名探偵プリキュア!with特捜戦隊デカレンジャー   作:仮面大佐

7 / 12
第3話 天才と警察登場!その名はジェット先輩と先代デカレンジャー!(前編)

 謎の妖精ポチタンと共に、過去の世界へと行ってしまった麦翔とあんなは、みくるという少女と出会った。

 紆余曲折ありつつも、ニジーという怪盗団ファントムの怪盗によって、ティアラが盗まれたが、あんなとみくるは名探偵プリキュアに変身し、麦翔はデカバイオレットに変身して、ニジーが生み出したハンニンダーを倒し、ティアラを奪還した。

 だが、現れた沖田紅矢によって、麦翔はデカベースへと連行されたのだった…………。

 あんなとみくるは、ある場所に向かっていた。

 

「えっとね…………ここが私の(うち)!」

「へぇ〜…………」

 

 あんなはそう言って、目の前にある看板に指を指す。

 みくるがそう言う中、2人は目の前を見る。

 目の前には、『マコトミライタウン予定地』と書かれた看板以外には何もなく、更地だった。

 

街ごと無いんだけど〜⁉︎

麦翔君と一緒に、未来から来たって本当だったの⁉︎

 

 それを見て、あんなとみくるの2人はそう叫ぶ。

 みくる自身、あんなと麦翔の2人が未来から来たと聞いて、半信半疑だったが、信じざるを得ない状況だった。

 

「探偵事務所の名探偵じゃなかったの⁉︎」

「だから私、嘘つかないって!誕生日パーティーがあるの!帰らないと!麦翔君もどこかに連れて行かれるし!名探偵でしょ!助けて〜!」

「それを言うなら、あなたも名探偵…………!」

 

 みくるがそう聞くと、あんなはそう答えつつ、みくるの体を揺らす。

 みくるは体を揺らされながらも、あることを思いつく。

 

「そうだ!あそこに行けば!」

「うん?」

 

 みくるがそう言うと、あんなはそんな風に反応する。

 


 

 一方、この時代のデカベース。

 その中の取調室の一つに、麦翔の姿はあり、麦翔の手には、手錠がかけられていた。

 麦翔の目の前には、1人の男性と女性の姿があった。

 

「宇宙警察の金田一(きんだいち)緑希(つなき)だ」

「同じく、中西(なかにし)梅衣(めい)よ」

「は、はい…………」

「君には、色々と話を聞かせてもらうよ。あの怪物の事や、何故、中学生の君がデカレンジャーになったのかもね」

 

 男性は金田一緑希と名乗り、女性は中西梅衣と名乗った。

 麦翔は取り調べを受けていた。

 ハンニンダーの事や、デカレンジャーに変身した事を。

 その光景を、紅矢と外にいたもう1人の男性が見ていた。

 

「おい。あいつがデカレンジャーに変身していたのは本当なのか?」

「ああ、玄李。事実、SPライセンスも持っていたからな」

「まあ、不正に作られた物だろうがな。ったく。ドギーさん達が居ない時にこんな事が起こるなんてな」

 

 紅矢の隣にいた男性…………武久(たけひさ)玄李(とうり)はそう聞くと、紅矢はそう答える。

 現在、麦翔のSPライセンスは、解析に回されている。

 2人がそう話す中、麦翔は己の身分を話していた。

 

「……………つまり、君は明智あんなという女の子とポチタンという妖精と共に未来からやってきて、その未来では、ファイヤースクワッドという宇宙警察の組織に所属していると?」

「はい」

「あまり変な嘘を言わないで。SPライセンスをどうやって偽造したのかは知らないけど、それだけで重罪よ」

「それに、未来から来たっていうのも疑わしいからな…………」

「いや、本当なんです!僕自身も、いきなり過去に飛ばされた事に戸惑っているんです!」

 

 緑希がそう聞くと、麦翔は頷く。

 それに対して、緑希と梅衣は疑わしいという表情を浮かべていた。

 麦翔自身も、そう言われる事を分かっていたのか、そう答える。

 事実、麦翔自身もその事実を完全には飲み込めていないのだから。

 そんな中、紅矢と玄李がその光景を見ていると、部屋の中に1人の女性が入ってくる。

 

「おっ。やってるね〜」

「紅葉」

「どうだ?奴のSPライセンスの解析は終わったのか?」

 

 そんな風にお気楽に言いながら入ってきたのは、宝生(ほうじょう)紅葉(もみじ)

 紅矢、玄李、緑希、梅衣、紅葉の5人が、この時代のデカレンジャーなのだ。

 玄李がそう聞くと、紅葉は麦翔のSPライセンスを持ちながら口を開く。

 

「それなんだけどね…………このSPライセンス、偽造された物じゃなくて、本物だったのよ」

「本物だと⁉︎」

「ええ。しかも、この時代の技術力では再現不可能な機能もいくつか搭載されてるし、彼が着ていたデカスーツも、このSPライセンスの中に圧縮する形で収納されてたしね」

「普通、デカスーツはデカベースにコールをして、形状記憶宇宙金属として転送するんだろ?」

「ええ。どうやら、未来から来たって言うのは本当みたいね。ところで、彼はどうやって未来から来たって言ってるの?」

 

 紅葉はそう言う。

 麦翔の持っていたSPライセンスが偽造ではなく、正規の物であり、この時代ではあり得ない技術や機能が搭載されている事が判明したと。

 それを聞いた紅矢と玄李が驚く中、紅葉はそう聞く。

 紅矢は口を開く。

 

「どうやら、明智あんなって子とポチタンっていう妖精と共にこの時代に来たみたいだ」

「今は、あの怪物についての話も聞いている所みたいだな」

 

 紅矢はそう答える。

 玄李が取調室を見ると、ちょうど、ハンニンダーについての話を聞いていた。

 

「それで?あの怪物は一体何なんだ?」

「あの怪物は…………僕もよく分からないんですけど、怪盗団ファントムという組織の怪盗であるニジーって人がマコトジュエルっていう宝石が宿ったティアラが怪物にして、その怪物をハンニンダーって言ってました」

「怪盗団ファントム⁉︎」

 

 緑希がそう聞くと、麦翔はそんな風に答えた。

 ハンニンダーについて、現状の麦翔が分かる範囲の情報を言う。

 それを聞いて、梅衣が驚いていると。

 

