序盤からずっと利用するような施設経営者だけど強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれて最後に「ですよね?」で締め括られる存在になりたい   作:ブ雨堰ド

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地名・登場人物紹介4

※ここでは単位系を地球に基準に合わせています。

 

仙実国(シァンシーグァオ)

 王都は世双(シーシャン)(ヂャウ)

 この魔王国周辺諸国の中で最も大きな国土を有し、兵力や輸出物など、様々な部分でトップを誇る。

 南部は温暖湿潤気候。セプウルクルム洋に直接面している部分が多いため高温多湿になりやすく、稲作や果樹などの農業が盛んであるほか、台風などの大型気候も大抵仙実国で止まる。

 北部は冷涼で森の無い場所は乾燥しやすく、森のある場所は肌寒く感じるほどに温度が奪われる。山岳信仰や魈覡、僧といった文化が色濃く残っているが、南北で文化的な衝突が起こることはあまりない。

 他国で言う魔法は妖術、魔物は妖獣など、方言が強くはあるものの、公用語は羅詞源語と継詞基語である。

 

刻黒山(こっこくざん)

 仙実国は北部の中心付近に存在する、まるで天から黒炭を刻み付けたかのように真っ黒であることからこの名前がつけられた山。別に涅月の魔力が出ているとかではなく、たまたまそういう植生である。(とはいえ黒を発色する植物は涅月の魔力由来であることが多いため、あながち間違いでもないのかもしれない)

 中腹には唯殿(ゆいでん)と呼ばれる寺社が存在し、玄妙仙人という、長くを生きる武の達人が住んでいるとか。山中には常に濃い霧が漂っているが、気候から考えてもここまで濃い霧が現れるとはいえない地形であるため、そういう妖術が刻まれているのだろう。

 

刺棘(ツジ)の森

 刻黒山から遠く離れた、戦場になりやすい地の側に広がっている、超高危険度の妖獣が棲む森。迷い込んでしまえば無傷で出られる確率はかなり低い。

 全ての植物にトゲが生えていて、そのトゲをどうにかして果実などを取ったとしても、毒があることが多い。この森に適応した妖獣は毒を体内に含んでいることが多く、食用に向かない。というようなことから刺棘の森は利用価値が低く、潜伏するにも向かない完全なるデッドスポットである。

 

 (ジン)永純(ヨンチュン) 身長176cm 体重78kg 由来魔力:紫輝

 仙実国有数の商家の次男坊として生まれ、実家を継ぐことの決まっている一つ上の兄の背を見て育ち、自身はどこかの商家の娘か、王侯貴族の女性を妻にもらうのかもしれないな、なんて思っていたある日、戦火に誘われてきた魔竜による竜災で家族を喪う。

 茫然としたまましばらく彷徨っていたが、減る腹に耐えられず、しかし盗みに入ることは良心の呵責が許さず……山に入り、果実を探している内に意識が朦朧として、……気付けばどこかの家にいた。温かい食事の匂いにとうとう自身も死ぬのだと痛感し、幻を見るままに粥を食って──あとはお察しの通りである。

 最新の弟子たちの中では最古参であり、封印、結界、破槌など多くの技を修めているが、突きや貫き手が彼の最たる武器である。

 玄妙仙人のいなくなった後は唯殿の師範代を名乗り、さらに多くの人々へ『武笠歳旦(ぶりゅうさいたん)』を広めているとか。

 

 重村(しげむら)鎖袋(さてい) 身長209cm 体重130kg 由来魔力:大地

 アスミカタ帝国有数の資産家重永家傘下、重村鎖条(さじょう)の一人息子にして、武者修行をしているうちにいつの間にか【マギスケイオス】にまで上り詰めていた、強化・自己回復術のスペシャリスト。鬼族(オーガ族)であるが、侍としてのあれそれは修めていないため、刀は使えない。

 筋肉筋肉言っているだけあって筋肉量は相当なものだが、最たる部分は「使用した魔力すら回復させる回復術」である『到達(ペルウェニーレ)』であり、大抵の相手にとって厄介なのはそっち。

 芸名マッスルボディ重村として世界を渡り歩いていたが、仙実国では本名の方が通じやすいだろうということで封印気味。

 刻黒山に弟子入りしてからは晶化を絡めた攻撃・防御技を覚え、火力がちょっと上がった。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第六位、『到達』。その魔法は即ち、"努力は実る"という"当然"を行使する者の諱でもある。

 

 実狼(シーラン) 身長152cm 体重38kg 由来魔力:紫輝

 刺棘の森に捨てられていた少女。過去に妖獣混じり(魔族)の子供を助けたことがある。

 悲劇的な過去があるし、それを軸に「人々を救う」ということを掲げてはいるが、性格に翳りは無い。後述の塔勝をからかって遊ぶのがとても楽しいのだとか。

 短い間とはいえ玄妙仙人に気の扱い方や槍の扱い方を習っているため、使う技は刻黒山の僧に酷似している。そのためか、刻黒山の僧らも彼女を精神的な妹弟子に見ていて、街中で遭遇すると甘味を奢ってくれる場合が多い。

 妖獣ルーが人間だった頃に書いた『武笠歳旦(ぶりゅうさいたん)』については、彼がいなくなった当時は読めなかったが、文字を勉強して読むことができるようになり……今では肌身離さず持ち歩いているとか。

 なお、大地の魔力に由来する英雄とか、紫輝の愛し子とか、『涅月の血属(ノクスルーナ・ブラッド)』とか、そういう特別な要素の一切を持たない割に、玄妙仙人と後述の崙・壮澗のW(ダブル)仙人が師匠であるためか、恐ろしく強い槍の名手且つ凄まじい腕の薬師&回復術師になっているため、総合的な戦闘力では第二十三代魔王にもタメを張れるとか。

 当然ではあるが彼女に魔物の声を聴く巫女としての才は無く、周囲の者達及び彼女は、子供の頃限定のことだったと処理している。

 

 (ペン)塔勝(ターソン) 身長171cm 体重77kg 由来魔力:紫輝(大地)

 ()軍の一番槍である青年。(ラク)軍による背後からの奇襲で手足の健を切られ、それでも多対一を凌ぎ切りはしたが、敵将を含む精鋭部隊にズタボロにされ、最後には肩口から脇腹までを袈裟懸けに斬られた状態で崖を滑り落ち、刺棘の森に入ってきた。

 その時点で幾許も無い命であったが、実狼による懸命な救護と、癒しの泉の体力回復効果、及び大地の魔力の供給で一命をとりとめる。

 槍の仙人である崙・壮澗の一番弟子でもあり、森に来る前から戦場に出せば一騎当千の活躍をする将ではあったのだが、此度の事件を経て色々と心を改め、少し落ち着いて周りをみることができるようになった。これにより攻撃力だけでなく回避力も身に着け、真に一騎当千を名乗れるようになる。

 本人は自身の実力を上から数えて二十から三十番目くらいだと思っているが、普通に上澄み。仙実国で十本の指には入るレベルの使い手だったりする。

 

