『幕間』
トリオン兵の攻撃によって崩れ落ちたビルと、電柱。電気配線がショートしたことによって街路樹に火花が燃え移り、辺り一面を火の海にしていく。
「どうしたの?迅。次行こうよ。」
貴方は先ほどから何か呆然と立ち尽くしている迅を見る。貴方が近界民にアステロイドを放ったあたりからは迅は少し様子がおかしかった。まるでそう、自分が何か建てていた計画が崩れたような、それでいて母親を探す迷子の子供のような表情をしている。
いや、迷子の子供のような表情ってなんだ??ここは戦場で、迅はそれを百も承知のはずなのに。
「………あー、そっちを選んだか。まぁ、君らしいっちゃ君らしいけどさ。」
迅が低い声で静かに呟いた。それはまるで迅が普段決して見せない心の奥底からの声のようだった気がするが、貴方は迅の表情があまりにもいつも通りで、軽そうだった為、気のせいかと思う。
ふいに迅の真上から割れたガラスが落ちてくる。ビルが倒壊した際に同時に溢れたものだろう。貴方は迅が当たり前に避けるものだと思っていたから、何もしなかったが、迅はその場所から動かない。
─迅?
貴方は少しして気付いた。彼が今、未来を見ることをやめていたことに。
貴方は急いで手から無数の小さなアステロイドを放つ。それは空へ舞い上がって、ガラス片を正確に砕くと、迅の手を引いて安全な場所へ走り出す。そうして比較的炎も建物の倒壊も少ない場所に来ると足を止めて迅を振り返った。
「何考えてたの?」
戦場では油断したやつから死んでいく。貴方はそれを嫌と言うほど"無数の目"で見ていた。同時に迅も知っていた。先ほどの戦いでは、無数のもしもがあったことを。
彼女が応援に来なかったら、違う人物が来ていた。その人物は彼女より精巧にトリオンを扱えなく、敵に隙を見せて腕や足を貫かれる可能性があった。
彼女が応援にきて、彼女が囮で迅が攻撃をすることにすれば、まだ経験値が浅い彼女は敵の攻撃を受けてしまう可能性もあった。
だから迅はこの未来を選んだ。これが「最良」でなくても、「安定」であるかもしれなかったからだ。
その結果が、このザマだ。彼女は"引き金を引く役割"になった。自分は、止められた未来を選ばずに、彼女に選択を押し付けた。そうして彼女はもう覚悟ができていた、それだけだった。
迅は貴方を、再び未来を見た。
貴方の後方でバムスターが出現するのが見えた。貴方はそれを、
──振り返らずに撃ち落とした。
貴方が広げた手のひらから、無数のバイパーが弧を描いてまるで流星のようにトリオン兵達に直撃していく。その軌跡はまるで昔見た流星群を想起させたが、そうではない。まさしく武器そのものだ。
この子は俺と同じ未来を見れる。
──嬉しい、やっと会えた、理解者。
同じ盤面を見ている。
──孤独じゃない、共に未来を背負う仲間だ。
それでも「彼女は殺す未来」を選んだ。
──何故?
彼女のSEならわかるだろうに。
近界民だってただ住んでいる場所が違うだけで、持っている技術が違うだけで、ただの血の通った人間であることを。そしてそれらの人々を殺してしまうことは、つまり人殺しと変わりないことを。
迅の手に汗が滲む。ここにきて、迅は初めて正しく彼女を認識した。
黒々としたまぁるい目。それはさまざまな光景を映し出しているが、当の本人の意思は読み切れず。深い深い深海のように暗く底に沈んでいる。
白く骨張っていない小さな手。その手はただ敵を排除するという意思のもとで命を刈り取っていく。まるで小さな羽虫を潰すかのように。
迅と彼女にとっての共通言語だったはずの未来視が崩れていく。同じ景色をみて違う結論を出してしまった、その恐れが迅の思考を動かなくさせていく。
彼女は決して近界民を衝動で殺したわけではないのだ。パニックでも、復讐でもない。理解した上で踏み切っていた。
そして、彼女の言葉を思い出す。
「この先、この人が生きてると被害に遭う人が無数にいるよ。」
そう、彼女はちゃんと最悪の未来を理解していた。迅が選ばない選択肢の先を見た。見た上で、自分がそれを引き受ければ盤面が安定することを知った。そして選んだのだ。
ああ、この子がやったからおれはやらなくて済んだんだ。
迅のSEが、そう囁いた。
そして迅にとってやりたくない未来を背負ってくれる、その存在に。迅は、己が彼女を必要としてしまったという事実を突き付けられた。この子はきっと全体の勝利のためなら全体すら切り捨てるだろう、という予感がしたにも関わらず。
人を助けたその手で、人の返り血を浴びることに躊躇しない人。きっと同世代の中の誰よりも指揮官に向いていた。
迅は彼女に向かって言葉を告げる。
「次はさ、おれが先に動くから。君は……それを見てから決めてよ。」
それは命令じゃない。
懇願に近い提案だった。
自分がそれを言える立場ではない、と知っていたのに。それを言えるほど、これまで綺麗な過去を歩んできてはないのに。
頭の中で数え切れないほどした選択が蘇ってくる。自身の母、仲間。そして師。
少女のまつ毛が揺れる。そうしてアステロイドの星々が降る中で、彼女はゆっくりと首を縦に、頷いた。
*
前回までのあらすじ(ゆっくりボイス)
経験値をいっぱい貰った後、原作開始より四年半前の三輪と出会った。
ということで始めていきましょう。ワートリAD!今回の目的は三輪秀次を原作同様、城戸派に放り込むことです。
初見さんのために紹介!
