ロボットとかSFとかあんま知らない&勢いで書いてるので、ん?ってなると思います!
どこまでも広がる星々が、色とりどりに瞬く。
暗く、冷たく、何もかもを呑み込む――本来なら、静寂だけが支配する宇宙。
だが今、その静けさを破るのは、少女の甲高い笑い声だった。
《きゃはは! ざこざこざぁこ♡》
無線越しに聞こえるふざけた雑音。
ここは戦場だ。
男が操縦桿を強く握りしめる。
あの耳障りな笑い声を聞くのはこれで何度目だ?
そんなこと覚えている訳がないが、あの笑い声が聞こえる度に良くないことが起きる。
仲間が死ぬのだ。
だから先程までイラついていたソレは、恐怖の対象でしかない。
《く、くるなぁああ》
仲間の悲鳴が聞こえる。
ほんの数分前まで「ガキが、わからせてやる」と息巻いていた男の一人だ。
「冷静になれ!今すぐそっから―――」
言い終わる前に、メインモニターが白く染まる。
爆炎と閃光。同時に、レーダーに映っていた味方の反応が一つ消えた。
これで残りは―――男を含めた三機。
戦闘開始前、十機いたはずだ。
この辺りの宙域を活動する宙賊としては、最大勢力に近い。経験も火力も数も、こちらが圧倒しているはずだった。
それなのに、すでに半分以上が宇宙の塵となった。
「冗談じゃねぇぞ……敵は、たった一機だぞ!!」
男―――宙賊のボス―――は苛立ちを抑えきれず、コックピットの側面を拳で叩いた。
硬い音が、密閉空間に虚しく響く。
今まで上手くいっていた。
傭兵ギルドや軍の標的にならないように、活動宙域を転々とし、略奪も必要最低限に済ませていた。
今日の襲撃が終われば、公国領からおさらばして隣国の連邦に移るはずだった。
それが、最後の最後で公国軍の“少佐”が出てきやがった。
たった一機だ。しかも、声的に年端もいかぬ少女だ。
初めはなんの冗談だと仲間たちと笑い飛ばしたが、もう笑い話にもならない。
《当たれ当たれ!!!》
《くそがぁああー!!!》
今この瞬間も、二機の仲間がミサイルとビームガトリングを連射している。
過剰とも言える攻撃。あの二人の腕なら戦艦一隻くらいなら余裕で倒せる。しかし……メインモニターに映る敵機は、まるで的になる気配を見せない。
「冗談……じゃねぇぞ」
当たるはずだ。
あれだけ撃てばどれか一つは掠る。
だが、青紫色の人型兵器―――
ほんの僅かな姿勢制御だけで弾幕の隙間を縫っていく。あんな神業、ゲームか映画でしか見たことがない。
《きゃはは!そーんなよわよわ♡な攻撃がわたしに当たる訳ないじゃん》
青紫色のHFに乗ったヤツが、笑いながら煽る。
《おじさんたち有名な宙賊(笑)なのにざっこぉ♡あ、宙賊は元々ざこだった♡》
煽りまくる。
余程楽しいのだろう。
ヤツの乗る青紫色のHFが、舞い、踊り、嘲笑う。
その間も、仲間たちが叫び声をあげながら攻撃している。ミサイルを全て撃ち尽くし、ビームガトリングの砲身が紅く融解していく。
全力の攻撃だ―――だが、当たらない。
青紫色のHFは、四枚ある特徴的なリアスラスターの角度をひらひらと変えながら、彼らを嘲笑う。
紅く光る
《ざこざこな宙賊のくせに、今日まで生き延びてすごいすごい♡》
青紫色の閃光が瞬く。
また、あの光だ。
幾度となく仲間の命を奪った、理解不能な“不可視の一撃”。
距離を取ろうがお互いに死角をカバーしようが、気づいた時には既にやられている。
《な、、うわぁああああ!?》
まただ―――ヤツの正面にいたはずの仲間のHFが、何故か“背後”からビームに貫かれ、装甲が爆ぜた。動きが止まり、四方八方からビームの餌食となる。
《まぁ、今日死ぬんだけど♡》
