魔都怪獣王のHATTORI   作:びよんど

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服部弦太郎の弦は、弦楽器(コントラバス)の弦!

服部弦太郎の弦は、(くろ)の弦!


第二話 管理人

 

 

<<< 〝魔都〟 >>>

 

 

「す、すみませんでした京香さん」

 

「も、問題ない。このくらい、どうってことは……」

 

 

ものすごく、気まずい―――

 

二人の男女……服部弦太郎と羽前京香は()()()()()()()を思い出し、恥ずかしさのあまり目も合わせられないと視線をズラしながら魔都の只中を歩いていた。

 

それがあまりにも気まずかったのだが、この場合どんな話題を振ればいいのか分からず、こんな感じに話が途切れ途切れになってしまう。……そんな悶々とした空気が漂う中、今度は京香のほうから話を切り出した。

 

 

「……さっきの醜鬼、一匹が現実世界に出現した場合数十人の犠牲者が出る」

 

〝魔都災害〟……時々ニュースになってます」

 

「私の目標は魔防隊の総組長になり、醜鬼どもを速やかに絶滅させることだ。……今の総組長は手ぬるい」

 

 

服部と目線を合わせるように見上げる京香。……その瞳は決意に満ちあふれていた。

 

 

「お前なら私の能力を最大限に活かせる。これで私は総組長の座を狙える。……私のために働け弦太郎

 

「オレは―――」

 

 

……魔都の存在によって相対的に男が不遇の立場に追いやられていることに対して思うところがないワケではない。それでも服部は現代日本で過不足のない生活を送れている。何より心からの友がいるのだ。これ以上を求めれば罰当たりである。

 

 

「オレは、体力と家事くらいしか取り柄のない男です」

 

「家事ができる奴は大歓迎だ!」

 

「えっ!?……それならオレは―――」

 

 

……ここで断ったとする。その場合心残りなのは―――

 

 

「オレは京香さんと一緒に、困っている人達を助けるヒーローになりたいです!」

 

「……フッ、決まりだな!」

 

「それに―――」

 

「……?」

 

「きょ、京香さんの()()をいただいた身として、最後まで()()()()()する責任がありますから!」

 

「っ〜〜〜(//////////)そ、それを言うな〜〜!!」

 

 

服部の頑丈な腹筋をポカポカ叩く京香。……対して効いてはなさそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< 魔防隊 七番組寮 >>>

 

 

「うわ、本当に男だ。……っていうかデカッ」

 

「アタシ女子高出身だし。こうして男マジマジ見る機会なかったからなんか面白っ。マジデカ〜」

 

「よ…よろしくお願いします、大きい管理人さん!」

 

 

さながら旅館のような魔防隊寮(魔都陰陽道に基づいて作られており、強力な結界が張られている)に入ることを許された服部。……そこまでは良かったのだが、玄関に入ってすぐ出迎えてくれた美少女達から三者三様の反応を返されてしまう。

 

侮蔑、好奇、困惑―――雇われて間もないというのにあまり好ましい反応ではないと服部は心の中で肩を落とす。

 

 

「……すみません京香さん、オレって管理人って扱いなんですか?」

 

「そうだ。戦闘時には私の奴隷になってもらうが、普段はここの管理人として働いてもらう」

 

「家事ができる奴は大歓迎ってそういう……分かりました。そういうことでしたら喜んで引き受けます」

 

 

流石に四六時中戦っているワケにもいかないだろう。戦闘以外にやることがあるのなら服部としては願ったり叶ったりであった。

 

……奴隷は奴隷でも人権のあるほうの奴隷であることにも内心安堵していたり。

 

 

「コイツらは腕は確かだがクセ者揃いでな、醜鬼の存在も相まって中々管理人が定着せん。そこで家事が得意なお前はちょうど良かった。……前もって言わなかったのはすまなかったが……」

 

「いえいえそんなっ!魔防隊の寮の管理人として働かせてもらえるだけありがたい話ですよ!……あっ、でも親とかに諸々の連絡をしておかないと……」

 

「その辺は私がやっておいてやる!……早速だが私の制服を洗っておいてもらおうか」

 

「……ゴミが増えてきたから清掃しときなさいよ」

 

「アタシお腹ぺっこぺこ〜、ご飯作ってね〜」

 

「大丈夫です!が先輩としてサポートしますから安心してください!」

 

 

