序盤からずっと利用するような施設経営者だけど強キャラに薄目にこやかで見られながら名前を呼ばれて最後に「ですよね?」で締め括られる存在になりたい   作:ブ雨堰ド

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89.流れ出でる凋落

 大前提として。

 

「仮に、()()()()()()()()()()()()()のなら、今すぐにだってできる。僕を殺す必要はあるけどね」

「それは……その身体が天体に作用できるような魔力を操れるわけではない、という話かな」

「良い理解だ」

 

 たとえば、今、紫輝を太陽に挿げ替える、なんてことはできなくもない。

 問題は、俺はまだ、アレの全てを理解したわけではないことと、アレが人格を有するという点だ。

 

「ヘンリー・エカスベア。君の知見上で、紫輝というものは、この世界に何を齎しているだろうか」

「……まずは、光だと思う。魔力光……紫輝の名に相応しき光が世界に降り注いでいる。あとは、熱と魔力。……実際のところわかっているのは、これくらいだろうね」

「思ったよりも浅いな。……紫輝の正体が何であるか、というのはわかっているのかな」

「魔力塊というのが通説だね。凝縮された魔力乱流……精霊の都、在りし日のファウンタウンのあった場所のような感じの」

「君もそれを信じているのかい?」

「その言い方は、違う、ということか。……けど、僕の知覚精度は46kathlが限界なんだ。紫輝はそれよりももっと遠くにあるから、調べようがない」

 

 つまり、この程度が紫輝に対する理解の最高峰なのだ。

 宇宙、あるいは天体というものへの理解が無いに等しいレベル。災厄も乗り越えられない人類が宇宙になど目を向けている暇はなかった、と言われたら、成程そうなんだろうけど。

 

「ヘンリー・エカスベア。君は、世界の全てを己が手で解き明かしたいという衝動を持っているかな」

「君の知識を僕にそのまま植え付ける、という話かな。記憶や知識をアウトプットし、僕がそれを読み込む」

「そう。僕がこの世界に来てから観測した、紫輝という天体に纏わる情報の全て。これに、自分の足で辿り着きたいという欲求は」

「無いよ。そういうのはゼロからイチを創り出せる英雄や天才の性質だ。今更他者の成果を借り受けることに抵抗なんてあるわけがない」

 

 そうか。ならば受け取るといい。

 災厄を乗り越えられなければ、恐らく一生かかっても辿り着けない観測結果だ。ま、このままいけば涅月歴の終わりごろには地動説に片足くらいかけていそうだけど。

 

 

 無理矢理に前提知識を引き上げるため、エチェロエグズル教戒院で教えている法則や観測データ関連のすべてを彼に押し込んだ。

 講義をしている時間はないからな。

 彼はそれを受け取って、今、彼にできる最高速度で解析を行っている最中。

 

「……何百年。何千年……いや、何万年も先の知識に……感じる。これを……教わっているのなら、なるほど、エチェロエグズル教戒院の……卒院生が皆、ああも特異な視点を持つのも頷ける」

「気にはなっていたけど、この時代に生きてる教戒院生って誰なのかな」

「ん……。アレクサンダー・F・ルベント・ドノヴァ、ナタリア・アークライト、トラッド・ユニト、セイラ・ミルクトウォッチ、ソーマ・ルートボックス……」

 

 ああ。……アレクとナタリー、トラッドはわかるが、セイラとソーマがこの時代にいるのか。……いやそうか、あいつらハーフリング族だったな。ちょっとだけ長いのか、寿命。

 

「……読み込み終えたよ。紫輝とはなんなのか……それが君でもまだわかっていない、というところまで」

「あらゆる害、あらゆる影響を考えるのなら、紫輝の観測に行くべきだと考えている。挿げ替えを行うとしてもその後だ」

「観測に行く、というのは……紫輝に行く、ということかい」

「その通り。アンドリアミアフィナイラロカ曰く、ノクスルーナのように感情豊かな奴がいるらしいし、決して相容れないのだとしても、少しは話合ってこないとね」

「やめておいた方が良いと思うよ」

 

 ん。……え、なんで?