「…………入るぞ。それは、有益な情報だな」

「「っ!ボス!」」

「ご苦労」

 

 そんな声と共に、1人のライオン頭の獣人が入ってくる。

 それに気づいた緑希と梅衣は即座に立ち上がって、ポーズをとる。

 

「っ!あなたは…………!」

「初めまして。この地球署の署長代理のギョク・ロウだ」

 

 その獣人を見た麦翔はそんな風に反応する。

 その獣人は、ギョク・ロウと名乗った。

 レオン星人ギョク・ロウ。

 この時代の地球署の署長の代理であるエイリアンだ。

 だが、麦翔は違う意味で驚いていた。

 

『ギョク隊長が…………この時代では地球署の署長なのか⁉︎』

 

 麦翔は内心でそう驚いていた。

 麦翔の知るギョク・ロウは、ファイヤースクワッドの隊長なのだから。

 そんな中、緑希は口を開く。

 

「どうしたんですか?ボス」

「こいつ、SPライセンスを偽造してた可能性が…………」

「その嫌疑は晴れた。彼のSPライセンスは正規の物どころか、この時代ではあり得ない技術が入っていた。未来から来たというのも、事実だろう」

「…………嘘っ⁉︎」

「本当だったのか…………⁉︎」

 

 緑希と梅衣の2人がそう聞くと、ギョクはそんな風に答える。

 麦翔の言っている事は本当なのだと。

 2人が驚く中。

 

「君、この時代には、明智あんなという女の子とポチタンという妖精と共に来たんだな?」

「はい」

「なるほど…………よし。紅矢、お前は麦翔とやらを連れて、キュアット探偵事務所へと向かえ」

「えっ?俺ですか?」

「お前は彼と歳が近いからな。それに…………怪盗団ファントムが動き出した以上、キュアット探偵事務所とも連携を取る必要がある」

 

 ギョクがそう聞くと、麦翔はそう答える。

 それを聞いて、ギョクは紅矢に麦翔と共にキュアット探偵事務所へと向かう事を命じる。

 紅矢がそう聞くと、ギョクはそう答える。

 それを聞いた紅矢は。

 

「ロジャー!ほら、行くぞ」

「ああ…………」

 

 紅矢はそう答えると、麦翔の手錠を外し、一緒に取調室の外に向かう。

 ギョクがそれを見送っていると、玄李は口を開いた。

 

「良いんですか?あんな怪しい奴を連れていって」

「構わないさ。それに…………あいつには少し興味があってな」

 

 玄李がそう聞くと、ギョクはそんな風に答えた。

 一方、紅矢と麦翔はパトカーに乗って、キュアット探偵事務所に向かっていた。

 

「……………悪かったな」

「え?」

「事情を聞く為とはいえ、不快な思いをさせたなら謝るから」

「いえ。むしろ、そうなって当然な感じはしますので。僕自身も、タイムスリップしたなんて、未だに受け止め切れていないので」

 

 紅矢はそんな風に言う。

 不快な思いをさせたのではと感じたのだ。

 それに対して、麦翔はそう答える。

 すると、麦翔は口を開く。

 

「それにしても、どうしてキュアット探偵事務所に向かうんですか?」

「あ〜…………それについては、着いてから話すわ」

「はい…………」

 

 麦翔は、どうしてキュアット探偵事務所に向かうのかを聞いた。

 それに対して、紅矢はそんな風に答える。

 そうして、麦翔達はキュアット探偵事務所に向かっていた。

 


 

 一方その頃、あんなとみくるもキュアット探偵事務所に到着していた。

 

「キュアット探偵事務所?」

「ここに名探偵プリキュアが居ます!」

「えっ〜⁉︎他にも名探偵プリキュア………⁉︎」

「しーっ!プリキュアがいることは秘密だそうです!」

 

 あんなが首を傾げながらそう言うと、みくるはそう言う。

 キュアット探偵事務所に、名探偵プリキュアが居るのだと。

 それを聞いたあんながそう叫ぼうとすると、みくるはあんなの口を抑えて、そんな風に言う。

 すると、あんなが口を開く。

 

「秘密なのによく知ってるね…………」

「うん…………まあ、気にせずに!きっと力になってくれます!」

 

 あんなは、秘密とされている名探偵プリキュアがいる事を知っているみくるにそう聞くと、みくるはそうはぐらかす。

 そして、2人は中に入る。

 

「ごめんくださーい!」

「……いないね」

 

 みくるはそう言いながら中に入るが、反応は無かった。

 2人は廊下を進むと、少し大きめの扉を開く。

 扉の先の部屋は、いかにも探偵事務所と言えるような内装になっていた。

 だが、部屋のあちこちに無造作にダンボールが置かれていた。

 

「なんか……イメージと違う」

「ポチ!」

 

 みくるは、イメージと違った事にそう呟く中、ポチタンは部屋の中を飛び回っていた。

 

「どなたかいませんかー!」

「依頼は断ってる」

 

 あんなはそんな風に呼びかける。

 声が返ってこないと思われたが、そんな少年のような声が返ってきた。

 

「「えっ⁉︎」」

「あ、あの……力を貸してほしいんです!私、タイムスリップしちゃって!」

 

 あんなとみくるは、声が返ってきた事に驚きつつも、あんなはそう説明する。

 その声に対して、その少年の声は冷ややかに響いた。

 

「冗談に付き合ってる暇はない。帰ってくれ」

 

 そんな素っ気ない声が返ってくる。

 それに対して、あんなとみくるは。

 

「冗談じゃなくて本当に!」

「私たち、名探偵プリキュアなんです!」

 

 あんなとみくるはそんな風に叫んだ。

 すると、近くの机から人影が飛び出してくる。

 現れたのは、金髪の少年で、紫色の半ズボンに、青緑色のパーカー、その上から白衣を羽織り、頭にはゴーグルという研究者じみた格好をしていた。

 その少年が、あんなとみくるを見ると。

 

「……お前たちがプリキュア?……ないな」

 

 その少年は、あんなとみくるを見ると、そんな風に言う。

 まるで、2人の話を信じられないと言わんがばかりに。

 それを聞いたあんなは。

 

「本当だよ!私、嘘つかないから!」

 

 あんなはそんな風に言う。

 それに対して、少年は訝しげな表情を崩さなかったが、あんなが首から下げている懐中時計を見ると。

 

「そいつは⁉︎ ……うわあああっ⁉︎」

 

