序盤からずっと利用するような施設経営者だけど強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれて最後に「ですよね?」で締め括られる存在になりたい 作:ブ雨堰ド
星の外。深海よりも遠き暗闇。
赭地はおろか、紫輝の光すら届かない、この世界の比較的若い方向にある銀河団圏で浮かび、一人考える。
もうすぐ起こる「衝突」と、それによる「消滅」。
無くなられると勿体ないから、という理由で波を集めてきたそれだけど……果たして、そのほとんどが巣立ちを経験した雛であるあの星の生命に、その危機に、親鳥が戻ってきて庇護を与えることは何を意味するのか。
親鳥。ハ、思い上がりだな。精々ギブスかなんかだろ。偶さか巣から落ちた鳥の怪我を治した絆創膏なんて、不要になれば剥がれて然るべきだ。
なるようになる。なるようにしかならない。
「基準を変えても残るパターンだけが実在、ね。それはなんとも」
誰の言葉だったか。
戯言を嘯いて──世界の中に戻るのである。
つまり「人々を喜ばせることができる催し物を企画・運営できること」を倫理観に対するアンサーにしよう、という発想なわけだけど、当然出し物はクラス単位になるわけで、一年生の後半時点である程度固まっていたクラスメイトによる「圧」というものは避けられないものがあったりなんだりするわけで。
ノア・ヘドクイストが対竜学園にいた時の骨踊祭の出し物は、劇、だった。
劇の題名は「
***
第一部はナレーション中心で殺陣中心の活劇。
"あるところのある国に、お姫様と騎士様がいました。大層美しいお姫様と大層強かった騎士様ですが、ある時呪いを扱う魔竜に呪詛をかけられ、誰も寄り付かないところにある山に封印されてしまいました。国の人々は悲しみに暮れ、竜の討伐に赴くも、返り討ちに遭い、このままでは国が滅んでしまうというところまで行ってしまいました。
見かねた違う国の王様が勇敢にも魔竜のもとに赴き、どうしてそのようなことをしているのかを問えば、「最初に呪ってきたのはあいつらさ。俺様はいなくなればいいのに、と呪われたから、お前らがいなくなれ、と呪い返してやっただけだ」と言いました。そして続けて、「それに、俺様はお前らを助けてやったんだ。あの山はじきに噴火するところだった。だが、ちょうどニンゲン二人分をいけにえにすれば、それを抑えられる。だからあの封印を解こうなんて考えるな。解けば最後、噴火して、この国も、お前らの国も火の海さ。忘れた方が身のためだよ」なんてことを言ったのです。
残念ながら魔竜の言葉は本当でした。国の魔法使い全員が、学者や研究者の全員が、あの山が噴火寸前だったこと、そしてそれが二人の封印以降抑えられていることを示すデータを提示してきます。
忘れた方が良い。あるいは、尊い犠牲で噴火が収まったのだと考えた方が身のためだ、と、その国の王様までもが考えた出したその時のことでした。
金色の髪をした青年が、王に進言を行ったのです。その青年は幾つかの功績から英雄と称えられている存在であり、彼の言葉ならばと王も耳を傾けます。
青年は、「どれほど賢しくとも魔竜は魔竜。その根底にあるものは食欲にございます。呪ってきたから呪い返した、などとは後からならばいくらでも言えること。姫と騎士をそれぞれ疲弊させて食らおうとしているに違いありません。それに、魔竜から忘れるべきだと、世のためだと言われたことを本当にそのまま受け入れるなどあってはならない話です。王よ、どうか私めに姫と騎士を救出する許可をください。魔竜を倒す許可をください。それによってもし本当に噴火が起こるのならば、それさえも私がどうにかしてみせます」と宣った。
いくら英雄と
準備に向かう青年の背を見ながら、側近たちが「どうして許可を出したのか」を王に問えば、「噴火とは、そも、魔竜と違って避けられぬ厄難よ。それをして察知し準備する時間を与えてくれた魔竜には感謝もしようが、そのために誰かを犠牲にし、目を瞑れ、という択が、単純に
