序盤からずっと利用するような施設経営者だけど強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれて最後に「ですよね?」で締め括られる存在になりたい 作:ブ雨堰ド
彼女の名前はアルカ。アルカ・ダヴィドウィッチ。
ゼルパパム国立魔法大学三年、カルストラ研究室の筆頭学生にして筆頭助手。室長であるモーガンに対し……ではなく、モーガンの刻印行使に対して恋をした華の十七歳だ。
彼女の長年の研究テーマは「無駄のない刻印行使」であり、そして「芸術性に富んだ刻印」でもある。冗長に刻印を行えば誰だって望み通りの結果を弾き出せる。だから、減算に減算を重ね、よりシンプルに、それでいて芸術としても美しさを残した刻印で望み通りの結果を出す。それこそがもっとも美しい、と。
幼少の頃より自らの真理に至り、それを胸に抱いてきたアルカにとって、モーガン・カルストラの刻印行使はまさに理想のそれであった。
古代魔族語を日常的に使っているのではないかと思うほど豊富な語彙と、教本用に集中して書かれたと聞いて疑いない美しい字。少ない文字数から複数の意味を取り出す際の取り出し方も、まとめ上げてシンプルなシンボルとして扱う時も、その彼が儀式場レベルの膨大式を書いた時も……芸術作品を作っているのだと見紛うばかりで。
理想の体現者であると言えた。
だから彼女は、彼に招待状を出したのだ。
アルカ・ダヴィドウィッチ。史上最年少にして【マギスケイオス】に加盟を許された、『最小限』の称号持ち。
……まさか断られるとは夢にも思っていなかった彼女であった。
なぜ【マギスケイオス】のメンバーが古来より十二人を超えないのか。
それは【マギスケイオス】におけるメンバー加盟のルールに由来する。
彼女が彼に説明した招待ルールに間違いはないけれど、言っていないことが一つだけある。それは、招待状を出したメンバーが招待した者へ、その席を譲る、というルールだ。つまり、席にはそれぞれのテーマが決まっていて、そこに座る者は、時代を経ながら代替わりをしているのである。
アルカも前代『最小限』の招待を受けて【マギスケイオス】のもとへ辿り着き、過半数の推薦を受けてメンバーとなった。ドブロガク・ゼンノーティ。本来文でしかなかった刻印式を紋様の形に改め、魔法陣というものを成立させた天才の一人。ただ、アルカに席を譲ったあと、彼は病によって倒れてしまった。病で先が無いことを知っていたからアルカを推薦したのやもしれないが。
そんなわけで当代の『最小限』であるアルカには、自身より優れていると思う『最小限』に対して招待状を出すことが可能であり、まるで【マギスケイオス】という謎の団体から手紙が届いた風を装うことまで成功した……というのに。
あろうことかモーガン・カルストラは【マギスケイオス】を「魔法大好きクラブ」と見限り、その誘いを蹴ったのである。
……ちなみに「魔法大好きクラブ」というのは些か棘のある比喩だけど、間違ってはいないかな……というのがアルカの正直な感想。彼女以外の十一人もまた、自らの研究テーマに邁進し、改善するためであれば他の何をも厭わない
それで。
断られはしたが、諦められるわけでもない。いや、別に【マギスケイオス】へは加入してくれなくてもいいけど、彼という天才を自身の卒業なんてくだらない理由で見られなくなるのは勿体ないが過ぎる。
だから彼女は、ストーカーになった。
朝四時。起床と共にモーガンの一日を観察すべく、彼の家へ。しかし不在。こんな朝方にどこへ行ったのかと足跡検知の魔法を使ってみれば、それが続くのは港……否、海の中。
急いで『潜水』や『撥水』、『水中行動』といった刻印を防寒具へと施し、いざダイビング、とした手前で首根っこを掴まれる。
「何をしている。入水自殺をするにしても、こんな寒い時期である必要はないだろう。あと、溺れ死ぬのは他の死に方よりキツいぞ」
「うぇ、教授……ってあれ、水面に浮いて……?」
「『撥水』の刻印の応用だ。
海の水を持ち上げ、掌の上で球体にするモーガン。
