序盤からずっと利用するような施設経営者だけど強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれて最後に「ですよね?」で締め括られる存在になりたい   作:ブ雨堰ド

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地名・登場人物紹介5

※ここでは単位系を地球の基準に合わせています。

 

・エリスフィア帝国 - 紫輝歴770年以降

 たびたび「潰れた円形」と称される国土の全てに発展が行き届いていて、キロス、及びトルノ・ヴェスティア自然保護地区が隣接しているにもかかわらず、国内に自然らしい場所はどこにもない。

 そのことを危惧してか、国内の至る所に「運動公園」や「児童公園」が存在し、景観だけで言えば緑はそこそこある方である。

 内陸にある国であること、水辺が少ないことなどから年較差が大きく、雪景色や猛暑日など様々な季節感を楽しむことができる。なお、それを嫌う者達は、キロスやらゼルパパムやらに避暑地・避寒地を求めて移動することもあるのだとか。

 全体的に雨の多い国という印象を抱く国民が多いが、降水量は他国とそこまで変わらない。にわか雨が多いため、そう感じる国民が多いのだろう。

 上下水道、音の魔鉱石による遠隔拡声、空泳船発着ポート、火・炎の魔鉱石による温暖システム、光の魔鉱石による明暗システムなど、生活の質を上げるインフラが整っていて、その分魔導兵器を使用しているガルズ王国ばりに魔鉱石の消費が大きいとか。

 ハンラム王国に匹敵するほどの芸術大国になりつつあり、特に音楽家は優遇されるとか。とはいえ軍事国家の面も一切捨てておらず、結構な頻度で戦争が起こる。

 特産品はラーゲルンビールと、金属の枠組みに合わせてガラスを吹いて作られるケージドガラスという工芸品……だったのだが、工芸品の方はあまり作られなくなったとか。今日も職人が弟子を募集している。

 

越竜(エリス)学園

 当初は三年制の学園だったが、それでは学びきれないということで十年制に代わった、竜退治の専門学校。

 竜の生態から種類、有効な攻撃、対策、そして実戦シミュレーションまで、様々なことを身に付けることができる学校だ。そのため各国から入学希望者が絶えず、竜災というものが恒常化した今、これと向き合っていくために必須の教育機関である。

 なお、何歳からでも入学は可能……なのだが、なぜか基本年若い子供しか集まらないため、そこそこ歳を食っている者達は肩身が狭いとか眩しさで目が潰れるとか。

 入学希望者は例年増加傾向にあるものの、中途退学する者も少なくはない。実戦的な学校であるために、戦いについていけなくなったり、あるいは別の目的で入学して……しかし、とんでもないその過酷さにドロップアウト、が多いのだとか。

 

(おまけ)

最初の一年生組

生徒番号名前種族性別出身国

1アイヴィス・ネイヴィス時計の魔族エリスフィア帝国(隠れ魔族村)

2アレックス・ロメロ人族ロストランド

3イングリス・ルーンヘイム人族エリスフィア帝国

4エミルルンド・ホルム人族エリスフィア帝国

5モグリン・洋人族アスミカタ帝国

6カール・ナルツォーラワンエイス魔族キロス自治領

7カレン・朴人族仙実国

8クリストファリエンヌ・ヴァルデマリエンス人族エリスフィア帝国

9ジュンヤ・サウスバルド人族アスミカタ帝国

10スヴェン・トールスベリ人族エリスフィア帝国

11セリオマリアン・トルヴァリエッザ人族ハンラム王国

12チェイン・カラー人族エリスフィア帝国

13テオ・サクラギ鬼族(オーガ族)エリスフィア帝国

14フレデリック・ポーハーフ魔族V・D連邦

15ベンクト・ロアナ人族港湾国家ゼルパパム

16舞場・ケヴィンハーフ鬼族V・D連邦

17マリーライト・フラディオネール人族エリスフィア帝国

18ミーティア・エルムホルト猫の魔族魔王国

19ミラ・カステル・フォノン人族エリスフィア帝国

20ユーリッヒ・モルテンシュタイン人族V・D連邦

21リュニス・エリオンベルグクォーター魔族魔王国

22レイファン・グレイヴスン人族エリスフィア帝国

23ルーティ・ブロムルカス人族エリスフィア帝国

24ロッホ・アラバナ人族キロス自治領

オーリー・クレーア・ロンシュトミニア(教員)夢妄の魔族魔王国

ツェルニ・シュトロハイム(用務員)人族V・D連邦

紫輝歴788年の一年生組

生徒番号名前種族性別出身国

1アストリッド・スカルドラハーフリング族ガルズ王国

2エヴァンジェリアーナ・グランディネッリ人族(天使)歓楽国家ザミザイフェス?

3カイ・マルカイヒスト人族エリスフィア帝国

4砂塔・レイナハーフ魔族V・D連邦

5セルマー・ヨシトミ鬼族(オーガ族)アスミカタ帝国

6ソフィー・ダール人族エリスフィア帝国

7ドレン・マイズライトハーフ魔族エリスフィア帝国

8ノア・ヘドクイスト人族エリスフィア帝国

9マティアス・ノアゴー人族エリスフィア帝国

10ヨナス・リンドベリーハーフリング族ガルズ王国

チェルシー・シュトロハイムエルフV・D連邦

ナウラー・テンタットラ(教員)河馬の魔族エリスフィア帝国

 

 ヘンリー・エカスベア 身長167cm 体重66kg

 アレンジの天才。あるいは結集の天才。魔道具のみならず、魔法陣、魔法刻印、魔力操作といった、魔導に関係するすべてのモノへの高い知覚を有する。

 目的や指示があれば動き出し・過程・着地点まで迅速の一言に尽きるが、それらが無いと受動気味で厭世的。外見だけはよく似ているとされるものの、ヘンリック・エカスベアの持っていた「好奇心」や「感情を読む機微」などは持ち合わせていないため、比べられることをあまり好まない。