その言葉と笑顔に、側近たちもまた同じような笑みを浮かべ、「では私達はすぐにでも避難指示と経路の確保に動きます」、「周辺諸国に伝令を飛ばします」、「あなたが蔑まれるのならば、私達も同罪です。力無き者としてあの英雄に任を背負わせるしかできないことを恥じ、国民から石を投げられる覚悟をしましょう」と、そういって慌ただしく動き始めました。
もはや彼らの目に迷いはありませんでした。国の名はエリスフィア。遥か昔のエリスフィア帝国の人々もまた、魔竜と戦っていたのです。"
で、第二部は台詞や演技中心の心理劇。
"その山の中に、その二人はおりました。
無残にも破かれ、ぼろぼろになったドレスで身を隠す、麗しの姫君。そんな彼女を今なお以て守り続ける騎士。
火山に住む魔物という魔物が餌を求めて彼らを切り裂こうとする中、騎士はその剣一本で姫を守ります。
ややあったところで、魔竜は彼らに声をかけることにしました。「何をそんなに頑張るのだ、騎士の男。どれほど気丈に保とうとも助けはこない。誰だって噴火で自分の家が押しつぶされるところを見たいなんて思わない。お前らの存在が封印の要になっている以上、ニンゲンは、お前らの犠牲を黙認するしかできまいよ」。
その意地悪な言葉に、騎士は笑って返します。「助けが来るか来ないか、なんて判断基準で守護を続けているわけではない。守りたいから守っているのだ。私の背後にいるのはどこの国のどれほど美しい姫君に非ず、私という存在が心底惚れ込んだ方なれば、その身に毒牙が届かぬようにと全霊を賭けることに何の不思議がある」。
しかし、どれほど言っても騎士もまた人間。十日に亘って飲まず食わずで戦い続けた騎士も、膝を突く回数が増えてきます。それでもそれでもと戦い続ける騎士に飽いたのでしょう、魔竜は守られてばかりの姫君に声をかけました。「お前は祈るだけか、姫と呼ばれた女。剣も持てぬ細腕は、魔力を集めることさえ知らぬ。お前に惚れたという者が傷つき、衰弱していく中で、お前は尚も誰かに助けてくださいと願うばかり。いやはやこんな女のどこに惚れたのか、やはりニンゲンの嗜好は理解できぬなぁ」。
これまた意地悪く言う魔竜に、姫は笑っていい返しました。「助けは来ますよ。残念ながら、あなたの言う通り人間という生き物は愚かなので、合理的な選択ができないのです。たとえ未来で過去の己を呪い尽くす結果になったとしても、人間というのは、今快い択を取るもの。あなたは間違えました。尤もらしいストーリーを描きすぎたのです。噴火を抑えるためだから、仕方が無いから、と諦めきれる人間ばかりなら、この世界にはまだ英雄も、英雄譚も、生まれてはいなかったでしょうね」。
心の一切が折れない二人に業を煮やした魔竜は、魔物をけしかけるだけでなく、とうとう自ら騎士を食い破ろうとします。火山という過酷な環境で育った魔物はどれも高危険度であり、その連撃を受けていた騎士では、魔竜の攻撃など一撃も絶えること能わず──。
その爪が騎士の眼球を抉る前に、金色が割って入ってくる。
魔剣でもなんでもない武骨なロングソードで以て魔竜の爪を弾き返したのは英雄と呼ばれていた男。
魔竜を弾き飛ばし、襲い来る熱波さえも寄せ付けず、柔和な笑みと余裕ある仕草で剣を魔竜に向ける。「初めまして。私、麓の国で英雄というものをやらせてもらっている者です。此度隣国の姫君と騎士が誘拐され、その不安と悲しみが我が国にまで伝わってきていることを憂慮し、姫君と騎士を救い、魔竜を討滅し、噴火を抑え込む任を受けてやって参りました」。
魔竜は喉をぐるぐると鳴らして威嚇をしながら問いかけます。「お前、どのようにして現れた。封印はどうした。まさかとは思うが、壊してきたのか?」。
呪詛も熱も魔物も、その英雄からは尻尾を巻いて逃げるばかり。柔和なのは表情だけで、ソレがどれほど恐ろしい存在であるかをわかっているのです。わかっていないのは悲しいことに、対峙している魔竜だけ。英雄は口を開きます。「ええ、結界術習いたて程度の簡易封印でしたし、これならいつ弾けてもおかしくないなと判断し、破らせてもらいました。泡を破くより簡単でしたよ」。