 (リー)檎集(チンジー) 身長174cm 体重82kg 由来魔力:紫輝

 檎軍総大将にして周囲が止める声も聴かずに戦闘を突っ走る系猪。ただし周囲が見えていないということはなく、色々なことを柔軟に受け止め、寛容に受け入れる。

 色々なことがあって已む無く刺棘の森に入った彼らは、その日、自らの命運を変える出会いをするのだ。

 礼節を重んじるが、身内には甘い。権力というよりは人情を束ねて力にするタイプの将であり、自身が統治する村が襲われていたり妖獣被害に遭っていたりすれば、目先の戦なんか放り出して帰る。

 

 (ロン)壮澗(ヂュンジェン) 身長170cm 体重71kg 由来魔力:大地(純粋)

 檎軍槍術師範である女性。槍の仙人とも呼ばれているほどの槍の名手であり、まず間違いなくこの国における武の頂点。

 鮮やかな紫色の髪は大地の魔力に愛された証であり、ゼルパパムのレスベンスト冒険隊が同じポジションとして該当する。

 見た目の筋肉量をはるかに超えた豪快な膂力と、確かな技術に裏打ちされた繊細な技の数々は、一つの舞踊として完成されている。

 遥か昔に存在したドワーフが鍛造したとされる灰墨一夜という魔槍を持っているが、ドワーフ関連の話は御伽噺なので崙本人はあまり信用していないのだとか。

 灰墨一夜の主な効果は『範囲攻撃化』。練り上げられた崙の槍術を範囲攻撃だったことにして破壊を振りまく。

 

 落及(ラゥジー)得楼(ディロウ)展林(ジャンリン)

 落軍の将。割合良識もあるし常識寄りの存在だが、戦とは、善人と善人がぶつかり合うものである。

 

 ??? 身長140cm 体重27kg 由来魔力:???

 刻黒山の地下に封印されていた、『竜の核心(コア・ハート)』と呼ばれていた少女。

 かつてはアスミカタ帝国の楔として用いられていたが、楔が抜かれたあと、怨讐の狂気のなかを彷徨い、玄妙仙人に救出・保護された。

 楔には自ら進んでなっているし、刻黒山に封印されていたのも自主的なお願いであり、世間を知らぬような言動の割には物事を理解できている少女であるといえよう。

 竜や魔竜がなんであるか、というのがわかった今、彼女についてはまた別の見方ができるのかもしれない。

 第二十二代魔王に引き取られた後の行方はわかっていない。かの魔王が討伐されたあとは、果たして。

 

 エステルト・"ヴァーン"・マイズライト 身長186cm 体重66kg 由来魔力:紫輝/涅月

 アンキアの意志を継ぎ、次々と特記戦力を駆除して回っている第二十二代魔王。姉であるエレンと行動を共にすることをやめ、魔王として非情の限りを尽くしている。

 その後のアンキアの穏やかな様子を見るに、彼のどんな意志を継いだのかは不明。紫輝の愛し子であるから紫輝に突き動かされて、とかではなく、しっかり自分の意志で駆除を行っていた。

 ただし、禄・玄妙のように特記戦力であっても害のないものには手を出していないことから、無差別に駆除を行っている、というわけではないようだ。彼なりの基準があるのだろう。

 種族はまだわからない。

 

 サラード・懈星(ダルオホス) 全高20cm 体重10kg

 エステルトの肩に乗っている黄緑色のドデカアマガエル。雨の神と呼ばれる。他の神のように人間の言葉を響かせられる喉を持たないため、喋る時はいちいち喉を作り替えるか魔法を使う必要があり、それが面倒臭いので「ゲェロ」しか喋らない。エステルトには何が言いたいか伝わっているらしい。

 他の神のように自身の空間たる位相結界空間を有していないが、作ろうと思えば作れる。面倒臭いだけ。ちなみに肩に乗っているのも跳ねて移動するのが面倒臭いから。ちなみに吸着面は魔法で吸着しているためずり落ちたり振り落とされたりしない。そこは面倒臭くない。

 恐らく善神だろうトライギル・括石(ククルイシ)、まぁ多分悪神だろうスモーキー・蔕紅暮(ヘダクレグイ)、ディナティ・桟明厘(サンメイリン)と比べると、彼はどちらでもない中立神となるだろう。エステルトの持つ善性に賭けているが、彼の行いが後世において悪と見做されようとも気には留めない。ある意味で多分主人公に最も近い精神性かもしれない。

 

・モゴイ丘陵

 激しい高低差のある丘陵地帯と砂漠地帯が斑になって入り混じる、国家というものの存在しない無主地の一つ。

 ロストランドと違って魔力は潤沢であるが、苛烈な気候と前触れもなく起こるシンクホール問題が他生物の居住を許さない。

 中でも涅月歴250年にモゴイ丘陵を中心として発生した超巨大地震と、それによって作られた『大崩落(ラノエ・バウン)』と呼ばれる超巨大シンクホールは他と隔絶した広さがある。地表と地底との高低差が凡そ571athlあり、直径は3,43kathl。穴の内部には数多の魔物が独自の生態系を築いて蔓延っている上、涅月歴300年に起きた腐敗竜シルヴィアによるアンデッド化魔力大感染で、多くの魔物・ゴーストのアンデッドが生み出された。

 この件は魔族によって解決されたが、その後百年近くもの間モゴイ丘陵には魔力嵐が吹き荒れることとなったため、当時の魔王は頭を抱えていたとか。

 

 ホーロー・コンテイン 由来魔力:紫輝

 牛の魔族の男性。涅月歴250年、当時は存在したモゴイ丘陵の遊牧民たちと輸出入に関連する交渉を行っていた際、『大崩落』に巻き込まれる。

 モゴイ丘陵調査隊によって救出されたあとは、自らの至らなさが魔王国を危険に晒したとして一度は退役しそうになったが、当代魔王の必死の説得により大佐に返り咲くことに。

 伐開の魔族には及ばないものの結界術のスペシャリストであり、また、封印に関しても一家言ある。

 

 ヤン・ガーダロイ 身長152cm 体重54kg 由来魔力:紫輝

 魔族の中では小柄であることの多い鼠の魔族の男性。口は悪いがいわゆるシゴデキであり、戦闘も卒なくこなす。他者の命を見捨てられない熱い男であり、涙もろい。

 先祖に仙実国の人間がいるクォーター人族ではあるが、それらしい特徴が出たことは無いらしい。

 

 レイネー・ヘイス 身長155cm 体重68kg 由来魔力:紫輝

 牛の魔族の女性。間延びした喋り方とは裏腹に、割合苛烈な魔法を使う。責任感が高く、失敗を過度に恐れはするが、失敗したら「大丈夫、なんとかできる、はず!」とポジティブな方向へ精神を持っていくことができるため、上司たちからの評価は高い。

 