「こんなものは手品に過ぎないが……ああいや、なんでもない。……抜けんな、中々」
「やっぱ綺麗……。ハッ。で、教授はこんな朝の海で……海面で何をしていたんですか?」
「水質調査だ」
「……?」
モーガンはアルカを持ち上げ、海面を歩いて港にまで辿り着く。そこへ彼女を優しく下ろし、腰に下げていた三角フラスコの何本かをアルカの前に出した。
左から、白く濁った水、黄土色に見える水、無色の水、少し赤っぽい砂のようなものが混じる水である。
「左から、沖合100athlの海水、10kathlの海水、ゼルパパム中心部の海水、海中にあった奇妙な魔道具付近にあった海水になる」
「……ほんのわずかだけど、魔力を感じる、ような?」
「良い着眼点だ。一番右の赤い砂粒。これがその魔力のもとだろう。この赤い砂粒には極小の刻印が施されている。光属性式魔導顕微鏡で見なければわからないレベルの刻印がな」
「え……そんなものどうやって施すんですか。発見したのもすごいですけど……」
「さて。私ならできるし、できる機材も作れるが、他の者が、となると悩みどころだ。文字自体は小さいが書き方には削減や節約の傾向が見られなかったから、私の講義の生徒ではないだろうことは確実だが」
「いやいや学生レベルじゃまず無理ですって」
言いながらアルカは自身の目蓋裏に刻んである刻印の一つを発動させる。
彼女の視界内に「誰がどのようにして書いたのか」を幻として浮かび上がらせる高等刻印だ。
浮かび上がったのは……頭が二つに分かれた樹木みたいなナニカ。白衣を着て作業をしているから知性体であることはわかるが、魔族……だとしてもあまりに見たことのないもの。
「刻印式は毒や汚染を意味するものばかりだった。白く濁っていた港付近の海水、黄土色の海水はそれにやられたもの……飲んだり、それを飲んだ魚介を口にしたりすれば、確実に体調不良や厄介な後遺症を齎すものばかり」
「いやいやだったら早く知らせに行かないと! 何のんびりしてるんですか! 漁師さんたちの朝は早いんですよ!?」
「既に浄化済みだ。流石にこの広域は私でも骨が折れたが、少なくともゼルパパムの海にはもう毒素と呼べるものは残っていない」
何を言っているのかすぐには理解できなかった。
ゼルパパムの海。面積にして7,000kathl2はある。
広域というレベルではない。かつて大陸の四国にまたがって降臨した《
「教授……一生ついていきます!」
「なんだ急に」
「決めました。私は教授がいくところなら、たとえ火の中水の中、魔王の眼前へだってついていきます!」
改めて好きになりました(刻印が)であるが、それを言うほどアルカは慎みが持てないわけではない。
だが、ここに、「そういう味変もアリか?」とか考えている畜生がいることを忘れてはならない。
「──ならばついてくるか?」
「え?」
アルカ・ダヴィドウィッチ。華の十七歳。
ゼルパパム国立魔法大学卒業を目前にして──中退。
同時期に姿を消した同研究室室長モーガン・カルストラと駆け落ちしたとも、あの教授に限ってそれはあり得ないので何か事件に巻き込まれたとも言われている。
後日彼女のもとへ【マギスケイオス】から苦言が届く。名前を公に広めないとはいえ、【マギスケイオス】が中退は如何なものか、と。
当然返信はとんでもないレベルに凝縮された呪詛であったとか。
***
港湾国家ゼルパパムは四つの港から成る国家であり、各港を行き来するには『公営外輪船』と『貿易船』のどちらかを使うか、公営ではない民間の企業・個人を頼る必要がある。ただし前者二つの航路を遮ることは禁じられているため、どうやったって遠回りになるし、時間もかかる。また、乗船中の食料などはすべて乗客負担となることが多く、金銭面でも時間面でも『公営外輪船』を使うのが丸いとされている。
それでも言うに言われぬ事情がある者が出てくるのも事実。『公営外輪船』へは身分証明書の提示が必要となるため、それには乗ることができないという者が多数いるのだ。
いくら遅かろうと費用がかかろうと、そこには需要と供給が存在するのである。
