アリゲーターの獣人だ。
二足歩行する鰐である。
黒い鱗を持っており肉体は逞しい。
種族的に戦士向けのステータスをしているがたまに変異種が出現しその者は
不死の森の北部にその集落はある。
七つの部族があり、そのすべてを支配するのが沼王という者だ。
沼王の名はファルコという。二、五メートルという
レベルは高く三十二という英雄級の力を持つ。
沼地の上に集落はある。
木で作った家を持ち、丸い家をしている。
沼王の家だけは別で四角く二階建てだ。二階建ての建物は他にはない。
近くにはこの不死の森最大の池である瓢箪型の湖がある。その湖の影響で湿地帯になっている。
「む」
沼王──ファルコは自宅から出た。
空に雲がかかっている。どこか寒い風が吹いてきた。
街にいる
「落ち着け! 我が居る限り問題は起こらない!」
ファルコは戦斧を手にそう叫んだ。
ファルコは他の
空からアンデッドが飛んできた。
白い人の骸骨の姿。両腕は骨の翼になっている。頭には三つ目の穴がある。
「聞け!
「……メッセンジャーだと?」
「今より数えて七日後! この地に偉大なる御方の軍が攻め入る! 無駄なあがきをし、屍を晒すがいい! この地は七日後より偉大なる御方の物となる!」
「……敵が攻め入るのか」
「残る七日、悔い無きように生きるがいい!」
そういうとアンデッドは空を飛んで去っていった。
それにより空は元の晴れの天気に戻り、冷たい風も消えた。
「……敵軍、か」
メッセンジャーが来た次の日。
「偉大なる戦士たちよ。これより六日後に敵が攻め入る。それに関して会議を開こう」
沼王の屋敷の一階の会議室で戦士長と魔術師頭、狩人頭と司祭頭、農耕頭が集まっていた。
戦士長は戦士たちの長でありレベル二十の精鋭。魔術師頭も第三環魔法まで行使できる優秀な者だ。
「まずは戦うが逃げるかを決めよう」
そう発言したのは司祭頭だ。老人の
「逃げるかだと? 俄然戦うべきだ!」
強く叫んだのは戦士長だ。
「敵の規模が不明だ。数百か数千か……我々で倒せるのか?」
そう疑問を呈したのは農耕頭だ。若い男である。
この男は
それでも好みというのはあり好むのは生魚のビワマスだったりする。
彼らに調理の概念はないので生で食っている。胃が強いので食中毒や寄生虫にやられることはない。
養殖という概念を旅を得て持ってきた男であった。
「戦う以外の道はない。必要なのは敵の戦力と、どう戦うかだろう」
ファルコはそう言う。
部屋に新しい
「おお、戻ったか。どうだった?」
ファルコの台詞に男は緊張した顔を見せた。
「敵の本陣を見つけてきた。数は五千だ」
五千、という数字に全員戦々恐々とした。
「我らの数は幾つだ?」
「戦士だけ言えば四百ほど。戦える者ならば三千二百といったところでしょう」
ファルコの問いに司祭頭が答えた。
「……倍ではないことを喜ぶべきか。だが、勝ち目はあるな。敵の種類は?」
「スケルトン二千、ゾンビ二千、アニマルゾンビ千といった感じです。ただ動物のゾンビ以外全部武装しています」
「そうか……我らの武器はあるか?」
「民に言えばスケルトンに効きやすい殴打武器の棍棒ならば人数分ギリギリ間に合うでしょう」
「よし、ならば準備せよ。我が領地を守るのだ!」
オオ! と気合の叫びをあげた。
■
メッセンジャーが宣言した日。アンデッドの軍は現れた。
ゾンビが前衛。スケルトンが中衛。左右に狼や猪、鼠に犬のゾンビが控えている。
沼王ファルコは泥の壁の上に立つ。
この泥は魔法で固めている為魔法攻撃や物理攻撃を多少受けても崩れない硬さを持つ。
「諸君! 敵は多い!」
