TS不死吸血鬼の異世界旅行記   作:Revak

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第7話

 

 広間に戻ったディは怪訝な目で見られていた。

 その目線に対し流石にやりすぎたかとディは反省した。

 たった一人で怪物を指揮し五千の軍勢を打倒すなど化け物の所業にもほどがあった。

 これが経った一人暴れるだけで撃退ぐらいならばまだ有り得ただろう。大陸最強の戦士のレベル五十はそれぐらい可能にする。

 だがモンスターを使役したというのがまずかった。いつどこにあのモンスターを出されるかという恐怖が襲ってきたのだ。

 

「敵を倒してきたぞ、首長」

 

 そうディは玉座に座る首長グルフに言った。

 その言葉に首長は苦い顔をした。

 

「ああ、ご苦労。多大なる貢献に対し褒美をとらせよう」

 

 そうはいう物の褒美なんてあまり思いつかない。

 だがとらせなければ不味いだろう。

 

「君をこの街の従士として迎え入れよう。私兵も与え、そしてこの街の市民として迎え入れるために家も与えよう」

 

 

 従士というのは首長が認めた一代限りの騎士爵のようなものだ。その地位についていると衛兵と仲良くなれる。

 私兵とは個人に使える傭兵のようなものだ。

 

「ありがとうございます」

 

 取りあえずディは礼を言っておく。

 

「それとは別に五万セラ贈呈しよう」

 

 セラというのは通貨の単位だ。大体一円イコール一セラである。

 セラは女神の名でもある。この世界共通の通貨だ。

 

「ありがとうございます」

 

「首長。彼女はこの要塞にとどめておくのは持ったない。帝国軍に所属し力を振るわせるべきだ」

 

 そう発言するのは帝国の将軍アベンタスだ。

 

「待ってくれ。それは彼女の意思を聞いてからだ。ディ、君はどう思う? 帝国に所属する気はあるのか?」

「ないね。誰かに仕えるのはガラじゃない。だから暫くしたら旅に出るつもりだよ」

 

 ディはそう言った。本音である。

 不老不死の化け物が一か所に居座り続けるなど問題しか起こさないだろう。だから五年も経ったら旅に出るつもりだった。

 

「彼女はそう言っている。だから帝国軍に誘うのはやめてくれ」

「……だが、少しの間、ストームダガーの反乱を鎮めるまでの間協力してはくれないか?」

 

 ちらり、とディはグルフを見た。

 

「首長が良いというのなら、反乱を鎮めるぐらいならいいよ」

「だそうだが、首長?」

「……反乱軍は討伐しなければならない。わかった。帝国軍に協力しても良いとしよう」

「感謝する、首長……それではフランケリヒ。こちらに来てくれ」

「わかった」

 

 そういう事でディはアベンタスに着いて行って広間を出ていった。

 着いて行った先は会議室だ。

 

「君はノースファング出身ではないと聞いたが、この地方の地理は知っているか?」

「知らない」

「……そうか。この地方は八つの地域に別れている。帝国側の領地は今は五つ。ストーンフェル、ヴァルグレイヴ、アイアンリーチ、ブラックモア、スカイヴェイルだ。反乱側はルステーク、フロストハロウ、マレグレトの三つになる」

 

(ややこしいな)

 

 ディはそう思うも表情を変えず頷いた。

 

「君にはまずフロストハロウに行って貰いたい。そこで任務を言い渡そう」

「わかった。では行ってくる」

「ま、待ってくれ。一緒に行こう。馬に乗っていけば四日で着くはずだ」

「馬か……馬はそちらが用意するのか?」

「ああ、そうだが……」

「私が使っている馬でもいいか? 他人の馬は乗りなれないからな」

 

 とは言うがディに乗馬経験なんてものはない。そのため眷属の馬ならばいいように動いてくれるだろという思いからの台詞だ。

 

「わかった。では行こう」

 

 そうしてディとアベンタスはフロストハロウに向かって旅だった。

 

 

 

 草原を駆ける。

 走るのは二匹の馬。だが片方は馬であって馬でない。

 通常の馬の1.5倍の体躯。影のように暗い体に赤い瞳を持っている。

 筋肉質な体を持っている。名を古代吸血馬(エルダーヴァンパイアホース)。レベル五十の馬型モンスターである。

 能力として森渡という特殊能力(スキル)を持つ。この特殊能力(スキル)は森や悪路などの移動が難しい地帯であっても問題なく走ることが出来るという特殊能力(スキル)だ。

 森や悪路ならば移動能力はディを超えるといってもいいだろう。まぁディが本気を出せばすべてぶち壊しながら進むという馬鹿みたいな手段をとれるのでそれをしない場合に限るが。

 

