TS不死吸血鬼の異世界旅行記   作:Revak

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第4話

 

 翌日。玉座にディは朝から呼ばれていた。

 

「早速だがディにはこの剣を届けてもらいたい」

 

 そうグルフは話を切り出した。

 

「剣を? 誰に?」

「ストームタガーの首領、アルノル・ウルフ・ストームダガーにだ」

「……その者はいったい何者で?」

 

 その問いかけにグルフは目を丸くした。

 

「首長。彼女はノースファングに来たばかりで内戦について知らないのです」

「そ、そうか……なら軽く話しておこう」

 

 

 内乱の始まりは複雑だ。

 

 二十年前、帝国の支配地の一つ、アルマテーナにて反乱がおこった。

 反乱の主導者はアルマテーナに住まうエルフたち。

 エルフたちは人間の支配から脱却すべきだと主張し帝国に対し反乱を起こした。

 帝国は五百年以上この大陸を支配し続けてきたが、五百年も経てば支配に緩みが生まれる。

 そうしてアルマテーナの反乱は最終的に大陸全土を巻き込んだ内乱になった。

 そうした戦争は長年続くも最終的に帝国側が勝利──したとされている。

 だが実際はお互いに疲弊しまくった結果戦争を続ければ共倒れになると判断され戦争を一時中断したに過ぎない。

 そのためいずれ戦争は再開されるというのが帝国、アルマテーナ両方の見解だ。

 

 そしてこの反乱はアルノル・ウルフ・ストームダガーが起こしたものだ。

 彼の主張は弱り切って堕落した帝国からノースファングは独立し、王国を樹立すべきだというもの。

 弱り切ったというのは間違ってない主張であり、それに賛同するものは多い。

 そのために内乱が成立し二年前から戦争が起こっている訳だ。

 

「なるほど、なるほど」

 

(なんか厄介なことになってんなぁ)

 

 うーんとディはうねった。

 最悪自分一人空飛んでどっか僻地にまで行けばすべて無視すれば平穏に暮らせるからいいかと投げやりに考えることで納得した。

 

「そして剣を送るという事は相手との友好を示す。受け取れば奴は帝国に従順を示し、拒絶されれば敵対するという事だ……これはストームダガーがこのストーンフェルに攻め入るという情報を手に入れたからでもある」

「なるほど、わかった。剣を送り届けよう」

「ああ。そうしてくれ」

 

 そうしてディは剣を受け取った。

 装飾品のついた剣であり実用性は低そうである。

 

「確かに受け取った」

 

 そういうとディは己の影の中に剣をしまった。

 そのことに驚かれたが魔法か何かだろうと勝手に納得されたため追及されなかった。

 

「ああ。共としてブルートを連れていくといい」

「わかった。連れて行こう」

 

 そういや首長相手に敬語使ってないけど文句言われないなと思いながら隣に居たブルートを連れてディは広間を出ていった。

 

 

 

 ■

 

 ストームダガーの本拠地であるルステークまでは徒歩で一週間かかる。北東に向かう。

 無論二人が本気になれば一日でつく距離だがこの時間を使ってディはブルートから色々と聞くことにした。

 ルステークは反乱軍の本拠地の街の名前であると同時にストーンフェル同様地域の名前であもある。

 

 まず、この大陸の名はラモトラという。

 五つの地域にこの大陸は分かれている。

 北のノースファング。西のアルマテーナ。東のマチルダ。中央のディロール。南のガロルモロウ。

 アルマテーナにはエルフが主に住まい、ノースファング、ディロールには人間種が住む。ガロルモロウにはダークエルフが住まう。マチルダには獣人が住んでいる。

 この大陸を統一している帝国に名はないが五百年大陸を支配し続けていて今もその支配力は高い。

 

 中央のディロールにはこの大陸唯一の迷宮があり迷宮のある都市に首都が建設されている。

 首都ガーナスバルクはこの大陸最大の発展都市だ。迷宮のモンスターが落とすドロップアイテムを使って技術の発展も行われている。

 

「割と複雑だな」

「そうでしょうか?」

「……何も知らぬ者から見れば、だが」

 

 そのほか幾つかの常識的なことを聞きながらルステークに向かった。

 

 

 そうして話を聞き続けながら歩くこと三日。二人はルステークに辿り着いた。

 吸血鬼の特性として疲労がなくそして睡眠も食事も不要なため歩き続けることが可能だったがゆえにこんなにも早く着いたのだ。

 道中モンスターには襲われなかった。何せ強者のオーラをバリバリに出してる二人だ。馬鹿なモンスターでも襲う訳がない。

 

(寒そうだな、ここ)

 

 ルステークは雪が降る地域だ。雪が十センチ以上は積もっている。

 そして街は当然石の壁に囲まれている。どこか重厚そうな雰囲気の街だ。

 

 門に辿り着くと衛兵が当然居て、衛兵は二人に話しかけてきた。

 

「止まれ。この街に何の用だ?」

 

 衛兵はストーンフェルの者同様フルフェイスで頭を隠しチェインメイルで身を包んでいる。

 盾と剣を装備している。

 すっとブルートが身を乗り出した。

 

「ストーンフェル首長グルフ・グレート・ストーンフェルからこのルステーク首長のアルノル・ウルフ・ストームダガーに届け物がある」

「届け物だと? ……わかった。俺について来い」

 

 そういうと衛兵は門を開けた。ディたちは門の中、ルステークに入っていった。

 

(石造りの街だな)

 

 さてどうなるんだろうかとディは衛兵に着いて行く。

 歩くこと十分。首長のいる宮廷に辿り着いた。

 この宮廷は石づくりだ。堅牢そうな宮廷である。

 

 門を開けて中に入る。そこは広間になっており奥に玉座があった。

 

 進んでいくと玉座に座り執政と話していた男──アルノルが目を見開いた。

 それは当然ディの美貌に見惚れたのである。この世界では早々お目にかからない美貌の持ち主だ。見惚れぬなという方が無理がある。

 

 数秒気を失ったようにアルノルはディを直視し続けたが三人が近づいたことで正気を取り戻したのかわかりやすく咳払いをした。

 

「……衛兵、その者たちは何者だ?」

「はっ。グルフ・グレート・ストーンフェルからの使者だそうです。贈り物があるとか」

「そうか。見せてみよ」

 

 ディは影からしまっておいた剣を取り出した。

 

「これだ」

「……そうか……わかった。贈り物は送り返して構わん」

 

 以外にもあっさりと告げられおや、とディは思った。

 

「……首長。一つ聞きたいのがいいかね?」

「……何かね」

 

 眉を潜めつつアルノルは許可を出した。

 

「何故、反乱を起こしたのかね?」

「……堕落しきった帝国から脱却しエルフどもを殲滅するためだ。この回答ではだめか?」

「いいや。納得できた……行こうか。ブルート」

 

 そういうとディは踵を返し宮廷から去っていった。

 

 

主人公のAI絵(chatGPT作)いりますか?

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