 言葉面の概要だけで真髄や芯を掴むことができるし、見たことがないものであっても伝聞だけで正確なカタチ・用途を思い浮かべることができるなど、想像力に翳りはない。ただし、それだと間違っていた場合が怖いので、ちゃんと手元に実物を取り寄せるタイプ。リスクリターンの見極めはできるけれど、「無償で動いてくれる相手」が若干苦手。自分も相手もwin-winなら一瞬で動けるのだが。

 半径46kathl範囲(半径80.5km)の魔力的事象の全てを感知できる上、それを無限に広がる脳内空間にVR映像として保管しておける。意識的に記憶しているかどうかに関わらず記憶しておけるので、自己に埋没して時間旅行、というような芸当も可能。普段はあまりにも雑然としているために必要最低限の情報だけにフィルタリングしているけれど、それは知覚していないわけではない。

 また、それら記憶をアウトプット・インプットする魔法も開発済みであり、彼の知識収集の速度は異常の一言。

 人物評として……他人が聞けば何を言っているんだと言われてしまうのだろうが、ヘンリーは天才に対して激しいコンプレックスがある。

 彼はどこまでいってもゼロからイチを生み出すことのできない人間であり、それができない己を恥じ、戒めている。──無論、いつかその悩みが越竜の生徒たちに打ち明けられ、「あなたは偉大なるものを生み出したじゃないですか」と言われるまでのカウントダウンは、テンカウントを切っているのだろうが。

 

 ウィルヘルム・エリスフィア 身長170cm 体重65kg

 最新の皇帝にして、お散歩大好きおじさん。

 歴代最も威厳の無い皇帝だと自負している彼であるが、優しく笑顔で一切折れないを地で行くため、圧がすごいとか。

 部下がイェスマンになっていて自分の意見を言ってくれなくなったことに悩んでいたのだが、皇帝府で働く者達に言わせてみれば、その後いくら頭を捻ってもそれ以上の正解が思い浮かばない、というほどの判断をバチバチに決める皇帝に何を進言しろというのか、という状態だったとか。

 それでも部下と言い合いがしたかったウィルヘルムのオーダーに答え、後述の『敏腕宰相』が毎度毎度反対意見を言うようにしているとか。

 一時期はストレスから体調悪化が心配されていたが、とある出会いを経てから顔色が良くなり、発言のキレも増していったとかなんとか。

 世界の裏側の事情はあまり知らない彼だけど、「彼」にお礼をするために、エリスフィア帝国にも絶景と呼べる場所を作るための政策を思案中とかなんとか。

 

 ロリエ・ドアイル

 皇帝ウィルヘルムを支える『敏腕宰相』の女性。

 ルールに厳格であるが、融通が利かないというわけではなく、その辺も柔軟に対応してこその『敏腕宰相』である。

 一時期からウィルヘルムとの浮ついた話が噂されるようにはなったのだが、両者にそういう気持ちもないし、立場上あり得ないため、ただのやっかみで終わる話である。

 眼鏡をかけているが、度は入っていない。というかレンズが入っていない。なんのためにかけているのかは誰も知らない。

 

 ユーリッヒ・モルテンシュタイン 身長174cm 体重69kg

 ドランシア軍士官学校出身。常に周囲を見ることのできる将才の持ち主であると同時、魔法剣を用いた近接戦闘もこなす超器用アタッカー。彼より五つ上の兄が軍人として竜と対峙し、そのまま亡くなっている。そのことを理由に越竜に来た。目的・動機はそういった復讐心からであったものの、越竜で過ごすうちに復讐心よりも「戦えない人達を守りたい」とか「誰も死なせたくない」というような感情が勝るようになり、悪鬼羅刹はその生を終えた。

 

 カール・ナルツォーラ 身長189cm 体重95kg

 大剣を豪快に振って戦うワンエイス魔族の少年。身体的特徴に魔族としての要素はなにも現れていないが、普段の仕草からして猫か獅子か、その類だろうと周囲はあたりをつけているとか。血沸き肉躍る戦いを好み、常に最前線と言える越竜に来ることができたことを心より喜んでいる。実は色々気の遣える少年で、それとなくさりげなく手伝いをしたり役割を買って出てくれる彼に、周囲の女子は「激メロ」と言っているとかなんとか。

 

 舞場・ケヴィン 身長181cm 体重72kg

 入学当初は刃物ペロペロしちゃう系男子だったのだが、幾度もの挫折と絶望を味わった結果、手の届く範囲のものは絶対守るマンに進化した。戦闘狂っぽい台詞は全部演技だったのだが、戦いになると自ずと鼓舞されてああいう性格に寄ってしまう、という悩みがあったりなかったり。

 

 リュニス・エリオンベルグ 身長152cm 体重40kg

 どこかで聞いたことのある姓の少女。クォーター魔族であるが、身体に魔族の特徴は出ていない。治癒と結界が得意だけど、戦闘ができないわけではなく、むしろすばしっこいため被弾が少ない上で自己治癒のできる回避タンクのような役割を担うことがあるほど。

 誰にも言ったことがないけれど、実は「冴えないおじさん」がドストライクなので、ツェルニがやめたと聞いた時はそれはもう落胆したとか。同級生? 子供すぎるしエネルギッシュだからムリ~。

 

 マリーライト・フラディオネール 身長150cm 体重39kg

 治癒術師の少女。明るくポジティブいつでも前向きをモットーとしているが、それは悲しみと向き合わないための仮面にすぎなかった。

 ノアの「どんなことになっても絶対全員掬う」というやり方と、彼の周囲の「必ず後に繋ぐ倒れ方をするし、絶対に命を諦めない」という理想形に打ちひしがれ、そのショックを恋だと誤認し告白を行った。

 残念ながらその告白をした相手に全てのベールを剥がされ、心配する同級生たちのもと、その悔悟を話すことになる。本当は好きな相手がいたこと。失くしてしまった彼のことをずっと悔いていること。でも、大丈夫。彼らがそれをそのままにするはずがないから。

 

