序盤からずっと利用するような施設経営者だけど強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれて最後に「ですよね?」で締め括られる存在になりたい 作:ブ雨堰ド
惜しい。惜しすぎる。
大分理想的な「──ですよね?」だったけど、如何せんオーディエンスが!
あくまで俺の夢は主人公たちのいる前で強キャラがそういう発言をすることによって発生する「この人そんなに凄い人だったんだ……」の方であり、誰もいないところで「──ですよね?」を言われてもちょっと違う。ちょっと違うのだ。
それに、ちょっと悪意ありけりなのが良くない。
リチャード・スミス。うん、思いっきし偽名。魔族の魔力の質ではないけれど、策士とシーフ半々みたいな質をしているから、自分で考えられるタイプの暗殺者かなんかだろうね。
しかしどうするか。
割とこの「序盤からずっと利用するような施設」として船舶保有者は合致していたし、顔と名前が売れていることもあって強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれる、も達成しやすい位置にいるんだけど、如何せん国が。
あと三年ちょっとで本当にどうにかなるんか、ってくらい国が動乱していてございます。
これまずゼルパパムの問題はどうにかしないと楽しい「──ですよね?」ムーブができないんじゃないかと思い始めた今日この頃。
久しぶりに良い肉が手に入ったってことで、船上ではなく陸地でキャンプを敷いて、BBQに勤しんでいた時の話だ。
「うめー……この酸っぱいソースがめちゃくちゃ合うんだよなー」
「山菜だけでこれができるのですから、わからないものですよね……」
この世界、調味料含む料理の文化が発展していない、ということは全くないのだけど、やっぱり無いものは無いので作るしかない。
その一つが梅や紫蘇といった酸味のあるもので、野生にすら無かったので品種改良して作った。ちゃんと調べてないけどクエン酸やリンゴ酸が無いのかもしれない。要検証だと思うけどモーガンのやることじゃないってそれはそう。
料理人は料理人で「──ですよね?」チャンスがあるから、そこのためにとっておきたい。
「……丁度いい機会ですし、少しお話がありますの。アルジオ隊長、少しお時間取っていただいてよろしくて?」
「勿論いいけど、どうしたよ改まって」
エレオノーラちゃんが食器を置いて何事かを話し始める。
この怪しい二人組もようやくレスベンスト冒険隊に馴染んできた頃合いだというのに──リチャードからは隠しきれない悪意があるが──ここで何か重大な事実でも発表するつもりなのか。ああいや、馴染んできたから、か?
「ダヴィド船長」
「へぁ!? あ、な、なんですか? お肉食べながらでもいいですか?」
「構いません。……いつも公言しております通り、私、次期【マギスケイオス】の座を狙っておりますの」
「……」
そこから展開されるは、エレオノーラちゃんが如何に【マギスケイオス】が好きか、という話と、【マギスケイオス】のことを調べに調べている【マギスケイオス】フリークである、という話。俺からしたら「ほーん」くらいのものだし、レスベンスト冒険隊も「へー」くらいの反応だった。
ただ一人──アルカを除いては。
「あ、えーと。……そ、そうなんだ……あはは……」
なんだこいつ。お前も【マギスケイオス】フリークなんだからノりゃあいいのに。なんか遠慮してんな。挙動不審だし。
実はコミュ障なのか? 自分に自信が無いだけで、友達が少なかった、みたいな覚えはないんだが。
「【マギスケイオス】における十二の魔導士たち。その中に、『
へー。「魔法大好きクラブ」にもそういうの目指しているやつがいるのか。ああだからアルカは俺の背を押したの? 馬鹿お前、二番煎じで行ってもウケは良くないんだよ。こういうとこじゃ似てるものよりオンリーワンの方が囃されるんだから
……しかし、【マギスケイオス】からの手紙が来てすぐの失踪だったのに、世間は全然【マギスケイオス】へ疑いをかけないでやんの。別に迷惑かかんないならそれでもいいけどさ。
「──『最小限』アルカ・ダヴィドウィッチさん。──ですよね?」
え。
チョオオオオオオイ!?