 

「君、会話をするだけで相手に情を覚えるみたいだし……。相手がどれほど嫌な性格をしていても、状況的に殺さざるを得なくても、君は紫輝と会話をしたことを必ず後悔する」

「僕の心情なんか慮る意味は無いよ。君達と違って僕は通常の生物とは言えないんだし」

「遊び相手の事情を慮らないやつは、その内友達を全員失くしてしまうだろう。僕は友達を失くしたくないから、君の心情を最大限に気遣って、君が紫輝にまで手を届かせることを止める。……91万4857kathl先……そんな場所にまで魔力を届かせられるのは、現状君しかいない。……星の外は、ここまで生命活動に適さない空間だったのか。……いや、どうにかして酸素を恒久的に送り込める手段を構築すれば、多少は近づけるのか……?」

 

 実際のところ、災厄というもので文明リセットさえされないのならば、宇宙開発は地球のある世界より楽そうに思うけど、どうなんだろうな。

 磁力が無いことを差し引いても魔力の方が色々便利そうに思うけど。どちらにせよなんにせよ、災厄をどうにかしなければ捕らぬ狸の皮算ナントカだがね。

 

「紫輝に不要と断定される人間を出さないこと。これが僕らのするべきまず一番のこと。そして、その間に紫輝を観測し終え、これの撃墜、ならびに代替を行う」

「君が僕の同盟者を名乗るのならば、撃墜と代替を僕にまかせっきり、ということはあるのかな」

「僕らは現状あらゆる技術において君に劣っている。……けど、紫輝を観測し終えた時に、僕らの技術のいずれかが君に追いついていたのなら、当然その役割も僕らが担うさ。君は同盟者として僕らの指針を示し続けてくれたらいいからね」

 

 ふむ。まぁ、それくらいか。

 ……じゃあしばらくは時間遡行も渡航も無しか。ヘンリー君の寿命まではここにいて……彼が亡くなったら、指針のデータだけ残して何百年か飛ぶかねー。

 

 情が湧く、ねえ。

 みんなそこを気にするけれど……知らぬ存ぜぬで利用すればいいのにな。

 

 

 休日。

 越竜学園にも当然その日がある。なお、ヘンリー君は「遊び相手の嫌がることはしないよ」とのことで、ノア・ヘドクイストが俺であるという話をこれ以上吹聴する気はないそうだ。

 これからも何度か話し相手として呼ぶかもしれないけれど、ノア・ヘドクイストが越竜学園を卒園するまでは、可能な限り俺を学徒として扱う、と。

 というわけで、「天才と対等に渡り合った学生」としての認知はされつつも、思っていたよりは普通の日常に戻ることができた。

 

 でも──「──ですよね?」わい!

 

 どうしようかなぁ。荒枝方舟が俺とは無関係というのを俺から証明するみたいな流れになっちゃったから、偉業が白紙になった。

 新たに何か打ち立てて……けど学生を続ける話の手前失踪はできないし。

 こんだけ時間があって「──ですよね?」を狙いに行かないのは流石にデスヨニストとしての矜持が。

 

 というわけで、何かないかと思っての休日散策である。

 誰かを誘っても良かったんだけど、丁度都合がつかなかった。別に友達がいないわけではない。

 

 しかし、「──ですよね?」以外の趣味というと……なんだろうな、俺。釣りとか園芸とか……うーん。そういう機運系は操作できちゃうからなー。

 

 運動公園……は、ワンチャンウィルさんとかち合いかねないからなぁ。いやかち合ったって別に何も無いんだけど、休日がそのまま雑談に飲み込まれそうで。

 今の特技的に歌関係……だと、カラオケとか存在自体無いからなぁ。あー……スタジオとか探してみようかな? 紫輝歴633年の連邦にはあったんだし、あるでしょ。

 

 ってことで見つけたのは小さなスタジオ。『studioロックレイ』という場所。

 