その言葉に魔竜は大笑い。「おめでとう、おめでとう! であるならばお前は英雄から裏切り者に早変わりさ! 俺様の封印は確かに噴火を封じていたのだから! 俺様が魔竜だから、嘘を言っているのだと決めつけたのだろう! 晴れてお前は周辺の国の全てを火の海にすることに成功したわけだ。そんなにその二人を持っていきたいのならば持っていけばいい。お前にそいつらを持って帰る場所など、とうに無くなっているがな!」。
しかし英雄は欠片も動揺しません。王たちの言葉を信じている、というわけでも、何の責任感もない、というわけでもなく──本当に一切を気にしていない素振りで剣の先端を魔竜に向けるばかり。「聞こえませんでしたか? 結界術習いたての簡易封印など無くなっても問題ないと判断したと言ったのです。あの程度に守られる国など、そしてこの二人を犠牲にしなければならない国など滅んでしまえばいいのです。私の故国はそんな国ではありませんがね」。
英雄の言葉は強がりにしか聞こえなかったのでしょう。魔竜はくつくつと笑います。「そうか、そうか、信じられないか。ならばお前も騎士の男も姫と呼ばれた女も、三人とも抵抗の気が起きぬほどに痛めつけ、その身を食らう前に、火の海と化した己が故国を、お前らに託した周囲の国々の愚かさを見せつけてやるとしよう!」。
大きく吼える魔竜を前に、ここで魔鉱石の光は姫君と騎士を照らします。
膝を突く騎士のその頭をふわりと抱きしめた姫君は懺悔するようにつぶやきます。「これをすれば、もう、応援することができなくなってしまいます。あなたが何よりもの力であると言ってくれたことが。……それでも私は、あなたがそうして膝を突き続けているところを見たくないから。……だから、あの方と共に剣を取ってください、私の騎士」。
直後、今までに温存していた姫君の魔力の全てが騎士に譲渡され、姫君は気を失います。「必ずや」、と。騎士はそれだけ言って、魔竜に剣を向ける英雄の隣に立って、同じように剣を突きつけました。
この時二人は初対面でしたが、互いに互いの噂は知っていたのでしょう。「英雄。貴公の名は耳にしている。如何なる戦場にも風の如く現れ、如何なる苦境であろうとも兵に希望の輝きを見出させる英雄。しかし、結界を破るにさぞかし疲れたことだろう。そこで休んでいても一向に構わぬのだぞ。ああ、一応礼は言っておくが」。
間髪入れずに英雄は言います。「隣国の騎士団長の実力は聞き及んでいますよ。 なんでも自国のお姫様と一緒に封印されてしまうほどお強いのだとか。彼女だけ逃がして自分だけ封印されるとかできなかっのでしょうか。飲まず食わずで戦っていたことは確かに褒められることかもしれませんが、後ろの姫君もまた飲まず食わずだったことをお忘れなのかもしれません。やはり英雄譚に脳を灼かれた人間は手が付けられない。姫君の温存していた魔力なんて薬にもしたくない量しかないでしょうに、それを受け取って全快気取りとは。別にあんな魔竜程度私一人で十分ですし、怪我人は邪魔ですから引っ込んでいてくださいませんか?」。
二人は笑みを深め合い──。「ほざけ、英雄。大言を吐いたのだ、遅れを取るなよ!」、と騎士が突撃し。「おやおや、騎士様とは思えない言葉遣いですね。どうです? 私のほうが柔和で騎士っぽくないですか?」なんて言いながら英雄が斬りかかり。
そこから、第一部で見せた殺陣を混ぜ込みながら描かれる、たった二人の竜退治。しかし呪詛を主体とする魔竜なれば、圧倒的な力で討滅されていって……。
首だけとなっても威嚇をやめない魔竜の頭を広い上げ、英雄が、姫君を抱いた騎士とともに封印の外へ出てみれば。
そこには、平時と何も変わらないのどかな景色が広がっていました。「こ、これは……どういうことだ。封印は破られたはずだ……!」。
動揺する魔竜に、英雄はなんでもないことであるかのように言います。「言ったでしょう。簡易封印だったから破った、と。当然その上から封印しましたよ。しっかりとした知識と技術で作り上げた、管理可能な封印をね。もちろんその封印に生き物の要、なんて曖昧なものは必要ありません。とはいえ問題が消えたわけではなく、この後この周辺国の人々は、数百年という時間をかけて、地鳴りのような地震や小さな噴火……数人で対処せねばならないような火砕流などを処理しながら、この噴火を飲み込んでいかなくてはなりません。そしてそれを背負い、忘れないでいることは、彼女らの国が受け継ぐべき真実でしょう」。