さて、レスベンスト冒険隊と名乗る少年少女を知っているだろうか。
近頃発生している謎の魔物狂暴化事件……それを破竹の勢いで解決していっている、四人のメンバー全員が未だ成人を迎えていないあるチームのことだ。
ゼルパパムには冒険者ギルドが存在しない。基本的にその港で起きたことはその港が片付ける、という暗黙の了解があるため、国全土から依頼を受け、冒険者を斡旋する、というような仕組みが取り難いのである。
レスベンスト冒険隊はそんな事情から冒険者を夢見る少年少女によって結成されたチームであるのだが、大人が舌を巻くレベルの高い戦闘技術を持っていて、それが次第に有名になりつつある、といったところ。
神出鬼没にゼルパパム全域に現れる彼らであるが、『公営外輪船』に乗った記録は驚くほどに少ない。ではどうして彼らがゼルパパムを行き来しているのかと言えば──。
「ダヴィド船長~! 右手にボイルシーシザースだ! 面舵いっぱぁ~い! いや~言ってみたかったんだよねこれ」
「言うてる場合か! はよ武器の準備しんかい!」
「そう叫ばなくても聞こえてるよ~……はぁ、私ほんと、何をしているんだろう……」
それは小さな船だった。『公営外輪船』や『貿易船』に遠く及ばないどころか、民間船の半分もないちんまりとした船。
否、船と呼べるのかすら怪しい。なんせその船は、水に浸かっていない……海面を滑るようにして移動しているのだから。
船の操舵室にいるのは少女。この船の船長で、ダヴィド船長と呼ばれている少女だ。ちなみに操舵室ではあるが操舵輪は無い。この船は別の舵と動力で動いている。
船長へ報告をし、いそいそと武器や装備を整えているのは四人の少年少女。レスベンスト冒険隊である。
そして──船の中でハンモックに身体を預け、のんびり読書をしているのが、レスベンスト冒険隊が「教授」と呼ぶ鋭い目つきの男性だ。
船長と教授。
レスベンスト冒険隊は結成初期にその二人に出会った。
自由に動かせる足が無いことを悩んでいた四人はこの珍妙不可思議な二人と仲良くなって、ストレイルではなく魔鉱石の支払いで二人の船舶を使わせてもらえることになったのだ。
海面を滑る船。
これによってレスベンスト冒険隊の移動可能距離・現場急行時間は著しく改善され、そうして「神出鬼没に現れる」と言われるほどのスピード感を得たのである。
なお、船長と教授はレスベンスト冒険隊所属ではない。年齢が上すぎるのと、何より二人が加入を拒んだが故だ。それでもレスベンスト冒険隊は、この船と船員二人を同じ仲間のように大切に思っていた。
こうして海で魔物に遭遇する場合を除き、陸地での冒険に二人はついてこない。
でも、冒険隊が冒険を終えて港に戻ると二人が迎えてくれて、教授曰く「漁師飯の一種だが」らしい美味しい食事が出てきたり、「しばらくは魔物も出てこないと思うから、ゆっくり休んでね」と言ってくれる船長がいてくれたりするから、冒険隊にとって
──そんな彼らであるが、最近共通の悩みがある。
「限界……ですか? 私からしても皆はとんでもなく強く見えるので、全然そんな感じしませんけど」
「強さの限界というより、できる幅の限界か。お前達は四人で完成するチームだから、手分けをしたり、分散をした状態での問題解決能力に乏しい。……ゼルパパムには冒険者酒場というものがないからな、仲間集めにも苦労をするだろう」
ということであった。
最近魔物の狂暴化が増えてきている。レスベンスト冒険隊結成時で既に増えに増えていた狂暴化事件であるが、この頃になって手の付けられない数になってきているのだ。
そしてそれは、手分けをして対処しなければ無理な規模であったり、時には一人で戦わなければならない量であったりする。無論少年少女ら一人一人の戦闘力はダヴィド船長の言う通り「とんでもなく強い」ものだが、一人で処理できることには限界がある。
だから人数を増やすべきだと彼らは考えていた。感じていた。
でも。