「な、なんのことかナ~……?」
「この船。他に類を見ない形をしていますが、船底や船体の至る所に紋様に見せかけた刻印が彫ってありますの。最小の文章で最大限の効果を引っ張り出す。まさに『最小限』の名に相応しい船ですわ」
「え……ダヴィド船長って【マギスケイオス】だったのか……どーりでやべー魔物が出ても落ち着いてるはずだぜ……」
「なんでこんなところに【マギスケイオス】がいるの……? それでなんで船長……?」
「おやおや……成程、ただの学生が彼と共にいる理由がわかりませんでしたが、そういうことですか」
おま! お前! それ俺! 俺がやりたいやつ!!
つーかお前なんだよ実力者かよ! 俺の講義もあれか、割と「在野も結構やるじゃん?」くらいで聞き流してたのか! くそー、それ俺がやりたいのに!!
「──仮にそうだとして、エレオノーラ。お前は何がしたいのだ」
「え、いえ、ですから、はっきりさせたくて……」
「仮に彼女が【マギスケイオス】であると認めたとして、何をさせたいのかを聞いている。こんなところにいるのはおかしいと糾弾したいのか? それとも自身を【マギスケイオス】に入れてほしいと懇願したいのか?」
「えーっ、ダヴィド船長いなくなっちゃうのか? それはヤだなぁ」
「ダヴィド船長がどこで何やってたって悪いことなんか一つもないよ! それを悪いというなら、【マギスケイオス】なんか俺達が倒してやる!」
「……うん。ごめんなさい、エレオノーラさん。私は……確かに【マギスケイオス】かもしれないけれど、今ここにいるのはダヴィド船長、だから。あなたの知っている話は見なかったことにしてほしいかな」
これなー。
いや煽っといてなんなんだけど、考えものではあるよなっていう客観視。
この「──ですよね?」を言ってくれる相手っていうのは俺の夢の成就のための必要不可欠な人材なんだけど、エレオノーラちゃん然りフィノくん然り、言った側が糾弾したみたいになって立場や空気が悪くなりがちだ。
これをさせない立ち回りはやっぱり必要だよなーとか。
「……こちらこそ申し訳ございません。自身の知的好奇心を優先するあまり、空気を乱してしまいましたわ」
「それでいうならさ、エレオノーラ。僕も君に一つ聞きたいことがあったんだけど」
「え、あ、はいですの」
「それ。かなりなお嬢様口調だけど、エレオノーラってどこか良いとこのお嬢様だったりするの?」
あー。それなー。
この世界、言語の成り立ちが不可思議で、日本語レベルで複数の口調や一人称、さらには役割語までが日常会話で使われている。
公用語の三十文字はその由来が判明しておらず、各地で使われている言葉は古代魔族語のように全く違う系統の言葉も少なくない。一度世界が征服されて、この言葉を使いましょうね、って誰かが強制した、トカでもない限りこうはならなそうなくらい、公用語が文化に根差している国が無いのだ。
……これは逸れた話になるが、今回古代魔族語の研究が必要な刻印魔法学を学びにこの時代へやってきた……わけだけど、古代魔族語を学んでいる割に魔族と交流を持とうとする者がいないのが少し違和感ある。
俺が根っからの研究者なら、魔族にこそ古代魔族語の真髄があると判断してなんとしてでも交流を持とうとする、くらいはしてもおかしくないと思うんだけどな。研究者ってそういう生き物だろ。だというのに歴史を見ても周囲を見ても、まるで「魔族とは言葉の通じない存在である」とでもいうかのように彼らの意思や文化を無視する。魔族が人間を嫌うのはわかる。それだけの理由がある。だが、人間がこうまでして魔族を嫌うのはなぜだ。
いくら調べてもでてこないあたり、不文律のようなものがある……か、種族的な直感で嫌悪しているのか。
俺は転生者なわけで、この世界の純粋な人間側の気持ちがわかるとは言い難い。そこに何かヒントがあるのか。
自身の大望とは別に、この世界の不思議を解き明かすのが面白くなっている自分もいるんだよな。
「──というわけですわ」
「なるほどね~」
……聞いてなかったや。まぁ多分あんまり興味のない話だろう。
興味ある話題なら考え事していても耳が拾って後からワードを組み立てて何の話をしていたのか思い出す、くらいの曲芸はできるので。
手品のような……ああもう、本当に口癖なんだなこれ。大学時代も死ぬほど言ってたんだろうなぁ気付いてないだけで。
──ん。
「"アンファイス"」
「なにか……来ますね」
肉を突き刺していた鉄串に刻印を施し、自立させる。
他に気付いたのはリチャードか。こいつは結局なんなんだろうな。
遅れて気付いたらしい子供達、アルカ、エレオノーラが順番に得物を取り出す。……ん、なんだアルカ、そのロケットは。【マギスケイオス】としての武装か?