 ウォロ・テンタットラ 身長161cm 体重72kg 由来魔力:紫輝

 第四代魔王である犀の魔族の男性。基本穏やかというか昼行灯な性格だが、部下想いで民想い。色々なところに顔が利くけれど、別に王族貴族ではないし、特殊個体魔族でもない。実は戦闘の方はからっきしとは行かないまでもそこそこでしかないため、自分の代で戦争は起こしたくない。戦える戦えない以前に起こしたくはないらしいが。

 種族的に強大であるため実は本気でやればそこそこはいきますのにねぇ、とは、決してですますでは喋らないはずの部下による評価コメント。

 

 ソレイラ・ブレイツマイト 身長ヒ・ミ・ツcm 体重ヒ・ミ・ツkg 由来魔力:紫輝/涅月/大地

 彼女の経歴は全て偽造である。猪の魔族というのも嘘である。

 彼女について知りたければ、第一代魔王の項目を閲覧されたし。ちなみにそこに書いてある身長体重もでっち上げとは本人談。

 種族は一応『涅月の血属(ノクスルーナ・ブラッド)』であるが、心臓が無事であれば別にどんな肉体でも作ることができる。やり方は主人公のものを真似しているとか。

 

・古代ガルズ王国

 立地的にはガルズ王国と何も変わらないのだが、災厄竜による「文明の摘み取り」により大部分が瓦礫の山を通り越して砂漠化している。

 なぜか災厄前の知識や技術を覚えている者が少なく、いたとしても高齢or年少であったため、技術の伝達がほとんど行われなかった。

 しかし、天才の作り上げた位相結界シェルター及び時間の切り取り結界により繁栄を取り戻した。

 此度紫輝歴の災厄が無かったことになるため、この一連の流れは記憶の彼方に消えるのだが……?

 

 チュナイフ・ルミア 身長153cm 体重50kg 由来魔力:紫輝

 土亀(もぐら)の魔族。執着心の強い性格からディミトリに恋していると思われがちだが、仲間として大切なだけで恋心があるわけではない。作中時点で二十八歳と実は結構なお姉さんだが、魔族の寿命で考えると十代後半くらい。

 非常にすばしっこく、また種族的な膂力でお見舞いするパンチは大の男の骨すら砕く。

 いつもフードを被っているのは顔を見られたくないからだが、種族として明るいところが苦手だから、という理由もあったりするとか。

 

 メリアート・ノンヴァ 身長168cm 体重57kg 由来魔力:紫輝

 涅月歴44年生まれの二十六歳。成人年齢や平均寿命の関係上既に行き遅れたと本人は思っているが、まだまだ美しき女傑である。

 得意武器はクロスボウや弓といった遠隔武器であり、やろうと思えば投げナイフやら手裏剣やらも使えるだろう。非常に器用で非常に目が良く、また耳も良いため、何かの種族が混ざっている可能性もある。

 長い茶髪と真っ青な瞳は彼女がトレジャーハンターになる前から大事にしている自身の特徴の一つであり、褒められるとちゃんと動揺するくらいには嬉しいらしい。

 

 ヒーサーアーサー・トメキリ 身長200cm 体重89kg 由来魔力:紫輝

 なぜか防御を疎かにしがちなこの世界の人々の中で、盾というものの魅力に目覚めたある種の狂人。

 盾は良いぞ。防げる。打てる。砕ける。突破できる。できないことが一つもない。何かしらできないことがある他の武器と違って盾は最強だ。なにより仲間を守って前に立てる!

 ……この時代に【マギスケイオス】は発足していないが、もししていたら彼は『到達』に数えられた可能性がある。それくらいの狂い人。

 名前の通りアスミカタ帝国出身の鬼族(オーガ族)であるが、その頃のことはよく覚えていない。涅月歴38年生まれの三十二歳である。

 

 ネムリ・ガルズ 身長146cm 体重43kg 由来魔力:大地

 探検と冒険に目覚めたガルズ王国王家のお姫様。『輝耀の姫君』と呼ばれていたのも今は昔、今はパーティ『深淵の瞳』のドルミーレである。

 魔法についての探求心が強く、あと所々で無駄に格好つけるおかしなクセがある。元気よくルミアを舐め腐った発言をするが、心の底では全員をリスペクトしているし、最近は彼女も舐め腐られ始めたのでお相子である。

 割と本気でディミトリのことを妖精さんだと思っていたけど、日常を共にする中でその考えが幻想であることに気付いた。

 その上で彼には、もっとちゃんと笑っていてほしいと願っている。

 ディミトリのいなくなった後、彼女は冒険者ギルドというものを開き、その後に生まれてくる数多の冒険者たちの母となった。

 

 ノイアー

 ドランシア共和国軍第三戦術大隊司令部准将の男性。

 箱空けの依頼を犯罪者にするとは何事か、という糾弾は受けたけれど、そのお叱りを受けた直後に呼び出しをくらい、『大盗賊』と共和国政府の交わした取引の内容を知って「やらかしたな……」という反省をしたとか。

 

 彼ら彼女らに纏わるすべては砂塵の向こうへ消えていく。

 それでも円環は、その足取りをしっかりと刻み付けたのだ。

 

・災厄地クィロー'sタウン

 一面黒っぽい魔力結晶体に覆われた荒野。

 ところどころに建物の痕跡は残っているけれど、機能しているかと言われたら怪しい。

 元の名をキロス自治領。"災厄の行使権利"を奪い取るための前轍に、紫輝はここを選んだ。

 

 ノクスルーナ 由来魔力:涅月(純粋)

 見えている容姿は全て可変なのだわ。私に形はないのだわ。

 ……とは言っているが、基本的には黒髪ロングの少女or女性の姿を取りたがる。確かに身長体重は可変であるようで計測不可だった。

 魔法使いとしては普通に頂点レベルだが、敵対するとか味方とかよくわかっていないので、ほとんど戦闘はしない。幻術を多用するくらいか。

 実は結構な頑張り屋さんで、他の生物と交流を図るために可視光を調べたり可聴音域を調べたり、言語もちゃんと全部覚えたし、言われたら常識とかも覚えるし。

 歌や絵などの芸術系には一切触れてこなかったのだが、コンストラクトであるケレンの絵やBBの歌に触れ、自分もやってみたくなっている。学校にも通ってみたいし広い世界も見てみたい。自分は他とは違うからできないと諦めていたすべてのことは、やろうと思えばできる、という思想を根底に持つ主人公のコンストラクトたちに考えを改めさせられ、すべてやりたい、に昇華した。

 純天体語における本名は「ラソマリナントンポアリヴォ」。霊質は実のところ映らざりしもの(リヴェライド・ウィデルンポテス)だが、こっちはあまり好きじゃないとか。響きがかわいくないのだわ。

 

 ドリルパイル・バンカーバンカー 身長183cm 体重0.2kg 由来魔力:紫輝(涅月)

 レッドメタリックの光沢を持つ髪に、エメラルドグリーンの瞳を持つ浮世離れして美しい女性。その顔からは人種・種族・文化的な特徴の全てが削ぎ落されていて、主人公は宇宙人かと思ったらしい。通称BB。