 砂塔・レイナ 身長169cm 体重57kg

 アンシュッツ流対非実体拳法『夕立木立』皆伝の少女。紫輝歴765年生まれ。

 魔法剣も有しているが、あくまで拳へのエンチャントをする媒介にすぎず、剣は使わない。V・D連邦で起きた竜災で大切なものを失い、そこへの怒りの一心で強さを手に入れた。インパクトの瞬間に「引き込む魔力」を使う特殊な奥義も使えるが、長く戦い続けたい時はあまり使わない。

 対竜(タルス)学園幼等部クラフトアーツ戦闘科3組出身であり、紫輝歴787年度のCA組出身者は『血に飢えた子供たち(ミーリング)』などと呼ばれる程度には血の気が多い。そこでも拳で立場を確立させていたとか。

 ノアと知り合ったのはそこであり、出会った時点で格の違いに気付いていた。『血に飢えた子供たち(ミーリング)』とはノア・ヘドクイストの持つ「子供達がこれくらいってことは、まぁ、これくらいにしておけば問題ないよね」という態度──無論言葉に出されたわけではないが──にブチ切れた者達が辿り着いた境地であり、ノアにもっと伸び伸びとやってほしいという愛情の表れでもあるとか。

 越竜学園に恋人がいるが、何年生かはまだ内緒。少なくとも死んでいないし、そこそこ有名人になりつつあって辟易しているとか。

 父親が連邦南部にある仙実国と接している僅かな地域「ケリンビット」出身。ケリンビットは仙実国のたおやかな文化とドランシア共和国のエネルギッシュな文化が互いを食い合って生まれた地域であり、根底理念に「たくさん稼いでたくさん浪費する」が存在する。

 母親が魔王国はバリムケラス近郊にある繁華街「絢都アルクトゥニタ」出身。アルクトゥニタは「全身余すところなく己を着飾るための下地に」という理念が働いているため、豪華絢爛で華美な衣装が伝統的に織られている。

 こういった二つの地域の「華美・派手・刹那的」という概念が組み合わさった結果、この世界にはまだ存在しなかった「ギャル」という概念が生み出された。彼女の種族はハーフ魔族だけど、まぁ、種族:ギャルでも良いと思われる。

 

 アストリッド・スカルドラ 身長130cm 体重30kg

 ガルズ王国生まれのハーフリング族。後述のエヴァンジェリアーナに速度だけでも匹敵していた、というのがまずおかしいということにお気づきだろうか。

 ポテンシャル面で言えばレスベンスト冒険隊に勝るとも劣らないスペックをしているが、種族特性上攻撃が重くなり得ないため、速度を伸ばした結果、文字通り「目にも留まらぬ」の領域に手をかけた。

 踏み出しの一歩目から最高速に移行することが可能であり、その速度は40kathl/h(70km/h)にまで達する。その際、ほぼ無意識の領域で『緩衝』や『制動』などの刻印を武具加工を通して発動させているため、空気抵抗や魔力抵抗によってその肉体がどうにかなることはない。

 速度というパラメータのみで言えば、過去にいた『最速』の猫の魔族さえも凌駕する。まず間違いなく世界最速であり、しかもまだまだ成長中。

 同じく世界最速を名乗り得る『最小限』が近くにいるため、彼女から教えを受けることができれば、とんでもない英雄が誕生すること間違いないだろう。

 エヴァンジェリアーナのことはすっかり忘れてしまっているが、自身と同格に戦える相手がいた感覚はなんとなく覚えている。

 

 エヴァンジェリアーナ・グランディネッリ 身長150cm 体重50kg

 王国制度を取っていない歓楽国家ザミザイフェス出身の王族。当然偽造身分。

 その正体はアンドリアミアフィナイラロカであり、だから当然天使である。

 彼、あるいは彼女に明確な性別は無い。そのためどちらにでもなれるが、今回はアンドリアミアフィナイラロカと自分を安易に結び付けられないように少女の姿を取ったらしかった。

 無論セーブはしてあるものの、竜災に巻き込まれて死にでもしたら観測・観察の意味がないと、全パラメータを高めに設定したはずの彼女であるが、まさか互角の戦いができるとは欠片も思っていなかったとか。

 

 ソフィー・ダール

 直前に重なった幾つかの不幸な出来事により、腹ペコ竜の晩餐会(サレナスズナ・クリロノミア)や「竜災によって死ぬのは愚者である」などの()()()を信じ切ってしまっている少女。真面目な学生相手には特になんでもない態度を取るが、主人公やレイナのような不真面目な生徒は「とっとと死んだ方が良い」という過激な思考しか向かないため、正直言って彼らが嫌いだった。

 しかし、幻術シミュレーターにおける戦闘、対竜戦闘、そして現実での対竜戦闘においてその実力を知ったこと、また竜の前で個人の好悪など持っている暇がないと自覚したことなどから、その態度は鳴りを潜めた。どうせ不真面目ならば勝手に死んでいくのだから、自分まで落ちる必要は無いと判断したのかもしれないが。

 とはいえ一年、二年とすぎた頃にはもう蟠りは解けていて、さっぱりした性格・凄まじい戦闘能力のレイナに若干の憧れすら持ち始めているとかなんとか。ノアはあんましタイプじゃない。

 

 マティアス・ノアゴー

 竜災によって父親を亡くしているため、不真面目な生徒には厳しい。そういうのには足を引っ張られる・全体の質が落ちると考えるタイプであり、またいちいち口出ししなければ気が済まないタイプ。とはいえなんでもかんでも額面通りに受け取るタイプでもないので、彼もヘンリーの言葉をちゃんとは聞いていなかったり。

 眼鏡をしているが、視力自体は良い方。じゃあなんの眼鏡なのかというと、トラウマの幻覚を見ないようにするための眼鏡、らしい。心因性のトラウマがあり、眼鏡を外すと父親が竜に食い殺されるシーンを幻視してしまう。

 越竜学園に入ってからの三度目の竜との対峙において頭部を負傷。その際に眼鏡を壊されてしまったが、幻視した竜と重なるその竜が、レイナの拳でぶっ飛ばされたことを受けてトラウマを振り払うことに成功。その後駆けつけた上級生によって竜が退治されるまでの間、一時間超をレイナとノアの二人だけで戦い続けたその背中に、今までの態度を悔い改めた。

