転生博麗   作:ライダー☆

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第十三話 意外な決着

フランドールは、俺を見ていた。

光弾が、再び出現し始めていた。 

フランドールが「もっと戦いましょう」と言い、その言葉通りに力が戻ってきていた。だが、さっきまでとは何かが違った。密度は高い。だが、一発一発の動きが、わずかに変わっていた。

 

俺はそれを感じながら、構えた。

魔理沙と咲夜が、左右に散った。

フランドールは浮いていた。両手を広げていた。だが、その目は俺を見ていた。「痛み」を知った後の目で。

 

「やっぱり、楽しい」

 

呟いた。だが、その声の奥に、楽しさだけではないものが燃えていた。

 

「こんなに話せたのは、初めてだった。でも」

 

光弾の密度が上がった。

 

「まだ、足りない。四百九十五年分は、これじゃ足りない」

 

フランドールの感情が、そのまま力に変わっていた。

 

俺は動いた。

霊力を全身に巡らせ、光弾の隙間を縫う。御札を投げた。三枚、続けて。爆発が連鎖した。視界が一瞬開けた。その隙間を抜ける。

 

「魔理沙、咲夜」

「わかってる」

「はい」

 

三人は、同時に動いた。

魔理沙が空中から弾幕を展開した。フランドールの視線を分散させるために。咲夜が時間を止め、ナイフをフランドールの死角から投げた。

フランドールは右手を握った。魔理沙の弾幕が消えた。ナイフも消えた。

俺は正面から踏み込んだ。拳を振るった。フランドールが身体を捻ってかわした。至近距離で光弾が放たれた。霊力で防いだ。爆発の衝撃で、二人とも弾き飛ばされた。

着地して、すぐに立て直した。

魔理沙がレーザーを放った。フランドールが左手を軽く握った。レーザーが消えた。

咲夜が時間を止めて近づき、直接刃で切りつけた。フランドールの腕に、血が滲んだ。

フランドールの目が、咲夜を捉えた。手を握った。咲夜が時間を止めて移動した。爆発が、咲夜がいた場所を抉った。

三人は、攻撃を続けた。

俺は御札を投げ、踏み込み、霊力を放った。魔理沙は弾幕を展開し、側面からレーザーを撃った。咲夜は時間を止めてはナイフを投げ、また止めては切りつけた。

フランドールの動きが、少しずつ鈍くなった。傷が増えた。吸血鬼の回復力があるはずだが、三人の攻撃がそれを上回っていた。

フランドールが、一歩後退した。

 

「なんで」

 

息を切らしながら、呟いた。

 

「私の方が、強いはずなのに」

「強い」

 

俺は言った。

 

「だが、一人だ。俺たちは三人で動いている」

「一人じゃ、どれだけ強くても限界がある。」

 

魔理沙が言った。

 

「どれだけ強くても、一人では届かないことがあります」

 

咲夜が言った。

フランドールの目が、揺れた。

四百九十五年間、一人だった。連携も、協力も、知らない。

 

「……そう」

 

フランドールが呟いた。

それから、叫んだ。

 

「私は、自由になりたかっただけ。」

 

声が、庭に響いた。

 

「四百九十五年間、閉じ込められていた。誰も会いに来なかった。外に出たかっただけだ。空を飛びたかった。風を感じたかった。それだけだった」

 

涙が、流れていた。

 

「力が強いことが、罪なの?生まれた時からそうだっただけで、なんで閉じ込められなきゃいけないの。私のせいじゃない。選べなかった。それが、そんなに許されないことなの」

 

フランドールの叫びが、止まった。

静寂があった。

誰も、何も言えなかった。

フランドールは正しかった。完全に正しかった。

 

「なら、幻想郷を破壊する」

 

フランドールが言った。静かに、だが確かに。

 

「私を閉じ込めたこの世界を、すべて壊す」

 

光弾が、これまでとは比較にならない数で出現した。空が、紅く染まった。太陽の光が遮られた。

これは、まずい。

 

「魔理沙、咲夜、散開しろ!」

 

光弾が一斉に放たれた。無差別に、幻想郷全体へ向かって。地面が抉れた。館の壁が崩れた。木が折れ、燃えた。

俺は御札を展開した。光弾を相殺するために。幻想郷への飛散を、少しでも防ぐために。魔理沙が弾幕を放った。咲夜が時間を止めて、ナイフを投げ続けた。

だが、数が多すぎた。

魔理沙の背後に、光弾が迫った。死角から。

 

「魔理沙」

 

咲夜が叫んだ。

時間を止めて、魔理沙の前に出た。光弾が咲夜に当たった。爆発が起きた。

 

「咲夜!」

 

煙が晴れた。咲夜が地面に倒れていた。血を流していた。

 

「魔理沙、大丈夫ですか」

 

かすれた声で呟いた。

 

「なんで…」

 

魔理沙が駆け寄った。咲夜を抱き起こした。

 

「あなたの方が、力があります。すみません、もう戦えません」

 

目を閉じた。意識が途絶えた。

 

「咲夜!」

 