 あえて古代吸血馬(エルダーヴァンパイアホース)は速度を緩めアベンタスの馬の後ろを走る。本気を出せば追い抜けるので手加減しているのである。

 

 初めての乗馬だがディは意外にもよく出来ていた。

 といっても乗馬のスキルを持っている訳ではない。単に足でがっしりと落ちないようにしがみつき、馬に命令して走らせているだけだ。

 この馬は賢いのでディの命令を忠実にこなしているのである。

 

 そうして走っていると雪道になってくる。

 このノースファングの半分は雪に覆われている。雑に見れば右上部分が雪に覆われていてそこ以外は雪が降っていない。

 雑に、といったように正確には違うが大体そんな感じだと思ってもらえればいい。

 

 雪道になるも二人は走り続ける。

 この世界の馬は強靭だ。レベルにして十はある。そして種族的特殊能力(スキル)を持つ。そのためスタミナは膨大で荷車などを付けない限りは人を乗せても丸一日は走り続けられる。

 

 そうして走ること一日。夕焼けが見えてくる。

 アベンタスが馬の速度を落としディの横に来た。

 

「そろそろ野営する。止まってくれ」

「わかった」

 

 いわれたことでディは馬を止め、アベンタスも馬を止めた。

 馬から降りて野営の準備をする。

 ディとアベンタス二人でテントを張り、焚火も準備する。

 

 ディはあたふたしながら進めるもアベンタスが補助することで問題なく野営準備は終わった。

 

 アベンタスは上級バッグ(グレーター・バッグ)という魔法道具(マジックアイテム)から食材を取り出す。

 このアイテムは五百キロまで物資をしまえるアイテムだ。

 だが<保存>(キープ)の魔法はかかってないので食材を入れると普通に時間経過で腐る。

 そのため入ってるのは保存食ばかりだ。

 

 干し肉を取り出し鍋に入れ、乾燥した野菜をスープの出汁などが入ったブロックに入れる。

 塩の塊を削って多少塩気を足す。

 水作成の水筒(クリエイトウォーター・ボトル)から水を出す。このアイテムは一日二百リットルまで水を生成できるアイテムだ。

 

 それで鍋を満たし火にかける。

 

 暫く煮る間、アベンタスはディに話しかける。

 

「フランケリヒはどうしてこのノースファングに?」

 

 その問いかけにディは少し悩むも正直に答えた。

 

「わからない。気づいたらこの地に居た」

「……記憶喪失ってやつか?」

「そうかもしれないな……よくわからないが」

「そうか……なら、今度帝都に来るといい。美味い飯があるんだ」

「……そうだな。いずれ行くと思う。私は不老だからな」

「不老だって? まさか、仙人様なのか?」

「それとは違うが、そういう種族だと思ってくれていい」

「そうか……フランケリヒも苦労してそうだな」

「そう、かもしれんな」

 

 二人は雑談を交わしながら食事をし、眠る必要がないどころか眠れないディが夜の見張りをした。

 見張りには野盗やモンスターの襲撃に備えてのものである。

 野盗はこず、モンスターはディの強者のオーラに怯え出てくることはなかった。

 

 

 

 ■

 

「見えたぞ、あそこが帝国軍のキャンプだ」

 

 馬の速度を落としディとアベンタスの二人はキャンプ地に近づく。

 

(広いな)

 

 一軍が止まっている為キャンプ、野営の数は多い。おおよそ五百人ぐらいがこの地に居るだろう。

 馬から降りてキャンプ地を歩く。

 ディの馬は影に戻し、アベンタスの馬は兵士に預からせた。

 

 アベンタスと共にいる為何か言われることはないがそれでも美女がなぜここに、とディは視線を集める。

 中には将軍が娼婦を買ってきてくれたと思った者もいるのか股間を大きくしている者も居た。

 

 この中で一番でかいテントに二人は入る。

 

「ようこそ、フロストハロウのキャンプへ。早速だが任務だ」

 

 いきなりの任務にディはワクワクした。ゲームでのこういうクエストは率先してやっていた身である。

 

「ストームダガーの命令書を手に入れてきてほしい。場所はフロストハロウだ。敵はフロストハロウと宿屋ウィンドピークにいるらしい。探してきてくれ……地図はいるか?」

「いるね。ないと迷子になりそうだ」

「わかった。これを持って行くといい」

 

 地図は貴重品だ。正確な測量には魔法や特殊能力(スキル)を必要とする。

 それで一枚作るのに数十万セラするが、二枚目以降は意外と安価だ。魔法で紙をコピー出来るからだ。

 地図は戦争の道具に使われるがアベンタスはディという長命種に恩を与えた方がいいとただで与えた。

 

「ありがとう。では……」

「少し待ってくれ。命令書を手に入れたらそれを改ざんして敵に伝えるから、出来れば相手は殺しておいてくれ……鎧も剥いだ方がいいかもな。使うだろうから」

「わかった。では行ってくる」

「君には必要ないと思うが……気を付けて」

 

 ディは外に出て血で出来た翼を形成し空へ飛びあがった。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

(うっほほーい! 気持ちい!)