……馬車馬の如く働かされるという意味では立派な奴隷かもしれない。

 

服部はこの先に待ち受けている過酷な人生を覚悟した。

 

 

「ともあれだ弦太郎―――よくきた、魔都精兵の七番組へ

 

 

それでも、誰かの役に立てるのならそれは立派なヒーローでもあると、七番組のメンバーを見やりながら服部は苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< 〜後日〜 >>>

 

 

「ふぅ〜中々いい出来じゃないかな?」

 

 

額の汗を拭いながらピカピカにした玄関先を見て満足そうに呟く服部。……外の景色が魔都でなければ清々しい気分になれるのに、と付け加えた上で。

 

 

「(優希くん様々だな。家事全般のコツを教えてもらったことがこんな形で活きるとはね)メコッ……ん?」

 

 

ふと近くの地面が盛り上がり―――地面を突き破っていきなり醜鬼が飛び出してきた。

 

 

「■■■■■〜〜〜ッ」

 

「のわっ!!?」

 

 

唐突な醜鬼の出現に体が一瞬硬直してしまった服部。万事休すかと思った瞬間、醜鬼の攻撃は透明な壁のようなモノに阻まれ、触れた箇所を起点に体が急速に蒸発していき最後には消えてなくなってしまっていた。

 

 

「こ、こんな近くにまで出るのか……!そりゃ管理人が定着しないワケだよ……!」

 

トテトテ「大丈夫ですか管理人さん!?」

 

「けっ、結界のおかげでなんとか……!」

 

 

服部を心配して駆け寄ってきた11歳の少女大川村寧は、魔都について殆ど知らないであろう彼に向けて色々とレクチャーしてくれた。

 

曰く、七番組は魔都で裏鬼門に位置する場所にあるため醜鬼がたくさん出現するとのこと。

 

魔都は東京都ほどの大きさがある異空間であり、八つの方角に区分されそれぞれに不吉な〝四〟を除いた九つの組が配置されている。

 

ちなみに真反対に位置する鬼門にも醜鬼が大量発生するため、そこを担当する二番組とは手柄を巡って競い合うライバル関係にあるらしい。

 

 

「助かるよ寧ちゃん、オレここだと分からないことだらけでさ」

 

「寧は上司ということですから当然です!」

 

「コラ、何をくっちゃべってるのよ服部弦太郎」

 

 

上司として魔都に関する知識を懇切丁寧に教えてくれた寧にお礼を言った服部。……ちょうどその時、初日に服部に敵意を向けていた美少女東日万凛が不機嫌そうに近付いてきた。

 

 

「ご飯の支度をしなさい。もうすぐ戻ってくる組長の分もキチンと作るのよ」

 

「おっとソイツはうっかり!早く支度しなきゃ……」

 

「待ちなさい。……あんたに色々言っとかなきゃいけないことがあるのよ」

 

「え?それって男のあんたが自分達と同じ場所で同じ物を食べるのを許可されているんだから!組長の慈悲に感謝しなさい!?……は、はい」

 

 

あまりにもツンツンしすぎな言葉に思わず敬語で返す服部。……男の立場の低さを改めて実感するのであった。

 

それでも黙って引き下がるワケにはいかない。

 

自分は魔都に来てから日の浅い謂わばヒヨッコ。……信頼を得るためには何よりも働きで証明するのが一番だと服部は己の心に喝を入れ、厨房にて辣腕を振るった。

 

そうして作られたのがカツカレーである。……決してギャグではない。

 

 

「ん〜〜〜っ、管理人さんの料理美味しい―――っ」

 

「食にこだわりはないが、栄養バランスが取れているのはいいな」

 

「寧にも料理教えてくださいっ!」

 

「……お、おかわりしてあげる」

 

「はい!じゃんじゃんおかわりしてください!(泣)」

 

 

嬉しくて涙が零れそうになる。早速服部は(料理で)信頼を得ることに成功した。

 

 

「この調子で皿洗いや温泉の掃除も頼むぞ」

 

「空き部屋の掃除もね」ボソッ

 

「分かりました。……っと、京香さん?醜鬼って今すぐにでも倒しに行かなくても大丈夫なんですか?」

 

「奴らは一時間と間を置かず出る時もあれば、一週間以上出現しない時もある。……だから次の出撃まで家事に専念しててかまわないぞ」

 

「それは……そうですか、分かりました」

 

