十代好きの私が天上院明日香に転生したのはいいけど、この世界のカードパワーが明らかにインフレしている!   作:スパークリング

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二次創作の、ある意味名物的なね?


Turn-9 「昇格試験デュエルのその後」

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ、万丈目!!」

「万丈目“さん”だ! 何度言えばわかるのだ、遊城十代!!」

 

 3ターンに渡る激闘を繰り広げられた十代と万丈目くんのデュエルは十代の勝利で終わった。

 

 原作通りとはいえ……なんというか、やり取りも全く違ければ、その後の終わり方も違う展開だった。万丈目くんがユニオンデッキを使いこなしているのはそのままだったけど『神獣王バルバロス』なんていうカードを使っていたし、負けてもどこか晴れ晴れとした表情になっていた。……なにか、十代とのデュエルの中で感じるものがあったのかしら。

 

 さて……それはともかく。

 

 AtoZよAtoZ! あれって出るのね! びっくりしたわ!

 前世だとリンクモンスターとかを絡めた展開ができたから出さなくても勝てるという理由であまり見なかったけど、まさかこの世界で、リンクモンスターを経由せずに1ターンで出てくるなんて思いもしなかったわ!

 色んなカードを使っていたから場に出せていたんでしょうけど、それでも結構レアなんじゃないのかしら? だって相当カードを使わないと出せないモンスターですものAtoZ。ライフポイント4000のこの世界じゃ出たらほぼ勝ちまで持っていけるし、ハンドコストが必要とはいえ万能無効妨害は強いもの。

 

 それから十代のアブソルートZero! あれも凄い格好良かったわね。見た目もいいし効果も強いし、なにより攻撃名が格好良すぎる! 絶対零度って書いてFreezing at momentって読ませるの格好良すぎじゃない?

 

 あとバブルマンよバブルマン! 原作だと強欲なバブルマンで一生擦られ続けてOCG化されたときは残念がられてエクシーズが到来してから別の意味で日の目を浴びたバブルマンだけど、OCG厳守のこの世界でバブルマンのドロー効果を見られるなんてかなりレアなんじゃないのかしら? それだけ万丈目くんが十代を追い詰めたっていうことでしょうけど、それで逆転できるあたりやっぱり十代の引きは原作通り強い……!

 

『オベリスク・ブルー1年、天上院明日香。試験デュエルを開始します。デュエルフィールド3番で待機してください』

 

 おっと、私の番ね。

 決着を見届けられて余韻を感じられた後だったから丁度いいタイミングで呼ばれたわね。

 

「それじゃあ行ってくるわ」

「行ってらっしゃい明日香さん!」

「御武運を!」

 

 ふたりに別れを告げてデュエルフィールドに向かう。うーん、誰が相手なのかしら? 中等部から一緒の子たちのデッキはある程度覚えられてはいるけど、高等部からの編入生は全然わからないからちょっと困るのよね。

 先手か後手かでもだいぶ動きが変わってくるし……。

 

「こんにちは、天上院さん。私のことは覚えているかしら?」

「……うわぁ」

 

 嫌すぎて思わず声に洩れちゃったわ。

 

 名前は覚えてないけど覚えているわよ彼女。

 小さいながらも派閥を形成しているひとつ上の先輩だ。中等部からやけに私を派閥に引き入れようとしてくるけど理由は分かっている。私の兄目当てだ。

 いるのよね本当に。直接アプローチを掛ければいいのにわざわざ妹の私を経由して吹雪兄さんに接近しようって狙いの女子。

 

 というか私の対戦相手が先輩って、どういうことよ? 同じ学年内でやるんじゃなかったのかしら?

 

「シニョーラ天上院。貴女も特別に、彼女とデュエルしてもらうノーネ。異論はないノーネ?」

「はぁ……大丈夫ですよ、クロノス先生」

 

 大方、諦めきれずに彼女の方から直談判して私を引き出させたんでしょうね。多分万丈目くんも同じ方法で十代とデュエルできるように仕組んだのでしょう。

 まったく……こんな手の込んだことをしてまで、吹雪兄さんに取り次いでほしいのかしら? 将を射んとする者はまず馬を射よ、とは言うけど……問答無用でダイレクトアタックした方が早いし効果は抜群なのよ? ソースは私。

 

「ふふん、天上院さん。今度こそ、私のグループに入ってもらうわよ」

 

 とはいえ……厄介なことにこの先輩結構強い。小さいとはいえ派閥の長ですもの。たしか展開系のデッキを得意としていたはず。ずっと前は植物族モンスターを絡めたグッドスタッフデッキだったはずだけど、今はなにを使っているのやら。

 

「じゃあ私が勝ったら今後私を勧誘するのはやめてくださいね?」

「いいわよ。じゃあ尋常に――」

 

「「――決闘(デュエル)!!」」

 

 さて……先攻は私みたいね。

 初期手札は……。

 

 ……? なに、この手札?