 その少年は、あんなの懐中時計を見ると、そんな風に反応する。

 すると、バランスを崩したのか、机から転落した。

 あんなとみくるの2人が覗き込むと。

 

「いてて…………」

「………妖精⁉︎」

 

 そこに少年の姿はなかった。

 そこに居たのは、猫や虎のような姿の妖精であり、左手にはキャンディが握られていた。

 それを見て、みくるがそう叫ぶと、その妖精は煙を出す。

 煙が晴れると、先ほどの少年の姿に戻っていた。

 その少年がそっぽを向いていると。

 

「ジェット、邪魔するぜ」

 

 そんな声と共に、二つの人影が入ってくる。

 そこに居たのは……………。

 

「あっ!麦翔君!心配したんだよ!」

「心配かけてごめんね…………」

 

 麦翔と紅矢の2人だった。

 あんながそう話しかけると、麦翔は申し訳なさそうにそう言う。

 そんな中。

 

「よっ。来たぜ」

「お前な…………呼び捨てで呼ぶのはやめろって、何度言えば分かるんだ」

 

 紅矢は少年…………ジェットにそう話しかけると、ジェットは呆れた目で紅矢を見ながらそう言う。

 

「あなたは…………宇宙警察の…………」

「おう。さっきぶりだな」

 

 紅矢に気づいたみくるがそう言うと、紅矢はそう答えた。

 


 

 その後、ジェットは電気をつけて、あんなから受け取った懐中時計型ペンダントを調べていた。

 あんな、みくる、麦翔、紅矢は、ジェットから渡された棒付きキャンディを舐めていた。

 

「これで、プリキュアに変身しただと?」

 

 ジェットはそう呟きながら、ルーペでペンダントを調べていた。

 精密機器を取り扱うかのように。

 

「妖精が人間になるなんて…………」

「驚いたな…………」

「まあ、俺も最初は驚いたけどな」

「あなた、プリキュアのお供妖精なの?」

 

 それを見ていたあんなと麦翔がそう呟くと、紅矢はそう言う。

 紅矢も、最初の頃は驚いていたのだ。

 みくるがジェットにそう聞くと。

 

「いいや。僕は天才発明家、『ジェット』だ。探偵道具を発明するのが仕事さ!」

「発明家なんだ…………」

「へえ〜!まだ小さいのに、すごいね!」

 

 ジェットは一度ペンダントを置くと、そんな風に胸を張りながらそう言う。

 ジェットは発明家であるのだ。

 それを聞いた麦翔がそう呟き、あんながそう言うと、ジェットは顔を顰める。

 

「……小さい?お前、何歳だ?」

「私?14歳だよ」

「え⁉︎私ももうすぐ14歳!」

「そうなの⁉︎はなまるびっくり!」

 

 ジェットがそう聞くと、あんなはそう答える。

 それを聞いて、あんながそう答えると、みくるはそう反応する。

 あんなとみくるがそう反応する中。

 

「ふん……なら僕の方が年上だな。僕は222歳だ」

「222歳…………⁉︎」

「………残念だが、あの2人はジェットの話は聞いてないぞ」

 

 ジェットはあんな達の年齢を聞いて、ドヤ顔をすると、そんな風に言う。

 少年のような見た目だが、実年齢は222歳なのだ。

 それを聞いて、麦翔が驚く中、紅矢はあんな達を見ながらそう言う。

 当のあんな達は。

 

「敬語だったから年下かと思っちゃったー!」

「うんうん!そっか〜!」

「同い年なら敬語はなし!あんなでいいよ!」

「じゃあ、私もみくるで!」

 

 あんなとみくるは、お互いの手を当てながらそんな風に話をしていた。

 その様子は、友達のような感じがしていた。

 

「というより、222歳って…………この人、人間じゃないんですか⁉︎」

「まあ、ジェットって妖精だからな」

「妖精…………⁉︎」

「はぁ……これだから子供は……」

 

 麦翔はジェットが222歳である事に驚いており、紅矢にそう聞くと、紅矢はそう言う。

 麦翔が驚く中、ジェットは呆れた様にため息を吐きながらそう言う。

 

「…………というより、紅矢…………さんは何歳なんですか?」

「俺は16だ」

「僕はまだ13です」

「そっか。なら、気軽に呼び捨てで構わねぇよ。さん付けはなんか慣れねぇからな」

「ああ」

 

 麦翔は紅矢の年齢を聞くと、紅矢はそう答える。

 紅矢の方が一つ年上だった。

 ちなみに、麦翔の誕生日は8月だ。

 2人がそう話すと、ジェットは咳払いをしながら口を開く。

 

「で、お前ら……そのペンダントをどこで手に入れた?」

 

 ジェットはそう言って、ペンダントをどうやって手に入れたのかを聞く。

 それに対して、あんなとみくるは。

 

「ずっと前におばあちゃんにもらったの。でも、詳しいことはわからなくて……」

「私はね、自分の机の上に置いてあって、そしたらポチタンが現れたの!」

 

 あんなとみくるはそう答える。

 みくるは祖母から貰い、あんなはいつの間にか置いてあったのだと。

 

「…………繋がりはないか」

「そもそも、時代が違うからね……………」

「ポチタン?」

「……あれ?そういえばポチタンは?」

 

 それを聞いて、紅矢がそう呟く中、麦翔はそう呟く。

 あんなと麦翔は2027年、みくると紅矢は1999年の世界の出身であるため、繋がりは無いのだ。

 ジェットが首を傾げながらそう呟く中、みくる達は周囲を見渡す。

 その辺を浮いていたポチタンの姿がないのだ。

 すると。

 

ピンポン!ピンポン!

 

侵入者!侵入者!

