管理人ですから!」

 

「分かってるじゃない!」

 

「そうだな、お前は組に必要だ。……だが天花にも言ったが、プライベートにまで口は出さんぞ」

 

「そ、そうですか……」

 

 

そもそもそのプライベート自体が殆どないんですが……。

日万凛から塩ラーメンの注文を受けた服部は、休みらしい休みのない現状に思わず溜息をこぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< 魔防隊 七番組寮 >>>

 

 

本日の家事から解放され、ベッドに仰向けに寝転がった服部はスカウトの件……というよりスカウトを申し込んできた天花について思いを巡らせていた。

 

 

「(……あんな美人が俺を欲しいと言ってくれるのは嬉しいけど―――)」

 

 

自分はペットになるために奴隷になったワケではない。

ヒーローになるために奴隷になったのだ。

 

服部にもプライドがある。

例え対等な関係でなくとも、自分はれっきとした〝人間〟であるという自負が彼を思いとどまらせているのだ。

 

 

にょん

 

 

「やぁ」

 

「て、天花さんッ!!?」

 

 

……そんなことを思っていたら、まさかの本人登場。

 

これにはさしもの服部も驚きを隠せなかったが、天花が〝静かに〟というジェスチャーをしたことで何とか動揺を飲み込むことが出来る―――はずもなく。

 

天花は穏やか且つ妖しい笑みを浮かべながら服部の隣に堂々と座り、ここに来た用件を切り出した。

 

 

「こっそり奴隷クンに会いに来たんだ。プライベートでね」

 

「それって、まさか……!」

 

「京ちんから聞いたでしょ?君を気に入ってるんだ」

 

 

そう言うと、おもむろに服部の肩に片手を置き、もう片方の手で服部の顔を引き寄せ、ぷるりと潤った魅惑的な唇を開いて言葉を紡いだ。

 

 

「私とお付き合いしてくれないかな」

 

 

この世に生を受けて17年、服部史上生まれて初めての女性からのプロポーズであった。

 

 

「お付き合い……!?部下とかペットじゃなくて……?」

 

「うん、普通の交際。ペットは君が可愛いから、そういう例えだよ」

 

「(か、可愛い?大型犬みたいでってことか?)……俺のどこがそんなに……?」

 

 

自分が可愛いなどとは思ったこともなかった服部。

それゆえに自分のどこが気に入ったのか聞いてみたくなったのだ。

 

天花は笑みを深めながら服部だけを見つめる。

 

 

「ビビっときたんだ。……主に尽くす奴隷としての精神(ハート)、健気で気に入ったよ」

 

 

服部の胸板に手を押し当て頬を染める天花。

思わずこちらも頬を染めてしまう。

 

 

「家事をこなせる腕も確かだ。京ちん達に認められるなんて大した管理人だよ」

 

 

服部のゴツゴツした大きな手をなぞる天花。

思わず背筋を震わせてしまう。

 

 

八千穂を絞め落とす強さも目を見張るものがあった。男の子が副組長クラスを倒すなんてまず出来ない」

 

 

自身のウエストよりも大きい服部の二の腕をフニフニと触る天花。

思わず小さな喘ぎ声をこぼしてしまった。

 

 

「あとは―――」カプッ♡

 

「のわッッ!!?」

 

 

能力を使って服部の後ろを取り、首筋に甘噛みした天花。

思わず大声を上げ、飛び退いてしまった。

 

 

「肌の感じも好きだな。顔も個性的でタイプ、寝顔とかいつまでも眺めてられるね」

 

「ふぇっ!!?ね、寝顔!!?」

 

 

いつの間に寝顔なんて見られてたんだと驚く服部に更に近寄り、頬に頬を擦り寄せる天花。

 

 

「気に入ってる理由分かった?」

 

「でもこれやっぱりペットみたいな感じが……(/////)」

 

「その表現気になるんだ。……大っきくて可愛い年下だから今は癒やしのペットって感じだけどね。でも―――」

 

 

唇と唇が触れ合うあと僅かな距離。

つかず離れずな絶妙な距離感で天花は、服部の情欲を最大限煽り立てる。

 

 

「……()()()()()()()無理矢理組み伏せられたら私、屈服しちゃうかも……?♡」

 

「っっっ〜〜〜(////////)」

 

 

煩悩退散、煩悩退散と頭の中で必死に唱え、必死に天花から目を逸らす服部。

 

しかし哀しきかな、既に服部の肉体のほうは天花の術中に嵌まり、完全に()()に向けて準備を進めていた。

 

股間に血流が集中し、雌を発情させる雄のフェロモンが大量に放出され始める。

 

 