 

「私のターン、ドロー」

 

 そして『サイバー・エンジェル-弁天-』!! あらあらこれじゃあ……

 

 

 

 私の勝ちじゃないのよ……!

 

 

 

 ……なにも妨害がなければだけど。

 

「メインフェイズ。永続魔法『神の居城-ヴァルハラ』を発動! 1ターンに1度、私のフィールドにモンスターが存在しない場合、手札から天使族モンスター1体を特殊召喚できる。『アテナ』を特殊召喚!」

 

 さて『アテナ』が通って処理後にも動きはない。しかも先輩はここまでの間に自分の手札を確認する様子も見せない。まだ安心できないけど……まっすぐに続けるとしましょうか。

 

「儀式魔法『機械天使の儀式』を発動! レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるようにフィールドと手札のモンスターを生贄に捧げて、手札から『サイバー・エンジェル』儀式モンスター1体を儀式召喚する!

 

 手札のレベル6の『サイバー・エンジェル-弁天-』を生贄に儀式召喚!

 

 現れなさい! レベル6!

 

 儀式召喚!

 

 『サイバー・エンジェル-韋駄天-』!! 」

 

サイバー・エンジェル-韋駄天-

守備力:2000

 

「強制効果の『アテナ』の効果をチェーン1、チェーン2で弁天、チェーン3で韋駄天の効果を発動! 韋駄天は儀式召喚成功時、デッキか墓地から儀式魔法カード1枚を手札に加える!」

 

「なにもないわ! 好きになさいな!」

 

「それなら逆順処理! 墓地の『機械天使の儀式』を回収。

 

 続いて弁天の効果を処理。弁天は生贄に捧げられた場合、デッキから光属性・天使族モンスター1体を手札に加えられる。『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』を手札に。

 

 最後に『アテナ』の処理。自分が天使族モンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する度に、相手プレイヤーに600ポイントのダメージを与える!」

 

「うっ……!?」

 

先輩

LP:4000 → 3400

 

「そして今手札に加えた『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』を通常召喚!

 

 チェーン1で『アテナ』の強制効果、チェーン2で通常召喚した『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』の効果を発動! デッキかEXデッキの天使族モンスターを墓地に送って、そのモンスターのレベル分、ターン終了時までこのカードのレベルを上げる!」

 

「……! 貴女まさか……!」

 

 あらら、先輩の顔色がどんどん悪く……。

 さすがは派閥の長。デュエルの腕がいい分それなりに知識があるばっかりに、今なにが行われようとしているのかがわかっちゃったみたい。でもそれでも……なにもチェーンしてこないでそんな顔をしているということは、対処手段がないみたいね。

 

 それは、その、なんというか……

 

 

 ご愁傷様。

 

 

「逆順処理。デッキから天使族モンスター『チョウジュ・ゴッド』を墓地に送って、『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』のレベルが6上昇。

 

 続いて『アテナ』の効果で600ポイントのダメージを与える!」

 

「っ!」

 

先輩

LP:3400 → 2800

 

「『アテナ』の効果を私のフィールドの天使族モンスターの韋駄天を墓地に送って、私の墓地の天使族モンスターの『チョウジュ・ゴッド』を対象にして効果発動。対象にしたモンスターを特殊召喚する」

 

「チェーンは……ないわ」

 

 『深淵の獣(ビーステッド)』や『D.D.クロウ』系の手札誘発もなし、か。かわいそうに。先攻だったら全然違う展開になっていたでしょうに。まぁ……運が悪かったと思ってちょうだいな。

 

「『チョウジュ・ゴッド』を特殊召喚。処理後にチェーン1で『アテナ』の強制効果、チェーン2で特殊召喚に成功した『チョウジュ・ゴッド』の効果を発動。

 

 逆順処理に入って、デッキから儀式モンスターの2枚目の弁天と儀式魔法『機械天使の絶対儀式』を手札に加える。

 

 チェーン1の『アテナ』の効果で600ポイントのダメージを与える」

 

「ううっ!」

 

先輩

LP:2800 → 2200

 

 さて……なにもなさそうだし、口出ししてくるまで続けるとしましょうか。尤も、なにも口出ししないのならおしまいなんだけどね?

 

「そして儀式魔法『機械天使の儀式』を再び発動!

