……正直凄く驚いてます。
ふと気付いたら赤バーになってるし、一気にブワッと読まれてるし、いったい何がキッカケで人気が爆発するか全く分からないですね(笑)
姉妹対決、決着―――それではどうぞ!
<<< 〝魔都〟 >>>
「七番組ならまだいけるッ!立たなきゃ!!」
「フレーフレー!日万凛さん!弦太郎さん!」
七番組の駿河朱々と大川村寧の声援が
「ぐっ……!」
仲間からの声援を受け、立ち上がろうとするが立ち上がれない日万凛。
どうやら脚に弾丸がいくつも食い込んでいるらしく、あまりの激痛に体が起き上がることを拒否していたのだ。
ドクドクと血が流れ出ている。
「日万凛ちゃん……!!(オレが、オレがもっと上手く立ち回っていれば……!!)」
反面、これといった負傷はないものの銃口をこめかみに当てられ身動きが取れずにいた服部は、自らの経験不足と至らなさを痛感し唇を強く噛み締めていた。
そして、服部のこめかみに銃口を押し当てていた六番組副組長東八千穂は、自らの勝利を確信し超然とした態度で日万凛を見下ろしていた。
「(〝
妹の心をへし折るべく、姉は言葉で責め立てていく。
「お前は常に大一番で結果を出せなかった。今回も同じよ。……
「……っ」
八千穂の正鵠を得た指摘に黙り込む日万凛。
何も間違っていない。
自分はいつだって本番に弱かった。
何をしても失敗する。
京香に認められたことで思い上がってしまったのだ、こんな自分でも英雄のようになれるなんて。
だが今の自分はどうだ?
無様に地に這いつくばる自分の情けなさに、込み上げる涙が止められない。
「(……自分はここでも、結果を出せないというの?)」
もういやだ、こんな無様を晒すくらいならいっそ魔防隊に来なければ良かった。
そんな後ろ向きな考えが脳裏を過ぎり―――
「諦めるな、日万凛……!!」
「……弦太郎」
……騒ぐでもなく、さりとて確かに日万凛の耳に届いた服部からの叱咤激励。
その声色は怒りに満ちており、すんでのところで諦めかけていた日万凛の心をガツンとぶん殴るには十分な覇気が込められていた。
「姉さんをよく見るんだ、明らかに疲弊しきってる。つまりそう何度も連発できない大技なんだ」
「( ´ー`)フゥー…フゥー…」
「……!」
「あともう少しで勝てるのに諦めるのかッ!?君が今まで重ねた努力は、そんなところで
服部の怒りの炎は、日万凛にも燃え移った。
日万凛を燃やすその怒りは、更にその先にある目標へ近づくための無限のエネルギーへと形を変えた。
「……そんなワケ、ないでしょ!!!」
ぷるぷると震えながらも、両の足でしっかりと踏ん張って立つ日万凛を見て少なからず動揺する八千穂。
「それ以上は醜態ぞ、組長に恥をかかすな!もう一度時間を止めるぐらいは出来るのじゃぞ!」
折れかけた心が息を吹き返してしまった。
焦った八千穂は服部に向けていた銃口を
「……最後まで藻掻き続けることを、七番組では醜態とは言わないッ!!」
「(くっ、ここで心を折っておけば今後の教育が楽と思ったが―――グチャッ……んぁ?」
もう一度〝
「妹ばかりに意識がいきすぎだ……」
「んな……ッ!!?」
違和感のする先を見やる。
そこには、銃を持つ自分の左手を
「(い、いかん、
「フンッ!!!」
握り潰した左手ごと八千穂を力任せにぶん投げ、思いっきり地面に叩きつける。
崇高なポーズを取る間もなく地面とキスをする羽目になった八千穂。
