TS不死吸血鬼の異世界旅行記   作:Revak

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第15話

 

 ──丸一日が経った。その間も戦闘は続いていた。

 優勢なのは神人だった。戦闘経験が浅いディに対しボスモンスターとして製造された神人は戦闘能力が高い。

 ディは格下との戦いこそ山ほどあるが同格や格上との戦闘経験はゼロである。

 だが、不死であるディの方が継戦能力は圧倒的に上だった。

 

「とどめぇぇぇ!」

 

 ディはそう叫びながら突撃し──血の刃を伸ばし遂に神人を真っ二つに両断した。

 

「ば、か、な……」

 

 神人はそう言い残し、光の玉となって消えた。

 

「な、何とか勝てた……」

 

 そうは言うが不死でなかったら負けてたのはディの方だ。

 腕を斬られようが頭を飛ばされようが再生して突撃して何とか倒したのである。

 

 光の玉と共にディはゆっくりと地上に降りる。

 神人が召喚していた眷属は術者が消えたことで消滅した。そのためディも眷属を出している意味がなくなった為眷属を送還した。

 

「なんだこの球」

 

 ディは光の玉を観察する。

 ディは鑑定系の特殊能力(スキル)を持っていないためこの球が何なのかわからない。

 取りあえず触ってみるかとディは右手を突っ込んだ。

 

「お、おお、おおう?」

 

 そして球が問いかけた。何が欲しいのかと。

 ディは願った。武器が欲しい、と。

 

 己に見合った武器を装備出来れば自分は更に強くなれる。そう思っての願いだ。

 

 そうして願いは叶えられた。

 

 ゆっくりと右手を引き抜く。その手には刀が握られていた。

 

 持ち手の部分は黒くなった血の用だ。鍔は蝙蝠を形どっている。刀身は九十センチで血のように赤い。

 

「これは……」

 

 何故か持った時にアイテム名と効果が分かった。

 

 神器、紅椿。有する能力はHP、魔力、スタミナの最大値事の吸収。

 吸収値は与えたダメージ量に応じる。吸収は時間経過か無環魔法でのみ戻すことが出来る。

 窃盗無効に不壊、紛失無効の効果を持つ。

 

「すごいな」

 

 武器攻撃力も非常に高い。数値にするなら千とか千五百はあるだろう。

 充分普段使いの武器として充分使えるだろう。

 

「よし、じゃあ……帰るか」

 

 そしてディは五年の時をかけてダンジョンを逆走していった。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 ダンジョンの出口から出ることでようやくディは外に戻ってきた。

 出入り口でディはまたしても従業員からじろじろと見られた。まるで初めてディを目にしたように。

 

 そうして完全に塔から出て外に出ると街はあまり変わってはなかった。

 

 取りあえず月華の翼のとこ行くか、とディは街を歩く。

 何故か最初に街に来た時と同様にディは見られるがディは気づきもしなかった。

 

 暫く歩くと月華の翼の拠点に着いた。前と変わらぬ拠点だ。

 呼び出しベルを鳴らす。

 

 少し待つと男が出てきた。歳は四十代ほどだろう。

 無精ひげを生やした男である。

 

「あ、あんた!」

 

 男はディの顔を見るなりそう叫んだ。

 誰だこいつとディが思っている間男──カズトはディに駆け寄った。

 

「生きてたのか! ディさん、もう、亡くなったものかと!」

「……私が死んだ? 面白いことを言うね」

「面白いことって、あんた二十五年も迷宮に行ったっきり帰ってこなかったんだぞ! 死んだと思われてもしょうがないだろ!」

「……二十五年?!」

 

 せいぜい二、三年程度だと思っていたがまさかの四半世紀過ぎていた。これでディは男でいた時よりも女でいた時の方が長くなった。

 

「あんたが生きてるってことは、大変だ、パーティをしよう! うちの息子と娘が生まれたんだ!」

「まずあなたは誰だい?」

「ああ、二十年も経ったんだ……俺はカズトだよ」

「……そうか」

 