 

「研究室か⁉︎」

 

 そんな音が地下の方から聞こえてくる。

 それを聞いて、ジェットが地下へと向かい、あんな達も着いていく。

 すると。

 

「ああーっ⁉︎僕のおやつ‼︎」

「「すごい量⁉︎」」

 

 部屋の中に入ったジェットは、そんな風に叫んだ。

 何故なら、部屋の中央にはお菓子が山のように積み上がっていた。

 天井の一部が開いており、そこからいくつかの袋菓子が今もぽとぽとと落ちてきている。

 それを見たジェットがそう言う中、あんなとみくるはそう言う。

 

「発明で頭を使うからエネルギーが必要なんだよ!」

「相変わらずだな…………」

「うん?」

 

 ジェットはあんなとみくるの2人に向かってそう叫んだ。

 発明で頭を使うので、エネルギーが必要なのだと。

 紅矢がそう呟く中、麦翔はそう反応する。

 すると、お菓子の山の頂上付近がゴソゴソと動くと。

 

「ポチー!」

「ポチタン!」

「うん?…………時空の妖精⁉︎」

「「「うん?」」」

 

 お菓子の山の中から、ポチタンが現れる。

 それを見て、あんなとみくるが安堵した反応をする中、ジェットはそんな風に叫んだ。

 それを聞いて、あんな、みくる、麦翔が首を傾げていると。

 

「知ってるのか?」

「ああ…………。時間と空間をワープする………とっても珍しい妖精だ。…………そうか。タイムスリップの原因はお前か」

「時間と空間…………確かに、タイムスリップしてもおかしくないね」

 

 ジェットの反応を見て、紅矢がそう聞くと、ジェットはそう説明する。

 ポチタンこそが、タイムスリップの原因であると。

 麦翔がそう呟くと。

 

「この妖精を使えば、元の時代に帰れるかも!」

「「えっ⁉︎」」

「っ!」

「やったー!」

「よかった〜…………!」

 

 ジェットはそう言う。

 それを聞いたあんなとみくるがそう言う中、紅矢が口を開く。

 

「本当に出来るのか?」

「出来るはずだけど…………その前に、そもそも赤ちゃんじゃなかっただろ?」

「うん。ポチタン、普通に喋ってた」

「それは僕も見た」

「タイムスリップで力を使い切ったんだ。元の姿に戻らないと、タイムスリップはできないだろう」

「そんな…………」

「どうすれば…………」

「やっぱりか…………」

「何か手は無いのか?」

 

 紅矢がそう聞くと、ジェットはあんな達にそう聞く。

 あんなと麦翔がそう答えると、ジェットは現実的にそう言う。

 2027年から1999年にタイムスリップした時点で力を使い切り、赤ちゃんの状態に戻ってしまったのだと。

 あんなとみくると麦翔がそう言う中、紅矢がそう聞くと。

 

「……………可能性があるとしたら、マコトジュエルなら…………」

「「「っ!」」」

「何だそれ?」

「真実の力が秘められた宝石だ。それがあれば…………」

 

 ジェットがそう言うと、あんな、みくる、麦翔は顔を見合わせる。

 マコトジュエルの事を知らない紅矢がそう聞くと、ジェットはそう言う。

 

「タイムスリップ出来るほどの力が戻るのか?」

「恐らくは。ただ………見つけるのは難しい」

「これのこと?」

 

 紅矢は、マコトジュエルを手に入れれば、タイムスリップ出来るだけの力が戻るのかと聞くと、ジェットはそう答える。

 すると、あんなはそう言いながら、ティアラに宿っていたマコトジュエルを見せる。

 それを見たジェットは。

 

持ってるのぉぉぉぉ⁉︎これで元に戻る!」

「「やった〜!」」

「そんな都合よく持ってるのかよ…………⁉︎」

「まあ、ハンニンダーの元になったティアラに宿ってたからね……………」

「うん?…………その話、あとで聞かせろ」

「うん…………」

 

 ジェットは、見つけるのが難しい筈のマコトジュエルをあんな達が持っている事に驚くも、すぐに切り替えてそう叫ぶ。

 あんなとみくるが喜ぶ中、紅矢が驚いていると、麦翔はそう呟く。

 それを聞いた紅矢が、ハンニンダーについての情報を教えてもらおうと考えていた。

 

「ポチタン!」

「ポチ?」

 

 あんながそう言って、マコトジュエルを掲げる。

 すると、ポチタンの胸元にあるブローチの宝石が反応するように光り出した。

 

「「「「「あっ…………!」」」」」

「……ビッときた!」

 

 それを見て、その場にいる全員はそう反応する。 

 すると、マコトジュエルがふわりと宙に浮かび、あんなの手から離れていく。

 マコトジュエルはそのまま吸い寄せられるようにポチタンの宝石へと嵌まり、溶け込んでいくように消えていく。

 

「消えた⁉︎」

「マコトジュエルって奴を取り込んだのか………⁉︎」

「何が起こるんだ…………⁉︎」

 

 それを見た男性陣はそんな風に反応する。

 すると。

 

「ポポポポ…………!」

「元に戻るの⁉︎」

 

 ポチタンはそう呟きながら、全身に力を込める。

 みくるがそう言う中、全員が固唾を飲んでポチタンを見守っていると。

 

「ムムムムム……ポチーー‼︎」

 

 ポチタンがそう叫ぶと、ポチタンの頭上から光が出る。

 すると、光が消えると、ポチタンから何かが出てくる。

 

「「「「「……………え?」」」」」

 

 ポチタンから出てきた何かを見て、その場にいる全員が唖然となる。

 元の姿に戻るのではなく、物が出てきたのだから。

 ポチタンから出てきた物は、あんなの手へと収まる。

 


 

 その後、あんな達はロビーへと戻った。

 ポチタンから出てきたのは、何の変哲もない哺乳瓶だった。

 あんながポチタンにミルクを飲ませている中。

 

戻ってなあああああい‼︎

「………もっとマコトジュエルが必要なのか」

「………まあ、普通に考えればそうだよな。時空を超えるなんて、それ相応の力が必要だ。マコトジュエルを一個だけ取り込んだとしても、力はそう簡単には戻らないよな」

「そう簡単にはいかないか…………」

 

 みくるがそう叫ぶ中、男性陣は冷静にそう話す。

 もう一度タイムスリップするには、マコトジュエルがもっと必要なのだと。

 そんな風に話す中、ポチタンにミルクを飲ませ終えたあんなが口を開く。

 

「じゃあ、探そう!」

「ええ!きっと見つかる!プリキュアの先輩の力を借りればね!」

「ああ」

 

 あんながそう言うと、みくるはそんな風に言い、麦翔は頷く。

 すると。

 

「……………ジェット。こいつらにあの事を話しておくべきじゃないか?」

「分かってる。…………この世界にはもう、名探偵プリキュアはいないぞ」

「「……え?」」

「どういう意味ですか?」

 

 それを聞いた紅矢は、ジェットにそう話しかける。

 それに対して、ジェットはそう答えると、あんな達に対して、そんな風に言う。

 麦翔が訝しげな表情を浮かべならそう話しかけると。

 

