ストーンフェル〇
に変えました。
──体感で二十分ほどだろうか。歩き続けた女は呟いた。
「飽きた」
二十分、風景は変わらない。
縦にも横にも広い石の洞窟の通路を歩き続けるだけ。何かあるわけでもない。
蝙蝠が居たり蜘蛛が居るわけでもないただの洞窟に流石に飽きてきた。
こうなると何か移動手段が欲しい、と女は考えた。
「よし、これだ」
女は足首から先を血を飛ばし無くした。
血の噴射の勢いで高速で飛翔する。
「うぉぉぉぉぉ!」
思ったより速度が出たことと生まれて初めての飛行に興奮し女は絶叫した。
音速を優に超える速度、時速にして六千二百キロで洞窟を飛ぶ。
そしてそんな速度を出せばいかに長いこの洞窟でも奥に到達する。
「えっ壁?! あかん?!」
一瞬で女の目に壁が移った。漆黒の壁だ。
「うぉぉぉどうにかなれぇえぇぇぇぇえ!!」
女は両腕でハンマーを作り超回転させながら射出。
ハンマーとなった両腕が壁に衝突し壁だと思われた扉は無惨に破壊された。
扉向こうの部屋に入ると飛行を停止し地面に降りる。
「あ、あぶねぇ……」
もっと遅く飛ぶかゆっくり飛ぼうと女は決意した。
「ん?」
女は己に影が出来てるのに気づいた。
とっさに真横の飛ぶ。遅れて剣が地面に刺さった。
「人?!」
振り向く。そこには剣士が居た。
漆黒の鎧に身を包んでいる。鎧のいたるところからは棘が飛び出している。
顔はフルフェイスで隠されている為見えない。五メートル程はある巨体をしている。剣もまたそれに似合う巨大さを持っている。
「えっと、すみません。壁壊しちゃって。けど怪しいものじゃないんです……いや全裸は怪しさ抜群ですけど」
女はそう剣士に話しかけるも返答はない。代わりに剣が振るわれた。
「うぉぉおぉぉ!」
女は両手で剣を迎え入れた。
真剣白刃取りのように剣を掴んだ。
「ふんぬ!」
女は気合を入れて剣を掴んだ。
みしりと剣にひびが入り、次の瞬間粉々に砕けた。
どうやら己は握力も高いらしいと女は気づいた。
そして今こそさっき考えたスキルを使う時と女は興奮しながら
「
右手から血の閃が飛び出す。
鞭のように振るい剣士を胴体から上下真っ二つに両断した。
「あかん」
思ったより威力が強くて殺してしまったと女は慌てた。
血を止め即座に駆け寄る。
だが殺したという心配は無用だったようだ。
「……血が出てない」
斬られたはずの切断部からは血が一切流れてなかった。
代わりにあるのは石の用な断面だ。
(人じゃない……ゴーレム的な何かだったのか?)
まぁ殺人犯にならなくてセーフ、と女は冷や汗を拭いた。
取りあえず先に進むもうと扉の残骸の反対方向の道へと進んだ。
■
再び女は洞窟を飛んでいた。
先のようにマッハ六で飛ぶ愚行は犯してない。
背中から血で出来た翼を生やしそれを使うことで低速での飛行を可能にした。低速といってもマッハ一はあるが。
それでも己の動体視力ならば問題なく何かあっても回避か破壊が出来る。最高速度のマッハ六で飛んでも問題はないが。
飛ぶこと女の体感時間三日、現実時間五日でようやく女は自分以外の生命を見つけた。
喜びのあまり地上に降りる。そこには蜘蛛が居た。
「でっか」
思わず口からそう言葉が漏れるぐらいにはでかかった。
でかい。二十メートルはある。
この洞窟事態縦横五十メートルはあるため問題はないが、あまりにもでかすぎる。
黒い体に毛が生えている。足の一部は鋭く刃の用だ。
(え、ここアマゾンの奥地だった?)