三輪秀次とは。第一次大規模侵攻で、目の前で家族を殺された可哀想な少年です。そのせいでネイバーに強い恨みを抱きボーダー入隊するという行動力もございます。この子、後々A級7位の部隊を率いる実力者となるため、確実にボーダーに放り込めるよう私たちが道を整えてあげなければいけません。
というわけで、迅動きます。
え?私は動かないのかって?んー、いやなんかさぁ。迅よりも早く動いて三輪を救うチャートも考えたんだけどさぁ。
なんっか旨味ないんだよねー。なんでだと思う〜?
いやぁね、三輪という男は実はというと非常に賢い男でして。原作だと姉の仇だと言ってネイバー絶許の猪突猛進派という第一印象でしたが、その実非常に思いやりが深く、芯が固い人間です。そうじゃないと、まあ何年もボーダーやってないし、A級に辿りつけてないもんね。
オタクちゃんが三輪の家族を助けると、三輪は一生をかけてオタクちゃんに借りを返してくれますが、彼はオタクちゃんを盲信はしてくれません。
これは未来視系のSEを持つキャラ全般に言えますが、三輪は助けたのが「自分の家族だったから(自分が未来にとって利になるから)」か、「たまたまその未来を選んだだけなのか」で結構助けた後の対応が変わります。
まぁ、自分が未来にとって利になるから、だともし自分が切り捨てられる側に回ってしまえば、と考えオタクちゃんを警戒しますし、かといってたまたまその未来を選んだと判断されれば、いつ自分の家族に危害を加えるか、ということで監視対象になります。うん、めんどいね。
だからここはあえてスルーで!
[迅と貴方が次の戦場に移動しようとした時、貴方達は瓦礫の中から呼び止められた。そこにいたのは、一人の女性を抱えた少年。少年は「助けて!!」と叫んでいる。しかしその腕の中にいる女性からはあたり一面に広がるほどの血が流れているし、胸に大きな穴も空いている。]
いやけど恩を売っておくのもありっちゃありかなぁ。三輪が手下にいれば迅に打つブラフにもなるかなぁ。
貴方はどうする?
▶︎急いで女性に駆け寄ろうとする。
うぉっっ!!!!
急に画面に迅がアップで出てきました。
[「心配しなくていいって。ここはおれの役目。」
そう言って迅は貴方を置いて少年に何か話しかけに行った。]
…びびった〜。
この迅の飛び出し、パチンコでいう確変みたいで嫌なんですよね〜。いや確変って(迅にとっての)大当たりの確率が通常時よりも大幅に上昇する状態のことね、うん。
まあとりあえず迅に待っとけって言われたから適当に待っておきます。もう第一次大規模侵攻も終盤に近いですね。
まぁ迅を待つ間、暇してる皆さまのためにぃ?
これからの√を話しておきます!!
まず第一次大規模侵攻が終わった後、始まるのは本部建造です!!この侵攻を受けて、そして防いだボーダーは世間が認めるも認めないも関わらず、この東三門に本部を建てます。
そうして始まるのは、はい。皆さん大好きなランク戦ですね。
この時オタクちゃんには勿論のこと、A級に上がっててもらいます。いやはや現実問題、難しいんじゃないの?と仰る方もいらっしゃいますね。ですが違います。
この時系列ではオタクちゃん、実はボーダーにおける若干の古参です。そのためまだ名だたる強敵がボーダーに入隊していない、または毛が生えた赤ん坊程度です。そこにオタクちゃんのSEを当てればもうそりゃ楽勝ですよ。
ではこの時期、何をするのか。はい、もうこれしかないですね。暗躍。そう、ここではオタクちゃんに、鳩原がトリガーを盗める状態にするための工作をしてもらいます。
まず必要なのは、本部の人間の信頼を勝ち取ること。ここでサブミッションをがんがんこなして、本部の人間に良い印象を与えておきましょう。そしてボーダーが管理するトリガー部屋の、セキュリティを突破できる状態にしておきます。これが重要。
では具体的にどうやってその状態にするのか。
それはオタクちゃんに特別な役職に就いてもらうことで解決します。
原作では沢村さんがヒントです。
うん、正解は本部補佐官ですね。
沢村さんは本部補佐官の中でも忍田さん付きの本部長補佐を行っていますが、オタクちゃんにはここで本部開発室長─鬼怒田の補佐官になってもらいます。まぁエンジニアを束ねる開発部門トップ、その補佐が部屋を出入りできないなんて、ありえないですよね。
またエンジニア達は日々ノーマルトリガーの量産、そして開発を行っておりますのでついでに拳銃型トリガーの発明もしてもらいましょう。では方針を話したところで今日はここまで。次回もお楽しみに〜!!