「うぉぉぉぉぉ!」
リオンは叫びと共に斬りかかった。
斬りかかる相手は
全員が第二環魔法まで行使できる優秀な
全員が緑色のローブを纏い長い木の杖を持っている。
リオンのレベルは十二とこの者たちと同程度。まともに戦えば負けるのはリオンだ。
更にリオンは装備の質も悪い。
一人目に斬りかかる。相手は長い杖を間に挟むことで防御したが杖をばきっと折った。
そのまま切り上げで胸を斬る。
一人目を倒した。だが即座に他の者が魔法を唱えようとする。
だがそれを遮るようにタルトナが突撃。
相手が全裸なので
その混乱の隙をついてタルトナは胸を貫き殺し、絶命させると次の獲物へ襲い掛かった。
「怯むな! 数ではこちらが上、負けることはない!」
敵の副指揮官がそう叫んだ。
騎士の格好をした者だ。鋼鉄の鎧に身を包みフルフェイスで顔も隠している。
「オラオラオラァ!」
そこにレオニアが殴り掛かる。
レオニアは獣心顕現を使い身体能力を向上している。
五感も強化され探知能力にも優れている。
レオニアのクラス構成はモンク系列だ。殴打に特化した能力値をしている。
それを使えば鋼鉄の鎧だろうとへこませ衝撃を内部まで浸透させるのはたやすい事だ。
それにより騎士の一人の頭部が内部ではじけ絶命した。
「どんどん行くぞ!」
ニルスがケヴェーアをマシンガンに変え銃弾を放つ。
しかし事前に
「ちっ」
ならばとマシンガンからがしゃがしゃとショットガンに作り替える。
弾幕は減るが一発のダメージ量は上がる。
百以上の敵を前にリオンたちは怯むことなく勇敢に挑む。
乱戦状態とし敵の
リオンも
そこに空から一人の女が降ってくる。
身長百九十八センチ。腰まで届く黒い髪の内側は赤い。右目は赤、左目は黒というオッドアイ。
顔つきは非常に整っており絶世の美を誇る。
神祖の吸血鬼ディ・フランケリヒだ。
「行くよ」
そう宣言と共にディは紅椿を影から抜き、疾走する。
目にもとまらぬとはまさにこのこと。音速に近い移動をなし一刀の元残る敵兵士を全て斬り伏せた。
「……すげぇ」
次元違いの力を目にしリオンは畏怖と尊敬を抱いた。
どうすれば自分もあの高みまで登れるのだろうかと、羨望を抱く。
「これで敵は殲滅出来たかな」
ディはそう紅椿を振るい血を祓った。
全員無事だと返事をする。
ニーナが魔装グリゴリを持ってみんなの前に出現する。
「いったん砦に帰ろう。そこで荷物をまとめて、別の拠点に行く」
全員了解の返事をし、行動に移った。
■
その後、砦に戻り荷物をまとめ、全部まとめてディの影の中に収納した。
そうして一行はある場所に向かって空を飛んでいた。
「すっげぇー!」
空の上でリオンが叫んだ。
一行は今二十レベルという高レベルのモンスター、エアーマンタの上に乗っている。
青色の巨大なマンタだ。飛行能力に優れているがそれぐらいであり、鳥などを捕食して生きているモンスターである。
人を襲う事はめったにない。
このエアーマンタは革命軍側のあるアーティファクト持ちにテイムされているモンスターだ。
「よ、よくはしゃげるな」
ニルスがぷるぷると震えながらエアーマンタにしがみついている。
他を見るとブラドとニーナ、ディは立っているがそれ以外のメンバーはしがみついている。
「ボス、どこに向かってるんだ?」
ロルフがナディネに問いかける。
ロルフもエアーマンタにしがみついている。
「東の地だ。暫くはそこで潜伏し、全員のレベルアップを図る。活動は一時停止だ」
「何のために?」
「今対帝国に対し革命軍側も増えた戦力と共に足並みをそろえている。今私たちだけが突出して活躍する訳にはいかないんだ」
「わかった。なら暫くはレベリングだな」
そうして一行は東の荒野に辿り着いた。
地面に着地し、ほとんどの者がしばらくぶりの大地に感動する。
「そうだ。リオン。お前に渡したいものがある……ディ」
ナディネがリオンに近づく。
ディが影から槍を取り出した。
真っ黒な槍だ。形状はパルチザンである。
ナディネが説明を始める。
「これはアーティファクト、グランドゴールだ。ドラゴニアと同じ魔装タイプのアーティファクトだ。リオン、お前に与えよう」
「あ、ありがとうございます!」
リオンはふいに貰ったアーティファクトに感動しながら槍を受け取る。
「グランドゴール!」
そう槍を掲げ宣言しアイテムを使用する。叫ぶ必要はない。
瞬間煙と共にリオンが黒い鎧に包まれる。
頭部はどこか悪魔的なカッコよさを持つ。
全身を隙間なく覆う黒い全身鎧。胸には脈動する赤いコアがある。
「これが、アーティファクト……」
纏うだけでわかる、己の能力値の上昇具合。
確かに
ステータスの上昇具合が半端ない。これを他の
「俺、この力でもっともっとがんばります!」
うぉー! とリオンは高ぶった。
■
帝都には宮殿がある。
城ではなく、宮殿だ。
宮殿にいるのは警護兵と皇帝や大臣たちが集めた見た目だけは良い女どもばかり。
そこを一人の女が優雅に歩く。
百七十センチという女性としては高めの身長を持つ女だ。
非常に浮くしい女で赤い髪に赤い瞳をしている。
名をイグネリア。帝国が誇る二大大将軍の一人。
イグネリアは宮殿を歩き、ある門の前で止まる。
門の前には二人の黄金の鎧を纏った警備兵が立っている。
警備兵が門に触れることで門が自動的に開いて行く。
門の先は玉座の間だ。
玉座に座るのは当然この国の皇帝、フィリップ・クルカイだ。
金髪碧眼というよくある容姿。元は整っているのだろうが贅肉が顔にも腹にもたっぷりとついており台無しになっている。
因みに禿げ。
玉座の前にイグネリアは膝をついた。
「このイグネリア。陛下の命によりはせ参じました」
イグネリアはまったくもって敬意のこもってない礼をした。
「よく来たな、イグネリア」
そう話すフィリップの顔には情欲があった。
露骨にイグネリアを視姦している。
「それで何用でしょうか、陛下」
「うむ。北の地、ノースファングでも反乱が起こった。それを鎮圧してくるのだ。そのための兵力は惜しみはしない。帝国四騎士のうち二人を出そう」
帝国四騎士とは帝国の大将軍に次ぐ実力を持つ者たちの事だ。
といっても将軍級より若干強い程度であり、あまり強さは変わらない。
それでも質の良い
それを二人も出すとは気前のいい事だ、とイグネリアは思案した。
「わかりました。必ずや北の反逆者共を雪の下に埋めて見せましょう」