五秒で巻き返すタイミングを逸してしまった。
「(も、問題ない、負担は大きいが
「……日万凛ちゃんから聞いてるよ、君はポーズを取ってからでないと能力を発動できないって」
唐突だが、服部には柔道の心得がある。
小柄な八千穂にバックハグをし、丸太のように分厚いその両腕で頸動脈をピッチリ絞め上げ、足でポーズを取らせないよう足で挟み込んで身動きを取れなくさせる。
その技の名は〝
男女混合全国柔道大会を二連覇している服部弦太郎の最も得意とする決め技である。
「(ど、んな、かたちで、あろ、うと、私さ、まが、とれば、崇高な、ポー、ズ)……ッ」
残った右手で拘束を振りほどきながら、なおも能力を発動させようと藻掻く八千穂。
彼女から、闘志は失われていなかった。
「プ、ライム、タ、イ、ム……ッ!!」
最後の力を振り絞り、時間を10秒巻き戻す八千穂。
彼女の願いは、無事聞き届けられた。
「……日万凛ちゃんから聞いてるよ、君はポーズを取ってからでないと―――あれっ?」
服部はある違和感を覚えた。
力任せにぶん投げた八千穂に組みついたまでは良かった。
ただ、その八千穂から何の抵抗も感じなかったのだ。
まるでもう好きにしてと言わんばかりの無抵抗ぶりに服部は即座に罠を警戒した。
「(しまった、彼女は既に時間を巻き戻している!!
……となると狙いは日万凛ちゃんかッ!!?)」
バッと日万凛のいる方向を見やる服部。
そこには、キョトンとした顔の日万凛がいた。
どうやら彼女は無事のようだ。
「日万凛ちゃん大丈夫かッ!!?」
「えっ?……え、えぇ」
「ごめん、時間を巻き戻されたかもしれないッ!八千穂ちゃんの攻撃に警戒してくれッ!!」
「……いや、まさか、嘘でしょ……!?」
日万凛が信じられないものを見るような目で驚きを露わにする。
その様子から、既に八千穂の反撃が始まったと戦慄する服部であったが―――
「決着ゥゥゥ!!勝者、東日万凛!!」
「…………………………へぇ?」
「七番組は一本先取です!!」
審判の備前銀奈のかけ声とともに決着がついてしまった。
その時初めて、服部は自分の腕で絞め上げている八千穂に意識を向けるに至る。
八千穂は、白目を剥いて完全に気絶していた。
〝
故に両手だけで崇高なポーズを取り能力を発動させることに成功したワケだが、同時に無抵抗となり頸動脈を絞め上げられ窒息、半ば気絶したまま能力だけが無駄打ちされる結果となったのだ。
「あれれ〜、負けちゃいましたね〜?」
「敗因を学ぶことで実りとしようか」
まさか男である服部が八千穂を下すなど予想していなかったばかりに少なからず驚きを隠せずにいる若狭サハラ。
隣で観戦していた出雲天花も、この結末は予想していなかったためか珍しく驚きを露わにしていた。
……が、すぐに思考を切り替え敗因を分析する辺り流石は組長格と言ったところか。
「本来は大惨事の怪我ですけど、安心してください。
治りますよ!」
「おぉホントだ!日万凛ちゃんの怪我が治ってく!」
「……ホントやになっちゃうわ……」
傷だらけの自分とほぼほぼノーダメージの服部を比べ、この差は一体何なんだとしかめっ面になる日万凛。
結局最初から最後まで服部に任せっきりになってしまい、これでは自分の力を発揮できたとは言えないと内心自虐していると、さっきまで意識を失っていた八千穂が目を覚まし、縋るように声をかけてきた。
「……日万凛、力を付けたな。認めてやる!