「こんにちはー」

「……なんだい、今日は貸せないって言っただろう。というか今日は学校なんじゃなかったのかい、ガリオ」

「あ、初めまして。僕、ノアっていいます。スタジオがあったんで入ってみたんですけど、そういうのやってなかったりします?」

「あん? ……なんだい坊主。坊主もこのスタジオを魔道具とかいうけったいなモノの騒音対策に使おうってハラかい」

「いえ、気軽に大声で歌を歌える場所を探してて。あと楽器も」

 

 その瞬間まで気怠い感じの……対応する気は一切ありませんよ、って感じのお婆さんだったけど。

 俺がそう述べた瞬間に、「おお……」と感嘆を漏らし、一気に生命力が復活していく。

 

「歌を……楽器を。音楽をやるのかい、坊主」

「歌はある程度まで極めたつもりはありますよ。楽器は趣味程度かな」

「いいねえ、そうさ、表現者はそれくらい傲岸不遜でなきゃ。そら、おいで、楽器もスタジオも好きなだけ使うと……ああ、でも、一時間後くらいには大所帯が来るから……それまでか、そいつらが終わったあとになっちまうねえ」

「突然の訪問なわけですし、勿論それで構いませんよ。ストレイルはお幾らほどで貸していただけますか?」

「カネなんてどーでもいいさね。まぁ無料が怖いというのなら、じゃあ200ストレイルくらい貰うよ。それで契約成立だ」

 

 二束三文にも程があるだろ。

 ……けど、音楽が大好き、っていうのは伝わってくるから……まぁ後で十万ストレイルくらい包んで送ればいいか。

 

 お婆さんに背中を押されながらスタジオに入る。

 小さめだけど設備は整っているようで、音魔力のスピーカーもある。結構高いんだけどなコレ。

 

「ん、これ……」

「ああ、ビウエラかい? 音を出すにはちょっとコツがいるよ」

「いえ……普通のビウエラから結構改造してますね。お姉さんもしかして楽器作りができるんですか?」

「よしてくれよお姉さんだなんて。お婆さんでいいさ。そんで、アタシと旦那はどっちも職人だよ。元、だけどね。弦楽器職人さ」

「へぇ……。ちょっとお借りしますね」

 

 ビウエラ。リュート派生の楽器で、ギターの兄弟かな。ジャギジャギしない方向に派生した……正統派生のリュートって感じ。

 俺の楽器演奏技術は……まぁ、『機械的』が正しい評価だろうな。

 正しい音を正しく出すことはできるけど、それ以上の踏み込みが無い。これを聞けばヘンリー君もまた「体温が無い」とか言ってきそうな感じ。

 

 それを手なりで適当に弾く。既存の曲を、とかはやんない。それで巨匠になっても嬉しかねーからにゃー。

 

 ついでに歌う。特に暗示とかは入れずに、耳に残っているあの歌を。

 あれね。『二律背反』とかBBが歌ってた歌ね。

 

「ほぉ……ある程度まで極めたってのは大言壮語でもなんでもなさそうだね。弦楽器以外もいけるのかい?」

「音の出る構造さえわかればなんでもいけますよ」

「そりゃ驚いたね。後に来る連中にも自分を売り込んでみるといいかもしれない。あいつら、常に人手不足らしいし」

「その方々は……バンドか何かなんですか?」

「楽団さ。楽団ミュテス。そこそこの歴史を持つ楽団でね、今は竜災の被災地を回っては音楽祭を開いて旅をしているんだよ」

 

 へえ。……そう言うことをやっている人は、やっぱりどの世界にもいるんだなぁ。

 流石の紫輝くんもそういう人達を不要認定しないとは思いたいが、まるで俺を追い出すためなら全員代替することも厭わない、みたいな口ぶりだったからなぁ。言い回しはアンドリアミアフィナイラロカが変えている可能性もあるが。

 

 そんな感じで置いてある楽器全部に触らせてもらって、一時間。

 噂の彼らが入ってきた。

 

「マチルダの婆さん、今日もよろしく頼むよ……って、すまない、先客がいたのか」

「予約上の先客はあんたたちさ。この子はアタシがもてなしをしてたってだけさね」

「へえ? マチルダの婆さんがもてなしをするってことは、音楽ができるのか」

「とんでもない才能さ。歌唱も楽器演奏も、このスタジオにあるものならどれでもできるってんだから」

「そりゃすごい! ……なぁ君、名前は? 俺達と一曲何かセッションしないか?」

 