ギャアギャア鳴いて飛翔してきたのは、三つ目三つ足の黒い鳥。それはアンファイスのコンストラクトに串刺しにされて絶命する……が。
続いて二羽、三羽と同じものが飛来する。完全に同じ。クローンか分身か。
「食ってる時になんだよもー! 教授と船長は船の中で隠れてて! 危ないから!」
「【マギスケイオス】だかなんだか知らないけど、ダヴィド船長がヒョロヒョロブロテスなのは変わんないんだから!」
ブロテス。まー、モヤシのことだ。
お言葉に甘えさせてもらう。モーガンは戦闘者ではないので。
十数分後。戦闘音がしなくなったので顔を出してみれば、すべてが終わっていた。
──レスベンスト冒険隊全滅の結果で。
「え──」
「"グラニデ"」
解呪する。途端、雲散霧消する幻。
そこには冒険者はおろか、黒い鳥の死骸さえないただの陸地。
「……幻術!」
「分断されたか。アルカ、もう隠さなくてよくなったんだ。何か追跡や目印に使えるような魔法は使えないのか?」
「あー……ハイ、デキマス」
「別にお前がどこの誰であっても気にしないから、やってくれ」
「……はい!」
なんだ元気になったな。さっきまで死ぬほどびくびくしてたのに。
追放? 離縁宣言? するワケ。だって俺がエンジョイ勢だぜ?
俺が失踪することはあると思うけどね!!
彼女がロケットをぎゅ、と握りしめれば、魔法陣が四つほど展開する。……ほー、凄まじく緻密な魔法陣だ。魔道具とかに使われるやつだな。
その魔法陣の一つから長大な杖が出てきた。……こーれは。杖の形をしているけど、いわゆる聖剣や魔剣の一種と見た。天然の武具加工の施されたもの。『効率化XII』や『魔法増幅VII』に近しい加工が施されているけれど、ほとんど模様に見えるな。これを鍛造した精霊は分かり手だろう。
「──『
詠唱と共に無数の魔法陣が球形を模して展開される。……球形を目指して球形になったというよりは、限られた範囲で文字が被らないよう配置した結果、円形の魔法陣が球形を描いた、という感じだ。
うーわ。
五十文字以内の音節にとんでもない魔力を込めたな。取り出す意味は無数にあるだろうけど、……成程ね。初めにパターンとしてテンプレート化した魔法陣を何か別媒体に記録して、用途に合わせてツール……スタンプみたいに持ってきてんのか。
成程……成程成程。面白い。刻印魔法とは違う……いや、突き詰めたもう一つの形、って感じの技術だ。これは……俺には無い発想だな。俺のは言ってしまえば知っている事象をこの世界に当てはめた、という発想が多い。シュラインの加工は集積回路だし、潜在主義だってAIの生成プロセスだ。ヴァルカンの育成法は……なんだろ、でもステータスって概念を知っていればこそだった。
でもこれは、たとえば自然界のウイルスや細菌が効率と容易性から正二十面体を取ることが多くなる、みたいな……「本当に切羽詰まっているからこそ生まれた発想で、だからこそ存在できる最大限と同質になる」みたいなものだ。
必死でこの世界を生きていないと出てこないタイプの発想。俺が絶対に辿り着けない理想。
……素直に嫉妬しよう。もし俺がこの大望を抱いていなかったら、この魔法陣を見ただけで腐っていたかもしれない。それほどの出来だ。
どこからともなく現れた鬼火。それが六本の道を作る。
子供達とエレオノーラ、リチャードに繋がる道か。……ふん、改善のしようがないな。完成されきっている。
これを上澄みだけ真似て「──ですよね?」に使うこともできるが……そんなせこい真似はしないさ。俺はあくまで自分の見つけたことでそれをやらなきゃ、最大限楽しめないから。