「数ヶ月前まではここにいたらしいけど、突然姿を消したんだ」

「どうして?」

「理由は不明。アリエナイザーが絡んでいる可能性も鑑みて、キュアット探偵事務所は、宇宙警察に捜索依頼をしてるんだ」

 

 ジェットはそう話す。

 このキュアット探偵事務所に居た名探偵プリキュアは、数ヶ月前までは居たが、突如として失踪した。

 アリエナイザーが絡んでいる可能性もあり、キュアット探偵事務所は宇宙警察に捜索の依頼をしていたのだ。

 すると、みくるは口を開く。

 

「あの…………アリエナイザーって何ですか?」

「あっ…………そっか。君は知らないのか。あんなだったよな?」

「はい」

「君は、アリエナイザーについては知ってるか?」

「麦翔君から大まかには…………」

 

 みくるは、アリエナイザーという聞きなれない単語を聞いたからか、そう言う。

 紅矢はあんなにそう聞くと、あんなはそう答える。

 麦翔から、大まかには話を聞いていたのだと。

 

「…………なら、説明するぜ。アリエナイザーっていうのは…………簡単に言えば、犯罪を犯した宇宙人の事だ」

「宇宙人…………⁉︎」

「ああ。惑星間で犯罪を犯している奴らが居るんだよ。それで、俺たちデカレンジャーは、そんなアリエナイザーを取り締まってるんだ」

 

 紅矢はそう説明する。

 アリエナイザー。

 それは、惑星間において、犯罪に手を染めた宇宙人を指す言葉である。

 デカレンジャーの使命は、アリエナイザーから人々の平和と安全を守る事だ。

 みくるがそう反応する中。

 

「…………それで、捜査はしてるんだが…………その名探偵プリキュアの動向は依然として不明。何しろ、その名探偵プリキュアが居たという痕跡すら見つかってないから、難航してるんだよ」

「…………いずれにせよ、この事務所を閉めるために、僕はロンドンのキュアット探偵事務所から来たんだ」

「事件性も不明ですか」

「そうなるな」

「事務所がなくなるの?」

「まあな」

 

 紅矢はそう言う。

 捜索依頼を出されていた名探偵プリキュアの捜査に関しては、名探偵プリキュアの痕跡が見つかっていないのもあって、難航しているのだと。

 そして、ジェットはまことみらい市のキュアット探偵事務所を閉じる為に、ロンドンからやって来たと語る。

 それを聞いたあんなと麦翔がそう聞くと、紅矢とジェットは端的にそう答える。

 すると。

 

『段ボールが大量にあったのは、ここを閉める為だったのか…………』

「ここでプリキュアの先輩と一緒に調査するのが夢だったのに……」

 

 麦翔が周囲に置いてある段ボールを見つめながらそう思う中、みくるはそう呟く。

 みくるとしては、プリキュアの先輩と一緒に調査をするのが夢だったが、当のプリキュア本人は失踪していた。

 現実を知り、悲しげな表情を浮かべていた。

 ジェットが腕を組んで、黙り込みながらみけるを見つめていると。

 

「……いるよ」

「あんなちゃん?」

「私たちがいる!やろうよ、ここで名探偵!ね、みくる!」

「ええ……!……でも、あんな。麦翔さんと自分の時代に……」

 

 あんなはそう呟く。

 確かに、前まで居た名探偵プリキュアは居ないが、今は自分たちが名探偵プリキュアなのだと。

 だからこそ、自分たちがキュアット探偵事務所を引き継ぐのだと。

 あんながみくるにそう言う中、みくるは一瞬、表情が明るくなるが、すぐに表情を暗くしながらそう言う。

 すると。

 

「勝手に決めるなよ」

「うん?」

「ジェットさん?」

「僕はお前たちがプリキュアだって認めてない。僕はこの目で見たものしか信じないからな!」

 

 ジェットは鋭い声でそう言う。

 ジェットはまだ、あんなとみくるが名探偵プリキュアだと認めていないのだ。

 研究者として、この目で見たものしか信じない姿勢だった。

 それを聞いたみくるは頬を膨らませると。

 

「むぅ〜!だったら、プリキュアだって証拠を見せ…………!」

 

ボーン……ボーン……ボーン……

 

 みくるは頬を膨らませながらそう言う。

 すると、廊下に置かれていた柱時計が、重く低い音で時を告げる。

 時計の時刻は午後5時になっていた。

 

「……と思ったけど、帰る!学校の寮、門限だから!」

「「「「え?」」」」

「証拠は明日見せてあげるから!」

「みくる…………!」

 

 みくるはそう言って、頬を膨らませたまま、部屋を出ていく。

 みくるは寮生活を行なっており、門限が決まっているのだ。

 あんなが呼び止めようとする中、みくるは戻ってくると。

 

「…………あっ!あんなたち泊めてあげて!」

「…………はぁ?」

 

 みくるは、ジェットにあんな達を泊めてあげる様に頼み込み、そのまま帰宅していく。

 それを聞いて、ジェットも困惑したのか、そんな声を出した。

 すると。

 

「…………ロジャー。ジェット。悪いけど、麦翔の事も頼むわ」

「は?いや、麦翔の事は、デカベースの方で預かれよ!」

「こっちとしても、麦翔の事で話し合わなきゃいけないからな。頼んだぞ。麦翔、悪いけど、お前のSPライセンスには俺の連絡先を送信されてる筈だから、色々と教えてくれ」

「ああ…………」

 

 紅矢はSPライセンスを持ちながら誰かと話をしていると、ジェットにそう話しかける。

 ジェットがそう言う中、紅矢はそう答えて、麦翔にそう言いつつ、部屋を出ていく。

 ジェットは唖然となっていた。

 


 

 その後、夕食などを軽く済ませて、あんな達は寝ていた。

 そんな中、麦翔はジェットがあんなの持っているペンダントを調べているのを見ていた。

 

「…………そのペンダントについて、何か分かりましたか?」

「…………いや。それに…………いくら時空の妖精でも、28年もの長い時間を越えるなんて………。ペンダントの力でこの時代に来たのか……?」

 

 麦翔がそう聞くと、ジェットはそう答える。

 いくら、ポチタンが時空の妖精だからといって、28年もの長い時間を越えるのはあり得ないと判断していた。

 