「うーん。正直そこまで行くなら国が動きなよって思っちゃうかな、私は。君達は今やたくさんの人々に信頼される冒険隊かもしれないけど、国からお金をもらっているわけでもないし、物資なんかの支援を受けているわけでもない。言い方はキツいかもだけど、君達の領分じゃないって感じ」
「なまじその港のことはその港で、という暗黙の了解があるせいで全体被害を理解し難いのだろうが、確かにあまりにも国が動かな過ぎるな。私もダヴィドに同意見だ。これ以上はお前達の領分ではない。人員の追加を望むのであれば、まず国へ事態を報告し、兵を動員してもらうよう動くべきだ。それを行って尚国が動かぬのであれば、その時初めて仲間を募集すればいい。そうなってからでも遅くはないはずだ」
大人二人の意見には理があった。確かにまず国へ直談判しにいくべきだ。
レスベンスト冒険隊は二人の助言を受けて、南西の港アンガ・ダナへ向かう。ゼルパパムにおける行政機関のある場所だ。
いつも通り港で待っていると言った船長と教授を置いて、少年少女は首都を目指す──。
そんな背中を見送って。
「実際のところ、どう思う?」
「んー。99%国が黒幕で、残りの1%で魔族が黒幕、ですかね」
「なんでもかんでも魔族のせいにするべきではないと思うが、概ね同意だ。いくらなんでも国が静観しすぎている。何よりギルドが無い国だ。あの子たちや村ごとの自治組織に任せたところで、焼け石に水だろうに」
きな臭くなってきた事態に船長と教授……否、元学生と元教授が苦言を呈す。
「正直なこと言うと、私は教授のことも一瞬疑いましたよー」
「私が失踪を始めてから魔物が狂暴化したから、か?」
「はい。この人は実はそうなるってわかっていたから大学を離れ、現場に近しい彼らの近くにその席を作ったんじゃないか、って。だとしたらあまりにも計画性がありすぎるし、結局目的がなんなのかって部分に躓くので、違うなってなりましたけど」
とはいえ、どうしてこの元教授が大学をやめたのかについてはわかっていない元学生だ。刻印魔法の真髄のような船を作り上げ、それを少年少女の足代わりにしている理由もつかめない。
そうしている間にも元学生のもとへは【マギスケイオス】から「何を遊んでいるのか」とか「学業が消えたのなら研究に戻ってきなさい」とかって余計なお世話な督促状……もとい手紙が届いている。住所なんか明かしていないのに手紙が届くことへは、【マギスケイオス】だからで理解できる話だ。
ちなみに学生へ見せる必要がなくなったからか、元教授はその日常生活において四段階くらい上の刻印魔法を使い始めている。それを見て解析するだけで彼女の知識は増えていくから、遊んでいるわけでも研究をしていないわけでもなかったりする。
「
「いえ……初耳です。
それの血属と言われてもいまいちピンと来ない。
「特別な血を有する魔族だそうだ。仮面の魔族や伐開の魔族といった特殊個体の魔族の祖であり、その血液の匂いを嗅ぐだけで魔物や魔族は狂乱状態へと陥り、万一にでも飲んでしまえば死ぬまで興奮状態が続き、元に戻らない、などと言われている」
「……まさに今の状況と似て……。……まさか、教授が発見したあの赤い粒って」
「ああ。私もそれを考えていた。とはいえこれは魔族の民間伝承による、エルフやドワーフと同じ御伽噺の一種であり、その姿を確認したことのある魔族はいないとさえされている話だ。だから思考から除外していたのだが……」
なぜ人間の元教授が魔族の民間伝承を知っているのか、という部分については一旦さておくとして、もし仮にそうである場合、一番怪しいのはやはり元学生の幻視したあの樹木の魔族だし、その次に怪しいのは。
「子供達が……危ないですよ、それ。もし……国が乗っ取られていたら。ど、どうして止めなかったんですか」
「何が目的なのかを考えていたし、あの子たちであれば問題ないだろうとも考えていた。とはいえ何もしないわけではないが。"
六文字-三単語という驚異の短さから編まれるは、鳥の形をしたコンストラクト。
直訳すると"不幸を回避する運び鳥"だが、果たしてそこから幾つ意味を取り出し、そして固定しているのか。