「♡……そんな表情(かお)されると、困っちゃうな」

 

 

顔を向けさせ、最初は触れ合う程度の口づけを。

 

数秒しない内に唇同士を離し、軽く息を整える。

 

 

「……これ、キュンとくるね……。こんな気分は初めて、だよ……♡」

 

 

むせ返るほどの〝雄〟の匂いに劣情を刺激された天花。

 

触れ合う程度の口づけは、やがて互いの舌を乱暴に絡め取る濃密な行為へと昇華されていった。

 

数秒か、はたまた数分か。

長いようで短い過激なスキンシップを一度中断し、体内へ酸素を取り込んでいく服部と天花。

 

 

「て、天花、さん……」

 

「やっぱり君は素敵だ……♡」

 

 

もっと手順を踏みたかったのに、これではすぐにでも襲いたくなってしまう。

……いや、もういっそ襲ってしまおう。

 

ピンク色に(とろ)けつつある思考でそう判断し、早速服部をベッドに押し倒そうとして―――

 

 

「天花さん―――すみません」

 

「えっ―――きゃっ!!?♡」

 

 

……逆に天花のほうがベッドに押し倒されてしまった。

 

一瞬何が起こったのか分からず困惑する天花の両手を両手でしっかりと掴み拘束した服部は、おもむろに天花の首筋に顔を(うず)め大きく深呼吸を行った。

 

 

「スゥ―――ハァ―――スゥ―――ハァ―――……」

 

「ど、奴隷クン!?急に何を―――ン、ヒュ!!?♡」

 

 

首筋を、舐められている。

 

まるでお前は俺の所有物(もの)だと言わんばかりにマーキングしているかのようだ。

 

押し退けようと思えば押し退けられる。

……なのに体からどんどん力が抜けていき、代わりに濁流の如き()()が天花の中に流れ込んでくる。

 

この()()が何であるか、今まで順風満帆な人生を送ってきた天花には分からないものであった。

 

……否、その意味を、現在進行形で服部に、頭ではなく心で理解らされていた。

 

 

「弦太郎」

 

「ヒュ…フヘ……?♡?」

 

「俺のことは奴隷クンじゃなくて、弦太郎って呼んでください」

 

 

瞬間、天花の心拍数は最高速度に達する。

 

比喩や誇張抜きに全身を巡る血流が勢いを増し、もはや天花の意志では制御できなくなるほどに体温が急上昇を開始した。

 

 

「ど……げんたろうク―――ンムッ!!?♡」

 

 

言い切る前に鼻と唇を塞がれる。

 

無理矢理捩じ込まれた分厚い舌で鼻と口内を蹂躙され、息苦しさを感じると同時にとある満足感を享受していた。

 

それは、攻められることへの〝感動〟

 

それは、思い通りにされることへの〝充足〟

 

それは、雌として貪られることへの〝感謝〟

 

それは、雄に隷属することへの〝願望〟

 

……天花の唇から唇を離し、天花と織り成した蠱惑の蜜を天花の口内に注ぎ込み終えた頃、服部は少しだけ申し訳なさそうに天花を見据え、己のズボンに手をかけた。

 

紡がれた言葉は〝謝罪〟と〝決定〟

 

 

「……すみません。俺止まりそうにないので、出来る限り優しくします」

 

 

屈服などという段階はとうに飛び越えてしまった。

 

その場にいるのは絶対的命令権を持つ強き雄と、その雄に従属することに至上の喜びを見出す弱き雌だけ。

 

それなのに、この雄のなんと心優しいことか。

 

下腹部にじんわりと熱が広がっていく。

 

 

「……ダメ、げんたろう、クン……」

 

 

雄の示した誠意に、雌が応えないワケにはいかない。

 

両脚を広げ、腰あたりに絡みつかせる。

 

両手を広げ、背中にしがみつく。

 

両目に服従の証たるハートマークを添え、宣誓する。

 

 

「優しくしないで。……痛いくらい乱暴にして?♡」

 

 

かくして紳士は死に絶え、獣同士の狂宴が幕を開けた。

 

 

「(は、はわわわ……そんなまさか、ゲンチーが六番組の組長に寝取られたァ!!?)」

 

 

……服部の部屋の(ふすま)の前で、またしてもとんでもない場面を目撃してしまったウサ耳リボンの少女を唯一の観客として、という前置きが付くが。

 




原作読んでて思った。
天花さんって尽くされるより尽くすタイプなんだと。

それが惚れた相手なら尚更ね。
……ってことでこんな展開にしてみました。

性格的にも能力的にも攻めは強いが受けは強くないという路線で天花さんを描写していきたいと思います。

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