……相応の扱いにする、ならば東の家に戻れるじゃろ?」
「……八千穂、今の自分は七番組が居場所よ。
何を言われようが、家には帰らないわ」
「(´;ω;`)ソンナー…」
日万凛の威風堂々な拒絶の言葉に石化する八千穂。
ものの見事に振られてしまうのであった。
「……固まったね」(´д`)┌ヤレヤレ
「やっちはさー、感情の表現方法がイビツなんだよ〜」
一旦寮の中に戻った服部と日万凛は、喉の乾きを潤すべく台所まで来ていた。
「ふぅ〜、あんだけ動くと流石に疲れちゃうよね」
「……そ、うね」
冷蔵庫の中からポカリを取り出しぐっと豪快に飲み干す日万凛に倣って、服部も冷蔵庫の中へ手を伸ばす。
……が、すんでのところで日万凛に制止されてしまう。
「どうしたの日万凛ちゃ―――ぐむっ!!?」
「………(//////////)」グビッ…グビッ…
突然日万凛に唇を奪われ、口移しでポカリを飲む羽目になった服部。
そこでようやく気が付いた。
代償―――ご褒美の時間が始まったのだと。
一瞬気を抜いたせいで体勢を崩し、大きく尻餅をつく。
「さ、さっさと終わらせるわよ……イヤラシイ(//////////)」
「う、うん……(//////////)」
「だ、男子も結構やるわね……(//////////)」
「あ、ありがとう……(//////////)」
図らずもマウントポジションを取った日万凛は、流れるように衣服に隠れたお互いの秘部を曝け出し―――
「(組長のみならずひまりんまで……皆ズルい!!!)」
……あまりにも遅いので来てみれば、そこには意中の男性と激しくまぐわう仲間の姿。
ウサ耳リボンの少女の嫉妬心を煽るには十分だった。
「第一試合の総括、いいかい八千穂?」
姉妹対決の振り返りを行うため、着替える八千穂の近くで天花が話を切り出す。
流石の八千穂も上司の言うことには大人しく耳を傾けた。
「話を聞くに奴隷クンは初めての実戦だ。治ると分かっていても無意識で必殺技にブレーキをかけた可能性もある。初手の直撃で瞬殺されたと考え猛省すべきだね」
八千穂から時間を巻き戻して
相手を侮るな、簡潔にそう注意された八千穂はシュンとしながらも返事を返した。
「でもまさか、八千穂相手に善戦するばかりか絞め落として勝利をもぎ取るだなんてね……」
天花の脳裏に焼き付いた衝撃的な人物。
隙を晒したとはいえ、あの八千穂を苦もなく投げ飛ばし、あろうことか裸絞でノックダウンを取り勝利を収めた大きすぎる奴隷―――服部弦太郎。
「彼は、とっても強い奴隷なんだねぇ……」
「(´Д`)」
天花にとって服部はどのように映って見えたのか。
それは彼女以外誰にも分からない。
「(……ゲンチーにカッコ悪いところ見られちゃった)」
寧から借りた法被を羽織りながら一人落ち込む朱々。
第一試合から間もなく行われた第二試合、朱々の対戦相手は同じ平隊員の若狭サハラであった。
結果は敗北、倒したと思っていたサハラを図らずも覚醒モードにしたことと本気を出しすぎて体が思うように動かなかったことが敗北に繋がってしまった。
「(せっかく勝ったら労ってもらうって約束したのに……アタシってホントバカ……!)」
恥ずかしくて消えてしまいたい、そう思っていた矢先にドアをノックする音が。
「朱々ちゃん、飲みたいものとかある?」
ドアの向こうにいたのは、服部であった。
朱々を気遣って駆けつけてくれたのだ。
「着替えてる間に用意するよ?」
「……いい別に……」
「俺に出来ることなら何でも言ってね。管理人だし」
「じゃあ記憶消して。カッコ悪かったさっきの試合」
口から出る言葉全てが尖ってしまう。
本当は勝ちたかったのに、こんなカッコ悪い姿をみせたくないのに、もっと素直になりたいのに……。
