リオンとニーナはロンゴロンゴを散策していた。
作戦決行日までの時間つぶし兼、敵がニーナにつられてきた場合の排除を目的としている。
だが三日ほど繰り返しているが敵が釣れたことはなかった。
「なんもないな」
街はずれの公園で。リオンは買ったクレープを食べながらニーナに話しかけた。
「流石にここまで反応がないと変だな。顔が割れている私が街を出歩いても衛兵すら飛んでこない……この街はどうなっているのやら」
ニーナもクレープを食べる。
余談だがリオンはチョコバナナを。ニーナはいちごミルクを食べている。
雑談を交わしながら食べ、やることないからと拠点に戻った。
「ただいまー」
「おかえり」
こうして一日が終わる。
■
夜。庭にて。
リオンは夜空を眺めていた。
庭の長椅子に座ってぼんやりと空を見る。
「隣、いいか?」
そこにニーナがやってきた。寝間着を着ている。
「ああ、いいぜ」
「ありがとう」
そうして二人そろって夜空を見る。
五分ほど沈黙が流れたのち、リオンが口を開いた。
「……なんでニーナはこの職業に就いたんだ?」
「あまり面白い理由ではないぞ」
「いや、仲間がどんな過去か気になってさ」
「そうか……私は南のガロルモロウから来たんだ。私は姉妹の捨て子でな……スラムで暮らしていた」
少しずつ、ニーナは話し始めた。
姉妹でスラムで暮らすのは大変な事だった。
今日の食事にすら困り、やれることは何でもやった。
スリ、追剥、死体あさり。売春まで何でもやって生きてきた。
だがある日、妹が死んだ。病で死んだ。
妹が全てだったニーナは途方に暮れた。
そうしてどうでもよくなったニーナはスラムを放浪しているときにナディネに拾われた。
生きる意味を与えられ、未来を示され、ナディネに着いて行くと誓ったのだ。
「そんなことが……」
「まぁ、よくある話さ」
「……俺は、いつまでも居るからな」
「……ありがとう」
■
数日後。仮拠点の広間で。
「今日、決行する。地下からの突入はブラド、ニルス、私、レオニア。上空からはロルフ、ニーナ、リオンが攻めてくれ。一応当日に康二が裏切ってくれるようだが……あまり期待はするな」
ナディネの言葉に全員覚悟を決める。
相手は三従士に四騎士の一人。強敵だ。
「では、行くぞ!」
「「「了解!」」」
地下を掘り進んで得た秘密の通路からブラド、ニルス、ナディネ、レオニアが突入した。
出た先は屋敷の広大な庭だ。そこにも当然警備兵が居る。
「シャァァァァァア!」
レオニアが<恐怖の雄たけび>の
相手を恐怖状態にする
ただしレベルが半分以下の相手にしか通じないという残念
声は遠くまで響き渡り、屋敷中に響き渡った。
その声によって屋敷中から警備兵たちがわんさか出てくる。
「気合入れろ。正念場だぞ!」
「「「おうっ!」」」
ナディネの台詞に他の者たちが気合を入れた。
エアーマンタの背に乗って残るメンバー、リオン、ロルフ、ニーナはロンゴロンゴの空を飛んでいた。
流石に空まで警戒されることはなく、悠々と空を飛んでいた。
そうして少し飛ぶことで都市長の館の空に到着する。
「よし、降りるぞ」
「この高さから降りるのちょっと怖いんだが」
ロルフが怯えながらそう言った。
「我慢しろ」
ニーナがそう言いロルフの手を引っ張って落ちた。
それに続きリオンもグランドゴールを纏って落ちた。
屋根の上に落ち、落下の勢いのまま屋根を破壊し屋根裏に侵入した。
「し、死ぬかと思った……」
ロルフが肩で息をしながらそう呟いた。
「休んでいる暇はない。急ぐぞ」
ニーナが冷静にそう言い村雨を抜いた。
「わ、わかっている。行こう」
三人は走り出し屋根裏部屋から出て行った。
降りた先は廊下だ。廊下を走っていく。
道は既に康二から聞いているので把握している。
屋敷の中に警備兵は数名しかおらずそれも力の低い弱者のみ。どちらもとも一撃で即死させれた。
そうして進むと広間に出る。パーティルームだ。
その部屋には机も椅子もないが二人の男が立っていた。
銃を持った帝国四騎士の一人康二と二つの剣を背負った男、ガイラだ。
「ようこそ、侵入者。ここで死んでくれ」
ガイラが二つの剣を抜いて構える。それに合わせ康二もハンドガンを抜いた。
そして康二はガイラの頭に向かって発砲した。
ドン、という重低音が響いた。
「は?」
死ぬ瞬間、ガイラは間抜けな顔を晒した。
「それじゃあお三人方、奥へ案内しますよ」
「わかった」
そうして死体を放置し更に進む。敵は出てこなかった。
進んでいくと豪華な扉の前で一行は止まる。
「じゃああっしが中に入ってやってきますんで」
そういうと康二は扉を開けて中に入る。
暫くするとドン、という発砲音が聞こえてきた。
それに合わせニーナたちも中に入ると眉間を打ち抜かれたこの都市の都市長アイリーン・ウィットン・スミスの死体があった。
「これで仕事完了だ。直ちに撤退するぞ」
「了解……意外とあっけなかったな」
「まぁ、おじさんが裏切ったからねぇ。手早く行こう」
そうして大事な暗殺は終わり、一行は撤退した。
■
一月後。
帝都の前の草原に革命軍は軍を展開していた。
その数約二十万という圧倒的大軍だ。
その中にはエルフやアマゾネスなども含まれてる。
更には吸血鬼も入っており多種族構成軍であった。
その軍の中心部にディは居た。
天幕の中で会議を進める。
最終的にディが前線に突っ込んで暴れる事になったが問題ない。
残る帝国の大将軍エリアルが居るがレベル七十程度敵ではない。
そうして大軍同士が衝突した。
「やってるねぇ」
血の翼を生やし空の上からディは戦場を見ていた。
戦場を見ればまだ衝突した段階。お互いの高レベルの者同士が無双ゲームのごとく暴れまわっている。
もう少し経てば接敵し高レベルの者同士戦い始めるだろう。
「さて、と……」
ディは視力を魔法で強化し探知魔法を幾つか使う。
探知するのは当然エリアルだ。
相手は情報系魔法に対し対策を積んでいないのか簡単に見つかった。敵軍の陣地の奥だ。
(何もしてないか、誘ってるか……どっちかな)
ディはそう考えながら紅椿を抜き飛翔する。
向かう先はエリアルの居る天幕だ。
先手として血の砲弾の雨を降らし着弾させてからディも降りる。
土煙が舞う。
ディが紅椿を振るって煙を掃う──より早く魔法の風が土煙を飛ばした。
そこに立っていたのは美女だ。
緑髪黒目の女で身長は百七十センチほど。白い軍服を着ている。
ディが無言で突撃する。
相手も魔法で迎撃しようとするが
相手は「えっ」という表情のまま首を斬られ死亡した。
ディは更に眷属を召喚し帝国軍にぶつける。
帝国の壊滅は決まった。
かくして帝国は壊滅し、悪しきものたちは一掃された。
こうしてディは今後も活躍を続ける。
千年後には世界中にダンジョンが出現し、そこから四千年後には異世界から神が来るなどするが、ディは不死にして神祖の吸血鬼。
これからもディは活躍を続けるだろう──