「そんな事があり得るんですか?」

「確証はない。…………まあ、元の姿に戻せば、全部分かるか」

 

 麦翔がそう聞くと、ジェットはそう答える。

 そして、妖精の姿に戻り、部屋から出ようとする。

 すると。

 

「……みくる……やったね……」

「ふわぁ〜…………夢の中でもあいつの心配かよ……」

 

 あんなはそんな寝言を言う。

 ジェットは欠伸をしながら、そんな風に呟いた。

 ジェットが扉に触れると。

 

「……お母さん……」

「あんなちゃん…………」

 

 あんなは今度はそんな風に呟いた。

 それを聞いて、麦翔はそう呟く。

 あんなはまだ14歳だ。

 元の時代に戻りたいと願っているのは分かった。

 

「……帰りたいくせに……ったく……。お前も早く寝ろよ」

「ああ」

 

 それを聞いたジェットはそう呟くと、麦翔にも寝るように促して、部屋を出ていく。

 麦翔がそう答える中、麦翔はあんなを見つめていた。

 

『…………必ず、元の時代に戻る。あんなちゃんと一緒に』

 

 麦翔はそんな決意を固めていた。

 そうして、麦翔も就寝する為に、向かいのソファの方へと向かい、布団をかける。

 


 

 一方、デカベースの会議室。

 そこでは、紅矢達が集まっており、情報共有を行なっていた。

 

「……………というのが、麦翔とあんなが元の時代に戻るための条件だ」

 

 紅矢はそんな風に言う。

 中央の画面には、ハンニンダーやマコトジュエル、怪盗団ファントムの事などの情報が映し出されていた。

 麦翔から教えてもらったのだ。

 

「そうか」

「それにしても…………怪盗団ファントムって、何者なんだろうな」

「分かっている事と言えば、怪盗団ファントムが狙うのは、マコトジュエルが宿っている物。そして、マコトジュエルの力を悪用して、ハンニンダーという怪物を生み出すという事くらいだな」

「そして、マコトジュエルは、そのポチタンという時空の妖精の力になるって事ね」

「分からない事だらけね…………」

 

 ギョクがそう呟く中、緑希、玄李、梅衣、紅葉はそう話す。

 今のところ、怪盗団ファントムが何故、マコトジュエルを狙うのか、その正体は何なのかは謎に包まれているのだ。

 すると。

 

「…………よし。紅矢は麦翔とやらと行動を共にしてくれ。他の者達は、パトロールを続けてくれ。一部のエイリアンの中で、不審な行動が見られているからな」

「「「「ロジャー!」」」」

「えっ?俺がですか?」

 

 ギョクは、紅矢は麦翔と行動を共にする事を命じて、残りの4名はパトロールの続行を命じた。

 4人がそう答える中、紅矢がそう聞くと。

 

「恐らくだが、彼らと行動を共にすれば、怪盗団ファントムの思惑も分かる筈だ。それと、彼の処遇についてだが……………」

「ん?」

 

 ギョクはそう答える。

 あんな達と行動を共にしていれば、怪盗団ファントムの思惑が分かるかもしれないと思ったからだ。

 そして、ギョクは麦翔の処遇についてを、紅矢に伝えた。

 

「頼めるか?それに…………君も彼の事は気になっているのだろう?」

「っ!ロジャー!」

 

 ギョクはそう聞くと、紅矢はそう答える。

 果たして、麦翔の処遇とは…………。

 


 

 その翌日、みくると紅矢はキュアット探偵事務所に向かっていた。

 

「あ、紅矢さん!」

「みくるだったな。お前も用事があるのか?」

「ええ!今日こそ、ジェット先輩にプリキュアだって証明して見せるんだから!」

 

 キュアット探偵事務所の目の前で、紅矢とみくるは出会い、そんな風に話をする。

 そして、二人が中に入ると。

 

「おはよう!プリキュアだって証拠を…………!」

「なんだって、そんな道場破りみたいな………」

「ポチ〜!」

「うわぁぁぁぁぁ⁉︎みくる〜!」

 

 みくるはそんな風に叫ぶ中、紅矢はそう突っ込む。

 すると、そんな叫び声と共に、あんなとポチタンが出ていく。

 あんなは、ポチタンに引っ張られていた。

 

「何だ⁉︎」

「昨日と同じだ!」

「昨日?」

「昨日も、ポチタンが急にあんなを引っ張って結婚式場へと行ったんだ!」

 

 それを見て、ジェットが驚く中、みくるはそう言う。

 紅矢がそう聞くと、麦翔はそう説明する。

 そうして、麦翔達はあんなとポチタンを追いかける。

 

「待ってーーーっ!」

「どこに行くんだ…………⁉︎」

 

 あんながポチタンに連れられて爆走する中、その後ろには麦翔達の姿があった。

 しばらくすると。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 ポチタンはある店の前で立ち止まった。

 あんなが息切れをする中、麦翔達も追いついた。

 

「やっと止まった…………。ここって…………」

「ケーキ屋さん?」

「近所じゃ有名なパティスリーだな」

 

 麦翔が息を整えながらそう言うと、みくるはそう言う。

 止まったのは、『パティスリーチュチュ』という洋菓子店だった。

 紅矢がそう呟く中、あんなの視界にある光景が映る。

 それは、エプロン姿の男性と、一人の少女が何かを探しているのか、落ち着きなく周囲を見回している光景だった。

 すると。

 

「たちゅけて……」

「えっ?」

「あの人達のことか…………」

「「うん!」」

「ああ」

 

 ポチタンはそう呟いた。

 それを見て、あんな達が反応する中、紅矢はそう呟いた。

 あんなとみくると麦翔は頷くと、少女に話しかける。

 

「どうしたんですか?」

「何かあったんですか?」

「ペンがないの。店長さんにも探してもらってるけど………」

「エリザちゃん、作家なんだ。この前推理小説の賞を取ってね」

 

 あんなと麦翔がそう聞くと、その少女はそんな風に答える。

 すると、店長はそんな風に言う。

 それを聞いた紅矢は。

 

「もしかして…………来栖(くるす)エリザさんか?」

「知ってるのか?」

「ああ。俺の仲間の一人が、そういう推理小説が好きでな。話を聞いてたんだ」

 

 紅矢はエリザという名前を聞いて、そう問いかける。

 麦翔がそう聞くと、紅矢はそう答えた。

 金田一緑希は推理小説を好んでおり、紅矢は緑希から話を聞いていたのだ。

 