 ノリがよろしおすなぁ。

 ええですよええですよ。俺の機械的演奏で良ければいくらでもセッションしましょう。

 

 っていう感じで楽団ミュテスの人達……本来はもっといるらしいんだけど、今日きた六人と楽しく盛り上がって。

 気付けば四時間くらいがあっという間に過ぎていた。知覚と肉体疲労が直結するものは時間感覚を麻痺させるよねー。

 

「いやぁ楽しかった。ノア、君の知識量もさることながら、君の歌はなんというか、心に来るものがあるよ」

「そう言ってくれるなら嬉しい限りだね。ああそれと、君が初めに言っていたこの楽団に足りない気がするもの、についてだけど、気鳴楽器を加えるのが手だと思う。楽団スタイルを損なわないものであるのなら、アコーディオンが一番かな」

「アコーディオン?」

 

 ん……しまった、無いのか?

 ビウエラとかギターとか、そういうのは当然の顔をして存在するから気にしてなかったけど……そういえばあれって笙ベースなんだっけ? 仙実国やアスミカタでそれらしいものを見た覚えが無いから、発達しなかったのかな。

 

 まー……これくらいならいいか。

 これの「──ですよね?」は狙わない方向にした上で……サラサラと設計図を描く。

 鍵盤式じゃない、ボタン式のアコーディオンだ。

 

「こういう楽器があるんだけど、知らないかな」

「知らないな……。マチルダの婆さん、ちょっと」

「ん、なんだい」

 

 元楽器職人のお婆さんも参戦して、やっぱり知らない、という流れがあって。

 しかし。

 

「もしかしたら……竜災で途絶えちまった文化なのかもしれないねえ」

「そうなのかも。……仕組みが間違っていたりすると色々徒労になっちゃうだろうし、今ここで作ってみようか」

「作るってあんた、どうやって」

 

 地属性の魔力を魔力マニピュレータで配置し、錬金術を行う。

 ヘンリー君を警戒しなくて良くなったからこういう無法もやり放題である。……いやフツーに半径46kathk圏内の魔力の動きを全部察知できるのは異常だよ。俺もできないことはないけど普段からはやってないって。

 

「おお、魔法か。そういえば越竜に通っていると言っていたな」

「越竜学園ではこんなことも教えているの? 凄いわね~」

 

 勿論教えていません。

 

 作り上げたるアコーディオンを両手で持って、演奏を始める。

 一緒にすると怒られるけどコンサーティーナとかバンドネオンも作るのは良いかもな。音色はちゃんと違うわけだし。

 

 しかし……鉄琴や木琴はあっても鍵盤楽器は無いみたいだから、鍵盤式にしなかったのは我ながら英断かもしれない。

 たまさか俺がボタン式が肌に合う人間だったからの偶然ではあるのだが。

 

 演奏を終えれば。

 

「とても……独特な、しかし耳馴染みの良い楽器だな」

「丁重に扱うから、少し貸してくれないか。俺も弾いてみたい!」

「笛系の音よね。口が塞がれないというのは魅力的かも」

 

 好評そうだ。

 

「……ちょっと知り合いの管楽器職人にオーダーを出してみようかね。ノア、この設計図貰ってもいいかい?」

「ええ、勿論。アコーディオンも貰ってください。僕はもうマスターしているので、次会う時までに極めておいてくださいね」

「ははは、これは結構な課題だな。ジャルディン、日課の練習外でやれる自信はあるか?」

「言われなくても極めそうだ。これかなり楽しいぞ。運指が難しいが、歌いながらできるのがいいな。吟遊詩人が喜びそうな楽器だ」

 

 リュートで世界を渡り歩いている吟遊詩人は多くいるけど、アコーディオンは多少重いのがネックかね。

 その辺は好きにしてくれや、ってことで。設計図にはサインを書かなかったから、楽団ミュテスが初めて使い出した、ってことにして利益を得ても良しだ。

 

 というわけで今日はお開きになる……と思われたのだが。

 

「なぁ、ノア。お前ってもしかして『ブルーノ祝歌隊』の関係者だったりすんの?」

「ああ、そういえば、どこかで聞き覚えのある歌声だと思ったら」

 

 ブルーノ祝歌隊?