 実は御伽噺に登場するエルフであるのだが、本人も他者から知らされるまで知らなかった。

 生まれ年というものを持たず、【マギスケイオス】においては常駐メンバーの一人であるが、フラニー老のいうところの【真のマギスケイオス】には含まれていない。本人もいつから存在しているのかについてはわかっていない。

 紫輝の愛し子でもあり、紫輝の魔力を使う時は髪色がオレンジに変わる。

 使用魔法は『零距離(ゼロレンジ)最大限(マクシマム)』。実を言うとそれ以外の魔法は肉を焼く程度の火力の炎属性魔法くらいしか使えない。超絶不器用であり、あるいは彼女の魔法はそういうところから加減や器用さを求められないものとして発展してきたものの可能性もある。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第二位、『全開』。その魔法は即ち、"敵を打ち砕く"ための"当然"を行使する者の諱でもある。

 

 フラニー・ハニー・オーケストラ 身長161cm 体重55kg 由来魔力:大地

 床にまで届くほどの長い長い付け髭でなんとか威厳を保とうとしているお爺ちゃん。本人の髭はそこまで長くないしなんなら白くない。

 彼についてはまだまだ謎が多いが、割と知らないことがあるし、言うほど『不死』でもないとかなんとか。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第一位、『不死』。その魔法は即ち、"死なない"ための"安全"を行使する者の諱でもある。

 

 (イン)結糸(ジェミィ) 身長156cm 体重40㎏ 由来魔力:大地(涅月)

 紫輝歴61年生まれのトリックスター。実はエルフの王族ハイエルフという種族であり、精霊の要素とオーガ、ハーフリング族の要素をそれぞれ併せ持つ。そのため地毛はBBと同じレッドメタリックの銀髪なのだが、儚げに見られるのが自分のイメージと合致しないから、という理由で金髪に染め、ウィービングで赤を何本か入れている。

 元から莫大な魔力量を誇ってはいるが、魔晶石レベルのものを取り込むと流石に酔う。普通の人間が魔鉱石を体内に注入されたら荒れ狂う魔力に体内から突き破られて死に至るので、なにが「流石に」なのかはわからないが。

 ふざけ倒した言動ではあるが、観察眼や邪推がちゃんと鋭い。あと実は恋する女の子の味方なので、それを揶揄したり阻もうとしたりする輩には厳しい。アルカは見ている銀がきゅんきゅんしちゃう恋する女の子なのでこのところのイチオシ。『財宝』は恋する女の子ではなかったが、可愛い女の子だったのでまとめてイチオシだった。

 普段使いしているかはともかくとして、『自分や対象の縮尺を変える魔法』や『ポケットに入れたものを倍にしていく魔法』など、なんらかのモチーフの感じられる魔法を好んで使う。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第十位、『蓋然』。その魔法は即ち、"なるようになるかもしれない"という"安全"を行使する者の諱でもある。

 

 アルカ・ダヴィドウィッチ 身長166cm 体重57kg 由来魔力:紫輝

 二十三歳になったある時点から肉体の時の止まった、フラニー老の言う【真のマギスケイオス】の一人。

 彼女とは違う理由で加齢しない『財宝』エレン・"オーラ"・マイズライトと行動を共にすることが増えた。教授と『四毒』の影響で全国食べ歩き行脚にハマっている。

 レスベンスト冒険隊解散後もちょくちょくその名を名乗ることがあったのだが、歳を取らないことがそろそろデメリットになってきたので名乗るのをやめた。長命種族はそんな事情を知らぬ存ぜぬで冒険隊呼びしてくるため、時々バレる。コスプレやなりきりという概念があまり広まっていないので割とがっつりバレる。

 元々万能に近い『最小限』の魔法を行使ししていたのだが、モーガン・カルストラの見せた真なる『万能』に焦がれて研究を重ね、彼よりかなり大きい魔法陣でありながらも同じ領域にまで足をかけた紛う方なき天才。並行して四十以上の魔法陣を同時展開可能であり、その場での魔法開発や解析、模倣といったことを行ってくるため、彼女相手に勝利するには初見殺しくらいしか有効打になり得ない。主人公の想定戦闘力は完全に読み違えている。彼女はもっと強い。

 彼女の恋は終わった。きっぱりフラれた。……けど、それを書き込まれた私が何を思うのかは、私は知りませんからね! とは彼女談。

 世界でたった十二人の魔導士に与えられる称号【マギスケイオス】の第九位、『最小限』。その魔法は即ち、"無駄を省く"という"当然"を行使する者の諱でもある。

 

 アンドリアミアフィナイラロカ 身長165cm 体重84kg(人間時) 身長12m 体重計測不能(異形時)

 ポストアポカリプスな場所に現れた小太りのおっさん。商人を名乗るが、特に荷物は持っていない様子。戦闘ができそうにもないが、なぜか、「世界の命運に関わることができるほどのこと」を成し遂げたものを探し回っているらしい、超絶怪しいおぢさんだ。

 その正体は紫輝からのメッセンジャー。災厄竜が大地の天使であるのならば、紫輝の天使が彼である。雌雄は無いが、男性を自認しがち。

 腹の中から無数の眼球のついた車輪のようなものを出し、炎に巻かれたままに錫杖を持って言葉を尽くすその様は、まさに天使の名に相応しい。

 災厄竜から「災厄の行使権利」を奪うために潜伏していたらしく、それ以外は演技であるというが、見え隠れする善性に主人公は辟易していた。

 メッセンジャーではあるが言いなりというわけでもないようで、割と融通が利くし割と良い性格をしている。いわゆる有能中間管理職さん。

 紫輝のメッセンジャーであるためか、紫輝の愛し子による攻撃、及び紫輝由来の魔法の悉くを無効化・無力化する。それを即座に見抜いて別の魔力で殺しにきた主人公には若干引いているが、その心苦しそうな顔を見て折衷案を提案。

 個人的には大地に賛同していて、誰の影響だとしてもこの世界産の英雄が災厄を乗り越えてくれたらそれでいーじゃん派。わざわざ主人公を追い出す意味があるのか、それをするために払うコストが釣り合っているのか、というところに懐疑的。

 名前は純天体語で「陰に潜む高次の番人」。アンドリアと呼ぶと高貴さんだし、ラロカと呼ぶと影さんになるため、切りどころには注意が必要。

 

 ヘンリー・エカスベア 身長167cm 体重66kg

 エカスベア魔導博士の再来と謳われる彼の子孫。魔導博士と知り合いだった魔族曰く、生まれ変わりかと思うほどにそっくりさん。

 性格はどこか厭世的だが、非常に優れた頭脳を持ち、また、あらゆるものごとへの差別がない。あるいは見えているものすべてが等価に映っている可能性もあるが。 

 彼の発明、及び彼ら自身は大規模改変に飲まれることになるが、果たしてどこまでを覚えているかは謎である。

 

 トラッド・ユニト 身長171cm 体重72kg

 フードを被った丁寧口調の青年。丁寧なだけで敬語ではない。人を食ったような性格とよく評されるが、本人的にはちゃんと全体を想って動いているし、人々に寄り添い、頼ってもらえる賢者を目指していたとかなんとか。無理だったみたいだが。