「コンクールの時にもらった大切なペンなのに…………」

「探すの手伝います!」

「なくなった時のこと、詳しく教えてください!」

「何か分かるかもしれませんから」

「ほう…………」

 

 エリザはそんな風に呟いた。

 エリザにとって、大切なペンが消えた事で落ち込んでいた。

 それを聞いたあんな達はそう言う。

 それを聞いて、紅矢は腕を組みながらその様子を見守っていた。

 すると、エリザは口を開く。

 

「ついさっき…………おばあさんが話しかけてきて。気づいたらいなくなって…………ペンもなくなってたの」

 

 エリザはそう語る。

 言葉自体は短いが、重要な要素が揃っていた。

 

『…………だとすると、犯人はそのお婆さんの可能性が高いけど…………何の為に?お婆さんに気を取られている隙に、別の人物によって盗まれた可能性はあるけど…………』

 

 麦翔はそんな風に考え込んでいた。

 お婆さんが犯人なのか、お婆さんに気を取られた隙に、別の人によって盗まれたのかを考えていた。

 すると。

 

「ポチタンが来たってことは…………また事件かも?」

「おばあさんが犯人の可能性も?」

「え⁉︎おばあさんが⁉︎」

 

 あんなとみくるは小声でそんな風に話す。

 だが、二人にとっては小声でも、エリザにはバッチリ聞こえていた。

 

「「聞こえてた⁉︎」」

「それはもうはっきりと…………」

「素人が…………」

「何やってんだよ…………」

 

 それを見て、あんなとみくるがそう驚く中、麦翔はそう呟き、ジェットと紅矢は呆れた様にそう呟く。

 すると。

 

「お、お巡りさん…………!」

「い、いや、まだ可能性というだけで…………!」

 

 それを聞いて、不安に駆られたのか、エリザは携帯を取り出して、110番をする。

 あんながそう言う中、エリザは訝しげな表情を浮かべる。

 

「ん?繋がらない⁉︎」

 

 エリザはそんな風に言う。

 何と、電話が繋がらなかったのだ。

 すると、店の奥からエプロンを身につけた青髪の女の子が出てきて、口を開く。

 

「通信障害みたいです……」

帆羽(ほわ)さん、どういうこと?」

「電波が繋がらなくて、携帯電話が使えないって……今、ニュースで……」

「ええっ⁉︎」

「じゃあ、店の固定電話で…………」

 

 帆羽と呼ばれた女の子がそう言うと、店長はそう聞く。

 その女の子は、通信障害が起こっているニュースがある事を伝えた。

 それを聞いたエリザが驚く中、紅矢はSPライセンスを取り出して、連絡をする。

 

「ボス。通信障害が起こってるみたいだが………」

『確認している。基地局の方から、エイリアンが侵入したという通報が入った。玄李達を向かわせたが、紅矢はどうする?』

「基地局の方は、玄李達に頼みます。こちらも、事件が起きた可能性があるので」

『分かった。そっちの方は頼んだぞ』

「ロジャー」

 

 紅矢が通信障害が起こった事を聞くと、ギョクはそう答える。

 基地局の方に、エイリアンが侵入した様であり、玄李達が向かっていると。

 紅矢はそう言うと、ギョクはそう答える。

 すると。

 

「それより、私がお婆さんを探してきます!」

「僕も手伝うよ。少し気になるしね」

「待て。僕が発明したプリキットだ」

 

 あんながそう言うと、麦翔もそう言う。

 そのお婆さんを見つけると。

 すると、ジェットはそう言って、ある物をあんなに渡す。

 それは、ジェットの妖精態の形をしたアイテムだった。

 

「プリキット?」

「これは?」

「探偵道具だよ。この…………プリキットボイスメモを使えば連絡できる」

「ありがとう!ジェットさん!」

「こっちは任せろ。お前達はそのお婆さんを追え」

「ああ」

 

 あんなと麦翔がそう聞くと、ジェットはそう答える。

 プリキットボイスメモを使えば、通信障害が起こっていても、連絡が出来るのだと。

 紅矢は麦翔にそう言うと、麦翔はあんなと共に動き出す。

 そんな中、紅矢は口を開いた。

 

「警察ならここにいるぜ」

「え?」

「俺は、宇宙警察の沖田紅矢ってもんだ」

「ええっ⁉︎…………って、紅矢君!どうしてここに?」

「知り合いなんですか?」

「まあな。俺の仲間の女性陣がここのケーキを度々買ってくるからな。とにかく、ペンが無くなった時の事を詳しく教えてもらえないか?」

「あ………はい」

 

 紅矢はそう言うと、SPライセンスを取り出して、それを見せる。

 店長が驚くと、すぐに紅矢だと気づいた。

 みくるがそう聞くと、紅矢はそう答えた。

 女性陣がパティスリーチュチュのケーキを度々買ってくるので、知っていたのだ。

 紅矢はそんな感じに聞く。

 

「まだ遠くには…………!」

「急ごう」

 

 あんなと麦翔はそう言いながら走っていく。

 すると、プリキットボイスメモから音が聞こえてくる。

 再生ボタンを押すと。

 

『………もしもし、聞こえる?』

「みくる!」

『ペンが無くなった時の事を紅矢さんと一緒に詳しく教えてもらうから』

「頼む!」

 

 連絡を入れたのは、みくるだった。

 あんながそう言う中、みくるはそう言い、麦翔もそう答えた。

 すると、エリザは口を開いた。

 

「ここで原稿を書いていたら、おばあさんが来たの。『あなたのファンです。握手してください』って」

「それで、握手をしたのか?」

「うん!そんなこと初めて言われたから、とっても嬉しくって!」

 

 エリザはそんな風に言う。

 原稿を書いていたら、お婆さんがやってきて、握手を求められたのだと。

 紅矢がそう聞くと、エリザは笑顔を浮かべながらそう答える。

 その話は、あんなと麦翔の二人も聞いていた。

 すると、エリザの笑顔が曇った。

 

「でも……サインしようとしたらペンがなくて………おばあさんもいなくて…………」

「そのおばあさんの特徴は?」

「具体的に教えてもらえるか?」

「緑の着物を着てて、髪型はおだんごで……」

 