 戦闘後、奇しくも同じ病室で治癒を受けることになり、その場で二人に今までの態度を謝罪。以降は真面目で頼れる仲間の一人として、そしてレイナに次ぐ実力者の一人になっていく。

 レイナに対する恋心は少しだけあるのだが、残念ながらまだまだ色恋に現を抜かしていられる実力ではなかったため、誰に悟られることもなく自然消滅する火になった。

 

 セルマー・ヨシトミ

 アスミカタ帝国出身の少女。少女と呼ぶには筋肉質でガタイも良く、面倒見も良いため、仲の良い友人らからのあだ名はもっぱら母に絡められたものであることが多い。特に嫌がってはいないらしい。

 名前の通り吉冨祭之丞の子孫……ではなく、彼の息子が開いた学校が集めたアスミカタ帝国の孤児らの内の一人の子孫。どこぞのエカスベア魔導研究所よろしく吉冨の姓を孤児らに分け合立てたためにそう名乗るようになった者達……の内の一人がエリスフィア帝国人と結婚して生まれたものと思われる。

 

 ドレン・マイズライト 身長174cm 体重70kg

 ハーフ魔族の青年。その名の通りエレン・"オーラ"・マイズライトやエステルト・"ヴァーン"・マイズライトの弟だが、血縁関係は無い。とうの昔に解散したマイズライト旅団の姓をなぜ彼が名乗っているのかについてはまたどこかで。

 斬撃を飛ばす魔法剣を得意としている。また、それなりの練度での治癒魔法も使えるため、中遠距離、及び全体のバックアップを任せられることが多い。

 戦闘が好きというわけではないが、嫌いでもない。誰かを守ることのできる力が自らの手にあることを喜ばしく思っていて、だからそれさえも捨てて安全な所にいなさい、と言ってくる姉には若干の蟠りがあった。それはあるお節介焼きの手によって解消されるのだが、それまでは自身を想ってくれる姉の心情もわかるからと、結構な板挟みだったとか。

 実は紫輝歴620年生まれの168歳(紫輝歴788年時点)。ハーフ魔族なので寿命はもう少し先だが、少なくとも学生気分ではない。十二分にお爺さんと呼べる年齢であるため、学生のキラキラとした眩しさには毎回目を細めるばかりだったとか。

 それでもやはり学びはあった。特にノア・ヘドクイスト、アストリッド・スカルドラとの出会いは彼に革新的なひらめきを与えたとか。

 

 ナウラー・テンタットラ

 河馬の魔族の教員。初手からギスギスしていた788年度入学生に若干の不安を抱いていたが、その類稀なる戦闘能力と、思ったよりコミュニケーションを取れる生徒たちの人間性に、自分もまだまだ精進せねばな、と心を入れ替えた人。

 別属性の魔力を同時に操るデュアル、別の魔法を並行に詠唱するダブル、二振りの魔法剣を同時に操るドゥエなど、「同時に何かをする」ということに比類なき才能を発揮する。それは「同時に別々の言葉を発する」というノア・ヘドクイストの歌唱魔法にも高いシンパシーを見せ、越竜学園で二人目となる歌唱魔法の使い手へと彼がなっていくのだけど、それはまた別の話。

 

 オーリー・クレーア・ロンシュトミニア

 夢妄の魔族の女性。種族特性から幻術に高い適性を見せ、本人の性格から特に生物の再現に適性を見せている。

 かつて存在したツェルニ・シュトロハイムの幻術を直に受けることができなかったことを悔いているし、彼が遺した指南書の全再現に日夜取り組んでいるが、非常に分かりやすい指南書だというのに再現に至り切れていない。そのことを非常に悔しく思っている。

 休日などを利用して故郷や知り合いの夢妄の魔族らにも教えを乞うたり相談をしたりして、日々少しずつ精度も上がっているのだが、満足のいく出来ではないとは本人談。

 なお、基本感覚で幻術を使っている夢妄の魔族にとってツェルニの書いた指南書は非常に有益だったらしく、言語化においてその言葉を使えばいいのか、などの気付きから、各地で幻術を指南している夢妄の魔族たちの授業の質が三段階ほど上がったとか。

 

 エレン・"オーラ"・マイズライト 身長164cm 体重58kg

 越竜学園の理事長。それだけではなく、災厄復興における各国でのあらゆる動きへの出資者。ただしV・D連邦の『魔鉱石抽出実験』で懲りているため、すべての出資事業内容を己の足で見に行くムーブを取っているので結構忙しい。

 紫輝歴521年の生まれだが、十四歳くらいで自分の老いを止めている。『収蔵』という万物を収容・保存できるその魔法の対象は、自身の老い、他者の怪我・記憶・感情、あるいは事象・事実にまで及ぶため、非常に汎用性が高い。

 ただし、いつかはその全てを清算する必要のある魔法であり、永遠に死なない、というのはできない模様。

 弟二人とはどちらとも血の繋がりを持たないが、心の底から両者を愛しており、彼らのためならば世界だって敵に回す。それでいて全肯定というわけではなく、間違いは間違いと窘められる。ただ、自身も結構な頑固者で凝り固まった価値観を有していると理解しているので、その辺が踏み出せないことが重なると、蟠りとして抱えてしまうことが多い。

 好物はコーヒーと紅茶。コーヒー好きになった理由は勿論彼。ちなみにエステルト共々彼のことは「彼」であるとは認識していないので、今もなお、いつか会ったら謝罪とお礼をしなければな、と考えている。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第三位、『財宝』。その魔法は即ち、"富を得る"ための"安全"を行使する者の諱でもある。

 

 アルカ・ダヴィドウィッチ 身長166cm 体重57kg

 改変された災厄後のゼルパパムで「あれー私なにやってたんだっけなー」とかのほほんと考えていたら、無かったことになった未来で自分が告白してフラれたこと、災厄竜に挑んだこと、紫輝の天使などの情報が書き込まれて大混乱した挙句とりあえず泣きつかなければならないと一念発起し近くにいたエレンを引き連れてエリスフィア帝国までダッシュしてキアステンに泣きついたけど改変後の世界では特に仲良しでもなかったので自分で混乱している系華の不老不死魔法使い。