騎士は頷く。「ああ、知識を絶やすことなきよう語り継がせよう。そうだ、いっそのこと物語にしてしまってもいい。あまりにも見事に要素が揃っている。英雄譚の要素がな」。
ぽーんと投げられる魔竜の頭。その魔竜の口からは、怨嗟の如き呪詛が飛び出します。「呪ってやる、呪ってやるぞ! お前らだけじゃない、お前らの子どもたちは、俺様よりも多くの、そして強大な魔竜たちの餌食となるだろう! せいぜい恨まれるが良い! お前らが伝説となった時代の世を、後世を、噛み砕き、食い潰し、悲劇という悲劇を呼んだのは他でもない金糸の髪の男なのだと!!」。
両断される魔竜の首。身に地に刻まれるはずの呪詛たちはしかし、英雄を恐れるようにして雲散霧消してしまいました。
何もかもが終わって訪れる静寂。最後に口を開いたのは英雄です。「では、私はこのあたりで。噴火が起こるのではないかと身構えているだろう王様たちに吉報を届けなければなりませんからね。あ、そうだ。一つだけ。──結婚の儀には是非ともお呼びください。儀にやってきた未婚の女性の心を全て奪って差し上げます」。
なんだか色々台無しになる言葉を吐いた英雄は、そのまま去っていきました。姫君を抱いたままに残された騎士は。「……余計な世話だ、莫迦者め。誰が呼ぶか。……それに、私と姫では身分が違う。死地にて……青臭い言葉を吐きはしたが、本来叶わぬ恋なのだ。それくらい私にも──」。
しかし、その続きは言えませんでした。気を失っていたはずの姫君が、上体を起こし、騎士に口づけをしたからです。
さて……その後のことは皆さんの想像にお任せします。ただ一説に依れば、姫君と騎士の帰還した国の、その次の代の王女様の名前はエリスといい、どこかの国への感謝を込めてその名前を付けたのだとか。彼女が生まれた時には、その国ではあまり見かけない金糸の髪のお爺さんがいた、なんて話もありますが……それはまた別のお話になるのでしょう。
後世である今には英雄や騎士の名前は伝わっていません。ただ、人々はその功績を湛え、英雄をこう呼ぶのです。『
***
……というものである。半分は創作だけど、もう半分はゼルパパム・連邦・エリスフィア帝国で共通して残っている実在の物語であり、いわば二次創作みたいなものだ。
今にして思えば、巨凰の君、もしくは涅滝からの時を超えた嫌がらせだった気がして他ならない。モルダロットにネイファンを混ぜたような造形というか、女好きにされているモルダロットに涙を禁じ得ないというか。
ナチュラルに魔竜が喋っているのは物語の都合上仕方ないにしても、魔竜に騙されてはならない、魔竜はにっくき敵である、人類は必ず勝つ、みたいなのが散りばめられている。各人の好戦的な言い回しは対竜学園ならでは……かと思いきや、原作──尤も作者不詳なのだが──にそういう言い回しや表情が描かれていたりと、この物語は対竜に来るような子供達には滅法受けが良い。
さて。
では、ノア・ヘドクイストは『
えー、答えは当然に英雄である。俺がクラスで一番背が低いわけだから、そういうのは似合わないよ、と何度も断ったのだが、「ニヤニヤしてるのにちゃんと強くて、それを鼻にかけてないところがそっくりだから」という理由でここに配属された。
そして姫君役はレイナ……ではなく、レイナは騎士役。姫君役は別の子だった。英雄と背を預けて罵倒し合うシーンがどうしてもやりたかったらしい。
……で。
まぁ、今のはかいつまんで述べた内容だったけど……本当はもうちょっとクサい台詞が入ると言いますか。
英雄も騎士も姫君ももっとかっこよく描かれるし、魔竜ももっともっと下品な言葉を使う。対竜の教師陣から流石に……という指導が入るレベルに汚い言葉を。メッテを思い出すレベル。
で、なんだ。まぁ。ほら。俺「──ですよね?」さんじゃん? 「──ですよね?」のためならなんにだってなれるわけじゃん?