魔理沙が叫んだ。

俺は拳を握った。咲夜が倒れた。魔理沙を守って。

残るのは、俺と魔理沙だけだ。

 

「行くぞ、魔理沙」

「ああ」

 

その時、赤い影が動いた。

レミリアだった。

満身創痍のまま、フランドールに突撃した。

 

「フラン」

 

拳が、フランドールの背中に叩き込まれた。

 

「お姉様?」

 

フランドールが地面に転がった。信じられない顔で、レミリアを見上げた。

レミリアは立っていた。血が止まっていなかった。服は破れていた。それでも、目に意志があった。

 

「やめろ。これ以上、暴れるな」

「なんで。お姉様は私を閉じ込めた。私の人生を奪った。なのに、なんで止めるの」

「私が、間違っていたからだ」

 

レミリアは言った。

 

「お前を閉じ込めた。四百九十五年間。それは間違いだった。取り返しのつかない過ちだった」

 

一歩、前に出た。

 

「フラン。破壊は何も生まない。お前が求めているのは自由だろう。生きることだろう。なら、生きろ。これから、私と一緒に。」

「偽善」

 

フランドールが言った。静かに、だが確かに。

 

「私を閉じ込めておいて、今更一緒に生きろと。お姉様は一度も、私のために変わろうとしなかった。今だってそうでしょう。お姉様が変わったかどうか、私には証明できない」

 

レミリアは、答えられなかった。

 

「そうだ」

 

間を置いて、言った。

 

「証明できていない。言葉だけ。それでも言わせてくれ。私はお前を愛している。四百九十五年間、間違ったやり方でしか表せなかったが、それは本当だ」

「黙れ」

 

フランドールが叫んだ。

 

「愛してるなら、なんで四百九十五年も来なかった。愛してたら、そんなことできない。お姉様が奪ったんでしょう。私からすべてを。笑うことも、泣くことも、誰かと話すことも、全部」

 

涙が止まらなかった。

 

「今更、綺麗事を言わないで」

 

レミリアは、また黙った。

それでも、前に出た。

 

「お前の言う通りだ。逃げた。向き合うのが怖くて、来なかった。それが現実だ。弁解しない」

 

また一歩、フランドールに近づいた。

 

「お前が許さなくていい。怒っていていい。憎んでいていい。でも、生きてくれ。お前が生きている限り、私は向き合い続ける」

「みんな、敵だ」

 

フランドールが叫んだ。光弾が一斉に放たれた。

 

「魔理沙」

 

俺は魔理沙の肩を掴んだ。

 

「全力を溜めろ。ありったけの魔力を」

「何をする気だ」

「レミリアがフランを引きつける。その間に溜めて、最大の一撃をぶつける。それしかない。」

 

魔理沙は頷いた。咲夜を地面に横たえて、両手を前に出した。魔力が、集まり始めた。限界まで。身体が光り始めた。空気が歪んだ。

俺はレミリアに加勢した。

レミリアとフランドールが、ぶつかった。拳と拳が交わった。姉妹の力が、真正面からぶつかり合った。衝撃波が広がった。地面が割れた。

レミリアが連続で拳を振るった。フランドールが受け止めながら後退した。その隙に俺が側面から踏み込んだ。拳がフランドールの頬をかすめた。

レミリアが蹴りを放った。フランドールの脇腹に入った。フランドールが後退した。

俺とレミリアが左右から同時に踏み込んだ。フランドールが跳んで両方をかわした。だが着地の瞬間、俺が背後から肘を打ち込んだ。フランドールが前に吹き飛んだ。

着地した。立ち上がった。傷が増えていた。息が荒かった。

俺もレミリアも、傷だらけだった。息が上がっていた。それでも、止まらなかった。

 

「二人がかりなんて…」

 

フランドールが言った。両手を広げた。光弾を生成しようとした。

俺の拳が先に届いた。腹に、深く。フランドールが折れた。レミリアの拳が背中に入った。フランドールが地面に落ちた。膝をついた。血を吐いた。

 

「魔理沙!」

「今だ!」

 

極太の光線が放たれた。魔理沙のすべてを込めた一撃が。虹色の光線が、大気を焼きながらフランドールに向かって走った。

フランドールが目を見開いた。

光線が迫った。

次の瞬間、空間が歪んだ。

音もなく、前触れもなく。空間の一点が、静かに裂けた。

光線が、消えた。音もなく。熱もなく。跡形もなく。

 

「何だ」

 

魔理沙が呟いた。

フランドールが、誰かの腕の中にいた。

気絶していた。傷だらけのまま、静かに眠っていた。

抱いているのは、女性だった。

金色の髪が、陽光の中で輝いていた。九本の尾が、静かに揺れていた。和服の裾が、風もないのに揺れていた。その存在が動くだけで、空気の密度が変わった。

 

「これ以上幻想郷を壊すことは、見過ごせません」

 

静かな声だった。感情の起伏がなかった。だが、その声には途方もない時間の重みがあった。

女性は、フランドールを丁寧に抱いたまま、俺を一瞥した。

何も言わなかった。だが、その目が何かを言っていた。

 

「……誰!?」

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