「……何よ、組長の言うことに文句でもあるワケ?」

 

 

隣に座る日万凛から鋭い視線を浴びせられ、思わず冷や汗を流す服部。……そんな殺気立つ日万凛に待ったをかけたのは組長である京香であった。

 

 

「女子しかいない寮だ、男の管理人を快く思わない者もいるだろう。……だが家事の腕は立つし私の能力にも必要だ。そこは皆に受け入れてもらう」

 

 

ナニかを握り潰すような動作をしながら口を開く京香。

 

 

「何か不始末をやらかしたら、主である私が弦太郎を()()()()。……それでいいな?」

 

「「「 ……はい 」」」

 

 

一瞬股間が縮み上がった気がした服部であったが、ソレがいったい何を意味するのかこの時の彼には分からなかった。……その時だった。

 

 

「あっ」

 

「……何か視えたか寧?」

 

「えっ?視え……?」

 

「ねいっちは千里眼持ってるんだ。レアで凄い能力なんだよ?」

 

「へぇ……(顔を洗った後タオルを探しているようにしか見えないけど、結構凄いことやってるんだな)」

 

 

そう思ったのも一瞬、バッと寧の目が見開かれ、矢継ぎ早に報告を行っていった。

 

 

「〝門〟が出現してます!……南に5キロ!」

 

出撃だ!乗り物は()()でいく!

 

 

奴隷として、その力を振るう時が来た。

 

七番組の隊員達が各々の乗り物で現場に急行していく姿を目で追いかけながら服部は待つ。

 

 

「(いよいよか……!いよいよ―――)って……三台目はオレか……あっ、京香さん」

 

「準備できたな?―――我らも征くぞ

 

「っ、はい!!」

 

 

片膝をつき、京香が差し出した手にキスをする服部。

 

正しいことのために、何より主である京香のために、服部は内に秘めたる怪物を呼び覚ます。

 

二人は一つに成った。

 

 

『……またしても合体したな』

いつもはどんな感じなんですか?

『鎖に繋がれた飼い犬のようになるが……いま気にしてもしょうがあるまい。走れるか弦太郎?』

勿論!

 

 

服部は両の足に力を込め、思いっきり地面を蹴って駆け出した。

 

 

おおお!?流石に速い!!変身する前よりちょっと速いですよ京香さん!!

『っ〜〜〜、は、速すぎるぞ!!?……あっ、日万凛達を追い抜いてしまった……!』

え〜っと、南に5キロだから……あっ、アレが件の〝門〟ですかね?

『そ、そうだ……寮からここまで5分も経ってないと思うぞ。なんという速さだ……!』

 

 

出発してからおよそ2分50秒、あっという間に目的の〝門〟の前まで辿り着いた服部(+京香)。

 

 

ブラックホール……

『突発的に現れるタイプの門だ。現世と魔都を繋ぐな。現世側から人間が迷い込むケースもあれば、醜鬼が現世に行ってしまうケースもある。大抵は数時間経てば消える。それまでここで番をする』

現世って言い方、まるでここが地獄か何かみたいな言い方ですね

『実際地獄みたいなところだここは。……数十年前現れたこの空間は何なのか、何故女性だけに能力を与える桃があるのか、謎は全く解明されていない』

 

 

地鳴りとともに醜鬼の群れがこちらに近付いてきた。

 

 

『あいつらも生態系は謎だ。だが確実に人に害を及ぼす』

行きましょう京香さん

『……待て、日万凛達が向かった。あっちは任せて私達はここで門の番だ』

 

 

その時、服部の足元から数匹の醜鬼が地面を突き破って出てきた。……どうしても門に入りたいらしいがそれを許す服部達ではない。

 

 

ここから先は絶対通さん!食らえ必殺―――

HATTORI ラ―――――― ッシュ!!!

 

 

ドガガガガガガガガガガガガガッ

 

 

絶大な破壊力を伴う連続パンチを目にも止まらぬ速度で醜鬼達に叩き込み、一匹残らず肉骨粉に変えた。

 

 

『やはり見込み以上だ!私が戦えなくなるデメリットを補って余りある戦闘能力だな!』

今ので打ち止めらしいですね。……そうだ彼女達は!?

 

 

日万凛達の身を案じて加勢しようと振り向いた服部であったが、すぐにそれが無用なものであったと知る。

 

 

ガンガンガンガンガンッッ

 

 

腕をガトリング砲のように変化させた日万凛が醜鬼の群れを蜂の巣にしていく。

 

 

がおーっ!!