 魔力操作技術は格段に向上しているし、並行思考についてもかなりの域に達しつつあるが、彼女の真に凄まじい部分は森羅万象への理解である。

 恐らく現時点で彼女レベルの「理解」を有しているのは主人公、ヘンリー・エカスベア、『先見』のオンドウ、神ら超常存在くらいのものなので、真相にほど近い場所にいると言えるだろう。

 普段はほわほわ系のお姉さんなので敬ったりされるのはあんまり好きじゃないとか。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第九位、『最小限(シンプレクス)』。その魔法は即ち、"無駄を省く"ための"当然"を行使する者の諱でもある。

 

 マチルダ・ロックレイ

 首都エリスフィアにひっそりと存在する『studioロックレイ』の女主人。

 弦楽器製作の職人であると同時、本人もビウエラ奏者として高い名声を持っている。 音楽をやる相手には甘く、それ以外の理由でスタジオを使おうとする者には厳しいが、まぁ、当然である。

 

 ガリオ・メトラ

 過去の『大怪盗』に憧れ、小型魔道具を自作し、怪盗アイテムを身に着け、いつかエリスフィア帝国じゅうを怯えさせる大怪盗になる……と夢を見ている。

 実際身体能力が高いこと、頭の回転が速いことなどから向いているとは言えるかもしれないが、如何せん今のエリスフィア帝国には『大怪盗』が真に討ち果たすべき敵のようなものが存在しないため、毎回毎回盗みを働こうとする前に「でも今やってもただの泥棒じゃないか?」という心理が働いてやらない、が続いている。別にいつやっても泥棒であることに変わりはない。

 よくわからないジャンルでもティンと来たら「素晴らしい」というようにしている。自分には教養があり、どんなものでも評価できるんだぞ、というアピール。

 

 楽団ミュテス

 被災地を巡っては音を届け、その心を癒して回る楽団。

 キロスの『ブルーノ音楽会』や『ブルーノ祝歌隊』に感銘を受けており、ああやって大勢を感動させられる楽団になるべく日々精進を重ねているとか。

 構成員総数は四十名。最近「3-CA」を名乗る冒険者たちとの出会いがあって、メンバーが増えたり減ったりしたとか。

 

 3-CA

 第787年度対竜(タルス)学園幼等部クラフトアーツ戦闘科3組出身の子供達がそのままその呼称でパーティを組んだ、前代未聞の二十四人パーティ。彼らの代からやがてはクランと呼ばれる冒険者ごとのファミリーが生まれていくのだが、今はまだ奇異に見られるにとどまっている。

 非常に好戦的で活気的。強敵という強敵を食い散らかし、返り血も気にせずに進むさまはまさに「血に飢えた子供たち(ミーリング)」。

 すべては人類の質を一段階上げるため。それによってあの天才が伸び伸びと生きられる環境を作りたい──というか、手加減無しに楽しんで戦うアイツを見たいがための行動。

 レイナが幻術の中とはいえノアを殺した行動については、祝杯として「最近美味しかった干し肉三か月分」を贈った。自分も一回殴りたいから、という理由で越竜学園入園を視野に入れている者がいるとかなんとか。

 

 ノア・ヘドクイスト 身長153cm 体重40kg

 ともすれば幼等部に間違えられておかしくない小柄な少年。紫輝歴765年生まれ。

 歌唱魔法という習得難度の高い魔法を極めていて、これの作り出す音の魔力は聞く者に癒しと恒陽環を与える。

 知覚に作用する暗示術が得意で、幻術にも似たことが可能だが、世界を作ることはできない。

 本質的に戦闘者ではないものの、手も足も出ないはずの魔竜に対して微塵の恐怖もにじませずに向かっていく立ち姿はたくさんの子供達に影響を与えた。

 天才ヘンリー・エカスベアと対等に語り合えることでも知られており、その視座は、一般の学生の域をとうに超えている。

 彼の広域治癒は範囲こそ広いものの治癒量が高いわけではないため、今後はその部分を高められるよう学園側も指導を固めているとか。

 

 ツェルニ・シュトロハイム 身長161cm 体重69kg

 小太りな冴えないおじさん。優しい目であるという最初の印象通りの優しい人。でもそれだけな人。紫輝歴742年生まれ。

 その正体はかつて連邦において『幻煥』の名で恐れられた特殊情報局の局員であり、類稀なる幻術もそこに由来すると思われるが、本当のところは謎である。

 越竜学園の勉強スタイル──最初にシミュレート空間で模擬戦をしてから実戦に、という流れを作り上げた人であり、また、皇帝ウィルヘルムの友人であったことなどから、後年になればなるほど失われてはならなかった人材として囁かれる。

 学園の運営方針との幾らかの食い違いにより失踪したとされている。

 

・魔王国

 作中の舞台は首都バリムケラス。

 数多くの伐開の魔族が住んでいる『王樹の雨森』に隣接していることから、一年を通して雨が多く、曇り空の日も多い。ただ、湿気はそこまででもないため、気温が高くなることはあまりない。

 魔族は種族ごとの寿命差が大きい。40歳~300歳、特殊個体魔族ともなれば千年はザラに生きるため、街の景観があまり変わらない。短命の魔族でも代々で店をやることが多いとか。そうでないものは戦士になりがち。逆に言えば新規の店はかなり珍しがられるので新しい商売をするにはもってこいな土壌があると言える。

 ギム・ノードワッドによって齎された空前のコーヒーブームによってコーヒー愛好家が増えたこと、また、それまでは毒とまでされていたコーヒーを飲めるようにしたレシピから失われつつあったフロンティア精神が再燃し、その後の魔王国では「種族的に毒であるもの」をどうにかこうにかして食べようとする動きが高まっているとか。

 奇しくもアンキアの目指した「新たな風」が吹き荒れている状態であると言えるだろう。

 