言葉と同時に白熱の爆炎。
また一つ、仲間の反応がレーダーから消えた。
「冗談じゃねぇぞ……」
これで残りは自分を含めた二機。
一瞬“逃走”の二文字が男の中に浮かぶ。
ヤツに勝てる未来が見えない。なら、仲間を囮に逃げるべきだ。
今まで嘲笑してきた奴らと同じになればいい。
操縦桿を引き、後ろに下がるだけで助かる。たったそれだけだ。
逃げた後は、また仲間を募って再スタート―――んなこと、出来るわけがねぇ。
「ちくしょうがっ!」
―――ここでやるしかない。
男は歯を食いしばり、操縦桿を強く押し出す。
スラスターを噴かし、機体を前に叩きだす。
「くたばれぇええええっ!!」
両肩に装備された三連ランチャー。残弾、全投入。
六つのロケット弾が火を噴き、青紫色のHFに吸い込まれるように迫る。
ヤツの背後を狙った攻撃だ。
回避が間に合うはずがない。
これで終わりだ。そう、願った。
《―――さっきも同じことしてダメだったのに忘れちゃったのぉ?マジざこぉ♡》
嘲笑。
次の瞬間、幾つものビームが宙を走る。
ヤツと同じ青紫色。鋭い閃光が、ロケット弾を“点”で撃ちぬいていく。
一発、二発、三発……。
爆炎が連なり、モニターが
その爆光に紛れて―――最後の仲間の反応が消失した。
「……っ、くそ!!」
喉が渇く。鼓動が早くなる。
コックピットの空気が、薄い鉄の味を帯びる。
爆炎の中から、ヤツが現れた。
ギロリとモノアイが動き、視線が合う。
こちらが動く前に、リアスラスターを噴かして突っ込んで来る。
見る見るうちに距離が縮まった。
あまりにも速い。速過ぎる。
《きゃはは!おじさん独りぼっちだね♡寂しくて泣いちゃったぁ?》
通信越しの声は、戦闘前から終始変わらない。
余裕綽々。ヤツにとって、この戦闘は日常生活を送るのと同じなのだろう。
こんなふざけたメスガキに、仲間が殺されたのか?
「冗談じゃねぇ……冗談じゃねぇぞ!!メスガキがぁっ!!宙賊の恐ろしさってヤツをわからせてやるっ!!」
男は操縦桿を握り締め、最後の抵抗を試みる。
ビームガトリングを掃射。ヤツが避けるのを想定して、上下左右にばら撒く。
《むだむだ♡》
だが、ヤツは避けなかった。
青紫色の膜が、機体を包み込むように張られる。
戦闘が始まって初の命中。しかし、数百というビームが、ソレによって弾かれた。
「冗談じゃねぇぞ!!なんだそれは!!!!」
男が叫ぶ。
あれは魔力障壁だ。それくらい知っている。
強度と硬度はパイロットの保有する魔力に依存している。だから、一発二発防げればいい方だ。そのはずだ。
―――なのに。
毎秒五十発というビームの暴力が、ことごとく弾かれていく。
《そーんなよわよわ♡なビームで破れる訳ないじゃん》
「く、くそがぁああああ!!」
乱射。乱射。乱射。
だが、障壁は割れない。ヤツの機体に届かない。
やがて、砲身が融ける。
警告が点滅し、トリガーが空を切る。
一瞬の静寂。
《はい、おしまい♡》
ヤツの声が聞こえ、全方位から警告音が響く。
男が反射的に避けようとスラスターを噴かす―――が、その時にはもう遅かった。
衝撃。
視界が揺れる。
衝撃。
機体が勝手に回転する。
衝撃。
姿勢制御が効かない。
そして、青紫色のビームが見え―――。
「冗談じゃねぇ―――」
その呟きが、男の最後だった。
読んで下さりありがとうございます。
書いててずっと思ってましたが、メスガキとは?ってなりました。♡乱用すると痴女になるし、ツンデレにもなる……っは、メスガキとは無限の可能性を秘めているってこと?!
失礼しました。
こんな小説でも「読んでやらぁ」って人がいるなら次も頑張って投稿します。