 ……あー、なんか記憶の片隅にあるような。

 

「違うけど、もしかして似ている歌唱法を使っていたりするのかな」

「知らんのか。なら気にしなくていーや」

「知らないって言うなら教えてあげなよジャルディン。年長の務めだろうに。……今から二百五十年以上前に、『ブルーノ音楽会』っていう音楽会がキロスで発足してね。世界で初めて"賜りし声"を倍音ってもんだと証明した音楽会でもある。そこがやってるのが『ブルーノ祝歌隊』といって、男女六十人くらいの混声合唱団なんだよ」

 

 ああ……レイン・ヤーガーの「──ですよね?」でお世話になったところか。

 へー。……一回聴いてみたいな。

 

 ──そんな解散前の雑談をしていた時の事である。

 

 パチ、パチ、パチと……拍手が鳴った。

 何事かと全員の視線がそちらへ向かえば、そこには……トムさんを彷彿とさせる仮面をかぶった人が。

 

「『素晴らしい! 全ての楽器を使いこなし、歌声は心の奥まで響くよう。さながら伝説の魔物セイレーンの歌声を思わせる染み入り方……まるで妖精の圀の楽師たちが総出で祝祭を奏でているような、弦の震えも、管の息遣いも、打楽器の雷鳴も、すべて己が意のままに操り、世界そのものを従属させているかのような──』」

「話が長い割に情報量が増えてないんだよっ! 出直してきなガリオ!」

「ぎゃひん!?」

 

 お婆さんとは思えない……マチルダさんによる鋭い飛び蹴りがガリオくん(仮定)の脇腹に突き刺さり、彼はスタジオから放り出された。

 まさかの「──ですよね?」キャンセル。いやまぁ「──ですよね?」ができるだけの知識を持っていない様子ではあったけれど。

 

「すまないね、あいつはいつもあんな感じなんだ。二百年前くらいにいた『大怪盗』とかいうのに憧れてて、このスタジオでおかしな魔道具を作ってはマジックの小道具に使ってるおかしなやつさ。……ああ、ノア。あんたはいつでも来て良いからね。音楽をやるやつなら大歓迎さ」

「あーっと……そうそう、私達楽団はこれからアスミカタ帝国に向かうからしばらくは会えないが、約束通り、再会する時にはアコーディオン込みの新しい楽曲を披露できるよう努力するよ」

「竜災もあるから、気を付けてね。どっかで助けてくれ、ノア、って叫んでも僕には聞こえないから」

「ハハハ、聞こえていたら助けてくれるのかい?」

「どっちにせよ僕ヒーラーだから無理だね」

「大丈夫。ちゃんと冒険者を雇うからね」

 

 冒険者か。

 ……あー。まー。

 こういう風に使うのは……あいつらがどういう気持ちになるかは知らん、とは言っておくとして。

 

「『3-CA』、もしくは『ミーリング』って名乗ってる冒険者に依頼することがあったら、"気まぐれながら、ノア・ヘドクイストが君たちを頼ってみたよ"と伝えてくれたら……良いことがあるかもしれない」

「『3-CA』って言えば、あれだろ。前代未聞、二十四人の冒険者パーティ。それが『3-CA』って名乗ってた気がするけど。ミーリングの方は知らねー」

 

 マジか。

 ……あのクラスは二十八人。越竜学園に来たのが四人で、残りは冒険者になった。

 執着しすぎだろ。

 

「ありがとう。参考にさせてもらうよ」

「うん。それじゃあ、また」

「ああ、また。良き出会いに感謝を! マチルダの婆さん、ロックレイさん……爺さんにもよろしくな!」

「あいよ。一人たりとも欠けずに、またおいで」

 

 ……そんな感じの、休日の出会いがありましたとさ。

 

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