 アンキア・"ヴァーン"・バリムケラス 身長171cm 体重68kg

 未だハウルとの出会いを経ていない、"ヴァーン"の頃の第二十一代魔王様。

 人族を害する気もなければ魔王国の拡大なんてする気も無かったために、戦争より政策、という王であったのだが、アウノルド村で起きた『魔鉱石抽出実験』を境にその悲しみと慟哭を全ての原動力にして、その思想を持つ連邦人を全て殺し尽くさなければならない、という方向に落ちてしまった。

 鋼の精神力でその胸中を外に漏らさないようにはしているが、本当はどうしてだという疑問を投げかけたくて仕方がない。尊敬できる人族。軽蔑すべき人族。彼の心は未だ動乱の嵐にある。

 ヴァーンは古代魔族語においては「最も偉大なる」、精霊語では「落ちるところまで落ちる」という意味。

 

 エステルト・"ヴァーン"・マイズライト 身長186cm 体重66kg

 純朴だった青年期から酸いも甘いもを知って大人になった少年。仮面の魔族の種族特性により狂気を手にし、またアンキアの苦しみの全てを受け取って次なる魔王に着いた。

 雨の神、エレン、羽澤はその真意について知っているようだが、今は未だ語られぬことである。

 無類の甘いもの好きであるが、子供っぽいと言われるのが嫌で封印している。件の事件以降、羽澤とは本心を語り合わないままに「魔族甘味同好会」を設立、そのメンバーとして仲良くやっているとかなんとか。

 魔獣形態(オーバーウェルム)になると戦闘力が150倍になる……と言われてきたが、実際の数値を見れば、約五千倍であるというのが本当のところ。魔獣形態時は怒り狂える獅子舞のような姿になるが、これは全仮面の魔族共通である。

 剣術・魔法・冷酷さのどれをとっても魔王の名に相応しいのだが、彼の中の大人像が若干なよっとした性格であるため、それになろうとするあまり他者から甘く見られがち。一体誰を参考にしているのやら、とはエレン談。

 

 アルフレッド・"ソロウ"・マリア

 第二十代魔王のお爺さん。ブックカフェ『ルート』の常連客。大多数の者にとっては優しいお爺さんだが、現役時代を知っている者からすれば背筋の凍える相手であるとかなんとか。

 ソロウは古代魔族語で「心に名前を刻んでほしい」、精霊語で「あなたに名前を呼んでほしい」という意味。

 

 エイヴォン・クリークス

 牛の魔族の青年。実家のパンの匂いがあまり好きになれないまま育ったが、魔族でも飲めるコーヒーに出会い、それとパンの食べ合わせが最高なことに気付いてからは、実家が大好きになった、という経緯を持つ。

 いわゆる早口オタクの部類。ただ戦闘では高い膂力と魔法抵抗を利用して前線を張ることが多いため、結構頼りにされがち。動けるオタクが一番正しいか。

 

 ミヨ・トーダー

 オカピの魔族の少女。丁寧な口調ではあるけれど、別に誰かを敬っているとかは特に無い。エステルトの剣捌きに惚れているけれど、エステルト自体はそんなに好きじゃない。もっとシャキっとしてほしい。

 

 メレッグアヴィス・"ディフランカ"・アライバルズ

 鴨嘴の魔族の女性。特殊な地域出身であり、古代魔族語で会話する。羅詞源語と継詞基語が聞き取れないわけではないが、日常会話レベルには話せないらしい。

 ディフランカは古代魔族語で「歌い上げるあなたの声」、精霊語で「祈り上げる私の声」という意味。

 

 ウォーラー・イン・フロッグス 身長177cm 体重73kg

 現在は羽澤蛙と名乗っている仮面の魔族のお兄さん。雨の神の契約者であり、実は涅月歴328年生まれの超長生きお兄さん。実は死んでいるので長生きかどうかはわからないお兄さん。

 作中時間軸ではまだ《四毒(フォア・ラベンダ)》を起こしていないため、その前の称号『擬毒(シネクドキ)』の名前で呼ばれていた。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第八位、『擬毒(シネクドキ)』。その魔法は即ち、"誰しもが持つ恨辛"という"当然"を行使する者の諱でもある。

 

 サラード・懈星(ダレオホス) 全高20cm 体重10kg

 雨の神。アヌラの神。巨大なカエル。偽悪的だしたびたび試練を課すような言動を取るが、大雨の前にはすべて等しく無害、という感性の持ち主であり、その大らかさは優しさにさえ映るのだろう。

 沼地の神、潟湖の神に並んで神全体のイメージアップを担う存在であるとは専らの噂だが、本神は勝手に言っていろというスタンス。

 雨を降らせる、あるいは降らなくさせる、といった雨の神としての基本能力だけでなく、足音を消す、人払いをする、感情を隠すなどの拡大解釈とも言える能力の使用が可能である。

 他の神と違って喉を人間に合わせたり魔声と呼ばれる発声魔法を使うことを面倒臭がるため、普段はゲェロゲェロとしか鳴かない。仮面の魔族の特性で意思を汲み取れるエステルトが隣にいるからいいのだ。

 その後の出会いで禄・玄妙に邂逅し、魔声の術符を通した会話に快適さを覚えてからは、アレを常に使えるマジックアイテムを開発しろエステルト、とたびたび言っているとかなんとか。

 ちなみにコーヒーはちゃんと好きになったのだが、他の魔族ではカエルでも飲めるコーヒーの生成ができなかったので、ずっと待ちぼうけを食らっている。エステルトが死んだら珈琲の池に住む、という案は割と真剣に考えているらしい。

 

 ギム・ノードワッド 身長177cm 体重78kg

 ブックカフェ『ルート』のオーナー。竜災復興記念のとある大会で三部門総なめという結果を出した生粋のコフィエスタ。紫輝歴580年生まれ。

 狒狒の魔族であり、肉弾戦も相当できるという噂だが、彼が戦っているところを見たことがあるのは限られた少数のみである。

 人魔戦争の煽りを受けて店舗が破壊されてしまったとされている。その後の行方は杳として知れない。あの味を惜しみ、悲しむ魔族たちも相当数いるため、自責の念を覚えているどこかの魔王が今度会ったら誠心誠意謝って、店舗も軍費から出して、もう一度あの味を、とお願いするつもりでいるとか。