 観測できる限り紫輝歴15年から紫輝歴743年までの至る所に出現しており、彼がハーフ魔族という種族だから、では済まされない寿命を有している様子。

 賢者らしく魔法を使うが、メインウェポンは武器の投擲。魔物退治の礼に貰った、国宝と言われていた短剣であろうと、世界に二つとない高級な壺であろうと、ストレイル金貨だろうと、武器になりそうなものは全部投げる。ちゃんとダメージも大きいとか。

 

付録


AUIWOUAUIS、あるいはソルスノメントゥム。もしくは名乗らじの怪

 

 『院長』 身長164cm 体重72kg

 エチェロエグズル教戒院の院長を務める老人。常に椅子に座っていて、椅子ごと浮遊して移動し、椅子ごと陰に沈んでいく。

 足が動かせないのか動かないのかまでは判別つかないが、その状態で戦闘訓練に参加しても十二分に戦える格闘センスを有する。尤も魔法の撃ちあいには勝てないため、あくまで身体強化なしの素格闘に限るのだが。

 無愛想で笑うことの少ない老人だが、子供が好きで、子供のためを想った行動・提案であれば大体通す。本名は最古参であるルヴァンさえ知らぬらしく、『院長』としか呼ばれない。

 一応生まれ年は涅月歴0年ということになっているが、確実にそれ以上長く生きている。

 

 アダン・ゼンノーティ 身長169cm 体重67kg

 ロストランドの地裂の中に研究所を構える風変わりな青年。どんな仕組みか、六百年近い時を生きる伝説の存在。

 魔王国のみならず当時の周辺国で五億部は売れたと言われている(諸説あり)『ロストランド生態系図鑑』の著者であり、この時代からは考えられないほど上質な羊皮紙と、字の教本かと疑うほどに美しい字、そしてわかりやすく幅を取らないスケッチで構成されたこの本は、世界最古の本としても名高いとか。

 特異な生態系たるロストランドという場所への冒険心を掻き立てるだけでなく、実用書としても非常に有用で、特に種族ごとにおける食用可能範囲などの付録は、他種族に料理を出す店、施設において重宝されたという話が底をつかない。

 発刊された涅月歴351年から涅月歴770年の災厄の日まで、非常に多くの冒険者、探検家を世に送り出した一冊であると言える。

 そんな著作の売れ行きとは裏腹に、アダンに関する資料は驚くほど残っていない。人族であったとか、仮面の魔族であったとか、『涅月の血属(ノクスルーナ・ブラッド)』であったとか、たくさんの憶測が立てられているし、いつの間にかいなかった、という話から実在さえも疑う者が多いのだが、彼の実在を知る者たちは、彼の影をまだ追いかけ続けているとか。

 

 ディミトリ・クラウン 身長175cm 体重63kg

 黙っていればすさまじく美形の青年。口を開くと自己愛を延々と語り続け、他者の発言の悉くを聞き間違えて自身の称賛に変換する。

 半ばギャグよりの存在だが、ルミアの超火力ツッコミに耐えるため身体は鍛えられているし、回避の技術も相当なもの。また、口では自己愛自己愛言っている割によく周囲が見えていて、基本的には親切で優しいため、探検者協会や宿場の人達はそれに応えるように親切を欠かさないとか。

 本名ディートリヒ・ローマン。涅月歴34年生まれの三十六歳。出身国のドランシア共和国においては『大盗賊』の名で知られるとんでもない大悪党。被害総額は400億ストレイルにまで上り、彼のせいで失脚した悪徳領主・政治家も少なくはない。決して人を殺さないスタイルから市民人気は高いが、悪事を為していない(と思われていた)資産家まで狙うことがあったので、評価は二分されている。のちに政治家との癒着や裏取引が明るみに出て、掌を返す人々の姿も込みで『大盗賊』であったとか。

 余談だが、メリアートは幼少の頃少しだけドランシア共和国にいたことがあるので、もしかしたらどこかですれ違っていた可能性も無きにしも非ず。

 なぜかセプウルクルム洋沖合で目撃された海竜の討伐者に名を挙げられることがあるのだが、両者の関係は不明である。

 

 センバー・アークライト 身長175cm 体重70kg 

 長い体毛を後ろで纏めた毛象(マンモス)の魔族の男性。なお、そんな魔族はいない。涅月歴267年生まれ。

 非常に有能な魔王秘書であり、二週間分の予定が頭に入っていると言われるほど記憶力・予定調整能力が高い。市井とのかかわりも大事にするため人気があって、いつ誰が見ても働いているものだから、別に怠け者というわけでもないウォロが働いていない扱いにされることがしばしばある。

 本名エリック・ブレイツマイト。

 第一代魔王によって設立された『悠遠の燈』の副長を務めた恐ろしき暗殺者であり、真に魔王に相応しきかを影から見定め、基準に達さぬ者は殺してでも魔王から引き摺り下ろさんとする超過激派。

 第四代魔王が必死の思いで説得していなければ、『王貴の決定』に刻まれた未来の魔王達が彼の手に掛けられていた可能性があるほどであるが、妹であるソレイラ・ブレイツマイトとのやりとりを見る限りでは、全く人情がない、というわけでもない様子である。

 モゴイ丘陵にて発生した腐敗竜シルヴィアに纏わる事件の功労者であると同時、失われるべきではなかった人材といえるだろう。

 

 クィロー・ゼンノーティ 身長0cm~300cm 体重0g~20kg

 一見ただの精霊に見える少年。その正体は涅月の精霊と名乗るナニカであり、災厄に見舞われたファウンタウンから多くの精霊を逃がす功績を立てた。逆算すると涅月歴758年生まれくらいだろう。

 彼についての記録はそう多くは残されていない。自身と共にいるといずれ不幸になっていた、という発言もあったことから、彼こそが災厄の化身であった、という可能性も考えられている。

 それを全て否定している彼の義兄は、果たして、彼を見つけることができるのか。

 

 ペイトラン=アスクリプス 身長0cm~300cm 体重0g~20kg

 一般精霊の男性。驚異的な魔力コントロールによって他者の体内の魔力配列を調整し、不調を癒す『調整体屋』の店主。涅月歴781年生まれ。

 かつては『本源学会』にて「コア修復バッヂ」というものを開発した史上稀に見る大天才であり、彼のこの技術によって生き永らえた精霊は数えきれない。その効果の高さから、発生したばかりの我が子にこれを貼る親もいるほど。

 ちなみに『調整体屋』には数多の有名精霊が通っていて、法霊院の長ハニー=ロウや『二源操作』のイリアなども懇意にしていたらしい。

 アスクリプスは精霊語で「生まれてくる場所」という意味。

 