だからその……まぁ、ガキンチョ連中に比べたら当然演技力も高いわけで。いやヘンリーにはズバズバ見抜かれたけど、一般人は騙し通せるくらいの演技力は持っているわけで。
低身長が気にならないほど熱の入った演技をしたらマー……その骨踊祭で、プチ騒動が起こる程度には好かれたんだわな。いやあの時は大変だった。ニヤニヤしながら俺を群集のもとへ引き摺り出そうとする『
……あの時あのクラスにリッドがいたら絶対ヤバかった。
いや。いやね、別に良いのよ。ノア・ヘドクイストはちやほやされても笑顔でありがとうと言えるポテンシャルがあるからね。
俺自身もどれだけ誉めそやされようが羞恥とか無いわけで。
でも、あの時は如何に天才の目を掻い潜るか……つまり「子供らしさ」を徹底するか、というのに重きをおいていたから、目立たないようにして、本気で嫌がって、本気で逃げる、というのをやった覚えがある。
結果的に子供の範疇から外れていた可能性は無きにしも非ずだけど、ヘンリーが見咎めてこなかったのでセーフだろう。
というわけで、ノア・ヘドクイストとしては、『
さて、室内運動機能場の第二準備室で上体を起こし、扉を開ければ──おや。どういうことでしょう。
無人だったはずの運動機能場の方に、数人の少年少女が来ているではありませんか。
「ん? だれだ、おまえ。みないカオだな」
「よしなよ、セテム。違うクラスの子だろ」
「……薄靄みたいな髪色に、夜の霧みたいな瞳……。それに、忘れもしない、二重線の魔力質……あ、あの、もしかして!」
「おっと邪魔したねそれじゃ!!」
インスタント「──ですよね?」と王道「──ですよね?」の後に邪道は食べたくない! ので申し訳ないけど会話ぶっちして去らせてもらおうそうしよう。
そのまま早歩きの高速移動で受付まで移動し、手続きをしよう……として、なんだか慌ただしいことに気付く。
「どうかしましたか?」
「んっ、の、ノア・ヘドクイスト!? ど、どうしてここにいるであるか!?」
「園長、落ち着きなって。ノアは丁度今日学園内を視察しにきてたんだよ。知り合いの子がもうすぐタルスに来るらしくってさ」
「お主は落ち着きすぎである!! 魔竜が出ているのであるぞ! 早く子供達を避難させねば!!」
……おっと、そういう話題か。
あー。……まぁ、なんだ。差し向けられた感は否めないけど。
「越竜の増援到着まで僕が相手しますよ、そいつ。座標をください」
「ひ、一人でか!? いや待て戦える教師……退役冒険者を見繕うであるから──」
「ローンドランドの川わかる? あの近辺で、既に帝国兵はいるっぽいけど歯が立たないみたいでさ」
「うわ近っ。じゃあ帝国兵への通達お願いします。僕行くんで」
「ままま、待つであるノア・ヘドクイスト!! お主は確かに強き者やもしれぬが、単身ではほっとんど戦えなかろう! お主がサポート特化なのは我々が一番わかっておるのだ! それを──」
「はいはい落ち着いて。もう時間ないし──それに、ノアがやれるっていうんなら、やれるよ。あの子、できないことを口にして、責任取れないままに戦線崩壊、みたいなヘマは絶対にしないもん。越竜でどれほどを学んだかは知らないけど、そういうところは変わってないでしょ」
……良いなぁ。
なんか。図らずも、だけど。
母校、って感じがするよ。
「園長先生」
「な……なんであるか、ノア・ヘドクイスト」
「僕が戦ってるって聞けば、真っ先にレイナと、あとリッドって子が来ると思う。その子達に言っておいて。──君達の取り分もう無いよ、遅すぎ、って。それじゃ」
さて。
今の俺は気分が良いので、vsアルカの時ほどじゃないにしても、割と全開めで行かせてもらいましょーかね。