「その魔法陣、開発したのはお前か?」
「いえ、私の前代『最小限』の魔法使いです。交差型立体球形魔法陣……人体の周囲、自由に魔力を操れる最大限の空間に可能な限り魔法陣を展開し、ひとつの万能として成立させます」
「その前代がお前に代替わりしたからには、お前にも何か他者に誇れるオリジナルがある。その認識で違いないか?」
「……そう、ですね。教授に及ぶものかは……わかりませんけど」
「いつか見せてくれ。加入する気はないが、【マギスケイオス】に対しては多少興味が湧いたよ」
俺の目的と乖離するからなるのは御免だけど、「魔法大好き倶楽部」を名乗るだけはあるんだろうな。
さて。
流石に子供達を探しにいくか。彼らにはまだ「──ですよね?」チャンスがあると俺のセンサーが言っているので。
船にセキュリティを仕掛け、まず向かったのはレスベンスト冒険隊が女子ーズのところだ。冒険隊全員が全員最盛期ガジールくんくらいには強いこの冒険隊だけど、女子ーズはスカウトと魔法使い。流石に近接戦闘バリバリとかが来たら無理なはず。
「チ……数が多いったらないわね! みんなとは逸れちゃうし……ああもううざったるい!」
とか言いながら、無数の黒い鳥の中で踊るように弓を引いている女子ーズ、レベッカちゃんを発見。
三本四本同時に番えるのは当然の行いであり、攻撃を回避しながらノールックで射ては一撃で絶死させる凄技を通常攻撃でやっている。
改めて思うけどカズラくんやリュオンとかと比べて、この子たちだけ戦闘能力異様なんだよね。まだあの子たち十歳に満たないんだよ?
「私達、必要でしょうか、これ」
「下手に姿を現すと"船長と教授が陸地に現れるはずがない"と言われて問答無用で射られてしまいそうだな」
「……もう少し広い所へ行って、下手人の方を探した方が良くないですか。あの矢当然の顔をして曲がってくるので私の魔法じゃ防げないんですよね」
一理ある。
子供連中が心配で来ただけだし、大丈夫だというのならそっちにするのもあり。
まぁでも魔法使いの子の方も様子見して──。
遠くで。
激しい怒槌が落ちる。……多分仲間がいる時は巻き込みを恐れて使っていないのだろうタイプの魔法が。
……うん。
「下手人探しをするか」
「賛成です。丸焦げは嫌です……!」
今回に関しては少年少女の戦闘に対して何のアドバイスもしてないから「儂が育てた」感は薄いんだけど、いやだからこそ、彼ら彼女らの英雄感がすごい。
また別のところでは炎の竜巻みたいなのが見えるけど、あれはエレオノーラちゃんか。まぁあの子は【マギスケイオス】フリークな口調とは裏腹に普通に実力者だろうからあんま心配してなかったけど。
さて、開けた場所で且つ小高い丘の上にやってくる。
では準備をしますね、と言って杖で刻印を書こうとするアルカを止める。
「そのようなものを見せられた後だ。私とて研究者──試してみたくなるのも当然だろう?」
「え」
道中ずっと考えていたんだ。俺があれを再現するにはどうしたらいいだろう、って。
いや、再現は簡単だ。写すだけだから。だから俺流のアレンジを加えた上で披露するには……天然ものに対してどう勝れば、って。ずっと。
俺の武器。俺の最たるものといえば、やはり魔力マニピュレーターだろう。
シュラインの技術はあくまで集積回路についてだし、ケレンの絵も……まぁ筆が同じことをしているだけで、マニピュレーターそのものじゃない。ヴァルカンは言わずもがな。
天然の天才に勝つんなら、自身の最たる武器で正面からぶち破らなきゃ、失礼だ。そうだろう?