 

・オールトヴァルト村

 連邦東部に位置する極小地帯。許可の無き者では近付くことさえできない霧の秘境。

 その正体は、幾重にも折り重なった位相空間のホットスポット。……というのはカモフラージュであり、意図的に位相空間を重ねて作り上げた半ば異界である場所、が正しい評価だろう。

 内部には概念としか言いようのないものが闊歩しており、「目を合わせてはいけない」「口を利いてはいけない」など、様々なルールが存在する。これに背いた場合、これに飲み込まれ、いつしか自然と一体化してしまうという。

 住民たちはこれらを根の界と呼んでいるが、要するに怪異であり、エリスフィア帝国に現れていた黒靄(ダークミスト)と相関する生態が見られることから、どちらかがどちらかから派生したものである可能性が高い。

 なお、この地域で夜空を見上げると、そこに輝いているのは涅月ではなく緑色の月である。あれはなんなのだろう……。

 

 ラソマラニハザ 身長160cm 体重55kg

 虚無僧笠を被って活動する魈覡(しょうげき)の女性。歌唱魔法にも似た祝詞を素早く操り、根の界に交渉を通す。齢はなんと六千を超えるらしいが、容姿で言えば未だ十代後半頃の少女にさえ見えるから不思議なものだ。

 ラソマラニハザは純天体語で「鋭い眼光の女狩人」という意味。

 

 タニミテニアリヴォ 身長166cm 体重61kg

 テイア拝堂の管理と維持を担う魈覡(しょうげき)の少年。根の界の意志を汲み取ることが得意なのだが、そうであるが故に受け取り過ぎてしまうこともあって、その辺りはまだまだ修行不足。

 妹がいた気がしていたが、彼は一人っ子である。

 タニミテニアリヴォは純天体語で「幾もの自然と言葉を交わす者」という意味。

 

 チェルシー・シュトロハイム 身長?cm 体重?kg

 未来のオールトヴァルト村出身だろう少女。少なくとも主人公たちが村に訪れた時にはいなかった。

 他者の記憶の表面上を読み取って、それらの関係性の中に滑り込み、暗示で言うことを聞かせる、という悪辣な手法こそ取るものの、本質的に悪意とは無縁の存在。彼女の出番はここじゃなかっただけ。

 本名は不明。

 

 ラソファヘリュミアンサイナ 身長115cm~145cm 体重40kg~73.9kg

 祖霊との対話を役目とする巫和という役職の少女。……というのは存在しなかった。長らく間借りされていた兄妹の妹というポジションは、それらしければなんでも良かったため、見る人によって姿形も異なっていたとか。

 本来の彼女はゴースト。強大な魔導士の気配を察知し、それらが現れる時代を狙って表出してきていた。水に関わらない概念たちは全員ゴースト(マクマリ)であり、オールトヴァルト村とは究極的に関係の無い存在である。

 ラソファヘリュミアンサイナは純天体語で「正しく力強く賢明であるように」という意味。

 

 マヨヒガ

 背筋の凍るような、圧倒的な気配を有する妖怪。一応男性。ドワーフかと思うような低身長で、気難しそうながらも身内には優しそうなお爺さんであるが、感じ取れる者からすればそんな風には扱えない超危険生物。生物かどうかは微妙だが。

 エチェロエグズル教戒院や『永遠の子供時代(エルヴァホイ)』の持つ「迷ったものを受け入れる」や「忘却を伴う」などの性質の雛型となった怪異であり、神が主人公をこれに例えたのは生態が似ていたから。

 意思無きままに世界を闊歩する概念たちとは明らかに格の違う存在であり、「受け入れた者に親切にする」という「変えられない生き方」が無ければ、あるいは妖怪の総大将として世界に繰り出していた可能性まである。

 

 リュディ・ミーリィ 身長183cm 体重0.2kg

 清浄(しょうじょう)の魔族から名前の与えられた、元DP・BBさん。

 リュディ・ミーリィ、あるいはリュドミラ。あなたの種族を改めてエルフに定め、この世界に根を張ることを許可します。(※羅詞源語訳)

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第二位、『全開(オムニス)』。その魔法は即ち、"敵を打ち砕く"ための"当然"を行使する者の諱でもある。

 

 (イン)結糸(ジェミィ) 身長156cm 体重40㎏

 ハイエルフの少女。実際のところ彼女が本当はなんであるのか、というのは、緑月でさえも知らない可能性がある。

 緑月の祖。緑月の意識。エルフが創造される前から存在していた唯一の仔。遥か昔から今なお絶えない意識の持ち主。

 彼女の原動力は結局、「生きる」をやってみたい、というところにある。全力を出してみたい。生に執着してみたい。文化的な活動をしてみたい。自らの命すら惜しくないと思うような相手や事象に出会ってみたい。

 そのためならばどんなこともする。そして、「生きている」くせに「死んでいる」ような生き方の奴らは基本的に嫌い。

 性格はトリックスターだが、人間賛歌の権化であり、そうであろうとする傾向の強い『到達』は毎度毎度お気に入りになりがち。逆に超越者の視座を手に入れにいこうとする『先見』及び『観察者』はあんまり好きじゃない。

 彼女の魔法『蓋然』は仮に何があったとしても──死ぬようなことがあっても、存在が消されても──存在が続き続けるという魔法であり、それは『不死』にも似ている。その他、属性魔法以外のメルヘンな創作魔法を使う。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第十位、『蓋然(インコグニタ)』。その魔法は即ち、"なるようになるかもしれない"ための"安全"を行使する者の諱でもある。

 

 ワンデラー 身長175cm 体重71kg

 特殊な魔草煙管によって自らをエルフに偽装していた男性。吸引者の体組織の魔力依存度を急激に上昇させるという効果を持つそれは、極めて危険なものである。

 扱いを知らぬ者が吸引すれば、たちまち魔力にまで分解されかねない代物。それを愛飲していた彼は最早人間の視座を持ってはいなかったのだろう。

 年齢は八十万を超えるとの話だが、果たしてそこまで短いかどうかは不明。

 類稀なる魔力操作・知覚で、自然に解けていたエルフ五人らを救出した。

 出生年、本来の種族など、すべてのパーソナルデータが不明。彼は誰なのか。

 