 

 ノースファングの空をディは堪能しながら空を飛ぶ。

 血の翼は蝙蝠の翼だ。この翼を形成することでなぜか飛行できる。浮遊も出来る。

 速度自体は足から血を噴出する方が圧倒的に速いが速度がそこまでいらない今は翼で充分だ。

 

 地図を広げなら空を飛ぶ。

 

 マッハ1の速度を出しているので即座に目的地にたどり着いた。

 ディは慌てて地上に降りた。

 

 降りた先には宿屋が一件あるだけの寂れた地だ。

 宿屋の隣には湖があり湖で釣りが出来るだろう。

 泳ぐことはお勧めしない。雪が降ってるので普通に凍死するだろうから。

 

 木造の三階建ての宿屋の前に降りてドアを開けて中に入る。

 

 中にはそこそこ客が居た。全員がディに視線を向ける。

 一階部分は酒場になっており酒盛りしている者もいるがその者たちもディを見て固まっていた。

 

 ディは堂々とツカツカと店主の前まで歩く。

 カウンター前に着くとディは麗しい唇を開いた。

 

「この宿にストームダガーの伝令が来ていると聞いたんだが、いないか?」

「…………きゃ、客の秘密は洩らさない主義なので」

 

 店主の男はディの胸を見ながらもそう返答した。

 身長的に仕方がないことだがディは胸を見られて興奮した。変態であった。

 

「そこをどうにか、な」

 

 ディはわざと左手で胸を強調するポーズをとった。話術である。

 

「そ、その客ならついさっき街道に出ていった。今行けば追いつけるはずだ」

「ありがとう」

 

 ディはそういうとポーズを辞めくるりと振り返り歩いて行く。

 宿を出ていったが店主はまだボーとしていた。いい香りがしたな、と。

 

 

 宿を出たディは街道を走っていく。

 本気で走ればマッハ四ぐらいは出せるがそんな速度を出すと大変なことになるので時速六十キロぐらいまで抑えて走る。

 そうして雪道の街道を走ること五分。一人の兵士が見えた。

 

 その兵士はストームダガーの鎧に身を包んでおり頭はフルフェイスで隠している。

 兵士は走っているが気にせずディはその後ろまで近づきディは肩に手をかけた。

 

「やぁ。ちょっといいかい?」

「うわっひゃぁ?!」

 

 兵士は素っ頓狂な声を上げて転がった。

 走っていたら突如美女に肩を掴まれたのだ。転がりもするという物。

 

「……すまない。大丈夫か?」

「だ、だ、だ、大丈夫……だ」

 

 兵士は怯えながら立ち上がった

 兵士よりも当然ディのが背が高いので兵士はディを見上げる形になる。

 

「うわでっか」

 

 兵士は胸を見ながらそう呟いた。

 

「何が?」

「あ、いや、なんでもない……それで、俺に何の用だ?」

「ストームダガーの連絡兵を探している。君がそうかね?」

 

 その台詞に兵士は剣を抜いて構えた。

 

「何者だ? 俺に何の用だ?」

 

 その台詞にディは安心したような笑みを浮かべた。

 

「ああ、よかった……間違えたら危ないからね」

「何を──」

 

 ディはそういうと兵士をぎゅっと抱きしめた。

 まるで母が我が子を抱きしめるかのようなだ。

 だが、力が強い、強すぎる。みしりと兵士の骨にひびが入った。

 その痛みで兵士は剣を落としてしまう。

 

「いただきます」

 

 ディはそういうと兵士の首筋に牙を立てた。

 そして──血を思いっきり吸った。

 ちゅうちゅうとおしゃぶりをしゃぶるかの如くものすごい勢いで血を吸っていく。

 瞬く間に兵士は枯れて死んでしまったが死体となってもまだ吸った。

 

 そして一分の吸血ののち、ディは兵士を離した。

 

 そして──ディは絶頂した。

 

(美味い!)

 

 これまで食べたどんな美食よりも美味でこれに勝る味があるなんて到底思えない味がした。

 濃厚で芳醇な味である。吸血とはこれほど素晴らしいのかとまたから汁を噴き出した。血のパンツを履いている為血に吸収された。

 

 体をくねらせながらその味を堪能した。

 

 五分ほどのど元過ぎた味を堪能した後正気を取り戻しディは兵士の鎧を剥いだ。

 剥いで自分の影の中に収納し命令書が入った筒も影に入れた。

 そうしてディはキャンプ地に向かって空を飛んで行ったのだった。

 

 

主人公のAI絵(chatGPT作)いりますか?

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