 エリザはそう答える。

 サインをしようとしたら、ペンが消えていて、お婆さんも姿を消したと。

 みくると紅矢がそう聞くと、エリザはそう答える。

 その話は、あんなと麦翔にも共有されており、あんなと麦翔は周囲を見渡す。 

 すると。

 

「あっ…………!あの人じゃない⁉︎」

「緑の着物にお団子…………あの人かもしれないな」

「すみませーん!」

「うん?」

 

 二人の視界に、緑の着物に髪型がお団子のお婆さんが目に入る。

 それに気づいたあんなと麦翔は、そのお婆さんに話しかけようとする。

 そんな中、みくると紅矢は周りを見渡していた。

 

『こんな見通しのいい場所で、少し視界を外れただけで姿を消すなんて…………人間技じゃねぇな。アリエナイザーの可能性も出てきたな…………。もしくは…………』

「こんなに見通しのいい場所で居なくなるなんて…………はっ!」

 

 紅矢はそう考えていた。

 少し視界から外れただけで、あっという間に姿を眩ませたと聞いて、人間技ではないと感じて、アリエナイザーの可能性も考慮していた。

 すると、みくるはある可能性に辿り着いた。

 

「あんな!麦翔さん!その人は…………!」

「え?」

 

 みくるはすぐに、あんなと麦翔にそう言う。

 二人がプリキットボイスメモに気を取られると。

 

「バイバイ。ベイビー!」

「ベイビー?…………って、まさか!」

 

 そのお婆さんはそう言うと、足早に去っていく。

 しかも、お婆さんとは思えない速さで。

 すると。

 

『そのおばあさんは怪盗団ファントムだよ!』

「いーっ⁉︎」

「追いかけよう!」

『俺たちも追いかける!お前らはそのお婆さんを逃すなよ!』

 

 みくるはそんな風に言う。

 そのお婆さんこそが、怪盗団ファントムであるのだと。

 あんなが驚く中、麦翔はそう叫んで、追いかけていく。

 みくる、ジェット、紅矢もパティスリーチュチュから走り出していく。

 

「怪盗団ファントムだと⁉︎」

「なるほどな…………!」

「ファントムを知ってるの⁉︎」

「…………まあな!」

「宇宙警察の方でもマークしてたんだ!アリエナイザーと一緒にな!」

 

 怪盗団ファントムの名前を聞いたジェットと紅矢はそう言う。

 怪盗団ファントムの事を知っているのかと、みくるが聞くと、ジェットと紅矢はそう答える。

 すると、紅矢はSPライセンスでギョクに連絡をする。

 

「ボス!こっちで、怪盗団ファントムが現れた。現在、追跡中!」

『何だと⁉︎分かった!玄李達にもすぐに応援に向かう様に言っておく。逃すな!』

「ロジャー!」

 

 紅矢がそう伝えると、ギョクは玄李達にもすぐに応援を向かわせる様に伝える。

 そんな中、みくるはプリキットボイスメモに話しかける。

 

『あんな、麦翔さん!今どこ⁉︎』

「お婆さんが公園に入って行った!『…………でも、何でわざわざ公園に………⁉︎』」

「待って〜!」

 

 みくるがそう話しかけると、麦翔はそう答える。

 実際、そのお婆さんは公園に爆速で入って行った。

 あんなと麦翔が公園の中に入ると、お婆さんの姿はなかった。

 

「居ない………!」

「消えた………⁉︎」

 

 二人が公園を見渡しながらそう言うと。

 

「あんな!」

「麦翔!」

「みくる!紅矢さん!お婆さん見なかった?」

「見てないよ!」

「こっちも見てない!」

「何…………⁉︎」

 

 そこに、もう一つの入り口からみくる、ジェット、紅矢の3人が入ってくる。

 あんながそう聞くと、二人はそう答える。

 それを聞いて、麦翔が困惑していると。

 

「僕らはあっちから来た!」

「私達はこっち!」

「出入り口は二つだけなのに…………お婆さんに会ってない!」

「構造的に挟み撃ちがしやすいんだが…………」

「あり得るのは…………柵を越えたか、茂みに隠れているか…………あるいは、別の人に変装したか」

「「「っ!」」」

「だろうな。茂みに隠れるには低すぎるしな」

 

 ジェットとあんながそう言うと、みくると紅矢はそう言う。

 出入り口は二つだけで、その二つからあんなと麦翔、みくるとジェットと紅矢が入ってきたなら、どちらか片方と遭遇している可能性が高い筈なのだ。

 麦翔はそんな風に呟いた。

 それを聞いて、あんな達はそう反応し、紅矢も肯定する。

 周囲を見渡すと、公園の中には複数の人がいた。

 まず、ベンチに座っている眠そうな表情の会社員である山田(やまだ)太造(たいぞう)

 別のベンチでイチャイチャしているカップルの秋田(あきた)(みのる)夏川(なつかわ)涼美(すずみ)

 街灯に寄りかかり、電話をしている女子高生の谷本(たにもと)晴恵(はるえ)

 この四人の中に、怪盗団ファントムがいる。

 

「あ!なんか変わったスマホ!」

「スマホ?携帯電話ね」

「…………あ!」

「なるほどな」

「どうやら、見えたみたいだね」

 

 あんなは晴恵が持っていた携帯電話を見て、そんな風に反応する。

 みくるは首を傾げつつそう言う。

 すると、会社員の太造が携帯電話を取り出して通話をしようとするが、訝しげな表情を浮かべる。

 それを見て、あんなとみくるは何かに気づいて、麦翔と紅矢はそう呟く。

 

「「見えた……!これが……答えだ!」」

 

 あんなとみくるはそう言う。

 果たして、怪盗団ファントムが変装しているのは、誰なのか。




今回はここまでです。
今回は、第二話の前半部分です。
先代デカレンジャーが登場しました。
ちなみに、先代デカレンジャーの面々は、参考にしているキャラが居ます。
そして、怪盗団ファントムによる事件が再び起きる。
たんプリの第二話で描かれた通信障害は、エイリアンが引き起こした設定になります。
そして、ニジーが変装したのは誰なのか。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
この第二話の後は、デカレンジャーがメインになる話をやる予定です。
たんプリの最新話では、すれ違いによって生まれた不和が解決して、フライングスペクトルという新たな技を獲得した。
だが、ファントム側にあんなが未来人だとバレてしまう。
今後、どのようになっていくのか、楽しみです。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告から承っております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。