魔法には二つの指向性が存在する。
一つは何を目的とするか。もう一つは誰がどうしたいか、だ。炎が対象を燃やすために編まれるのなら、その魔法は魔法使いが敵を倒すために練られるもの。
アルカがさっき見せたのは結界の一種だった。鬼火が道筋を照らし、術者が他者の居場所を知るためのもの。
恐らく結界とはただそれだけのものだ。魔法の一種。仕組みや理論には何か違いがあるのかもしれないが、突き詰めて魔力の造形物であることに変わりはなく、であれば万物の側からそれを編み直すことだって不可能じゃない。
黒い鳥。その出所。あれを操るもの。魔力の所有者。指向性の占有者。
万物の側から必要でないものを除外し、掌の上で高速回転させながら書き込みを行う。魔力マニピュレーター、一万五千の針であり糸であるものを伸ばし、魔力素の配列すら変えてしまう極細の式。
辿れ。見極めろ。この得体の知れない魔法から、それを編んだものと、どこから操られているのかを──可能性を除外し、選択肢を狭め、絞り上げろ。
天才が作る重ねの芸術には届かない。だから俺がやるのは3Dプリンターだ。万能を減算して特化に尖らせる。
掌の上でだけで行われる事象改変。外殻は魔力光の重なりによって眩く輝いているけれど、中心部は光を吸収しているようにさえ見える。
「なに、それ……」
──まだだな。
まだできる。まだ密度を上げられる。まだ小さくできる。
使っていなかったもう片方の手からも魔力マニピュレーターを出して、少しずつ少しずつその球体を小さくしていく。余分な記述を削って、成立しなくなったら内側に書き足して、少しずつ少しずつ。
やがて。
完成する。直径約2mathlほどのベンタブラックばりに黒い球体。まるでそこに空間の穴が開いているかのような黒。輝いているのに黒いそれは、あまりにも緻密な刻印が重なり合っているがゆえ。
……思わず凝り性が発動したけど、機能としては「その場にある魔法を使った術者を特定する」というもの。
だけど間違いなく俺がこの生涯……モーガンやシュラインだけでない全生涯で作ったどの刻印・加工よりも小さく、機能的。
ふーむぅぅぅぅ……満足ぅぅうぅう……。思わずヴァルカンのような溜め息も吐こうというもの……。
夢の「──ですよね?」以外でもこんなに満足できるとは……いやそれを諦めるとか絶対に無いんだけど。
「教授、今……何、やったんですか」
「お前の前代の真似をしただけだ。そら、行け。結界球・道標」
放り投げれば中空にとどまり、そこからどこぞへ向かって一直線に線が伸びる。
うーむ。こんだけ頑張ったけどただこれだけの魔法なんですねー。まぁ副産物として「なんでもできる」万能魔法も開発できたし良しとしよう。
「いくぞ、アルカ。くだらん物語はさっさと幕引きするに限る」
「……やっぱり【マギスケイオス】入りませんか教授。私より絶対向いてますよ」
「私の夢から最も遠い場所。それが【マギスケイオス】だ。入らん」
「教授の夢ってなんで……ああちょっと、置いていかないで!」
しかし魔力マニピュレーターもまだまだ可能性がありそうだな。呪いも解呪できるし、結界まで作れるとは。加工は当然にして……あとは医療とかで活躍しそう。
……ということは料理にも転用できるのでは?
さて、そこには。
アルジオ君に剣でぶっ刺されている魔族の男性がいた。既に絶命済み。
「っ、また幻術!」
「いや」
アルカの声にゆっくりと振り返るアルジオ君。
その顔に俺達へ普段見せている溌剌なそれはどこにもない。
冷たい、機械か何かのような、無表情。
「ん、船長と教授……また幻術か?」
「私達が幻術かどうかはどうでもいい話だ。どうせ証明できない。それより、なぜその男性が魔法使いであると見抜いたのか、教えてほしい」
「……目に見えるものと、嫌な感じのする方向が違った。だから勘に従った。ここに誰がいるのかなんて今でも見えてないけど、嫌な感じがするのは間違いない……あれ、俺なんで船長と教授にこんなこと話してんだ?」
恐ろしい話だ。ただの直感で俺達の魔法をぶち抜いたと、そういうことだろう。
さらに恐ろしいことがあるとすれば。
「ああっ、先越されてる!」
「やっぱり剣は早い……」
「一番乗り……かと思いましたのに、皆さん早いですわね……」
「ダヴィド船長たちまで……まさか幻術!?」
「どうやら本物のようですよ。もしかしたら、私達を心配して来てくれたのかもしれませんね」
アルジオ君だけでなく、他全員がわらわらと集まってきたこと、だろう。
……いや、別にバランサーとかじゃないからアレだけどさ。
この数年後にシュラインが魔鉱石加工技術を発表するわけじゃん。
……え、大丈夫か魔族。普通に人間側が強すぎないか?
あと。
ここに後から途中で合流する強キャラ……いるか? インフレがすぎない?
俺の勘センサー、本当に合ってるか? ハンラムと同じパターンじゃない、よな?