 

 

ウサ耳リボンを付けた美少女駿河朱々は、能力によって肉体を急激に巨大化させ、醜鬼の群れをアリのように踏み潰してゆく。

 

……服部の付け入る隙はなかった。

 

 

……心配ないようですね

『あいつらは私の自慢の部下だ。これくらいはな』

 

 

……やがて〝門〟は消え、役目を終えた日万凛達はさっさと寮のほうへ戻っていってしまった―――

 

 

「ちゅぷ…ちゅむ……(//////////)」

 

「チュ―――ぷはぁ!……ハァ、ハァ、こ、こんな浮かれた恋人のような真似をせねばならんとは……(//////////)」

 

 

……舌を絡めた濃密なキスをする服部と京香を置いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の戦闘、武器の切り替えが遅かったぞ日万凛。お前ならまだ0.2秒は縮められる。……やってみせろ」

 

はい!!」ガシャガシャ

 

「(……家事をオレに任せて遊んでいるワケじゃないんだな。頑張れ日万凛ちゃん)」

 

 

寮の掃除をしている時、偶然映り込んだ京香と日万凛の訓練風景に、彼女達もメチャクチャ頑張っているんだなとつい見入ってしまう服部。

 

服部自身も努力を積み重ねて強くなったために、同じように努力を積み重ねる者には好感が持てると勝手に頷いていると、直後寮を囲む結界が激しく揺れ動いた。

 

 

「「「「 ■■■■■■〜〜!!! 」」」」

 

「(うおっ!!?……いくらなんでも大量発生しすぎだろ醜鬼ィ!!管理人が逃げ出して定着しないワケだ!)」

 

 

無作法極まる乱暴なノックで結界を叩き割ろうと試みている醜鬼達を見て思わずドン引きしてしまう。

 

 

「……凄い数」

 

あははー、盛り上がってきたねー!

 

 

自らの実力によっぽど自信があるのか、はたまた事の深刻さを理解していないのか、巨大化した朱々は実にあっけらかんとした様子で四方から押し寄せる醜鬼を眺めていた。

 

反面、朱々の肩に乗っていた日万凛は自分達が対処できる限界以上の群れで押し寄せる醜鬼を前にして、結界はおろか寮そのものの存続すら諦めかけていた。

 

……その時だった。変身した服部が天高く飛び上がり、その背鰭から聞き覚えのある組長の声が上がったのは。

 

 

『役割分担だ!四方から来た敵のうちお前達で二方向を受け持て!……残りの二方向は、私と弦太郎がやる!!』

 

「「 えっ!?……く、組長……? 」」

 

『いけ弦太郎!!』

はい!……うおぉぉぉぉおおお!!!

HATTORI ロードローラ――――――!!!

 

 

……絶妙にダサいネーミングの技を叫びながら縦方向に高速スピンする服部。

 

勢いそのままに軌道上の醜鬼の群れを轢き殺していき、あっという間に醜鬼の群れを半減させてしまった。

 

 

わはっ♪凄いじゃん

 

「……!?(こ、ここまでの強さだったの!?……服部弦太郎、組長が奴隷にするはずだわ……!)」

 

 

……魔防隊寮を襲った醜鬼の群れは、さほど時間をかけずに殲滅することができた。

 

巨大化のしすぎで疲労が溜まった朱々とそんな彼女を労る日万凛が寮に戻っていくのを確認した服部は、()()()()()()()()()()()()京香(主人)の頭を触りながら今回の働きに見合ったご褒美を享受する。

 

 

「……うっ(//////////)」

 

「……!!?(//////////)」ゴクッ…ゴクッ…

 

 

奴隷でありながら服部は、主人を征服することに快感を覚えつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その……京香さんは大丈夫なんですか?」

 

「……何がだ?」

 

「いや、その……能力の代償とはいえ、()()()()()()()()()()をオレなんかとして……その、辛くないかなと」

 

「言っただろう、醜鬼根絶のためだ」

 

 

ご褒美を終えた後とは思えないほど真剣な表情で醜鬼根絶を口にする京香。……今まで服部が見てきたどんな表情とも違う、さながら死んでも構わないと言わんばかりだ。

 

 

「私も魔都災害に遭ったんだ」

 