そら、という掛け声と共にコンストラクトが空に放たれる。
「教授、今のは……監視とお守り、ですか?」
「いざという時にはB級の魔物程度なら倒せる戦闘力を持っているが、本質はそこではない。以前やった水質の浄化……あれを大気に対して行うコンストラクトだ。万が一、ということもあり得るからな。それと、怪我を治癒する力も少しだけだが有している。子供達の助けになるだろう」
「よく……三単語にそこまで詰め込めますね」
「私は経験値が違うからな。狭い箇所にどれほど、という分野において、私以上にノウハウのある人間はそういないだろう」
さて、と踵を返し、
「子供達が帰ってくる前に調理を済ませねば。……ところでアルカ、前回出したなめろう、いたく気に入っていたようだったが、子供達にはどうだろうか」
「私は死ぬほど美味しく感じましたけど、子供達には早いかなー? 結構クセありますもんね」
「そうか。……まぁ普通に……いやホイル焼き……だが待てホイルが無い……作るか?」
モーガン・カルストラ教授。
今のマイブームは、刻印ではなく料理。元気いっぱいな子供達の身体を作り、それでいて毎日美味しいと言わせる献立に悩む日々であった。
結局のところ、レスベンスト冒険隊は国の援助を受け取ることができなかった。
断固として「その港のことはその港が解決すべき」という姿勢を崩さなかった彼らをレスベンスト冒険隊は見限り、改めて仲間探しを始める。途中でなんか錯乱した魔族が襲ってきたけど彼らの歩みを止めるには足りないものが多すぎた。
レスベンスト冒険隊のリーダー、アルジオ・レスベンスト。そしてサブリーダー、ユリウス・ヴァーハウスト。彼らは今、悩んでいた。
新メンバー募集の文を出して一週間。──応募者、なんとゼロ人。
冒険隊の名は売れてきたものの、やはり他の港のことはその港が、という理念が抜けていない者達に対して「共にゼルパパムを救おう!」なんて言っても無駄なのかもしれない。
それならもう別の国で募集した方がいいまである。ユリウスの叔父のいる国などはずっと戦争をしているから冒険者の質が高い。──兵士崩れが多いから、という理由で。そういうのを頼るべきだ、と。
しかし、その提案に最もしっくり来ていないのはユリウス本人であり、アルジオもまたしっくりは来ていない。
女子二人の方もあっちはあっちで人を募集しているのだけど、この分だとどっちもボウズ──。
「あ、いたいた! 見つかったわよ、加入希望者! 四人も!」
──果たしてこれが人徳によるものなのか、それとも募集文が悪いのか、はたまた別の目的があるのか。
当然の顔をして新規加入者を見つけてきた女子二人に対し、アルジオとユリウスは並々ならぬ思いを抱くとともに、その場で蹲って撃沈するのだった。
気を取り直して。
計二回の面談の結果、応募者四人の内二人がレスベンスト冒険隊の新規加入者となった。残りの二人は温度感が違ったりあまり遠くへは行けないとかでミスマッチとなった次第である。
一人。自称次期【マギスケイオス】。自称『雄弁』のエレオノーラ。スーパー凄いウルトラ過激な魔法を使ってあらゆる魔物を蹴散らしたいらしい。
一人。狂暴化魔物の調査が行いたいという理由で加入を希望し、それと同時に高い戦闘能力も見せたリチャード・スミス。
申し分ない戦闘力と、狂暴化魔物に対する熱い姿勢を加味し、二人は晴れてレスベンスト冒険隊の一員となった。
こうして仲間を増やしたレスベンスト冒険隊は
帰って、紹介して、船長の開口一番は。
「うわ、怪しっ」
だった。
それでも「人を見る目あり過ぎて最早計測機」な教授が「まぁ、いいのではないか?」と言ったから、彼女も信用をすることにする。
──そんな一連のあれこれの中で、エレオノーラもリチャードもそれぞれ別の理由で「目を見開いていた」ことを──。
当然見逃していない畜生が、一人。
このあとリチャードは畜生の喜ぶ「──ですよね?」を発するのだが、残念ながらオーディエンスに恵まれなかった。
だから、さらなる「──ですよね?」を求め、今までは受けに徹していた畜生が、精力的に動きだす──。