 男の娘も時の流れには勝てなかったようで普通におっさんになっていた。

 さぁさぁ中に入ってくれ、とカズトはディを手招きする。

 二十五年という年月に耐えられないディは放心しながらカズトに着いて行った。

 

 屋敷の中はあまり変わってはなかった。広間に着くと知らぬ者たちが居た。

 

「父さん、この人は?」

 

 そう尋ねるのは茶髪の少女だ。

 

「ああ、カレン。この人はディ・フランケリヒさんだ。かつて父さんと一緒に冒険してたこともあるんだ」

「よろしくね」

 

「よ、よろしく」

 

 カレンはディの美貌に見とれていた。同性だろうと魅了する魅力がディにはあった。

 

 座ってディの話を聞くターンになる。

 

「それでディ、もしかして……二十五年の間、ずっとダンジョンに潜ってたのか?」

「ああ。奥へ奥へと進んでいたら戻るタイミングを失ってな。しょうがないので攻略してきた」

「攻略って……」

「ダンジョンのラスボスらしき存在を倒してきた。ドロップアイテムはすごいぞ……これだ」

 

 ディは己の影から紅椿を取り出した。

 

「これは……」

 

 見た目からして名刀だとわかる。

 

「凄い……」

 

 もう一人の息子、レインも刀を見て感嘆の息を漏らした。

 

「それで、ディはこれからどうするんだ? ダンジョンを攻略したなら……今後はどう生きる?」

「しばらくは修行かな。この刀を使いこなす訓練をしないといけない。それが終わったら旅でもしようかね」

「鍛錬か……ならラマカスという人が運営する道場があるからそこに行くといいとおもう。ただ月謝は高いが」

「月謝は問題ないね。集めた魔法道具(マジックアイテム)と金やプラチナのインゴットがあるからそれらを換金すればいい」

「ああ、迷宮に潜ってたならそれらがあるか……明日、換金に着いて行った方がいいだろう。紹介状もなしじゃ鑑定もしてもらえないだろうしな」

「わかった。手数料はいるかい?」

「かつての仲間なんだからいらないさ」

「ありがとう。それじゃあ、今日はもう行こうかな」

「待ってくれ、今日ぐらいは泊っていってくれ。かつての仲間との再会だ。祝わせてくれ」

「……わかった」

 

 こうしてディは旧友と再会し、宴に参加した。

 

 

 

 

 ■

 

「ここだ。エコル商会。アイテムの鑑定はここが一番だろう」

 

 翌日。カズトに着いて行った先は大きな商会だ。三階建ての横に大きい建物である。

 中に入る。受付に進む。受付には執事服を着たツラの良い男が立っている。

 

「ようこそ、カズト様。本日は何用でしょうか?」

 

 そう男は言った。どうやらカズトはこの商会に何度も来てるようであった。

 

「今日はツレが持ってきたアイテムの鑑定と換金を頼みたいんだ」

 

 ディは影から幾つか指輪を取り出した。

 ルビー、サファイア、アメジスト、ダイヤモンドなどの各種宝石がついた指輪だ。

 指先程大きい宝石のついた指輪だ。魔法道具(マジックアイテム)でなくとも価値はあるだろう。

 

 それらをざっと十個ほど出した。

 

「まだまだあるけどこのテーブルの上に置ききれないから一旦これだけで」

「わ、わかりました」

 

 男は若干引いていた。カズトも引いた。

 

 

 

 ディは奥に行きモンスターがドロップした魔法道具(マジックアイテム)の指輪をすべて出した。

 その数数えて千四百二。一応レアドロップのアイテムのはずだがディの幸運値の高さと殺した数の多さ、二十五年という長さによって大量にドロップしていた。

 更にはこれも指輪だけの話であり武器や防具のドロップアイテムを含めるともっとある。

 

 流石に全て鑑定する訳にはいかないので今回は指輪だけだ。

 更に一日で鑑定できる量でも無いので一週間後にまた来ることとなった。

 

 

 

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