・天体

 未だ謎は多かれど、少ないながらに明かされてきた天体たちについてを紹介する。

 

 紫輝(むらさき) - トゥバン

 この世界の恒星。紫の光を発するすべての命の源。

 その化身とも呼べる存在は、尊大にして傲慢。ただ、公明正大な目線を有している様子もある。反面、裏で色々な操作をしていたりと、どうにもちぐはぐな印象を受ける。

 紫輝の愛し子は鮮やかなオレンジ色の頭髪を有する。

 

 赭地(あかつち) - アロクトン

 この世界。大地。星。命を育む愛すべき母。

 その化身とも呼べる存在はまだ登場していないが、竜や神を遣わしてくる存在と考えれば、多少のイメージもできる……のかもしれない。

 赭地の愛し子は鮮やかな紫色の頭髪を有する。

 

 緑月(ろくつき) - テイア

 緑色の月。影を落とす狂気。失われた慟哭。

 その化身とも呼べる存在は、慇懃無礼な口調が目立ち、また自らの創造物を我が子だとは認識していない様子である。その凶行、あるいは蛮行には紫輝ですら呆れている節があり、またマクマリの一部からもあまり愛を注がれていない。現状はかなりの嫌われ者である。

 緑月の創造物はレッドメタリックの光沢ある銀髪とエメラルドグリーンの瞳を有する。

 

 涅月(くろつき) - ノクスルーナ

 涅色の月。暖かな黒。取りこぼしを受け入れる慈愛の光。

 その化身とも呼べる存在は、天真爛漫な少女に見える。事実幼く、事実知識に乏しいけれど、その自覚まで捨てたわけではない。『涅月の血属(ノクスルーナ・ブラッド)』や人の代替魔族などのことからその真意を伺い難くされているが、あの紫輝ですらその純真を認める程度には裏表の無い存在であると言える。

 涅月の愛し子は黒色の頭髪を有するが、魔族はその限りではないし、別に染めてくれてもいいと考えているとか。

 

付録1

言語について。

 

 この世界の公用語は二つある。

 その内の一つが羅詞源語(らしげんご)だ。子音22文字と母音8文字の計30文字を音の最小単位に対応させる表音文字で、文字を並べることで単語の発音を表す。

 もう一つが継詞基語(けいしきご)であり、子音41文字、母音5文字の計46字を音節単位に対応させる音節文字で、音と意味の両方を使い分けながら表現する。

 二つとは言うものの片方だけで話せばカタコトであるかのような扱いを受けるので、二種の文字体系を同時運用している言語であると考えてくれたらいいだろう。

 世界に遍く広まっている言語であり、基本どこに行っても通じる言葉ではあるが、地域によって訛りが多く、別の意味の単語がそのまま使われている、ということも無くはない。それでも属性魔法などは発動するので、魔法においては言葉よりも想像が大事であるというのがよくわかる例と言える。

 

 古代魔族語は子音15字*母音7字の105文字。精霊語も同じ。子音と母音を組み合わせた音節の単位に対応させる表音文字。

 両者は同音異義言語であり、大抵が正反対、ないしは「精霊語」接続詞・助詞「古代魔族語」というような関係性であることが多い。

 例:ヴァーンは、「落ちるところまで落ちる」から「最も偉大なる」になれる。プロメトテレサは、「あの貴き我らが都」を「命を賭して死守する」。等。

 どうしてこのような関係性が出来上がったのかについては、精霊語をかき消してしまわねばならない理由があったからだろうと考えられる。

 

付録2

年月について

 

 この世界の一年間は九か月である。朱華の月、朱紫の月、深紫の月、浅紫の月、緋の月、深緑の月、浅緑の月、深葡萄の月、浅葡萄の月で一巡する。

 この世界の一ヶ月は五十日である。

 この世界の一週間は十日であるため、一ヶ月は五週間である。三日働いて休日、三日働いて休日、一日働いて休日、など、十日の内三日休む休日制度である場合が多い。

 この世界の一日は三十時間である。

 この世界の一時間は五十分間である。

 この世界の一分は五十秒である。

 この世界の一秒は──……。

 

付録3

竜種について

管理番号個体名種族出現国発生年大きさ(m)

1腐敗竜シルヴィア明郷神権王政国~モゴイ丘陵涅月歴300年68m

2災厄竜ユラン世界全域涅月歴770年110m

3奴首節アスミカタ帝国紫輝歴55年23m

4七房垂アスミカタ帝国紫輝歴115年15m

5六途篩アスミカタ帝国紫輝歴215年9m

6溢頭迷アスミカタ帝国紫輝歴315年29m

7夜胸岩土アスミカタ帝国紫輝歴415年11m

8征武乱禍魔竜アスミカタ帝国~港湾国家ゼルパパム紫輝歴514年21m

9ラフマ魔竜魔王国周辺域紫輝歴620年26m

10アルガンタ・ドゥナモ魔竜ガルズ王国紫輝歴672年33m

11レグドラル・ラヴァタ魔竜港湾国家ゼルパパム紫輝歴673年43m

12(リー)仙実国紫輝歴676年7m

13ディガロス・エルンデ仙実国紫輝歴678年56m

14災厄竜ユラン世界全域紫輝歴770年110m

15リガルティ・ナルエフ魔竜災厄地紫輝歴770年8m

16パラルギル・タータン魔竜エリスフィア帝国紫輝歴778年49m

17オルグァネ・トゥイユ古代ガルズ王国涅月歴70年50m

18レヴュリス・マリオン魔竜エリスフィア帝国紫輝歴780年20m

 




今回年表はありません(そんなに過去・未来を行ったり来たりしていないので)
また、ここから先は主人公が一切出てこない幕間の章(話四話分)が入ってきます。よろしくお願いいたします。
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