女は思わずそう思ってしまう。
だが現実的に考えて二十メートルを超える蜘蛛など現実に存在しないし、更にこの洞窟で存在できるわけがない。
女が飛んできたこの洞窟は暗く植物がなく、小動物どころか虫すら見かけない。
だというのにこのサイズまで成長できる餌がどこにあったというのか。
「ぶ、
女は襲い掛かってこようとする蜘蛛──正式名称ジャイアントハンキングスパイダーというレベル六十のモンスターを
黒い体液がはじけ躯となった。
「えぇ……いったいここどこなの?」
女は疑問を抱きつつ、更に奥へと進んだ。
■
女は更に奥へ奥へと進んでいった。あるいは表へ進んでいった。
その道中様々なモンスターと遭遇した。女はモンスターだと気付いてない。
ジャイアントブラッドサッキングバッドやジャイアントセンチピードなどのレベル六十代の外の世界ならば単独で国すら亡ぼす怪物たち。
それらを「でけぇ! キモイ!」などと叫びながら女はバッタバッタとなぎ倒していった。
そうして眠ることが出来ない体で女が進むこと体感半年、実際は二か月ほど。
ようやく女は外への出口を見つけていた。
「ここか?」
うーんと女はうねった。
こんこんとノックするように触れるのはあの剣士が居たのと同じ場所にあった黒い扉だ。
取りあえずどうしようかと数秒悩み、まぁ壊せばいいだろと殴ることに決めた。
音速を超えた拳が放たれる。
重さかける速度イコール破壊力。
とんでもないパワーが発揮され扉は吹き飛んだ。
空高く高くへ舞い上がる扉。それに追うように女も空に出た。
「外だー!」
うぉぉぉぉおぉぉぉおと女は全裸で外に出て森を走りまわった。
「太陽ある! 空ある! 雲ある! 空ある」
体感半年ぶりの空である。歓喜するのも仕方がなかった。
「あ、やべぇ俺全裸だ! どうにかしないと!」
そうして全裸で森を走り回っていてようやく最大の問題に気づいた。
女が全裸で歩いているなどどうぞレイプしてくださいと言ってるようなものである。そこらのレイプ魔程度返り討ちに出来る力を持ってるがまずそうならないのが先決だ。
どうにかせねば、と女は考え己の血を使ったらどうかと考えた。
指先から血を出しドレス上に形を整えていく。
バトルドレス、というのだろうか。真紅のドレスを女は纏った。
胸元を大きく露出している。腰にはコルセットがついている。
または開かれており股部分が丸見えだがちゃんと血でパンツを作っているので丸見えでも問題ない。
深いスリットのあるドレスである。
また足にはハイヒールを付けている。手には長手袋を着用し指先は開いている。
どれも真紅色をしている。
これでいいだろと半分露出魔みたいな格好だが己の趣味にのっとって作った服に女は満足した。
女は適当に森を歩き始める。
見るものすべて新鮮で女の目には美しく映った。
森のせせらぎに小鳥の鳴き声。地を這う虫けら。全てがいとおしく思える。
長い長い洞窟暮らしは女の精神を少し変にしていた。
何せ食事も睡眠も呼吸も不要のからだですることなく永遠に洞窟をさまよっていたのだ。変にもなろうもの。
そうして歩くこと五分。生命力を感じた。
女が吸血鬼として持つ能力の一つで一定範囲──半径百キロ内の命を持つものを探知する能力だ。
だが、ひどく弱っている。人間程度はありそうだが弱りすぎていて今にも死にそうだ。
慌てて女は走り出した。
ただの走りでもマッハ三以上は出せる女だが地上でそんな速度で走れば地上が大変なことになるので抑えて走る。
そうして走った先で、女は男を見つけた。
壮年と呼べる年齢の男だ。黒髪黒目の容姿をしているが、顔つきはヨーロッパ系だ。
髭のある渋いおじさんといった風貌で騎士らしき鎧に身を包んでいる。
右手には剣が抜かれている。
男は木を背にもたれかかっていた。
「し、死んでる……?」
女は思わずそう呟いた。
生命探知の力で生きてるのはわかるがそれでも死んでない方がおかしい重傷を男は負っていた。
腹が槍に貫かれている。血がじわじわと鎧の下の服を染めていっている。
女はどこかその流れ出る血に興味がそそられた。
「そこに……誰かいるのか……?」
男がそう問いかけた。
「は、はい。います」
「そうか……ならば……伝言を頼んでいいか……」