 全能亭(ぜんのうてい)茜座(あかざ) 身長177cm 体重74kg

 食事処『鳴子雀(なきこすずめ)』の初代大将にして、葦三方イチの料理人瓜良兼継の師匠である男性。紫輝歴470年生まれ。

 彼の料理の味は四人の弟子たちがそれぞれに継いだが、やはり大将の味が忘れられないという客も少なくなく、なんなら四人の弟子たちがそれを声を大にして発している者達でもあるとか。

 紫輝歴510年、神憑きに罹患。休養のためにと用意された山中にて無数の毒蛙に押しつぶされて死亡した。

 ……かに思われたが、記憶を失くし、御庭番・『山津波』の痣火として生き延びており、それが発覚した直後、征武乱禍の大蛇と相打ちする形で完全消滅した。

 食が身体を作り、戦場を支配する、という考えを最初に広めた者である。(後世においては弟子の瓜良が発した言葉になっているが、これは瓜良の営む『奈斗燕(などかつばめ)』がより多くの客を取ったためである)

 

 (ルー)玄妙(シェンミャオ) 身長173cm 体重60kg

 刻黒山唯殿の盟主にして、気(身体強化)に関する指南書『武笠歳旦(ぶりゅうさいたん)』の著者である男性。記録に誇張が無ければ紫輝歴476年生まれである。

 晶化直前の練気を武器として扱うほか、練り上げられた身体強化の魔力は清流のようで、弟子たちは遠く離れたところにいてもその発露がわかるほどに特徴的であるとか。

 また、質素ながら非常に美味なる飯を振る舞うことでも知られ、全能亭茜座と友人関係にあった、というようなことを仄めかせる発言から、食に対してのインスパイアを受けている可能性がゼロではない。あるいは二人とも同じ師に巡り合ったか、である。

 後年に失踪。再度発見された時、その姿は仙獣のそれになっていて、「年老いた仙人が仙獣に姿を変える」という伝説が真であることをその身で証明した。ちなみにその状態でもあの槍の名手奔・塔勝を手玉に取れるほどの強さを有する。仙獣時の全高は4m、体重が15トン。

 慈癒の担い手として知られる崙・実狼の師であることも判明しているが、二人がいつどこで知り合ったのかは謎である。

 

 レイン・ヤーガー 身長165cm 体重53kg

 キロス自治領で小物雑貨屋を営んでいる青年。紫輝歴513年生まれ。

 生まれの事情から学校に通ってはこなかったようだが、高い刻印構築能力と呪術応用力を以て、類稀なる効果のマジックアイテムをとんでもない安価で売っている。

 そのマジックアイテムがマジックアイテムであると知らずに買っている客も少なくないが、効果を知っている者がたびたびレリックオークションという闇オークションで転売行為を働いていて、そこではヤーガーのレリックの名で知られていた。

 接点は未だ不明だが、『大怪盗』シンプトムに自らの技術の粋たる義手を与えたのち、失踪。これを機に『大怪盗』は今までの乱雑な獲物選びをやめ、ヤーガーのレリックだけを狙うようになる。

 やがて『大怪盗』はシンプトム・ヤーガーの名で知られるようになっていったが……果たしてこの結果は、誰が望み、誰が喜んだのか。

 

 『博士』/『博士の博士』 身長175cm 体重50kg

 エリスフィア帝国を苦しめた『永遠の子供時代(エルヴァホイ)』解体の功労者にして、『付与式結界道(バウンダリーロード)』を始めとする革命的結界術の祖。紫輝歴530年生まれ。

 具体的な手段は明かされなかったが、子供しか攫われないはずの『永遠の子供時代(エルヴァホイ)』の中に大人の身で迷い込み、当時「透明にされていた」子供達を救出した。

 この子供達はやがて歳を重ね、エリスフィアの頭脳たるヘンリック・エカスベア魔導博士、エリスフィア帝国軍中将メッテ・エカスベア(旧姓イェルネ)となる。また、S級冒険者パーティ『薔薇の棘』のメンバー、第二十一代魔王、第二十四代魔王も救ったとされているが、年代が合わないので後世の誤訳であると考えられる。

 なお、名前に関しての記録・記載はどこにもなく、また呼称も『博士』と誤訳だろう『博士の博士』で揺れが激しい。後世の研究においては「~の中の~」という文法で始まる名前であったために、誰かが読み違えたのではないか、という説が有力であるが、依然として名前は判明していない。

 後の世における議論「誰が神の領域にいち早く踏み込んだのか」で最終結論として出されるのは『博士の博士』だ。位相結界という裡と外とを隔てる結界に対し、こじ開けを行ったのが彼であるから、とされている。

 なお、魔導博士らの証言によれば、彼もまた後述の魔力マニピュレータ使いであったようなので、エチェロエグズル教戒院の卒院生である可能性が高い。

 

 ハウル・ハーシェル 身長161cm 体重50kg

 V・D連邦に蔓延っていたダンジョン、及び黒靄(ダークミスト)についてを解決してみせた薬剤師の少年。紫輝歴621年生まれ。

 彼の功績は大きく分けて三つある。一つは本業、瀛毒に対する特効薬の発明。不治の病とされてきた瀛毒は勿論、ほとんどの病を治してしまうこの『恵蓼剤(えりくざい)』という薬は万能薬のひとつであり、世界中の好事家や資産家が我先にと……必要としている患者より先にとそれを手にしようとしたのだが、なぜか、どう頑張ってもありつけなかったという。

 魔法薬学会が妨害をしたというわけではない。それのために溜めた金がなぜか直前で飛んだり、購入に動こうとした瞬間に厄介な問題が発生したり、まるで呪いでもかかっているかのように「機会に恵まれなかった」のだ。どこかの女医は大監獄の中で「方法ってそれかい。……『業運』のやつが見たら勝負をしかけてきそうだから、黙っとくよ」とかなんとか吐き捨てたらしいが。

 次に、当時それを目撃した軍人たちでは価値を測り切れなかったが、後世において当時の報告書に目を通した学者らが騒いだ流体のリアルタイム計算。魔王国の地の底から出土した『鎧型大気中魔力濃度流動計算機』を何十台重ねてやっと追いつける量の計算をハーシェル少年の脳内だけで行っていることが判明していて、あらゆる叡知を持つ学者たちがこれの実現を否定している。30秒ほどの計算のために一兆回以上の計算を行い続ける必要があると。軍事記録に嘘や誇張が書かれることはないため、その否定も否定されているのだが。

 最後に、旧ドランシア軍が起こしたテロにおいて、『涅月の涙』と呼ばれた超巨大魔晶石暴走から連邦を、ひいては周辺諸国を救ったことだ。

 人類が引き起こした最悪のテロの一つに数えられる旧ドランシア軍のテロ。その最終局面において使われた、超巨大魔晶石『涅月の涙』。

 当時の連邦軍元帥、居合わせたS級冒険者の前で、ハーシェル少年はこれの解体をしてみせたのだという。全身から血を噴き出しながら、「何か人のためになることをしてみたかった」と力なく笑いながら、少年はそれを解体し──最後の最後、間に合わなかった分を連邦上空に打ち上げ、地上に届かない量まで分解した上で爆破し、これを守り切った、と。

 その爆発で彼は亡くなった。これを受け、連邦政府はハウル・ハーシェル少年に『剣翼紅玉勲章』(軍人ではない者が受け取るもので、最も栄誉ある勲章)を贈った。

 また、「学校に通うために」養子入りしたというハーミッド家……運貴名(うきな)グループ代表テリアス・ハーミッドが、「彼には元の名前で歴史に刻まれてほしい。我々の名では彼を支えるどころか、翳らせてしまうだけだ」と述べたことで、彼の名はハウル・ハーシェルとして後世に語り継がれることとなった。

 

 ヴァルカン・ゼンノーティ 身長150cm? 体重40kg?