その叫びに控えた戦士たち──三千ニ百の戦士の目が曇る。
「だが恐れることはない! 沼王である我がついている! 我に続け! 亡者どもを薙ぎ払い、この沼地を守って見せよう!」
「「「オオオオオオオオー!」」」
──戦いが始まった。
アンデッドを率いるはアンドレア。上半身だけの二十メートルを超える巨大なアンデッド。
率いるアンデッドの大半は十レベル以下だが指揮官の
「うぉぉおぉぉ!」
正面からアンデッド軍と沼王率いる
移動速度の差で最初にスケルトンたちがぶつかる。
最初は
その流れを変えたのは沼王ファルコだ。
「ぬぅん!」
<肉体向上><肉体超向上><空斬>を合わせ範囲攻撃として戦斧を振るう。
それだけでアンデッドの軍勢の一部が破られる。
「沼王に続け!」
「勝利は我らの手だ!」
士気は圧倒的に
どんどこファルコはアンデッドの群れを薙ぎ払う。
レベル差が約二十もあるのだ。沼王単騎でこのアンデッド軍を薙ぎ払えるだろう。レベル差とはそれだけの差を生む。
もっとも、それは同格以上が居なければの話だ。
アンドレアが上半身だけの体で器用に跳躍した。
配下のアンデッドを踏みつぶすように着地する。
「お前が親玉か! 斬り飛ばしてくれる!」
「オォォォオオオ!」
アンドレアが吠えた。
レベル差とは悲しいぐらいに厳しい。
ファルコが戦斧を振るうもそれよりも早くアンドレアが右手を薙ぎ払うように振るった。
それによりファルコは吹き飛ばされ、沼地を転がった。
「そんな……」
「俺たちの沼王が……」
「ま、まだ、だ……」
ファルコは維持で立ち上がろうとする。
レベル差があるとはいえアンドレアは指揮官系特化だ。ステータス差もそんなになかったからこそ四十レベルの差があっても生きていられる。
「勝負はもう着いたと思うけど?」
そこにディが空から降りてきた。
アンドレアの頭の上に綺麗に着地する。
ディが指示を出しすべてのアンデッドを止める。
「お、お前は?」
なんとか立ち上がったファルコが問いかけた。
「私はディ・フランケリヒ。この地の支配者となる者だ」
「……お前が、か?」
「うん。これが証拠」
ディは影から紅椿を取り出した。
そして<飛刃断>を使う。
地面に向かって放ったそれはアンデッド軍と
それを見た
「これでわかるだろう? 私と君たちの力の差が。大人しく従うのがいいと思うけど」
「……沼王たるものが、戦いもせず敗北を認められるか!」
「そうか……じゃあ一騎打ちと行こうか。勝った方が全てを得るという事で」
「いいだろう!」
ディはジャンプしアンドレアから降り、ファルコの前に立った。
お互いに構える。
「ウォォォォオオ!」
先手を打ったのはファルコだ。
雄たけびと共に
それに対しディは素のステータスで迎え撃ち──胴体を袈裟斬りにして絶命させた。
「そんな……」
「俺たちの沼王が……やられた?!」
そのことに
「従うなら武器を捨てて投降しろ」
その台詞に
こうして
ディは沼王の死体に近づく。
「受け入れろよ。
唱えるのは第九環魔法の蘇生魔法だ。
ディに憑依したフェルディナントはある
名は<全魔法適正>クラスや種族の制限を超えてあらゆる魔法を習得できる。
とはいってもクラスや種族補正が入らないので本職には一歩劣るが、それでも呪文書さえあればあらゆる魔法を習得できるため強力な
「む……」
沼王ファルコは起きた。
蘇生魔法はかけた対象が蘇生に同意しないと蘇らない。蘇ったという事はフェルディナントの力を受け入れたという事。
「死者が蘇った……」
「神だ! 神の奇跡だ!」
こうしてディは武力をもってして