 

 フィールドのレベル8になっている『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』を生贄に儀式召喚!

 

 現れなさい! レベル6!

 

 儀式召喚!

 

 『サイバー・エンジェル-弁天-』!! 」

 

『サイバー・エンジェル-弁天-』

攻撃力:1800

 

「チェーン1で『アテナ』の強制効果、チェーン2で『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』の効果を発動!

 

 逆順処理に入って、生贄に捧げられた『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』の効果で手札かデッキから『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』以外のレベル2以下の天使族モンスター1体を特殊召喚する。レベル2の『サイバー・プチ・エンジェル』をデッキから特殊召喚!

 

 最後に『アテナ』の効果で600ポイントのダメージを与える!」

 

「ぐっ……!」

 

先輩

LP:2200 → 1600

 

「チェーン終了。処理後に天使族モンスターが特殊召喚されたことにより『アテナ』の強制効果がチェーン1、特殊召喚された『サイバー・プチ・エンジェル』の効果がチェーン2で発動。デッキから『サイバー・エンジェル』モンスターか『機械天使の儀式』を手札に加える。3枚目の『サイバー・エンジェル-弁天-』を手札に。

 

 その後、チェーン1の『アテナ』の効果で600ポイントのダメージを与える」

 

「うあっ!」

 

先輩

LP:1600 → 1000

 

「儀式魔法『機械天使の絶対儀式』を発動! このカードはレベルを丁度に揃える必要があるけど、墓地に存在する戦士族か天使族モンスターをデッキに戻すことで、戻したモンスターを儀式素材の代用することができる!

 

 手札のレベル6の弁天、フィールドのレベル2の『サイバー・プチ・エンジェル』を生贄に、そして墓地のレベル2の『宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)』をデッキに戻して儀式召喚!

 

 降臨せよ! レベル10!

 

 儀式召喚!

 

 『サイバー・エンジェル-美朱濡-』!! 」

 

 サイバー・エンジェル-美朱濡-

 攻撃力:3000

 

「強制効果の『アテナ』がチェーン1、生贄になった弁天をチェーン2で効果発動! デッキから『大天使クリスティア』を手札に加えて、600ポイントのダメージを与える!」

 

「はうっ!」

 

先輩

LP:1000 → 400

 

「『大天使クリスティア』を特殊召喚」

 

大天使クリスティア

攻撃力:2800

 

「クリスティアは私の墓地に天使族モンスターが4体のみの場合、手札から特殊召喚できる。私の墓地には2体の弁天、韋駄天、『サイバー・プチ・エンジェル』の4体。条件は満たしているわ。

 

 そしてチェーン1で『アテナ』の強制効果、チェーン2でクリスティアの自身の効果で特殊召喚した時の効果を発動。墓地の天使族モンスター『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を回収して……『アテナ』の強制効果で600ポイントのダメージを与えるわ」

 

「そ、そんな……バカな……!」

 

先輩

LP:400 → 0

 

 はい、これで決着ね。

 最初手札を見たときは冷や汗をかいたけど、弁天トップと先輩の手札に手札誘発がなかったおかげで勝てたわ。『無限泡影』やドミナストラップ1枚で止まるワンターンキルだったから通るかどうかわからなかった。運が良かったわね。

 

「それでは先輩、今後私を派閥に勧誘するのはやめてくださいね? それから……案外兄さんは押しに弱かったりしますよ?」

 

「……!?」

 

「じゃあ失礼しますね」

 

 これで今後向こうから突っかかってくることはないと信じたいわね。

 

 はぁ……この世界に転生してから久しぶりすぎるソリティアをかましちゃったわ。普段あんまり起きないのよこんなことって。だから運が良かったし、こんなことが実際に起きちゃったらまぁ……事故が起こったと思って諦めるしかない。例えるなら、マスターデュエルで規制を受けた後にぶち当たったティアラメンツがキュインキュインしているようなものよ、うん。つまりどうしようもない。

 

 とりあえずこれで入学して最初の実技試験、昇格試験デュエルが終わった。オベリスク・ブルー女子だから昇格も降格もないけど……まぁ、いい結果になったんじゃないのかしらね。

 

 

 

 




初期手札『神の居城-ヴァルハラ』『アテナ』『機械天使の儀式』『サイバー・エンジェル-韋駄天-』『サイバー・エンジェル-美朱濡-』

明日香「なに、この手札?」(これ、ヤバくない? ドライトロンどこ行っちゃったのよ。天使に寄りすぎだし、美朱濡の1妨害とか……オワタ)

トップ弁天!

明日香「オイオイこれじゃ……MEの勝ちじゃないか!」
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