少女の純真な心に影が差しかけたその時、ドアのすぐ向こうにいた意中の男子が言葉を紡ぐ。
「惜しかったとは思うけど、オレは朱々ちゃんが負けたとは思ってないよ」
「〜〜っ!!?」
「現に一度はノックダウンさせたワケじゃない?向こうにまさかあんな手があったとは思わなかったけどさ、実質引き分けみたいなものだよ」
「……ホント?」
「あえて言うなら、あのプロレスはもっと見てたかった」
「それは相手のノリが悪いの!……フフッ」
少しずつ、少しずつだが元気が出てきた朱々。
同時に
「ねぇゲンチー、少し目を瞑ってて」
「うん?あぁいいよ……?」
目を瞑った服部。
暗転する視界の中、頭を無理矢理下げる両手の感触と唇に優しく触れる柔らかい感触だけが伝わった。
「も、もういいよ、ゲンチー……(//////////)」
「……朱々ちゃん、もしかして……」
「ま、負けたショックを更なるショックで吹き飛ばすおまじないだよッ!!」
目を瞑っていても服部には分かる。
京香や日万凛相手に何度も行っているソレの正体を。
「(もっと、自分の株を上げてから言わないと……!)」
道のりは遥か険しく、されど目指してやまない恋の道。
朱々はその第一歩目に足を踏み入れた。
「魔都に異常はないか寧?」
服部が朱々を元気づけている一方、京香は第三試合を前にして周囲の警戒を寧に行わせていた。
醜鬼が乱入して来ようとも銀奈の結界があるため侵入される心配はないが、念のためである。
寧もまた千里眼を使って魔都の隅々まで見て回っていた。
用心するに越したことはないのだ。
「はい、異常―――えっ?」
捉えてしまった。異常を。
黒い着物を身に纏う美少女と、ツノを生やした浅黒い肌の長身の美女。
およそ魔都には似つかわしくないその二人の姿を捉えた瞬間、黒い着物を身に纏う美少女がこちらに視線を向けた気がした。
『視られてる?』
……もとい、気がしたのではない。
寧は確かに視線を向けられたのだ。
視ていたと思ったら視られていた。
寧の背筋を冷たいものが伝う。
『暗幕とった途端に……やるねぇ♪』
美少女は心底楽しげに寧を視やりながら語りかける。
『皆によろしく伝えて、戦闘開始だって』
「っ、組長!!」
「待て寧―――醜鬼か」
怯える寧を制止して周囲を見渡す京香。
……戦闘の熱に当てられてか、はたまた腹を空かせてか、少なくない数の醜鬼が京香達めがけて突進してきたが、その殆どが銀奈の結界の前に消し炭と化して逝った。
銀奈曰く身持ちは固いと言っているが、なるほどそう豪語するだけの鉄壁さは備えているようであった。
「すまない寧、何か異常を見つけたのか?」
「は、はい、二人の女性がいて、そのうちの一人が、戦闘開始と……!!」
「……戦闘開始……?」
「てっ、敵が来ますッ!!!」
「ふーむぅ、これで結界のつもりとは」
……結界の鉄壁さの前に消し炭と化す醜鬼達。
その後ろにて、あまりにも異質な〝鬼〟が佇んでいた。
その〝鬼〟は、おもむろに頭を振り上げ―――
「ハハハハッッ!!」
……頭突きをかました。あろうことか結界に。
銀奈の張った結界に致命的な損傷が与えられた。
ただの頭突き程度でだ。
「滑稽すぎて、この雷煉大爆笑!(笑)」
白と黒が交わる衣服を身に纏い、鬼の面のようなものを被るその怪人は、脆くも崩れ去る結界を背に無数の醜鬼を引き連れ侵攻してきた。
あれこそが、寧の言っていた敵。
「廃れ物ども、貴様らそろそろ亡びの時だ」
魔防隊を食い破るため、魔都に潜む影の一端が牙を剥く。
真の地獄の始まりである。
朱々ファンの皆さん、申し訳ありません。
展開は原作と同じなため、思い切って端折りました。
それはそうと雷煉強襲、いったいどうなる服部達!?
次回もお楽しみに!!