「えっ……!?」

 

 

月山大井沢(がっさんおおいざわ)事件〟

 

 

突発的に発生した大規模な〝門〟から醜鬼の群れが出現し、村一つが蹂躙・滅亡したとされる大惨事。

 

新聞やニュースで把握している範囲では生き残りはたった一人しかいなかったが、その生き残りこそがなんと目の前にいる京香その人であるとのこと。

 

 

「魔都の桃や醜鬼を資源だの研究対象だの言ってる連中もいるが私は違う。こんな奴らのために人が苦しむなどあってはならない」

 

 

いったいどれほど怒りと憎しみを蓄えてきたのか、空気が揺らぐほどの覇気とともに刀を握りしめ、京香は決意を新たにする。

 

 

速やかに潰す。……それを実現させるためにも力が必要なんだ……!!

 

「……っ」

 

「それに……お前相手ならば不思議と嫌悪が少ない。能力を十分引き出せているし相性がいいのだろうな」

 

「京香さん……」

 

「……ただまぁ、()()()()()までする関係になるとは思いもしなかったが……私の身一つで済むのなら、何の問題もないな!……初めては痛いと聞いていたがそんなこともなかったし……

 

 

京香の奴隷としてなら自分も全力で働けると、その懐の深さに感銘を受ける服部。

 

 

「あぁそれと、日万凛が私の知らないところで色々指示を出していたらしいがこれからは配慮しよう。仕事ばかりではいざという時潰れるからな」

 

「っ……ありがとうございます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< 魔防隊 七番組寮 >>>

 

 

「(京香さんはオレのこともちゃんと見てくれている。それならオレも期待に応えられるようにしっかり頑張らないといけないな!)」

 

 

尊敬する上司が自分に期待してくれている。……服部の清掃の手にも力が入るというものだ。

 

 

「(……京香さんが能力でオレを使役することで、初めてオレは()()()()()()()()を引き出せるワケだけど、万が一京香さんが能力を使えない状況に陥った場合オレは何にも出来なくなるのか?……否、そんなことはない)」

 

 

服部だけが知っている。……服部には醜鬼を倒せるだけの身体能力が備わっていることを。

 

 

「(……オレ自身がもっともっと強くなる必要があるな。それが京香さんの助けになるのなら―――)……ん?」

 

「ここがいいんですか〜?」

 

「ちょっと……もうやだー!」

 

 

京香のためにもっと強くなる決意を固めた服部の耳に、聞き覚えのある声が響いてくる。

 

どうやら茂みの向こうから聞こえてくるその声に釣られて覗いてみると―――

 

 

「寧〜、くすぐったいよ〜」

 

 

……図らずも入浴中の日万凛と寧の姿を目撃してしまう。

 

堪らず物陰に隠れてしまう服部。

 

 

「(か、勘弁してよホントに……!まるでオレが覗き見したみたいじゃないカシャッ……!!?」

 

ムクムクムク「見―――ちゃった。……とうとう尻尾を出したねぇ管理人さん?」

 

「き、君は朱々ちゃん!!?」

 

 

誰もいないはずの場所から一人の美少女がムクムクっと現れ驚きを隠せない服部。

 

 

「びっくりした?朱々の能力は縮むこともできるんだー」

 

「こ、こんなところで何をしてるのかな〜?」

 

「最近管理人さんを見てたんだ。男ってどんな生き物だろってさ。……そしたらこれ超いい瞬間でしょ!?」

 

 

朱々が突き付けたスマホには―――まるで自分が女風呂を覗き込んでいるかのような奇跡的で最悪な瞬間が映し出されていた。

 

 

「そ、それは誤解だって!!!」

 

「組長はどう思うかなぁ?ねじ切られちゃうよ?」

 

「お、脅しているのか!?……オレに何を要求するつもりなんだ!?」

 

 

その言葉を待ってましたと言わんばかりに小悪魔的に微笑む朱々。

 

 

「大切なのはシゲキだよ。この写真バラされたくなきゃ朱々の奴隷になってよ、管理人さん♪

 

「……うそん」

 

 

次回―――服部、ダブルブッキングを要求されるってよ。

 




今作の服部くんは最強っちゃ最強なんですが、実戦経験に乏しい覚醒前の五○悟みたいなもんです。

でもまぁ大丈夫、一を聞けば千でも万でも知ることができる天災でもあるので服部くんは。

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