 魔王軍にて教官をしていたとされる男性。無骨な鎧姿と身の丈の二倍はあるハルバードを操る戦士であり、第四師団師団長さえも手玉に取る。申告が本当であれば紫輝歴633年生まれ。

 一年ほど魔王軍に在籍したあと、失踪。ルヴグ村にて身分を隠して道場を開き、子供達を育てたが、また失踪。ラハドケ村にて同じく道場を開き、第二十三代魔王リュオン・"ハルカウオン"・マイヤーを育て上げた。

 近代の存在でありながら、彼については非常に謎が多い。その謎の中でも最も議論に多く上がるのが、「本当に魔族だったのか」という話だ。

 彼は全身を鎧で覆っていて、酷暑日も酷寒日もそれを外さなかったという。また、先述の通り、彼の全身鎧に酷似した形の『鎧型大気中魔力濃度流動計算機』が出土していて、彼はこれの中に入っていた人族だった、という説が濃厚である。

 しかし、魔族は魔族を見極めることができるという尤もな反論もされていて、それについての明確な反論や、それを可能にする鎧自体の機能も見つかっていない。

 その高い指導力は刻黒山の仙人に通ずるところがあり、そのため失踪した部下を心配した第二十二代魔王はわざわざ刻黒山にまで足を運んだ、という話も残っている。なお、別人だった模様。鎧込みだと身長199cm、体重140kg。

 

 シュライン・ゼンノーティ 身長167cm 体重64kg

 非常に丁寧で温和な性格が特徴的な男性。逆に言えばそれ以外あまりこれといった特徴がなく、戦闘もからっきしだったという。紫輝歴642年生まれ。

 エチェロエグズル教戒院の卒院生であり、卒院後にソノヴァキア兵科学校に入学。兵科学校卒業後は軍属にならず、武具加工、及び魔法剣という新たな概念を開発し、世界に齎した。

 彼の工房である『鏡の工房』は予約が三年以上埋まっていると言われるほどの人気を誇り、弟子を八人とり、それぞれに加工方法を伝授し──そして彼は、失踪した。

 その後、ガルズ王国内の辺境領にて発見されるも、魔竜による竜災騒ぎと重なって失踪。縮炎のカズラ率いる『深紅の炎』らが調査した結果、第二十二代魔王より刺客が送りつけられていたことが判明する。

 兵科学校において同期だった研究者に有する全ての技術を預けた後、魔王軍とガルズ王国の戦争の場に現れ、四天王の一角を巻き込む形で自爆を決行した。この時の爆発の威力の高さから、魔鉱石爆発はシュラインという名前で呼ばれることになる。

 彼が開発した技術には「魔鉱石を魔晶石にする」という禁忌の中の禁忌が混ざっていたが、これを実現できた者は、技術を託された研究者、高弟八人の誰にもいなかったという。

 彼の訃報が国内に流れた翌日、『鏡の工房』をレスベンスト冒険隊というゼルパパムの有名人たちが訪れるのだが、勿論そこには誰もいなかった。消沈する冒険隊と入れ替わるようにして精霊の少年が訪ねてきたりと、彼の知らぬところで彼の名は売れていたのかもしれない。

 

 モーガン・カルストラ 身長166cm 体重67kg

 愛想も無ければ口も悪いが、生徒たちに人気の男性教授。ゼルパパム国立魔法大学にて教鞭を振るい、刻印魔法でできる幅を広げた者として名前が挙げられる。紫輝歴642年生まれ。

 長年勘違いされてきた港湾艇20スケール(アリアトレアス)潜航艇13スケール(ユゼイナス)の開発者であることから、造船の技術を有していたことがわかるだろう。ゼルパパムの『公営外輪船』をはるかに超えた速度・小回りの良さを実現したこの二艇は、紫輝歴680年にレスベンスト冒険隊が開いたゼルパパム初の冒険者ギルドに寄付され、その後も冒険者たちの緊急出動艇として活躍を続けている。げに恐ろしきはメンテナンス要らずであるという点か。刻まれている刻印の詳細はわかっているのに、未だ誰もこの刻印と同等の効果を取り出せていないという。

 エチェロエグズル教戒院の卒院生であることが知られており、シュライン・ゼンノーティ、後述のローレンスとは同期。他の教戒院卒院生が院内で仲良くしている彼らをよく見かけていたとかで、とりわけ彼と親交の深かった──当時は駆け落ちしたとまで言われていた──アルカ・ダヴィドウィッチはその話を聞くたびに疑問符を浮かべるらしい。仲が悪いという話でも聞いていたのだろうか。

 紫輝歴666年、特記戦力駆除に動いていた第二十二代魔王に敗れ、死亡。

 

 ローレンス 身長169cm 体重70kg

 ゼルパパムの片隅で小さな診療所を開いていた医者の男性。害にならない範囲の魔力波を患者の体内に通し、体内の患部を視覚情報として見る、という技術を開発した。紫輝歴642年生まれ。

 しかし、開業してすぐにマリト・マフィアによって看護師ごと誘拐され、その後の行方はわかっていない。短い間に多くの患者を救っていて、レスベンスト冒険隊を始めとした多くの有力者・冒険者・市井の者達が彼を惜しんだという。

 なお、そのすぐあとからマリト・マフィアのドン、ジョージ・ヴィスマルクの付近にローランドという名前の凄腕の医者が現れているが、関連性は今のところわかっていない。

 エチェロエグズル教戒院の卒院生であり、同期の中では少しだけ背が高い。そのせいでバランスが悪くなるとモーガンが怒り、キミが伸びたらいいんだよ、というような応酬が教戒院内で日常風景として見られていたとか。

 また、シュライン、モーガン、ローレンスの三人は魔力マニピュレータと呼ばれる超高等魔法を習得していて、教戒院生でも真似できる者は少なかったという。

 同じく教戒院の卒院生であるナタリア・アークライト曰く、「バカのやること」。しかし、もしできたのなら、魔導を極めることができるかも、とも。

 マリト・マフィアの内紛と重なっておきた竜災において致命傷を負ったのち、失踪。彼自身が医者であるので望みはゼロではないが、その後から彼の姿を見たという者はいない。

 