「え、えっと、その」
「ストーンフェル様に……賊は倒したから……安心してほしい…………と……」
女は少し悩んだ。ここでその伝言をストーンフェルとやらに届けるのが最善だろう。
だが女は最善以外の手段がないかと模索し──会得した。
吸血鬼としての能力。他者を眷属たる吸血鬼にすることが出来る力。
それを使えばこの男は助かるだろう。だが、それは相手の尊厳を奪う行為だ。
この力で眷属にしたものは主に忠実なシモベと化す。何よりも主第一に考える忠実なるシモベに。
女は少し悩んだ末に口を開いた。
「……あなたは、助かりたいですか? 尊厳を失ってでも、泥をすすってでも、生きたいですか?」
最悪の問いかけを女はした。
「……叶うならば……生き延びて……お嬢様の……ミシェルお嬢様の行く末を……見届けたい……」
「……わかった」
女は男の首筋に牙を立てた。
芳香な血の香りが女の嗅覚を襲う。
いつまでの嗅いで居たい。そう思わせる魅力的な匂い。
多少男の血を吸う。
美味い。女はそう思った。
これまでに食べたどんな美食も劣るほどの濃厚な味。ずっと飲んでいたいと思える味。
とろける頭を振り払い女は己の血を少々男の体に流した。
「が、アッ……!」
その瞬間男の体に異変が起こる。
傷が時が巻き戻るかのように治っていき、刺さっていた槍がぽろりと抜けた。
そして男の肌色が悪くなる。少し白くなったのだ。
といっても誤差の範囲ともいえる程度で親しいものでもなければ気づかない程度の差。
更には瞳が赤になり牙も出てくる。
そうして五分ほど経った頃。男はおもむろに立ち上がった。
よかったと女も姿勢を正すと男はおもむろに膝をついた。
「わたくしを眷属にしてくださり真にありがとうございます。我が主」
「あ、はい」
男の急変に女はついていけなかった。
まぁこうなるだろうなとは予想していたが実際にそうされると混乱するものがある。
「つきましてはまことに申し訳ありませんが以前の主であるミシェル様が成人するまでお守りしたいと思うのです。どうかそのために行動することを許してはくれないでしょうか」
「……」
女はうねった。
正直男を眷属にしたのはこの世界の情報欲しさのところがある。
見たことない騎士の鎧を纏った人間がいる地方を男は地球上で知らないというか、儀式的な場面を除き鎧を着る場所があるなど地球上にあると思っていない。
そのために自分が吸血鬼になったのも含め何か知ってはいないかと一部の望みをかけ男を眷属にしたのだ。
「えーと、それ俺……じゃない。私にある程度情報と金銭をくれてからでもいいか?」
その言葉に男は少し頭を悩ませた。
「……でしたら誠に不敬ではありますが我が主も私の前の主であるミシェル様の下で働くというのはどうでしょう。ミシェル様は十一歳。あと五年で成人となります故たかが五年程度我らにとっては瞬く間に過ぎる時。問題ないかと思うのですが」
「じゃあそれで」
「ありがとうございます。主様……良ければ我が主のお名前を教えてはくださらないでしょうか。私はブルート・ライズと申します」
「えっと……私は……」
なんていうべきか。女は悩んだ。
本名である■■は男の名なので女の名前だと違和感があるしそもそも日本語名はここらの文化に合ってない。
そもなんで会話が出来てるのかという疑問を今女は抱いたがそれは今じゃないと捨て置いた。
「……うーん。私に名前はないので……後で考えておきますね」
「なんと、名前がないとは、失礼しました! ……でしたら名前をお贈りしてもよろしいでしょうか。貴女様に相応しい名があるのです」
「……うーん。いいですよ」
「では、ディ・フランケリヒがよろしいかと。古い言葉で不死を意味します」
「不死、不死か……いいですね。じゃあこれからはディと呼んでください」
「敬語などおやめください。貴女は我々血族すべての主なのですから」
「えぇ……」
こうして始まりの吸血鬼ディ・フランケリヒと従者ブルートの旅が始まる。
主人公のAI絵(chatGPT作)いりますか?
-
いる
-
いらない
-
さっさと本編かけカス
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作品投稿しすぎじゃボケ