 ケレン・マイズライト 身長152cm 体重39kg

 ハンラム王国にて『潜在主義』という流派を確立させた巨匠。紫輝歴665年生まれ。

 彼についての記録は驚くほどに残されていない。ハンラム王族三女、オーレリア・セントグラフフィエの恩人であり、アリエッタ家を再興させたマルガナレ・アリエッタの師であり、『光触主義』のセルベルタ家当主ジュリア・セルベルタの盟友である、ということしか。

 また、マイズライトという姓は人族の中には確認できておらず、彼の命を狙ったとされる第二十二代魔王こそがマイズライトの姓持ちであることなどから、魔族となんらかのかかわりがあった、という可能性が浮上している。当時魔族と人族は戦争中であったため、これが事実なのであれば大事であるが、オーレリア、そして本件を調査していた『深紅の炎』がこれらを否定している。

 彼の育ての親である英雄ガルベン・ゼンノーティもまた魔族に消されている可能性があり、第二十二代魔王が特記戦力の駆除を行っていた時期とも重なるため、魔族に与していた、という可能性は低いか。

 紫輝歴680年、魔族と思わしき超高速魔力塊に攫われた。以後、行方不明である。

 

 

付録2


数値で見る戦闘力ランキング

※回復力や問題解決能力など込みの総合的数値

 

上位

戦闘力名前状態

計測不能アンドリアミアフィナイラロカ異形

計測不能ドリルパイル・バンカーバンカー覚醒

計測不能フラニー・ハニー・オーケストラ完全体

計測不能主人公、ナタリー・"オーラ"・ゼンノーティ全力

500,000,000災厄竜ユラン全力

100,000,000クィロー・ゼンノーティ涅月の精霊

100,000,000エステルト・"ヴァーン"・マイズライト魔獣形態

100,000,000キアステン・ゲーゼ完全体

10,000,000ハニー=ロウ、ハクメイ精霊

10,000,000センバー・アークライト、禄・玄妙、ハウル・ハーシェル、崙・壮澗、ロビン全力

5,000,000重村鎖袋、銀・結糸完全体

4,000,000アンキア・"カルストラ"・バリムケラス魔獣形態

4,000,000ニツァ=ハルティヤ、イリア="プロメトテレサ"・エルツァリオ全力

1,000,000フラニー・ハニー・オーケストラ、トラッド・ユニト、ザイラ=マルスクリアス全力

800,000コーウェイ=ロープローグ、モイリア=テロントティルト全力

500,000羽澤蛙、エレン・"オーラ"・マイズライト、ルーティア・リンヤン、シュラウン・ゼンノーティ全力

400,000アルスノー・レーナターリヤ、『先見』のオンドウ、ヘンリー・エカスベア全力

200,000ドリルパイル・バンカーバンカー、メギス=ヘカトン通常

60,000アイン・ロフトヘッド魔獣形態

50,010カズラ・リアナ魔晶武器

50,000全能亭茜座、ディートリヒ・ローマン、ディミトリ・クラウン(夢中)、アルカ・ダヴィドウィッチ、『魔女』全力

40,000リュオン・"ハルカウオン"・マイヤー、ジョット・"ゼヌジオ"・ロマンスオーン、トルヴィッシュ・"エリメス"・ロフトヘッド魔獣形態

40,000オットー・クロイツヴァルト全力

 

下位

戦闘力名前状態

2ユーノ・ロックスター全力

3カリアン・ヴィスマルク、ギュンター・カルナップ、大那・ジュリ、凍城・ミア、ノーマン・ツヴァイク、ロルフ・ヴェーバー全力

8菖蒲花樽病床

10ハーゲン・アンシュッツ全力

12ブリジット・エカスベア全力

15菖蒲花込、菖蒲花泪、吉富祭之丞全力

16大那・ヘレナ全力

20ガヘイン・アンシュッツ全力

31ケルスティ・ハルナック全力

40菖蒲花居、瓜良兼継、キロス警察署長、タナック・ロン、マルガナレ・アリエッタ全力

220オーレリア・セントグラフフィエ老人

1,300フォーゲルパーク・パウル、ヘンリック・エカスベア全力

1,400ジュリア・セルベルタ全力

1,500レドミラン・ロックスター、津吊花札、ミンヤ・シュナイダー全力

1,600シュエン・K・ノイアー老人

1,700ベルグハルト・アンシュッツ全力

1,900メッテ・イェルネ全盛

2,000マハネ、アマナ・ヘルトリーズン通常

2,300ガルベン・ゼンノーティ全力

3,000ケレン・マイズライト、レイネー・ヘイス、クラウス・シュトロハイム、ネッセルローーデ・ヤンソンス、ネムリ・ガルズ、ロイド・ルカス通常

3,500ホーロー・コンテイン、ヒーサーアーサー・トメキリ、メリアート・ノンヴァ全力

4,000アーウィング・エカスベア全盛

5,000ディミトリ・クラウン、アダン・ゼンノーティ、ヤン・ガーダロイ、A・F・"ルベント"・ドノヴァ全力

 

おまけ

種族別強さ上位ランキング(スペース節約で長い名前は省略)

※ノクスルーナ、主人公などの例外、計測不能は除外

順位人族魔族精霊その他

1崙・壮澗『豹王』アンキアハニー=ロウ重村鎖袋

2『不死』ガルモス・タナモスハクメイ銀・結糸

3『別界』キアステン・ゲーゼイリアハナカラ・リンヤン

4ヘンリー・エカスベアロビンニツァ=ハルティヤジルベルト・ノノフ

5オンドウトラッド・ユニトザイラヒーサーアーサー・トメキリ

 

種族別強さ下位ランキング(スペース節約で長い名前は省略)

※ノクスルーナ、主人公などの例外、計測不能は除外

順位人族魔族精霊その他MC

1ユーノジュノ(クォーター)ユリウス(クォーター)菖蒲花樽『業運』

2カリアンマハネ『魔女』(クォーター)吉富祭之丞『観察者』

3ノーマンクラウス(ハーフ)メギス=ヘカトン菖蒲花込『解体』

4大那・ジュリレイネー・ヘイスルーティア菖蒲花泪『最小限』

5凍城・ミアホーローシュラウン瓜良兼継『全開』

 

種族別特徴上位ランキング(スペース節約で長い名前は省略)

※計測不能は除外

順位身長(全高)単位(cm)体重単位(kg)

1ディナティ・桟明厘600cmディナティ・桟明厘400kg

2トライギル・括石430cmトライギル・括石300kg

3スモーキー・蔕紅杭250cmスモーキー・蔕紅杭280kg

4重村鎖袋209cmヴァルカン140kg

5吉富祭之丞205cm重村鎖袋130㎏

 

種族別特徴下位ランキング(スペース節約で長い名前は省略)

※計測不能は除外

順位身長(全高)単位(cm)体重単位(kg)

1サラード・懈星20cmノーマン・ツヴァイク0kg

2ハナカラ・リンヤン100cm『全開』0.2kg

3カノン・49143cmサラード・懈星10kg

4ネムリ・ガルズ146cmユズハ23kg

5ミンヤ・シュナイダー148cmハナカラ・リンヤン25㎏

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